概要 京都の私大、英都大学社会学部の助教授 准教授。 誕生日は。 ダリの繭から 初登場時32歳、その後33、34と徐々に加齢していたが、最近の作品では停滞しているようだ。 犯罪社会学を専攻しており、フィールドワークと称して殺人事件の現場に乗り込んでは事件を解決する。 過去の実績から近隣と友好関係を結ぶことに成功しており、難解な殺人事件が起こると、警察の要請を受けて現場に赴く。 その類を見ない研究スタイルから、の 通称アリス に、 「臨床犯罪学者」と名付けられた。 人物 定番の紹介は、「犯罪学者で、法律、法医学、にまで造詣が深い。 (中略)語学に堪能で、喧嘩まで強く、、、ボトルシップ作りとの調教、性欲の権威。」 これは、アリスが言い出し二人が共有する冗談の様なもの。 火村が経験者であること、猫好きで数匹飼っていることなど、一応事実を元にはしている。 外見 若白髪の混じる黒髪に、端正な顔立ち、スラリとした体躯。 当然女性にモテるが、当人は女嫌い。 服装に無頓着で、のシャツとジャケットに、をだらしなくぶらさげているのが基本スタイル。 アリスから、「碁石みたい」と評されるファッションセンス。 事件捜査中は、黒い絹の手袋を着用する。 身を持ち崩したインテリギャンブラー風と称された事もあるので、やさぐれた雰囲気を醸し出していると思われる。 考え事をしている時下唇を撫でる癖がある。 ドラマ版では謎が解けると 「この犯罪は美しくない」と呟くのが恒例。 これはドラマによくある決め台詞の様なもの。 原作の火村に決め台詞は無いが、似たような台詞を言った事はある 性格 シニカルな現実主義者で、徹底した無神論者。 口が悪く女嫌いだが、としての礼儀は備えている。 外面はで如才ないが、近しい者にはおどけた面やだらしない面も見せる。 その近しい者がアリスとばあちゃんと猫しかいないのが問題といえば問題。 友達らしい友達はぶっちゃけアリスだけだが、同僚や懇意にしている刑事達と信頼関係は築いているし、旧友の誘いも受ける。 喫煙者であり、キャメルを愛煙している。 過去に何かあるらしく、。 「人を殺したいと思った事があるから」殺人者の罪を暴きファイリングする。 「犯罪だけが友」とうそぶき、己の暗闇と殺人者に向き合い続け、そして毎回 「誰かを惨殺する」悪夢を見てはうなされ苦しむを繰り返す。 その一方で、辛抱強く見守るアリスには気付いているのかいないのか・・・・ 北白川にある元下宿屋に、時代から一貫して住んでいる。 火村は唯一にして最後の店子なので、のびのびと根を降ろし、大家の婆ちゃんを実のの様に気遣い、世話を焼かれながら猫3匹 瓜太郎、小次郎、桃 と暮らしている。 アリスとは互いに英都大学2回生の頃からの親友。 講義中にアリスが執筆していた応募作の推理小説を火村が勝手に読み、「その続きはどうなるんだ?」と聞いたことが、長いの始まりだった。 現在も互いの家に出入りし、何かにつけて共に呑み、二人で旅行に出かける仲。 しかしそのアリスにも壁を作り、何処か突き放した態度を取る事がままある。 関連イラスト.
