こちらは4つでした。 いかがでしたか? 8つの図の方はひとつひとつ数えていきましたよね? それに比べて4つの方はひとつひとつ数えなくても、すぐに「4つ」だと判断できたのではないでしょうか? そして、これこそがシンプルスライドをオススメする理由・・・ ではないんです。 もちろん要素を減らして、スライドを見た人が瞬時に判断できるようにすることは大切です。 多くの要素が詰め込まれたスライドは見ていて疲れてしまいます。 でもこれが本当の意味でのシンプルスライドではないんです。 本当にシンプルなスライドというのは、要素を減らすことが目的ではなく、聞き手に本当に伝わるスライドを作ることです。 ですから、場合によっては少し要素が多くても問題ないと思っています。 今回は、具体的に「シンプルとはなにか?」について理解を深めていただきながら、シンプルなプレゼンスライドの作り方をお伝えしていきます。 でも、スライドの中身を少なくして簡単にすることだけが「シンプル」だと思ってしまうと、聴き手に伝わるシンプルデザインを作ることが難しくなってしまいます。 ですので、まずはシンプルなスライドを作る前にシンプルとは何か? について知っておく必要があります。 なぜなら、 シンプルはその言葉の意味とは裏腹に奥が深く、ちゃんと理解しなければ、本当の意味でのシンプルなスライドを作ることができないからです。 シンプルで成功したビジネス たとえば、ビジネスの世界に目を向けてみましょう。 Appleはそれまでボタンがたくさんあった携帯電話からほとんどのボタンを取り除き、スマートでシンプルな携帯電話を世に送り出しました。 フォードは1900年代初頭、まだ自動車が庶民には手が出せないほど高額だったころに、構造や生産方法をシンプルにした「T型フォード」1種類のみ生産することによって、生産効率を飛躍的に高め、庶民でも買える大衆車を生み出しました。 バルミューダの家電はとてもシンプルなデザインですが、見た目だけではなく操作もシンプルであることにこだわっています。 「シンプル」と聞くと「デザイン」のことを対象にしているように感じますが、それだけではありません。 アップルは携帯電話からボタンをなくすことで、軽量かつ画面が大型化され見やすくなり、操作性も非常に良くなりました。 フォードは、ユーザーが自分たちで直せるほどシンプルな構造で、操縦が簡単なのでだれでも運転することが可能になりました。 バルミューダの家電は多くのボタンと複雑な機能でユーザーを困らせることなく、直感的に操作できるようになっています。 シンプルは見た目だけの効果があるのではありません。 シンプルを本質的に捉えようとすると、その機能性にたどりつくのです。 つまり、シンプルであることはお客さんや使う人のためのことを考え抜いて生み出された結果のことなんです。 しかもシンプルにすることは相手のためになるだけではありません。 自分自身のためにもなることがシンプルの特徴です。 先ほどの例でいえば、シンプルな構造は部品数を減らし、製造工程がシンプルになり、製造コストが抑えられます。 時間とお金の節約にもつながるのです。 これらのことはすべて、プレゼンスライドにもそっくりそのまま置き換えることができます。 シンプルなスライドは複雑なレイアウトやデザインを必要としないため、制作者の制作負担を軽減することができます。 また、1枚のスライドには限られた情報のみが表示されるため、聴き手がすぐに理解できることができます。 シンプルであることはお互いにとって大きなメリットがあるんです。 シンプルデザインの特徴 シンプルってことは簡単に済ませることなんだから楽勝じゃん!と勘違いされる方もいるかもしれませんが、これはまったくの間違いです。 シンプルにするためには複雑な工程を経る必要があります。 「複雑さの手前にあるシンプルさなど、どうでもいいが、複雑さを越えた先にあるシンプルさなら、是が非でもほしい。 」 オリバー・ウェンデル・ホームズ(アメリカの作家、医学者) シンプルなスライドを作るためには、そこに行き着くまでに 多くの試行錯誤や苦悩、失敗、迷いがあってシンプル化することができます。 ただ、なにも考えずに、何も付け加えていないものがシンプルなのではなく、多くの要素から 不要なものをそぎ落としていく作業を経てシンプルになっていくのです。 でもお伝えしていますが、シンプルなスライドを制作していく過程は、刀鍛冶と同じです。 日本刀の制作過程は、鉄の塊を何度も何度もハンマーで叩き、叩いて伸ばされた鉄を今度は折り返してまた叩き伸ばして、また折り返して叩く、といった工程を繰り返しながら、形を整えていき、鍛え上げていきます。 