日本の財政は大丈夫なのか。 今回の衆院選でも大きな争点の一つとして消費税の使途変更が挙げられ、もし増税分が教育無償化に割り当てられれば、2020年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化するという目標は実現不可能になる。 これから結婚・子育てを考えている20代30代にとって、教育費の無償化という政策は魅力的だが、財政再建を後回しにしてもいいのか、そもそもこのままで日本の財政は大丈夫なのか、という不安も募っている。 日本の財政の現状や今後の社会保障など、若い世代が漠然と抱える5つの不安について、立場の異なる2人の専門家、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストと中央大学法科大学院の森信茂樹教授に話を聞いた。 Q1.今の社会保障制度は持続可能か?今の20代は将来年金がもらえるのか? 既に社会保障の効率化は進んでいる。 年金も過度な心配はいらないが、支給年齢を引き上げる余地はある(永濱) 永濱利廣(以下、永濱):社会保障の効率化は結構進んでいるから、今のところ過度な懸念はしていない。 2015年度時点で、社会保障給付は2012年3月の政府推計よりも5兆円下振れ、つまり下回っている。 理由は、今までデフレ下で減額されていなかった年金給付が減額されたり、景気が良くなって失業給付が減ったりしているから。 医療費も2016年度に14年ぶりに減少している。 高額薬の使用が減少したことや、薬の公定価格(薬価)を全般に引き下げたことが効いている。 逆にいうと、効率化が進んでいるから消費が落ち込んでいる側面はある。 ただでさえ消費増税で8兆円の負担増に加えて、本来受け取れるはずだった社会保障給付が5兆円程度下振れている。 つまり13兆円ぐらい家計に回るお金が削減されているのだ。 現状日本の財政に過度な心配は必要ないと語る永濱氏。 今後は、(医療機関の)窓口負担を増やす、市販で買える薬は保険の対象から外す、後期高齢者でも裕福な人は医療負担費を2割に上げるなどの話が出ている。 将来的には、マイナンバーを義務化して金融資産を多く持っている人には後期高齢者でも多く負担してもらう、という具体的な施策も考えられている。 そうしたことを確実に実施すれば、財政的に過度な心配はいらない。 むしろ、急速に改革を進めたり、過度な不安を煽ったりすることで、消費者が財布の紐を締め、景気に悪影響を及ぼす方が心配だ。 年金も改革の余地がある。 年金は税金からも払われるのだから、普段消費税を払っているのに保険料を支払わずに年金をもらう権利を放棄するのはもったいない。 ただ、日本より平均寿命が短い欧米諸国が年金支給開始年齢を将来67〜68歳に引き上げることを決めており、日本もいずれ70歳程度へ引き上げる余地がある。 年金ほど安全な資産運用はない。 いくら少子高齢化が進んでも年金はもらえる(森信) 森信茂樹(以下、森信):年金は、今の世の中で最もリスクの少ない資産運用だ。 税制優遇までされており、利回りが高い。 年金を積み立てる時には社会保険控除があり、もらう時には公的年金等控除がある。 仮に40年間積み立てて、20年間年金をもらえるとしたら、本来は3万円程度。 それなのに5万円ももらえる。 膨大な積立金があるし、さらには基礎年金の半分に税金が投入されており、払った分が返ってこないことはあり得ない。 いくら少子高齢化が進んでも年金はもらえる。 国民年金が少ないという話もあるが、そもそも月に1万5000円程度しか積み立てていないのだから5万円ももらえれば十分ということ。 足りない部分は自己責任で積み立てるほかない。 Q2.プライマリーバランスの黒字化が遅れるとどのような影響があるのか?なぜ財政再建が重要なのか。 (注:プライマリーバランスとは国の基礎的な財政収支のこと。 一般会計で歳入総額から国債などの発行(借金)による収入を引いた金額と、歳出総額から国債費などを引いた金額のバランス) 黒字化が遅れてもほとんど影響はない。 債務残高だけ見てもあまり意味はない(永濱) 永濱:ほとんど影響はない。 プライマリーバランスの黒字化が遅れて大変だと思っている人の主張は、国の財政の信任が失われ、国債が売られて、金利が跳ね上がり、通貨が暴落する、ということ。 つまりマーケットへの影響を心配しているのだが、そもそも市場関係者で2020年に黒字化を達成できると思っている人はいない。 政府の見通しでさえ、赤字になっている。 他国に何か問題が起こっているかといえば、そうはなっていない。 むしろ、ギリシャやアルゼンチンは無理矢理プライマリーバランスを黒字化させようとして歳出削減を行い、景気悪化を招き、事実上の財政破綻となった。 これを日本に置き換えれば、無理矢理プライマリーバランスを黒字化させて、いつまでもデフレ脱却ができない悪影響の方が大きい。 では、なぜ財政再建が重要なのか。 企業が借金をして事業を続けているように、国も借金があっても問題はない。 さらに国は永続する。 2016年以降政府債務残高対GDP比は上昇していない 出典:第一生命経済研究所 経済調査部 ただし、政府の債務残高対GDP比が上昇し続ける状態だと、どこかのタイミングで信任を失う可能性はある。 ただ、2016年以降は政府債務残高対GDP比も上昇は止まっている。 こうした状況下では、むしろ国債を発行して金融緩和環境を維持し、経済を正常な状態にするのを優先すべきではないか。 将来に向けてのリスクを抱え込んだ。 日銀が購入できる国債の量には限界がある(森信) 森信:今回、安倍政権が2回先延ばしした消費増税にコミットしたことは評価できる。 使途を変更したことも、増税を受け入れやすくするという意味ではセカンドベストといえる。 しかし、全世代型社会保障という名目で単に歳出を拡大するのはばらまきだ。 本来は高齢者に偏っている支出を減らして現役世代に割り当てるべき。 一方、プライマリーバランスの黒字化が遅れる影響は、現状の日本銀行(以下、日銀)が管理しているマーケットではほぼ顕在化していないが、将来に向けての大きなリスクを抱え込んだといえる。 早急に新たな財政健全化目標を立てないと大きなリスクを抱え込むことになる。 確かに現状は金利が低い状態だが、日銀が国債を購入し続けるのにも限界がある。 政府の新規国債発行額は30兆円強だが、日銀は年80兆円ペース(直近ではスローダウン)で購入している。 2017年6月末時点での日銀の国債保有残高は437兆円を超え、保有比率は40. 3%を占める 出典:日本銀行 欧米が出口(金融政策の正常化)に向かいつつあり、日本だけが金融緩和を続けることも難しくなる。 