by 読み聞かせ目安 低学年 4分 あらすじ 三匹のがらがらどんどいう名前のヤギが、山に草を食べに行きます。 しかし、途中の谷川の橋の下には、大きなトロルが住んでいて、そこを通る者を、捕って食おうと待ち構えています。 まず、はじめに一番小さいヤギのがらがらどんが、橋を渡ります。 トロルは小さいヤギを食べようとしますが、小さいヤギは、 「すこし まてば、二ばんめやぎのがらがらどんが やってきます。 ぼくより ずっと おおきですよ」 といって、橋を渡らせてもらいます。 次に、二番目のヤギが橋を渡ります。 するとまた、トロルがそのヤギを食べようとしますが、二番目のヤギもまた、 「おっと、たべないでおくれよ。 すこし まてば、おおきいやぎのがらがらどんが やってくる。 ぼくより ずっと おおきいよ」 といって、橋を渡らせてもらいます。 最後に、大きいヤギのがらがらどんが、がたんごとんと大きな音を立ててやってきます。 その音にトロルは、 「いったいぜんたい なにものだ、おれのはしをがたぴしさせる やつは」 と、どなります。 すると、大きいヤギのがらがらどんは、 「おれだ!おおきいやぎの がらがらどんだ!」 といって、勇敢にトロルに立ち向かい、飛びかかり、角でトロルを串刺しに、蹄でこっぱみじんにしてしまったのです。 それから、三匹のヤギは山へ草を食べに行き、歩いて帰れないほど食べて太ったのでした。 読んでみて… 有名な北欧の昔話です。 単刀直入なはじまり、そして同じことの三度の繰り返し。 繰り返しの最後で、対峙してきた相手をやっつけて終わる、という昔話のセオリー通りの、これぞ昔話、という感じのお話になっています。 一番目、二番目、三番目という繰り返しは、聞いている子どもたちに、ワクワク感と共に、知っていることが出て来る安心感を与えます。 小さなものが知恵を働かせて難を逃れること、そして、最後に大きいヤギのがらがらどんが、悪者のトロルを退治することで、痛快感を味わうと共に、大きな者への尊敬と信頼、憧れを抱かせます。 子どもたちは、自分の姿を一番小さいヤギに重ねながら、自分も大きくなったら、大きいヤギのがらがらどんのように、強くたくましくなれるという期待を抱くことができるのです。 小さいヤギは、トロルに対峙したとき、とても怯えた表情をしていますが、大きいヤギのがらがらどんは、がたんごとんと橋を渡ってきたときから、実に堂々と、凛々しい顔でトロルに立ち向かいます。 負ける余地などみじんもないほどの神々しさをもっています。 社会における、大いなる者への尊敬、憧れを十分に看取できるように描かれているのです。 トロルは、北欧の国々に伝えられる怪物です。 北欧ではいろいろなタイプのトロルがいるようで、このお話のような大きな怪物もいれば、小さなものも、男女も問わずいるようですが、このお話のトロルは、大きくて怖い、生き物を丸のみにしてしまうトロルです。 寒く厳しく険しい北欧の自然への脅威を形象化したものでしょうか。 この絵本は、ずいぶん荒々しいタッチで描かれています。 山は険しく、岩はゴツゴツとして、のどかな牧場とはまるで違った、厳しい北欧の自然そのものを描いています。 作者のマーシャ・ブラウンはカの作家ですが、このお話の生まれた北欧の自然と、そこで生きてきた人々の暮らし、伝承してきたものをしっかり理解して、この絵本を描いたのだということがよくわかります。 また、この絵本はによる訳の文章にも力があります。 無駄がなくすっきりとして、テンポが良い。 躍動感にあふれ、大きいヤギのがらがらどんがトロルに向かっていくところは、 「さあこい!こっちにゃ 二ほんの やりがある。 これで めだまは でんがくざし。 おまけに、おおきな いしも 二つある。 にくも ほねも こなごなに ふみくだくぞ!」 と、気っぷが良く迫力満点です。 「でんがくざし」に関しては、今の子どもには・・・?だと思いますが、後で軽く説明すれば良しとして、とにかくお話と絵の迫力、躍動感と調和した見事な訳文になっていると思います。 翻訳文でありながら、国語表現としても十分鑑賞できる、優れたテクストだと思います。 以前受講した、読み聞かせ講座の講師の先生から伺ったのですが、この絵本は、マーシャ・ブラウンの本国カより、日本の方が良く売れているんだそうです。 意外な感じがしますが、それにも訳文の力が寄与しているのかもしれませんね。 昔話そのものの持つ力と、それを良く理解し表現した絵の力、訳文の力が全て揃って、とても力強い、生命力あふれた絵本になっていると思います。 ランキングに参加しています。 ポチっとしていただけると嬉しいです。 今回ご紹介した絵本は『』 マーシャ・ブラウン絵 訳 1965. 7 でした。
