バレエ以外にもアーティストを囲んでのイベントも数多く行われており、5月3日には高田茜と平野亮一によるトーク・イベント(日本語)もあり、パフォーマンスやイベントに在英の日本人ファンや10連休を利用してロンドンを訪れた日本のバレエ・ファンの姿を多数見かけた。 今月は現在上演中の『ロミオとジュリエット』より、高田と平野による共演の模様をオリジナル写真と共にレポート。 他の配役による公演も後日ご紹介したい。 当初10配役による公演が予定されており、初日の3月26日はイギリス人プリンシパルのローレン・カスバートソンとマシュー・ボールの2人が主役を務め、プリンシパルの高田茜、ファースト・ソリストのベアトリス・スティックス・ブルネル、ソリストのアナ・ローズ・オサリバンがジュリエット役で、ファースト・ソリストのマルセリーノ・サンベとセザール・コラーレス、ソリストのリース・クラークのロミオ役デビューが決まっていた。 ところがバレエ団では『くるみ割り人形』の上演を終えた1月中旬あたりから、様々な作品を踊って疲弊したダンサーの怪我が相次いだ。 2月初めにはシーズン開幕以来エドワード・ワトソンやフェデリコ・ボネッリの代役で大活躍、「シーズン末にプリンシパルに昇進するのではないか?」と思われていたてファースト・ソリストのウィリアム・ブレイスウェルが腰を痛めて降板。 アシュトン振付『2羽の鳩』の若者役で関係者やファンの期待通りの素晴らしいデビューを遂げた、ソリストのリース・クラークも膝を痛め、時々舞台を務めながらも4月27日のロミオ役デビューには間に合わなかった。 このような時、常に代役として主役に抜擢され、演舞とパートナーリングの素晴らしさで関係者や観客を納得させるのはプリンシパルの平野亮一である。 これまでも『冬物語』や『マイヤリング』でエドワード・ワトソンの代役として、堂々映画館ライブやシーズン初日を務めた平野には、まずブレイスウェルの代役として5月13日にスティックス・ブルネルと踊ってロミオ役デビューすることが決まった。 ところがマックレーがバレエ団復帰直後に膝を痛めて降板。 バレエ団は初日前日の3月25日に、28日夜の高田・マックレー主演公演チケット購入者にEメールでマックレーの怪我による降板と代役が平野亮一になったことを連絡。 日本人男女プリンシパルの高田と平野が、急遽『ロミオとジュリエット』で共演し、共に主役デビューすることになった。 平野にとっては、5月中旬のロミオ役デビューが決まったのも急だったが、その後にデビューが1か月半も早まり、同じ日本人とはいえ全く予想だにしない相手役とまず踊ることになった瞬間であった。 まず2人は3月26日午後のロイヤル・バレエとロイヤル・オペラの後援組織である、フレンズ・オヴ・コベントガーデン(コベントガーデン友の会)のメンバーが見守る公開ドレス・リハーサルに登場。 バレエ団公認舞台写真家とチケットを購入してリハーサルを観に来た友の会会員の前にその姿を現した。 高田は人形を手に乳母と戯れる1幕の登場シーンよりリハーサルとは思えない充実を見せ、ジュリエットが今後彼女の当たり役となるであろうことを、当日ROHに集まった人々に証明して見せた。 平野も美しい立ち姿とソロやサポートに冴えを見せ、リハーサルを見守る人々の中には高田と平野が紡ぐ愛の物語に感情移入し、バルコニーの場面で終わる1幕の最後で早くも涙する者の姿も見られた。 通信分野の発達著しい21世紀に起こった、マックレーの降板と26日の公開ドレス・リハーサルでの高田と平野の素晴らしい演舞の話題は、あっという間にバレエ・ファンの間に伝播し「2人の公演を観たい!」とチケットを求めるファンが続出した。 高田のジュリエット主演公演は3月28日、4月13日、4月27日(夜)の3回。 デビューから2度目の公演まで2週間以上間がある。 マックレーの怪我が軽ければ高田と平野の共演は3月28日1度きりだ。 