その後もいろいろな工程を経て、最後に刀を研ぐことで、触れただけで指が切れるほどの日本刀が完成します。 そうなると、先ほどお伝えした、制作工程がシンプルで時間の節約になるという作り手のメリットがないように感じますよね? 結局面倒くさいことをしなくちゃいけねーんじゃねーか!! と思われると思いますが、パワーポイントで作業をする前の準備段階である、スライド構成の設計やメッセージの選定などは何度も考え直すので時間がかかります。 でも、実際にパワーポイントでスライドを作り出す作業はデザインがシンプルなため、時間はかかりません。 さらにデザインがシンプルだと、他のプレゼンでも使い回しが容易になるといったメリットもあるんです。 iPhoneだってフォードだってバルミューダだって、結果的にはシンプルであることがメリットになっていますが、商品ができるまでには非常に複雑なステップを踏んでいることを忘れてはいけません。 シンプル化は手を抜くことではないですから。 シンプルは誰もが受け入れやすい デザインに限らず、世の中には流行りがあります。 その中で何年たっても変わらないものは、長く愛され続けます。 喫茶店のナポリタン、コンバースのスニーカー、ホンダスーパーカブ、サザンオールスターズなど。 流行を追い求めたものは時代とともに消えていきますが、流行に縛られないものは長く愛され続け、おそらく今後も愛され続けていきます。 なぜなら、これらは何年たっても色あせることなく、普遍的な存在として時代に認められた存在だからです。 つまり、 多くの人に愛されるためには、普遍的であることが大切だと、私は考えています。 奇抜で想像を超えたデザインは、確かに人の目をひくかもしれません。 でも、プレゼンの場合、デザインの新しさを見せることが目的ではありませんよね。 あくまでも プレゼンの主役は提案内容であって、デザインが目立つ必要はないんです。 そのためにも普遍的でシンプルなデザインであることが、プレゼンスライドには求められると思います。 なぜならそれが、見やすくわかりやすいスライドになり、最終的には聴き手のためにもなるからなんです。 Googleのトップページは素っ気ないほどシンプルで、こんなデザインなら誰でもできると思いがちですが、(実際わたしもそう思っていました・・)Googleのトップページはユーザーがいかに迷わず、ストレスなく使うことができるか、ということを考え、無駄を徹底的にそぎ落としたデザインになっています。 Googleウェブマスターチームの川島優志氏によると、ボタンの位置や大きさ、色、形にもこだわり、レイアウトも1ピクセル単位で変えて検証しているというのです。 しかもそれは現在も、注意して見ないとわからないぐらい微妙な仕様変更が行われています。 あんなにシンプルなデザインでも、裏ではこんなに色々な試行錯誤が隠されているんです。 だからこそ、だれでも使いやすい検索エンジンとして世界トップを走り続けることができているんだと思います。 本当に素晴らしいシンプルスライドは一見すると簡単に作られていそうでも、その裏では多くの試行錯誤をすることで、どんな聞き手でも一瞬で理解することができるスライドになるんです。 シンプルスライドの考え方 デザインに目的があるのだとすれば、それはたったひとつ、 「伝わりやすいかどうか?」 ということだけです。 デザインに凝りすぎて、聴き手に伝わりづらいプレゼンスライドは作らないようにしてください。 時間と労力をかけるだけ無駄な作業となります。 無駄を削ぎ落とす プレゼンスライドを作っていく上で、たくさんの情報を伝えたくなるでしょう。 細かなデータや詳しい情報を伝えたくなると思います。 それでも、全てを伝えることは避けて本当に伝えたい情報だけを伝えるべきだといえます。 Appleのデザインを統括するジョナサン・アイブは 「このパーツは必要か?これ1つで他の4つの機能を実行させられないか?」 と、どこかに無駄はないか常に自問自答し続けたといいます。 たとえば「文章力を向上させるコツが詰まった本」をプレゼンするとしましょう。 その時、準備段階で出てきた要素が下記の通りです。 ・ビジネスメールなどで役に立つ ・企画書がうまく作れる ・報告書が簡単に作れる ・ブログが上手く書ける ・SNSで発信力が高まる ・ラブレターが上手になる ・ニュース記事が書けるようになる 確かにすべてがこの本の特徴なんでしょうが、これらすべての要素をプレゼンに盛り込む必要はありません。 まずターゲットを考えてみると答えは明白になります。 