マーケットというのはグローバルに連動しているからだ。 このまま財政規律が緩み続ければ、マーケットに日銀は財政ファイナンスをしているという材料・弱みを見せてしまうことになる。 過去にも何度か仕掛けられているが、国債の下落を狙って投機筋がやってくる可能性がある。 ギリシャやスペインはそれでやられた。 政府は、材料を人質にとられるような政策を取るべきではない。 Q3.ギリシャのように、日本が財政破綻する可能性はあるのか? デフォルトはあり得ない。 最大のリスクは円の暴落(永濱) 永濱:ギリシャやアルゼンチンと日本が決定的に違うのは経常収支。 経常収支とは、海外とのモノやサービス、金融などの取引によって生じた所得の収支のこと。 事実上財政破綻したギリシャやアルゼンチンは経常赤字だった。 経常赤字ということは、海外から資金を調達しないと経済が回らない国になっているということ。 そうなると、仮に財政が悪化した時に、貸し手が減って経済が回らなくなる懸念はある。 日本は経常黒字。 歴史を振り返っても経常黒字で財政危機に陥った国は基本的にない。 ギリシャでは多くの若者が賃金カットや増税を盛り込んだ緊縮財政法案可決に反対した。 いざとなったら資産を売却して資金を国内に戻す余地もある。 そしてこれが最も重要だが、日本は国債の9割が国内で消化されている。 日銀は政府の子会社のような存在でもあり、連結決算で見たら債務は相殺されると見ていい。 日本は円建ての国債を発行しているから、いざとなったら日銀がお金を刷って国債を引き受ければいい。 最大のリスクは、財政破綻ではなく、円が暴落すること。 野放図に財政を拡大して、日銀が引き受けると、世の中の円の量が増えるので円が暴落するリスクはある。 しかし、ギリシャのように国内産業の競争力がなければ暴落するかもしれないが、日本は科学技術をはじめとして国内産業の競争力が高い国であるため、そのリスクは小さい。 日銀が大胆な金融緩和を行う前も「そんなことをすれば円が暴落してハイパーインフレになる」と言っていた人たちもいたが、現状そうはなっていない。 アメリカの経済学者ポール・クルーグマンは、日本は臆病になって大胆な行動ができないから本格的なデフレ脱却を行えていない、「 臆病の罠」に陥っていると言っていたが、経済が正常化すれば出口に向かい増税できる環境になろう。 デフォルトする可能性はない。 懸念は国際投機筋だ(森信) 森信:デフォルトする可能性はない。 ただ懸念があるのはやはり国際投機筋だ。 1990年代前半にスウェーデンのクローネが暴落したが、クローネ安になったことで輸出が伸び製造業が回復した。 円が暴落すれば同じようなことが考えられ、国が崩壊するわけではないが、年金受給世代を中心に、国民がインフレで大きな損害を被ることになる。 つまりインフレタックス(BI注:貨幣価値の実質的な目減り)だ。 Q4.消費税は何パーセントまで引き上げなければならないか? 2025年には団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超・超高齢社会を迎える。 財務省は、社会保障給付費は現状の約120兆円から約150兆円に上がると推定する。 この「2025年問題」を乗り越えるために日本はどうすべきなのか? 将来的には消費税を欧米水準まで引き上げてもいいかもしれないが、急激に上げるべきではない (永濱 ) 永濱:実は2020年代は65歳以上の人口の伸び率が鈍化し、実は社会保障給付費が伸びにくくなる。 2023年から団塊世代が後期高齢者入りするから急激に予算が膨らむと言われているが、財務省の推計では、80歳以上も含めて75歳以上全てを平均して出した一人当たり医療費を前提に数字を出しているため、実際の数値より大きく出ている。 このため、増えていくのは間違いないが、2025年までに急増するわけではないと考えている。 景気のことを考えれば消費税だけでなく、相続税や純資産課税などを強化してもいい。 経済がグローバル化しているので、法人税を引き上げるのは難しいが、将来的には消費税も日本だけ今の状態で低いままというのもまた難しいかもしれない。 このまま金融財政政策を続けて経済が正常化すれば増税する余裕も出てくると思うので、そうなれば国際水準に上げていってもいいのではないか。 大切なのは、あげ方。 景気との見合いで 徐々に上げていくのが重要だ。 結局毎年の予算編成でやっていくわけで、まずは新たな財政目標を作る必要がある。 それがないと予算編成ができない。 あとは常識的な話。 ヨーロッパを見れば、「これだけの社会保障をやればこれだけの負担が必要」ということは国民にも自ずとわかってくる。 現状、 日本だけが中福祉・低負担というように、アンバランス。 そこで急速に増税をしたら悪影響も大きく、徐々に国民負担を増やしていくことが必要。 まずは財政健全化目標について議論すべきと語る森信氏。 アベノミクスの最大の問題は負担の議論に蓋をしてきたこと。 それが小泉進次郎氏など若手議員のこども保険の提言もあり、議論されるようになってきた。 若者の将来不安を解消するためにもきちんと財源について考えるべきだ。 若者の将来不安を解消していくためにもきちんと財源について考え、若い世代も負担の問題に逃げずに考える必要がある。 今回の衆院選では、希望の党など皆消費税凍結となり、結果的に自民党・公明党だけが負担と給付の在り方に整合性のある主張をしたことになった。 プライマリーバランスの黒字化をいつにするのか。 2022年なのか、2023年なのか。 まずはそこの議論から始めないといけない。 「政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。 」を明記 出典:首相官邸 金融政策を出口に向かわせるためにも財政再建が必要。 つまり、いつまでも財政赤字を拡大し続ければ、日銀が国債を購入し続けることになる。 財政が健全化し、国債発行を減らさないと出口には向かえない。 出口戦略は金融政策の話だと思われているが、財政の話だ。 財政再建とセットで議論しなければならない。 このことについて政府と日銀は2013年1月に、アコード(共同声明)を結んでいる。 しかし、政府が財政規律を緩めたままだから、全ての責任を日銀が一方的に押し付けられている。 Q5.どの政党の「教育無償化」の実現可能性が高いか? 今回の衆院選では、各党が公約で教育の無償化を掲げている。 自民党は消費増税分の使途変更、希望の党は増税せずに歳出カット+内部留保課税、立憲民主党は消費税の引き上げなしは明記しつつも代替案は掲げていない。 民進党代表選で枝野氏は所得税や金融所得への課税強化、教育国債の発行を掲げていた。 