ひろゆき フェミニスト。 【悲報】ひろゆき、ガチで狂い始める 弁護士にレスバを挑むも何を言ってるのか分からず一同困惑

【悲報】ひろゆき、フェミニストにロジハラして炎上

ひろゆき フェミニスト

を掲載後、私は自分のTwitterで企画に臨んだ姿勢を記し、賛否両論の方々と意見を交わしました。 後編を読んでいただく前に、まずは企画についての前編で伝えるべきだった言葉足らずを、補わせて下さい。 この企画では、「フェミニズムとは何か」ではなく、 「私たちは今、日本語でフェミニズムという単語をどう見て、使っているのか」を考える、それを言葉にして交わすことを目指します。 その手法として、性別、年齢、立場の様々な語り手にご登場いただき、その方の視線や意見を、なるべくそのまま連ねていくやり方を考えました。 「フェミニズム」に関する討論ではなく、それがどう使われているのか、その背景に何があるのかを見る作業です。 この原稿は特別なルールで成り立っています。 ・語り手に誤解や理解不足があると感じても、その場ですぐに反論しない ・その考えの背景に何があるかも、語ってもらうようにする 語り手の発言には、どう読んでも腑に落ちない、納得できないこともあるでしょう。 しかし、それもまた、「フェミニズム」の言葉をめぐる現実です。 この第1回では、ジェンダーやフェミニズムの議論の輪を広げられたらと、あえて、フェミニズムに冷ややかなことも多い「ネット言論」の源流を知る方にお話を聞きました。 私自身、強い違和感を覚える表現やご意見がありました。 が、ハフポスト日本版編集部と話し合い、「なるべく、そのまま伝える」との意図で進めました。 仮に私が誤解や理解不足を感じたとしても、語り手の方がそう考えた背景も含めて、記事という公の場で共有し、広く議論できればと願っての行動でした。 現代日本の「フェミニズム」周辺には、社会を変える力強いアクションがたくさん起こっています。 その一方で、バックラッシュもあります。 私自身、フェミニズムに救われて今を生きている一女性として、それを非常に残念に思っています。 どんな意見もいったん否定せず、耳を傾け合う。 聞いた上で、その意見によって想起されるものや、それに対する自分の考えを深める作業をする。 それを性別、年齢、立場や考え方の違いに関わらず一人一人がやっていく材料に、この企画がなればと考えました。 書かれた内容で、誤解を招く箇所や理解不足があると思われるものに関しては、本文中の「編集部の注釈(編注)」や、文末の編集後記、他の資料へのリンク、今後の記事などで補っていけたらと考えています。 新しい試みゆえ、試行錯誤で至らぬ点も多いと思います。 どうぞ読者のみなさんより忌憚ないご意見やご批判をいただきつつ、一緒にこの企画を作っていただけましたら幸甚です。 語り手にも聞き手にも、そして読者のみなさんにも、より「男女平等」への考えを深めるきっかけになればと願っています。 それでは後編をお送りします。 西村博之(にしむら ひろゆき) 1976年、関東地方出身。 ネット匿名掲示板「2ちゃんねる」、動画共有サービス「ニコニコ動画」などの立ち上げ・運営に携わる。 2015年よりフランス・パリ在住。 聞く人:髙崎順子(たかさき じゅんこ) 1974年、関東地方出身。 2000年よりフランス・パリ在住。 フランス社会・文化を題材に寄稿するライター。 得意分野は子育て環境。 》前編: 西村家の家事分担は、夫婦で必ず半々 髙崎:西村さんの家庭のことを伺います。 西村さんご自身のパートナーさんとの、家庭内での分担はどうですか? 西村:うちは「対等でいた方がいい」と思っていて、家のことは必ず半々で分けるようにします。 分担を日数で割ってるんですよ。 お互いに忙しい時や急な予定が入ると、「今日は俺の分お願い」って頼んで、その分はチケットとして貯めてスプレッドシートで管理する。 全体の分量はなるべく同じになるように。 髙崎:スプレッドシート、面白いですね。 どうしてそうなったんでしょう。 西村:「家のことは女の人がやるのが当たり前」とすると、奥さんにストレスが溜まるし、多少手伝っても「手伝うのが当然」って感謝されなくなるんですよ。 でも完全に担当を分けると、お互いの分を手伝った時にすごくありがたい気持ちになる。 「当然」でなくなると、手伝うことが感謝に繋がるので、その方がよっぽど効率がいいんじゃないかと。 それぞれのやりたいことも「家のことがあるからできない」ではなくて「分担のない日にどうぞご自由に」となるので、それでうちはうまくいってますね。 髙崎:西村さんは専業主婦のお母様の家庭でお育ち(前編)ですが、ご自分の家庭では、そのような分担にされなかったんですね。 西村:一人暮らしが長かったので、家事を誰かにやってもらわなくても困らないんですよ。 ただ僕は掃除をほとんどしない人なので、その臨界点がより低い奥さんがやっていますね。 僕はその代わりお金まわりのことをやりますとか、そういう分け方もしています。 子育てしづらい国の家事育児をどうする? 髙崎:西村家は半々ですが、日本の多くの世帯では、、性別分業がまだまだ強固です。 西村:多くの男の人にとっては、それが快適だからじゃないですかね。 子どもができても、育児は週末だけとか遊園地に連れて行くだけとか美味しいところ取りをして、それ以外は「俺には仕事が」って言えば、面倒臭いことはしないで許される。 男性が「自分の利益を最大化する」という意味では便利な構造なので、それを変えたくないって気持ちは分かりますけどね。 髙崎:育児をしないことが、利益の最大化ですか……我が家は共働きなのですが、夫は子育て大好き人間なので、その視点はなかったです。 私が、男性の育児参加が進んでいるフランスにいるせいもあるかもしれません。 でも確かに日本は、「子育てを積極的にしたい」男性の出現率が、フランスより低いように感じます。 しっかり育児をしているお父さんもいますが、「育児をしない父親」がまだまだ問題になっている。 西村:子育てしている男性の話を聞く機会が、日本ではあまりないですしね。 