目次 1. 歯科医師(歯医者)とは 歯科医師は、虫歯・歯周病の治療や、歯列の矯正、インプラント手術など、 口腔内における健康の管理を行います。 こういった歯科医業を行えるのは歯科医師のみと、歯科医師法によって定められています。 そのため一般的な内科医や外科医等とは違い、口腔内の治療に特化した医療職種といえるでしょう。 医学部を卒業した「医師」は、内科・外科・小児科・耳鼻科など様々な診療科目の選択肢がありますが、「歯科医師」には歯科の選択肢しかありません。 歯科医師の仕事内容 歯科医師の具体的な仕事内容として、歯の2大疾患と呼ばれる虫歯・歯周病に関する治療、入れ歯や差し歯の制作と装着、詰め物や被せ物、歯列の矯正や抜歯、治療にかかる保健指導や健康管理も行います。 そのほか、ホワイトニングをはじめとする審美領域やインプラント手術などの外科領域の処置も業務に含まれます。 またこれらの治療と並行し、正しいブラッシング方法の指導などのホームケア、そして予防のための定期検診なども歯科医師の重要な仕事です。 歯科医師の年収(給料) 3-1. 開業医と勤務医、それぞれの年収 歯科医師とひとくちに言っても、開業医と勤務医では平均年収にも差が生まれます。 厚生労働省による(p28,273)では、それぞれ下記のように発表されました。 このように、開業医の実質的な収入は約1,200万円となります。 しかし、開業医の収益調査の注釈には『開設者の報酬となる部分以外に、建物、設備について現存物の価値以上の改善を行うための内部資金に充てられることが考えられる』とあり、収益差額の全てが直接的な収入となるわけではないので注意が必要です。 また以前インタビューをした、自費診療専門の歯科医院に勤務していたSさんは月収100万~200万円を得ていました。 内訳としては最低保証給が30万円で、プラス歩合給というかたち。 月によって振れ幅もありますが、勤務医の平均を大きく上回っています。 歯科技術に自信がある方は、こういった歩合制の給与形態も選択肢に入れてみてもいいかもしれません。 ジョブメドレーに掲載中求人の平均月給 では、ここでジョブメドレーに掲載中求人(2019年6月末時点)の月給と時給を見てみましょう。 正職員、契約職員、パート(非常勤)の各雇用形態の平均給与下限と平均給与上限を算出しました。 歯科医師になるには 歯科医師は国家資格となっており、国家試験を受験するためには6年生の歯科大学や歯学部で必要なカリキュラムを修める必要があります。 なので、まずは歯科大学へ入学することが必要です。 そのほか、国家試験の受験資格には以下のものもあります。 ・歯科医師国家試験予備試験に合格し、合格後1年以上の診療および口腔衛生における実地修練を行った者 ・外国の歯科養成校を卒業、または外国の相当する免許を取得し、その他条件と同等以上の学力や技術を所有していると厚生労働大臣に認められた者 しかし、上記のどちらも海外での歯科医師学校の卒業もしくは歯科医師免許取得を前提としたものなので、基本的には「歯科大学・歯学部の卒業」というルートになります。 point また注意したいのが、合格したからといってすぐに歯科医師として働き始められるわけではないことです。 合格後、指定された研究施設や歯科診療所で1年以上の臨床研修を受けることでようやく歯科医師として働くことができます。 歯科医師の国家試験 5-1. 国家試験の概要 2020年2月1日、2日に実施された第113回歯科医師国家試験は、一般問題が1問1点、臨床実地問題が1問3点という構成でした。 合格基準は以下の通り。 5-2. 国家試験の合格率等 第113回歯科医師国家試験の合格者数および合格率は下記の結果でした。 合格発表:2020年3月16日 受験者数:3,211人(1,995人) 合格者数:2,107人(1,583人) 合格率: 65. なお、近年の歯科医師国家試験の合格率と合格者数は下記グラフのとおり推移しています。 これは2006年に厚生労働省と文部科学省の取り交わしにより、歯学部の定員数の削減や、国家試験の合格基準の見直しが実施された結果といえます。 