何気ない言葉で親友を騙すのは何度目だろう。 嘘をつくことにもなれてしまった。 そんな志筑仁美の心境を表すように、彼女のソウルジェムがうっすらと濁っていた。 「あ……」 机の引き出しに確保していたグリーフシードを取り出し、浄化する。 ほむらのお陰で魔女退治に使う魔力が大幅に削減できたというのに、浄化の頻度は日増しに多くなっていた。 「ソウルジェムはわたくしの魂。 気分が沈めば濁り、絶望に沈めば黒く染まる」 あの白い怪生物……キュゥべえから聞いた言葉を反復する。 あの生き物、まどかは可愛いと言うが……それは本性を知らないからだ。 腐りきったドブ川に棲むバクテリアにも劣る本性には、気づかない方が幸せだろう。 しかし仁美は魔法少女の真実を知りながら、未だまどかにそれを伝えることが出来ないでいた。 『僕らの目的はこの宇宙の延命さ。 そのために必要なエネルギーを人間の感情から造り出し回収する。 それこそが魔法少女システムなんだ』 演説でもするようにほざいていたその時のキュゥべえは、感情を持たないという自称に反して誇らしげだった。 『ソウルジェムが黒く染まりきった時、魔法少女は魔女として孵化する。 その際に、君たちが願いを叶えたときの希望が絶望へと相転移し、宇宙を延命するエネルギーが生まれる。 そのエネルギーを回収することで、宇宙全体のエネルギーが枯渇しないように管理・運営していくのさ』 魔法少女になったあの日。 巴マミと初めての実戦を生き延びた直後。 仁美は自分がなった魔法少女というものが何なのかを知った。 ほとんどの魔法少女が知らずに死んでいくことを考えれば、運がいいほうなのかもしれない、と今なら考えられる。 そんなことを知らされて平然としていられるほど仁美は鉄の女ではない。 だが巴マミの狼狽はそれ以上に凄まじかった。 『そんな……それじゃあ、私は今まで……魔女を増やして……』 仁美へ向いたマミの表情は、涙こそ出ていないがクシャクシャに歪み、焦点が定まっていなかった。 髪止めに着けたソウルジェムがみるみる黒く変色し、つつけばパリンと割れそうだった。 おそらくあの時のマミにあったのは、自分が契約させてしまった仁美への罪悪感だった。 仁美以外に対してのものもあっただろう。 震える膝で後退りしながらうわ言のように「ごめんなさい」と繰り返すマミに、仁美は結局言葉を返すことが出来なかった。 少なくとも仁美にマミを責めるつもりはなかったし、契約しなかったら一緒にいた友人も助からなかった。 それだけでも伝えたかったが、正直仁美もこの時ばかりは冷静でなどいられず、喋ろうとしても口をパクパクさせるばかりだった。 そうこうするうちにマミがまどかの連絡先を渡してきて、フラフラと夕方の街に消えていった。 少しでも長く生き延びられるよう、経験があってなおかつ信頼できる相手に託したのだろう。 そのまどかと仁美が知り合いだったのは全くの偶然だったのだが、それもまた運命なのかもしれない。 「運命……運命か」 思えば昔から、自分ではどうにもならない問題に直面すると、何かにつけて『運命だった』と諦めていた気がする。 なら、いずれ魔女という人食いの化け物になるのも運命か。 なら、まどかもそうなのだろうか。 『わたしってどんくさくて、何の取り柄もなくて、一生誰かに迷惑かけて生きていくんだなって、思ってた。 でも今はこんなわたしでも魔女から誰かを守ることが出来るから。 だから戦うのは怖いけど、それがとっても嬉しいなって』 あの誰よりも優しく、芯の強さを秘めた少女の顔が、閉じた瞼の裏に浮かぶ。 魔法少女として戦い続ける、そこに不安や恐怖が無いか訊くと、まどかは困ったような笑みを浮かべてそう答えたのだ。 それを思い出すと、不思議と胸の奥が熱くなってくる。 『仁美は何でも一人でやっちゃうけどさ。 それで自分が潰れてちゃしょうがないじゃない。 たまにはさ、友達だと思って頼ってよ。 あたしじゃ頼りないかもだけど』 もう一人、明るく元気で能天気そうな雰囲気に反して、いつも周囲への気配りを忘れない青髪の少女の顔も思い浮かぶ。 自然と口許が笑顔になった。 「……ふふっ、意外と悪くない運命ですわね」 机に置いたソウルジェムを指で軽く弾く。 ソウルジェムは仁美の魂、なので砕けると死ぬのだが、早々簡単に砕けるほど柔な魂ではないと自負している。 そのソウルジェムに、見慣れた光点がポツリと浮かぶ。 魔女の結界反応!」 反応のしかたから結構遠くのようだが、なのに方角も距離もハッキリ感じ取れる。 つまり、それだけ大きな結界だということだ。 (仁美ちゃん!) 同様に感じ取ったらしい、まどかから念話が届いた。 