UPDATE:2004. 09 よく外来で受ける質問に「耳あかはどのようにしてとるのがいいのですか?」 あるいは「どこまでとったらよいのですか?」というものがあります。 私のところでは手術用の顕微鏡下で、やはり手術に使う器具等を用いるほか、耳垢を溶かす薬を使って洗い流すようにしてとる場合もあります。 とはいえ、自宅でということになるとなかなか一概には答えにくいものです。 基本的には、見える範囲で綿棒か耳かきを使ってとって頂くように答えますが、耳の穴の大きさ、曲がり具合、耳垢の性質、外耳道湿疹などの疾患の有無によって使う器具も取り方も変わってくるということもあるからです。 ただし、耳掃除をする前に、飛びかかってきそうなペットや子供が近くにいないことを十分に確認してください。 耳掃除中に子供がぶつかってきて鼓膜に穴があいたという患者さんは意外と多いものです。 また耳垢には耳の穴を細菌から守る働きもありますので、過度に耳掃除をすることはかえって外耳炎などの原因になってしまうこともあります。 耳垢には乾燥してかさかさのものと(写真1)、ネコ耳とかアメ耳と称される柔らかいタイプのもの(写真2)があります。 この耳垢が柔らかいタイプは日本人の10~20%に認められるとされていますが、このタイプで綿棒を使うとかえって耳垢を奥の方へ押し込んでしまうことがあります。 耳垢が少なければ細めの綿棒でぬぐうようにとるか、ふつうの耳かきでとるのがいいと思います。 なかなか売っていませんが、先端部にワイヤーを丸めたようになった物をつけた物があり、これは有効かもしれません。 いずれにしても量が多くなると詰まってしまって奥に押し込んでしまう可能性があります(写真3)。 最近耳の奥が見えやすいように光る耳かきや吸引する耳掃除機なども出ています。 耳かきの先端が光るタイプのみみかきは奥の方が見えやすいのですが、少し太めのものが多く、また奥の方までかきすぎてしまう危険があります。 吸引式のものは粉のようになった耳垢をとるのにはいいのですが、それ以外ではあまり役立たないように思います。 耳がかゆくなって耳掃除をやめられないような場合は、外耳道に湿疹ができている可能性がありますので必ず耳鼻科のお医者さんの指示に従ってください。 また、乳児で入浴後に、においがする耳漏が出ると言って受診される場合があります。 多くは胎脂が溶けて出たものですが、中耳炎の場合もありますから専門医の診察を受けるのが無難です。 耳垢栓塞といって、耳垢で耳の穴が詰まってしまうことがあります。 このような場合、繰り返すことが多いようで、なかなか家庭でとるのは難しいので定期的に掃除をしてもらうのがいいでしょう。 耳の中はなかなか見えるものではなく、所見によっては私でも判断が付きかねるときがあります。 そのような場合は内視鏡や手術用顕微鏡で観察をしたのちに診断をします。 たとえ耳垢でも、こんなことぐらいでとは思わずに相談してください。
次の子供の耳掃除が苦手、あるいは介護が必要な老人の耳掃除が大変だという声もよく耳にします。 最近、子供が音の反応に鈍いと感じることはないでしょうか? もしかすると 耳垢栓塞かもしれないですよ。 耳垢栓塞は「じこうそくせん」と読み、耳垢(みみあか)が詰まってしまった状態のことを指す。 耳鼻科医によると、毎日多くの患者を診察していると必ずといってよいほど何人かは耳垢栓塞を見ることができるようです。 それだけ、特別なものではないということです。 耳垢は耳の穴からの分泌物や、耳の穴の皮膚表面が剥がれ落ちたもの、空気中のちりなどがそれぞれ混ざり合ってできる。 1カ月以上あるいはそれ以上もの間、耳掃除をしないまま放置すると、耳垢栓塞ができてしまうようです。 ここでは、耳垢栓塞の耳鼻科での治療で行われることについて紹介します。 sponsored link• 耳垢栓塞の原因と体質 耳垢は通常、耳の出口近くで作られています。 耳の奥の方で作られているわけではありません。 なので、耳垢はそのままにしておいても、自然と耳の外に移動します。 耳の奥の方に溜まった耳垢だと出てこないのでは?と思いますが、少しずつ出てきます。 なので、月に1~2回ほどの耳掃除をすれば、耳垢が詰まってしまうということはないはずなのです。 