それにより国家試験の難易度が上がり、合格率が2014年から60%台に下がり推移しているのです。 この政策の背景には、歯科医師の需給問題があります。 1960年中期、欧米文化の流入による生活環境や食生活の大きな変化により、虫歯患者が急激に増加し歯科医師不足が問題となりました。 政府はその対策として歯科大学・歯学部の増設を図り、結果として医師不足は解消されて目標は達成されました。 しかし、一転して今度は歯科医師の過剰供給が問題となってきてしまったのです。 歯科医師の働く場所 6-1. また、前項であげた国家試験合格者数の減少などを背景として、歯科医師の平均年齢は高くなってきています。 歯科クリニックで従事する歯科医師も例外ではなく、2016年時点の平均年齢は52. 9歳となっています。 最初の2年半は一般的な歯科医院で働いていたんですけど、わたしは口腔内に銀歯を入れることに抵抗があったんです。 やはり見た目もあまり綺麗ではないし、歯のクリーニング中、銀歯によって歯が黒ずんでしまっているところも目にしていたので、「患者さんにとってベストな治療ができていないな」という思いがありました。 なので、銀歯をセラミックなどに変えるメタルフリーの治療を行なっている自費診療の歯科医院の常勤になり、患者様一人ひとりにじっくりと向き合い、時間をかけて全顎的に治療をしていました。 結果、患者様も見た目が綺麗になったという変化をとても喜んでくれ、今では家族のようにお付き合いさせていただいている方もいるんです。 から一部抜粋 キッズデンタルパーク院長 後藤沢子さん 子どもの成長にかかわれるのが小児歯科のよいところ。 最初は慣れなくても心を開いてくれる瞬間があり、それがとてもうれしいですね。 またこのあいだまではできなかったことが今はできるようになった、という感慨を覚えることも多く、大きな喜びになっています。 歯科医師の将来性 現状、歯科医師および歯科診療所の数は過剰供給状態だともいわれています。 以前編集部が行った調査では、歯科医院の数はコンビニよりも多いという結果も出ており、「このまま歯科医師が増え続けても大丈夫なの?」と、心配に思う方も多くいるかもれません。 参照: ですが、厚生労働省の医療施設動態調査によると、歯科診療所数はここ10年ほぼ横ばい状態です。 また国家試験の合格者数は年々減り、『7. 歯科医師の働く場所』でも触れたとおり歯科医師の平均年齢は上がり続けています。 これらの要因から、現場では歯科医師が不足し、就職に関しては売り手市場となる一方で、歯科診療所の経営者は採用困難な時代となりそうです。 最後に いま日本においては「歯科医師数は過剰」という認識が広まりつつあります。 しかし一概には、そういえないかもしれません。 2016年時点での歯科医師の年齢分布は下記グラフのようになっており、50歳~59歳が最も多い層となっています。 つまり、このままいくと2025年~2030年頃にはこの層が大量に引退すると予測され、特に地方自治体では歯科医師不足となることもあり得ます。 また、かつては「虫歯治療のための歯科医師」というニーズが高かったとみられます。 しかし、今後はインプラントやホワイトニングなどの自由診療のニーズ、加えて高齢者の増加による訪問歯科のニーズが増えていくと予想されています。 歯科医師としては、こうしたニーズを捉え、時代の潮流に乗っていくことが重要なポイントとなりそうです。
次のContents• 基本統計調査の平均年収は意味がない 厚生労働省の基本統計調査で歯科医師の平均年収は734万円(平成26年)と発表されました。 しかし、これを基準に自分高いか低いか、平均より上か下かを判断しても実は全く意味がありません。 というのは勤務医と開業医では年収734万円といっても全く違います。 勤務医の場合は比較的分かりやすく平均月収60万円程度がその年収です。 しかし開業医の場合、個人であれば売上から諸々の経費を差し引いた分、つまり確定申告する個人収入が734万円です。 そして、そこから開業時に借り入れた医院の返済があり実際にはもっと低い収入になります。 また、開業医でも医療法人になれば、院長収入と医院利益が明確に分かれており、院長収入を上げれば医院利益は減るし、その逆もしかりです。 