日本国憲法下の衆議院議員総選挙 [ ] 概要 [ ] は全国民を代表する、選挙されたで組織される(1項、参議院も同様)。 任期は一期4年であるが、の場合にはその期間満了前に任期は終了する()。 なお、衆議院議員総選挙は解散および任期満了に起因するもののみを指し、特定の選挙区におけるやは「総選挙」には含まない。 下では、衆議院解散による総選挙は、衆議院解散の日から40日以内にを行う(1項前段、31条3項)。 一方、任期満了による総選挙は、任期満了の日から前30日以内に行う(公職選挙法31条1項)。 任期満了による総選挙の期間が、開会中または国会閉会の日から23日以内にかかる場合においては、国会閉会の日から24日以後30日以内に総選挙を行う(公職選挙法31条2項)。 また当規定により、任期満了直前に解散をすることによって、理論上は投票日が任期満了後となることもある。 ちなみに、下で任期満了による総選挙を実施したのは、時の1976年(昭和51年)12月5日に行われた、だけである(後述)。 通常、「総選挙」とは衆議院議員の選挙にのみ用いられる語であり、参議院議員の選挙は3年ごとに必ず実施かつ半数ずつ改選するものであるから「」と呼ばれる。 公職選挙法31条も、「総選挙」を 任期満了あるいは衆議院解散による衆議院議員の選挙を指す語として用いている。 ただし、国会議員の選挙の公示について定めた4号の「総選挙」については、同条が「 国会議員の総選挙の施行を公示すること」と規定しており、衆参問わず各議院の国会議員を選出する基本的な選挙の公示をのとして定めた趣旨であると解されることから、憲法7条4号の「総選挙」には、参議院議員通常選挙が含まれると解するのが通説である。 公職選挙法により、 衆議院議員総選挙の期日は少なくとも12日前に公示しなければならないとされている(公職選挙法31条4項)。 選挙はにより行う(公職選挙法35条)。 衆議院議員の選挙においては小選挙区選出議員および比例代表選出議員ごとに一人一票を投票する(公職選挙法36条)。 衆議院議員総選挙の選挙事務の管理については、特別の定めがある場合を除くほか、小選挙区選出議員の選挙については都道府県のが管理し、比例代表選出議員の選挙についてはが管理する(公職選挙法5条)。 ・・選挙方式の詳細については次節以下参照。 参議院議員通常選挙が行われている時期に、衆議院が解散されて衆議院議員総選挙が行われることになった場合は、衆議院選挙と参議院選挙の両方の選挙を同時に行う()。 選挙された衆議院議員の任期は4年である(本文、ただし解散あり)。 衆議院議員の任期は総選挙の期日から起算するが(公職選挙法256条本文)、任期満了による総選挙が衆議院議員の任期満了の日前に行われたときは、前任者の任期満了の日の翌日から起算する(公職選挙法256条但書)。 衆議院解散による衆議院議員総選挙が行われたときは、その選挙の日から30日以内に国会を召集しなければならない(日本国憲法第54条後段)。 衆議院解散による総選挙後に召集された国会(日本国憲法第54条により召集された国会)を(特別国会)という(国会法1条3項)。 一方、任期満了による衆議院議員総選挙が行われたときは、その任期が始まる日から30日以内に(臨時国会)を召集しなければならない(国会法2条の3第1項本文)。 ただし、その期間内に(通常国会)が召集された場合、またはその期間が参議院議員通常選挙を行うべき期間にかかる場合はこの限りでない(国会法2条の3第1項但書)。 なお、衆議院議員総選挙の際には同時にが行われる(憲法79条2項)。 選挙権および被選挙権 [ ] 衆議院議員及びその選挙人の資格は法律(具体的には公職選挙法等)で定められる(本文)。 選挙権 [ ]• で年齢満18年以上の者は、衆議院議員の選挙権を有する(公職選挙法9条1項)。 2015年(平成27年)6月に改正公職選挙法が成立し、2016年(平成28年)6月から選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられた()。 例外的に選挙権を有しない者については、公職選挙法11条1項・252条、28条に規定がある。 被選挙権 [ ]• 日本国民で年齢満25年以上の者は、衆議院議員の被選挙権を有する(公職選挙法10条1項柱書及び1号)。 