以上を頭に入れた上で、敗血症とアナフィラキシーとで心拍出量がどのようになるか考えてみましょう。 敗血症で心拍出量はどうなるのか? 敗血症のメインの病態は末梢血管の拡張です。 末梢血管が拡張すると末梢血管抵抗が下がるのでそのままでは血圧は低下してしまいます。 それを防ぐために心拍出量は増大します。 アナフィラキシーで心拍出量はどうなるのか? 次にアナフィラキシーについて考えてみましょう。 アナフィラキシーはヒスタミンなど様々な化学物質が関与するとされます。 その結果、末梢血管は拡張します。 また、血管透過性が亢進し間質へ水分が漏れます。 さらに、冠動脈の攣縮などの原因で心収縮力は低下します。 よって、末梢血管抵抗が下がり血圧が下がるので心収縮力を上げたいが、心臓自体も影響を受けているので心拍出量を上げることができません。 血管透過性更新による静脈還流量の低下も影響しています。 脊損で傷害される神経は? 次に神経原性ショックについて考えてみましょう。 心臓に分布する交感神経と副交感神経の走行を確認してみてください。 こういう小さい確認の積み重ねが今後の伸びに大きく影響します。 上記から分かるように心臓に分布する副交感神経は脊髄を通りません。 ですので、脊髄が傷害されても副交感神経は傷害されません。 その結果、副交感神経優位になりショックになってしまうのです。
次の血液分布異常性ショックを知る 血液分布異常性ショックとは アナフィラキシーや、脊髄損傷、敗血症などで起こります。 ウォームショックとも呼ばれて、 蒼白にはならず、手足が温かいのが特徴です。 最終的には、手足も冷たいコールドショックになるのですが、 とりあえず初めは手足が温かいショックです。 スポンサード リンク 血液分布異常性ショックのメカニズム 何らかの原因で血管が拡張して血圧が下がります。 血液にあるはずの水分が 血管外に移動してしまうため、血液分布に問題が起きたショックです。 アナフィラキシーショックの場合、 蜂に刺されたり、食べ物を食べたり、吸い込んだり、 アレルギーによってヒスタミンなどの体内物質が 大量に増えて血管が拡張します。 ヒスタミンは気管の収縮も引き起こします。 一番怖いのが喉頭浮腫です。 喉頭浮腫になると気道がむくんで 閉塞してしまい、息ができなくなります。 アナフィラキシーショックで問題になるのは 血圧低下と 呼吸停止です。 炎症が起こると血管内の水分も血管外に 出ていってしまって、循環血液量が減って、 酸素を送る力が弱くなります。 さらに炎症によって体温も上昇し、 代謝が亢進し必要な酸素量が増えます。 そうなると嫌気性代謝によって 乳酸が作られ、身体はアシドーシスに傾きます。 そして頻呼吸になります。 脊髄には交感神経が通っていて、 副交感神経は脊髄ではないところを通っているので、 副交感神経が優位になって徐脈となります。 そうなると血管は拡張し、血圧は低下します。 最後まで読んでいただきありがとうございました。 スポンサード リンク.
次の敗血症は全ての病原体で起こりうるが、敗血症性ショックとなると、グラム陰性桿菌が起こしやすい。 原因 グラム陰性桿菌の毒素 エンドトキシンによるものが多い。 ペプチドグリカンに含まれるエンドトキシンとNOシンターゼ グラム陰性菌の細胞壁のペプチドグリカンにはエンドトキシンとNO synthase 一酸化窒素合成酵素 が存在する。 グラム陰性桿菌が破壊され、エンドトキシン、NOシンターゼが血中に放出される。 エンドトキシンは内毒素とも言われ、敗血症ショックの原因となる。 NOが産生されることにより、 総血管抵抗が低下し、全身の血管が拡張する。 末梢血管が拡張するため warm shock を呈する ショックは、通常、手指が冷たい 冷感。 これは循環不全が起き、末梢に血液を送れていないからである。 これに対し、敗血症性ショックの初期では、NO産生により末梢血管が拡張し、四肢が温かい。 触れると「温かい」ので、ほっとしてしまいそうだが、 安心してはいけない。 ショックと名が付いているのは、全身の循環不全を起こしているということだ。 本来血液を必要とするはずの臓器に血液を送れていない ショックとは、全身の循環不全状態のことである。 敗血症性ショックでは、NOの産生により末梢血管が開いてしまい、心臓に戻ってくる血液 VR: venous return が減少し、重要な臓器に血液を送れていない大変な事態だ。 一番怖いのは虚血に弱い脳だ。 脳が損傷を受ければ不可逆な後遺症を残しうる。 心拍出量が増加する 血圧をあげようと人体は働く。 血圧をあげるには心拍出量をあげるしか無い。 敗血症性ショックの初期では、それに伴い心拍出量は増加する。 輸液を開始するが血圧は上昇しない 血圧をあげるためには、細胞外液量をあげるのが定石だが、 輸液を行っても 敗血症性ショックでは血圧が上昇しきれない。 昇圧剤の投与 なんとかして、血管を収縮 血管抵抗を上昇 させなければならない。 そのため、昇圧剤として ドパミン、ノルアドレナリンなどが使用される。 敗血症との違いは? しっかりと敗血症ショックを理解するためには、敗血症を正しく抑える。 下のベン図で覚えること。 血液培養をして、菌体が確認されれば菌血症だが、SIRSをきたしていればそれは正しくは敗血症である。 SIRSをきたしているかに注目しよう。
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