〈「なぜ彼女は独りでいたのか? 」「あんなに短いシャツを着て」 彼らは言った。 「男の子なんだからしょうがない」。 親友からレイプ被害を告白された体験を元に書かれたこの楽曲は、レイプ加害者よりも被害者ばかりが責め立てられる〈ヴィクティム・ブレーミング〉や〈セカンドレイプ〉といった二次被害の問題を痛烈に射抜き、ステラの寄り添うような優しいギターの音色と歌声も相まって、図らずも〈 MeToo〉時代を象徴するアンセムとなった。 どんなウソも見透かされてしまいそうなビッグ・アイと、誰もが恋に落ちてしまう人懐っこいキャラクター、そして優れた洞察力でダメ男や現代社会に切り込むソングライティング。 彼女の言葉と音楽はいま、世界中のリスナーから共感を呼んでいる。 この度、デビュー・アルバム『Beware Of The Dogs』をリリースしたステラ。 夏には早くも〈フジロック〉出演のため初来日も決まっているオーストラリア生まれの才媛が、なぜ人々にとって特別なシンガー・ソングライターとなりつつあるのか? その秘密に迫ってみよう。 ハイヒールやドレスを強要され憤慨していたアマチュア時代 ステラ・ドネリーは、オーストラリア人の父親とウェールズ人の母親のもとに生まれ育ち、テーム・インパラを輩出したことでも知られるオーストラリア最西端の州都パースを拠点とする26歳。 ハイスクール時代にはグリーン・デイのナンバーを歌っていたそうで、後に西オーストラリア・パフォーミングアート・アカデミーに進学し、ジャズやコンテンポラリー・アートを学んだ経歴がある。 大学中退後は、カヴァー・バンドの一員として結婚式や製薬会社の表彰パーティーなどで演奏。 だが、紅一点だからとハイヒールやドレスで着飾ることを強要され、酔っぱらいにセクハラまがいの発言をされることもあったそうで、男女の格差や不平等に憤りを感じていたという。 件のバンドを辞めた後は、バーで働く傍ら地元のガレージ・パンク集団=ボート・ショウや、3人の女友達と結成したグランジ・ポップ・バンド=などの一員としてギターを担当。 ベルス・ラピッズとしての活動は開店休業状態のようだが、ヴォーカルのはでも名前の挙がっていた人物で、ステラに続いて2018年にソロ・デビューを飾ったばかりなのでチェックしてみてほしい。 エンジェル・オルセンに憧れ、やがて〈自分が本当に伝えたいことを歌う〉ためにペンを取ったステラは、2017年4月にローファイな手触りを残した5曲入りのデビューEP『Thrush Metal』を発表。 アディダスのキャップを被った女の子=ステラが、口いっぱいにスパゲッティ(焼きそばかも? )を頬張るジャケ写もインパクト絶大で、ここ日本でも多くのリスナーが年間ベストに選んでいたことは記憶に新しい。 ちなみに、タイトルはあの〈スラッシュ・メタル〉の〈Thrash〉ではなく、スペル違いの〈Thrush(鳥類のツグミ)〉なのでお間違えなきよう。 2万5千豪ドルの賞金とリーバイスからの支援を満場一致で勝ち取っている。 彼女の他には同じ豪州から、ローリング・ブラックアウツ・コースタル・フィーヴァー、ハッチーらも受賞しており、かなり信頼の置けるアワードと言えそうだ。 そのタイミングは、2017年10月のハーヴェイ・ワインスタイン事件と完璧に符号しており、を11月4日にアップすると、ストリーミング再生数が急上昇。 このメッセージに込められた〈男の子と男性〉が、単純に〈息子と父親〉なのか、〈弟と兄〉なのか、あるいは〈歳の離れた友達同士〉なのか、はたまたレイプ加害者になり得る男性の精神年齢の低さを揶揄しているのかは不明だが、そこまで追求するのは野暮というものだろう。 ステラは男性をいたずらに攻撃することやフェミニストを気取りたいのではなく、ただ純粋に〈より良い世界になること〉を願っているひとりの女性なのだ。 何かを成し遂げるのに年齢も性別も関係ない! そして、先日リリースされたステラの記念すべきデビュー・アルバムが『Beware Of The Dogs』だ。 それもあってかすごくアットホームな雰囲気があり、彼女のはち切れんばかりの魅力が詰まった作品に仕上がっている。 〈ああ、あなたは私が怖いの、おじいさん? /それとも、私がしようとしていることを恐れているの? 〉と吹き出しながら〈Leave It Alone(ほっといてよ! )〉と繰り返すコーラスがたまらなく愛おしい。 この楽曲については、ステラと男性(ストーカー? ちなみに、フォトグラファー/映像作家のニック・マックと連名で監督を務めているのは、なんと同郷シドニーのシンガー・ソングライターであるジュリア・ジャックリン。 ステラの2つ歳上にあたるジュリアだが、コートニー・バーネットが自身のレーベル、ミルク! の所属アーティストたちのMVにカメオ出演しているように、オーストラリアのアーティストは損得勘定抜きでお互いをサポートし合う国民性があるのだろう。 ステラもコートニーもアレックスもジュリアも、みんな20代半ば〜後半にブレイクを果たした〈遅咲き〉という共通点もあり、彼女たちの活躍を見ていると、〈何かを成し遂げるのに性別も年齢も関係ない〉と勇気を与えてもらえるのは筆者だけじゃないはずだ。 *** 人工妊娠中絶や同性婚の合法化(後者は2017年12月に認められた)の整備が不十分であるため、女性/マイノリティーの社会進出や政治面で世界に遅れを取っていると言われるオーストラリア。 しかし、ステラはで〈この国のアイデンティティーには幻滅している〉と前置きしたうえで、このように語っていた。 〈でも、みんなの声は日に日に大きくなっているし、誰にも止められない。 社会は変わる/変えられるんだという『目に見えない自信』があるの〉と。 ステラ・ドネリーの歌を聴くこと。 それは、彼女が願う〈より良い世界〉に近づくための第一歩なのかもしれない。