ところが、必要以上に綿棒や耳かきで耳掃除をすると、耳垢を耳の奥の方に押しやってしまうことがある。 それらが溜まることでも、耳垢栓塞の原因にはなるみたいです。 子供は耳垢が詰まっていてもあまり自覚症状はありませんが、プールなどで耳に水が入ることで固まった耳垢がふやけて膨張し、耳が聞こえにくい(難聴)とか耳に何か詰まった感じがする(耳閉塞感)と初めて訴えることが多い。 大丈夫だろうと、そのまま放置すると外耳炎を起こすことがあるので注意したい。 耳垢栓塞の主な原因としては以下のようなことが挙げられます。 耳垢栓塞の主な理由は耳掃除を長期間しなかった• 外耳道(耳の穴)が狭く、耳垢が溜まりやすい• 新陳代謝が良く、耳の穴にある皮脂腺からの分泌物が多い• 耳掃除をする時に、耳垢を奥へ押し込んでしまっている 耳垢には湿ったタイプの人と乾いたタイプの耳垢を持つ人がいます。 日本人の多くは乾燥したタイプの耳垢ですが、湿ったタイプの耳垢の人は耳垢栓塞になりやすいので注意しないといけません。 湿ったタイプの耳垢になる理由は、耳からの分泌物が多いからです。 耳の穴にも汗腺・皮脂線があり、汗や皮脂成分が分泌されているのです。 耳鼻科での耳垢栓塞除去の方法 耳の奥に詰まった耳垢は専用のピンセットのような機器で引っ張り出すのが主流です。 あるいは、 耳垢水と呼ばれるを薬剤をくり返し点耳して耳垢を柔らかくします。 その後,耳洗浄で洗い出すという方法もある。 ちなみに、耳垢栓塞除去を耳鼻科でしてもらったら、診療内容などが書かれた紙を会計の時にもらいます。 そこに「耳垢栓塞除去 複雑なもの 」と書かれていて、 「複雑なもの」って何?? とすごく気になる人が結構いるみたいです。 「複雑なもの」というのは、耳垢水などの薬剤を使わないと除去できない耳垢栓塞のことを指しています。 なので、あまり気にする必要はないですね。 ただの耳掃除と違うよ!という意味です。 あと、小さいお子さんの場合、頭と体の固定が大事ですね。 細い耳の穴に器具を突っ込むわけですから、暴れたり、頭を動かしたりすると危険です。 耳掃除に行く前に、子供に「耳の掃除をしてもらおうね」とおとなしくできるようにお約束しておくといいかもしれません。 耳垢栓塞除去の後に気をつけること 耳の穴だけでなく、時には鼓膜にまで耳垢が固着してしまっている人がいます。 その場合、両耳の耳垢栓塞を同時に除去すると一時的にふらつきやめまいを感じることがあります。 子供の場合は抱きかかえてあげればよいのですが、高齢者の場合は大人ですから支えてあげるしかありません。 あるいは車椅子に座らせるかですね。 できれば、付き添いの人を伴って耳鼻科に行かいないと、一人で帰れないということもある。 また、長く耳垢がつまってしまった状態が続いていた人の耳は、少なからず皮膚炎を起こしています。 そのため、耳垢を除去したあとに、少し痛みが出ますが、炎症を抑える薬が処方されるので使用します。 あるいは、皮膚炎がひどいと判断された場合は、すぐに耳垢を取らずに炎症を抑えて痛みが無くなってから処置をするということもあります。 子供の耳掃除ってどうすればいいの? 結論から言うと、お子さんや高齢者の方で耳垢(耳あか)が溜まりやすいという場合は、1~3ヶ月に1回でよいので、耳鼻科で耳掃除をしてもらうことをおススメします。 そんなに放っておいたら、それこそ耳垢栓塞になるんじゃ・・・ と心配になりますが、先ほどにも書いたように普通は耳垢は自然と外に出てきます。 なので、あえて耳掃除をしないで、お風呂やシャワーの後などに耳の穴の入口付近を拭くだけで十分なのです。 綿棒や耳かきで耳掃除をしてしまうと、子供の皮膚はまだ柔らかいので傷をつけてしまったりして外耳炎の原因になったりもします。 耳垢栓塞は自分で取ったらダメ? 子供の耳を見ると、ちょっと奥にかたまりが見える! 自分でなんとか取れないかなぁと思ってしまいますね。 しかし、比較的少ない耳垢栓塞であっても、周りの皮膚に強くひっついていたりして、無理に引っ張ることで出血したりすることもあります。 特に皮膚が弱い子供では禁物です。 なかには耳垢水を入れて10分以上横になってからじゃないと、取り除けないケースもあるので、必ず耳鼻科に行きましょう。 sponsored link.