たまに田端(信太郎)さんみたいに「妻がいない間(約3週間)、俺は3人の子どもの世話をこうした。 1時間でできた」 って自分のやり方を言う人がいても、「本当はもっと大変なんだ!」って声がワッと集まってくる。 田端さんは「できた」って言っていて、「そうですか」で済めばいい話なのに、聞こえてくるのは「子育て大変!」ばかりで。 それを見た男の人はますます「子育てしたくない」って思ってしまうし、若い子も「子を持つのは大変だよね」となってしまうので、あんまり良くないなとは思いますね。 髙崎:でも確かに、日本で子育てするのは大変ですよね。 西村:いや、それは本当に大変だと思います。 ベビーカーで電車に乗っただけで舌打ちされるとか、ありえないですよね? 電車ではベビーカーを畳まなきゃいけないっていう、約款とは違う謎ルールを言う人もいるでしょう。 本当は、畳まなくていいが正解のはずなのに、正解じゃないものが通ってしまう。 子育てのその辺は、部活の先輩後輩文化に近いのかな、と思って。 自分が苦労したんだからお前たちも苦労するべきである、という。 液体ミルクもやっと解禁になりましたが、今まで使っちゃいけなかった理由が僕には全く分からないんですよね。 無痛分娩も、痛みに耐えないと愛情が生まれないとか、理解できない論理がある。 髙崎:液体ミルクも無痛分娩も、その制度を決める場で否定的な意見をするのは、実際に産んでない、子育てしていない男性たちだったりするんですよね。 「先輩」ですらない。 西村:あ〜、おっさんたちがねぇ… 苦笑。 髙崎:現時点では国レベルでも、女性の権利に関わる制度を決める場所に、女性があまりに少ない。 そこに女性たちを増やす努力をしながら、すでに今そこにいる男性も一緒に動けたら、より社会を変えやすくなるのではないかな、と私は思っていて、そのために何ができるだろう、と考えています。 編注: 例えば、 2019 年に厚労省で開催された、(女性が使用する)緊急避妊薬へのアクセスを改善する「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」では、構成員 12 名中、女性は 1 名だけ。 女性政治家を増やす1 つの方法 髙崎:まさにその、社会の意思決定の場所に女性が少ないことが大きな原因で、日本はジェンダーギャップ指数が世界121位(2019年)になっています。 女性の政治家が少ない、なかなか増えない点は、どう考えてらっしゃいますか。 西村:僕は女性の政治家が少ない問題、女の人の頭が良すぎるせいがあると思っています。 例えば、アメリカでトランプ氏が大統領になれた理由って、「トランプが男だから」ってだけで投票した人も多かったからじゃないかな。 女なんか大統領にしてたまるか!っていう。 髙崎:男か女か、それだけの理由で? 西村:そう。 女の人も、女性政治家を増やしたいんだったら、何も考えず女性候補に投票したらいい。 そうしたら論理的には、半数は女性になるはずじゃないですか。 でも女性の有権者はそうしないで、実績などをちゃんと考えて投票するんですよね。 この人は有名だけど政治家としてはどうなんだろう……とか考えて、結局男性の政治家に投票する。 それに今、出世する政治家って結局は男性政治家に取り入るのが上手い人たちなんですよね。 それが女性であっても。 必ずしも実力や実績がある、という訳ではなく。 髙崎:今の政界の仕組み的に、そうなる確率はどうしても高いとは思います。 西村:そうしたら「それは本当の実績じゃないよね」と考えて、やっぱり女性には投票しない悪循環になっている。 だから、「とりあえず、女の政治家を半分にする」という形を、まず作った方が効率がいいと思うんです。 髙崎:まず女性の議員を半分確保する。 話はそれからだ、と。 西村:アメリカ人って割とそういうことをするんですよ。 「社会にとっては、優秀な方を政治家にした方がいい」として、結局女性に投票しない女性のまともさが、女性の足を引っ張っている、という。 髙崎:うーん、そうでしょうか…。 「広い視野で考えて判断できる」というのは、選挙投票において良い点のはずなんですが、それが遅らせているものもある、というご意見なんですね。 「頭が良すぎる」は言葉が強いなと感じますが、男女二人の候補者が並んだときに、構造的に女性が不利に置かれがちな実績面などでのバイアスを考慮して両者を見る姿勢は必要だな、と私も思います。 それは有権者の性別を問わず、ですね。 編注: 女性政治家が少ない背景には、性別役割分担意識や 、 政治が男性のものと考えられてきたため、そもそも女性が候補者になりにくい社会的構造があります。 日本では 2018 年、男女の候補者の数ができるかぎり均等になるよう政党に努力を求める「」(日本版パリテ法)が施行されました。 「自分と違う人がいる」と知っている、フランスの人々 髙崎:最後に一つ、お話したいことが。 会話しながらずっと考えていたのが、「自分と違う人は見えない」という西村さんの(前編での)ご意見と、今私たちがいるフランスのことなんです。 フランスの人たちは、「違う人がいる」のは見えているんですよね。 必ずしも互いに理解しあってはいないのですが、「いる」のは見えていて、その存在を否定しない。 そのいい例が、12月から続いている年金改革反対のストライキ。 大多数の人が「自分の仕事の話ではないけれど、まあ分かる」と許容しています。 「不便だ」「長い」と文句ブーブー言いながらですけども。 フェミニズムに関しては、DVで女性が亡くなる「フェミサイド」に抗議するデモがありますが、ここでも抗議する人々を迷惑がったり、否定する声は上がらないんです。 男性からも、女性からも。 道や駅が封鎖されたり、生活に影響が出ても、「必要なことだ」と受け入れる。 西村:フランスの人は、そういう抽象的なことの理解が早いですよね。 ストに積極的に賛成ではなくても、「自分がいつかストをやるときに応援してほしいから、応援する」というのが成立している。 日本ではあまりそういう意見は聞かないんですよね……。 なんでフランス人には、他人が見えているんですかね? 