福井県新型コロナウイルス感染者(相関図・症例) 感染順 陽性判明日 年代 性別 居住地 職業 備考 令和2年4月27日 30代 女性 福井市 看護師 令和2年4月25日 70代 男性 福井市 会社員 県内120例目の同居家族 令和2年4月23日 60代 女性 福井市 無職 県内96例目の接触者 令和2年4月22日 20代 女性 越前市 保育士 令和2年4月20日 70代 男性 福井市 無職 県内96例目の接触者 令和2年4月20日 30代 男性 坂井市 会社員 県内94例目の接触者 令和2年4月20日 60代 女性 坂井市 会社員 県内72例目の妻 令和2年4月20日 20代 男性 越前市 無職 令和2年4月20日 70代 女性 福井市 無職 96例目の接触者 令和2年4月20日 40代 女性 福井市 会社員 令和2年4月19日 10代 女性 福井市 学生 109. 110. 111同居家族 令和2年4月19日 20代 男性 福井市 学生 109. 110. 112同居家族 令和2年4月19日 50代 男性 福井市 自営業 島根、千葉、石川滞在歴あり 令和2年4月19日 40代 女性 福井市 会社員 県内104例目の別居家族 令和2年4月18日 40代 男性 福井市 会社員 県内53例目の子 令和2年4月18日 20代 女性 福井市 会社員 令和2年4月18日 40代 男性 福井市 会社員 県内63例目の接触者 令和2年4月18日 30代 女性 若狭町 無職 発症前に静岡県、愛知県、大阪府、岐阜県に滞在歴あり 令和2年4月17日 50代 女性 福井市 自営業 濃厚接触者1名 令和2年4月16日 40代 男性 福井市 会社員 県内84例目の濃厚接触者 令和2年4月16日 60代 女性 福井市 無職 県内88例目の濃厚接触者 令和2年4月15日 30代 男性 福井市 会社員 県内44例目の濃厚接触者 令和2年4月14日 70代 女性 坂井市 無職 県内62例目の妻 令和2年4月14日 50代 男性 大野市 会社員 県内22. 22に46例目と接触 令和2年4月4日 50代 男性 越前市 会社員 発症2週間前に石川県内会社に勤務 令和2年4月4日 40代 男性 坂井市 自営業 濃厚接触者2名 令和2年4月4日 70代 女性 福井市 飲食業 濃厚接触者1名 令和2年4月5日 50代 女性 鯖江市 会社員 48例目の妻 令和2年4月5日 50代 女性 福井市 自営手伝い 3月27日に22例目と接触 令和2年4月5日 50代 男性 大野市 会社役員 3月25. 61例目が勤務する職場訪問 令和2年4月8日 60代 男性 福井市 看護師 71例目の医院に勤務 令和2年4月8日 20代 男性 福井市 会社員 54. 66例目と同じ職場で勤務 令和2年4月8日 30代 女性 福井市 会社員 14. 70と同じ職場で勤務 令和2年4月8日 60代 男性 福井市 会社員 22. 63と同じ職場で勤務 令和2年4月8日 60代 男性 福井市 無職 71. 73が勤務する医院の通院者 相関図を見てもらえば分かりますが、福井市飲み屋街から感染が広がっています。 福井県は3月18日まで新型コロナウイルス感染者が0人だったため、 かなり油断した結果ですね。 しかし、 相関図の陽性が判明した日を見ると(頭上の月日) 3月上旬~中旬には新型コロナウイルス感染者がいたということが分かります。 感染経路も明確で、飲み屋のような閉鎖空間や 感染源になった周辺に近づくのも危ないようです。 新型コロナウイルス福井県の感染スピードについて 4月3日現在、福井県は人口あたりの新型コロナウイルス感染者数が全国ワースト2位になりました。 なぜ、 こんなに一気に感染が広まる結果になったのか、 感染スピードがはやいのか検証します。 感染拡大とスピードの理由• 3月上旬から~中旬にかけて会食や飲み会が多かった• 3月中旬までコロナウイルス感染者がいなかった油断• 飲み屋、一か所へ集中 大まかに、この3つのだと判断しました。 