2014年07月17日 弊社はこのほど、国内に出願された金属空気電池関連技術について、特許分析ツール「」を用いて参入企業に関する調査結果をまとめ、レポートの販売を開始しました。 金属空気電池とは、正極の反応材料に空気中の酸素、負極の反応材料に金属を用いた電池の総称です。 原理自体は古くから知られており、使い切りの「亜鉛空気電池(注1)」などは20世紀半ばに実用化されています。 一方で、環境問題への関心が高まりや、技術革新の中核を担う電気自動車や燃料電池自動車の普及に伴い、現時点で最もエネルギー密度が高いと考えられるリチウムイオン二次電池を超える次世代エネルギー源の有力候補として、再度注目を集めています。 そこで本調査では、金属空気電池関連特許の特許を抽出し、各個別特許の注目度を得点化する「」をベースとして、特許の質と量から総合的に見たランキングを作成しました。 その結果、「総合力ランキング(注2)」では、1位 本田技研工業、2位 EVEREADY BATTERY、3位 トヨタ自動車という結果となりました(表1、図1)。 【金属空気電池関連技術 特許総合力トップ5】(表1) 順位 企業名 総合力 権利者スコア 有効 特許件数 個別力 (最高スコア) 1 本田技研工業 363. 0 26 85. 0 2 EVEREADY BATTERY 274. 7 30 64. 1 3 トヨタ自動車 261. 2 106 64. 4 4 パナソニック 163. 4 23 70. 5 5 キヤノン 74. 9 5 78. 4 図1:金属空気電池関連技術 競合状況 1位本田技研工業の注目度の高い特許には、「(正極材料としてYとMnとを含む複合酸化物からなる)金属酸素電池」などが挙げられます。 同社は、有効特許26件のうち、早期審査請求で既に22件が権利継続となっており、自社権利化意欲が目立っています。 2位EVEREADY BATTERYは、「流体調整システムを備えた流体消費型バッテリ」や「電気化学電池用の耐衝撃性改良ポリスチレンシール」などに関する技術が注目度の高い特許として挙げられます。 3位トヨタ自動車は、「(充放電特性の悪化を抑制することができる)空気二次電池」や「(高率放電可能な)空気電池システム」などに関する技術で強みを有しています。 4位パナソニックは「酸素還元用電極」、5位キヤノンは「(充放電の繰り返しによって発生するデンドライトの成長を抑えて長寿命化を目指した)二次電池」などに関する技術が高い注目度となっています。 図2:電極の種類別 出願件数推移 図2は、金属空気電池の主要な「電極(活物質)の種類」別に見た出願件数推移を示しています。 1990年代前半から開発が進んでいた「主に亜鉛電極(負極活物質に亜鉛を用いたもの)」は全期間を通じて30件前後の出願が継続しているのに対し、「主にリチウム電極(負極活物質にリチウムを用いたもの)」は2007年以降、出願件数が急増しています。 図3:総合力上位5社のリチウム/亜鉛電極別出願状況 図3は、本調査の総合力上位5社について、上記2つの「電極(活物質)の種類」別に見た出願状況を比較しました。 EVEREADY BATTERYとパナソニックは「主に亜鉛電極」に関する出願が大半である一方、本田技研工業、トヨタ自動車は「主にリチウム電極」に関する出願に近年特に注力しており、次世代二次電池の本命として開発を牽引している様子が伺えます。 (注1):「空気亜鉛電池」とも呼称される。 使い捨てのボタン形電池や補聴器用途が多い。 (注2):総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「」を企業ごとに集計し、そのうち分析母集団における平均点以上のパテントスコアの値を集計しています。 平均点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
次の負極活物質に鉄、亜鉛、アルミニウムなどの金属を用い、正極活物質には空気中の酸素を利用するの総称。 正極(空気極)は燃料電池で開発されたカーボンを主体とするガス拡散電極を用い、水酸化アルカリ金属の水溶液が電解液に用いられている。 負極活物質は資源が豊富で安価な金属であり、また正極活物質は空気なので電池内に保持する必要がなく、その分高エネルギー密度化することができるという特徴がある。 それぞれの金属空気電池の起電力は1. 28ボルト、1. 65ボルトおよび2. 70ボルトである。 正極(空気極)では酸素の電気化学的還元(放電)反応をスムーズに進行させるため、高活性で安価な酸素還元触媒としてペロブスカイト形複合金属酸化物やポルフィリン系有機金属錯体などが添加されている。 金属空気電池の充電にあたっては留意すべきことが多い。 正極活物質は空気であるため充電の必要はないが、そのまま充電すると酸素が発生するため、正極に用いられているカーボンの腐食が激しく、耐酸化性の向上を図る必要がある。 そのため放電時の酸素還元反応に活性で、しかも充電時の酸素発生反応にも活性な二元機能触媒活性を示す触媒が研究されている。 一方、負極活物質では、鉄の場合はそのまま充電することも可能であるが、充電過電圧が高いことによる発熱や水素発生などの難点がある。 また亜鉛負極では亜鉛が樹枝状に析出しやすく、短絡の原因となって充放電サイクル寿命を縮めるので、亜鉛負極をそっくり取り替える機械的充電方式が検討されている。 アルミニウムを負極とする場合は、充電電圧が高いため水の分解がおこって充放電の可逆性が悪いので、亜鉛の場合と同様に機械的充電方式が採用されている。 なお、アルカリ一次電池としてボタン形の空気亜鉛電池(空気電池ともいう)が生産されている。 放電電圧が長時間にわたって平坦 へいたん であり、水銀電池と互換性があるので、従来水銀電池が使用されてきた補聴器などに用いられている。
次の負極活物質に鉄、亜鉛、アルミニウムなどの金属を用い、正極活物質には空気中の酸素を利用するの総称。 正極(空気極)は燃料電池で開発されたカーボンを主体とするガス拡散電極を用い、水酸化アルカリ金属の水溶液が電解液に用いられている。 負極活物質は資源が豊富で安価な金属であり、また正極活物質は空気なので電池内に保持する必要がなく、その分高エネルギー密度化することができるという特徴がある。 それぞれの金属空気電池の起電力は1. 28ボルト、1. 65ボルトおよび2. 70ボルトである。 正極(空気極)では酸素の電気化学的還元(放電)反応をスムーズに進行させるため、高活性で安価な酸素還元触媒としてペロブスカイト形複合金属酸化物やポルフィリン系有機金属錯体などが添加されている。 金属空気電池の充電にあたっては留意すべきことが多い。 正極活物質は空気であるため充電の必要はないが、そのまま充電すると酸素が発生するため、正極に用いられているカーボンの腐食が激しく、耐酸化性の向上を図る必要がある。 そのため放電時の酸素還元反応に活性で、しかも充電時の酸素発生反応にも活性な二元機能触媒活性を示す触媒が研究されている。 一方、負極活物質では、鉄の場合はそのまま充電することも可能であるが、充電過電圧が高いことによる発熱や水素発生などの難点がある。 また亜鉛負極では亜鉛が樹枝状に析出しやすく、短絡の原因となって充放電サイクル寿命を縮めるので、亜鉛負極をそっくり取り替える機械的充電方式が検討されている。 アルミニウムを負極とする場合は、充電電圧が高いため水の分解がおこって充放電の可逆性が悪いので、亜鉛の場合と同様に機械的充電方式が採用されている。 なお、アルカリ一次電池としてボタン形の空気亜鉛電池(空気電池ともいう)が生産されている。 放電電圧が長時間にわたって平坦 へいたん であり、水銀電池と互換性があるので、従来水銀電池が使用されてきた補聴器などに用いられている。
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