ターゲットがビジネスパーソンなら、間違いなく ・ラブレターが上手になる は必要ありません。 他に必要ないものは ・ブログが上手く書ける ・SNSで発信力が高まる ・ニュース記事が書けるようになる の3つですね。 「ブログが上手く書ける」とか「ニュース記事が書ける」などと言われても、それを望んているビジネスパーソンは少ないですよね。 また、細かい情報も必要ないですね。 たとえば、先ほどの本が、どんな紙の種類が使われているのかとか、フォントの大きさ・種類、色使い、などといった情報は必要ありません。 確かにそれらは、本を構成する上で非常に重要な要素ではありますが、本を買う人にとってはそこまで重要な要素ではありません。 いかに「無駄」を見つけ出し、そぎ落としていくか。 自分たちにとって重要な要素が、相手にとっても重要なのかをしっかりと見極めて、いらないと判断した要素は切り捨てていくことが大切です。 日本人は特にこの感覚に優れているはずなんです。 なぜなら、古くの日本の建築や美術品は、無駄を削ぎ落とした先に放つ凛とした佇まいや、ギリギリのバランスで成り立つ緊張感や鋭さといった要素から成り立っているからです。 日本人こそ本来、シンプルな美を愛する本質を理解しているはずなので、きっとあなたも自分が制作する資料の無駄に気づくはずです! 全ての要素に意味がある 先ほど例として挙げたApple、フォード、バルミューダ、さらにGoogleは、シンプルにすることでユーザーに使いやすさを提供しているわけですが、これらの共通点として、 必要なものだけに「絞る」という点が挙げられます。 機能を絞ったり、ラインナップを絞ったり、特徴を絞ることで、不要なものを取り除きシンプルにしていました。 反対に言えば、 絞った先に残った要素にはすべて意味があり、そのなかでひとつでも欠けてしまったら、成り立たないということです。 プレゼンスライドでも、すべてのスライドに意味があり、たったひとつの要素でも欠けてしまっては成り立たない、というぐらい要素の取捨選択が大切になってきます。 プレゼンスライドをシンプルにつくる方法 シンプルについて理解が深まってきたところで、ついに最終章です。 シンプルなプレゼンスライドとはどのように作っていくのかを見ていきましょう。 最初はすべて盛り込んでつくる 何度もお伝えしていますが、シンプルスライドとは最初から作れるわけではりません。 ですから、最初はすべて必要だと思う情報を盛り込んで作ります。 プレゼンを構成するためのネタ出しという作業で、あまり必要じゃないかもしれないと思う情報も、もしかしたら後で重要な意味を持つかもしれませんから、切り捨てずに盛り込んでおきましょう。 さて、あなたは思いましたよね? そんなんメンドくさくね?? おっしゃりたいことはよくわかります。 わかっているんです。 でも、 そういうもんなんです! シンプルなスライドを作るのは面倒くさいんです。 ただ、最初からパワーポイントを開いて、すべての要素を盛り込んだスライドを作れ! と言っているわけではりません。 まずは、手書きでA4用意にいくつも四角を描いたものを用意し、そこにキーワードだけ入れていきます。 付箋を使うのも良いですね。 要素の順番の入れ替えなどが容易なので、イメージが湧きやすくなります。 こうしてすべての要素を書き出し、俯瞰的、客観的に判断することで、いらない要素をすべて取り除き、本当に必要な要素だけが残った状態になったら、パワーポイントでの制作を始めるようにしましょう。 配布資料は別で作る ほとんどのプレゼンテーションでは配布資料が必要になってくるかもしれませんね。 そのため、印刷してそのまま配布資料で使えるようなプレゼンスライドをつくっていませんか? それでは、スライドデザインをシンプルにすることはできません。 シンプルスライドを作るためには、配布資料とスライドは分けて制作する必要があります。 あれ、あなたはまた思いましたね? そんなんメンドくさくね?? おっしゃりたいことはよくわかります。 わかっているんです。 でも、何度でも言いましょう。 そういうもんなんです! 配布資料とスライドで一緒に使えるようなスライドはシンプルではありません。 ここまで長い記事を読んでいただいたあなたなら理解していただけるはずです。 そういった努力なしにはシンプルスライドを作れないということを。 配布資料とスライドの両方で使えるようにレイアウトを考える時間があるなら、両方を分けてつくったほうが結果的に短い時間で制作することができると私は考えています。 