オーストラリアの山火事を日本人はどう考えるべきなの? このところ、旅行者には心配のニュースがいろいろ聞こえてきます。 世界的な異常気象、新型コロナウイルスに関するニュース映像などを見ると、思わず海外旅行をためらってしまう瞬間もあるかと思います。 オーストラリアの山火事に関するニュースもショッキングでした。 人の手によりコアラが水を飲んでいる映像だとか、炎で真っ赤になった世界を消防隊員が駆け回っている映像だとか。 今になっては記録的な豪雨で収束へ向かっていると言いますが、オーストラリアは日本人にとっても人気の旅行先。 毎年のように発生するオーストラリアの山火事について、日本人はどのような点を注意し、どのように考えればいいのでしょうか。 大都市を訪れる限りそれほどナーバスになる必要はない 2020年1月4日のシドニーの眺め。 山火事の煙でわずかにかすんでいる 2019年の末から2020年にかけて、オーストラリアで大規模な山火事が起こりました。 その焼失面積の合計を、BBC放送(英国)が日本の地図と重ねて表示してくれています。 火災で燃えた面積は、東京を中心に南東北、犬吠埼沖、伊豆諸島、静岡の浜松、北陸などを含めた一帯の広さに相当すると分かります。 動植物が焼け死に、人間の命も奪われました。 それほどの火災だったのですから、旅行者も渡航を控えた方が賢明だったのでしょうか。 実際にさまざまな命が失われているため、表現に注意が必要ですが、オーストラリアの山火事について言うと、大都市観光を主なプログラムにする一般的な旅行者の行動には、深刻な影響がそれほど大きくはないと考えられます。 その理由は主に3つあります。 オーストラリアの国土は広く、2019〜2020年の山火事でも焼失面積は国土の3% 旅行者が主に訪れる都市部と火災の起きている森は遠く離れている 火災のピーク時期はだいたい決まっている オーストラリアの国土は広く、2019〜2020年の山火事でも焼失面積は国土の3% オーストラリアの国土は広いです。 日本の外務省のホームページによると、 <769万2,024平方キロメートル(日本の約20倍,アラスカを除く米とほぼ同じ)>(外務省のホームページより引用) とあります。 地球儀が手元にあれば直感的に分かりやすいですが、アラスカを除くアメリカ合衆国とオーストラリアの大きさは、ほとんど同じくらい。 日本の国土と比べると、約20倍という広さになります。 日本に暮らしながら激しい森林火災のニュース映像を見ると、何かオーストラリアの大半が燃えているような印象を受けてしまいます。 10億匹の動物が焼け死んだというと、天変地異が起きているのではないかという印象すら受けます。 確かに毎年のように山火事が起きるオーストラリアでも、2019〜2020年は前代未聞の規模で火災が発生しました。 しかし、燃えているエリアはオーストラリアの国土全体で考えると、あくまでも一部の3%です。 被災した地域に暮らす人々からは、政府に対する憤りの声も挙がったと、日本のニュースで報じられています。 しかし、オーストラリア大陸全体で見ると、焼失面積は3%です。 さらに毎年のように山火事が起きるオーストラリアでは、 「山火事が広がらないように、レンジャーなどが野焼きする『Control Fire』といった施策もとられています」 とオーストラリア政府観光局の方は言います。 火災リスクが高いエリアに暮らしている人たちの尊い命が奪われた現実は、誠に痛ましいです。 しかし、都市部を周遊する観光客が、オーストラリア行きの旅行を即刻中止すべきほどにリスクが高いとは、一概に言えないみたいですね。 旅行者が訪れる都市部と森は遠く離れている 山火事の煙でわずかにかすむメルボルン郊外 森林火災が起きているエリアは、森林です。 シドニー、メルボルン、ブリスベン、パース、アデレードなど大都市を訪れる旅行の場合、森林火災の影響は限定的です。 もちろん、都市部に火災の煙が流れ込むケースは考えられます。 今回(2019〜2020年)の火災の広がりを、NASA(米航空宇宙局)の情報を基にBBC放送が可視化してくれた地図が、インターネット上で公開されています。 その地図を時系列を見ると、シドニーの郊外の森で、2019年末に大規模な火災が広がった様子が分かります。 この時期の報道を振り返ると、50km離れた森からシドニーに煙が流れ込んできた様子が報じられていました。 この時期の様子をオーストラリア政府観光に聞くと、 「郊外の山火事の煙が、風向きによりシドニーやメルボルンまで達成した日もあり、その際は空気の汚染率が高く、オーストラリア厚生環境局より、煤煙公害に対する注意喚起が発令されました。 