そのため、熱心なファンは何とか3月28日1度限りかもしれない2人の共演を観ようと、チケット入手に奔走しなければならなかった。 1幕、平野亮一のロミオが登場した。 年齢的にはベテランの域にある平野だが、マントを纏いマンドリンを手に美しいロザリンドの関心を得ようとするその姿は若者らしく、恵まれた長身と手足の長さで大変見栄えがした。 ジェイムス・ヘイのマキューシィオとトリスタン・ダイアーのベンヴォーリオと3人で踊るキャピュレット家の舞踏会に忍び込む場面では、音楽性と技術の高さでプリンシパルの輝きがあふれた。 高田は物語バレエの全幕物では『ジゼル』の薄幸な少女を当たり役として久しい。 バレエの本場であるヨーロッパでも有数のバレエ団のプリンシパルになりながらも、優しくおっとりした性格はそのままである。 そんな性格の高田が役を演ずるとマクミランのドラマティック・バレエの大作『マイヤリング』のマリー・ヴェッツラのような役ですら、登場シーンは少女らしさがあふれ、心中直前にはルドルフ皇太子を思いやる姿に母性すらにじませ、大変魅力的で心に残った。 だから筆者は深窓の令嬢から初恋に殉ずるジュリエットという役も高田がその本領を発揮できると信じていた。 高田のジュリエットは、乳母と戯れる無邪気な登場場面から、婚約者パリスの訪問を受け興味を持ちながらも恥じらう姿、そのどれもが愛らしく大変魅力的であった。 舞踏会でロミオと出会い恋に落ちても、それがまさか愛してはならない若者とは知らない。 乳母から宿敵モンタギュー家の一人息子であると知らされ、それでもロミオとの恋に生きようとするジュリエットは、ロミオとの出会いによって一夜にして大人の女性への階段を駆け上るのだ。 ボリショイ・バレエ学校に留学するも「物語バレエを踊りたい」と英国ロイヤル・バレエでの活躍を熱望していた高田は、2008年2月にローザンヌ国際バレエコンクールでのプロ研修賞を受賞。 同年9月ロイヤル・バレエの研修生となり、翌2009年9月に入団、2016年にプリンシパルに昇進した。 平野も2016年、高田と同時にプリンシパルに昇進したことは日本のバレエ・ファンの記憶に新しいところだ。 2人の実力と魅力を良く知る日本のバレエ関係者やファンには、2人がこれまで『ロミオとジュリエット』の主役に抜擢されなかったことのほうが不思議といえた。 そんな高田と平野のデビュー公演は、初役とは感じさせぬ素晴らしいものとなり、出会い、バルコニーのパ・ド・ドゥ、秘密の結婚式、マキューシォの死とティボルト殺害、初夜と別れ、追い詰められローレンス神父に救いを求め走るジュリエット、パリスとの結婚を受け入れ、恐怖におののきながら薬を飲むジュリエット、と場面が進むごとに、その魅力を膨らませROHに集まった観客を魅了していった。 平野の巧みなパートナー技術によって高田の身体が理想的なラインを見せ、高々とリフトされる。 マックレー降板からデビューまで2週間にも満たない準備期間ながら、プリンシパルとして充実し、満を持してこの作品にデビューした2人による舞台は完成度が高く、それでいて瑞々しくフレッシュさにあふれていた。 1年前に曹馳の突然の降板により、バーミンガム・ロイヤル・バレエのロンドン公演で佐久間奈緒と厚地康雄夫妻がこの作品で急遽共演した際も驚き、2人によるリハーサルを撮影し、その後のパフォーマンスを見守り、日本にレポート出来た際も幸せを噛み締めた。 しかし、1年後にロイヤル・バレエの本拠地でまさか平野と高田の共演を見守り、オリジナル写真と共に日本のファンの皆さんに公演の様子をレポートすることになるとは! マックレー降板から準備期間が2週間に満たなかったというが、今の2人はそんな試練すらも立派にクリア出来る技量のプリンシパルに成長している。 その2人を、感動した観客からの割れんばかりの拍手が包んだ。 当初1度限りかと思われた高田と平野の共演は、マックレーが膝の手術をしたことにより3度となり、噂を聞いて2人の共演を観たいと熱望したたくさんのファンに、舞台の目撃者となるチャンスを与え、彼らを感動で満たした。 