髙崎:私も不思議で、機会があるごとにフランスの人に尋ねるんですが、みなさん一様に「教育」って答えますね。 「自分と意見の違う他人がいる。 それを尊重しろって、小さい時から叩き込む! ここは自由・平等・友愛の国なんだから! その理念に近づくためには、 教育が全て!」って熱弁されます。 西村:へぇー。 髙崎:それを叩き込む授業が小学校から高校までの「道徳」の時間だそうで。 今別件で取材中なのですが、草の根の教師から担当省庁のトップまで、みんなが同じように「他者の尊重が一番大事」と言うんです。 その徹底ぶり、興味深いですよ。 この作業は、今の日本にもっと必要だろうな、とお話しながら思いました。 そのためにできることを、考えていきたいなと。 西村:うーん。 日本ではなかなか、難しいんじゃないかと思いますけど。 髙崎:フランス人にできることが、日本人にできないはずはないと、私は希望を抱いているんですが……日本ですでにできている方もいますし、 その数を増やしていきたいですね。 今日は長い時間お話くださり、ありがとうございました。 西村:どうもありがとうございました。 【ハフポスト日本版 編集部より】 今回の企画は、フランスに住むライターの髙崎順子さんから提案があり、ハフポスト日本版の編集部が賛同して進めました。 編集部としても、意図をあらためてお伝えします。 企画名の「 私たちのフェミニズム をみんなで語ろう」のハッシュタグには、あえて「たち」をつけました。 フェミニストという言葉を使おうが、使うまいが、この社会ではそれぞれの個人を尊重するという態度に関して、ただ「傍観者」のままでいることはできないと考えたからです。 ただ、前編の記事にはたくさんのご批判をいただきました。 記事ではこうした企画意図や取材のルールについての丁寧な説明が不足していたと感じています。 編集部としても、西村さんと意見が異なることや、「事実誤認」だと思ったことを、「編集部の注釈」という形でより多く入れるべきでした。 心から反省し、謝罪をします。 これからも、インタビュー相手が持つ、「フェミニズムという言葉のとらえ方」をじっくりと聞いていきます。 フェミニストとは違う立場に見えても、障害や人種などの「差別」について怒っていたり、日本の働く環境などの「古い仕組み」に関しては改革しようとしていたり、自分の「身近なパートナー」に対してはフェアであろうとしたりする人もいます(ひろゆきさんについては、どう思われたでしょうか?)。 会話を進めることで、「人権」と同様、「フェミニズム」も、誰もが自分の中で当たり前に持つ言葉にできないか、髙崎さんやハフポスト日本版の普段の読者の方とは正反対の思想を持つようにみえても、どこか小さなところでも共通点を見つけ、言葉は違っても、「同じ立場」から、社会を良くできないか。 もちろん女性が受けてきた苦しみ、我慢して耳を傾け続けてきても何も変わらなかった長い歴史を考えると、「私たち」という言葉には暴力性があることを自覚しています。 これまでジェンダーをめぐる差別を積極的に取材してきた編集部内にも、様々な意見がありました。 インタビュー前編では、ハフポストからの説明が全く足りず、記事内の言説が一方的に際立つことになりました。 今回の反省を生かしながら、企画の説明をしながら、アイデアを募りながら、地道に進めていきたいと思います。 専門家の話も聞きますし、女性の立場を良くするために戦ってきた方たちにもインタビューをしていきます。 ひろゆきさんへのインタビューについて、髙崎さんはTwitterを通して議論を深めていますし、対談で思ったこともあらためて記事で書いていただく予定です。 ひろゆきさんもブログなどで感想を書いています。 みなさんのご意見をお待ちしています。 ハフポストにとっても、これまでと違う新たな試みです。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 ハフポスト日本版編集長 竹下隆一郎 (取材・文:髙崎順子 写真:松村史郎 編集:笹川かおり 、ハフポスト日本版編集部).

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【2ラウンド開始】ひろゆき氏、フェミニストに名指しで宣戦布告! 支持者はどっちが多いのか

ひろゆき フェミニスト

を掲載後、私は自分のTwitterで企画に臨んだ姿勢を記し、賛否両論の方々と意見を交わしました。 後編を読んでいただく前に、まずは企画についての前編で伝えるべきだった言葉足らずを、補わせて下さい。 この企画では、「フェミニズムとは何か」ではなく、 「私たちは今、日本語でフェミニズムという単語をどう見て、使っているのか」を考える、それを言葉にして交わすことを目指します。 その手法として、性別、年齢、立場の様々な語り手にご登場いただき、その方の視線や意見を、なるべくそのまま連ねていくやり方を考えました。 「フェミニズム」に関する討論ではなく、それがどう使われているのか、その背景に何があるのかを見る作業です。 この原稿は特別なルールで成り立っています。 ・語り手に誤解や理解不足があると感じても、その場ですぐに反論しない ・その考えの背景に何があるかも、語ってもらうようにする 語り手の発言には、どう読んでも腑に落ちない、納得できないこともあるでしょう。 しかし、それもまた、「フェミニズム」の言葉をめぐる現実です。 この第1回では、ジェンダーやフェミニズムの議論の輪を広げられたらと、あえて、フェミニズムに冷ややかなことも多い「ネット言論」の源流を知る方にお話を聞きました。 私自身、強い違和感を覚える表現やご意見がありました。 が、ハフポスト日本版編集部と話し合い、「なるべく、そのまま伝える」との意図で進めました。 仮に私が誤解や理解不足を感じたとしても、語り手の方がそう考えた背景も含めて、記事という公の場で共有し、広く議論できればと願っての行動でした。 現代日本の「フェミニズム」周辺には、社会を変える力強いアクションがたくさん起こっています。 その一方で、バックラッシュもあります。 私自身、フェミニズムに救われて今を生きている一女性として、それを非常に残念に思っています。 