例えば、 「院長収入+医院利益」が3,000万円の場合、1,500万円ずつにするのか2,000万円+1,000万円でそれぞれを分けるのかで院長の年収はあっという間に500万円くらい変わってしまうためです。 このように平均年収という統計はあいまいなものにりがちです。 売上1億円医院の歯科院長の年収はいくらなのか? 平均年収の統計があいまいなのは分かったが、売上1億円医院の 「院長収入+医院利益」は一体いくらぐらいになるのか? は知りたいところだと思います。 というのは開業する歯科医師にとって「売上1億円は成功ライン」とよく言われていますが、実際そうなのでしょうか? ユメオカのクライアントの多くは1億円を超えている院長ですが彼らの中で「自分が成功している」と思っている人は1人もいません。 その理由も1億円医院の修正が分かると理解できます。 前出のように医院利益をいくらにするかで院長収入は操作できますが、「院長収入+医院利益」は操作できません。 そこでこの「院長収入+医院利益」は、売上1億円になるといくらになるのかを説明していきます。 売上1億円医院のモデルケース 医療法人で売上1億円医院の平均的なモデルケースを示します。 ユニット5台で、歯科医師2人(院長含む)、歯科衛生士5人(内パート2人)、歯科助手&受付4人という構成です。 売上1億円の医院収支 医院収支はこちらの「 お金のブロックパズル(丹羽のビジネスパートナーの和仁達也氏が開発)」をご覧ください。 これは医院のお金の入と出を 図で表したものです。 医院売上1億円の内訳 この医院の売上1億円の内訳は自費が2,500万円です、つまり自費率25%です。 1ケ月200万円強は自費になる医院のため、インプラントや歯周外科などの単価の高い自費が一定額ある医院といえます。 粗利と固定費 粗利が8,500万円で粗利率が85%と一般の歯科医院より高めです(材料や技工代の割合が低い)。 この理由は売上が高い、自費が高いというわけではなくリコール率が高いため、相対的に材料や技工料が低くなっているためです。 次に固定費が8,000万円あります。 院長収入が2,000万円、スタッフ給与&賞与が合計3,000万円で人件費合計が5,000万円です。 また人件費以外のその他の固定費(設備、家賃、旅費、水道、広告、研修費など)が3,000万円です。 そして「院長収入+医院利益」は図の 赤文字の2つを足して2,500万円(2,000万円+500万円)です。 そのため院長収入を1,500万円、医院利益を1,000万円に分けてもいいのですが、ここでは前者のようにしています。 一般に医院利益は返済金額から逆算して、決めることが多いです。 そのため開業間もないころは医院利益の割合が高く、返済が少なくなってくるとその割合が低くなるという具合にです。 つまり 売上1億円医院の院長年収は2,000万円です。 それでも医院利益は500万円は残っているため、年収2,000万円が高すぎるというわけではありません。 もちろん、開業資金が多く必要になり、返済がとても多い場合、院長年収2,000万円は高すぎると判断できます。 このように売上1億円は医院にとっても院長個人にとっても決して安心できるレベルではありません。 そして、売上1億円は[成功ライン]ではなく [スタートライン]と言えるでしょう。
次の歯科医師は多い多いと聞いてると思いますが、実際どのくらいなのでしょうか? 現在歯科医師数は約102551人、2030年には13万5000人になると予測されています。 歯科医院の数も2010年には7万件、 2030年には8万件以上になると予測されています。 かなり増えていますよね。 歯科医院数が 1. 2倍近くになります。 プラスで深刻な問題が実はあります!それは 人口のピークが2010年ぐらいだということです。 少子高齢化と言う言葉をよく聞くと思いますが、子供が少なくて高齢者が多い現象のことでこれは人口減を示しています。 歯科界は 二重苦の状態であると言えます。 それに人口が減少が加わります。 両方、掛け合わせて 約25%のダウンとなります。 