例外的に被選挙権を有しない者については、公職選挙法11条・11条の2・252条、政治資金規正法28条に規定がある。 選挙方式 [ ]• 議員定数・選挙区・投票の方法など、衆議院議員総選挙に関する事項は、法律(公職選挙法等)によって定められる(2項・)。 定数 465名のである。 数289で議員定数 289名の、および数11で議員定数 176名のとを、ととを必ず等しく重複させる形で同時に併存させている(公職選挙法4条1項)。 小選挙区制 [ ]• 各選挙区から最多得票者1名が選出される。 ただし、有効投票の総数の6分の1以上の得票()がなければならない(第1項第1号)。 は選挙区から1名を選出する制度であるため、定数289名に応じて都道府県別に全都道府県が 289選挙区に分割されている。 の各については、を参照のこと。 選挙人は、投票用紙に候補者1人の氏名を自書して投票する(公職選挙法第35条、第36条、第44条第1項、)。 がに置かれており(1条)衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し、調査審議し必要があると認めるときは、その改定案を作成してに勧告するものとされている(衆議院議員選挙区画定審議会設置法2条)。 比例代表制 [ ] 比例代表ブロック• 日本の衆議院議員総選挙ののすなわちは都道府県を単位として全都道府県が、、、、、、、、、、・の11選挙区に分割されている。 詳細は、あるいはを参照のこと。 各「衆議院名簿届出政党等」(第1項による届出をした政党その他の政治団体)の当選者数は、(「」)ごとに各々の「政党等」の得票数に応じてで比例配分が行なわれた上で決定される(第1項)。 「 衆議院名簿届出政党等」(第1項による届出をした政党その他の政治団体)に所属している候補者は重複立候補を禁止する第1項の規定にもかかわらず、第4項の規定により選挙区が重複している小選挙区制と比例代表制への重複立候補だけは例外的に認められている。 各「衆議院名簿届出政党等」の比例代表立候補者のうち誰が比例代表当選者となるかは、あらかじめ「衆議院名簿届出政党等」がその「名簿」によって届け出た当選人となるべき順位に従って決定される( 拘束名簿方式、第4項)。 なお、参議院議員通常選挙ではの比例代表制が採用されており衆議院議員総選挙とは方式が異なる。 「衆議院名簿届出政党等」は、小選挙区制と比例代表制とに重複して立候補している名簿登載者についてはその全部又は一部を同一の順位とすることができる(第4項)。 この場合、 (当該名簿登載者が立候補したにおける最多得票者に対する得票の割合)の多寡によって当選人になるべき順位を定める(第3項)。 ただし、小選挙区制と比例代表制への重複立候補者のうち小選挙区で有効投票総数の10分の1の得票を得られなかった候補者は、比例代表制においても当選人となることはできない()。 小選挙区制での落選者がによって合理性をもって復活当選し得るように、1つのが必ず1つのに内包されるように決められている。 これらの関係については、を参照のこと。 選挙人は、投票用紙にひとつの「衆議院名簿届出政党等」の名称を自書して投票する(公職選挙法第35条、第36条、第44条第1項、)。 事務経費 [ ] 衆院選では毎回、700億円前後の事務経費が国の予算に計上される。 大日本帝国憲法下の衆議院議員総選挙 [ ] 下においても衆議院は選挙法の定めるところにより公選議員により組織することと定められ( )、それを具体化する法律として衆議院議員選挙法(明治22年法律第37号)が定められていた。 衆議院解散の場合にはをもって新たに議員を選挙し解散の日より5箇月以内にこれを召集することと定めていた()。 なおこの勅命は、法令形式としてのではなく詔書により行われた 選挙権および被選挙権 [ ] 選挙権 [ ]• 1889年(明治22年)の衆議院議員選挙法(明治22年法律第37号)制定当初、次の資格を満たす者としていた(衆議院議員選挙法6条)。 日本臣民の男子で年齢満25歳以上• 選挙人名簿調製の期日より前満1年以上その府県内に本籍を定め居住し引き続き居住している• 選挙人名簿調製の期日より前満1年以上その府県内において直接国税15円以上を納め引き続き納めている(ただし、所得税については人名簿調製の期日より前満3年以上これを納め引き続き納めている)• 1900年(明治33年)の改正衆議院議員選挙法(明治33年法律第73号)により次の資格を満たす者となった(衆議院議員選挙法8条1項)。 