3度の共演から約1週間後の5月3日、ロイヤル・オペラ・ハウス内のクロエ・スタジオでは、ロイヤル・オペラ・ハウスの歴史上初めてという、英語以外の言語によるトーク・イベントが開催された。 高田茜と平野亮一によるトークで、プレゼンターは小林ひかる。 日本語のみのイベントと知らなかったイギリス人ファンがチケットを購入してしまい、直前に気付いて参加を断念したという。 本場での2人の人気を物語る逸話である。 (2019年3月28日 ロイヤル・オペラ・ハウスのデビュー公演。 3月26日午後の公開ドレス・リハーサルを撮影) 記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。 ワールドレポート• 過去の記事• 2020• 2019• 2018• 2017• 2016• 2015• 2014• 2013• 2012• 2011• 2010• 2009• 2008• 2007• 2006• 2005• 2004• ジャンル別に見る•
次のバレエ以外にもアーティストを囲んでのイベントも数多く行われており、5月3日には高田茜と平野亮一によるトーク・イベント(日本語)もあり、パフォーマンスやイベントに在英の日本人ファンや10連休を利用してロンドンを訪れた日本のバレエ・ファンの姿を多数見かけた。 今月は現在上演中の『ロミオとジュリエット』より、高田と平野による共演の模様をオリジナル写真と共にレポート。 他の配役による公演も後日ご紹介したい。 当初10配役による公演が予定されており、初日の3月26日はイギリス人プリンシパルのローレン・カスバートソンとマシュー・ボールの2人が主役を務め、プリンシパルの高田茜、ファースト・ソリストのベアトリス・スティックス・ブルネル、ソリストのアナ・ローズ・オサリバンがジュリエット役で、ファースト・ソリストのマルセリーノ・サンベとセザール・コラーレス、ソリストのリース・クラークのロミオ役デビューが決まっていた。 ところがバレエ団では『くるみ割り人形』の上演を終えた1月中旬あたりから、様々な作品を踊って疲弊したダンサーの怪我が相次いだ。 2月初めにはシーズン開幕以来エドワード・ワトソンやフェデリコ・ボネッリの代役で大活躍、「シーズン末にプリンシパルに昇進するのではないか?」と思われていたてファースト・ソリストのウィリアム・ブレイスウェルが腰を痛めて降板。 アシュトン振付『2羽の鳩』の若者役で関係者やファンの期待通りの素晴らしいデビューを遂げた、ソリストのリース・クラークも膝を痛め、時々舞台を務めながらも4月27日のロミオ役デビューには間に合わなかった。 このような時、常に代役として主役に抜擢され、演舞とパートナーリングの素晴らしさで関係者や観客を納得させるのはプリンシパルの平野亮一である。 これまでも『冬物語』や『マイヤリング』でエドワード・ワトソンの代役として、堂々映画館ライブやシーズン初日を務めた平野には、まずブレイスウェルの代役として5月13日にスティックス・ブルネルと踊ってロミオ役デビューすることが決まった。 ところがマックレーがバレエ団復帰直後に膝を痛めて降板。 バレエ団は初日前日の3月25日に、28日夜の高田・マックレー主演公演チケット購入者にEメールでマックレーの怪我による降板と代役が平野亮一になったことを連絡。 日本人男女プリンシパルの高田と平野が、急遽『ロミオとジュリエット』で共演し、共に主役デビューすることになった。 平野にとっては、5月中旬のロミオ役デビューが決まったのも急だったが、その後にデビューが1か月半も早まり、同じ日本人とはいえ全く予想だにしない相手役とまず踊ることになった瞬間であった。 まず2人は3月26日午後のロイヤル・バレエとロイヤル・オペラの後援組織である、フレンズ・オヴ・コベントガーデン(コベントガーデン友の会)のメンバーが見守る公開ドレス・リハーサルに登場。 