シカ 奈良。 奈良の鹿 4つの豆知識

コロナ禍の観光客減で奈良公園のシカが「野生化」自然採食が増加

シカ 奈良

環境の保護は,社会的に重要な課題である。 しかし,環境保護の実際をみると,学術的な重要性や,保護が生み出す受益のために,特定の少数者に過重な負担や受忍を強いる例が散見される。 「奈良のシカ」の事例は,こうした問題がみられてきた典型例である。 奈良のシカは,「奈良公園の風景の中にとけこんで,わが国では数少ないすぐれた動物景観をうみ出している」とされる天然記念物であり,奈良における最も重要な観光資源の一つでもある。 が,当地では,このシカによる農業被害(「鹿害」)を巡り,シカを保護する側(国,県,市,春日大社,愛護会)と被害農家との間での対立,紛争が長期化し,1979年には被害農家による提訴という事態にまで至ってしまった。 本稿では,まず,鹿害問題の深刻化過程をみた後に,紛争長期化の背景を,「シカが生み出す多様な受益の維持」「保護主体間の責任関係の曖昧性」「受苦圈と受益圈の分離」「各保護主体にとっての保護目的の違い」等に着目しながら検討した。 鹿害訴訟の提訴と和解(1985年)は,被害農家が長期に亘って強いられてきた状況を大さく改善させる契機となった。 しかし,この新しい鹿害対策も,十分には機能してこなかった。 そこで,後半では,鹿害対策の現状に検討を加えた上で,依然として問題の未解決状態が続いている理由と問題解決への糸口について考察した。 Environmental protection has become an important social issue. However, the burden of protection can be excessive and painful for a small group of people, calling into question the benefits of such protection. The case of the "Nara-no-Shika" can be seen as an example of burdens of environmental protection overwhelming the benefits. The "Nara-no-Shika" is a type of deer icervus Nippon inhabiting the area in and around Nara Park in Nara city, the capital of Nara prefecture. There are estimated to be a total of 1200 of these deer. They are protected as a national monument and are one of the most important tourist attractions in Nara. But in Nara, the damage to the crops caused by them, called "rokugai", has been an ongoing problem. In 1979, farmers living around the park filed a lawsuit demanding compensatory damages from those responsible for protecting deer: the national and local government, KasugaTaisha shrine, and the protection association. This paper provides an overview of the agricultural damage and a background to the conflict, focusing on the protection of various profits generated by the deer, the vagueness of responsibility for those responsible for protection and the differing purposes for which they pursue protection, and the separation of burdens and benefits. The trial and its resolution 1985 resulted in measures to alleviate the suffering of effected farmers. However, the measures that were developed have yet to live up to their intentions. The current state of the problem is examined, along with the process of problem solving.