こういうとき、彼女はいつもの気弱な様子はどこへやら、勇敢で毅然とした戦士へと変わる。 変身して走った方が速いでしょう、合流は現地で!) (分かった! あと、ほむらちゃんにも連絡するね!) 念話を閉じた仁美は、素早く魔法少女に変身してベランダの窓を開け放つ。 「……正義の魔法少女。 まどかさん、やっぱりあなたにはそうあってほしい……というのは、わたくしはわがままですわね」 自嘲を込めた呟きを残し、仁美は夜空へ向かって軽やかに跳び立った。 病室三百部屋を超える見滝原総合病院、昼夜を問わず多くの人間が詰めるはずのこの場所が、不気味な静寂に包まれている。 灯りは非常灯を含めて全て消えており、急患を運んできた救急車両は敷地に入った瞬間に姿を消した。 「な、なんなんだ、これは……!」 静まり返った病院を空から見下ろす佐倉杏子、その表情は固い。 冷や汗が浮かぶ顔は真っ青である。 魔法少女として、そして魔女と化してからもとある事情で魔女狩りを続けていた彼女から見ても、この様子は異常だった。 魔女の知覚を通して視た病院の全景は、赤黒く淀んだ靄に包まれて端から溶かされていっている。 あたかも巨大な蛇に飲み込まれて生きたまま消化されていくような、おぞましい光景であった。 大体の魔女は作り出した結界から動かずに、餌である人間が仕掛けた罠に嵌まるのを待つ。 例えるなら蜘蛛のような習性をしている。 積極的に人間を襲いに行くのは稀であり、人気の多い場所に結界を構えたならば『口付け』による自殺者を増やす程度だ。 杏子の場合も、結界に捕らえた人間を怖がらせてマイナス思念を吸収したり、少量の血液を奪うぐらいで殺すことまではしてこなかった。 どちらにしても当座の飢えを凌ぐだけの行為である。 それがどうだ。 見滝原総合病院の結界は、施設そのものを呑み込んでいる。 職員、患者を問わず数百人の人間を、まとめて異界に捕らえてしまったのだ。 結界から溢れだす魔女の魔力が加速度的に高まっているのは、間違いなくそうして捕らえた病院中の人間を片っ端から喰いまくっているのだろう。 実のところ、魔女になっても一度に食事できる量は通常の生物と変わらず、自らの体積に比例するのだ。 どんなに大型の魔女でも、数百人規模を一度に喰らうことは不可能なのだ。 底無しの食欲、そして同じぐらいの強烈な悪意を、結界の主から感じる。 「……こんなヤバそうなのは、正直放置したいが」 少し考えて、杏子は首を振る。 そして、念話でマミに目の前の異常を伝えた。 マミは即決でここへ来ると答えた。 予想通りだが、その反応が嬉しく思う。 すっかり元の巴マミだ。 本音を言えば正気に戻ったばかりのマミにも、ボロボロの体で大技を放ったほむらにも無理してほしくはない。 しかし、 「正義の魔法少女は、困ってる人を見棄てないんだよな。 いや、今は正義の魔女か」 懸命に人を守ろうとしていた、かつてのマミ。 そのマミが魔女になったとはいえ、人間を襲って喰らう前に見つけ出せたとき、杏子は思わず神に感謝したものだ。 杏子は今日までマミに人食いをさせず、代わりに自分の使い魔を与えて飢えを凌がせてきた。 キャンデロロを本能のままに行動させたら、微かに残っていたマミの記憶が消えてしまう気がしていたから。 黒髪の自称・格闘少女のおかげで、その行為もようやく報われた。 「あんたとずっと一緒にいるって決めたんだ。 やっぱり、独りぼっちは寂しいからな」 マミが魔女キャンデロロとして生きるなら、自分もオフィーリアになろう。 いつか互いに理性を失い、喰らい合う日まで添い遂げよう。 誰でもない、自分自身に誓った。 そして……マミが再び正義の味方に立ち戻るなら、佐倉杏子もパートナーとして相応しい働きをするまでだ。 杏子の姿が京劇の衣装に変わり、馬上槍とともに無数の使い魔を呼び出した。 「鬼が出るか、邪が出るか! さあ、一丁やるとするか!」 赤い瞳に闘志を燃やし、杏子は病院を包む結界に突入していった。 そんな具合に佐倉杏子が決意を固めているかと思えば、その一方。 肝心の巴マミは風見野と見滝原の境目辺りの路地裏にひっそりと建つ、人目を忍んで恋人同士が逢瀬を重ねる宿泊施設で、独り寂しくベッドで大の字になっていた。 妙に広い浴室でシャワーを浴びてさっぱりし、バスローブ姿でくつろぐマミだが、内心焦燥感で気が気でない。 杏子からの連絡を受け、勢い勇んで飛び出したのはいいものの、五分と走らないうちにマミの衣装がほどけだしたのだ。 何事かと思えば、何てことはない。 ほむらとの戦闘と、そのあとの回復行動で魔力が尽きたのだ。 このままではマミの早熟ダイナマイトボディが公衆の面前にさらされてしまう。 