スーパーなどの豆腐売り場ではたくさんの豆腐が並んでいます。 木綿や絹といった分類だけではなく、食感や味わいはもちろん、見た目ひとつをとっても豆腐は千差万別で、それぞれの特徴をもっています。 では、豆腐の風味やおいしさは何によって決まるのでしょうか? ここでは豆腐を作るための材料や製造方法に着目し、材料や工程の違いが豆腐の個性にどう影響を与えているのかを紹介します。 豆腐の味わいを決める~大豆の種類と豆乳の濃度と水 豆腐の味わいは大豆の種類や、大豆から豆腐を作る過程でできる豆乳の濃度によって変わります。 大豆の種類と味わいの特徴 豆腐は原料となる大豆の種類によって大きく味が異なります。 豆腐に使われる代表的な大豆をとりあげ、種類による味わいの違いをご紹介しましょう。 トヨマサリ・・・北海道最大の生産量を誇る大豆銘柄です。 トヨマサリは豆腐のおいしさの指標のひとつである、ショ糖の含有率が他の大豆と比較して高いのが特徴。 甘みのある、風味豊かな豆腐を作ることができます。 フクユタカ・・・九州を代表する大豆銘柄のひとつで、豆腐の加工適性に優れています。 タンパク質の割合が多いので、フクユタカを使用すると、あっさりとしながらも濃厚な豆腐に仕上がることが特徴です。 エンレイ・・・フクユタカと同じくタンパク質の割合が多く、豆腐加工適性に優れた品種の大豆です。 高タンパクの大豆は豆腐を作る際に固まりやすいという特徴があり、エンレイは食べ応えのある豆腐を作るのにより適しています。 カナダ産・・・タンパク質の割合が高く、コクのある味わいが特徴です。 豆腐加工適性とコストパフォーマンスに優れ、少量の大豆から多くの豆乳を作ることができます。 輸入されている食用大豆のなかでは、カナダ産大豆が一番人気のようです。 木綿と絹の違いは~豆乳の濃度と作り方 豆腐は豆乳の濃度や作り方の違いによって味わいや食感が変わります。 では、木綿豆腐と絹豆腐にはどんな違いがあるのでしょうか。 木綿豆腐・・・豆乳ににがりを入れて固めた後、圧力をかけ水分を抜く工程を加えることで味の濃い、しっかりとした食感の木綿豆腐が完成します。 水分を抜くことでタンパク質やカルシウム、鉄分が圧縮され、絹豆腐と比べて2割程度多く含まれています。 絹豆腐・・・一般的に木綿豆腐よりも絹豆腐のほうが、濃い豆乳を使って豆腐を作ります。 絹豆腐は豆乳ににがりを入れてそのまま固めたものです。 そのため水分を多く含んでおり、なめらかな食感に仕上がります。 そのため、豆腐作りの際に使用する水が豆腐の味わいや仕上がりに大きく影響します。 カルシウムがたくさん含まれている硬水は、大豆のタンパク質と結合して豆腐が固くなってしまう傾向があり、一般的に豆腐作りには硬水よりも軟水のほうが適しているといわれています。 ヨーロッパの水を比較すると、日本の水は軟水なので、豆腐作りにより適しているといえるでしょう。 大豆と水をサポート~豆腐の添加物 豆腐は大豆と水からできるシンプルな食材ですが、その工程のなかで大切な役割を担うのが添加物です。 「添加物」に悪いイメージを持つ人もいますが、豆腐にとっては豆乳が固まるための大事な要素。 豆腐を作る際に使用する代表的な添加物とその役割を紹介しましょう。 凝固剤~豆乳を固めて、大豆の味を引き出す 豆乳に入っている大豆のタンパク質が固まることで、豆腐ができます。 固める際に使用する添加物が「凝固剤」です。 凝固剤として代表的なものに、「にがり」と呼ばれる塩化マグネシウムがあります。 塩化マグネシウムは海水から塩を作る際にでき、ミネラルを多分に含むものです。 凝固剤は他にも硫酸カルシウムや塩化カルシウム、グルコノデルタラクトンなどが主として使用されています。 消泡剤~きれいで食感のよい豆腐を作る 大豆から豆乳を作る工程のなかで発生する泡を消す役割をする添加物が消泡剤です。 泡をそのままにしてしまうと、見た目がきれいに仕上がらないだけでなく、食感や、日持ちにもあまりよい影響がありません。 