「いらないっぽいけど、もしかしたら必要かもしれない」 と、要素を削ぎ落とすことに躊躇するかもしれません。 この時、多くの場合、 恐怖があなたを支配しているのです。 「これじゃ伝わないんじゃないか」 「説明不足なんじゃないか」 「わからないって言われるんじゃないか」 こんな恐怖によって、あなたは無駄な要素を捨てきれずにいます。 この恐怖を自ら克服して、要素をそぎ落としていくことは難しいと思いますので、 外的要因である時間に制限を設けてしまうという方法があります。 たとえば、30分のプレゼンを5分減らし25分で話すとしたら、何を捨て、何を残すのか?が明確になってきます。 5分短縮されれば、いらない要素が2、3個見つかると思いますので、そういったものを思い切って取り除きます。 たとえばTwitterは140文字の制限があります。 140文字で自分の考えを伝えることは非常に深い考察が必要になってきます。 面白いと思うツイートは少ない言葉でも、ユーモアがあり、理解しやすく、思わず誰かに伝えたくなるツイートです。 文字数に制限があるからこそ、内容の濃いツイートになり、多くの人に拡散されることがあるのです。 文字制限のないFacebookではあまり見受けられない現象ですよね。 yahooニュースのタイトルには約13文字の制限があります。 その中で、人の心を一瞬で掴む言葉選びが必要です。 制限を設けることでより深く考え抜くことができ、また違った視点から考えられることができるので、ぜひ試してみてください。 シンプルに関する名言集 最後にあなたのシンプル熱を加速させ、シンプル愛を深めてもらうため、私が好きなシンプルに関する名言集をご覧ください。 シンプルである事は究極の洗練 レオナルド・ダ・ヴィンチ(画家) 余計な装飾をせず、よく練り上げて無駄を取り除き、高尚なものにするのです。 完璧がついに達成されるのは、何も加えるものがなくなった時ではなく、何も削るものがなくなった時である。 サン・テグジュペリ(星の王子様の作者) デザインでも仕事でも制作するということは、色々な要素を付け加えていくものだと考えられています。 でも、付け加えることよりも、取り除くことの方が難しく、その難しいとされる取り除くという作業が終わった時、完成するというのです。 デザインはシンプルであることが一番大事。 完璧であるだけでなく、できるだけシンプルを心がける。 そうすれば見る人がいっぱい想像できるのです。 これがわたしの哲学。 ディック・ブルーナ(ミッフィー生みの親) シンプルであることは、余白を残すことでもあります。 その余白を人の想像力が埋めてくれるといいます。 プレゼンの場合は聴き手の想像に任せることはあまりしませんが、スライドに余白を残すことで、聴き手に圧迫感を与えずリラックスさせてくれます。 プレゼンでは様々な情報を盛り込もうとするでしょう。 それでも、あなたがやらなければいけない仕事は、必要ないと思う情報を取り除くことなのです。 より少ないことは、より豊かなこと ミース・ファン・デル・ローエ(近代建築の三大巨匠の一人) 要素を付け加えたり、個性を与えるために装飾するのではなく、不必要な要素を取り除くことで主役を引き立てる、という考え方です。 とても日本的芸術の考え方ですね。 完全に無駄な部分を取り除こう。 この方法はあらゆるものに応用できる。 無駄な部分を取り除いて必要な部分をシンプル化すれば製造コストも削減できる。 ヘンリー・フォード(フォード創設者) そのままですね。 成功、それはシンプルから生まれる。 セルゲイ・ブリン(Google創始者) 複雑に考えすぎて、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃとなると、結局全てが中途半端に終わってしまいます。 だからこそ、必要なことをシンプルに遂行するべきなのです。 プレゼンで考えるのはただひとつ「わかりやすいか?」ということだと私は思います。 確かにそれは間違いではありませんが、相手のことを考えたシンプルとは、目に見えない努力の結晶でもあるんです。 もしかしたら、シンプルにすることを非難されるかもしれません。 あなたが組織に属しているなら、上司や先輩に 「もっとかっこよくしなさい」 「素っ気なさすぎる」 「手を抜いているのか?」 といった見た目で判断されてしまう恐れも確かにあります。 そこを押し通してシンプルなスライドを作ることも必要です。 でも立場上、従うしかない場合もあると思います。 というか、従わなければいけないことの方が多いかもしれません。 それなら、無理にシンプルに仕上げなくても、装飾してもかまわないと私は思っています。 