まず、3月18日まで福井県の感染者は0人だったため、 県内の雰囲気が「県外は大変だね」「福井は大丈夫でしょ」といった感じでした。 非常にゆるく新型コロナウイルスに対しての恐怖感はゼロだったと思います。 しかも、年度末で会食や飲み会が多かったこと、 さらに福井県は飲み屋の数や場所が限られているため、 一か所に人が集中したために一気に感染がひろまりスピードも増したということです。 3月上旬から飲み屋街を自粛させるべきという声もあるなか、 まったく自粛しなかった当然の結果なのかもしれません。 福井県の事例からコロナウイルスの予防と対策• 車の同乗をひかえる(タクシーも)• クラスター付近に近づかない• 感染を疑う場合は2週間自宅待機 福井県からの事例でわかることは上記の3点です。 マクス・手洗い・外出自粛は当然ですが、 車の同乗(タクシー)もひかえるべきです。 買い物なども、できるだけ一人で運転するようにしましょう。 そしてクラスター付近にも近づかないようするべきです。 福井の事例ですと クラスター付近の人が何人か感染しています。 そして、自分で感染の心当たりが少しでもある人と家族は 会社に連絡してでも、 心当たりがある日から2週間自宅待機するべきです。 ただし、あくまでも事例からの判断ですので慎重に判断しましょう。 まとめ 全国ワースト2位の福井県の事例からみても、 5月までは外出をできるだけ控え、人との接触もへらすべきです。 自分だけ感染して死ぬのなら好きにすればいいですが、 不特定多数、自分の家族をまきこんで感染をひろげていくウイルスです。 自粛だからこそ楽しめる方法や、普段できないことを発見したり プラスの気持ちになるように工夫して生活してみるのもいいと思います。 先が見えない不安な日が続きますが、終息した時の盛り上がりの時を楽しみに、 みんなで頑張りましょう! ここまで読んでいただきありがとうございました。
次の東京都での感染者数が増え続けている。 その影響で東京から地方へ「コロナ疎開」をする人も出てきている。 統計データ分析家の本川裕氏は「10万人当たりの感染者数(感染率)を調べると、東京より福井のほうが高い。 翌5日には143人が確認され、累計は1034人になっている。 こうした発表を受け、首都を中心に全国で感染爆発が起こるのではないかという不安や懸念がますます強まりつつある。 感染者数は実数で報道されることが多い。 確かに値が大きい場合には、それがもたらす影響度も大きいので、実数の報道には大きな意味がある。 しかし、人口約1300万人の東京と人口約78万人の福井とを比較して東京の感染者数が福井よりずっと多いといっても、感染リスクを正しく評価したことにはならないだろう。 時間が経過するだけ新しいデータが発表される。 ここで使用している値は4月5日17:00現在で入手可能なものまでである点を読者にはご了解いただきたい。 図表1には、感染者数の多い都道府県ランキングを実数と人口10万人当たりの両方で示したデータを掲げた。 感染者数そのものについては、1位の東京が891人と2位の大阪の387人の2倍以上となっている。 上位2都府が3位の神奈川以下を大きく上回っており、首都東京や関西の中心大阪の動きが極めて重大な局面にあることがうかがわれる。 3位以下、10位までの上位地域としては、北海道を除くと東西大都市圏の近郊地域や愛知、福岡といった中心都市が占めており、都市部の感染がウエートとして大きいといえる。 ところが、人口10万人当たりの感染者数(以下、「感染率」と呼ぶ)の都道府県ランキングは「実数」のランキングとはかなり様相を異にしている。 何と1位は6. 7人(10万人あたり、以下同)の福井であり、6. 5人の東京は2位なのである。 47都道府県中、神奈川は2. 6人13位であるし、埼玉は2. 