次のby 読み聞かせ目安 低学年 4分 あらすじ 三匹のがらがらどんどいう名前のヤギが、山に草を食べに行きます。 しかし、途中の谷川の橋の下には、大きなトロルが住んでいて、そこを通る者を、捕って食おうと待ち構えています。 まず、はじめに一番小さいヤギのがらがらどんが、橋を渡ります。 トロルは小さいヤギを食べようとしますが、小さいヤギは、 「すこし まてば、二ばんめやぎのがらがらどんが やってきます。 ぼくより ずっと おおきですよ」 といって、橋を渡らせてもらいます。 次に、二番目のヤギが橋を渡ります。 するとまた、トロルがそのヤギを食べようとしますが、二番目のヤギもまた、 「おっと、たべないでおくれよ。 すこし まてば、おおきいやぎのがらがらどんが やってくる。 ぼくより ずっと おおきいよ」 といって、橋を渡らせてもらいます。 最後に、大きいヤギのがらがらどんが、がたんごとんと大きな音を立ててやってきます。 その音にトロルは、 「いったいぜんたい なにものだ、おれのはしをがたぴしさせる やつは」 と、どなります。 すると、大きいヤギのがらがらどんは、 「おれだ!おおきいやぎの がらがらどんだ!」 といって、勇敢にトロルに立ち向かい、飛びかかり、角でトロルを串刺しに、蹄でこっぱみじんにしてしまったのです。 それから、三匹のヤギは山へ草を食べに行き、歩いて帰れないほど食べて太ったのでした。 読んでみて… 有名な北欧の昔話です。 単刀直入なはじまり、そして同じことの三度の繰り返し。 繰り返しの最後で、対峙してきた相手をやっつけて終わる、という昔話のセオリー通りの、これぞ昔話、という感じのお話になっています。 一番目、二番目、三番目という繰り返しは、聞いている子どもたちに、ワクワク感と共に、知っていることが出て来る安心感を与えます。 小さなものが知恵を働かせて難を逃れること、そして、最後に大きいヤギのがらがらどんが、悪者のトロルを退治することで、痛快感を味わうと共に、大きな者への尊敬と信頼、憧れを抱かせます。 子どもたちは、自分の姿を一番小さいヤギに重ねながら、自分も大きくなったら、大きいヤギのがらがらどんのように、強くたくましくなれるという期待を抱くことができるのです。 小さいヤギは、トロルに対峙したとき、とても怯えた表情をしていますが、大きいヤギのがらがらどんは、がたんごとんと橋を渡ってきたときから、実に堂々と、凛々しい顔でトロルに立ち向かいます。 負ける余地などみじんもないほどの神々しさをもっています。 社会における、大いなる者への尊敬、憧れを十分に看取できるように描かれているのです。 トロルは、北欧の国々に伝えられる怪物です。 北欧ではいろいろなタイプのトロルがいるようで、このお話のような大きな怪物もいれば、小さなものも、男女も問わずいるようですが、このお話のトロルは、大きくて怖い、生き物を丸のみにしてしまうトロルです。 寒く厳しく険しい北欧の自然への脅威を形象化したものでしょうか。 この絵本は、ずいぶん荒々しいタッチで描かれています。 山は険しく、岩はゴツゴツとして、のどかな牧場とはまるで違った、厳しい北欧の自然そのものを描いています。 作者のマーシャ・ブラウンはカの作家ですが、このお話の生まれた北欧の自然と、そこで生きてきた人々の暮らし、伝承してきたものをしっかり理解して、この絵本を描いたのだということがよくわかります。 また、この絵本はによる訳の文章にも力があります。 無駄がなくすっきりとして、テンポが良い。 躍動感にあふれ、大きいヤギのがらがらどんがトロルに向かっていくところは、 「さあこい!こっちにゃ 二ほんの やりがある。 これで めだまは でんがくざし。 おまけに、おおきな いしも 二つある。 にくも ほねも こなごなに ふみくだくぞ!」 と、気っぷが良く迫力満点です。 「でんがくざし」に関しては、今の子どもには・・・?だと思いますが、後で軽く説明すれば良しとして、とにかくお話と絵の迫力、躍動感と調和した見事な訳文になっていると思います。 翻訳文でありながら、国語表現としても十分鑑賞できる、優れたテクストだと思います。 以前受講した、読み聞かせ講座の講師の先生から伺ったのですが、この絵本は、マーシャ・ブラウンの本国カより、日本の方が良く売れているんだそうです。 意外な感じがしますが、それにも訳文の力が寄与しているのかもしれませんね。 昔話そのものの持つ力と、それを良く理解し表現した絵の力、訳文の力が全て揃って、とても力強い、生命力あふれた絵本になっていると思います。 ランキングに参加しています。 ポチっとしていただけると嬉しいです。 今回ご紹介した絵本は『』 マーシャ・ブラウン絵 訳 1965. 7 でした。