緊急の用がない限りは外出を控えること、循環器が弱い・悪い方、お子さま、お年寄りは注意するようにとのことでした。 ただし、これは一時的なものでして、現地の住人たちはいつもと変わらない生活を過ごしていましたし、オーストラリア人はマスクはしません。 また、シドニーの有名なハーバーブリッジを歩いて登る人気ツアー『ブリッジクライム』の中止は1回きりでした」 との話。 もちろん煙が届けば、ある程度の影響が出てきます。 しかし、外からニュースで見ているほど、都市部に暮らす人たちは森林火災の影響を深刻には受けていない、「Business as usual」(普段通り)だと分かります。 「乾燥した大地で『Dry Country』などと呼ばれるオーストラリアでは、毎年夏に山火事(ブッシュファイヤー)はどこかで起こっていますので、日本の地震のようなイメージで慣れているイメージがあるかもしれません」 観光客については、さすがに地元の人と同じ感覚ではいられないはず。 しかし、日本に暮らしながら日本でニュースを見ている印象ほど、都市部に暮らす人はナーバスになっていないのですね。 火災のピーク時期はだいたい決まっている この記事は一部を2020年2月初旬に、一部を2月の中旬に書きました。 豪ACT緊急事態庁(ACT Emergency Service Agency)によると、初旬の段階ではピークを過ぎたものの火災が続いている状態でした。 特にオーストラリア南東部で、山火事が依然として盛んでした。 しかし、中旬の段階では、「恵みの雨」とも言われる記録的豪雨が降り、逆に火災のあった森に激流が生まれ、都市部に水害が起きているほどだと、やはり日本にもニュースが届き始めていました。 あらためて中旬にオーストラリア政府観光局が出している火災地域のリアルタイム情報を確かめると、ほぼオーストラリア全土で火災の影響がなくなってきている状態でした。 火災が始まったころは、「終わりが見えない」と日本のニュースで盛んに報じされていました。 しかし、現状を聞くと、 「先週末を含め、先月から何度かまとまった雨が降っていますので、山火事は終息とは言えませんが、収束に向かっています。 日本の自衛隊派遣も任務を終えて週末に帰国しました」(2020年2月10日時点の情報) との話です。 もちろん、 「まだ乾燥するオーストラリアの夏はもう少し続きますし、ここ数年、日本で起こっている台風被害や温暖化現象を見ていると、油断はできないと思われます」 とのコメントがありました。 ただ、一般的な見方としては、ピークは過ぎたと考えられるみたいですね。 オーストラリア政府観光局のホームページにも、 <山火事はオーストラリアの夏季(11月から2月)に、高温で乾燥した気候が原因となって発生>(オーストラリア政府観光局のホームページより引用) と書かれています。 ピークは11月から2月。 先ほども紹介したBBC放送の火災地図を時系列で見ても、2020年1月から2月にかけて、火災のエリアは急速に狭くなっている様子が見て取れました。 その意味で言えば、日本からの旅行者は毎年11月~2月の夏季に山火事リスクの高い区域への旅行をやめ、都市部に限って行動をした方が賢明だと考えられます。 動物が焼け死んだり、森が焼け野原になったりする様子を日本に居ながらニュースで見せられると、旅行をキャンセルしたくなる気持ちも分かります。 しかし、実際にオーストラリアに予定通り出かける行動こそが、毎年の火災と向き合うオーストラリアを支援する形になるのだと、オーストラリア政府観光局も公式ホームページで訴えています。 今シーズンは収束に向かっている山火事ですが、次の夏以降、また同じような火災が起きる可能性は高いです。 その場合、オーストラリアの山火事シーズンをどう考えればいいのか、あらためて参考にしてみてください。
次の()の衛星写真と火事が起きている場所 オーストラリアの森林火災(英語:Bushfires in Australia)は、で発生するである。 人間や動物たちの多くを死傷させているが 、その一方オーストラリアのの一部は、繁殖の手段として火災を利用する形に進化している。 例として、という植物は、火災の刺激を受けて種をまくようになっている。 このようにオーストラリア大陸で発生する火災は自然環境の一環として、生態系に受け入れられていた。 また原住民のも、が多い限られた地域ででを行っていた。 しかし、西洋人の無計画な森林伐採・野焼き・火の管理と、燃えやすい植物の導入、そしてにより、森林火災が拡大するようになった。 に発生したの森林火災の様子。 