どんな意見もいったん否定せず、耳を傾け合う。 聞いた上で、その意見によって想起されるものや、それに対する自分の考えを深める作業をする。 それを性別、年齢、立場や考え方の違いに関わらず一人一人がやっていく材料に、この企画がなればと考えました。 書かれた内容で、誤解を招く箇所や理解不足があると思われるものに関しては、本文中の「編集部の注釈(編注)」や、文末の編集後記、他の資料へのリンク、今後の記事などで補っていけたらと考えています。 新しい試みゆえ、試行錯誤で至らぬ点も多いと思います。 どうぞ読者のみなさんより忌憚ないご意見やご批判をいただきつつ、一緒にこの企画を作っていただけましたら幸甚です。 語り手にも聞き手にも、そして読者のみなさんにも、より「男女平等」への考えを深めるきっかけになればと願っています。 それでは後編をお送りします。 西村博之(にしむら ひろゆき) 1976年、関東地方出身。 ネット匿名掲示板「2ちゃんねる」、動画共有サービス「ニコニコ動画」などの立ち上げ・運営に携わる。 2015年よりフランス・パリ在住。 聞く人:髙崎順子(たかさき じゅんこ) 1974年、関東地方出身。 2000年よりフランス・パリ在住。 フランス社会・文化を題材に寄稿するライター。 得意分野は子育て環境。 》前編: 西村家の家事分担は、夫婦で必ず半々 髙崎:西村さんの家庭のことを伺います。 西村さんご自身のパートナーさんとの、家庭内での分担はどうですか? 西村:うちは「対等でいた方がいい」と思っていて、家のことは必ず半々で分けるようにします。 分担を日数で割ってるんですよ。 お互いに忙しい時や急な予定が入ると、「今日は俺の分お願い」って頼んで、その分はチケットとして貯めてスプレッドシートで管理する。 全体の分量はなるべく同じになるように。 髙崎:スプレッドシート、面白いですね。 どうしてそうなったんでしょう。 西村:「家のことは女の人がやるのが当たり前」とすると、奥さんにストレスが溜まるし、多少手伝っても「手伝うのが当然」って感謝されなくなるんですよ。 でも完全に担当を分けると、お互いの分を手伝った時にすごくありがたい気持ちになる。 「当然」でなくなると、手伝うことが感謝に繋がるので、その方がよっぽど効率がいいんじゃないかと。 それぞれのやりたいことも「家のことがあるからできない」ではなくて「分担のない日にどうぞご自由に」となるので、それでうちはうまくいってますね。 髙崎:西村さんは専業主婦のお母様の家庭でお育ち(前編)ですが、ご自分の家庭では、そのような分担にされなかったんですね。 西村:一人暮らしが長かったので、家事を誰かにやってもらわなくても困らないんですよ。 ただ僕は掃除をほとんどしない人なので、その臨界点がより低い奥さんがやっていますね。 僕はその代わりお金まわりのことをやりますとか、そういう分け方もしています。 子育てしづらい国の家事育児をどうする? 髙崎:西村家は半々ですが、日本の多くの世帯では、、性別分業がまだまだ強固です。 西村:多くの男の人にとっては、それが快適だからじゃないですかね。 子どもができても、育児は週末だけとか遊園地に連れて行くだけとか美味しいところ取りをして、それ以外は「俺には仕事が」って言えば、面倒臭いことはしないで許される。 男性が「自分の利益を最大化する」という意味では便利な構造なので、それを変えたくないって気持ちは分かりますけどね。 髙崎:育児をしないことが、利益の最大化ですか……我が家は共働きなのですが、夫は子育て大好き人間なので、その視点はなかったです。 私が、男性の育児参加が進んでいるフランスにいるせいもあるかもしれません。 でも確かに日本は、「子育てを積極的にしたい」男性の出現率が、フランスより低いように感じます。 しっかり育児をしているお父さんもいますが、「育児をしない父親」がまだまだ問題になっている。 西村:子育てしている男性の話を聞く機会が、日本ではあまりないですしね。 たまに田端(信太郎)さんみたいに「妻がいない間(約3週間)、俺は3人の子どもの世話をこうした。 1時間でできた」 って自分のやり方を言う人がいても、「本当はもっと大変なんだ!」って声がワッと集まってくる。 田端さんは「できた」って言っていて、「そうですか」で済めばいい話なのに、聞こえてくるのは「子育て大変!」ばかりで。 それを見た男の人はますます「子育てしたくない」って思ってしまうし、若い子も「子を持つのは大変だよね」となってしまうので、あんまり良くないなとは思いますね。 髙崎:でも確かに、日本で子育てするのは大変ですよね。 西村:いや、それは本当に大変だと思います。 ベビーカーで電車に乗っただけで舌打ちされるとか、ありえないですよね? 電車ではベビーカーを畳まなきゃいけないっていう、約款とは違う謎ルールを言う人もいるでしょう。 本当は、畳まなくていいが正解のはずなのに、正解じゃないものが通ってしまう。 子育てのその辺は、部活の先輩後輩文化に近いのかな、と思って。 自分が苦労したんだからお前たちも苦労するべきである、という。 液体ミルクもやっと解禁になりましたが、今まで使っちゃいけなかった理由が僕には全く分からないんですよね。 無痛分娩も、痛みに耐えないと愛情が生まれないとか、理解できない論理がある。 髙崎:液体ミルクも無痛分娩も、その制度を決める場で否定的な意見をするのは、実際に産んでない、子育てしていない男性たちだったりするんですよね。 「先輩」ですらない。 西村:あ〜、おっさんたちがねぇ… 苦笑。 髙崎:現時点では国レベルでも、女性の権利に関わる制度を決める場所に、女性があまりに少ない。 そこに女性たちを増やす努力をしながら、すでに今そこにいる男性も一緒に動けたら、より社会を変えやすくなるのではないかな、と私は思っていて、そのために何ができるだろう、と考えています。 編注: 例えば、 2019 年に厚労省で開催された、(女性が使用する)緊急避妊薬へのアクセスを改善する「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」では、構成員 12 名中、女性は 1 名だけ。 