ほむらは咄嗟の判断で衣装が消えていくマミをお姫様抱っこして路地裏を疾走、たまたま目についたこのホテルにチェックインした。 今はほむらが近くのブティックで、マミの服を調達している。 「はあ……お腹空いた」 呑気ともいえる呟きだが、実のところ空腹もマミにとってかなりの死活問題でもあった。 マミの消耗は自分で考えているよりも激しく、今や結界を作るわずかな魔力も残っていなかった。 魔力が尽きるとは、ようするに体内のエネルギーが枯渇した状態だ。 運動すれば腹が減るのと全く同じなのである。 そして魔女にとってもっとも基本的な食事とは、人間に他ならないのである。 (ううっ……人間を見て食欲が刺激されるなんて……本当に私、魔女になってしまったのね……) 空腹、というより飢餓感と呼ぶべき衝動が、胃袋からぞわぞわ這い上がる。 部屋に備え付けの冷蔵庫には軽食も入っており、ほむらからは支払いを気にせず自由に飲み食いして良いと言われているのだが……普通の食事ではこの『飢え』は解消できないようだ。 キャンデロロのときは杏子がくれる使い魔や、たまに採取した人間の血液が主な食事だった。 だが使い魔はともかく、例え一部でも人間を口にする真似はしたくない。 傷だらけのほむらを抱き締めて回復魔法を掛ける間も、鉄の理性で堪えていた。 魔女の中にも物理的に人間をバリバリ食い殺す魔女は少なく、自殺させたり結界の中で殺して間接的に吸収するのは、微妙に人間だった時の記憶があるからかもしれない。 「お待たせ、巴さん」 なので、両手に紙袋を抱えたほむらが戻ってくると、彼女の姿が天使にも救世主にも見えてしまった。 「暁美さぁぁ~……なに、その格好?」 泣きそうな顔で出迎えられたほむらは、ストライプのシャツと青いスカート姿に着替えており、見るからに上機嫌な様子だ。 伝線したストッキングも新品に変わっている。 「せっかくだから私も買い揃えてみたわ。 どう?」 ほむらは新しい服が気に入っているらしく、上機嫌にクルリとその場で回って見せる。 一見するとクール系な彼女にしては珍しく、年齢相応な明るい笑顔であった。 そこでふと、マミはさっきまで着ていた服の状態を思い出した。 そちらはマミがマスケット銃で撃ち抜いたせいで、穴だらけに加えて血みどろだったのだ。 体の傷は魔法で治したが、服には銃創が残り、黒ずんだ血の跡もそのままだった。 ひょっとすると、それを見た店員が悲鳴ぐらいあげたかもしれない。 「店に入った瞬間、店員さんがすごい声だしたから何事かと思ったけど、とんでもない格好してたのよ、私」 「あ、本当に叫ばれたんだ……」 「私のことはいいわ。 はい、さっさと着ちゃって。 値札も外しておいたから」 押し付けるように渡された二つの紙袋には、下着やブーツを含めた着衣一式が入っている。 マミは礼を言いながら、さっそくベッドに着衣一式を広げた。 白を基調としたブラウスと、ブラウンにホワイトラインの入ったフレアスカートは可愛らしく、意外にもほむらの服を見立てるセンスは確かだった。 「ちょっ、なにこれ!? 」 手に取った真っ黒なレースの下着に、マミの顔が火を吹いたような朱色に染まる。 ファッション誌の外国人モデルが着けていそうなド派手な逸品である。 ご丁寧にガーターベルトまでセットだ。 年齢不相応な発育のマミといえども、一応は中学生の彼女には背伸びが過ぎるようで、手に持ったまま固まってしまった。 「こんなのいつ着ろって言うのよ!? 」 「今よ」 「無理よ、無理ぃ!! そもそもサイズだって大きいし!」 「え、93のGよね?」 「違うわよ! そんなに……って、あら?」 文句を言いながら身に付けてみると、驚くことにジャストフィットであった。 記憶ではもう1~2サイズ小さかったはずだが、知らぬ間にまた成長していたようだ。 「やっぱりね。 抱きついた感触を覚えていてよかったわ」 「いやいやいや……」 感触だけでどうやって選んだのか、聞くのが怖くて確かめられないマミだった。 こうして無事、ストリーキングを免れたマミであったが、もう一つの問題は残ったままである。 マミは着替えている間も、ベッドに腰掛けてコンビニ弁当を猛然と掻き込むほむらを横目でチラチラと見てしまっていた。 視線に気づいたほむらが「安心して、あなたの分もあるわ」とでも言いたげな表情で袋の中の高級幕の内弁当を指差すが、気にしているのはそこではない。 「あの、暁美さん!」 着衣を終えたマミは、意を決してほむらに向き直った。 」 光って唸るほむらの右手に、マミは真っ青な顔でベッドの向こうへ飛び込んだ。 