バレエ団公認舞台写真家とチケットを購入してリハーサルを観に来た友の会会員の前にその姿を現した。 高田は人形を手に乳母と戯れる1幕の登場シーンよりリハーサルとは思えない充実を見せ、ジュリエットが今後彼女の当たり役となるであろうことを、当日ROHに集まった人々に証明して見せた。 平野も美しい立ち姿とソロやサポートに冴えを見せ、リハーサルを見守る人々の中には高田と平野が紡ぐ愛の物語に感情移入し、バルコニーの場面で終わる1幕の最後で早くも涙する者の姿も見られた。 通信分野の発達著しい21世紀に起こった、マックレーの降板と26日の公開ドレス・リハーサルでの高田と平野の素晴らしい演舞の話題は、あっという間にバレエ・ファンの間に伝播し「2人の公演を観たい!」とチケットを求めるファンが続出した。 高田のジュリエット主演公演は3月28日、4月13日、4月27日(夜)の3回。 デビューから2度目の公演まで2週間以上間がある。 マックレーの怪我が軽ければ高田と平野の共演は3月28日1度きりだ。 そのため、熱心なファンは何とか3月28日1度限りかもしれない2人の共演を観ようと、チケット入手に奔走しなければならなかった。 1幕、平野亮一のロミオが登場した。 年齢的にはベテランの域にある平野だが、マントを纏いマンドリンを手に美しいロザリンドの関心を得ようとするその姿は若者らしく、恵まれた長身と手足の長さで大変見栄えがした。 ジェイムス・ヘイのマキューシィオとトリスタン・ダイアーのベンヴォーリオと3人で踊るキャピュレット家の舞踏会に忍び込む場面では、音楽性と技術の高さでプリンシパルの輝きがあふれた。 高田は物語バレエの全幕物では『ジゼル』の薄幸な少女を当たり役として久しい。 バレエの本場であるヨーロッパでも有数のバレエ団のプリンシパルになりながらも、優しくおっとりした性格はそのままである。 そんな性格の高田が役を演ずるとマクミランのドラマティック・バレエの大作『マイヤリング』のマリー・ヴェッツラのような役ですら、登場シーンは少女らしさがあふれ、心中直前にはルドルフ皇太子を思いやる姿に母性すらにじませ、大変魅力的で心に残った。 だから筆者は深窓の令嬢から初恋に殉ずるジュリエットという役も高田がその本領を発揮できると信じていた。 高田のジュリエットは、乳母と戯れる無邪気な登場場面から、婚約者パリスの訪問を受け興味を持ちながらも恥じらう姿、そのどれもが愛らしく大変魅力的であった。 舞踏会でロミオと出会い恋に落ちても、それがまさか愛してはならない若者とは知らない。 乳母から宿敵モンタギュー家の一人息子であると知らされ、それでもロミオとの恋に生きようとするジュリエットは、ロミオとの出会いによって一夜にして大人の女性への階段を駆け上るのだ。 ボリショイ・バレエ学校に留学するも「物語バレエを踊りたい」と英国ロイヤル・バレエでの活躍を熱望していた高田は、2008年2月にローザンヌ国際バレエコンクールでのプロ研修賞を受賞。 同年9月ロイヤル・バレエの研修生となり、翌2009年9月に入団、2016年にプリンシパルに昇進した。 平野も2016年、高田と同時にプリンシパルに昇進したことは日本のバレエ・ファンの記憶に新しいところだ。 2人の実力と魅力を良く知る日本のバレエ関係者やファンには、2人がこれまで『ロミオとジュリエット』の主役に抜擢されなかったことのほうが不思議といえた。 そんな高田と平野のデビュー公演は、初役とは感じさせぬ素晴らしいものとなり、出会い、バルコニーのパ・ド・ドゥ、秘密の結婚式、マキューシォの死とティボルト殺害、初夜と別れ、追い詰められローレンス神父に救いを求め走るジュリエット、パリスとの結婚を受け入れ、恐怖におののきながら薬を飲むジュリエット、と場面が進むごとに、その魅力を膨らませROHに集まった観客を魅了していった。 平野の巧みなパートナー技術によって高田の身体が理想的なラインを見せ、高々とリフトされる。 