自民党案+景気条項がベスト(永濱) 永濱:教育は人への投資なので無償化は経済にとってプラス。 さまざまな研究で言われているように、幼児教育がその後の人の収益性を高める意味では重要なので、幼児教育はなるべく無償化に近づけるべきだと思う。 現状でも小・中学校の家計負担は小さくなってきているので、高校もなるべく負担を減らしていくべき。 大学はオーストラリアの「出世払い方式」が良いと思う。 もしくは、社会資本向けに発行される建設国債を人的資本向けも含めた投資国債という形に変えて、教育国債を発行しても良い。 とはいえ、自民党の案を全否定するわけではない。 自民党が主張するように、2019年時点で経済が正常な状態に戻っていれば、予定通り消費税を上げて使途を見直しても良いと思う。 しかし、2年後は分からない。 2019年後半はオリンピック特需もピークアウトしている可能性もあるし、アメリカも景気回復が10年超えているわけだから、景気後退の可能性もある。 そこで無理矢理消費税を上げるのは最悪。 しかし2015年3月に成立した消費増税法改正案では景気条項が削除された)を再び追加し、景気の状況を見て判断するべき。 4兆円の一部を使っても良いと思う。 現時点で景気回復を諦めるのも良くないので、 自民党案に景気条項を加えるのがベスト。 希望の党は、消費増税せずに政府の債務残高を減らすという主張をしており、よく見ると与党以上の緊縮財政。 内部留保課税は、ビジネス界やマーケットには受け入れられず、民主党政権時代のように株安を招くだけだと思う。 希望の党の公約は非現実的(森信) 森信:結果的には安倍政権が最も財源について考えているということになる。 枝野氏が9月の民進党代表選で主張していた金融所得への課税強化は反対ではない。 しかし大幅に上げると海外に逃げたりマーケットが崩れる可能性があるので小幅で上げるべき。 教育国債は、赤字国債の言い換えに過ぎないから反対。 それに、大学無償化ほど安易で無駄な政策はない。 大学教育の便益は多くの場合個人に帰属するし、質の悪い大学ができるだけだ。 希望の党の ベーシックインカムは、財源問題の他にも勤労モラルの問題がある。 コンビニの店員やゴミ掃除などキツい仕事をやる人がいなくなる。 そうするとキツい仕事の給料がどんどん上がらざるをえない。 そうではない業種は、ベーシックインカムをもらっているのだからといって給与が下がる可能性がある。 おそらく、ベーシックインカムで期待していることと逆のことが起きると思う。 また、富裕層も含めて無条件に配るというが、そのことがいかに無駄か、全く理解できない。 また歳出カットの話も、私は財務省にいたからよく分かるが、「身を切る改革」というような抽象的な言葉では、兆単位の財源は絶対に出てこない。 民主党政権が信頼を失ったのは、財源なく子ども手当を配るという公約で実現できなかったからだが、同じことが起きるだけだろう。 内部留保課税についても、韓国など海外の事例を見ると結局配当金に流れてしまう。 その結果喜ぶのは、外国人投資家か、持ち合い株の企業。 2割弱の個人投資家も潤うが、それは高所得者。 そうなると、結局一般の人にはお金が回らない。 これで消費税凍結に代わる恒久財源を求めるという発想は、経済の実態が分かっていないのではないか。 野党はもう少し経済政策を磨く必要がある。 (文・写真:室橋祐貴) 永濱利廣(ながはま・としひろ):第一生命経済研究所経済調査部・首席エコノミスト。 内閣府経済財政諮問会議政策コメンテーター、総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事兼事務局長なども務める。 1995年早稲田大学理工学部卒、2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。 森信茂樹(もりのぶ・しげき): 中央大学法科大学院教授、東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。 1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省に入省、主税局などを経て、財務省財務総合研究所長を最後に退官。 著書に『日本の税制 何が問題か』『抜本的税制改革と消費税』『日本が生まれ変わる税制改革』など。
次の日本の年金制度(にほんのねんきんせいど は、制度である、および所得比例年金である被用者年金()が存在し、国民皆が達成されている。 どちらとも、、の機能を持つ。 歴史的経緯として、被用者年金が先に制度化されており、これは所得比例拠出型のである。 保険料は事業主と折半して拠出し、保険者には政府管掌のと管掌の共済年金が存在してきた。 さらに戦後となってから、政府管掌のが制度化された。 これは定額拠出型のであり、を根拠として(昭和36年)にスタートした。 国民年金導入時の男性の平均寿命は65. 32歳、 女性の平均寿命は70. 19歳だった。 そのため55歳から支給された厚生年金を会社員男性は10年間、今も65歳から支給される国民年金は披扶養女性らが5年間程度受給するような制度だった。 (平成27年)からは社会保障・税番号制度(, マイナンバー)が導入され、との連携が(平成29年)より開始された。 年金積立金は、(平成30年)において159兆2154億円まで増加。 資産額は過去最大となった。 日本の人口ピラミッド 就労形態別に各制度が分立していたものを、1985年の改正法施行により、国民年金を1階部分(基礎年金部分)、被用者年金を2階部分とする形で再編成し、更にその上に任意で加入する制度を設け、現行の日本の年金制度は所謂3階建てで構成されている。 原則として、20歳以上60歳未満の者(が3ヶ月以上の外国籍の者を含む)には、への加入が法律にて義務付けられ、その者の就労形態等により第1号、第2号、第3号のいずれかの被保険者に分類される。 また、60歳以降でも所定の要件を満たす者は国民年金に 任意加入が可能である。 また、は勤務する企業や組織に応じてへの加入(原則、国民年金と二重加入)が義務付けられている。 「」も参照 更に、個人はや(個人型)に任意に加入できる、企業では被用者のために各種の(・(基金型・規約型)・(企業型))に任意に加入して掛金を被用者との折半でする。 これで、加入者には、資格期間を10年以上有して65歳に到達した場合にはが、所定の等級以上のになった場合にはが、した場合には遺族にが支給されるようになる。 その他にも、各個人はに任意に加入できる。 かつてはが存在したが、運営事務はに移管され、残余資産はによって清算された。 