シンプル化は特効薬でも、絶対に成功する秘訣でもないですから。 でも、忘れないで欲しいのは、情報を1つのスライドに詰め込んで、聴き手に負担をかけてしまうことは避けるべきだということです。 常に聞き手が理解しやすいプレゼンスライドになるよう、意識して制作に取り組むようにしてください。 あなたのプレゼンスライドが、よく見なくても理解できるスライドになってくれることを私は願っています。 【プレゼン資料の主な制作実績】• 通信サービスイベント プレゼン資料• Payサービス プレゼン資料• 会計事務所 プレゼン資料• ITイベント プレゼン資料• ケータリング会社 プレゼン資料• システムイベント プレゼン資料• AIサービス プレゼン資料• 支出管理会社 プレゼン資料• CIデザイン プレゼン資料• 設計事務所 プレゼン資料• コンサルタントセミナー プレゼン資料• エステ運営会社 プレゼン資料• 個人起業家 プレゼン資料• 東京日比谷商業施設 コンペプレゼン資料• 東京池袋商業施設 コンペプレゼン資料• 東京日本橋オフィスビル コンペプレゼン資料• 東京渋谷区再開発 コンペプレゼン資料• 東京上野結婚式場 コンペプレゼン資料• データセンター コンペプレゼン資料• 教育施設 コンペプレゼン資料• 市庁舎 コンペプレゼン資料• スタジアム コンペプレゼン資料• 病院施設 コンペプレゼン資料 等.
次の前田鎌利 まえだ かまり 1973年福井県生まれ。 東京学芸大学卒業。 ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)などで17年にわたり移動体通信事業に従事。 2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。 孫社長に直接プレゼンして事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりにも携わった。 その卓越したプレゼン力を部下に伝授するとともに、チーム内の会議も改革。 超高速PDCAを回しながら、チームの生産性を倍加させて、次々とプロジェクトを成功させた。 マネジャーとしての実績を評価され、ソフトバンク子会社の社外取締役をはじめ数多くのプロジェクトを任された。 2013年12月にソフトバンクを退社、独立。 ソフトバンク、ヤフー株式会社、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、UQコミュニケーションズなどで会議術の研修も実施。 著書に『社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)などがある。 社外プレゼンの資料作成術 営業、説明会、発表会……。 社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。 ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?そこで、ソフトバンクで孫正義氏のプレゼン資料をつくった著者が、秘伝の「社外プレゼンの資料作成術」を全公開。 本連載では、その「シンプル&ロジカル」かつ、相手の心を動かす、「超」実践的なノウハウをお伝えします! 営業、説明会、発表会……。 社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。 ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?そこで、ソフトバンクで孫正義氏のプレゼン資料をつくった著者が、秘伝のを全公開。 本連載では、その「シンプル&ロジカル」かつ、相手の心を動かす、「超」実践的なノウハウをお伝えします! イントロダクションで「心」をつかむ ここでは、社外プレゼン資料の全体像を解説します。 下図をご覧ください。 社外プレゼン資料は、「イントロダクション」「ボディ」「エンディング」「アペンディックス(別添資料)」の4つのパーツからなります。 このパターンで、すべての社外プレゼンに対応することができます。 これから、それぞれの役割をざっくりとお伝えしますので、まずは、資料全体のイメージをつかんでいただきたいと思います。 まず、イントロダクション。 このパーツは、「表紙」と「つかみスライド」で構成されます。 プレゼンの導入部分に当たる非常に重要なパーツです。 もちろん、1枚目は表紙です。 これは、必ずつけるようにしてください。 