マックレー降板からデビューまで2週間にも満たない準備期間ながら、プリンシパルとして充実し、満を持してこの作品にデビューした2人による舞台は完成度が高く、それでいて瑞々しくフレッシュさにあふれていた。 1年前に曹馳の突然の降板により、バーミンガム・ロイヤル・バレエのロンドン公演で佐久間奈緒と厚地康雄夫妻がこの作品で急遽共演した際も驚き、2人によるリハーサルを撮影し、その後のパフォーマンスを見守り、日本にレポート出来た際も幸せを噛み締めた。 しかし、1年後にロイヤル・バレエの本拠地でまさか平野と高田の共演を見守り、オリジナル写真と共に日本のファンの皆さんに公演の様子をレポートすることになるとは! マックレー降板から準備期間が2週間に満たなかったというが、今の2人はそんな試練すらも立派にクリア出来る技量のプリンシパルに成長している。 その2人を、感動した観客からの割れんばかりの拍手が包んだ。 当初1度限りかと思われた高田と平野の共演は、マックレーが膝の手術をしたことにより3度となり、噂を聞いて2人の共演を観たいと熱望したたくさんのファンに、舞台の目撃者となるチャンスを与え、彼らを感動で満たした。 3度の共演から約1週間後の5月3日、ロイヤル・オペラ・ハウス内のクロエ・スタジオでは、ロイヤル・オペラ・ハウスの歴史上初めてという、英語以外の言語によるトーク・イベントが開催された。 高田茜と平野亮一によるトークで、プレゼンターは小林ひかる。 日本語のみのイベントと知らなかったイギリス人ファンがチケットを購入してしまい、直前に気付いて参加を断念したという。 本場での2人の人気を物語る逸話である。 (2019年3月28日 ロイヤル・オペラ・ハウスのデビュー公演。 3月26日午後の公開ドレス・リハーサルを撮影) 記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。 ワールドレポート• 過去の記事• 2020• 2019• 2018• 2017• 2016• 2015• 2014• 2013• 2012• 2011• 2010• 2009• 2008• 2007• 2006• 2005• 2004• ジャンル別に見る•
次の今日の2本目はロイヤルバレエ団カフカ「変身」。 虫に変身した人間をパンツ一丁の生身の肉体で表現しようという意欲作。 振付はアーサー・ピタ、主人公グレゴリー役はプリンシパルのエドワード・ワトソン。 肉体美がぱない。 ひたすら無視する母 主人公が虫になってからも、お母さんは主人公を一顧だにせず美容体操に明け暮れるシーンがある。 主人公が毒汁に塗れながらのたうち回っているのに、テレビを見ながらレオタードを着て美しくポージングを繰り返すのだ。 政治や経済から目を背けて、ひたすら動画配信を視聴する自分に重なるところがあって、身につまされる気持ちになった。 ちなみに常に何かしらの薬品を吸っているこの心の弱そうな母は主人公に取り込まれていく。 墨汁祭り 純白の装置に黒い液体で、グロテスクだなぁ、、、演出の勝利!と思っていたが、途中の装置転換(セットが斜めになる大掛かりな舞台転換はおお!と目を見張った)があってから、液体大盤振る舞い!! 日本人なせいか、どうしても墨汁・・・という思いが頭から拭えず。 そのあとドゥルンドゥルンになりながらダンスが続くので、大変危険だなぁと思って見ていた。 主人公から腐ったような黒い汚れが家中に撒き散らされていくのだよな。 みんなが掃除しても消えないの。 見ていて辛い。 みんなの輪に加わりたい主人公 原作と異なり、皆がリビングで楽しくダンスで盛り上がっているところに、自分も参加したくて主人公が出ていき物語は破滅を迎える。 理解者だった妹から憎まれてこれは辛い、、、。 ラストの妹が美しいレディになるシーン、夕日を浴びながら黄色いドレスで回るところは染みましたな。 妹自身が醜いものを経験して、大人になるストーリーにも思えた。
次の