豆腐を見た目も味もおいしくするためのサポートが消泡剤の役割です。 温度管理が決め手!~おいしいを作る温度 豆腐を作る際に、滑らかさや硬さのポイントとなるのが温度管理です。 シーン別に注意点を紹介しましょう。 豆乳を作るときの注意点 最初のポイントは、大豆を加熱し豆乳を作る際の温度管理。 厚生労働省が定める「食品、添加物等の規格基準」により殺菌のため、豆乳を作る際は、沸騰状態で2分間の加熱が必要です。 焦げつかないように注意しながら過熱調整し、じっくり仕上げます。 にがりを入れるときの温度管理 そして豆腐のおいしさを左右するのがにがり(凝固剤)を入れるときの温度です。 この温度より低いとうまく固まらなかったり、反対に高いと硬くなってしまったりすることになってしまいます。 豆腐のおいしさを決めるもの~シンプルで奥深い豆腐の世界 豆腐は大豆と水からできるシンプルな食材です。 だからこそ大豆の種類や添加物、作り方の工程の違いや温度管理によって味わいが変わってきます。 シンプルだけれども奥深い、豆腐の秘密を知ることで、身近な食材「豆腐」をより楽しむことができるといいですね。 参考:•
次の桟敷【さじき】 土俵周りの枡席のこと。 差し違い【さしちがい】 勝敗に物言いが付き、行司の軍配が覆されること。 三番稽古【さんばんけいこ】 実力拮抗の力士同士が何番も稽古をすること。 三役【さんやく】 大関、関脇、小結の総称。 鹿を決める【しかをきめる】 とぼけたり、知らないふりをすること。 仕切り【しきり】 土俵に上がった力士の立ち会うまでの動きのこと。 仕切り線【しきりせん】 土俵中央にある2本の白線。 四股名【しこな】 力士の呼称。 支度部屋【したくべや】 力士が控える東西の大部屋のこと。 下手【したて】 廻しを持って組んだ時に、下になっている方の手のこと。 死に体【しにたい】 取組中に勝つ事ができなくなった体勢のこと。 締め込み【しめこみ】 関取が締める取組用の廻しのこと。 蛇の目【じゃのめ】 土俵の外周にしかれた砂のこと。 十枚目【じゅうまいめ】 十両の正式名称。 出世披露【しゅっせひろう】 前相撲で3勝し、序ノ口に上がる資格を得た力士のお披露目。 巡業【じゅんぎょう】 取組や稽古を見せる興行のこと。 初切【しょっきり】 花相撲や巡業で相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する見世物。 しょっぱい ケチな人。 情けない、弱いこと。 初日が出る【しょにちがでる】 本場所で初白星を挙げること。 すかす 部屋から黙って逃げ出すこと。 頭突きをかます【ずつきをかます】 厳しく叱ること。 砂被り【すなかぶり】 溜席。 土俵際の観戦席。 相撲甚句【すもうじんく】 花相撲や巡業で歌われる力士の歌のこと。 石炭をたく【せきたんをたく】 急ぐこと。 関取【せきとり】 横綱から十両までの力士のこと。 千秋楽【せんしゅうらく】 本場所の最後の日。 ソップ型【そっぷがた】 痩せている力士のこと。 蹲踞【そんきょ】 対戦前に力士同士が腰を下ろして向かい合う姿勢のこと。 相撲用語&隠語集 【た】 タコになる 思い上がって天狗になり、周囲の言う事を聞かなくなること。 太刀持ち【たちもち】 横綱土俵入りの介添え役。 立行司【たてぎょうじ】 行司の最高位。 炭団【たどん】 黒星のこと。 谷町【たにまち】 力士や相撲部屋の後援者のこと。 ごひいき筋。 溜席【たまりせき】 砂被り席。 土俵際の観戦席。 太郎【たろう】 呼び出しや床山の給料。 断髪式【だんぱつしき】 引退した力士が髷をお落とし、新たな門出を祝う儀式。 力はいる【ちからはいる】 疲れること。 力水【ちからみず】 土俵に上がった力士が他の力士から渡される清めの水のこと。 ちゃんこ 力士や親方が作る料理のこと。 注射【ちゅうしゃ】 八百長のこと。 