プラスチック製ストロー廃止など、プラスチックごみを削減する試みは各国で進んでいる• そこには環境保護の意識だけでなく、プラスチックごみの「輸入」を中国が禁じたことへの警戒感をみてとれる• 日本ではこの動きへの反応が鈍いが、プラスチックごみの削減はグローバルな環境保護だけでなく、国土保全の観点からも緊急の課題である 7月9日、スターバックスが全世界の店舗でプラスチック製ストローの使用をやめると発表。 これと並行して、イギリスでは4月、アメリカのシアトル市では7月に、プラスチック製ストロー廃止の方針が打ち出された。 これに対して、日本の政府やの反応は全体的に鈍い。 各国でプラスチック製ストロー廃止が進む理由としては、海洋汚染の防止といった環境保護が取り上げられやすい。 しかし、この問題は、 プラスチックごみを処分できる土地がもはやなくなりつつあることにも関連する。 ストローにとどまらず、プラごみの問題がいまだに重視されない日本の状況は「最後の始末まで考える」という意識や戦略性の欠如を物語る。 世界のごみ捨て場 これまで世界では、とりわけ豊かな国が、環境保護の美辞麗句とは裏腹に、 貧しい国にごみを持ち出してきた。 環境規制の厳しい先進国では、ごみ処分にともなうコストも高くなりやすい。 これは安価にごみを引き取り、規制の緩い開発途上国に持ち出して処分する「ごみの輸出」を促す土壌になってきた。 なかでもプラスチックは、多くの素材以上にリサイクルのコストが高くなりやすい。 そのため、世界で回収されたプラスチックごみのしかリサイクルされていない。 日本の場合、慶応義塾大学の大久保敏弘教授らのチームによると、プラごみだけで年間分以上が輸出されている。 リサイクルされず、輸出されたプラごみの多くは、その他のごみと同じく、最終的に開発途上国で投棄されることになる。 開発途上国の郊外や貧困層の多く暮らす地域では、海外から運び込まれたごみがうず高く積み上がっている光景や、そのなかからまだ使えそうなものを拾い集める人々の姿が珍しくない。 これら世界のごみの多くを引き受けてきたのが中国だ。 によると、2016年段階で中国に持ち込まれたプラごみは730万トンに及び、これは世界全体の約56パーセントにのぼる。 国別でみると、大陸向けのプラごみは日本からのものが最も多いとみられ、それにアメリカ、タイ、ドイツが続く。 また、香港向けのものはアメリカ、日本、ドイツ、イギリスが目立つ。 「もうごみは受け入れない」 1980年代以来、中国は世界各国から廃棄物を輸入してきた。 それによって利益を得る業者がいるだけでなく、金属類などを工業製品の原料として再利用することも「ごみ輸入」の大きな目的だった。 しかし、近年では中国国内でもごみが急増しており、大気、水質、土壌の汚染の一因と考えられるようになった。 これに拍車をかけたのが「ごみ輸出国」の増加だ。 近年では、経済成長にともない、近隣の東南アジア諸国からもごみ輸出が急増。 例えば、インドネシアは年間のプラごみを生んでいる。 念のために補足すれば、中国は純粋な「ごみ輸入国」ではない。 香港に1年間に輸入されるプラごみは288万トンだが、輸出されるものは282万トンに及ぶ。 つまり、世界的なごみ流通網のなかで、香港は世界でも指折りの中継地になっている。 とはいえ、その一方で、「世界のごみ捨て場」としての中国のキャパシティが限界に近づいていることも確かだ。 その結果、2017年に 中国政府はプラスチックを含む24種類のごみの受け入れを年内一杯で禁止すると発表。 には、さらに16種類のごみの受け入れを2019年末までで禁止する方針を打ち出した。 このなかには鉱さい(鉱石から金属を製錬する際に分離する鉱物成分、スラグ)やポリエチレンなども含まれる。 ごみ輸出国への衝撃 「世界のごみ捨て場」をやめるという中国の方針を、は「我々が汚染を打ち負かすのを手助けする」と評価している。 その一方で、中国の決定はごみ輸出国に動揺をもたらした。 ごみの取り引きも一応「貿易」のカテゴリーに入るが、中国政府による輸入禁止は世界貿易機関(WTO)の手続きに沿ったもので、違法性もない。 そのため、外国が中国政府の決定を覆すことは不可能だ。 まして、さすがにどの国も「今まで通りごみを引き受けろ」とは言えない。 そのため、中国に代わる「世界のごみ捨て場」として、などのごみ処理場が活況を呈している。 しかし、先述のように、東南アジアの多くの国自身が、中国にごみを輸出してきた。 そのうえ、これらの国は中国よりはるかに面積が狭い。 したがって、これらの国のごみ処理場が遅かれ早かれ一杯になることは、容易に想像できる。 だとすれば、各国はこれまで以上にプラごみ削減に取り組まざるを得ない。 この背景のもと、冒頭でとりあげたストローだけでなく、プラごみ全体を減らす取り組みも表面化している。 では7月1日、スーパーなどでプラスチックのレジ袋が廃止された。 各国におけるプラごみ削減の動きは、環境への悪影響を中心に語られてきたが、 実際にはプラごみで自国があふれ返ることへの危機感も背後にあるとみてよいだろう。 「始末」への意識が低い日本 ところが、日本の反応はお世辞にも機敏といえない。 例えば、プラスチック製ストローの業界では「プラスチック製ストロー廃止の動きは一部の外資に限られており、」という考え方が支配的だ。 そこには、「欧米諸国ではプラスチック製ストローを埋め立てることが多いが、日本では焼却が中心であり、環境悪化につながっていない」といった主張がある。 さらに、プラスチックに代わって欧米で使用され始めている紙製ストローの品質の問題をあげ、「いずれプラスチック製に回帰する可能性もある」という楽観的な意見すらある。 