帝王切開術後の麻酔が切れるのはいつ? 帝王切開で一番気になることと言えば、 「術後の痛み」 ではないでしょうか。 (術後の痛みについては を参照してください) 勿論、術中は麻酔の効果で痛みは感じないように 配慮されているため、これから手術を迎える方は安心して大丈夫です。 麻酔がいつ切れるかは、個人差もありますが術後 覚醒してからすぐに感じる人もいれば 眠ってしばらく経ってから痛みを感じる人もいます。 術後はいつから動けるの? 手術というと「しばらく寝たきり」のイメージを持っている人も。 しかし、基本的には帝王切開の場合 全身状態に問題がなければ翌日より歩くことが可能です。 医療スタッフの誘導で以下の流れで動き始めます。 ・寝返りが打てるようであれば、状態を起こしてみる。 ・支えがなく座位を保持してみる。 ・ゆっくりと立ち上がってみる。 ・何かにつかまりながら歩行してみる。 病院によって少し差はありますが だいたいはこのような流れになっており、最初は見守りで歩くようになります。 この時に、急に動かない事が最大のコツになります。 まだまだ翌日だと、麻酔の影響も少なからず 残っていますので、急にふらつくことも考えられます。 そのため、気分が悪くなった時には少し休憩することをオススメします。 帝王切開術後に注意すること ・指示があるまでは、勝手に動かない 術後は、何時間後から動いてよいという 麻酔科の医師の指示が必要になります。 自己判断で動いてしまうと、血圧の低下で 気分が悪くなってしまう事もありますので 分からない事があるときは、医療スタッフに訪ねるようにしましょう。 ・飲食も制限されている時もある 術後は、活動の制限の他に飲食の制限もあります。 手術前から手術を受ける人は 飲み物が飲めなくなってしまうため 術後に水を希望される人も多いです。 しかし、術後自己判断で水を飲んでしまうと ムセてしまうため危険なのです。 意識がハッキリして水が飲みたい場合は 可能かどうかを医療スタッフに確認すると間違いはありません。 ・痛みは我慢しない 「薬は使わないほうがいい」と思っているなら その考え方は間違っています。 特に帝王切開をした方は、母乳への影響を 気にしている傾向がありますが、特に心配はいりません。 帝王切開は、開腹手術であるため 傷が治るまでは動きに合わせて痛みはしばらく続きます。 状態が安定したら、母児同室などを 行っていきますが痛みで動けないようでは いつまでも赤ちゃんと一緒に過ごすことができません。 そのため、術後は輸液からの鎮痛剤や 鎮痛内服薬を上手に使い、早く日常生活動作が 出来るようになる必要があります。 我慢をしていると、痛みが少ないと判断されて しまうことになり本人の痛みと医療者が考えている 痛みとで差が生じ、上手く治療していくことができませんので注意が必要です。 術後の傷への注意点 ・創部の観察 術後の創部は縫った傷を保護するようにフィルムで覆われています。 翌日以降になると、血液も固まっていることでしょう。 医療スタッフが、毎日傷の状態を観察しますが 自分でも新たに出血していないかなどを確認しましましょう。 ・創部を圧迫しないような服装を 妊娠時はゆったりした服装を心がけると思いますが 出産後や術後も同様です。 まだ完全に肉体が前の状態へ戻っているわけではないため 締め付けることはあまり良いとは言えません。 傷が痛む原因にもなりかねないため 持っていく服装をもう一度見直してみましょう。 ・骨盤ベルトは医師へ確認後に 骨盤ベルトは出産後通常であれば装着してOKですが 術後に関しては例外です。 傷の状態もあるため、いつごろからなら 着けても可能か確認したほうが安全ですよ。 ・退院してからも傷に異常があったら受診を 退院する時には、フィルムなどは剥がしていきます。 自宅ではシャワーなどで創部を清潔に保つことが重要です。 しかし、やむおえずに創部が赤くなったり ジクつくような異常あった時には手術をした医療機関へ受診をしましょう。 術後は無理をしない事が先決 術後は「痛み」が一番つらいと思われます。 鎮痛剤の効果は個人差がありますが 痛みの度合いを正直に医療スタッフへ伝えることで 適切に痛みを緩和してもらうことができます。 赤ちゃんと一日でも早く同室するためには 鎮痛は不可欠な存在であることを覚えておきましょう。