「冗談よ、半分は」 「それ、半分本気ってことじゃない!」 「場合によっては百パーセント本気になるわ。 でも魔法少女と違って、時間を置けば戻るんでしょう?」 「そう思ってたんだけど、完全に空っぽになっちゃったら補給しないとダメみたいなの! そのせいか、さっきから暁美さんの肌とかに食指が動いちゃって辛抱堪らないのよ!」 言い方が不穏だが、訴えるマミの真面目さ、必死さは表情から伝わってくる。 例えるなら、これから友人三人を巻き込んで無理心中しようとする時のような悲痛な面持ちだ。 「無茶なお願いだとは分かってるけど! このままだと病院に着いても戦力にならないし、自制が効かなくなったらと思うと……」 「分かったから、落ち着いて」 マミの肩を叩き、なるべく優しくポンポン叩く。 ほむらからしても再びキャンデロロになられたら堪らないし、何より次も再びマミの意識を呼び戻せる保証もない。 (まさか、その場の勢いで一番の大技を叩き込んだら、上手いこと正気に戻っただけだなんて言えないわ。 実はあの時、確実に仕止めるつもりだったのは黙っておこう) 「あ、あの、暁美さん……?」 不意に黙ったほむらから不穏な気配を察したらしく、マミが怯えた顔で見つめてくる。 腰に片手を当てたほむらは、大きな溜め息を吐いてマミへ一歩近づく。 「そんな顔しないで。 分かったわ」 「暁美さん! ありがとう!」 「それで、どうすればいい? あなたの回復魔法で治せるなら、腕の一本ぐらいなら構わないけど」 「グロっ!? ……そ、そこまでしなくても、少し血だけでも飲ませてもらえれば……」 「血ね。 分かったわ」 ほむらはいつものポーカーフェイスのまま、自分の左手首の動脈を右手刀で切り裂いた。 当然、噴水のような出血が起こる。 マミは指先を少し切るぐらいのつもりでお願いしたので、ほむらが取った大胆にも程がある行動は予想の遥か斜め上だった。 」 突然の奇行に面食らっているマミに追い討ちを掛けるよう、ほむらが傷口を彼女の小さな口に押し当て……否、強引にねじ込んだ。 「がぼぼぼぼぼっ!? 」 言うなれば、脱水で倒れている人間の口にペットボトルを突っ込むような行為だ。 渇いた体は必死に水分を飲み下そうとするが、同時に気管にまで回った水分を排除しようと激しく咳き込む。 が、口が塞がっているせいで水分は流れ込んでくるばかり。 早い話が、陸上で溺れるのだ。 (ちょまっ!? 暁美さん、一旦離れて!! ) 「心配しなくても、私血の気が多いから出血には強いの」 (違う、そうじゃない!! ) わざとやってるのか、ほむらはマミの体をベッドに押し倒し、怪力で押さえつけていく。 今やか弱い女子中学生でしかないマミに抗う力などなく、もはや血の池に沈む地獄の亡者である。 「こんなものかしら」 抵抗する力が弱まってきたのを見計らい、ほむらはようやくマミを解放した。 ほむらが左手首をぐっと力を込めて曲げると、出血がまるで栓を閉じたかのように止まった。 「……巴さん? あれ、巴さーん?」 ベッドに仰向けになったマミは、白目を剥いたまま動かない。 微かに手足を痙攣させているぐらいだ。 おそるおそる口許に耳を近付けると、ゴボゴボと排水溝が詰まったような、呼吸とも呼べなくもない異音が鳴っている。 「…………」 ようやく自分の行為に思い至ったほむらは、右手に闘気を収束させる。 そのまま気付け代わりのシャイニングフィンガーを、マミの胸部に叩き込んだ。 「がぼっ!? がばばばばばっ!! 」 マミの体が水揚げされた魚のようにビチビチと痙攣し、やがて黒い煙を出しながら動かなくなった。 かと思えば、全身から大量の黄色いリボンとエメラルドグリーンに輝く魔力の光を放出させて勢いよくベッドから飛び起きた。 衝撃波をともなう魔力光がほむらを除いた部屋中のオブジェクトを吹っ飛ばす。 「殺す気か!! 溺死するかと思ったじゃない!! 」 「そりゃそうよね、ごめんなさい。 でも、魔力は回復したようね」 「え、ええ……まあね」 部屋中に張り巡らされたリボンを自分の元に引き戻し、全身を包み込む。 緑のワンピースに黄色のボンネットスタイルに変わったマミは、床から数センチ体を浮かせてみせた。 困惑気味だった表情が、みるみる明るい笑顔に変わっていく。 「……すごいわ。 こんなに気力が充実したことなんて、魔法少女の時にだってなかった! こんな清々しい気分は初めて! もう何も怖くない!! 」 「それは何よりだわ。 なら、すぐに出発できるわね」 「待って、暁美さん。 ちょっと試したいことがあるの」 そう言ってマミはほむらの手を取る。 と、次の瞬間、二人の周囲が極彩色の空間に変わり、かと思いきや拓けたビルの屋上に立っていた。 