日本における年金に関する特例法が成立されており、以下の特例法がある(五十音順)。 なお社会保障制度改革推進法において、公的年金制度は財政の現況及び見通し等を踏まえ、において検討し結論を得るとされている(第5条)。 国民年金 [ ] 「」も参照 公的年金受給者の年金総額(2017年) 23兆2642億円 共済年金含む 32兆1465億円 0億円 総計 55兆4108億円 財政の均衡 [ ] 日本の年金制度は、現役世代の保険料負担で世代の年金給付に必要な費用を賄うという の考え方を基本に「 」により運営されているが、近年、の長期的停滞の下でのが急速に進行している。 世代間扶養の考え方に基づく財政運営方式では、保険料負担の急増や給付水準の急激な抑制が不可避となることから、従来から一定規模の積立金を保有することにより、将来の保険料負担の上昇及び給付水準の低下を緩和することとされている。 2004年改正前の年金額の改定は、 給付水準維持方式により原則として5年ごとに行う財政再計算に合わせて、や支出などを総合的に勘案して行われ、保険料負担は段階的に保険料を引き上げる 段階保険料方式がとられていた。 また、財政再計算が行われなかった年度は、完全自動により年金額の改定が行われていた。 給付水準維持方式 年金額の給付水準を将来にわたり維持するために必要な費用を賄うための財源(保険料等)を確保する方式。 財政再計算 将来推計人口(出生率や平均余命、予定死亡率)、積立金の予定運用利率や経済情勢(賃金や消費支出の変動)を勘案し、今後の年金額やその給付水準を将来にわたり維持するために、今後必要な負担(保険料額)を5年ごとに見なおすこと。 保険料 [ ] 国民年金保険料は、4月から毎年280円ずつ引き上げ、2017年度には月額16,900円に固定されることとなった(2019年度に産前産後の保険料免除制度を導入することに伴い、100円引き上げて月額17,000円となっている)。 厚生年金保険料は、2004年10月から保険料率(労使折半)を毎年0. 標準世帯 夫が平均的収入で40年間就業し、妻がその期間全てであった世帯 年金を受給し始めた年(65歳)以降の年金額(名目額)はの上昇に応じて改定されるが、通常は物価上昇よりも上昇率の方が大きいため、その時々の現役世代の所得に対する比率は低下していく。 スライドによる調整期間においては、新たに年金を受給し始める者だけでなく、既に年金を受給し始めている者についても年金改定が緩やかに抑制され、年金額の現役世代の所得に対する比率は低下する。 ただし、名目の年金額は、物価や賃金が下がる場合を除き、下がる事はない。 詳細は「」を参照 有限均衡方式 [ ] 2004年法改正においては、厳しい年金財政状況を踏まえ、社会経済と調和した持続可能な年金制度を構築するために、給付と負担のあり方の見直しが行われた。 将来のすべての期間について給付と負担の均衡を図り(永久均衡方式)将来にわたって一定の積立金を保有することを改め、おおむね100年間で給付と負担の均衡を図り、その財政均衡期間の最終年度に給付費の1年分程度の積立金を保有すること( 有限均衡方式)とし、積立水準の圧縮分を次世代、次々世代の給付に充てることとした。 有限均衡方式 すでに生まれている世代の一生程度(概ね100年間)の期間(財政均衡期間)について、収入(基礎年金拠出金・国庫負担・積立金)と支出(給付費)の均衡を図っていく財政運営で、定期的な財政検証ごとに財政状況の現況分析と財政状況の見通しを立て、その見通しの期間を徐々に移動させていく財政運営。 この場合、積立金の水準は、財政均衡期間の最終年度2100年(2004年財政再計算)において支払準備金程度(約1年分の給付費)とすることとされている。 財政均衡期間 すでに生まれている世代の一生程度(概ね100年間)の期間における収入(基礎年金拠出金・国庫負担・積立金)と支出(給付費)の均衡を図ることとし、そのため定期的に財政検証(財政状況の現状分析)と財政の見通しを立てることとされている期間。 マクロ経済スライド(少子化と長命化に伴う年金の減額率) [ ] 詳細は「」を参照 2004年法改正では、給付と負担の見直し方については、最終的な保険料の水準を法律に規定し( 保険料水準固定方式)、その保険料の範囲内で年金給付を行うことを基本とした。 年金額改定は、新規裁定者(68歳未満)は名目手取り賃金の伸び率(変動率)によるスライド、既裁定者(68歳以上)は(変動率)によるスライドにより行われる。 このため、これまでのように5年ごとの財政再計算(保険料の改定)は行わず、財政状況を検証するため、少なくとも5年に一度、「財政の現況及び見通し」の作成( 財政検証)が行われる(初回は2009年、以後2014年にも実施)。 また、財政均衡期間において、必要な積立金が確保できないなど財政の不均衡が見込まれる場合には、賃金や物価の変動と合わせて、少子化(公的年金加入者の減少)や高齢化(平均余命の伸び)といった経済情勢や社会情勢などの変動に応じて、給付の水準を自動的に調整する仕組み( マクロ経済スライド)が導入された。 997)• 公的年金加入者の変動率=3年度前の公的年金加入者総数の変動率(3年平均)• の伸び率(0. 997)=65歳時の平均余命の伸び率(平均的な受給期間の伸び率は0. 年金事業の収支 保険料、国庫負担、給付に要する費用など年金事業の収支について、今後おおむね100年間における見通しを作成し公表する。 マクロ経済スライドの開始 今後おおむね100年間において財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合には、の開始年度を定める(現在、この開始年度は政令で2005年度と定められ、マクロ経済スライドは発動し得る状態となっているが、実際に発動されたのは2015年度と2019年度の2回だけである)。 マクロ経済スライドの終了 マクロ経済スライドを行う必要がなくなったと認められる場合には、マクロ経済スライドの終了年度を定める。 調整期間 マクロ経済スライドによる調整期間中に財政検証を行う場合には、マクロ経済スライドの終了年度の見通しを作成し公表する。 影響を与える要素 [ ] 年金財政(所得代替率)に影響を与える主な要素は人口関連と経済関連があり、この2つを勘案して将来の給付水準を設定する。 人口関連• 出生率 出生率が低下すると、その世代が被保険者となる約20年後以降に被保険者が減少するため、将来の保険料収入が減少し、所得代替率が低下する。 寿命 寿命が延びると年金給付費が増大し、所得代替率が低下する。 