次の産婦人科専門医。 長門クリニック勤務。 女性特有の月経や更年期にまつわる悩みの助けとなること、また、妊娠出産期を安心安全に過ごすお手伝いすること、を念頭に置いて日々診療しています。 帝王切開と聞くと、「陣痛を経験しないで済むから楽だ」「痛くないお産だ」などと考える人も少なくありませんが、経腟分娩とは違った痛みや悩みが伴います。 今回は、帝王切開のための麻酔や手術、抜糸、術後の傷口の痛みなどについてご説明します。 そもそも帝王切開とは? 帝王切開とは、「経腟分娩(自然分娩)ではリスクが高く、母体が手術に耐えられる状態である」と医師が判断した場合に行われる分娩方法です。 帝王切開には、大きく分けて「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」の2種類があります。 経腟分娩が難しいとあらかじめわかっている場合に、手術日を決めて実施されるのが予定帝王切開です。 一方、もともと自然分娩を予定していたものの、分娩前や分娩中に何らかのトラブルが起きたときに、急きょ行われるのが緊急帝王切開です。 関連記事 帝王切開の流れは?痛みはあるの? 帝王切開は状況によって手順が異なりますが、おおまかな流れは次のとおりです。 剃毛・消毒をする 2. 下半身だけの局所麻酔を行う(場合によっては全身麻酔) 3. 麻酔が効いたのを確認してから、お腹を切開する 4. 切開後2〜3分ほどで赤ちゃんが生まれ、胎盤を取り出す 5. 傷口を糸で縫合したり、医療用ステープラー(ホチキスのような器具)でふさぐ 帝王切開の手術時間は合計で1時間くらいです。 麻酔が効いているので痛みはないと思う人もいるかもしれませんが、手術前や手術中、手術後などそれぞれで違った痛みがあります。 次の章から、一つひとつ見ていきましょう。 帝王切開前の麻酔の痛みはある? 帝王切開前の局部麻酔は、腰のあたりにやや長い針を刺して麻酔薬を注入する必要があるため、多少の痛みを伴います。 ただし、痛みの感じ方は個人差があり、「チクっと皮膚に針が刺さる程度の痛みだけで済んだ」という人もいれば、「ズシンと腰に響く痛みがあった」という人もいます。 また、麻酔の痛みよりも、「注射針を刺しているあいだ体を動かしてはいけない、というプレッシャーで緊張した」というママもいます。 麻酔をすると5分ほどで効きはじめ、胸のあたりから足先までの感覚が鈍くなっていきます。 麻酔の痛みに不安がある人は、局部麻酔の針を刺す前に皮膚麻酔をしてもらえる場合もあるので、かかりつけの医師に相談してみましょう。 帝王切開の手術中にも痛みを感じる? 局所麻酔をすると胸から足の先までの感覚がなくなるので、帝王切開の手術中に痛みを感じることはほとんどありません。 ただし、体質によっては麻酔が効きにくい人もいて、お腹を切開するときに痛みを感じるケースもあるようです。 また、痛みはないものの、「赤ちゃんを子宮から取り出すときにお腹から何かを引っ張り出される不思議な感覚があった」というママもいます。 赤ちゃんを取り出すときに医師にお腹を押されることが多いので、そのときに痛みを感じることもあります。 手術中あまりにも痛く、麻酔が効いているか不安がある場合は、周囲のスタッフに相談しましょう。 痛み止めや麻酔薬を増やすなどの対応をしてくれることもあります。 帝王切開でも後陣痛の痛みはある? お産が終わったあと、妊娠中に大きくなった子宮を元の大きさに戻す「子宮復古」が起こります。 この子宮復古を促すための子宮収縮の痛みを「後陣痛」といい、これは経腟分娩だけでなく、帝王切開の場合も起こります。 