スライド中央部にプレゼンのタイトルを大きく表示することで、相手に「何をテーマにしたプレゼンか?」を一瞬で伝える役割があります。 「何について話すのか?」が明確でないままプレゼンが始まれば、相手は「何の話だろう」といきなり戸惑ってしまいます。 そして、プレゼンの趣旨を把握することに労力を費やしてしまうため、それ以降の内容が頭に入ってこなくなってしまうのです。 ですから、端的にプレゼンのテーマを示す、短いタイトル(13文字以内)をつけるように心がけてください。 次に「つかみスライド」。 文字通り、聞き手の興味・関心をつかむ役割をもっています。 扱うテーマは、聞き手が意識的・無意識的に解決・解消したいと思っている課題です。 その課題をスライド化して、「そうそう、それが悩みなんだ……」「これは、自分にとって必要なプレゼンだ……」と直感してもらうという重要な役割を担っています。 それも、遅くとも開始30秒以内に。 これに失敗すれば、その先のプレゼンを聞いていただくことはできません。 特に、説明会は一対多のプレゼンですから、イントロで気持ちをつかめなければ、アッという間に場の空気は弛緩します。 スマホを見始める人もいますし、なかには眠り始める人もいるでしょう。 その時点で、プレゼンは失敗が確定します。 逆に、魅力的な「つかみスライド」をつくれば、一気に相手をプレゼンに引き込むことができます。 いわば、社外プレゼンの最初の勝負どころと言えるのです。 ボディで「メリット」を連打する イントロで心をつかんでから、ボディに移ります。 このパーツがプレゼンの本体(ボディ)。 最も多くのスライドを使う、最重要パーツです。 ここでは、聞き手の課題に対する解決策を提示したうえで、その解決策を実行することによって得られる具体的な効果・メリットを連打していきます。 そして、相手に「なるほど、たしかにこの方法で課題を解決できそうだ」「この人の言うとおりにしたら、理想を実現できそうだ」と納得してもらったうえで、「もっと詳しく知りたい」「詳細の商談に移ろう」などとネクスト・アクションに踏み出す決断をしてもらうわけです。 ここで、聞き手の「納得」「決断」を勝ち取るためには、自社がアピールしたい商品・サービスの特徴を訴えることに終始するのではなく、その商品・サービスによって聞き手の課題がどのように解決されるのか、そして、いかに望ましい未来をつくり出すことができるのかを、可能な限り具体的に提示することが重要。 どこまでも、相手の目線でスライドを構成していくことを心がけてください。 ボディ・スライドが終わったら、エンディングに入ります。 ここでは、提案する商品・サービスに込めた「念い(おもい)」や、自社の「企業理念」を伝えます。 企業トップが社外に向けて行うプレゼンでは、強く深い余韻を残すために、エンディングに相当のスライド数を費やすケースもありますが、一般のビジネスパーソンが行う営業プレゼンや説明会プレゼンでは、1枚のスライドで十分です。 ただし、1枚のスライドであっても、このエンディングをないがしろにしてはなりません。 このスライドが表現する「念い」や「理念」が、イントロやボディ・スライドの内容と整合性が取れていることによって、プレゼンの内容が相手の心のなかにしっくりと収まるからです。 逆に、相手の心に響かないエンディングであれば、説得力に欠ける上滑りなプレゼンになってしまうでしょう。 むしろ、エンディングで提示する「念い」「理念」こそが、プレゼンを根底で支える重要な要素なのです。 営業プレゼンは「3~5分」で終わらせる ここまでが、プレゼンの本編に当たります。 通常、このあと、お客様や参加者と双方向のコミュニケーションを取りながら、より詳しい話をしていくことになります。 この時間を確保するために、事前に時間配分をしっかり考えておく必要があります。 営業プレゼンであれば、おそらく、商談のために30分から1時間を取ってもらっているはずですが、本編は3~5分で終わらせるようにしてください(下図参照)。 一方的に話しをされるのを好む人はいません。 ですから、できるだけ手短に商品・サービスの魅力を伝えて、すぐに質疑応答、さらに詳細の商談に入るほうがお客様の心理的な負担が少ないからです。 説明会の場合は、あらかじめ時間が設定されますが、その時間のすべてを本編のプレゼンに充てるのは得策ではありません。 参加者の質問・疑問に応えることで、さらに理解を深めていただくことができます。 そのためには、コミュニケーションの時間を少しでも多く取ったほうがいいでしょう。 