2人、16位である。 感染率は両県とも全国平均の2. 8人より低くなっているのである。 そして、ワースト1位の福井と同様に、京都、北海道、高知では、飲み会、ライブなどを通じたクラスター感染が偶発的に発生し、それが連鎖的にある程度の広がりをもった都道府県が、むしろ上位を占めているのである。 こうした地域を「特定感染地域」とすると、感染率の高い地域は、「大都市圏の中心部」と「特定感染地域」の2種類だと要約できる。 図表2には、感染確定日別に累積感染者数について、上の表と同じように、実数と人口当たりの両方で推移を示した。 もとになったデータは、確定日未確認の者などが省かれており、報道される感染者数よりは小さな数字であるが、感染者数の追跡には有効だと思われる。 推移を追うと3月最終週から新型コロナウイルスへの感染状況の地域分布は、やや様相を異にしはじめていることが理解できる。 北海道では、中国などからの観光客が多いことを背景に、さっぽろ雪まつりにおける会場テント内での感染拡大や北見市における住宅展示会での感染、札幌市ススキノのライブバーにおける感染などで、一時期は感染者数が全国最多である点が目立っていた。 愛知でもスポーツジムや福祉施設を介した感染でやはり感染者数が全国トップに近い位置にあった。 同県蒲郡市で「コロナばらまく」と感染を知りながら飲食店を利用していた50代の男性が死亡したことも話題となった。 以前は、東京や大阪の動きは、北海道や愛知と比べあまり目立たなかった。 ところが、3月最終週を境に、大都市圏の中でも東京や大阪といった中心部において指数関数的な感染拡大が目立つようになった。 特に東京の場合は首都であることもあって、感染者の急増が全国的な関心事となっている。 このほか、特定感染地域と呼ぶべきエリアも無視できない動きを示している。 典型的なのは、感染率ワーストの福井だ。 接待を伴う特定飲食店での会食から福井市を中心にクラスター連鎖を起こした福井は、感染者数53人と大都市圏と比べると人数規模的にはそれほど大きくないが、人口比では全国トップに躍り出ている。 京都も京都産業大の感染者集団(クラスター)が起点となり、学生らが参加したゼミなどの懇親会から連鎖的に感染が広がった。 全国的に感染拡大が注目されて、感染防止につながる県民の自粛的な行動が推奨され、その結果、大いに県民意識が高まった効果と見られないこともない。 これらと比べて、今後どう推移していくかが不気味なのは、埼玉やその他(主要地域以外)の動きである。 とりわけ、埼玉は今のところ人口当たりの感染者数・感染率が主要感染地域と比較して低いが注視が必要だ。 東京、大阪、福井のような急激な感染拡大は見られないが、拡大傾向が一層上向きになってきてはいるからである。 もし、こうした地域が東京や大阪、福井のような感染の急拡大に転じたとしたら、全国的な感染拡大が現実となってしまうのである。 それでは、東京の中ではどんな地域で感染が拡大しているのであろうか。 東京では、区市町村別の感染者数が3月31日時点から毎日公表されるようになった。 新聞、テレビなどでは、実数の多い世田谷区(79人)などが注目されているが、地域分布の構造を理解するために重要な人口当たりの感染率はあまり報じられていない。 そこで、東京都の地域別の感染者数の実数と人口当たりデータを図表3に示した。 世田谷区の感染者数の多さが注目されているが、人口が福井県よりずっと多い92万人と都内の他地域と比較しても母数が格段に大きいので当然ともいえる。 人口10万人当たり感染者数で比較すると世田谷区は8. 6人とむしろ目立たない。 人口当たりで感染率が最も高いのは港区の22. 2人であり、この水準は、韓国の19人というレベルをすでに超えているのである(世界を見ると、4月1日時点の感染率が最も高い順に、イタリア175. 1人、ドイツ81. 2人、フランス76. 8人、イラン54. 5人、米国49. 