マネー ローン ダリング 及び テロ 資金 供与 対策 に関する ガイドライン。 マネー・ローンダリングとはどのような行為か

「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の現状と課題」(2019年9月)の公表について:金融庁

マネー ローン ダリング 及び テロ 資金 供与 対策 に関する ガイドライン

)の対策の重要性が一層高まっていることに加え、短期的には、マネロン・テロ資金供与対策の国際機関である金融活動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)による第4次対日審査が2019年に予定されており、対策の実効性(Effectiveness)が審査項目となることを見据えていると考えられる。 リスクベース・アプローチによる実効的対策の強化 マネロン・テロ資金供与への対策手法として、法定手続を履践する対応にとどまりやすいルールベース・アプローチのみによるのではなく、犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「犯収法」という。 )にも現れるリスクベース・アプローチ(規制の対象者がリスクを把握し、リスクに応じた措置を講じる手法。 下記「参照。 )による実効的な対策がとられるよう、リスクベース・アプローチの具体的な考え方や講ずべき措置を提示し、各金融機関に一層の対策強化を促すことが、マネロン対策ガイドラインのねらいと考えられる。 マネロン対策ガイドラインの適用対象 金融庁所管の特定事業者 マネロン対策ガイドラインは、犯収法の特定事業者(犯収法第2条第2項各号)のうち、金融庁所管の事業者(但し、同項第46号の公認会計士および監査法人は含まない。 )を対象としている(マネロン対策ガイドラインI-4)。 地域金融機関を含む、銀行、保険会社、金融商品取引業者、貸金業者などが対象となる。 グループ全体での整合的な対策 ファイナンスリース会社(犯収法第2条第2項第38号)、クレジットカード会社(同項第39号)などは金融庁所管の事業者ではなくマネロン対策ガイドラインの直接の対象には含まれない。 もっとも、マネロン対策ガイドラインでは、グループ全体に整合的な形での、マネロン・テロ資金供与に関する対策の実施が必要とされていることから(マネロン対策ガイドラインIII-4)、これらの金融庁所管の事業者ではなくても金融庁所管の事業者のグループ会社であることにより、グループ管理の一環としてマネロン対策ガイドラインに沿った対応が必要となる場合がありうる。 マネロン対策ガイドラインの拘束力 監督項目としての位置づけ 金融庁は、マネロン対策ガイドラインを踏まえたマネロン・テロ資金供与対策の対応状況を金融庁による監督項目と位置づけている(マネロン対策ガイドラインI-4)。 また、マネロン対策ガイドラインの施行と同時に、金融庁は各金融機関向けの監督指針および事務ガイドラインも改正し、マネロン対策ガイドラインに記載された措置の実施状況を各金融機関に対する監督項目とすることを明確化している。 行政対応 各金融機関におけるマネロン対策ガイドラインを踏まえた対応が不十分であって、マネロン・テロ資金供与に関する管理態勢に問題があると判断される場合には、それぞれ適用ある規制業法(銀行法、保険業法、金融商品取引法など)に基づく行政対応(報告徴求、業務改善命令、業務停止命令など)の対象となり得る(マネロン対策ガイドラインI-4)。 各金融機関においては、この点を踏まえ、マネロン対策ガイドラインについて事実上の強制力を有する規範として対応すべきといえる。 基本的考え方、金融庁によるモニタリング等 このほか、マネロン・テロ資金供与対策に関する基本的な考え方を示す(マネロン対策ガイドライン「I 基本的考え方」)とともに、金融庁および業界団体がマネロン・テロ資金供与対策の強化のため今後実施すべき施策にも触れている(マネロン対策ガイドライン「IV 金融庁によるモニタリング等」)。 また、一部項目では、「先進的な取組み事例」として、マネロン・テロ資金供与対策の優良事例を提供している。 各金融機関においては、各項目の「対応が求められる事項」の対応に不足がある場合には行政対応の対象となりうること(マネロン対策ガイドラインI-4)を踏まえて、各社における対策を確認し、実施すべきである。 」としている(マネロン対策ガイドラインII-1)。 