次の「作家アリス」シリーズとは 大学教授の「 火村英生」を探偵役、推理作家の「 有栖川有栖」をワトソン役として、2人で難事件の解決にあたるシリーズです。 「 火村英生シリーズ」とも呼ばれ、2016年には 斎藤工さん主演で、「臨床犯罪学者・火村英生の推理」というタイトルでドラマ化もされました。 ちなみに、「作家アリス」シリーズの有栖川有栖は「学生シリーズ」を書く推理作家、「学生アリス」シリーズの有栖川有栖は学業の傍「作家シリーズ」を執筆している、という関係で、二つのシリーズはいわゆるパラレルワールド的な関係になっています。 「国名」シリーズとは さて、「作家アリス」シリーズ 以下、火村英生シリーズ を語る上で外せないのが「 国名シリーズ」です。 有栖川有栖はエラリィ・クイーンの大ファンで、この国名シリーズもクイーンの国名シリーズに則っています。 違いといえば、クイーンの国名シリーズは長編揃いなのに対し、こちらは中・短編がメインということくらいでしょうか。 「作家アリス」シリーズ 火村英生シリーズ を読む順番は さて、本シリーズは現在まで短編〜長編合わせて 24編も!発表されています。 一つ一つの話はちゃんと完結しており、火村とアリスの出会いや関係も少しずつ語られていくため、正直読む順番は特に無いんですが、ここは刊行順に読んでいくのが王道でしょう。 ということで、以下刊行順に24編を並べます。 『46番目の密室』(長編) 『ダリの繭』(長編) 『ロシア紅茶の謎』(短編・国名シリーズ) 『海のある奈良に死す』(長編) 『スウェーデン館の謎』(長編・国名シリーズ) 『ブラジル蝶の謎』(短編・国名シリーズ) 『英国庭園の謎』(短編・国名シリーズ) 『朱色の研究』(長編) 『ペルシャ猫の謎』(短編・国名シリーズ) 『暗い宿』(短編) 『絶叫城殺人事件』(短編) 『マレー鉄道の謎』(長編・国名シリーズ) 『スイス時計の謎』(中編・国名シリーズ) 『白い兎が逃げる』(中編) 『モロッコ水晶の謎』(中編・国名シリーズ) 『乱鴉の島』(長編) 『妃は船を沈める』(中編) 『火村英生に捧げる犯罪』(短編) 『長い廊下のある家』(中編) 『高原のフーダニット』(中編) 『菩提樹荘の殺人』(中編) 『怪しい店』(短編) 『鍵の掛かった男』(長編) 『狩人の悪夢』(長編) 細かくいうと『菩提樹荘の殺人』と『怪しい店』の間にあと3編あるんですが、、いずれも自選短編集なのでここでは割愛します。 さて、上述した通り24編もあるので、順番に並べたところでこんなに読む時間ねーよ!!となる方が大半だと思います。 ということで、ここからは私の おすすめ5選を紹介します。 時間の無い方や、特に面白いやつを厳選して読みたい!という方は是非参考にしてください。 「作家アリス」シリーズ 火村英生シリーズ のおすすめ5選! 『46番目の密室』 記念すべきシリーズの第1作目。 45もの密室トリックを発表してきた大推理作家、真壁聖一の別荘に招かれた火村とアリスが殺人事件に巻き込まれます。 第1作目とは思えないクオリティの高さ、 密室トリックの素晴らしさ、お見事というしかありません。 火村とアリスの関西弁の掛け合いが面白く、そこまで重苦しく感じることなく読めます。
次の大阪 中之島にあるプチホテル「銀星ホテル」で一人の男が死んだ。 ベッドの手すりにカーテンのタッセルをくくりつけ首を吊ったのだという。 警察は自殺と断定したが、銀星ホテルで男と交流のあった作家・影浦浪子はそれに納得せず、アリスと火村に個人的に調査を依頼する。 男の名前は梨田稔。 5年前の65歳の頃から銀星ホテルのスイートルームに住み続けており、ボランティアや読書などをしながら静かに日々を暮らしていた。 死亡時、通帳には2億円以上の預金が残っていたが、生前男と親しくしていたホテルの従業員や常連客は、彼が昔酒の量販店で成功したのを本人から聞いた以外ほとんど男の過去を知らなかった。 大学の入試対応で京都から動けない火村に代わり、アリスが単独調査に乗り出した。 登場人物 銀星ホテル関係者• 桂木鷹史:銀星ホテルの若き支配人。 婿養子。 桂木美菜絵:銀星ホテルのオーナー。 両親の後を継いでホテルを経営している。 鷹史の妻。 丹羽靖章:銀星ホテル副支配人兼レストラン長兼営業部長。 高比良和機:銀星ホテル従業員。 水野由岐:銀星ホテル従業員。 影浦浪子:銀星ホテル宿泊客。 402号室を定宿としており梨田とは茶飲み友達。 日根野谷愛助:銀星ホテルの宿泊客。 呉服商。 事件当夜、 梨田と夕食をとっていた。 鹿内茉莉香:銀星ホテルの宿泊客。 ミュージカル・ソウ演奏者。 部屋で演奏してほしいという梨田の依頼を断ったことがある。 露口芳穂:銀星ホテルの宿泊客。 美菜絵の友人で東京在住。 遺産相続の話し合いのため大阪へ帰省していた。 梨田のお気に入り。 萬 昌直:銀星ホテルの宿泊客。 自宅リフォーム中の仮住まいとして銀星ホテルに宿泊中。 萬貴和子:昌直の妻。 