2010年の歯科医院は68167件、よくコンビニより多いと言われるがコンビニは42865件。 少し多いどころの騒ぎではなく、実際に1. 6倍も多いのです。 2010年の歯科医院は68167件、よくコンビニより多いと言われるがコンビニは42865件。 少し多いどころの騒ぎではなく、実際に1. 6倍も多いのです。 歯科白書という、歯科医師会が発行している本からの抜粋です。 開業歯科医を5ブロックに分けたときの月収平均です。 (2007年) 0~20% ----- 15,7万円 20~40% ----- 76,3万円 40~60% ----- 109,9万円 60~80% ----- 153,0万円 80~100% ----- 260,9万円 真ん中で109,9万ですが、実際の人数的なボリュームを表す、 中央値では103万円です。 年収で約1200万円。 かなり高年収ですね。 しかし場所によってはかなり厳しい現状もあり、地方で歯科医師が過剰な地域などでは開業医の 年収500万をきる地域もあります。 たとえ年収1200万だからといて安心してはいけない現状が実はあります。 開業資金に 平均4000~5000万かかっています。 会社員の方は0円です。 でも私たちは初めに莫大な資金を投資する必要があります。 またあなたが家を買ったり車をローンで買うのであれば、クリニックの開業資金を含めて、 1億越えの金額の借金をすることになるのは覚悟してください。 なんにしても、莫大な借金をした上で成り立っているものであり、当然その4000~5000万のお金をしっかり返済しないといけないのです。 年収1200万と言ってもそれほど楽ではないですよね。 ご自身で 試算してみて下さい。 5000万を金利等を考えずに単純に10年で割ると毎年の支払いが500万です。 患者さん数が25%減なので、75%になっているということです。 75 = 年収900万 実はここはそんな単純に計算できないのです。 理由は固定費と変動費があるからです。 固定費とは医業収入に関係なく、常に一定でかかる費用です。 歯科では、家賃 電気 水道 HPの維持費 などなど、衛生士や助手なども患者さん数が減ったから常勤から非常勤とか人数を減らすなどしなければ 固定費です。 変動費とは、医業収入に連動して増減する費用です。 歯科では、技工料や各種材料費などです。 ですので、患者さん数が減って、医業収入が減ったからと言って すべての経費が減るわけではないので、実際の収入としては25%などではなくもっともっと減ってしまうのです。 ちなみに、もちろん退職金もありません。 会社員であれば2000~3000万の退職金があったりしますが当然、開業したら一切ありません。 細かい計算は抜きに大雑把に書いている部分もありますが、認識として若い先生ほど知っておいて欲しいことだと思っております。 開業してこんなんじゃなかったと後悔しても、 人生のやり直しはできません。 だからこそ、周囲の人や一部の意見だけを鵜呑みにするのではなく 統計や一般的な予測を基にした正しい認識をすることが本当に大切だと思います。 あなたの知り合いの上の先生が『しっかりやれば開業したってぜんぜん大丈夫だよ!』とか『良い場所見つければ大丈夫だよ!』確かにその先生は大丈夫だったかもしれませんがあなたが大丈夫な確証は全くありません。 将来、あなたの肩に家族の人生が大きくかかっているかもしれません。 ぜひ現実を直視しつつ、でも不安がらずに実力をつけることに注力して若いうちから成長していって欲しいなと思います。 先ほどのデータでも分かるように、開業して上手くいってる先生もたくさんいます。 あとは、 あなたが将来にどのグループに入るかが重要です。 卒業後に、毎日、診療後に残って夜遅くまで形成の練習したり、休みの日に何日も時間やお金をかけてセミナーに通っていたり、 そんな風に真面目に歯科の知識と技術の研鑽をした先生たちにこそ開業して上手くいって欲しいと思っています。 『真面目にやっているけど、開業して上手く為にはどうすれば良いのか分からない。 』そんな 悩みがもしあれば、日坂会のクリニックを見学に来てみてはどうでしょうか。
次の