すぐそこで煌びやかに輝くネオン看板を見る限り、ホテルの屋上にいるらしい。 「えっ、え!? 」 驚くほむらの様子にマミは満足したようで、鼻を高くしながら厚手のワンピース越しでもはっきり分かる胸をたゆんと揺らす。 「結界を利用した高速移動……ちょっとしたテレポートよ」 「そんなことまで出来るの?」 「思いつきだけどね。 今試した感じだと、障害物を無視して長距離を移動できそうよ。 普通に走るより速いハズ!」 「便利ね。 すごいじゃない、巴さん」 ほむらからの忌憚無い称賛に、マミの鼻がますます高くなる。 さすがの流派東方不敗にも、超能力チックな異能は無い。 「それじゃ、さっそく見滝原総合病院へ行きましょう!」 「ええ……そうね。 お願いするわ。 その前に、チェックアウトは済ませてくるわね」 なお、マミが変身した衝撃でぶっ壊れた家具や設備一式に関しては、保険に入っているので弁償費を取られることはなかった。
次のの一部地域で行われる伝統的な。 「 ヴァルプルギスの夜」()とも。 にからにかけてのをす。 『』に登場する。 この項では 1. にも触れつつ、2. について重点的に記述する。 1の概要 かの(特になどではからにかけての)に、ンジナビアからにかけての地域を中心にの広い範囲で行われている。 古くはを迎えるためのなの一つであったが、にが広まってからはこれらは異教の習であるとされ、次第にによるとして変容していった。 では、のにたちが山に集い催される宴として言い伝えられている。 「」のの一つと思われているゲーテの戯曲「」にもワルプルギスの夜がの集会として登場する。 などの異教や異文化を取り扱った作品には、ワルプルギスの夜の習を取り入れたりを受けたものが多い。 現代では、通しでを飲んだり騒ぎしたりパレードをしたり最ただののと化していたりする。 特にではを挙げた大規模な祝宴としていることが多く、この様子はとしても。 関連動画• 「」の第5楽章には「ワルプルギスの夜の夢」とのが付いており、そこでは前章においてで切り落とされたの首を掲げ、踊り狂うたちの姿が描写されている。 2の概要 ここから先は、『』までの成分を多く含んでいます。 続きをたい方はをしてください。 単独のでは対処しきれない大の。 本作の的な位置づけとなっている。 「ワルプルギスの夜」という名前は通称であり、本名はで「不明」という設定。 『装置の』で性質は。 この世の全てを「戯曲」に変えるまでを回り続けるという。 (の、及びより) のの時間軸では第11話と第12話に登場した他、第1話(冒頭の)と第10話(話回)にも登場している。 他のとは違い強大すぎる事から結界内に身をひそめる必要がなく(第11話でののより)、にも多大なるをもたらす。 雑誌記事の紹介に寄れば、「に及ぶその膨大な破壊のもあって、魔のないにはとして認識される」という。 実際に、第11話においては一般の気観測ではワルプルギスの夜の出現以前に発生が観測されており、共の手での住民に避難が呼びかけられている。 その存在は、の間では広く知れ渡っているようで、第6話で「2週間後にやってくる」と予言したは当然だが、や別時間軸のもこのの存在と名前を知っていた。 更にの「二人がかりなら倒せるかも」という発言から、の強さに関してもある程度のことはしているもいるようだ。 これらのことから以前より至る所に出現しては悪さをしていたものと考えられる。 ちなみにあののを勤めたのは、・と同じである。 (ド e. より) また、「ワルプルギスの夜が登場する回が放映されると何らかのが実際に起こる」という『ワルプルギスの夜の』と呼ばれるモノ(一例:)が存在するが、むしろという年がそれ程までに中で大規模が頻繁に起こった年だったからともいえる。 外観 ワルプルギスの夜の威厳溢れる御姿 【 3 】 全長は200m~0m( E v. 6より)。 とののを身にまとった細身ののような姿をしている。 からはと回転する巨大なが顔を覗かせ、そちら側を上にして逆さまに宙に浮いていることが多い。 下半身と呼べるものは確認できず、から細長い軸が胴体に直結している。 ただし、の図鑑の説明や「装置の」という設定、に写っている箇所などから、人の部分ではなくの部分がこのの本体だと考えられる。 ドに掲載されているには、本体はであるとの記述があり、人の部分は後付けのとされており、においても実際に最後まで部分が残っている描写がある。 逆さまになっているためわかりづらいが、の内側つまりの上がになっており、そこでがを上演できたらしいが、では使われなかったそうだ。 