9人、英国37. 8人、韓国19. 1人、中国5. 9人となっている)。 港区(22. 2人)に次いで高い地域は、台東区(12. 3人)、目黒区(12. 1人)、新宿区(10. 9人)、中央区(11. 8人)、渋谷区(11. 3人)であり、いずれも10人強のレベルとなっている。 港区を含めこうした地域の特徴は、都心である点、また、銀座(中央区)、赤坂(港区)、六本木(港区)、新宿、上野(台東区)、浅草(台東区)、渋谷といった繁華街を抱えている点である。 新宿区(10. 9人)と隣接する文京区(2. 7人)、また台東区(12. 3人)と隣接する墨田区(3. 6人)の感染率は低い。 隣り合わせの区でこれほど大きな感染率の差が認められるのは、やはり、大繁華街を有しているかどうかの差と言わざるをえない。 23区の中でも都心から外れた区(北区、荒川区など)、あるいは多摩地域では感染率は格段に低くなる。 日本の全国平均2. 8人(図表1)よりも低い地域も多いのである。 島しょ部に至っては感染者ゼロ人である。 都内でもこれだけの濃淡があるということは、市区町村別の感染者数が発表されなかったら分からなかったことである。 ひとつは、感染率が高くなっている都心部ほど人口密度が高いため、人と人の距離が近接していて、住んでいるだけで感染のリスクが高くなるからというものだ。 もうひとつは、感染率の高い港区、台東区、目黒区、新宿区、中央区、渋谷区などにたくさんある繁華街で働いていたり、病院で働いていたり、海外との行き来が多いため感染リスクが高くなっている職業の人がその地域に住む傾向にあるから、というものだ。 図表3には、3月31日から4月4日までのわずか4日間の動きであるが、感染者数の変化が分かるように3月31日の値をオレンジの点で図示するとともに、図中にこの間の増加数と伸び率のランキング表を付記した。 増加数は感染者数最多の世田谷区や都心各区で大きいが、伸び率は、むしろ、都心部よりも周辺部(板橋区、葛飾区、墨田区など)で大きい。 感染が同心円状に広がりつつあることを示しているといえよう。 埼玉では南部、東部、南西部、西部といった東京と隣接するいわゆる「埼玉都民」が多い地域で感染率が高く、利根地域や秩父地域など東京から遠い地域では感染率も低くなっている。 東京都心からの感染率の同心円的な傾斜が埼玉にも及んでいるととらえられよう。 やはり、通勤・通学などを通じ東京からの影響があると見ることができる。 ただし、感染率の最も高い川口などの東部地域ですら、10万人当たりの感染者数は3. 2人と都内の墨田区、葛飾区より低くなっており、それほど大きな波及効果があるとも見られない。 今のところ、東京への通勤はあぶないというほどではないが、今後、埼玉都民の感染者数・感染率が一気に上昇する局面ともなれば、それは地方を含む全国的な感染爆発の予兆と言えるかもしれない。 一方、北海道は、感染者の規模は札幌が群を抜いているが、感染率では、札幌のほか、檜山地域やオホーツク地域でも札幌以上に高くなっており、クラスター連鎖が起こっている特定感染地域の影響が大きいと言えよう。 なお、感染したからといって重症化したり、死亡したりするのは、高齢者や持病のある者が中心である。 従って、ここで触れている感染リスクの地域分布は、必ずしも、重症・死亡リスクの地域分布とは一致しない。 インフルエンザ死亡率が高い地域は高齢化の進んでいる地域と相関が見られるのであり、おそらく新型コロナウイルス感染症でも同じ傾向だと考えられる。 都心部は高齢者がむしろ少ない地域なので重症・死亡リスクは感染リスクほどではないだろう。 日本の場合は、医師数、病床数など医療のキャパシティーの地域分布は、ほぼ人口に比例している。 感染者数最多の東京ではここ数日、感染爆発した際には病床数が足りなくなり、医療崩壊必至との見通しを語る医療関係者が多い。 