女性政治家を増やす1 つの方法 髙崎:まさにその、社会の意思決定の場所に女性が少ないことが大きな原因で、日本はジェンダーギャップ指数が世界121位(2019年)になっています。 女性の政治家が少ない、なかなか増えない点は、どう考えてらっしゃいますか。 西村:僕は女性の政治家が少ない問題、女の人の頭が良すぎるせいがあると思っています。 例えば、アメリカでトランプ氏が大統領になれた理由って、「トランプが男だから」ってだけで投票した人も多かったからじゃないかな。 女なんか大統領にしてたまるか!っていう。 髙崎:男か女か、それだけの理由で? 西村:そう。 女の人も、女性政治家を増やしたいんだったら、何も考えず女性候補に投票したらいい。 そうしたら論理的には、半数は女性になるはずじゃないですか。 でも女性の有権者はそうしないで、実績などをちゃんと考えて投票するんですよね。 この人は有名だけど政治家としてはどうなんだろう……とか考えて、結局男性の政治家に投票する。 それに今、出世する政治家って結局は男性政治家に取り入るのが上手い人たちなんですよね。 それが女性であっても。 必ずしも実力や実績がある、という訳ではなく。 髙崎:今の政界の仕組み的に、そうなる確率はどうしても高いとは思います。 西村:そうしたら「それは本当の実績じゃないよね」と考えて、やっぱり女性には投票しない悪循環になっている。 だから、「とりあえず、女の政治家を半分にする」という形を、まず作った方が効率がいいと思うんです。 髙崎:まず女性の議員を半分確保する。 話はそれからだ、と。 西村:アメリカ人って割とそういうことをするんですよ。 「社会にとっては、優秀な方を政治家にした方がいい」として、結局女性に投票しない女性のまともさが、女性の足を引っ張っている、という。 髙崎:うーん、そうでしょうか…。 「広い視野で考えて判断できる」というのは、選挙投票において良い点のはずなんですが、それが遅らせているものもある、というご意見なんですね。 「頭が良すぎる」は言葉が強いなと感じますが、男女二人の候補者が並んだときに、構造的に女性が不利に置かれがちな実績面などでのバイアスを考慮して両者を見る姿勢は必要だな、と私も思います。 それは有権者の性別を問わず、ですね。 編注: 女性政治家が少ない背景には、性別役割分担意識や 、 政治が男性のものと考えられてきたため、そもそも女性が候補者になりにくい社会的構造があります。 日本では 2018 年、男女の候補者の数ができるかぎり均等になるよう政党に努力を求める「」(日本版パリテ法)が施行されました。 「自分と違う人がいる」と知っている、フランスの人々 髙崎:最後に一つ、お話したいことが。 会話しながらずっと考えていたのが、「自分と違う人は見えない」という西村さんの(前編での)ご意見と、今私たちがいるフランスのことなんです。 フランスの人たちは、「違う人がいる」のは見えているんですよね。 必ずしも互いに理解しあってはいないのですが、「いる」のは見えていて、その存在を否定しない。 そのいい例が、12月から続いている年金改革反対のストライキ。 大多数の人が「自分の仕事の話ではないけれど、まあ分かる」と許容しています。 「不便だ」「長い」と文句ブーブー言いながらですけども。 フェミニズムに関しては、DVで女性が亡くなる「フェミサイド」に抗議するデモがありますが、ここでも抗議する人々を迷惑がったり、否定する声は上がらないんです。 男性からも、女性からも。 道や駅が封鎖されたり、生活に影響が出ても、「必要なことだ」と受け入れる。 西村:フランスの人は、そういう抽象的なことの理解が早いですよね。 ストに積極的に賛成ではなくても、「自分がいつかストをやるときに応援してほしいから、応援する」というのが成立している。 日本ではあまりそういう意見は聞かないんですよね……。 なんでフランス人には、他人が見えているんですかね? 髙崎:私も不思議で、機会があるごとにフランスの人に尋ねるんですが、みなさん一様に「教育」って答えますね。 「自分と意見の違う他人がいる。 それを尊重しろって、小さい時から叩き込む! ここは自由・平等・友愛の国なんだから! その理念に近づくためには、 教育が全て!」って熱弁されます。 西村:へぇー。 髙崎:それを叩き込む授業が小学校から高校までの「道徳」の時間だそうで。 今別件で取材中なのですが、草の根の教師から担当省庁のトップまで、みんなが同じように「他者の尊重が一番大事」と言うんです。 その徹底ぶり、興味深いですよ。 この作業は、今の日本にもっと必要だろうな、とお話しながら思いました。 そのためにできることを、考えていきたいなと。 西村:うーん。 日本ではなかなか、難しいんじゃないかと思いますけど。 髙崎:フランス人にできることが、日本人にできないはずはないと、私は希望を抱いているんですが……日本ですでにできている方もいますし、 その数を増やしていきたいですね。 今日は長い時間お話くださり、ありがとうございました。 西村:どうもありがとうございました。 【ハフポスト日本版 編集部より】 今回の企画は、フランスに住むライターの髙崎順子さんから提案があり、ハフポスト日本版の編集部が賛同して進めました。 編集部としても、意図をあらためてお伝えします。 企画名の「 私たちのフェミニズム をみんなで語ろう」のハッシュタグには、あえて「たち」をつけました。 フェミニストという言葉を使おうが、使うまいが、この社会ではそれぞれの個人を尊重するという態度に関して、ただ「傍観者」のままでいることはできないと考えたからです。 ただ、前編の記事にはたくさんのご批判をいただきました。 記事ではこうした企画意図や取材のルールについての丁寧な説明が不足していたと感じています。 編集部としても、西村さんと意見が異なることや、「事実誤認」だと思ったことを、「編集部の注釈」という形でより多く入れるべきでした。 心から反省し、謝罪をします。 これからも、インタビュー相手が持つ、「フェミニズムという言葉のとらえ方」をじっくりと聞いていきます。 