注文相撲【ちゅうもんずもう】 立ち会いで変化し、思い通りに相撲が取れたこと。 ちょこれんばん 賭け事のこと ちょんすけ 旅館などで渡すチップのこと。 丁髷【ちょんまげ】 力士の普段の髪型。 土が付く【つちがつく】 負けること。 綱打ち式【つなうちしき】 横綱の綱をよる作業のこと。 露払い【つゆはらい】 横綱土俵入りの介添え役。 連相撲【つらずもう】 好不調の波が激しい力士のこと。 手打ち式【てうちしき】 本場所の興行が無事に終了した事を祝う儀式。 手が合う【てがあう】 仲が良い人のこと。 手刀【てがたな】 相撲で勝った力士が懸賞金を受け取る際に手で行う儀式。 出稽古【でげいこ】 他の相撲部屋へ稽古に出向くこと。 手相撲【てずもう】 自分のお金で飲食すること。 鉄砲【てっぽう】 稽古場にある鉄砲柱を手で押して鍛える運動のこと。 てらをきる ピンハネしたり、お金や物を盗むこと。 電車道【でんしゃみち】 立ち会いから一直線で土俵の外に出されること。 藤助【とうすけ】 ケチな人のこと。 徳俵【とくだわら】 土俵の東西南北に一つずつ一俵分外側にずらして埋めてある俵。 床山【とこやま】 力士の髷を結う人。 どっこい 頑固者。 言い出したら聞かない人のこと。 飛び道具【とびどうぐ】 足を使い、一瞬で勝負を決める技のこと。 土俵を割る【どひょうをわる】 土俵の外へ出ること。 土俵祭り【どひょうまつり】 本場所前に土俵で行われる地鎮祭のこと。 取組【とりくみ】 力士同士が対戦すること。 取的【とりてき】 幕下以下の力士の総称。 取り直し【とりなおし】 物言いが付き、協議の結果、勝敗が決まらず新たに対戦すること。 泥着【どろぎ】 稽古場などで廻しを付けた力士が羽織る浴衣のこと。 とんぱち 目先の見えない人。 勘の悪い人。
次のニューモシスチス・イロベチイ ニューモシスチス肺炎(ニューモシスチスはいえん、Pneumocystis pneumonia、 PCP)は、酵母様真菌である Pneumocystis jirovecii によって引き起こされるである。 正常な免疫能力を持つ場合発症することは希であり、や長期内服、(AIDS)などによる免疫低下時に発症する、症の一つである。 以前は・カリニ(ニューモシスチス・カリニ Pneumocystis carinii)による肺炎とされ、「 カリニ肺炎」と呼ばれた。 しかし、ラットから見つかったニューモシスチス・カリニ(「カリニ」は病原体発見に貢献した ()にちなむ)と、ヒトで肺炎をおこすは異なる種類であることが判明し、ヒトに病原性をもつニューモシスチスは、にニューモシスチスが肺炎を起こすことを報告したの寄生虫学者 ()への献名である Pneumocystis jirovecii に命名し直され、これによる肺炎はニューモシスチス肺炎に名称変更された。 なお略号はニューモシスチス・カリニ肺炎の時の略号のまま、PCPを用いる( Pneumocystis cariniii pneumoniaの略から Pneumo cystis pneumoniaの略となった)。 またニューモシスチス・イロベチイは以前に分類されていたが、解析の結果、の一種()であると判明した。 なお、現在でもニューモシスチスの体外での人為的増殖は実現しておらず、研究においてはに感染させることが必要である。 治療をしないと致死的な疾患である。 歴史的背景 [ ] は、にの ()(Carlos Chagas、の発見者としても知られる)によって発見された。 ただし、この時は、これが人間の病気の原因に成り得るとは認識されていなかった。 シャーガス病の起炎原虫であるクルズトリパノゾーマの生活環のステージのひとつとして誤って認識され、モルモットの検体から記載された。 これが人間に対する病原体として認識されたのは、ヨーロッパにおいて、からにかけて、や低栄養状態の子供に、間質性肺炎が多発した事がきっかけであった。 