確かにそのリスクはあるが、だからといって都心部から他地域へ逃れるというのはあまり得策とは言えないだろう。 人口の少ない地方は、都心よりも医師数や病床数が少ないからだ。 むしろ、自分や自分が属する集団が感染源となり、クラスター感染の連鎖を生まないように、一人ひとりがマスクや手洗いなどの飛沫感染や接触感染の感染予防策に注意を払い仕事や生活を工夫するということが最善の対策だと思われる。 ---------- 本川 裕(ほんかわ・ゆたか) 統計探偵/統計データ分析家 1951年神奈川県生まれ。 東京大学農学部農業経済学科、同大学院出身。 財団法人国民経済研究協会常務理事研究部長を経て、アルファ社会科学株式会社主席研究員。 「社会実情データ図録」サイト主宰。 シンクタンクで多くの分野の調査研究に従事。 現在は、インターネット・サイトを運営しながら、地域調査等に従事。 ---------- (統計探偵/統計データ分析家 本川 裕) 外部サイト.
次の東京都での感染者数が増え続けている。 その影響で東京から地方へ「コロナ疎開」をする人も出てきている。 統計データ分析家の本川裕氏は「10万人当たりの感染者数(感染率)を調べると、東京より福井のほうが高い。 翌5日には143人が確認され、累計は1034人になっている。 こうした発表を受け、首都を中心に全国で感染爆発が起こるのではないかという不安や懸念がますます強まりつつある。 感染者数は実数で報道されることが多い。 確かに値が大きい場合には、それがもたらす影響度も大きいので、実数の報道には大きな意味がある。 しかし、人口約1300万人の東京と人口約78万人の福井とを比較して東京の感染者数が福井よりずっと多いといっても、感染リスクを正しく評価したことにはならないだろう。 時間が経過するだけ新しいデータが発表される。 ここで使用している値は4月5日17:00現在で入手可能なものまでである点を読者にはご了解いただきたい。 図表1には、感染者数の多い都道府県ランキングを実数と人口10万人当たりの両方で示したデータを掲げた。 感染者数そのものについては、1位の東京が891人と2位の大阪の387人の2倍以上となっている。 上位2都府が3位の神奈川以下を大きく上回っており、首都東京や関西の中心大阪の動きが極めて重大な局面にあることがうかがわれる。 3位以下、10位までの上位地域としては、北海道を除くと東西大都市圏の近郊地域や愛知、福岡といった中心都市が占めており、都市部の感染がウエートとして大きいといえる。 ところが、人口10万人当たりの感染者数(以下、「感染率」と呼ぶ)の都道府県ランキングは「実数」のランキングとはかなり様相を異にしている。 何と1位は6. 7人(10万人あたり、以下同)の福井であり、6. 5人の東京は2位なのである。 47都道府県中、神奈川は2. 6人13位であるし、埼玉は2. 2人、16位である。 感染率は両県とも全国平均の2. 8人より低くなっているのである。 そして、ワースト1位の福井と同様に、京都、北海道、高知では、飲み会、ライブなどを通じたクラスター感染が偶発的に発生し、それが連鎖的にある程度の広がりをもった都道府県が、むしろ上位を占めているのである。 こうした地域を「特定感染地域」とすると、感染率の高い地域は、「大都市圏の中心部」と「特定感染地域」の2種類だと要約できる。 図表2には、感染確定日別に累積感染者数について、上の表と同じように、実数と人口当たりの両方で推移を示した。 もとになったデータは、確定日未確認の者などが省かれており、報道される感染者数よりは小さな数字であるが、感染者数の追跡には有効だと思われる。 推移を追うと3月最終週から新型コロナウイルスへの感染状況の地域分布は、やや様相を異にしはじめていることが理解できる。 北海道では、中国などからの観光客が多いことを背景に、さっぽろ雪まつりにおける会場テント内での感染拡大や北見市における住宅展示会での感染、札幌市ススキノのライブバーにおける感染などで、一時期は感染者数が全国最多である点が目立っていた。 