移動するだけで町を破壊する極めて強なであるが、本人に破壊の自覚はなく、演が大事であり、観客をめて人の集まっている場所をしているだけらしい。 またには、つかまえた相手の体を石のように重くするがあったらしいが、同じくで発揮されることはなかった(以上、ドより) の背後にはにく「輪」のようなものが映し出されている。 「現(において『ワルプルギスの夜』にたちが集まるとされる『山』で起こりやすい学現)」を表しているのかもしれない。 登場のの中で最初にの手でされたで、に際しての脚本の説明は「の1つ2つ軽く吹き飛ばす」というものであったそうだ。 戦闘 では、暗くどんよりとしたがを覆い、破壊された建造物の残骸が宙に浮いている。 第11話においては、予兆としてがで観測された後、まるで的に飾られた数のに万のようなモノでされ、そのパレードと共に出現、に合わせてワルプルギスの夜の、い口しかないい貌が、笑いと共に映しだされた。 第1話および第10話における部分的描写からが予測していたのをかに上回る強大さを見せつけており、持てるの全てをに投入し、とでも呼ぶべき三面六臂の活躍を見せるとのその戦いは、本作を代表する名であると言って問題ないであろう。 第11話での戦いのとも言うべき、大量のを用いた一斉爆破による打撃を与えられながらも爆炎を背に傷で健在な姿をに見せつけるワルプルギスの夜の姿は畏怖をももたらす程。 その直前のでは、のような姿をしたたちが確認でき、ワルプルギスの夜と交戦するに執拗に干渉し惑わせていた。 尚、番組中 屈の大スペクとなった第11話のとワルプルギスの夜の死闘であったが、後日されたの図鑑から「本気になると普段逆さまの人部分がひっくり返り、 暴のようなで飛び回って地表の文明をひっくり返す」といったことがになった。 第11話では終始逆さまに浮いていたことから、あの戦いですら 全然本気ではなく遊び気分であったというが明かされ、めて達を戦慄させたのであった。 尚による版では、、、の姿をした三人の(全て)が登場し、また途中から逆さまの状態から正位置に変化して、本気を出している。 正位置になると部分のも変化し、姿がより禍々しいものになっていた。 伝承の通り、凄まじいの突進を繰り出していたが、さすがに地表をひっくり返すほどの威はなかった。 ワルプルギスの夜が本気を出した描写があるのはなどを含めて、おそらくはこの版のみであると思われる。 「」では、あろうことかにより故意的にに召喚され、エンオ・及び・の連合軍と三つの戦いを繰り広げることとなる。 呼称 前述のように「ワルプルギスの夜」は仮の名前に過ぎず、本名は設定で「不明」である。 特殊で表記された人名が与えられているものの作中ではその名で登場人物達に呼ばれることのない他のとは異なり、このだけが固有の名称を与えられ、作中のたち、及びからその名で呼ばれている。 その名前が「ワルプルギスの夜」という人名とは思えないもので、しかもでそれがどのようなものか説明がされなかったので、初めて名前の出た第6話の時点ではそれがなのか現なのかすら不明瞭であった。 のちに、第8話のの室内にあるワルプルギスの夜の資料に第1話のに登場したに似た絵が描かれていたことで、ようやく第1話のとワルプルギスの夜が関連していることが明確になった。 見逃しがちだが、第11話の直前のントをよく見ると、 Walpurgisnacht と表記されているのが確認できる。 初めて他ののように特殊で表記されていた。 正体 ワルプルギスの夜の正体についてはが多く、放映終了後にされたの『図鑑』において「もともと一人のかなのか多くの魂の体なのかわからない」と記載された以外にがなく、正体に関しては長らく物議を醸していた。 しかし、放映終了一ヶ以上がたった末に雑誌によってようやく、「 もともと一人ので、のちに他のの波動を集めることでの姿となった物」だとになった。 なお、によると中核となった最初のの名前は「の」という設定らしい。 以下に、ワルプルギスの夜にの正体についてこれまで考えられた説のうち、有なものを挙げる。 『魔女の集合体』説 的にとしての格を満たる事や、での「ワルプルギスの夜」がの集会とされている(記事冒頭の『』参照)ことから考えられた説。 尚、これらの()の体の中核(=)となる人物が、下記の「の子」や「での隣の」や「」であるという考え方も支持されている。 『緑の子』説&『緑の子中核』説 第12話において、が自分の役を果たすために最初に救済に行った、の・のであるという説。 上記の「の体」の中核だとする考え方も支持されている。 