ミラーは、特に孤児でこの様な肺炎が多かったと、上記の総論で述べている。 後、栄養状態の改善によってこの現象は一旦消えたが、以降新たに、の子供や、に罹病及び治療を受ける成人の間で、この肺炎が多く認められる様になった。 そして臓器移植の普及に伴って、更に多く観察される様になった。 1976年にFrenkelはヒト由来の別の原虫として新種報告している。 、アメリカで AIDS と呼ばれる疾患が報告されると、この疾患はAIDS(エイズ)患者に多く見られる日和見感染として、注目される様になった(ただし、アフリカのエイズ患者で、この肺炎の報告が少ない事は、エイズ研究における一つの課題である)。 1988年に18SリボソームRNA遺伝子塩基配列解析で本菌は原虫ではなく子嚢菌門に属する真菌に近縁であることが示された。 1999年に真菌に再分類された。 分類 [ ] をに帰属させる最も大きな理由が本菌のDNA塩基配列解析の結果である。 またと認識された原因としては、光学顕微鏡観察では形態学的に原虫に類似していること、に感受性があること、多くのに耐性があること、人工培地で培養が困難であることがあげられる。 原虫と真菌が光学顕微鏡レベルで区別できないことは珍しいことではなく、コクシジオイデス症の起炎菌であるCoccidioides immitisも当初は原虫に分類されていた。 また抗原虫薬と抗真菌薬には交差感受性がある真菌である () Candida albicans なども抗原虫薬のに感受性があり、など原虫疾患にが用いられている。 生態学 [ ] 本菌の培養は困難である。 そのため生態に関しては限られた情報しかない。 ニューモシスチス・イロベチイはヒトの体外では増殖できず、また環境中にも発見されない。 そのためヒトの呼吸器官が唯一の棲息場所と考えられている。 免疫能が正常な一般人口における定着率は0~20%と考えられている。 かつてはニューモシチス肺炎は幼児期にニューモシスチス・イロベチイが定着し、免疫抑制状態になったときに内因性の再燃をおこすと考えられていたが、その後は外来性再感染説が有力となっている。 これは無症候性キャリアが感染源となるという考え方である。 免疫学 [ ] ニューモシスチス・イロベチイ自体は組織障害性が少なく、その存在だけでは呼吸障害を伴うようなPCPは起こらない。 炎症反応が過剰になることで肺組織障害がおこると考えられている。 動物実験ではCD4陽性Tリンパ球を選択的に欠損させたマウスではPCPを発症しやすく、低酸素血症や肺コンプライアンスの低下など重症化を認める。 しかしCD8陽性Tリンパ球も欠損させると肺内の菌量はかわらないものの、炎症や酸素化障害は軽減する。 また重症複合免疫不全マウスは晩期まで呼吸障害を起こさないが。 このマウスに野生型マウスの脾細胞を投与して細胞性免疫を構築すると急激な酸素化障害がおこる。 CD4陽性T細胞が機能不全の状態ではCD8陽性T細胞が肺障害に関与すると考えられる。 この動物実験は臨床的にも再現されている。 たとえば患者でPCPの治療が不十分なまま抗レトロウイルス療法を開始すると、免疫機能の回復とともに、遺残していた病原体に対する激しい炎症反応が起こるが知られている。 また骨髄移植のレシピエントにおける生着症候群でも免疫能の回復とともにPCPが発症し呼吸機能が大きく低下することがある。 症状 [ ] HIV-PCPとnon-HIV-PCPでは臨床像は異なる。 HIV-PCPの症状は発熱、乾性、呼吸困難が3主徴である。 その他の稀な症状としてはや、血痰、気管支痙攣などがあり、無症状の患者も約5%いる。 他の患肢越性肺炎と同様呼吸困難や酸素飽和度の低下は労作時に出現することが多い。 比較的ゆっくりと亜急性の経過で症状が進行する。 症状の出現から診断までの中央値は28日間であった。 またHIV-PCPの約5%は肺外の播種性病変があり、リンパ節、骨髄、耳、目、甲状腺、副腎、肝臓、脾臓などが知られるが臨床的に問題になることは稀である。 