帝国臣民たる男子で年齢満25歳以上• 選挙人名簿調製の期日より前満1年以上その選挙区内に住居を有し引き続き有する• 選挙人名簿調製の期日より前満1年以上地租10円以上又は満2年以上地租以外の直接国税10円以上若しくは地租とその他の直接国税とを通して10円以上を納め引き続き納めている• 1925年(大正14年)の改正衆議院議員選挙法(大正14年法律第47号、俗にいう普通選挙法)により納税資格が撤廃された。 1945年(昭和20年)の改正衆議院議員選挙法(昭和20年法律第42号)により(婦人参政権)が認められる。 被選挙権 [ ]• 1889年(明治22年)の衆議院議員選挙法(明治22年法律第37号)制定当初、原則として日本臣民の男子満30歳以上で選挙人名簿調製の期日より前満1年以上その選挙府県内において直接国税15円以上を納め引き続き納める者(ただし、所得税については人名簿調製の期日より前満3年以上これを納め引き続き納めている)を被選人としていた(衆議院議員選挙法8条)。 1900年(明治33年)の改正衆議院議員選挙法(明治33年法律第73号)により、原則として帝国臣民たる男子で年齢満30歳以上の者となった(衆議院議員選挙法10条)。 1945年(昭和20年)の改正衆議院議員選挙法(昭和20年法律第42号)により女性参政権(婦人参政権)が認められる。 翌1946年(昭和21年)4月10日ので39名の女性議員が誕生。 日本国憲法への移行 [ ] (昭和21年)のが、大日本帝国憲法下での最後の衆議院議員総選挙となり、(昭和22年)にが施行された。 1947年(昭和22年)4月25日のは日本国憲法下での初の衆議院議員総選挙となったが、この選挙は衆議院議員選挙法の下で行われた。 なお、その後、1950年(昭和25年)の公職選挙法(昭和25年4月15日法律第100号)施行により、衆議院議員選挙法は廃止となった。 衆議院議員総選挙の沿革 [ ] (明治22年) とともに(明治22年法律第37号)公布。 (明治23年) 初の衆議院議員総選挙。 (明治33年) 衆議院議員選挙法改正。 一府県一選挙区の(ただし、人口3万人以上の都市は独立選挙区)とし、直接国税10円以上納付の満25歳以上の男子による無記名投票に改める(を確立)。 (明治35年) 改正衆議院議員選挙法(1900年)の下での総選挙(第7回衆議院議員総選挙)。 (大正8年) 衆議院議員選挙法改正。 原則小選挙区制とし、直接国税3円以上納付の満25歳以上の男子による無記名投票に改める。 (大正9年) 改正衆議院議員選挙法(1919年)の下での総選挙(第14回衆議院議員総選挙)。 (大正14年) 衆議院議員選挙法改正(いわゆる普通選挙法)。 とし、納税条件を撤廃して満25歳以上の男子によるとする。 (昭和3年) 改正衆議院議員選挙法(1925年)の下での総選挙(第16回衆議院議員総選挙)。 (昭和20年) 衆議院議員選挙法改正。 原則単位の制限連記大選挙区制。 婦人参政権と選挙権年齢引き下げにより、満20歳以上(日本法で定義する者)の男女による普通選挙を確立。 (昭和21年) 改正衆議院議員選挙法(1945年)の下での総選挙、(ラジオ)開始(第22回衆議院議員総選挙)。 (昭和22年) 衆議院議員選挙法改正。 単記中選挙区制。 日本国憲法施行(普通選挙・・秘密選挙の保障)。 日本国憲法下での初の総選挙(第23回衆議院議員総選挙)。 (昭和25年) (昭和25年4月15日法律第100号)施行(衆議院議員選挙法廃止)。 中選挙区制。 (昭和27年) 公職選挙法施行後初の総選挙(第25回衆議院議員総選挙)。 を結び、日本がを回復して初の総選挙。 解除で出馬できたものも多数いた。 (昭和44年) 政見放送(テレビ)開始(第32回衆議院議員総選挙)。 (昭和51年) 1972年の第33回衆議院議員総選挙の定数配分最大格差1対4. 99につきが違憲と判断(最大判昭51・4・14民集30巻3号223頁)。 ただし、により選挙自体は有効とした。 (昭和55年) 初の衆参同日選挙(第36回衆議院議員総選挙・第12回参議院議員通常選挙)。 (昭和58年) 1980年の第36回衆議院議員総選挙の定数配分の最大格差1対3. 