が倒れた地の周囲にして掲げられていた色とりどりの旗から、第11話のワルプルギスの夜の出現時のの旗が連想できることなどから提示された。 尚、呼称は「の子」「」「の子」「ッ子」「っぽい子」「ちゃん」などとぶれているが、「の子」という呼称が最も直感的でわかりやすいからか、今のところこの呼称が最もよく用いられている。 当初はかのの子ではないかと周囲のやそのから推測されていた。 「の子」などというように呼ばれるようになった所以は、の死に際(化際)にのが外れた際の私姿が、、、、北部などの文化圏で見られる系のに見えることや、周囲の旗も同地域で見られる『チョ(別名:ルンタ)』と呼ばれる伝統の五色幕に見える為。 に『チョルテン』と呼ばれる圏に見られるらしき物(のテントとも考えられる)も在ることやと反対の手に持っているのが数珠にも見える事から、の施設ではないかと推測されている。 『単なる強大な敵(その他の魔法少女)』説 ワルプルギスの夜自体は、においては「が運命をえられない徴」と取れることから。 第12話ののたちが横に並んだの中に、第8話のワルプルギスの夜の資料の中にあった絵(明るい色のの、ひ立つ絵)に似た姿をしたがいることから、これがワルプルギスの夜の元の姿だとする説が存在し、これも多くの人に支持されている。 の右隣がそれに当たる。 ここまで強大なになってしまったのは、の言うように時代は一のやのような強な立場の人物だった為と考えられる。 また、と同様に、が時間遡行を繰り返したでの因果の糸が集中してしまった為だという説も存在する。 (第10話の1周の時点で既に十分強い敵として描かれているが、を重ねるごとに更に強くなっているようにも見える) 結局は、どうしようもないくらいに強くて、その強さからに名前まで付けられてしまったの一人として考えれば、正体はそこまで重要ではないのかもしれない。 『現象』説 「 of 」でのワルプルギスの夜に対するの発言を根拠として出た説。 つまり単体のではなく、ある種の現として変におけるの様にの体が出現する現ではないかという物。 『美樹さやか』説 の時のの辺りのの形と ワルプルギスの夜の背後のようなの模様が、 色、の形状以外の類似点として挙げられる。 のが提唱した説だが、第1話終了直後から既に、 色 (画像処理をするとく塗られていることが分かる)や 時のの形状 (もそうだが、左右非対称でにされている)などの類似点から、第1話のでが戦っていたと思われる敵 (この頃はまだ名前が判明していなかった)の正体がではないか、という説が存在した。 の終盤に、がのないしはに立ち回り第1話のに繋がる展開が一時期予想されていたが、第8話、第9話の話の展開からこの可性は否定された。 左腕に装着しているの内部構造や自室のに「」があることなどの共通点や、第1話や第10話のでの時間操作が一部効いていないように見えることなどから考えられた説。 とワルプルギスの夜が同一の時間軸上に同時に存在できるのは、の時間操作のが化しても持ち越され時間遡行している為だと考えれば、一応の説明がつく。 第11話、第12話の話の展開からこの可性もほぼ否定されたが、一方で放映終了後にされたの図鑑内の「 (1周の時点の・何回やってもを救えない)」「 回り続ける愚か者 (運命を変えることが出来ず駄なを繰り返す)」「 地表の文明をひっくり返す (第10話の化しかけた際の『こんな何もかも滅苦にしうか』という)」というからを連想できるとして、なお支持されていたようだ。 また、上記の体説における『ワルプルギスの夜の中核となる=最後に残った部分の』という仮説から、再度上記の共通点に基づいて、『ワルプルギスの夜の中核=となった』という説が生まれた。 後に、版ではの化した姿「Homu」が登場したため、この仮説も否定されたのだが、その後 「」及び、その来場者特典である「図鑑」における化したが、版と外見や性質などが大きく異なることや、図鑑内のの1枚に、ワルプルギスの夜の物と同様のであるのような物が描かれている事、そしての説明における「お芝居」「並みの強さ」「級」などの単から、『割り版全体=ワルプルギスの夜』説が生まれたが、まだが導かれていないにも関わらず、ワルプルギスの夜の()が側にいたため、そもそも成り立たない説だった。 ファンからの扱い 第10話でかませのが付いてしまったが、 続く第11話で見せたその格はを魅了した。 では「 ワルプルギスの夜」とで呼ばれることがほとんどで、稀に「 ワルプルギス」とややされる程度だが、からは「 ワルプル」「 ワル」と更にして呼ばれることが多い。 