次の名前はどれは「がらがらどん」 ある日、三びきが山を登っていると途中で橋がありました。 その下には気味の悪い大きなトロルが住んでいます。 さて、はじめに一番小さなやぎの「がらがらどん」が かたことかたこと、と橋を渡ります。 するとトロルが「ようし、きさまを ひとのみにしてやろう」と襲いかかってきました。 「ああ、どうか食べないでください。 少し待てば僕より大きいがらがらどんがやってきますから」 それならばと、橋を通してもらいます。 次に二ひきめやぎがやって来ました。 がたごとがたごと、と橋がなります。 するとトロルが襲いかかってきました。 「おっと、食べないでおくれよ。 少し待てばやってくるがらがらどんはぼくよりずっと大きいよ」 それならばと、またも橋を通してもらいます。 最後にやってきたのは大きいやぎのがらがらどん。 がたん、ごとん、がたん、ごとんと橋がきしみます。 目の前に立ちふさがる大きなトロル。 ノルウェーの有名な民話をもとにつくられた絵本。 日本で言うところの「桃太郎」や「一寸法師」といったところでしょうか。 絵本のやぎたちはさながら3兄弟といった感じ。 気弱でおとなしい末っ子。 ちょっぴり生意気そうな次男。 そして頼もしい長男。 大きいやぎがトロルの前に登場する「おれだ!おおきいやぎの がらがらどんだ!」のシーンは迫力満点です。 それからなんといってもトロルの恐ろしいこと。 じつはこのトロル、気味の悪い大きな妖精なんですね。 妖精というと小さくて可愛らしいイメージだけど…… スウェーデンでは違ったりするのかな? 「チョキン、パチン、ストン」の終わり方も印象的ですっきりと物語をしめられますね。 発行部数は265万部のダブルミリオンセラー作品。 大人気の定番絵本です。 「がらがらどん」ってどういう意味? タイトルにもある「がらがらどん」 3びきとも同じ名前だし、気になる人も多いんじゃないでしょうか。 原作のスウェーデン語では「De Tre Bukkene Bruse」という題名。 直訳すると「三匹のやぎのブルーセ」となります。 「Bruse(ブルーセ)」=うなり声 英語訳版の題名は「The Three Billy Goats Gruff」 「Gruff(グラフ)」=しわがれ声 そこから連想して日本語版では「がらがらどん」になったそうです。 ちなみに区切り方は「がらがら」「どん」 「がらがら」がうなり声やしわがれ声のイメージ。 「どん」は、西郷どんや釜めしどんの「どん」 「がらがらどん」=しゃがれ声の奴 一番小さなやぎも含めて、3びきともがらがら声なんですね。 もちろん、トロルがいないか確認するために。 まあ、とうぜんトロルがいるわけはないんですけどね。 当時は本気で「トロルがいたらどうしよう…」とか思っていたわけで。 子どもの想像力というか妄想力というのは大したものです。 トロルがいたらどうやって逃げようかとか、どうやって戦おうかなんてことを真剣に考えていました。 で、そんなおバカで可愛らしかったぼくも大人になりまして。 子どもができる前までは、奥さんとよく山登りなんかを嗜んでいました。 するといかにも絵本のトロルが住んでいそうな、大きくて古めかしい橋があったりするわけです。 なんだか子どものころを思い出して、トロルがいたらなんてことを考えている自分がいるんですね。 とにかくぼくが奥さんを守らなきゃとか。 大きいやぎのように勇敢に立ち向かわなきゃとか。 そんなことえおいろいろと思案していたんですけど。 いやいや、ちょっと待て! 案外、奥さんがひとりでやっつけちゃうんじゃないだろうか…… 以上、 怖いトロルをやっつけろ!ノルウェー発のロングセラー絵本『三びきやぎのがらがらどん』のご紹介でした。 チョキン、パチン、ストン。 はなしはおしまい。
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