経済関連• 運用利回り 実質的な運用利回りが上昇すると、運用収入が増加し、所得代替率は上昇する。 賃金上昇率 実質賃金上昇率が上昇すると、保険料収入はその分上昇するが、年金給付費の延びはそれ以下(物価により改定)のため、所得代替率は上昇する。 物価上昇率 物価上昇率が低下すると、マクロ経済スライドの調整効果が減殺される(年金の名目額が減少しない範囲で調整する)ため、所得代替率は低下する。 厚生年金被保険者数・労働力率 被保険者数、労働力率が増加すると、保険料収入が増加し、所得代替率は上昇する。 積立金の水準 積立金が増加すると、運用収入が増加し、所得代替率は上昇する。 歴史 [ ] 「」および「」も参照 戦前 [ ] 日本で最も古い年金は、へのであり、に「陸軍武官傷痍扶助及ヒ死亡ノ者祭粢並ニ其家族扶助概則」と「海軍退隠令」、翌に「陸軍恩給令」が公布された。 その後、軍人以外のにも個別的に別の恩給制度が定められていき、には軍人、官吏、教職員などの恩給制度を一つにまとめた「」が制定された。 日本初のは(クラシエブランドやカネボウ化粧品などの源流となる、後年カネボウとして知られた紡績会社)の経営者、が鉄鋼メーカの向けのをに入手し、研究後、翌年に始め、その後なども始めた。 民間の公的年金としては、海上労働者を対象とした公布の を根拠とする年金が実施されている。 それから、の設置やの制定など社会保障政策を進めていた当時ので厚生省官僚だったらによりの年金制度を範として 労働者年金保険法を3月11日に公布、6月に施行した。 労働者年金の対象事業者は、従業員10人以上の事業所に働く男子筋肉労働者であり、産業は鉱業、工業、運輸業などに限定されていた。 年金基金は大蔵省預金部が運用し、完全積立方式で運用された。 労働者年金の給付内容は以下である。 養老年金• 廃疾手当(一時金)• 遺族年金(10年間)• 脱退手当 さらにには「 厚生年金保険」に改称され、被保険者は男女の事務職や女性労働者にも拡大され、事業所規模も5人以上と改定された。 これにより被保険者は832万人まで増大する。 戦後 [ ] 戦後、1950年勧告では、被用者年金と、非拠出型の2本立てが構想されていた。 しかしこれは従来からの拠出者の抵抗により頓挫している。 に、に「国民年金」というように、職域ごとに年金制度が制定されていった。 非拠出型年金はとして、拠出制への積立が不足する者を対象としてを実施の上で行う、経過的な措置として制定された。 中曽根内閣から [ ] の変化等により基盤が不安定になったことや加入している制度により給付と負担の両面で不公平が生じていたことから、中曽根内閣では、職域集団ごとに分立していた制度を見直し、全国民共通の基礎年金制度を導入する大改正を行うことが決定され、に国民年金法をはじめとする改正法が施行された。 1985年改正では、制度成熟期に加入期間が40年に延びることを想定して、給付単価・支給乗率を段階的に逓減する給付水準の適正化。 サラリーマンの妻の国民年金への強制加入(第3号被保険者制度の創設)による女性の年金権の確立。 20歳前に障害者となった者に対する障害基礎年金の保障。 5人未満の法人に対する厚生年金の適用拡大。 女性の老齢厚生年金の支給開始年齢を2000年までに段階的に55歳から60歳に引き上げ。 1989年改正では、完全自動制の導入。 学生の国民年金への強制加入。 国民年金基金の創設。 1994年改正では、60歳代前半の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢を2013年までに段階的に60歳から65歳に引き上げ。 在職老齢年金を賃金の増加に応じて賃金と年金額の合計額が増加する仕組みへの変更と失業等給付との併給調整。 賃金再評価を税・社会保険料を除いた可処分所得の上昇率に応じた方式へ変更。 育児休業中の本人負担分の厚生年金保険料を免除。 1996年改正では、旧3共済(、、)の厚生年金への統合。 小泉内閣から [ ]• 2000年改正では、老齢厚生年金の報酬比例部分を2025年までに段階的に60歳から65歳に引き上げ。 65歳以降の年金額はのみで改定。 厚生年金加入を70歳未満まで拡大し、65歳〜69歳の在職者に対する在職老齢年金を創設。 等にも同率(13. 中の事業主負担分の厚生年金保険料の免除。 国民年金保険料の半額免除制度と学生納付特例制度の創設。 2001年改正では、の厚生年金への統合。 2004年改正では、 保険料負担と年金給付のバランスを図るため、保険料負担の上限を固定し、基礎年金の国庫負担割合を2分の1へ引上げる及びおよそ100年かけて積立金を取り崩して(最終的に年金給付費用1年分程度を残す)年金給付に充当させることにより、保険料の引上げをできるだけ抑制する。 この改正の背景には、少子高齢化による世代間の問題やグローバル化のなかで労働コストを抑制したいという理由から、保険料の引上げが極めて厳しくなっているという状況があった。 保険料• 厚生年金保険料は、2004年10月から保険料率(労使折半)を毎年0. 国民年金保険料は、2005年4月から毎年280円ずつ引き上げ、2017年度には月額16,900円に固定する。 若年者納付猶予制度の創設。 保険料の申請免除等の承認期間の遡及。 多段階免除制度の導入。 年金給付• 60歳代前半の在職老齢年金の一律2割支給停止を廃止。 65歳以降の老齢厚生年金の繰り下げ制度の導入。 70歳以上の在職者に60歳代後半の在職老齢年金のしくみを適用(ただし、保険料納付はなし)。 特別障害給付金制度の創設。 障害基礎年金の受給権者は、65歳以降老齢厚生年金又は遺族厚生年金との併給が可能。 した時に期間の厚生年金の分割が可能(ただし、夫婦間の合意または裁判所の決定が必要)。 離婚した時に第3号被保険者期間について厚生年金の分割が可能。 子のいない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金は5年間の有期年金とし、中高年寡婦加算の支給は夫死亡時40歳以上を対象とする。 保険料納付実績や年金見込額等の年金個人情報の定期的な通知()とポイント制の導入。 安倍政権(第一次)から [ ] 「」も参照 被用者年金一元化 [ ] 一元化の議論には「財政単位の一元化」と「情報の一元化」がある。 財政単位の一元化とは、報酬比例部分の財政単位を一元化して制度設計し、給付と負担を調整する。 情報の一元化とは、被保険者情報と受給者情報を一元化し、職業や住所を変えるという移動があったときに一元化された情報をもとに確認する仕組みである。 安倍政権では「 」が2006年4月に決定された。 