そして、質疑応答の場面で使用するスライドが、アペンディックス(別添資料)です。 これは、本編には盛り込むことができなかったデータや、本編の補足説明に必要なデータなどをストックした、いわば資料集。 本編で示したメリット等の根拠を示したり、聞き手の質問・疑問に応えるものですから、抜け漏れなく万全のアペンディックスを用意する必要があります。 ここで、聞き手の疑問に的確に応えられなければ、詳細の商談に入ることが難しくなるでしょう(なお、商談では商品パンフレットで説明するのが一般的です)。 もちろん、本編プレゼンでお客様や参加者の心をつかむことができなければ、アペンディックスで形勢を逆転することはほぼ不可能ですが、商談に入るために非常に重要なパーツであると言えます。 このように、社外プレゼンは「イントロ」「ボディ」「エンディング」「アペンディックス」の4つのパーツから構成されます。 「イントロ」で心をつかみ、「ボディ・スライド」と「エンディング」で「なるほど、これはいい!」という心証をもってもらう。 そして、「アペンディックス」で疑問を解消する。 そんな流れをイメージしていただければOKです。 前田鎌利(まえだ・かまり)1973年福井県生まれ。 東京学芸大学卒業後、光通信に就職。 「飛び込み営業」の経験を積む。 2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。 各種 営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会なども担当。 2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1 期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。 孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも多数担当した。 その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。 2013年12月にソフトバンクを退社、独立。 ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。 著書に、(ダイヤモンド社)。 前田鎌利・著 定価1600円(税抜き) ダイヤモンド社 『社外プレゼンの資料作成術』 ソフトバンク、ヤフーなどで採用!営業・商品説明会など、社外プレゼンで100%結果が出る!「2. どうやってプレゼンテーション資料を作って良いかわからない方。 会議で資料作成や発表を行われる方。 Keynoteでプレゼン資料をつくらなければいけない方。 つくりたい方。 何をやりたいのか、やるべきなのか迷っている方。 企画や提案を行う方。 人前で話すのが苦手な方。 自分に自信が持てない方。 プレゼンテーション講師になって収入を得られたい方。
次のプレゼンテーションで相手に伝わる資料作成のコツ10選 1. 構成を考えてから作成する まず資料作成をする前に、どのような構成にするのか、おおまかなアウトラインを作成します。 作成途中で必要な項目が抜けてしまったり、訴求したい内容が変わってしまったりすると、作成時間が大幅に伸びてしまいます。 また、構成はそのままアジェンダ(目次)に流用できます。 構成パターンが分からない方は、以下の例を参考にしてみてください。 ・タイトル:資料のタイトル ・自己紹介:名前や簡単な経歴など ・アジェンダ:最初に話の流れのアウトラインを伝える ・課題:問題を認識してもらう、課題を提示 ・解決策:課題に対する解決策 ・商材やサービスの説明:解決策で取り入れたい商材やサービスを紹介 ・利用メリット:商材やサービスを利用するメリット ・根拠:事例や実績など、メリットを裏付ける事実 ・喚起:聞き手の行動を促すメッセージ ・まとめ:プレゼンテーションのまとめ これは一例に過ぎませんが、このような構成で組み立てると、主張したいメッセージの軸がぶれることなく、なるべく短時間で、シンプルで分かりやすい資料作成を進めることができます。 1枚のスライドには1つの主張 1枚のスライドに複数の主張が含められていると、聞き手は何が重要なのか、発表者が何を伝えたいのかが分からなくなってしまいます。 シンプルで伝わりやすいプレゼンテーションをするなら、「1枚のスライドには1つの主張」を徹底しましょう。 誰にでも伝わる言葉で プレゼンテーションは、社外の方を相手にして行う場合もあります。 その際には、自社内や業界内でしか使われていない言葉は避けるのがベターです。 