この痛みには麻酔は効きにくいので、手術中から後陣痛の痛みを感じる場合もあります。 後陣痛の痛みが強いときには痛み止めを処方してもらえることもあるので、担当の医師に相談してください。 帝王切開後の抜糸の痛みはある? 帝王切開後に、縫合した糸を抜く「抜糸」が必要になるケースがあります。 溶ける糸を使っていれば抜糸しなくてもそのまま体に吸収されますが、溶けない糸の場合は抜く必要があります。 もしくは、医療用ステープラーで傷口をふさいでいる場合、その針をあとで外すことになります。 縫い合わせていた糸や針を抜くときに、少し皮膚が引っ張られる感じがする程度でほとんど痛みを感じない人もいれば、痛みが強い人もいます。 帝王切開後の傷口の痛みはある? 帝王切開後を経験したママで、「お腹を切開した傷口の痛みが一番つらかった」という人も多くいます。 帝王切開後の傷口は、麻酔が切れた後に少しずつ痛みが出てきます。 ジンジン、キリキリするように痛く、熱っぽくなることもあります。 産後しばらくの間は、お腹に力を入れることが難しく、思うように体を動かせなくなります。 一方で、生まれたばかりの赤ちゃんのお世話もしなければならないので、ママは少し大変な思いをするかもしれません。 家事を家族に頼るなどして、産褥期はできるだけ穏やかに過ごしましょう。 関連記事 帝王切開の傷跡は残るの? 帝王切開で赤ちゃんを生むことになった場合、「お腹の傷跡はどのくらい残るのだろう」と不安に思うママも多いと思います。 帝王切開の方法には、お腹の皮膚を「横に切る方法」と「縦に切る方法」の2つがあります。 傷の治り方には個人差がありますが、一般的には「横切り」のほうが傷あとが目立ちにくくなるといわれます。 「縦切り」は、横切りと比べると傷跡が残りやすいですが、手術のときに視野を確保しやすく、また、赤ちゃんを取り出しやすく、手術時間が短くて済むというメリットがあります。 縦切りと横切り、どちらを選択するかは、病院の方針や胎児の状態などによっても異なります。 妊婦さん自身が選べるとは限りませんが、気になる人は医師に相談してみてください。 術後、体質にもよりますが、切開したところの皮膚がミミズ腫れのように赤く盛り上がったり、かゆくなったりすることもあります。 ケロイド予防のためのテープやクリームもあるので、傷跡が気になるママは産婦人科か皮膚科で相談してみましょう。 1年もすればほとんどの傷跡は白っぽくなり、さらに年月が過ぎるごとに目立たなくなっていきますよ。
次の帝王切開の痛みはいつまであるの? 帝王切開は、麻酔をしておなかを開く手術なので、術後に痛みが生じます。 痛みは2種類あり、ひとつは開腹手術による傷あとの痛み。 もうひとつは、子宮収縮による痛みで、いわゆる「後陣痛(こうじんつう)」です。 後陣痛は、経腟分娩でも痛みを感じるのですが、帝王切開では感じ方が違います。 開腹手術による傷あとの痛み 帝王切開の手術は、麻酔をして、下腹部の皮膚、皮膚の下にある脂肪組織、筋膜、腹膜、子宮壁を切開します。 開腹してから5分前後で、赤ちゃんが子宮から取り出されます。 胎盤も取り出したら、切開部を縫合し、手術が終了します。 麻酔をかけてから1時間くらいです。 手術中は麻酔が効いているので痛みはありませんが、麻酔が切れたら縫合した部分がズキズキ、チクチクと痛み出します。 子宮収縮による痛み(後陣痛) 赤ちゃんを取り出したあとの子宮収縮による痛みを「後陣痛」といいます。 胎盤を出したあとに起こり、その後も子宮が元の大きさに戻るために収縮し、そのたびに痛みます。 帝王切開の場合は、麻酔が切れたあとに傷口の痛みとともに後陣痛を感じるようになります。 傷あとがズキズキ、チクチクと痛むのとは違い、後陣痛は生理痛のような、下腹や腰の鈍い痛みを感じ、子宮内に溜まっている不要な分泌物(悪露・おろ)を排出します。 悪露は産後すぐは赤色で、その後、茶色、黄色と色が変化し、4~6週間後には透明なおりものに変わります。 