リスクの特定・評価 各金融機関のマネロン・テロ資金供与に関するリスクの内容・程度は、業務規模、取扱商品の内容、顧客の属性、海外取引の有無、取引地域などにより区々であり、まずは各金融機関自身が自らの直面するリスクを把握することが対策の出発点となる。 具体的には、「II-2 1 リスクの特定」および「II-2 2 リスクの評価」の項目において上記諸要素をリスク把握にあたって考慮するなどの留意点が示されている。 リスクの低減措置 各金融機関が把握したマネロン・テロ資金供与のリスクに応じて、リスクの低減措置をとることが、「マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の実効性を決定付けるもの」とされている(マネロン対策ガイドラインII-3 3 i )。 具体的な措置は以下の項目に分けて内容が詳述されている(括弧内はマネロン対策ガイドラインの項目番号)。 (a)顧客管理(カスタマー・デュー・ディリジェンス:CDD))(II-3 3 ii ) リスク低減措置の中核的項目である。 (b)取引モニタリング・フィルタリング(II-3 3 iii ) 個々の顧客に着目した顧客管理に加えて、個々の取引に着目した取引モニタリング(異常取引の検知)、フィルタリング(制裁対象取引の検知)を行うことが求められている。 (c)記録の保存(II-3 3 iv ) マネロン・テロ資金供与対策に必要な記録の保存が求められている。 (d)疑わしい取引の届出(II-3 3 v ) 疑わしい取引の届出の要否について、保有情報を総合して、適切な監視、検知、分析、判断、届出が行われる態勢の構築などが求められている。 (e)ITシステムの活用(II-3 3 vi ) 業務規模、特性等に応じたITシステムの早期導入の必要性を検討したうえで、システム対応においては、情報の集約管理・分析、取引検知などを行うことが求められている。 (f)データ管理(データ・ガバナンス)(II-3 3 vii ) 正確なデータの保存、整理が求められている。 これらのリスクの低減措置を講ずるにあたっては、把握したリスクの程度に応じた措置をとることが特に指摘されている。 例えば、マネロン・テロ資金供与リスクが高い顧客については、厳格な顧客管理(顧客・取引に関する追加情報の入手、上級管理職による取引実施の承認、取引モニタリング時の敷居値の強化など)を行う一方、そのリスクが低い場合には適用法令の範囲で取引モニタリングの敷居値の緩和をするなどの簡素な顧客管理が許容されることが示されている。 海外送金等、FinTech等の活用 このほか、マネロン・テロ資金供与のリスクが高まる海外送金等を行う場合の留意点(マネロン対策ガイドラインII-2 4 )、AI(人工知能)やブロックチェーンなどの新技術利用の観点からのFinTech等の活用(マネロン対策ガイドラインII-2- 5 )にも触れられている。 具体的には以下の項目に分けて内容が詳述されている(括弧内はマネロン対策ガイドラインの項目番号)。 (c)経営管理(三つの防衛線等)(III-3) 営業部門(第一線)はマネロン・テロ資金供与のリスクに最初に直面し防止する役割を担い、管理部門(コンプライアンス部門、リスク管理部門など。 第二線)は営業部門を牽制するとともに支援をする役割を担い、内部監査部門(第三線)は営業部門・管理部門とは独立の立場からマネロン・テロ資金供与対策の検証を担うとの役割および責任の分担を行い、組織的なマネロン・テロ資金供与の対策を行うことが求められている。 (d)グループベースの管理態勢(III-4) 海外拠点を含むグループ全体として一貫したマネロン・テロ資金供与対策が求められている。 マネロン・テロ資金供与の対策の態勢整備の項目では、マネロン・テロ資金供与対策はコンプライアンス部門の管理のもと法定手続を履践するだけで足りるものではなく、各金融機関が会社全体で取り組むべき経営課題であるとの視点が打ち出されている。 たとえば、全社員への意識づけ、社内資源の分配などの観点から経営陣の主体的・積極的な関与が不可欠であるとするとともに(I-2 2 、III-2)、三つの防衛線の理論を紹介し営業部門も含め各部門がそれぞれにマネロン・テロ資金供与対策の役割を担い全社的に対策に取り組むこと(III-4)が求められている。 まとめ マネロン・テロ資金供与の手口は、高度化、複雑化、国際化を続けており、各金融機関における継続的な対策強化は不可欠な状況となっている。 各金融機関としては、マネロン対策ガイドラインの内容を十分に吟味したうえで、それぞれ適切な対応策をとることが求められよう。