94につき最高裁が憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至っていたと判断(最大判昭58・11・7民集37巻9号1243頁)。 ただし、違憲状態にはあったが法改正によって合理的期間内に是正されなかったとはいえないとして違憲とはしなかった。 (昭和60年) 1983年の第37回衆議院議員総選挙の定数配分の最大格差1対4. 40につき最高裁が違憲と判断(最大判昭60・7・17民集39巻5号1100頁)。 ただし、事情判決の法理により選挙自体は有効とした。 (平成5年) 1990年の第39回衆議院議員総選挙の定数配分の最大格差1対3. 18につき、最高裁が憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至っていたと判断(最大判平5・1・20民集47巻1号67頁)。 ただし、違憲状態にはあったが憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったとはいえないとして違憲とはしなかった。 初めて「全都道府県」が揃って、即日された。 (平成6年) 公職選挙法改正。 (拘束名簿式比例代表制)を導入。 (平成8年) 改正公職選挙法(1994年)の下での総選挙(第41回衆議院議員総選挙)。 (平成9年) 公職選挙法改正。 投票時間(を含む)の延長、不在者投票の要件緩和。 (平成12年) 公職選挙法改正。 比例代表選出議員を200から180に削減して総定数480とする。 初めて、洋上投票、及び(但し、の投票のみ)が実施された。 改正公職選挙法(2000年)の下での総選挙(第42回衆議院議員総選挙)。 (平成15年) 公職選挙法改正。 の創設。 (平成19年) 公職選挙法改正。 在外投票のうち、にも投票可能となった。 (平成23年) 2009年の第45回衆議院議員総選挙の際のいわゆるに係る部分、また、定数配分の最大格差1対2. 30の選挙区割りにつき、最高裁が憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたと判断。 ただし、違憲状態にはあったが憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったとはいえないとして違憲とはしなかった。 (平成25年) 公職選挙法改正。 小選挙区の定数が300人から295人に減少。 2012年の第46回衆議院議員総選挙の際の定数配分の最大格差1対2. 43の選挙区割りにつき、最高裁が憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたと判断。 ただし、違憲状態にはあったが憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったとはいえないとして違憲とはしなかった。 (平成26年) 同時にが行われた。 (平成27年) 選挙権年齢を者から18歳以上に引き下げ。 2014年の第47回衆議院議員総選挙の際の定数配分の最大格差1対2. 13の選挙区割りにつき、最高裁は憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたと判断し、その一方で1人別枠方式の撤廃や0増5減などの取り組みを「一定の前進」と評価し、違憲状態にはあったが憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったとはいえないとして選挙無効の訴えは退けた。 (注)一票の格差の判断について最高裁判例では• 著しい不平等状態の有無• その状態が相当期間継続しているかの可否 を判断基準とし、1に抵触している場合には「違憲状態」、1と2の双方に抵触していれば「違憲」として結論を導いており、違憲判決をとる場合には選挙の効力についてさらに判断を行う (議員定数訴訟における「違憲」や「違憲状態」についてはも参照)。 (平成29年) 公職選挙法改正。 小選挙区の定数を295人から289人に、比例代表の定数を180人から176人に減少。 衆議院議員総選挙の一覧 [ ] 「」も参照• 投票日の列は年ではなく月日順でソートされる。 回の列のソートボタンで元の順序に戻る。 