公的年金制度の一元化を展望しつつ、民間被用者、を通じ、将来に向けて、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し、同一の公的年金給付を受けるという公平性・安定性を確保する。 また、職域部分を廃止し、民間準拠の考え方を踏まえながら、衆参両院の国会議員、公務員の職務や身分の特殊性など公務員制度との関連から新たな仕組みを設けるとした。 パートタイマーの厚生年金適用の拡大 [ ] 「」も参照 厚生年金はフルタイム勤務者は企業規模に関係なく加入義務があるが、2007年4月、上記「被用者年金制度の一元化法案」の中に、労働者の(社会保険)の適用の拡大が盛り込まれ、後の民主党政権下にて「」として成立した。 2016年10月から、同法により被用者年金(厚生年金)および被用者が、以下の条件をすべて満たす人にも拡大された。 年齢が75歳未満、かつ学生ではない• 所定労働時間が週20時間以上• 賃金が月額換算で88,000円以上• 勤務期間が1年以上• 従業員501人以上 民主党政権から [ ] マニフェストでは(マイナンバー)導入が公約され、これは2015年から実施されている。 による社会保障改革関連5法案の成立により、以下が実現された。 を改正し、財源を年金など社会保障にあてることを明記(第1条2)。 年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とすること(第2条3 )。 への対処及びの早期導入を行うこと。 (第5条2 )• 」が可決。 共済年金の1・2階部分の保険料率を厚生年金の保険料率(18. 安倍政権(第二次)から [ ] 厚生年金の適用拡大が図られ、2020年5月29日に年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案が成立。 2022年10月から従業員101人以上、2024年10月から従業員51人以上の企業規模のパートや非正規労働者の厚生年金加入義務化された。 課題 [ ] 「」も参照 年金制度に関する国民の関心は高く、制度の 持続可能性の確保や 世代間・世代内の不公平の是正が求められている。 2004年の年金改正法の附則に「社会保障制度全般についての一体的な見直し」が明記されたことにより、同年7月「社会保障の在り方に関する懇談会(主宰)」が、制度を将来にわたり持続可能なものとしていくために、税、保険料等の負担と給付の在り方も含めて議論を開始し、計18回の審議を行った。 2006年5月、同懇談会は、社会保障の給付と負担の将来見通しを示し、「今後の社会保障の在り方について」の議論を取りまとめた。 が変化し、都市化、化が進行してきた日本では、従来のように家族内の「私的」により高齢となった親の生活を支えることは困難となり、全体で高齢者を支える「社会的扶養」が必要不可欠となっており、公的年金制度は、安心・自立して老後を暮らせるための社会的な仕組みを目指して導入されたが、近年の少子化、財政危機の中において、逆に国民の不安を助長する仕組みになりつつある。 世代間格差 [ ] 詳細は「」を参照 2006年12月に発表された新人口推計(中位推計)では、の生涯を23. 26に下方修正した結果、20歳〜64歳の現役世代の人口と65歳以上のの人口との比率は、2055年には、1. 3:1になると修正された。 負担と給付のバランスを確保するためには、高齢者、女性、若者、障害者の就業を促進し、制度の担い手を拡大してゆくことが重要である。 高齢者の就業機会の確保は、高齢者の高い就業意欲に応えつつ、制度の担い手としての役割が期待されることから、増加する年金給付の抑制や高い年金依存度の緩和につながる。 また、女性や若年者の無業状態、を改善することが、少子化対策と併せて将来の支え手を増やしていくことになる。 また、人口予測は外れ続けているため、財政再計算のたびに修正を施さなければならないという事態が起きており、人口予測を当てることなどが必要だと主張するところもある。 合計特殊出生率の予測と結果 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2020年 2030年 2040年 2050年 2055年 低位予測 1. 2662 1. 1626 1. 1185 1. 0980 1. 0806 1. 0425 1. 0384 1. 0504 1. 0591 1. 0630 中位予測 1. 2942 1. 2467 1. 2297 1. 2232 1. 2184 1. 2289 1. 2382 1. 2517 1. 2604 1. 2640 高位予測 1. 3243 1. 3170 1. 3179 1. 3214 1. 3282 1. 4783 1. 5264 1. 5368 1. 5429 1. 5461 結果 1. 32 1. 34 1. 37 1. 37 1. 39 年金の不正受給 [ ] 2010年には、高齢者の死を偽装して、家族が年金を不正受給する事件が発覚した。 詳細は「」を参照 年金事務の問題 [ ]• (2004年)• (2006年)• 2007年• 公的年金一元化 [ ] 公的年金制度の一元化は、の安定性、ライフスタイルに対する中立性、制度間の公平性、制度の利便性(分かりやすさ)などのメリットがある。 を繰り返したり、をしてに転職した場合、あるいは自営業からサラリーマンに転職した場合など、現在の多様なライフスタイル・キャリア形成に対応した仕組みにする必要がある。 また、ととの均衡処遇を図り、と年金で共通の適用ルールにすることにより、形態の選択に対して中立的な仕組みにする必要がある。 これは、共助のシステムである本来の機能の在り方という観点からも、非正社員のウエイトが高い産業・企業と低い産業・企業の間において生じている社会保険料負担の不均衡、更には未納・未加入問題や適用範囲の是正の観点からも、重要である。 - 2015年10月に実施された()• - 2016年10月に実施された 国民年金と被用者年金の一元化 [ ]• 高齢(退職)の違い、所得形態及び納付形態の違い、保険料賦課基準所得の定義の違いといった被用者と者等との相違点を解消するという条件整備が不可欠である。 ただし、仮に納税者番号制度が導入されたとしても、自営業者等の所得把握には限界がある。 事業主負担をどうするか、自営業者等に所得比例保険料負担を求めることに賛同が得られるかどうか。 特に、被雇用者は雇用主負担分があるが、その分を自己負担とすると自営業者等は2倍の負担を強いられることになり、政治の力で反対を押し切ることができるかどうか。 