次の耳垢を取るために、耳の穴の奥まで頑張って耳垢を取ろうとする方というのは結構多いのではないでしょうか。 しかし、耳垢が取れないからといってあまりに奥まで耳掃除をしすぎてしまうと、皮膚を傷つけてしまったり耳垢を奥に押し込んだりすることで耳のトラブルを引き起こしてしまう可能性も考えられます。 そのため、耳掃除をするのであればどの道具を使う場合であっても外耳道に近い範囲(外から1cmほど)まで耳垢を取るのがいいでしょう。 耳垢が奥まで詰まってしまっていて聞こえづらい場合は、耳鼻科などで処置をしていただいた方がスッキリ&ごっそり取れます。 耳掃除のしすぎで奥の方に溜まってしまう可能性もありますので、気になるようであれば定期的に耳鼻科を受診することをおすすめします。 以前、何度か筆者自身も耳垢の悩みで耳鼻科にお世話になったことがあります。 その時は耳掃除を週に1回くらいの頻度で行っていたのですが、耳掃除の際に耳かきや綿棒で取れない耳垢を取ろうとして、ずいぶん耳垢を奥に押し込んでしまいました。 鼓膜付近まで耳垢が転がり込んだらしく、ガサガサと不快な音が耳の中で鳴り続けていたため、耳鼻科を受診したのです。 すると、普段であれば吸引管やピンセットだけで取れるはずの耳垢がどうも硬くなりすぎていたようで、吸引管をしようしてもなかなか取れず……。 耳鼻科の先生曰く「固まっていてとてもじゃないが取れる状況ではないので、耳垢が柔らかくなるように耳の薬を処方します」とのこと。 それから一週間ほど点耳薬を処方していただき、一週間後にまた伺い、ピンセット・吸引管などで耳垢をごっそり取っていただきました。 耳垢の状態によっては吸引管やピンセットだけでスッキリする場合もありますが、場合によっては時間を要することもありますので、耳垢が取れないと感じたり、耳に違和感を覚えたりしたら耳鼻科に頼った方がすぐに解決できますし、何よりごっそり取れるのでスッキリ快適になると感じました。 耳掃除の際、ついつい「あれ?これ取れそうなんだけどな……」と耳かきや綿棒・ピンセットなどの道具を奥に入れがちではないでしょうか。 いくら取れないからといっても、耳の奥あたりまで道具を入れてしまうのはあまりいい方法とは言えません。 耳垢はありすぎても詰まりますし、なさ過ぎても耳にトラブルを起こしやすいデリケートな部分なので、取れない耳垢があっても無理に道具を使うことがないように気をつけましょう。 奥まで無理に突っ込んで耳垢を取ろうとしてしまうと、耳垢を更に奥に追いやってしまうことになります。 そうなると自分でどうしようもないので耳鼻科などを受診するほかなくなってしまいます……。 皮膚を傷つけたり、耳垢を鼓膜近くに押し込まないためにも耳の穴1cmくらいのところを掃除することがおすすめ。
次の