次のStella Donnelly(ステラ・ドネリー)は女性シンガーソングライターです。 1992年4月10日生まれ、オーストラリア出身です。 キュートな容姿からは想像できないような、社会派で多くの人の胸に突き刺さるような作風が特徴的です。 SNSにおける MeTooのアンセムとも言うべき「Boys Will Be Boys」は、ステラ・ドネリーの代表曲のひとつとして世界的に知られるところとなりました。 オーストラリア国内では大きな話題となっており、SNSを通して国内外でも人気が高まっています。 日本には2019年のフジロックフェスティバルで初来日を果たし、同年12月には初の単独公演を渋谷CLUB QUATTRO、梅田SHANGRI-LA、代官山UNITで開催します。 Stella Donnelly(ステラ・ドネリー)はオーストラリア・パース出身のシンガーソングライターです。 所属レーベルはUSインディの名門、シークレットリー・カナディアンです。 高校時代にはグリーン・デイのカバーなどを歌い、西オーストラリア・パフォーミングアート・アカデミーに進学してからはジャズやコンテンポラリー・アートを学びました。 その後、友人らとグランジ・ポップバンドのベルス・ラピッズを結成し、ギタリストとして活躍。 2017年、ソロ作品として初のEP「スラッシュ・メタル」をリリースしました。 同EPに収録されている「Boys Will Be Boys」が世界的に注目を集めtたことが、ブレイクのきっかけです。 2019年3月8日にデデビューアルバム「ビウェア・オブ・ザ・ドッグス」をリリースしました。
次のステラが通うオーストラリアの高校では、米ロックバンド「グリーン・デイ」の曲を自身のバンドで歌っていました。 その後、西オーストラリア・パフォーミングアート・アカデミーで学びながら、次第に興味関心はジャスや現代音楽に移っていきました。 ステラが歌うグリーン・デイ、いつか聴いてみたいですね(個人的にGood Riddanceを引き語りしてほしい... 僕もグリーンデイを聴いて育ちました)。 彼女が宿すパンク精神は、グリーン・ディの影響なのでしょうか。 ちなみに西オーストラリア・パフォーミングアート・アカデミー(エディスコーワン大学内のスクール)は世界を牽引する芸能スクールであり、俳優ヒュー・ジャックマンを輩出しています。 バンドとしても活躍 彼女はすでにいくつかのフェスに出場しています。 BIGSOUNDはブリスベンで開かれる音楽フェス。 その記念すべき第1回目はステラ・ドネリーがなんと受賞!世界に名を広めるきっかけになりました。 まるでハリー・ポッターのクィディッチの試合のようだったと表現しています。 その後、USツアーとSXSW出演(米テキサス州の大型フェス)を経て、アメリカのレコードレーベル「Secretly Canadian」と契約に至りました! 5. 「スラッシュメタル」の意味は?ジャケットの写真は誰? 曲はアコースティックの引き語りなのに、なんとEPタイトルは「Thrush Metal(スラッシュメタル)」。 気づいた方もいるかもしれませんが、スラッシュのスペルが、音楽ジャンル「Thrash Metal」とは異なります。 「Thrush」の意味は・・・調べてみてください。 ステラのユーモアを感じますね。 そしてジャケットは、女の子がヌードルを口からこぼしながら食べている、ちょっとお下品でインパクトのある写真。 実はステラ・ドネリー本人です! おばあちゃんは「スラッシュメタル」というタイトルと、ヌードルを食べるステラの写真を見て仰天してしまったそう。 ラブソングは1曲だけ(2018年時点) ステラ・ドネリーがライブで話していました。 かわいらしいルックスと曲調から優しくラブソングが多いのかと思いきや、愛について書いた曲はなんと1曲だけ。 それは「Mosquito」という曲。 これまで発売されたCDには収録されていません。 もしかすると今後のアルバムに収録されるのかもしれません。 上記の動画だと、25分〜で演奏しています。 歌詞にはちょっと気まずい言葉(vから始まるおもちゃ)が含まれていて、ステラはこの曲を歌うと「お母さん、ごめんなさい!」という気持ちになるとのこと。 他にも失恋ソングは2つあるそうですが、ステラの曲は人種差別や社会に対する怒りや思いを赤裸々に表現した曲の方が多めです。 おすすめ曲を紹介 ステラ・ドネリーの作品の中で、オススメ曲を紹介します。 「Boys Will Be Boys」 世界の歌姫シンディ・ローパーの名曲をカバーしています。 ライブでは色々とカバー曲を披露するみたいです。 ロンドンのライブでは「イギリスのローカルバンドの曲をカバーするよ。 知らなかったらググってね」と言い、みんな誰だろうと想像していたら・・・ 「それではビートルズの『Across the Universe』!! みんな知ってる?」と言ってロンドナーは大爆笑していました(笑)。 ロンドン公演でちょっと話してきました 終演後は、物販コーナーに登場。 僕も勇気を持って話しかけました。 「日本の大ファンです!」と伝えると「日本のどこからきたの?いつか日本でもライブしたいな」と話してくれました。 その場でレコードを購入すると、写真とサインを快く承諾してくれました!嬉しすぎです。 物販コーナーには、シンプルでかわいいデザインのTシャツも販売されていました。
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