現行制度と比べ給付と負担が大きく異なることとなると考えられるため、これについての十分な分析が必要となる。 そもそも被用者と自営業者はの有無やリスクなど全くライフスタイルが異なるのに、政府の都合で同じ制度を押し付けることが公平と言えるのか。 その後、年々の年金給付に必要な費用を、その時々の被保険者が納付する保険料で賄われる部分が徐々に拡大し、1985年の基礎年金制度導入を含め年金制度全体が世代間扶養の性格を強めてきたため、現在ではに移行したと言える。 しかし、近年、国民年金の納付率が低下してきたことで、賦課方式における不公平感が大きくなっている。 納付率の低下 [ ] 近年の国民年金保険料の納付率は、度の85. 度からは若干上昇したが、度以降再度低下に転じ、リーマンショック後の度には58. 以後は景気の回復等の要因により上昇に転じ、度には66. 近年の低下要因 1995年度から、20歳到達者で自ら資格取得の届出を行わない者に対して、職権適用を実施したが、職権適用者には、年金制度への関心や保険料納付の意識が薄い者が多い。 経済の低迷、就業形態の多様化により、離職等による第1号被保険者の増加や保険料負担能力が低下した。 社会保険庁の年金記録の不備による年金制度への信頼の低下• 2002年度の低下要因 免除基準を改正したことで、免除から外れた者が多く、これらの者の納付率が極めて低かった。 保険料収納事務が市町村から国へ移管したが、収納体制の整備が遅れ、納付組織を活用できなかった。 国庫負担2分の1への引上げ [ ] 年金給付に必要な費用の財源は、負担対象者や負担方法により社会保険方式と税方式がある。 国民年金は他の公的年金と同じ社会保険方式を採用しているが、保険料の他に負担もあり、2004年の年金法改正で基礎年金の国庫負担の割合を3分1から2分の1へ引上げることになった。 2007年度を目途に、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、2009年度に実施され、財源に VAT を当てる。 2012年の消費税法改定では第1条2にて福祉目的税であることを明記。 「」も参照 公的年金制度の土台である国民年金(基礎年金)のを解消し、無年金・低年金者をなくすため、また、保険料の負担についての世代間の不公平感を解消するためにも、基礎年金を全額税で賄う必要がある(税方式の)という意見に対しては、以下の意見がある。 賛成論• 社会保険方式はの側面を有し(積立方式)、もしくは構成の変動に脆い()など制度的な問題点が大きい。 低所得者層を中心とする納付率の低下や世代間の負担給付バランスの著しい不公平など、実際に問題が生じている。 基礎年金はそもそも老後の生活維持のための基礎的な給付を行うものである。 現役時代に十分な積立が出来なかった対象者に支給する簡素な基礎年金制度で十分であり、それにより被保険者及び納税者全体の平均的な負担も軽く出来る。 社会保険方式の維持コスト(行政費用、社会保険庁の運営等)が被保険者の負担もしくは納税者に転嫁され、社会全体からみて無駄が生じている。 税方式に完全に移行するかはともかく、制度や財源について効率化が必要である。 社会保険方式は、自立・自助を基本とする日本の経済社会に整合的であるのに対し、税方式は、給付と負担の関係が明確ではなく、生活保護との違いが不明確になり、日本の経済社会に相応しくない。 社会保険方式による年金制度が定着している中での税方式化は、これまで保険料を納付してきた者と、保険料を納付せず税方式の年金を受ける者との公平が図られなくなるなど、国民の不公平感を増す。 高齢者に所得格差がある中で、一律に給付を行う基礎年金を全額税財源で賄う仕組みとすることは、税財源による再分配政策としての公平性の観点から、適当ではない。 は2009年のマニフェストにおいて、「消費税を財源とする『』の創設」を主張した。 による最終的な与野党合意においては、公費の税収投入は「社会保険料に係る国民の負担の適正化」を目的とする範囲となった(第2条3)。 第3号被保険者不整合記録問題 [ ] サラリーマン(第2号被保険者)の配偶者(第3号被保険者)は、夫が退職などで被用者年金制度の資格を喪失した場合、夫ともども第1号被保険者となる。 この切り替え手続きは、市役所や町村役場経由で厚生労働大臣への届け出が義務づけられている。 この手続きを怠ると年金未加入・保険料未納扱いとなり、結果として年金の受給額が減額され、加入期間が不足する場合は無年金となる。 しかし第3号被保険者となる際は事業主経由で手続きが行われたため、多くの元第3号被保険者が切り替え手続きに無知・無関心であり、届け出を行わないため、実際は第1号被保険者の立場にありながら、記録上第3号被保険者のままである不整合が多数発生している。 この記録の不整合問題は1985年の国民年金制度開始時より懸念されていたことであり、旧社会保険庁時代からにより繰り返し適正化を求められてきたが 、根本的な是正がなされることなく放置され続けてきた。 しかし、2010年1月頃、社会保険機構が簡易調査を行った時点で約100万件の不整合が確認できた ことで、民主党政権内部で問題視されるようになった。 これを受け厚生労働省年金記録回復委員会で検討された結果、以下の措置が厚生労働省年金局事業企画課長・厚生労働省年金局事業管理課長名で通知された。 この課長通知の実施は2011年1月1日とされた。 通知の概要は以下の通り。 すでに受給している者 現状に変更なし(本来受給資格がなかったり、本来より受給金額が多い場合でも、それらは不問に付す)• これから受給する者 本来1号被保険者であった期間もすべて3号被保険者とみなす この運用により3号を適用した期間を「運用3号」期間と呼称するが、運用3号を適用すると、以下のような不都合が生じる。 正しく切り替えを行っていた者は保険料の払い損となる• 未納期間がすでに発覚してそれに対して年金の減額等の裁定を受けている者は、未発覚の者より不利な扱いを受ける 運用3号は「法的に問題がある可能性が高い」として2011年2月16日総務省年金業務監視委員会が調査に入った ことで問題が表面化した。 厚生労働省は2月24日、運用3号による救済手続きを停止し 、3月8日通知を廃止した。 厚生労働省は社会保障審議会内にを立ち上げ対応を検討した結果、2011年5月20日報告書が提出された。 報告書の概要は以下の通り。 