梨田稔:銀星ホテルの長期宿泊客。 夜の11時から翌午前2時の間に401号室のスイートルームで首を括っているのを、翌朝発見された。 調査開始 警察が自殺と結論を出した事件を調査するといういつもとは勝手の違う状況で、銀星ホテルのオーナー夫妻の全面協力下のもと、アリスはホテルに宿泊しながら事件関係者らの話を聞き梨田の人となりを知ることから調査を開始した。 その過程で分かったことは、梨田稔の過去を知るものがほとんどいないということだった。 自然、調査は梨田の過去を知ることへと向けられていく。 ホテルに乗り込む前に事件を担当した刑事に聞いたところによると、他殺を疑うような不審な物は何も見つかっていないという。 70を目前に控えた身寄りもない寂しい男が、孤独を募らせた結果自死を選んだのだろうという合理的な解釈を疑う者はいなかった。 死ぬ直前に飲んだと思われる睡眠薬の包みや容器が見つかっていないこと、亡くなる数日前、梨田が歌でも歌いだしそうなほど機嫌が良かったことなどを拠り所に、アリスは他殺を前提とした調査をスタートさせた。 梨田の過去を探るうち、彼にはとんでもない過去があったことが分かる。 毎週木曜日にボランティアで電話相談を行っていたが、16日だけは休んでいた。 30年前、飲酒運転で70代の老人をひき逃げし死亡させていた。 その直後知人男性から車と金を奪い、大けがを負わせ逃走した。 数日後に出頭し、裁判の結果6年半の間岡山の刑務所にいた。 ひき逃げをした当時、「カコちゃん」という恋人がいた。 カコちゃんは梨田が刑務所に入っている間、別の男性との間に子どもができたらしい(時期的に梨田の子ではないとのこと)。 16日はひき逃げの起きた日で、おそらく墓参りに行っているのだろうとアリスは推測する。 その後銀星ホテルの従業員から梨田が16日に墓参していたという証言を得るが、梨田が手を合わせていた墓はひき逃げの被害者のものではなく、ホテルの支配人・鷹史の母親の眠る墓であることが確定した。 カコちゃん=鷹史の母だったのだ。 鷹史は自分の父親について何一つ知らないという。 父親の写真は一枚もなく、誰に聞いてもはぐらかされたらしい。 梨田は元恋人の忘れ形見のそばで暮らしたかったのだろうと思われる。 梨田と鷹史には同じような身体的特徴があり、それもまた梨田の郷愁と共感をあおったのだろう。 少しずつ梨田の過去が分かっていく。 だが依然梨田の死が自殺か他殺かははっきりとしない。 火村登場 試験監督を終えた火村が銀星ホテルに到着した。 早速401号室へと赴き、事件当時梨田が履いていたスラックスの汚れに着目する。 左すねの辺りの引きずった跡のような小さなチョコレートの染みだった。 また梨田が付けていた時計に指紋が残っていないことにも引っ掛かりを覚えていた。 2人の血縁関係を疑っているのか、こっそり梨田と鷹史のDNA鑑定を依頼するという。 自殺か他殺かはっきりしなかった事件について、火村ははじめて他殺と断言した。 火村とアリスの話を聞いた大阪府警の船曳警部と担当刑事も、その方向で動きだすことを約束した。 他殺とはいえ犯人に繋がる手掛かりが何一つ見つからない。 梨田がひき逃げ事件を起こした日、カコちゃんと旅行中だったという彼女の友人の話を聞きに行ったり、事件当時の常連宿泊客らが再びタイミングよく銀星ホテルに集まり改めて話を聞いたり、オーナー夫妻に子どもができていたりというおめでたい事実が飛び出してくる中、事件が動いた。 梨田の遺書が銀星ホテルに郵送されてきたのだ。 おそらく梨田を手に掛けた犯人によるものと思われる。 遺書の内容はすでにアリスと火村が調べた事が正しかったことを証明するものばかりで、特別なことといえば遺産の半分を鷹史に、残りを交通遺児育英会に寄付するというものくらいだった。 他人の手で遺書が送られてきたことでようやく他殺の物的証拠が出たというアリスの隣で、火村は犯人も分かったという。 送られてきたこと自体がとんでもない情報の塊だと言うのだった。 犯人は 二重三重の動機を持っていました。 殺すほどの強い動機は1つですが、それに明確な悪意と自分でも説明のつかない梨田に対する複雑な心理が重なって犯行を実行したとのことです。 火村やアリスたちの前でほぼミスも失言もなかった慎重な犯人ですが、最後の最後に梨田の遺書を郵送したことが命取りになりました。 被害者と加害者、どちらに対しても同情できる面があるし、同情できない部分もあるというやるせなさの残る事件でした。 いつもはとんちんかんな推理ばかりしているのですが、アリスの捜査能力は火村が手放しで褒めるほど高いものでした。 アリスの頑張りによって梨田稔という男の鍵は開いたわけですが、火村英生の鍵はいつ開くのでしょうか。 早く知りたいような分からないままでもいいかというような複雑な気持ちです。 その他の感想はこちら.
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