プラごみに限らず、 日本では消費者の関心が高くないこともあり、関連業界の意見が環境対策やごみ対策を左右しやすい。 その一例としては、家電があげられる。 欧米諸国では、販売価格にリサイクル費用を上乗せして家電メーカー側に負担を求める前払い方式が主流だ。 これに対して、日本の家電リサイクル法では、家電メーカーから前払い方式への反対が相次いだことから、廃棄段階で消費者が費用を負担する後払い方式が採用されている。 後払い方式は家電の不法投棄の温床にもなっている。 家電の例でそうだったように、現状の日本政府は関連業界や景気への影響から、プラごみ削減に熱心と言いにくい。 では「循環型社会の形成」が謳われ、海洋汚染の観点から海洋ごみ対策に取り組むことや、容器包装に限ったプラごみのリサイクル率の高さが紹介されているものの、プラごみ全体の削減や、まして「ごみ輸出」に関しては触れられていない。 しかし、海外のごみ捨て場が限界に近づいているなか、プラごみを出し続けることは、いずれわが身に返ってくる問題でもある。 言い換えると、日本のプラごみの始末をつけることは、他の誰でもなく日本自身にとっての急務なのである。
次の6月も終盤となり、7月から始まるレジ袋有料化の話題が増えてきました。 レジの横に布製の買い物袋が陳列されてる場面も見かけます。 ツイッターを見ているとレジ袋有料化に意味があるのかという疑問が改めて起きてました。 私も以前は同じ疑問を抱いていました。 日本における廃プラ問題 レジ袋有料化の背景には「海洋プラスチックごみ」の問題があります。 海で長い年月を漂って分解されたプラスチックはマイクロプラスチックとなり海洋生物の体内に蓄積されます。 これは海の生態系を破壊することになります。 ゴミが直接的に海洋生物を溺死させることもあります。 海洋プラスチックごみの発生源は中国が最も多く、続いて東南アジア諸国が多いとされています。 日本は低いほうですが、日本で発生した廃プラスチックが安く中国や東南アジア諸国に輸出された結果として処理されきれずにゴミとなるという話もあります。 日本は決して他人事ではありません。 中国は2017年に廃プラの輸入規制をはじめました。 その結果、日本の廃プラの輸出先は多くが東南アジア諸国となり、日本国内でも処理されきれずに蓄積されているそうです。 日本においては海洋汚染よりも、廃プラが行き場を失っている問題の方が大きいと感じます。 少なくとも、日本国内でのプラスチックの流通を抑える必要はありそうです。 個人への啓蒙や規制には限界 私も以前は、ゴミを捨てる者を取り締まれば済む話だと思っていました。 しかしながら、例え厳しい法律が出来たとしても、全てを取り締まるのは不可能です。 故意でなくともゴミは散乱します。 強風に煽られて飛ばされたり、気づかず落としてしまう経験はあると思います。 「気をつけて」何とかなるものではありません。 衛生的な価値観を共有できない方々もいます。 花火大会や渋谷ハロウィンの翌朝がその例です。 プラスチックゴミの絶対量を減らす意味は必ずあります。 そして、その多くの割合を締めるレジ袋を削減するのは間違ってません。 考えるきっかけとして 店舗の裁量で4月から徐々にレジ袋有料化が導入されています。 慣れてきた方も多いと思います。 それでも例えば大手コンビニ各社は7月から切り替える予定なので、多少の混乱はあるかと思います。 レジ袋有料化の成果はおそらく数年後に統計として現れて総括されるでしょう。 この機会に私達が海洋プラスチックごみや廃プラの問題について考える機会になればそれも成果だと思います。
次の*問題* 日本のプラスチックごみ、輸出される割合は? 青 1割 赤 3割 緑 6割 ニュース検定の答え 答えは 緑 6割 ヒント:年間およそ 150万トンの ゴミが海外に 輸出されています ニュース検定の答えの解説 答えの解説です。 放送後に追記します。 今日の「ニュース検定」のキーワード キーワードは プラスチックゴミの村 ベトナムのプラスチックゴミの村 まずはベトナムの首都ハノイの近郊にあるミンカイ村の様子です。 ゴミ袋が山積みになっています。 実はこの村には世界中からプラスチックゴミが集められているんです。 リサイクルが主要産業 中には日本から送られたゴミもあります。 リサイクルがこの村の主要産業になっているからなんですね。 元々は農村でしたが、リサイクルの方が金が儲かるので、今では村の8割の人が転職しています。 平均月収は、一般的なベトナム人の10倍から20倍にもなるそうです。 日本のプラスチックゴミの6割が輸出 日本のプラスチックゴミのうち、海外に輸出されるのはおよそ6割です。 国別に見ると2017年は、中国がダントツでしたが、去年はわずか4. 6%にまで落ち込みました。 中国がプラスチックごみの受け入れを規制したためです。 そのぶんベトナムを含めた東南アジアがプラスチックゴミの輸出先として台頭したのです。 つまり分別した上で輸出しなければならないのです。 土などで汚れているゴミもリサイクルができない理由の一つになっています。 こちらも日本からのゴミになるんですけれども汚れていて分別が全くできていません--リポーター こうした汚れたプラスチックゴミは、結局リサイクルされないまま海に流れ出る可能性が高く、海洋汚染にも繋がります。 プラスチックゴミの問題は国際社会が取り組む必要性がある大きなテーマなのです。 前回の問題 それではまた明日!.
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