ねらい 金属を溶かす水溶液があることを知る。 酸性雨との関連について考える。 内容 酸性やアルカリ性の水溶液がどのようなものを溶かすのか実験してみましょう。 試験管にアルミニウム、鉄、銅を入れ、水に浸します。 溶けることはありません。 酸性の水溶液で試してみます。 塩酸です。 pH0.23。 強い酸性です。 アルミニウム。 大量に泡が出ています。 板が半分以下の大きさになりました。 溶けたようです。 泡が出始めました。 少しづつ溶けているようです。 変化ありません。 溶けないようです。 強い酸性の塩酸は、アルミニウムと鉄を溶かし、銅は溶かさないことがわかりました。 次に、pH11.76、強いアルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液で確かめてみます。 アルミニウム。 泡が出始めました。 溶けるようです。 時間が経っても、溶けません。 溶けません。 水酸化ナトリウム水溶液は、アルミニウムだけを溶かし、鉄と銅は、溶かさないことがわかりました。 酸性やアルカリ性の水溶液は、硬い金属を溶かすことがあるのです。
次のもくじ• ポイント• 両性金属はAl Zn Sn Pb ああすんなり)• イオン化傾向の列を書いて、3 1 3で冷水 熱水 高音蒸気圧 問題 アルミニウムを濃い水酸化ナトリウム水溶液に溶かしたときの反応を式にしろ。 考え方• まず、出来上がる錯イオンを暗記しましょう。 暗記することは、 水酸化物イオンの錯イオンの配意数は4 です。 そうすると、 [X OH 4] という形が確定します。 あとは、このXの部分に金属を入れましょう。 よって、生成される錯イオンは [Al OH 4] — 発展 今回、 両性金属の反応について説明しましたが、そもそも両性金属って何?と思う人も多いかと思います。 両性金属とは、酸性にも塩基性にも溶ける金属のことです。 (溶けるとはイオンになるということ) 普通、金属だったら、溶けるのは酸性に対してですよね。 金属は陽イオンになりやすく、酸性を示す液体は陰イオンになりやすいからです。 そのことを示しているのが、今回の問題です。 両性金属Alが塩基性であるNaOHに錯イオンという形で溶けましたね! このようなことを頭に入れておくと、両性金属というものをはっきり明確に覚えておくことができると思います。
次のアルミニウムは13族,亜鉛は12族で,ともに周期表の中央付近に位置します。 また,アルミニウムと亜鉛は,ともに両性元素とよばれています。 両性元素とはどのような性質かを実験を通して調べましょう。 この実験では,比較のためにマグネシウムも使います。 1.2族元素のうちで,アルカリ土類元素に含まれないものは何ですか? ベリリウムとマグネシウム 2.マグネシウムは酸の水溶液に溶けますか,溶けませんか? 溶ける 3.マグネシウムは塩基の水溶液に溶けますか,溶けませんか? 溶けない 小学校のとき,アルミニウムは塩酸にも溶けるし,水酸化ナトリウム水溶液にも溶けることを学んでいますが,きっと覚えていないでしょうね。 実は,アルミニウムはとても難しい金属なのです。 また,亜鉛も,塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の両方と反応します。 しかし,マグネシウムは水酸化ナトリウム水溶液と反応しません。 すなわち,酸とも塩基とも反応するのがアルミニウムと亜鉛の特徴なのです。 <アルミニウム,亜鉛,マグネシウムの性質> 1 塩酸,水酸化ナトリウム水溶液を各2mLずつ入れた2本の試験管を3組用意する。 それぞれにアルミニウム,亜鉛,マグネシウムの3種類の金属片を1〜2枚入れる。 水酸化ナトリウム水溶液については,少し加熱する。 気体の発生がみられたらキャップをして気体を集め,マッチで点火する。 塩酸 水酸化ナトリウム アルミニウムAl 亜鉛Zn マグネシウムMg 実験結果を確認しましょう。 アルミニウムと亜鉛は,酸とも反応するし,塩基とも反応します。 しかし,マグネシウムは酸と反応するだけですね。 テトラtetraとはギリシャ語の数詞で4を意味します。 錯陰イオンでは,元素名の語尾に「〜酸」をつけます。 塩酸 水酸化ナトリウム アルミニウムAl 水素が発生 水素が発生 亜鉛Zn 水素が発生 水素が発生(加熱を要する) マグネシウムMg 水素が発生 変化なし 次に,アルミニウムイオンと亜鉛イオンについて調べてみましょう。 試薬として,塩化アルミニウム水溶液,塩化亜鉛水溶液を使います。 一方の試験管には水酸化ナトリウム水溶液を,他方の試験管には塩酸を1滴ずつ加えて,その都度よく振り,変化を観察する。 (各溶液とも10滴程度で止める。 沈殿を確認した後,さらにアンモニア水を15滴程度加える。 アンモニアNH 3水1滴(少量) アンモニアNH 3水15滴(多量) アルミニウムイオンAl 3+ 亜鉛イオンZn 2+ 実験結果を確認しましょう。 塩化アルミニウム水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を2滴加えると,水酸化アルミニウムAl(OH) 3の沈殿がみられます。 しかし,さらに水酸化ナトリウム水溶液を加えていくと,沈殿が消えます。 また,水酸化アルミニウムに塩酸を加えていくと,アルミニウムイオンになるため,沈殿が消えます。 塩化亜鉛も同様です。 水酸化ナトリウム水溶液を2滴加えると,水酸化亜鉛Zn(OH) 2の沈殿がみられます。 また,水酸化亜鉛に塩酸を加えていくと,亜鉛イオになるため,沈殿が消えます。 沈殿 水酸化ナトリウムNaOH 塩酸HCl アルミニウムイオンから生じた沈殿Al(OH) 3 沈殿が消える 沈殿が消える 亜鉛イオンから生じた沈殿Zn(OH) 2 沈殿が消える 沈殿が消える アンモニアは弱い塩基ですが,水溶液中で水と反応して水酸化物イオンを生じます。 ところが,さらにアンモニア水を加えると,水酸化亜鉛だけが変化をします。 水酸化亜鉛は,テトラアンミン亜鉛 II イオン[Zn(NH 3) 4] 2+となって溶けます。 これが,アルミニウムと亜鉛の違いです。 アンミンとはNH 3のことです。 アンモニアNH 3水1滴(少量) アンモニアNH 3水15滴(多量) アルミニウムイオンAl 3+ 白濁 白濁のまま 亜鉛イオンZn 2+ 白濁 沈殿が溶ける それでは考察です。 アルミニウムと亜鉛の反応をまとめると,次のようになる。 この章の実験のポイントは,次の通りです。 1.アルミニウムや亜鉛は,酸・塩基ともに反応します。 2.アルミニウムイオンや亜鉛イオンに少量の塩基を加えると,水酸化物の沈殿が生じます。 3.水酸化アルミニウムや水酸化亜鉛は,両性水酸化物であり,酸とも塩基とも反応します。 4.アルミニウムイオンや亜鉛イオンに少量のアンモニア水を加えると,水酸化物の沈殿が生じます。 5.水酸化アルミニウムに多量のアンモニア水を加えても,変化が見られません。 6.水酸化亜鉛に多量のアンモニア水を加えると,テトラアンミン亜鉛(II)[Zn(NH 3) 4] 2+となって溶けます。
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