愛知でもスポーツジムや福祉施設を介した感染でやはり感染者数が全国トップに近い位置にあった。 同県蒲郡市で「コロナばらまく」と感染を知りながら飲食店を利用していた50代の男性が死亡したことも話題となった。 以前は、東京や大阪の動きは、北海道や愛知と比べあまり目立たなかった。 ところが、3月最終週を境に、大都市圏の中でも東京や大阪といった中心部において指数関数的な感染拡大が目立つようになった。 特に東京の場合は首都であることもあって、感染者の急増が全国的な関心事となっている。 このほか、特定感染地域と呼ぶべきエリアも無視できない動きを示している。 典型的なのは、感染率ワーストの福井だ。 接待を伴う特定飲食店での会食から福井市を中心にクラスター連鎖を起こした福井は、感染者数53人と大都市圏と比べると人数規模的にはそれほど大きくないが、人口比では全国トップに躍り出ている。 京都も京都産業大の感染者集団(クラスター)が起点となり、学生らが参加したゼミなどの懇親会から連鎖的に感染が広がった。 全国的に感染拡大が注目されて、感染防止につながる県民の自粛的な行動が推奨され、その結果、大いに県民意識が高まった効果と見られないこともない。 これらと比べて、今後どう推移していくかが不気味なのは、埼玉やその他(主要地域以外)の動きである。 とりわけ、埼玉は今のところ人口当たりの感染者数・感染率が主要感染地域と比較して低いが注視が必要だ。 東京、大阪、福井のような急激な感染拡大は見られないが、拡大傾向が一層上向きになってきてはいるからである。 もし、こうした地域が東京や大阪、福井のような感染の急拡大に転じたとしたら、全国的な感染拡大が現実となってしまうのである。 それでは、東京の中ではどんな地域で感染が拡大しているのであろうか。 東京では、区市町村別の感染者数が3月31日時点から毎日公表されるようになった。 新聞、テレビなどでは、実数の多い世田谷区(79人)などが注目されているが、地域分布の構造を理解するために重要な人口当たりの感染率はあまり報じられていない。 そこで、東京都の地域別の感染者数の実数と人口当たりデータを図表3に示した。 世田谷区の感染者数の多さが注目されているが、人口が福井県よりずっと多い92万人と都内の他地域と比較しても母数が格段に大きいので当然ともいえる。 人口10万人当たり感染者数で比較すると世田谷区は8. 6人とむしろ目立たない。 人口当たりで感染率が最も高いのは港区の22. 2人であり、この水準は、韓国の19人というレベルをすでに超えているのである(世界を見ると、4月1日時点の感染率が最も高い順に、イタリア175. 1人、ドイツ81. 2人、フランス76. 8人、イラン54. 5人、米国49. 9人、英国37. 8人、韓国19. 1人、中国5. 9人となっている)。 港区(22. 2人)に次いで高い地域は、台東区(12. 3人)、目黒区(12. 1人)、新宿区(10. 9人)、中央区(11. 8人)、渋谷区(11. 3人)であり、いずれも10人強のレベルとなっている。 港区を含めこうした地域の特徴は、都心である点、また、銀座(中央区)、赤坂(港区)、六本木(港区)、新宿、上野(台東区)、浅草(台東区)、渋谷といった繁華街を抱えている点である。 新宿区(10. 9人)と隣接する文京区(2. 7人)、また台東区(12. 3人)と隣接する墨田区(3. 6人)の感染率は低い。 隣り合わせの区でこれほど大きな感染率の差が認められるのは、やはり、大繁華街を有しているかどうかの差と言わざるをえない。 23区の中でも都心から外れた区(北区、荒川区など)、あるいは多摩地域では感染率は格段に低くなる。 日本の全国平均2. 8人(図表1)よりも低い地域も多いのである。 島しょ部に至っては感染者ゼロ人である。 