記録訂正後保険料未納となる期間を「カラ期間」として、これを年金の受給資格期間に繰り入れる• 未納分の保険料は過去10年(年金受給者の場合は60歳までの10年間)分の後納を認める• 年金受給者の過払い分は過去5年分の返還を求める• すでに期間訂正を受けた分に対しても、今回の特別措置の対象とする• 運用3号の下で受けた裁定は再裁定を行う• 過去10年分の追納額は当時の保険料に国債利回り等を考慮した額とし、追納措置も3年の期間限定とする• 障害・遺族年金受給者については、受給権が失われないよう特別措置を講ずる• 今後同じような不整合を生じさせないため、以下のような方策が求められている• 制度の周知や啓発を行うとともに、被保険者が不整合の事実により容易に気付くことができるようにするための改善が必要• 費用対効果にも留意しつつ、新たな不整合期間が生じないようにするための更なる対策を講ずる必要がある• 検討が進められている社会保障・税に関わる番号制度が導入された後は、当該制度も活用し、被保険者資格のより適正な管理等を進めていく必要がある 本件に関して2011年11月22日の閣議において国民年金法改正案が決定された。 この法案では• 保険料未納期間を受給資格期間に算入• 3年間に限り、過去10年分の保険料未納分を追加納付を認める• すでに支払い済みの過払い分に関しては返還を求めない と、社会保障審議会第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会報告書よりも受給対象者の負担が軽くなっている。 しかし、一般の年金記録の不整合記録・誤記では、年金の減額や過払い分の返還を求めているため、「なぜ主婦のみ優遇されるのか」という非難されている。 この法案は2012年8月10日に成立、2012年10月1日より施行された。 その他 [ ] の患者が、理由を示されずに年金支払いを打ち切られた事例があり、でに、打ち切りは違法との判決が出ている。 脚注 [ ]• プレスリリース , 日本年金機構, 2017年2月9日 ,• 朝日新聞. 2019年7月5日. 2019年7月12日閲覧。 厚生労働省、2018年、資料編。。 被用者年金制度の一元化に伴い、2015年10月1日から公務員及び私学教職員も厚生年金に加入。 また、共済年金の職域加算部分は廃止され、新たに退職等年金給付が創設。 ただし、2015年9月30日までの共済年金に加入していた期間分については、2015年10月以後においても、加入期間に応じた職域加算部分を支給。 - 厚生労働省(2019年(令和元年)6月10日閲覧)• 任意加入被保険者を含む。 65歳以上で老齢または退職を支給事由とする年金給付の受給権を有する被保険者を含む• 世帯所得による支給制限の基準額を五十万円とした( 1961年3月30日)• これは、船員保険独自で持っていた年金制度を(61年)に厚生年金と統合したが、医療保険制度については引き続き船員保険独自の給付を行っているためである。 2019年4月7日閲覧。 日本経済新聞 2007年9月24日 12版17ページの「けいざい楽校」による。 Report. 制度上は、妻が被用者で夫が専業主夫である場合も同様である。 2006年4月28日発表、厚生労働省ホームページ• 日本年金機構 2016年9月20日. 2016年9月20日閲覧。 厚生労働省 2020年2月. 2020年2月閲覧。 2020年5月30日中日新聞朝刊2面• , 厚生労働省• OECD Economic Surveys: Japan 2017. OECD. 2017. 2010年12月23日閲覧。 厚生労働省. 2015年9月1日閲覧。 厚生労働省• 国民年金法第十二条5項• 会計検査院 1992年12月3日. 2011年5月30日閲覧。 会計検査院 1999年11月16日. 2011年5月30日閲覧。 会計検査院 2003年10月7日. 2011年5月30日閲覧。 会計検査院 2004年9月16日. 2011年5月30日閲覧。 共同通信 2011年2月16日. 2011年5月30日閲覧。 共同通信 2011年2月24日. 2011年5月30日閲覧。 共同通信 2011年3月8日. 2011年5月30日閲覧。 厚生労働省年金局総務課 2011年5月20日. 2011年5月30日閲覧。 共同通信 2011年11月22日. 47NEWS. 2011年11月26日閲覧。 東京新聞. 2011年11月12日. 2011年11月26日閲覧。 沖縄タイムス. 2011年11月25日. 2011年11月26日閲覧。 日本年金機構 2015年12月28日. 2016年3月13日閲覧。 毎日新聞 2019年4月11日 参考文献 [ ]• 厚生労働省、2015年、資料編。。 「」第47巻第3号、、2011年12月。 『厚生年金保険制度回顧録』 財団法人厚生団編 1988年• 『よくわかる年金制度のあらまし 平成19年度版』 2007年1月• 『年金相談の手引 平成19年度版』 社会保険研究所 2007年4月 関連項目 [ ]• 外部リンク [ ]•
次の2010年1月、社会保険庁が廃止され、日本年金機構が発足しました。 4月に入って新年度を迎え、年金に関する手続きが必要な人も多い時期ですが、日本年金機構という新しい組織になってどんなところが変わっているのか?あるいは変わっていないのかご案内します。 <INDEX>• 日本年金機構とは? はじめに日本年金機構とはどんな組織なのか、大まかにみていきましょう。 社会保険庁は国の省庁の1つであり、職員は公務員として仕事をしていましたが、日本年金機構は非公務員型の公法人(特殊法人)です。 日本年金機構は下図のように本部が設置され、全国9ヵ所のブロック本部、312ヵ所の年金事務所から成り立つ組織です。 各ブロック本部にはその機能の一部として事務センターが都道府県ごとに設置され、届出処理などを集約的に行います。 (日本年金機構の設立についての資料より、クリックすると拡大します) もともと社会保険庁という組織は、厚生労働省の外局としての位置づけで国民年金や厚生年金といった公的年金制度だけでなく、健康保険や船員保険などの運営実施の実務を担当する組織でした。 国(厚生労働省)が作り上げた公的年金制度や医療保険制度を実施する組織として長年機能してきました。 社会保険庁は年金の加入記録の管理などその問題点が指摘されてから業務改革に取り組んできましたが、最終的に上記のような組織の日本年金機構として生まれ変わることが平成20年に決定しました。 日本年金機構は、社会保険庁に代わって公的年金制度を実施する機関として位置付けられていて、国(厚生労働省)との関係は以下の通りです。
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