山火事や森林火災はWildfireであるが、Bushfireとなっているのは、燃える場所が ()という訳ではなく、オーストラリアやの方言で未開発地域 もしくは僻地 という意味の「 ()」から来ている [ ]。 こういった地域は、やに不向きで、アクセスも悪く大抵の場合はのような形になっている。 原因について [ ] 直接的な原因について [ ] 自然現象• 強風による送電線の倒壊 人為的• からの• 放火(タバコ、マッチのポイ捨て含む)、野焼き、焼き畑、キャンプファイヤー• 放電などで金属をつなぐ作業、金属を削るのような火花が出る作業 動物の習性によるもの オーストラリアに棲息する、、 ()らの鳥は、火が付いた枝を草原に落とし発火させる事で、火から逃げる餌を捕らえる習性を持つ。 間接的な要因について [ ] 乾燥した気候により燃えやすく、非常に強い風が吹きやすい事から燃えた後に拡大しやすい。 とくに、によって降雨量が低下し日照量が大きくなると、ちょっとした火でも発生しやすくなる。 原住民のアボリジニは決められた野焼きの管理を行っており、この地域を訪れた多くの冒険家はそれに言及してる。 冒険家のは、その野焼きから「煙の大陸(This continent of smoke)」とも呼んでいた。 生物学の専門家で環境保護活動を行っているメルボルン大学教授 ()は、「西洋人が大陸を管理するようになり大火災の悲劇が起こるようになった」と述べている。 別の研究者による2001年の研究では、伝統的な野焼きのやり方を捨て、制限のない伐採と野焼きを行った事により、オーストラリアの多くの地域、特に乾季に大規模な山火事が発生しやすくなったと発表している。 2017年の研究では、大木を伐採し、低木しか残らなくなったことで大火事が起きやすくなったと発表された。 植生の変化 1942年から2014年に侵略型有害外来植物と認定されるまで、燃えやすいアフリカ原産の ()が牧草として大量に植えられてきた。 ガンバグラスは繁殖力が高く、在来植物を駆逐しながら住宅街にまで進出し、火事の際に火の手を拡大させる。 対策について [ ] 火災後に内側から出るの ()。 火事に適応進化した一例で、他に栄養分を貯め込み火事後に芽吹く肥大化した根( ())などの対策が行われている。 動植物の対策について [ ] ()で、火災後の生態系について研究がなされている。 オーストラリアの植物は火災に備えた形に進化しており、その例の一部として、以下のものがある• 焦げた表皮の下から出てくる ()• 栄養を貯め込み火災後に芽吹く肥大化した根 ()• 種は火災後にまかれたり、火災後の最初の雨をトリガーに芽が出るようになっていたりする。 動物 哺乳類は逃げたり、川や水辺に避難し、小型の両生類などは湿った土や岩の下などに避難する。 しかし、これらが出来なかった動物は、炎や煙に巻かれ死亡することになる。 政府による対策について [ ] は火災天気予報(fire weather forecasts)という情報を提供している。 温度、相対湿度、風速、植物の乾燥度合から予測され、新聞やラジオ、テレビ、インターネットを通じて伝達される。 また、やを使ったリアルタイム山火事監視システムも開発され、それらの情報も予測や研究に貢献している。 2009年、標準化された火災危険評価(Fire Danger Rating、略:FDR)がオーストラリアのすべての州で採用された。 消防士が火災に対する理解と対策をするために開発された25mの風洞施設 ()が建設された。 火事が起きそうな期間は、消防局によって Total Fire Ban(火気使用禁止令) が発令され、火の取り扱いを制限する。 この期間にマッチやたばこのポイ捨て、野外調理等が通報されれば逮捕される。 住民の対策について [ ] 山火事が発生しやすい地域の住民には、火災の場所に関する情報や避難情報に関する教育や情報提供が行われている。 山火事が起きやすい地域での建築基準法 ()がある。 一覧 [ ]• Christian Today. 2020年1月5日閲覧。 BBC News. 2020年1月5日閲覧。 BBC, 22 November 2019• 作成日:2020年01月2日 BBC• Tangentyre Landcare. 