フェミニストとは違う立場に見えても、障害や人種などの「差別」について怒っていたり、日本の働く環境などの「古い仕組み」に関しては改革しようとしていたり、自分の「身近なパートナー」に対してはフェアであろうとしたりする人もいます(ひろゆきさんについては、どう思われたでしょうか?)。 会話を進めることで、「人権」と同様、「フェミニズム」も、誰もが自分の中で当たり前に持つ言葉にできないか、髙崎さんやハフポスト日本版の普段の読者の方とは正反対の思想を持つようにみえても、どこか小さなところでも共通点を見つけ、言葉は違っても、「同じ立場」から、社会を良くできないか。 もちろん女性が受けてきた苦しみ、我慢して耳を傾け続けてきても何も変わらなかった長い歴史を考えると、「私たち」という言葉には暴力性があることを自覚しています。 これまでジェンダーをめぐる差別を積極的に取材してきた編集部内にも、様々な意見がありました。 インタビュー前編では、ハフポストからの説明が全く足りず、記事内の言説が一方的に際立つことになりました。 今回の反省を生かしながら、企画の説明をしながら、アイデアを募りながら、地道に進めていきたいと思います。 専門家の話も聞きますし、女性の立場を良くするために戦ってきた方たちにもインタビューをしていきます。 ひろゆきさんへのインタビューについて、髙崎さんはTwitterを通して議論を深めていますし、対談で思ったこともあらためて記事で書いていただく予定です。 ひろゆきさんもブログなどで感想を書いています。 みなさんのご意見をお待ちしています。 ハフポストにとっても、これまでと違う新たな試みです。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 ハフポスト日本版編集長 竹下隆一郎 (取材・文:髙崎順子 写真:松村史郎 編集:笹川かおり 、ハフポスト日本版編集部).

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ひろゆきがアンチフェミ、女性嫌悪(ミソジニー)なの皆忘れたの?

ひろゆき フェミニスト

を掲載後、私は自分のTwitterで企画に臨んだ姿勢を記し、賛否両論の方々と意見を交わしました。 後編を読んでいただく前に、まずは企画についての前編で伝えるべきだった言葉足らずを、補わせて下さい。 この企画では、「フェミニズムとは何か」ではなく、 「私たちは今、日本語でフェミニズムという単語をどう見て、使っているのか」を考える、それを言葉にして交わすことを目指します。 その手法として、性別、年齢、立場の様々な語り手にご登場いただき、その方の視線や意見を、なるべくそのまま連ねていくやり方を考えました。 「フェミニズム」に関する討論ではなく、それがどう使われているのか、その背景に何があるのかを見る作業です。 この原稿は特別なルールで成り立っています。 ・語り手に誤解や理解不足があると感じても、その場ですぐに反論しない ・その考えの背景に何があるかも、語ってもらうようにする 語り手の発言には、どう読んでも腑に落ちない、納得できないこともあるでしょう。 しかし、それもまた、「フェミニズム」の言葉をめぐる現実です。 この第1回では、ジェンダーやフェミニズムの議論の輪を広げられたらと、あえて、フェミニズムに冷ややかなことも多い「ネット言論」の源流を知る方にお話を聞きました。 私自身、強い違和感を覚える表現やご意見がありました。 が、ハフポスト日本版編集部と話し合い、「なるべく、そのまま伝える」との意図で進めました。 仮に私が誤解や理解不足を感じたとしても、語り手の方がそう考えた背景も含めて、記事という公の場で共有し、広く議論できればと願っての行動でした。 現代日本の「フェミニズム」周辺には、社会を変える力強いアクションがたくさん起こっています。 その一方で、バックラッシュもあります。 私自身、フェミニズムに救われて今を生きている一女性として、それを非常に残念に思っています。 どんな意見もいったん否定せず、耳を傾け合う。 聞いた上で、その意見によって想起されるものや、それに対する自分の考えを深める作業をする。 それを性別、年齢、立場や考え方の違いに関わらず一人一人がやっていく材料に、この企画がなればと考えました。 書かれた内容で、誤解を招く箇所や理解不足があると思われるものに関しては、本文中の「編集部の注釈(編注)」や、文末の編集後記、他の資料へのリンク、今後の記事などで補っていけたらと考えています。 新しい試みゆえ、試行錯誤で至らぬ点も多いと思います。 どうぞ読者のみなさんより忌憚ないご意見やご批判をいただきつつ、一緒にこの企画を作っていただけましたら幸甚です。 語り手にも聞き手にも、そして読者のみなさんにも、より「男女平等」への考えを深めるきっかけになればと願っています。 それでは後編をお送りします。 西村博之(にしむら ひろゆき) 1976年、関東地方出身。 ネット匿名掲示板「2ちゃんねる」、動画共有サービス「ニコニコ動画」などの立ち上げ・運営に携わる。 2015年よりフランス・パリ在住。 聞く人:髙崎順子(たかさき じゅんこ) 1974年、関東地方出身。 2000年よりフランス・パリ在住。 フランス社会・文化を題材に寄稿するライター。 得意分野は子育て環境。 》前編: 西村家の家事分担は、夫婦で必ず半々 髙崎:西村さんの家庭のことを伺います。 西村さんご自身のパートナーさんとの、家庭内での分担はどうですか? 西村:うちは「対等でいた方がいい」と思っていて、家のことは必ず半々で分けるようにします。 分担を日数で割ってるんですよ。 お互いに忙しい時や急な予定が入ると、「今日は俺の分お願い」って頼んで、その分はチケットとして貯めてスプレッドシートで管理する。 全体の分量はなるべく同じになるように。 髙崎:スプレッドシート、面白いですね。 どうしてそうなったんでしょう。 西村:「家のことは女の人がやるのが当たり前」とすると、奥さんにストレスが溜まるし、多少手伝っても「手伝うのが当然」って感謝されなくなるんですよ。 