帝王切開は、陣痛を待たずに手術を行うことが多いので、後陣痛の痛みをより強く感じる傾向があります。 また、開腹手術による傷が子宮にあるために痛みも強く感じやすいようです。 時間経過とともにだんだん弱くなりますが、産後しばらくは授乳のたびに感じることもあります。 これは赤ちゃんが乳首を吸う刺激で、脳から分泌されるオキシトシンというホルモンが子宮の収縮を促すからです。 帝王切開の痛みの感じ方の変化 入院中の痛みの感じ方 手術の麻酔が切れたら、注射や座薬などの鎮痛剤を投与します。 痛みは徐々に治まりますが、痛いときは我慢せず、医師やスタッフに伝えましょう。 手術の傷あと、後陣痛ともに日が経つにつれ落ち着いてきます。 帝王切開の入院は8日前後。 入院最終日の診察で異常がなければ退院できます。 退院後の痛みの感じ方 退院するころには痛み止めは必要ないことが多いのですが、心配な人は医師に相談して処方してもらいましょう。 手術の傷口が完全に治癒するまでは6ヶ月~1年かかります。 体質によって、傷あとがケロイド化してしまう人も。 その場合は受診しましょう。 後陣痛は、術後数日で治まりますが、妊娠・出産によって変化した子宮は、一般的に産後約8週間で妊娠前の状態に戻る(子宮復古・しきゅうふっこ)と言われています。 帝王切開の場合、産後の回復がゆっくりめですが、経腟分娩の場合と特別な違いはありません。 退院したからといって無理せず、家族の協力を得て、1ヶ月健診までは安静に過ごしてください。 初産で開腹手術も初めてだったので、術前は不安でいっぱいでしたが、先生がしっかり説明してくれたので覚悟を決めて手術を受けました。 術後は、傷口の痛みと後陣痛に悩まされましたが、子どものお世話で精いっぱいでいつのまにか痛みは紛れていきました(T・Sさん 37歳)。 生まれたのは、陣痛が始まって2日目だったので、気力も体力も消耗。 手術の記憶もありませんが、無事に生まれてきてくれて心の底から安堵しました。 傷の痛みは徐々に慣れていきましたが、産後3ヶ月ぐらいは傷口をかばいながら生活していました(S・Sさん 34歳)。 帝王切開後の生活はどうなる!? 帝王切開の場合は、傷あとの痛みがまだ残っているので、育児や家事は無理をせず、家族のサポートなどが必要です。 赤ちゃんのお世話以外は、家事代行、食材やお弁当の宅配サービスなどを上手に活用しましょう。 赤ちゃんのお世話 授乳 授乳は3時間おきが目安といいますが、最初は一度にたくさん飲めないので、少し飲んで、30分ほどでまたおなかが空いて飲む、の繰り返しになる場合も。 おなかの傷に赤ちゃんが当たると痛いので、授乳クッションでガードしたり、横抱きにするといいでしょう。 家族と役割分担して協力し合いましょう。 おむつ替え おむつを替えるときにかがみこむ姿勢になりますが、その際におなかの傷が痛みます。 しばらくは無理をせずに、家族に協力してもらいましょう。 抱っこ 抱っこをするときは腹筋を使うので、おなかの傷が痛みます。 無理せず、授乳クッションを使うなどしながら抱っこするといいでしょう。 沐浴 赤ちゃんを沐浴させるときに、お湯や着替えの準備、入浴、湯上りのおへその消毒や着替えなど、一連の流れをひとりで行うのはたいへんです。 おなかの痛みがあるうちは、無理をせず、家族と協力して行いましょう。 仕事が忙しいパパや同居している家族などがいなくて、周りの協力を得にくい場合は、国のガイドラインによって市区町村が行っている「産後ケア事業」を活用してみても。 主に助産師・保健師・看護師が行い、出産直後から産後4ヶ月を目安に受けることができます。 ・宿泊型…病院や診療所などに宿泊しながらケアを受ける ・アウトリーチ型…担当者と日程調整して、自分の家に来てもらう ・デイサービス型…病院や診療所に行ってケアを受ける 構成・取材・文/白木紀子 校正/主婦の友社.
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