「小学生に向けてのプレゼンテーション」だと意識して作成すると、より伝わりやすい言葉選びができるでしょう。 見やすいフォント・フォントサイズで表記する プレゼン資料には作成者の主観が入りがちです。 フォント1つとっても作成者の好みで選んでしまいがちですが、それが聞き手にとって見やすいかどうかは別です。 一般的には「メイリオ 18pt〜24pt以上」が見やすいとされているので、よほどのこだわりが無い限りは適用しましょう。 配色は基本3色、多くても5色以内におさえる 色を多く使った資料は、どこに注目したらいいのかがわからず視点が散ってしまうため、聞き手に伝わりにくい資料になってしまいます。 可能な限り、使用する色の数は絞るようにしましょう。 一般的には「1枚のスライドに対して3色、全体で5色以内」がよいとされています。 配置を揃える 資料に含まれる要素 グラフや表、 テキスト、画像など が煩雑に並んでいると、非常に見づらい資料になってしまいます。 見やすく、洗練された印象の資料にするためには、配置を揃えることが重要です。 右揃え、中央揃えの機能を使用して、統一感のある資料にしましょう。 余白は多めにもつ スライドの中に テキストや画像などをつめこみすぎてしまうと、情報が多すぎるだけではなく窮屈な印象になってしまい、見づらく聞き手への配慮が感じられない資料になってしまいます。 特にプレゼンテーションの際は、聞き手は手元で資料を見るのではなくスクリーンなどに映し出された資料を見ることになります。 要素が多すぎる窮屈な資料は、聞き手資料を読むのに集中してしまい、プレゼンに意識が行きづらくなってしまいます。 要素と要素の間の余白を多めに取ると、重要な情報に集中してもらいつつ、話も聞き手に届きやすくなるでしょう。 チャートは必要なところだけ抜き出す グラフや表などを使用して、調査結果や売上成績などを示すことがありますが、チャートは必要なところだけを抜粋して、なるべくシンプルな見た目にしましょう。 チャートにおいても、全てを掲載してしまうと上図のように余白がなく見づらくなってしまいます。 チャートを示す際は、プレゼンテーション内でのチャートの役割を考慮しつつ、チャートを通して何を伝えたいのかを意識すると聞き手に伝わりやすくなります。 元のチャートをどうしても表示させたい場合は、別途表示させるようにしましょう。 テキストは少なめに、画像やグラフなどをメインに テキスト量の多いスライドは、全ての情報を読まないと理解できないため読み手に不親切です。 スライドをすっきりさせるためにも、画像やグラフなどを駆使して テキスト情報はなるべく減らしましょう。 流れは左上から右下へ 事業計画や詳細資料などを記載したスライドでは、 テキストや画像、グラフなどが比較的多くなってしまうことがあります。 この場合、人の目が無意識に「左上から右下」へ移動することを考慮して、プレゼンテーションの話の流れがスライドの「左上から右下」へ流れていくような レイアウトを組みましょう。 テンプレートや素材を活用する 1から自分で資料作成すると、整った資料にすることがなかなか難しく、時間もかかります。 効率よく整った資料を作成するなら、テンプレートや素材を活用してみることもオススメします。 以下はferret内の、パワーポイントで使用できる素材・テンプレート10選です。 ぜひ参考にしてみてください。 参考 10. インデックス番号をつける プレゼンテーションをする方は当然話しの流れを理解していますが、聞き手は初めて聞く話であることがほとんどです。 そのため、話の流れを分かりやすくするために インデックス番号をつけた タイトル表示にすることをオススメします。 例えば、事例紹介をする際、以下のような構成の資料だとします。 成功事例 ・A ・B ・C 失敗事例 ・A ・B ・C このような場合に、 インデックス番号をつけた タイトルに変更すると、話にまとまりが出るので聞き手が理解しやすくなります。 成功事例 ・1. 成功事例 A ・1. 成功事例 B ・1. 成功事例 C 2. 失敗事例 ・2. 失敗事例 A ・2. 失敗事例 B ・2. 失敗事例 C このように、 タイトルを見ただけで前後の ページとの関連性を理解することができるように工夫すると、より分かりやすい資料になります。 フォント フォントとは、同一の特徴を持った文字の形状を一揃いでデザインしたものです。
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