2005. Archived from the original PDF on 27 February 2015. "Historical role of fire" Ward, D. , Lamont, B. 2001 Grasstrees reveal contrasting fire regimes in eucalypt forest before and after European settlement of southwestern Australia. Forest Ecology and Management 150: 323—329. Wilson, Nicholas; Cary, Geoffrey J. ; Gibbons, Philip 15 June 2018. International Journal of Wildland Fire 27 5 : 353—362. A—Z listing of weeds: Photo guide to weeds. Queensland Department of Primary Industries. の呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。 , Jennifer Atchison. 2015. Governing invasive plants: Policy and practice in managing the Gamba grass Andropogon gayanus — Bushfire nexus in northern Australia. Land Use Policy 47: 225—234• 2010年2月1日閲覧。 作成日:2013年10月23日 AFP通信• オーストラリア消防局• CNN• 2017年2月20日閲覧。 関連項目 [ ]• - オーストラリアと同じく山火事の多い地域として知られる。 日本の森林火災対策法• - たき火などの紛らわしい火・煙が出る場合は、近くの消防局に連絡を行う必要がある。
次の森林火災の地域で洪水の恐れ 今回の大雨は、同州で発生した大型の森林火災2つを消し止めた。 1つは「カロワン・ファイヤ」と名付けられた火災。 74日間にわたりショールヘイブンの町の50万ヘクタール近くが焼け、住宅312棟が破壊された。 もう1つは、シドニー北西で発生した「ゴスパーズ・マウンテン・ブレイズ」。 昨年10月から燃え続け、「消化するには大規模すぎる」とされていた。 BOMは、森林火災の影響を受けた地域では特に洪水が発生しやすく、高速で流れる水によって大量のがれきが流される可能性があると警告している。 ニューサウスウェールズ州では依然として31件の森林火災が続いているが、差し迫った危険はないとみられる。 <関連記事>• 水不足の解消に 今回の大雨はまた、数年間、干ばつ問題に取り組んできたニューサウスウェールズ州で、水の供給不足を補っている。 Image copyright Reuters Image caption 昨年12月に撮影したニューサウスウェールズ州ワラガンバ・ダムの様子。 先週末の間に水位は2倍近く上昇した 同州のワラガンバ・ダムはシドニー市内の大部分に水を供給している。 用水供給事業者のは、ワラガンバ・ダムの貯水率は70%に近づいているとしている。 先週末の時点で、同ダムの貯水率はわずか42%だった。 2019年はオーストラリアの観測史上最も乾燥した年だった。 200人を救助、交通網に影響も オーストラリアで最も人口の多いニューサウスウェールズ州沿岸地域一帯には、荒天警報が発令されている。 先週末にかけて、シドニーだけで少なくとも200人が緊急サービス局(SES)によって助け出された。 緊急サービス局報道官のマット・カービー氏は、「いたるところが被害を受けている。 どこが一番ひどいかを特定するのは難しい」と述べた。 Image copyright EPA Image caption 緊急サービス局は数千件もの救助要請に対応している。 写真は冠水したシドニー市内を歩く男性 9日午後、シドニー中心部で倒れてきた木が車を直撃し、車内にいた4人を含む7人が負傷した。 救急サービスは10日朝、車ごと橋から流されたとみられる男性1人の捜索を行った。 この日、シドニーの鉄道やフェリーサービスも混乱した。 市内のメイン駅の1つ、セントラル駅の複数のホームが水没した。 数十の学校が閉鎖されている。 警報を「真剣に受け止めて」 デイヴィッド・エリオット国家非常事態相は、シドニー市民に対し、救助活動を助けるために、洪水現場に近寄らないよう呼びかけた。 さらに、可能であれば道路から離れるなどし、警報を真剣に受け止めるよう求めている。 SESは10日、混乱回避のために、住民に仕事を休んで自宅で待機するよう忠告した。
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