青字は最高投票率、 赤字は最低投票率。 導入後最初の衆議院議員総選挙 各種記録 [ ]• 歴代最高 第1回・1890年(明治23年) 93. 歴代最多立候補者数 第22回・1946年(昭和21年) 2770人• 歴代最低投票率 第47回・2014年(平成26年) 52. 人名の 太字は、現職議員。 下では貴族院議員と並び、下では参議院議員と並び• ・『全訂日本国憲法』125 - 126頁、日本評論社、• 2015年6月17日. 2017年10月14日閲覧。 - ・2014年11月22日付け《2017年10月14日閲覧;現在はインターネットアーカイブ内に残存》• 貴族院は皇族・華族・勅任議員で組織されていた()• 第1条「大權ノ施行ニ關スル勅旨ヲ宣誥スルハ別段ノ形式ニ依ルモノヲ除クノ外詔書ヲ以テス」• 2013年11月20日• 日本経済新聞 2015年11月25日• 滝口亜希 2013年3月26日. 2017年10月14日閲覧. 外部リンク [ ]• - 衆議院.
次のシナリオ1 五輪は予定通り実施、衆院解散はオリパラ直後 衆議院解散が最も早いシナリオとして考えられるのは、新型コロナウイルス感染症の拡大が今後数週間で最小限に抑えられ、東京オリンピック・パラリンピックも予定通り挙行されることとなり、世界全体での感染症拡大も(今が悪夢を見ていたかのように)急速に収束を迎える場合です。 この場合、日本経済に与えるダメージは(今でも十分に大きなダメージではあるものの)、それでも最小限にとどめることができるでしょうし、日本国内における感染症収束の成果を前面に出した与党の選挙戦が展開されることになります。 場合によっては東京都知事選と同日程にすることで、東京をはじめとする日本の安全性・健全性を政府・東京都がWアピールするような選挙戦になることも考えられます。 一方、野党の選挙準備にはまだ時間がかかることも考えられることから、与党の圧勝に終わる可能性が高いでしょう。 今年前半に政治資金パーティーを実施できなかった若手政治家にとっては、資金難での選挙を迎えることになるかもしれません。 しかしながら、現状においても海外のオリンピック委員会が既に1年以上の延期を強く訴えていることや、諸外国における新型コロナウイルス感染症の拡大が爆発的になっている現状を鑑みれば、このシナリオが現実になることは、もはや望み薄どころか全くないと言っても過言ではありません。 シナリオ2 五輪は秋に延期、衆院解散は今冬 次に考えられる衆院解散の最短シナリオは、オリンピックの開催が数ヶ月単位の延期となり秋頃に実施されるケースです。 パンデミックが早期に収束するという予測されて数ヶ月単位での延期で済めば、オリパラに関連する経済的損失は最小限に収まるものと考えられます。 日本経済に与えるダメージは「シナリオ1」よりは大きいですが、年内開催となれば東京五輪の開催までに一応のV字回復カーブを作り上げることになるでしょう。 選挙戦としては、結果的に今年中に予定されていた東京五輪自体が開催されることによって、政府の感染症収束にかかる各種施策が成功したと評価され、与党は都市部や若年世代を中心に票を集めることができるでしょう。 一方で、インバウンド施策の恩恵を受けるはずだった観光地などのコロナの爪痕が深い地域を中心に、経済施策の失敗を問う自営業者の声が大きくなる可能性もあり、従来の組織票であった自営業者の支持を失う地域や団体も出てくるでしょう。 近年、労働組合の結束力低下が叫ばれていますが、労働者の賃金保障や休業補償に対する施策が不十分とみなされれば、一部の業界において労働組合の組織力が再興する可能性も秘めています。 れいわ新選組が擁立した社会的弱者などのクラスタが、国の保護・保障の枠組みから外れるようなことがあれば、彼らが存在感を増す可能性もあります。 特に今回の新型コロナウイルス感染症では、フリーランスの休業補償、重度障害者への支援などへも注目が集まっていることから、支援の網から外れるクラスタが取り残されるようなことがあれば、そのクラスタが集票力を持って選挙戦で存在感を増すシナリオも考えられます。 さらに、11月上旬には大阪都構想に関する住民投票が予定されており、その住民投票と時期が被れば日本維新の会が関西ではさらに躍進するでしょう。 