Non-HIV-PCPは経過が急速で速やかに重篤な呼吸不全におちいることが多い。 菌量が少ないことを反映して菌の検出は困難で染色鏡検での検出はほとんど不可能でPCRでようやく検出されることが多い。 高齢者が多く自覚症状が初期は乏しいことも多い。 なんとなくだるいといった症状しか初期は訴えず、運動時の酸素飽和度の低下でようやく異常が検出されることもある。 Non-HIV-PCPのうち特にの場合はを用いることが多いため、MTX肺炎との鑑別が重要となる。 またMTX投与下では投与開始後半年~1年後、生物学的製剤投与開始2~3ヶ月後と免疫不全を予想しない時期に起こることが多い。 また発症を予知する指標がないといった特徴がある。 Non-HIV-PCP HIV-PCP びまん性陰影、低酸素血症 びまん性陰影、低酸素血症 進行急速(1週間前後) 進行緩慢(1~2ヶ月) 菌量少なく、検出困難 菌量多く、検出容易 より重症、予後も悪い(死亡率30~35%) 予後は比較的良好(死亡率10~20%) 免疫の指標の低下は必発ではない CD4陽性リンパ球数の低下が必発 検査 [ ] 微生物学的検査 [ ] ニューモシスチス・イロベチイは培養ができないため顕微鏡観察と遺伝子検査が主体となる。 検体材料は原則としてBALF(気管支肺胞洗浄液)を用いるのが望ましい。 喀痰やうがい液を用いた場合は著しく検出感度を低下させる。 BALが速やかに施工できない場合は予め口腔内洗浄につとめ、可能な限り口腔内雑菌を排除してから3%高張食塩水を10分間ネブライザーで吸引し、誘発喀痰を採取または吸引痰を採取する。 顕微鏡観察ではディフ・クイック(Diff-Quik)法を行う。 熟練した技術者でなければ栄養体を同定するのは困難である。 シストが厚く強固な細胞壁を有するためグロコット染色でもシストの観察は可能であるがは時間がかかるため迅速診断はできない。 トルイジン青染色、メセナミン銀染色でも確認できる。 またnon-HIV-PCPでは菌量が少なく観察できないこともしばしばある。 遺伝子検査ではHIV-PCPでは96時間以内に採取されたBALFでPCRの感度は72~100%、特異度は86~100%であった。 Non-HIV-PCPのPCRは感度は87. 2%、特異度92. 2%であった。 遺伝子検査ではリアルタイムPCRやLAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法が用いられることもある。 画像検査 [ ] 胸部単純レントゲン撮影 のPCPの典型的な所見は両側対称性のびまん性すりガラス陰影である。 単発もしくは多発性の結節影および空洞影がみられる場合もある。 空洞内の液面形成はみられない。 空洞形成の機序は菌体の血管侵襲による虚血性壊死によると考えられている。 有効な治療が行われた場合は、すりガラス状陰影を中心とした陰影は7~10日以内に改善傾向を示すが、時に治療開始2~3日後に一過性の増悪を示すことがある。 これは治療によって菌体成分に対する免疫応答を反映していると考えられる。 しかしの大量点滴で肺水腫を反映している場合もある。 胸部CT Grutenらの報告では胸部単純X線撮影で正常~曖昧もしくは非典型的なHIV-PCP疑い症例についてHRCTを施行した結果感度は100%、特異度は89%であった。 HRCTですりガラス状陰影がなければPCPはほぼ否定できると考えられる。 PCPのすりガラス状陰影は肺胞腔内のフィブリンやデブリス、菌体の集簇を反映している。 その密度が比較的疎であり、含気が残るために浸潤影ではなく、すりガラス陰影になると考えられる。 