「ワル」から転じて「 悪」という意図的な誤変換表記にされたり「 ワルプルさん」と付きで呼ばれることもしばしば。 『 装置の』というのが明かされる以前は『 大災厄の』という仮ので呼ばれることもあった。 その強大さや的位置づけから、歴代総出演のでは役や総まとめ役を受け持ったり、全の代表格とされることが多い。 しかし一ケの放映中断期間を挟んで放映された編の11話のでの圧倒的な強さや威圧感、恐怖を煽る笑い、演出の過さから、としての格を取り戻し、めての心を魅了したのであった。 あとなぜかとされる事が多く、両者を組み合わせたやも存在している。 関連動画 公式配信 ハイライト 11話戦闘BGM 耳コピ・アレンジ その他 関連商品 関連項目• 前回 今回 次回 ワルプルギスの夜 登場人物 - - - - - - - - - - - - - - - - - - その他 - - 楽曲 () 関連人物 関連団体.
次のContents• 暁美ほむらのHappy birthday 暁美ほむらさんのお 誕生日は・・・ 3月12日です。 ちなみに、暁美ほむらさんの声をやられている斎藤千和さん(声優)のお誕生日は・・・1981年 3月12日 あれ・・・お気づきでしょうか、実は暁美ほむらさんのお誕生日は声優さんと同じ誕生日なのです。 が、実は、これ、 どこかの情報ミス?で、 声優さんの誕生日=暁美ほむらさんの誕生日になってるようですが、 暁美ほむらの公式では 誕生日は設定されていないが、正しいです。 が、現在ある情報だと、 3月12日(声優さんの誕生日)や、10月3日との情報も見つけました。 公式で公開されている情報が意外と少ない暁美ほむらさん。 ほむらが自ら悪魔と称したのみならず、設定資料に「 悪魔ほむら」と表記されていることから、この名称が最も普及しているが、他にも様々な呼び名が作られた。 いずれにせよ、 女神まどかと対になる存在になったことは間違いない。 普段の暁美ほむらさんも非常に謎めいた少女ですが、魔女以上の存在になってしまった暁美ほむらさん・・・この姿も非常に綺麗なんですが、元は病弱な眼鏡少女がこんな姿になったらびっくりですよね。 外見や雰囲気もバレエを思い浮かべる黒く露出度の高いドレス、人工的な意匠の禍々しい翼、 嘲笑うかのような目つき、 終始不敵な笑みを浮かべている…など、今までのほむら像からかけ離れたその姿は、展開と相まって多くの 観客に衝撃を与えた これはカナリ衝撃的ですよね。 暁美ほむらに何があったんだ・・って感じです。 しかしなぜ、《 悪魔ほむら》は描かれ、生まれたのか・・って思いませんか?この真相はこちら! 虚淵玄が考えていた元々の結末は「 ほむらがまどかに連れられて行く(=ほむらが円環の理に導かれる)」というものであったが、「この後続くようにしたい」と考えていた監督側から中々OKが出なかった。 …つくづくドSな人達ではある。 物語って、けっこうなあなあになってくると飽きちゃいますからね、この悪魔ほむらさんの登場で、視聴者も衝撃的でしたでしょうし、一遍した暁美ほむらにも会え・・・作者や演出家たちが超ドSだったという事ですね ちなみに、《悪魔ほむら》という正式名称が知れ渡っていたんですが、ファンの中ではこの《 悪魔ほむら》を色々な呼称で呼んでいるようですね。 しか~しまだまだなんですよね~。 これが暁美ほむらちゃん・・・ 魔女化しちゃったって・・・・ん?暁美ほむらちゃんって、確か魔法少女でしたよね・・・どういうことろう・・・・ -スポンサードリンク- 悪魔どころか魔女化した魔法少女? そう、暁美ほむらさんが 魔女化してしまった姿・・それが 此岸の魔女(しがんのまじょ) 魔女文字で真名は Homulilly。 ただし、ゲームオーバーの前にイラストが1枚表示されるだけでこの魔女と戦闘することはできない。 このイラストで魔女文字による「Homulilly」の名前と同じく魔女文字の「game over」の表記が確認できる。 ほむらが魔女化するのは全てのルートの中で唯一この時のみ。 ゲーム版の暁美ほむらさんの魔女化したホムリリィはこちら もう、暁美ほむらさんの最初の面影もかたり形もなくなってしまってますよね・・・ 暁美ほむらの魔女: 此岸の魔女ホムリリィの意味とは・・・ 「彼岸」の反対の意味である「此岸」の魔女と呼ばれるホムリリィ。 彼岸(ひがん)・・・自らが理想の世界に到達するという行為を表したもの。 此岸(しがん)・・・ 悩みの多い現実世界。 苦しみに満ちた迷いの世界を指した言葉。
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