でも完全に担当を分けると、お互いの分を手伝った時にすごくありがたい気持ちになる。 「当然」でなくなると、手伝うことが感謝に繋がるので、その方がよっぽど効率がいいんじゃないかと。 それぞれのやりたいことも「家のことがあるからできない」ではなくて「分担のない日にどうぞご自由に」となるので、それでうちはうまくいってますね。 髙崎:西村さんは専業主婦のお母様の家庭でお育ち(前編)ですが、ご自分の家庭では、そのような分担にされなかったんですね。 西村:一人暮らしが長かったので、家事を誰かにやってもらわなくても困らないんですよ。 ただ僕は掃除をほとんどしない人なので、その臨界点がより低い奥さんがやっていますね。 僕はその代わりお金まわりのことをやりますとか、そういう分け方もしています。 子育てしづらい国の家事育児をどうする? 髙崎:西村家は半々ですが、日本の多くの世帯では、、性別分業がまだまだ強固です。 西村:多くの男の人にとっては、それが快適だからじゃないですかね。 子どもができても、育児は週末だけとか遊園地に連れて行くだけとか美味しいところ取りをして、それ以外は「俺には仕事が」って言えば、面倒臭いことはしないで許される。 男性が「自分の利益を最大化する」という意味では便利な構造なので、それを変えたくないって気持ちは分かりますけどね。 髙崎:育児をしないことが、利益の最大化ですか……我が家は共働きなのですが、夫は子育て大好き人間なので、その視点はなかったです。 私が、男性の育児参加が進んでいるフランスにいるせいもあるかもしれません。 でも確かに日本は、「子育てを積極的にしたい」男性の出現率が、フランスより低いように感じます。 しっかり育児をしているお父さんもいますが、「育児をしない父親」がまだまだ問題になっている。 西村:子育てしている男性の話を聞く機会が、日本ではあまりないですしね。 たまに田端(信太郎)さんみたいに「妻がいない間(約3週間)、俺は3人の子どもの世話をこうした。 1時間でできた」 って自分のやり方を言う人がいても、「本当はもっと大変なんだ!」って声がワッと集まってくる。 田端さんは「できた」って言っていて、「そうですか」で済めばいい話なのに、聞こえてくるのは「子育て大変!」ばかりで。 それを見た男の人はますます「子育てしたくない」って思ってしまうし、若い子も「子を持つのは大変だよね」となってしまうので、あんまり良くないなとは思いますね。 髙崎:でも確かに、日本で子育てするのは大変ですよね。 西村:いや、それは本当に大変だと思います。 ベビーカーで電車に乗っただけで舌打ちされるとか、ありえないですよね? 電車ではベビーカーを畳まなきゃいけないっていう、約款とは違う謎ルールを言う人もいるでしょう。 本当は、畳まなくていいが正解のはずなのに、正解じゃないものが通ってしまう。 子育てのその辺は、部活の先輩後輩文化に近いのかな、と思って。 自分が苦労したんだからお前たちも苦労するべきである、という。 液体ミルクもやっと解禁になりましたが、今まで使っちゃいけなかった理由が僕には全く分からないんですよね。 無痛分娩も、痛みに耐えないと愛情が生まれないとか、理解できない論理がある。 髙崎:液体ミルクも無痛分娩も、その制度を決める場で否定的な意見をするのは、実際に産んでない、子育てしていない男性たちだったりするんですよね。 「先輩」ですらない。 西村:あ〜、おっさんたちがねぇ… 苦笑。 髙崎:現時点では国レベルでも、女性の権利に関わる制度を決める場所に、女性があまりに少ない。 そこに女性たちを増やす努力をしながら、すでに今そこにいる男性も一緒に動けたら、より社会を変えやすくなるのではないかな、と私は思っていて、そのために何ができるだろう、と考えています。 編注: 例えば、 2019 年に厚労省で開催された、(女性が使用する)緊急避妊薬へのアクセスを改善する「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」では、構成員 12 名中、女性は 1 名だけ。 女性政治家を増やす1 つの方法 髙崎:まさにその、社会の意思決定の場所に女性が少ないことが大きな原因で、日本はジェンダーギャップ指数が世界121位(2019年)になっています。 女性の政治家が少ない、なかなか増えない点は、どう考えてらっしゃいますか。 西村:僕は女性の政治家が少ない問題、女の人の頭が良すぎるせいがあると思っています。 例えば、アメリカでトランプ氏が大統領になれた理由って、「トランプが男だから」ってだけで投票した人も多かったからじゃないかな。 女なんか大統領にしてたまるか!っていう。 髙崎:男か女か、それだけの理由で? 西村:そう。 女の人も、女性政治家を増やしたいんだったら、何も考えず女性候補に投票したらいい。 そうしたら論理的には、半数は女性になるはずじゃないですか。 でも女性の有権者はそうしないで、実績などをちゃんと考えて投票するんですよね。 この人は有名だけど政治家としてはどうなんだろう……とか考えて、結局男性の政治家に投票する。 それに今、出世する政治家って結局は男性政治家に取り入るのが上手い人たちなんですよね。 それが女性であっても。 必ずしも実力や実績がある、という訳ではなく。 髙崎:今の政界の仕組み的に、そうなる確率はどうしても高いとは思います。 西村:そうしたら「それは本当の実績じゃないよね」と考えて、やっぱり女性には投票しない悪循環になっている。 だから、「とりあえず、女の政治家を半分にする」という形を、まず作った方が効率がいいと思うんです。 髙崎:まず女性の議員を半分確保する。 話はそれからだ、と。 西村:アメリカ人って割とそういうことをするんですよ。 「社会にとっては、優秀な方を政治家にした方がいい」として、結局女性に投票しない女性のまともさが、女性の足を引っ張っている、という。 髙崎:うーん、そうでしょうか…。 「広い視野で考えて判断できる」というのは、選挙投票において良い点のはずなんですが、それが遅らせているものもある、というご意見なんですね。 