すりガラス状陰影の分布に関しては肺門側に優位で胸膜側に正常部位を残した像、いわゆるperihilar distribution with peripheral sparing(末梢肺野がスペアされた所見)の所見や分布が均一ではなく、肺小様単位で濃淡がみられるモザイク状、もしくは地図状のすりガラス状陰影を呈することが特徴的であるといわれている。 非典型的画像所見と考えられている浸潤影や結節影、空洞影も実際にはそれほどまれではない。 治療 [ ] ST合剤 [ ] 歴史的にはニューモシスチス肺炎の治療はが用いられてきた。 しかしペンタミジンでは治療失敗率が高く、毒性も強かった。 そのため、、などが注目され2016年現在はST合剤が主流となっている。 しかしながら現在の用量設定は小規模の臨床試験をまとめたもので設定されており疑問視されている。 また副作用が非常に多く、忍容性が高くないという問題があるため、低用量のST合剤による治療が近年になり注目されている。 予防投与の場合、発熱や皮疹などST合剤による薬剤アレルギーのため継続困難な場合は、一度中止し、症状軽快後に脱感作療法後に再導入が検討される。 脱感作療法を行うことにより70%以上の症例で予防量は再導入可能となる。 予防量においても1日0. 5錠投与や週に2回 1回1錠)などの低用量での予防も報告されている。 ペンタミジン [ ] は1930年代後半にイギリスで開発された抗原虫薬である。 当初はトリパノソーマ症やリーシュマニア症に有効性が見出されていた。 1960年代にニューモシスチス・イロベチイに有効であることが判明した。 吸入薬は予防薬としては優れているが治療薬としては推奨されていない。 アトバコン [ ] で治療を開始し、ST合剤の変更が必要になった場合はへの変更がひとつの選択肢と成る。 不快な味がすること、高価であることが弱点である。 副腎皮質ステロイド [ ] HIV-PCPでは副腎皮質ステロイドの有効性が確立している。 米国疾病管理予防センター(CDC)はガイドラインを作成している。 投与時期は抗菌薬開始と同時で、できるだけ早期、遅くとも抗菌薬開始3日以内とされている。 投与スケジュールはPSL80mgを分2で5日間、40mgを分2で5日間、20mgを11日間の合計21日間というものである。 Cochrane summaryによると副腎皮質ステロイドはHIV-PCPに対して1ヶ月死亡率を40%、3ヶ月死亡率を30%低下させる。 また人工呼吸器使用を60%低下させると記載している。 Non-HIV-PCPでは理論的にはより副腎皮質ステロイドが効果的と予想されるが後ろ向き検討では有効性を示さないという報告が多い。 予防 [ ] PCP予防を行うべきかどうかは背景となる疾患によって異なる。 予防に用いられる標準薬はである。 予防投与は連日1錠または1日2錠を週に3回で投与する。 発熱や皮疹などST合剤による薬剤アレルギーのため継続困難な場合は、一度中止し、症状軽快後に後に再導入が検討される。 脱感作療法を行うことにより70%以上の症例で予防量は再導入可能となる。 ST合剤の脱感作スケジュールは以下のようなものが知られている。 発熱や発疹が出現した場合はその時点で増量を中止し、同量で維持すると症状が消退する。 投与日 朝 夕 1日目 0. 005g 0. 01g 2日目 0. 02g 0. 04g 3日目 0. 1g 0. 2g 4日目 0. 4g 0. 8g 5日目 1. 0g 1. 造血幹細胞移植 [ ] 同種の場合には移植後6ヶ月までは予防が行われる。 また移植後6ヶ月経過した時点でも免疫抑制薬が投与されている場合は予防は継続する。 造血幹細胞の生着を妨げる可能性があるため、通常は生着までは使用されない。 造血幹細胞自家移植の場合は造血幹細胞同種移植よりはリスクが低い。 しかし免疫不全の程度が強いと判断された場合は予防が行われる。 移植後3~6ヶ月予防を継続する。 免疫抑制薬投与がされている場合は予防を継続するのは造血幹細胞同種移植と同様である。 