都内でもこれだけの濃淡があるということは、市区町村別の感染者数が発表されなかったら分からなかったことである。 ひとつは、感染率が高くなっている都心部ほど人口密度が高いため、人と人の距離が近接していて、住んでいるだけで感染のリスクが高くなるからというものだ。 もうひとつは、感染率の高い港区、台東区、目黒区、新宿区、中央区、渋谷区などにたくさんある繁華街で働いていたり、病院で働いていたり、海外との行き来が多いため感染リスクが高くなっている職業の人がその地域に住む傾向にあるから、というものだ。 図表3には、3月31日から4月4日までのわずか4日間の動きであるが、感染者数の変化が分かるように3月31日の値をオレンジの点で図示するとともに、図中にこの間の増加数と伸び率のランキング表を付記した。 増加数は感染者数最多の世田谷区や都心各区で大きいが、伸び率は、むしろ、都心部よりも周辺部(板橋区、葛飾区、墨田区など)で大きい。 感染が同心円状に広がりつつあることを示しているといえよう。 埼玉では南部、東部、南西部、西部といった東京と隣接するいわゆる「埼玉都民」が多い地域で感染率が高く、利根地域や秩父地域など東京から遠い地域では感染率も低くなっている。 東京都心からの感染率の同心円的な傾斜が埼玉にも及んでいるととらえられよう。 やはり、通勤・通学などを通じ東京からの影響があると見ることができる。 ただし、感染率の最も高い川口などの東部地域ですら、10万人当たりの感染者数は3. 2人と都内の墨田区、葛飾区より低くなっており、それほど大きな波及効果があるとも見られない。 今のところ、東京への通勤はあぶないというほどではないが、今後、埼玉都民の感染者数・感染率が一気に上昇する局面ともなれば、それは地方を含む全国的な感染爆発の予兆と言えるかもしれない。 一方、北海道は、感染者の規模は札幌が群を抜いているが、感染率では、札幌のほか、檜山地域やオホーツク地域でも札幌以上に高くなっており、クラスター連鎖が起こっている特定感染地域の影響が大きいと言えよう。 なお、感染したからといって重症化したり、死亡したりするのは、高齢者や持病のある者が中心である。 従って、ここで触れている感染リスクの地域分布は、必ずしも、重症・死亡リスクの地域分布とは一致しない。 インフルエンザ死亡率が高い地域は高齢化の進んでいる地域と相関が見られるのであり、おそらく新型コロナウイルス感染症でも同じ傾向だと考えられる。 都心部は高齢者がむしろ少ない地域なので重症・死亡リスクは感染リスクほどではないだろう。 日本の場合は、医師数、病床数など医療のキャパシティーの地域分布は、ほぼ人口に比例している。 感染者数最多の東京ではここ数日、感染爆発した際には病床数が足りなくなり、医療崩壊必至との見通しを語る医療関係者が多い。 確かにそのリスクはあるが、だからといって都心部から他地域へ逃れるというのはあまり得策とは言えないだろう。 人口の少ない地方は、都心よりも医師数や病床数が少ないからだ。 むしろ、自分や自分が属する集団が感染源となり、クラスター感染の連鎖を生まないように、一人ひとりがマスクや手洗いなどの飛沫感染や接触感染の感染予防策に注意を払い仕事や生活を工夫するということが最善の対策だと思われる。 ---------- 本川 裕(ほんかわ・ゆたか) 統計探偵/統計データ分析家 1951年神奈川県生まれ。 東京大学農学部農業経済学科、同大学院出身。 財団法人国民経済研究協会常務理事研究部長を経て、アルファ社会科学株式会社主席研究員。 「社会実情データ図録」サイト主宰。 シンクタンクで多くの分野の調査研究に従事。 現在は、インターネット・サイトを運営しながら、地域調査等に従事。 ---------- (統計探偵/統計データ分析家 本川 裕) 外部サイト.
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