「頭が良すぎる」は言葉が強いなと感じますが、男女二人の候補者が並んだときに、構造的に女性が不利に置かれがちな実績面などでのバイアスを考慮して両者を見る姿勢は必要だな、と私も思います。 それは有権者の性別を問わず、ですね。 編注: 女性政治家が少ない背景には、性別役割分担意識や 、 政治が男性のものと考えられてきたため、そもそも女性が候補者になりにくい社会的構造があります。 日本では 2018 年、男女の候補者の数ができるかぎり均等になるよう政党に努力を求める「」(日本版パリテ法)が施行されました。 「自分と違う人がいる」と知っている、フランスの人々 髙崎:最後に一つ、お話したいことが。 会話しながらずっと考えていたのが、「自分と違う人は見えない」という西村さんの(前編での)ご意見と、今私たちがいるフランスのことなんです。 フランスの人たちは、「違う人がいる」のは見えているんですよね。 必ずしも互いに理解しあってはいないのですが、「いる」のは見えていて、その存在を否定しない。 そのいい例が、12月から続いている年金改革反対のストライキ。 大多数の人が「自分の仕事の話ではないけれど、まあ分かる」と許容しています。 「不便だ」「長い」と文句ブーブー言いながらですけども。 フェミニズムに関しては、DVで女性が亡くなる「フェミサイド」に抗議するデモがありますが、ここでも抗議する人々を迷惑がったり、否定する声は上がらないんです。 男性からも、女性からも。 道や駅が封鎖されたり、生活に影響が出ても、「必要なことだ」と受け入れる。 西村:フランスの人は、そういう抽象的なことの理解が早いですよね。 ストに積極的に賛成ではなくても、「自分がいつかストをやるときに応援してほしいから、応援する」というのが成立している。 日本ではあまりそういう意見は聞かないんですよね……。 なんでフランス人には、他人が見えているんですかね? 髙崎:私も不思議で、機会があるごとにフランスの人に尋ねるんですが、みなさん一様に「教育」って答えますね。 「自分と意見の違う他人がいる。 それを尊重しろって、小さい時から叩き込む! ここは自由・平等・友愛の国なんだから! その理念に近づくためには、 教育が全て!」って熱弁されます。 西村:へぇー。 髙崎:それを叩き込む授業が小学校から高校までの「道徳」の時間だそうで。 今別件で取材中なのですが、草の根の教師から担当省庁のトップまで、みんなが同じように「他者の尊重が一番大事」と言うんです。 その徹底ぶり、興味深いですよ。 この作業は、今の日本にもっと必要だろうな、とお話しながら思いました。 そのためにできることを、考えていきたいなと。 西村:うーん。 日本ではなかなか、難しいんじゃないかと思いますけど。 髙崎:フランス人にできることが、日本人にできないはずはないと、私は希望を抱いているんですが……日本ですでにできている方もいますし、 その数を増やしていきたいですね。 今日は長い時間お話くださり、ありがとうございました。 西村:どうもありがとうございました。 【ハフポスト日本版 編集部より】 今回の企画は、フランスに住むライターの髙崎順子さんから提案があり、ハフポスト日本版の編集部が賛同して進めました。 編集部としても、意図をあらためてお伝えします。 企画名の「 私たちのフェミニズム をみんなで語ろう」のハッシュタグには、あえて「たち」をつけました。 フェミニストという言葉を使おうが、使うまいが、この社会ではそれぞれの個人を尊重するという態度に関して、ただ「傍観者」のままでいることはできないと考えたからです。 ただ、前編の記事にはたくさんのご批判をいただきました。 記事ではこうした企画意図や取材のルールについての丁寧な説明が不足していたと感じています。 編集部としても、西村さんと意見が異なることや、「事実誤認」だと思ったことを、「編集部の注釈」という形でより多く入れるべきでした。 心から反省し、謝罪をします。 これからも、インタビュー相手が持つ、「フェミニズムという言葉のとらえ方」をじっくりと聞いていきます。 フェミニストとは違う立場に見えても、障害や人種などの「差別」について怒っていたり、日本の働く環境などの「古い仕組み」に関しては改革しようとしていたり、自分の「身近なパートナー」に対してはフェアであろうとしたりする人もいます(ひろゆきさんについては、どう思われたでしょうか?)。 会話を進めることで、「人権」と同様、「フェミニズム」も、誰もが自分の中で当たり前に持つ言葉にできないか、髙崎さんやハフポスト日本版の普段の読者の方とは正反対の思想を持つようにみえても、どこか小さなところでも共通点を見つけ、言葉は違っても、「同じ立場」から、社会を良くできないか。 もちろん女性が受けてきた苦しみ、我慢して耳を傾け続けてきても何も変わらなかった長い歴史を考えると、「私たち」という言葉には暴力性があることを自覚しています。 これまでジェンダーをめぐる差別を積極的に取材してきた編集部内にも、様々な意見がありました。 インタビュー前編では、ハフポストからの説明が全く足りず、記事内の言説が一方的に際立つことになりました。 今回の反省を生かしながら、企画の説明をしながら、アイデアを募りながら、地道に進めていきたいと思います。 専門家の話も聞きますし、女性の立場を良くするために戦ってきた方たちにもインタビューをしていきます。 ひろゆきさんへのインタビューについて、髙崎さんはTwitterを通して議論を深めていますし、対談で思ったこともあらためて記事で書いていただく予定です。 ひろゆきさんもブログなどで感想を書いています。 みなさんのご意見をお待ちしています。 ハフポストにとっても、これまでと違う新たな試みです。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 ハフポスト日本版編集長 竹下隆一郎 (取材・文:髙崎順子 写真:松村史郎 編集:笹川かおり 、ハフポスト日本版編集部).

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