臓器移植 [ ] 全ての固形臓器移植患者において、移植後少なくとも6~12ヶ月はPCPの予防が推奨される。 癌患者 [ ] 癌患者では、治療、プリンアナログやその他の破壊性治療、長期の( PSL 換算で1日20mgを4週間以上投与)、と治療の併用の場合にPCP予防が推奨される。 、、、などでPCP発症の報告があるが発症頻度が低いため予防の適応の有無をきめることは困難である。 膠原病 [ ] でのPCPの頻度が1~2%と少なくST合剤の副作用が30%と比較的高いことから膠原病患者全例に一次予防を行うことは推奨されない。 PCPリスクが3%を超える場合に投与するべきと考えられている。 DemoruelleらはPCPのリスク因子を4つあげ、そのうち2つを認められる場合は予防を勧めるとコメントした。 厚生労働省では年齢50歳以上で下記3つのいずれかを認めた場合はPCP一次予防を推奨している。 その3つは 1 PSL換算で1. 疾患修飾性抗リウマチ薬 DMARDs によるニューモシスチス肺炎は、抗リウマチ薬開始時にST合剤1錠を5日間投与で予防可能であることが示唆されている。 原発性免疫不全疾患 [ ] 、特発性低CD4血症、高IgM症候群などでは予防投薬の適応となる。 脚注 [ ] []• Robert F. Miller:Pneumocystis carinii in non-AIDS patients. Current Opinions in infectious diseases. 1999 Aug;12 4 371-7• Clin Microbiol Rev. 2012 Apr;25 2 :297-317. Nat Rev Microbiol. 2007 Apr;5 4 :298-308. Eukaryot Cell. 2009 Apr;8 4 :446-60. Nat Rev Microbiol. 2007 Apr;5 4 :298-308. Ann Intern Med. 1984 May;100 5 :663-71. JAMA. 2009 Jun 24;301 24 :2578-85. Chest. 2009 Mar;135 3 :655-61. Chest. 2007 Apr;131 4 :1173-80. AJR Am J Roentgenol. 1997 Oct;169 4 :967-75. Journal of Infection and Chemotherapy 25 4 : 253—261. 2019-04-01. Butler-Laporte, Guillaume; Smyth, Elizabeth; Amar-Zifkin, Alexandre; Cheng, Matthew P. ; McDonald, Emily G. ; Lee, Todd C.. Open Forum Infectious Diseases. Immunol Allergy Clin North Am. 2004 Aug;24 3 :425-43. MMWR Recomm Rep. 2009 Apr 10;58 RR-4 :1-207. Immunol Allergy Clin North Am. 2004 Aug;24 3 :425-43. J Rheumatol. 1992 Feb;19 2 :265-9. Cochrane Database Syst Rev. 2007 Jul 18; 3. Arthritis Care Res Hoboken. 2013 Feb;65 2 :314-23. 森俊輔. 抗リウマチ薬使用時のニューモシスチス肺炎に対する予防内服. 日本医事新報 2015;4767:58-59. 参考文献 [ ]• ニューモシスチス肺炎のすべて 外部リンク [ ]•
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