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奈良の鹿

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鹿の歯は、全部で34本あり、上の歯は14本、下の歯は20本が生えています。 上あごの前歯はありません。 ただし、歯板(歯ぐきが硬化したもの)が発達して下あごの歯とあわせて草を引きちぎるように噛み切ります。 また奥歯は、食べた草をすりつぶすのに適しています。 鹿の胃 第1胃 1番大きい胃で、食べた草をため込み共生しているバクテリアなどの助けを借りて草の繊維質を分解しています。 (学名:ルーメン) 第2胃 反すうして液状になった草を第3胃に送る胃袋で、まだ大きな草は第1胃に送り返しています。 第3胃 水分と養分を吸収する胃袋で、バクテリアなどをタンパク質にして第4胃に送っています。 第4胃 消化液を出して消化する人と同じ働きをする胃袋で、第1胃から第3胃までは食道が発達したものです。 奈良のシカの生活(生態と社会) 奈良公園のシカが好むものに「鹿せんべい」があります。 鹿せんべいは主に、イネ科の米ヌカで作られています。 砂糖や 香辛料などは一切はいっていません。 そのため、鹿は安心して食べられます。 仲間の中には、何か不審な気配にいち早く気づくと、鳴き声によって群れ全体に迫る危険を知らせることで群れを守ることができます。 また、同じ仲間がたくさんいれば、外敵の目をくらますことができ、特定の仲間が狙われないようにする効果もあります。 コミュニケーション(鳴き声) 鹿のコミュニケーションのひとつに、いろいろな鳴き声があげられます。 特に秋のオス鹿の発声する鳴き声は、万葉集の歌などにも詠まれ鹿の代表的な鳴き声として有名です。 朝 鹿の1日の始まりは日照と密接な関係にます。 日の出の頃に「泊まり場」から「採食場」へゆっくりと移動しながら草を食べます。 日中 日中は木陰や陽だまりなどの「休み場」で反すうと休息を繰り返しながら夕方まで休みます。 夕方 夕方前になると、少しずつ移動しながら草を食べ、「泊まり場」へ移動します。 日没後 日没後は、「泊まり場」に座り込んで反すうしながら休息をとります。 深夜 数時間休息した後、深夜過ぎまでまた食べて、また「泊まり場」で反すうしながら休息をとります。 メス鹿は、一回に一頭の子を出産します。 子鹿の出産には数十分~数時間かかり座った状態か立ったままで羊膜につつまれる子鹿を出産します。 胎盤・羊膜は匂いなどで外敵におそわれる危険が高まるため痕跡を残さないように食べてしまいます。 出産した直後の母は、すぐ子鹿をなめはじめます。 産まれたばかり子鹿は濡れて黒っぽいのですが、母鹿がなめることで体毛が乾き鹿の子模様が鮮やかになります。 母鹿は、自分の子鹿を匂いによって識別します。 注意 出産時期のメス鹿は、子鹿を守るためにたいへん気が荒くなるので危険です。 決して子鹿には近づきすぎないように注意して下さい。 オス鹿の暮らし オス鹿だけが伸ばす角(つの) 角(つの)は、頭骨の一部が伸びて皮フが固くなったものです。 枝分かれした角が特徴で、長さは数cm~60㎝ほどまで伸ばします。 ・生後1才で、1本角、• ・2才で、1又2先 ひとまたにせん 、• ・3才で、2又3先 ふたまたさんせん 、• ・4才以上は、3又4先 みつまたよんせん まで枝の数が増えます。 角(つの)の1年 毎年早春に古い角を落とし 落角(らっかく) 、新しい角を伸ばします。 生え始めの角は、袋角 ふくろづの と呼ばれ、表面が柔らかな皮膚に包まれて短い毛が生えています。 その中には角に栄養を送る血管が通っているので温かく、オス鹿はとてもこの頃の角を大切にします。 8月頃になると外皮も血管もなくなり、堅い立派な枝分かれの角(antler)となります。 生え始めの袋角 (4月頃)• 成長中の角 (5~7月頃)• 伸びた角 (8月頃)• 完成したオス鹿の角 発情期の行動 オス鹿は、1月~8月頃までオス鹿同士の群れを作り、それぞれの関係はかなりルーズで子育てはしません。 夏の終わりになるとオス鹿は、次第に体や性格が変わり始め、なかでも体格が大きく角が立派なオス鹿は、なわばりを持ちメス鹿の群れを囲い込むようになります。

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鹿の一般的な「寿命」は? まず、奈良の鹿の寿命を見て行く前に、「鹿」やその仲間たち一般の寿命について見ていきましょう。 「鹿」といっても、日本で一般的な「ニホンジカ」ですら様々な「亜種」がいますので、必ずしもどの種類も同じ寿命という訳ではありません。 しかし、奈良の鹿と同じ種類であり、日本に住む鹿としては最もポピュラーな存在である 「ホンシュウジカ」に関していえば、 オスの寿命が10~12年程度、メスの寿命が15~20年程度と言われており、 オスとメスでは寿命の長さがかなり異なることがわかります。 また、それ以外の種類で言えば、北海道の自然を象徴する「エゾシカ」や、おなじみの「トナカイ」に関していえば、風格ある外観を持つ割には平均寿命は10歳を下回ると考えられており、厳しい気候で生き抜くことの難しさがわかります。 もっとも、平均寿命の数字は生まれてから間もないうちに死亡した個体を含めるか、一定以上成長した個体のみを扱うかによって全く違う数字が出ます。 幼齢期に亡くなったものをすべて含めて計算すれば、平均寿命はもっと短くなることも考えられますので、以上の数字は確実なものとは言えません。 なぜ長生きするのか? さて、長生きが特徴の奈良の鹿ですが、なぜ長生きをするのでしょうか。 その理由を実証的に明らかにしたような研究は特にないようですが、一般論として考えて見れば、以下のような理由が考えられるかもしれません。 ・奈良の鹿は「野生」とは言え、「奈良の鹿愛護会」により病気の鹿や事故で負傷した鹿などが保護されている。 ・奈良公園一帯は長年鹿を保護する形で管理されてきたため、天敵もおらず、ストレスなく過ごしやすい環境になっている。 このような理由、とりわけ「奈良の鹿愛護会」の存在というものが、最も「長寿命」に関わっていると推測できます。 しかしながら、「生態」を解説した記事でも説明したように、奈良の鹿は一般的に「やや飢餓体形(やせ形)」が多いという特徴もある他、観光客が「鹿せんべい」以外の食料を与えること、また場合によっては「ビニール」などを食べさせるという行為によってもたらされる健康被害、そして何よりも「交通事故」など、「人間と共生」しているからこそ引き起こされる「寿命」を縮める問題もたくさんあります。 その中でも多くの鹿が場合によっては20年以上も生存するなど「長生き」しているということは、いかに奈良の鹿愛護会などによる保護や、奈良公園の環境整備が丁寧なものであるかということの証明でもあるでしょう。

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