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定款・諸規則

マネー ローン ダリング 及び テロ 資金 供与 対策 に関する ガイドライン

犯収法におけるリスクベース・アプローチに係る規定の導入• 特定事業者による疑わしい取引の届出の要否の判断は、当該取引に係る取引時確認の結果、当該取引の態様その他の事情のほか、犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して行わなければならない(犯収法第8条第2項)。 高リスク取引(注)については、疑わしい取引の届出の要否の判断に際して統括管理者による確認等の厳格な手続を行わなければならない(犯収法第8条第2項、同法施行規則第27 条第3号)。 特定事業者は、犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、以下の措置を講ずるように努めなければならない(犯収法第11 条第4号、同法施行規則第32 条第1項)。 自らが行う取引について調査・分析した上で、その結果を記載した書面等(特定事業者作成書面等)を作成し、必要に応じて見直し、必要な変更を行うこと• 特定事業者作成書面等の内容を勘案し、必要な情報を収集・分析すること、並びに保存している確認記録及び取引記録等を継続的に精査すること• 高リスク取引(注)を行う際には、統括管理者が承認を行い、また、情報の収集・分析を行った結果を記載した書面等を作成し、確認記録又は取引記録等と共に保存すること• 必要な能力を有する従業員を採用するために必要な措置を講ずること• 犯収法4条2項において、厳格な取引時確認が求められる特定取引として「なりすましのおそれがある場合・契約時確認事項を偽っているおそれがある場合」、「イラン・北朝鮮の居住者との間の特定取引」、「外国PEPsとの間の特定取引」が定められていますが、法律上はこれ以外の取引について厳格な取引時確認を求めていません。 これらの取引については、たとえ、 リスク低減措置を講じても依然として厳格な取引時確認が必要とされています。 たとえば、統括管理者(上級管理者)の承認は、リスク低減措置の一環です(犯収法施行規則32条1項4号)が、犯収法4条2項の厳格な取引時確認を行う必要がある取引については統括管理者の承認があっても依然として厳格な取引時確認が必要となっています。

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金融庁「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を踏まえた普通預金規定・参考例について

マネー ローン ダリング 及び テロ 資金 供与 対策 に関する ガイドライン

マネー・ローンダリングとは 「 マネー・ローンダリング」( money laundering)とは、日本語に訳すと「 資金洗浄」のことです。 犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者がわからないようにして、警察などの捜査機関による発見・検挙を免れようとする行為のことをいいます。 たとえば、違法賭博や売春、そして振り込め詐欺などの犯罪行為で獲得した経済的利益を、犯罪者がそのまま使えば足がつくおそれがあり、そのままの状態では自由に使うことができません。 このため、このような「汚れたお金」を、何らかの方法により、表の世界で堂々と使うことができる「きれいなお金」にする必要があります(その一部は再び犯罪行為の資金に用いられます)。 そこで、送金や両替などの金融取引、商取引、クレジットカード取引などを経由することにより、資金の出所をあやふやにして「資金」を「洗浄」する行為が行われます。 これが「マネー・ローンダリング」です。 マネー・ローンダリングとは 出典:警察庁刑事局組織犯罪対策部「 」 (平成22年2月5日)を参考に筆者作成 マネー・ローンダリングのプロセス マネー・ローンダリングのプロセスには「 プレースメント」( placement)、「 レイヤリング」( layering)、「 インテグレーション」( integration)という共通点があります。 「 プレースメント」とは、 犯罪によって得たお金(犯罪収益)を金融システムや合法的な商取引の流れに取り込むプロセスのことです。 たとえば、銀行の偽名・架空名義の口座に犯罪収益である現金を入金する方法のことです。 「プレースメント」の手続の中で、 現金を小口に分けることにより、本人確認を避けるような手法を「 ストラクチャリング」といいます。 「 レイヤリング」とは、 金融システムに取り込まれた犯罪収益を、その出所を分からなくするためのプロセスです。 たとえば、銀行の預金口座から複雑な送金取引を繰り返すような場合です。 「 インテグレーション」とは、 出所を分からなくした犯罪収益を、合法的なビジネスによる収益であるかのように偽装することにより、再び表の経済に「統合」させるプロセスです。 これにより、犯罪収益を表の世界で利用したり、再び犯罪の資金源としたりすることが可能となります。 プレースメント 犯罪収益を金融システムに取り込むプロセス レイヤリング 金融システムに取り込まれた犯罪収益を隠匿するプロセス インテグレーション 隠匿した犯罪収益を合法的に利用するプロセス 「振り込め詐欺」においては、犯罪行為がそのまま、資金の隠匿につながるので、「プレースメント」と「レイヤリング」が同時に行われることになります。

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