ただし、各政党に影響のある事象について考えてきましたが、メジャーな流れとしては大きく変わりませんから最終的な議席は現在とさほど変わらないか、与党やや減、野党やや増程度になると思われます。 しかし、「シナリオ2」についても、現状の新型コロナウイルス感染症の蔓延状況を鑑みれば、望みは薄いでしょう。 特に東京五輪にかかる代表選考イベントが各地で無期限延期になったり中止になっている状況から、今年中に実施できないシナリオ3以降が濃厚とも言えます。 シナリオ3 五輪は来夏に延期、衆院解散は今冬から来春 東京五輪の延期は確実であり、その延期先は来年以降という見方が増えています。 その中で最も早く選挙戦を迎えるとすると、秋までにコロナの猛威が去って、今冬もしくは来年頭に解散総選挙を行うケースが考えられます。 12月ないしは1月の冒頭解散といったケースです。 東京五輪が1年延期になった場合の経済に与える影響について、まだ具体的な予測が出ていません。 ただし、シナリオ1・シナリオ2と比べても不確実性が格段に上がることや、感染症自体の再燃も懸念されることから、大きな回復は期待できないでしょう。 また、12月や1月となると、新型コロナウイルス感染症の発生からちょうど1年となり、同じ季節ということで国民の警戒が強まることが考えられます。 経済の低迷が長引けば、これまで与党が実績として打ち出してきた各種指標にも影響を与えます。 特にGDPやGPIF運用益といった指標は、この数年分のプラス分を消し去るほどのマイナスとなっている可能性が高く、選挙戦において実績的な訴求を行うことが困難になるとも言えるでしょう。 野党にとってはこれらが攻撃材料になるわけですが、一方で選挙準備に与えられる時間も決して十分とは言えず、野党統一候補といった調整がどこまで現実的に行われるのかが鍵となります。 その他はシナリオ2に準じますが、仮に解散風が吹き始めてから投開票までの数十日の間に、コロナ再燃やクラスタの発生ということになってしまうと、政府対応の一挙手一投足がそのまま内閣支持率に反映されるような事態になることが想定されます。 一般の選挙と異なり、内閣が自らの意思・タイミングで解散をするのが総選挙ですから、民意を問う解散という行為とコロナ再燃リスクとを天秤にかけて果たして解散が必要だったのかどうかという議論を呼ぶ可能性もあり、 コロナの再燃が現実になってしまった場合には与党の思わぬ議席減という結果を招くことも考えられます。 シナリオ4 五輪は来夏に延期、衆院解散は五輪前 シナリオ3では触れませんでしたが、そもそも五輪を来年夏に延期した場合、そのスケジュールはどうなるのか、という問題があります。 というのも、五輪の花形競技とも言える陸上は、「世界陸上」という五輪の次に大きな大会が隔年(奇数年)実施されており、2021年はアメリカ合衆国で8月6日から8月15日で実施される予定だからです。 東京五輪は2020年7月24日から8月9日の予定で実施されるはずでしたから、そのまま1年順延するとこの世界陸上と重複することになります。 (また、世界水泳選手権も2021年7月16日から8月1日という日程で、日本・福岡での実施が決まっています。 )パラリンピックのことも考えると、ちょうど1年の順延は現実的にはあり得ないといえます。 そうなると、もう少し早いタイミングでの実施か、もう少し遅いタイミングでの実施か、もしくは「世界陸上」「世界水泳」を玉突きのように変更するかというオプションになります。 いずれにしろ、選挙をその「来年夏の五輪」の直前に実施するケースが「シナリオ4」です。 具体的には、まず東京五輪の延期先が仮に「ちょうど1年より少し早めに延期」の場合、梅雨入り前に全ての日程を終わらせるのであれば4月末か5月頭から五輪を開催して6月頭に終えるパターン(1924年のパリ五輪は、開催期間は長かったものの「5月4日」スタートだった)が考えられます。 この場合、選挙は4月上旬までに行うことになるでしょうから、令和3年度予算成立と同時に解散となるでしょうか。 また、仮に「ちょうど1年より少し遅めに延期」の場合、世界陸上などが終わった後に開催するパターン(8月後半か9月に五輪を開催、あるいは1964年の東京五輪と同じように10月開催)が考えられます。 この場合は、7月後半か8月上旬の選挙が想定されます。 選挙への影響はどうでしょうか。 コロナがほぼ完全な収束を迎えていれば、仕切り直した東京五輪を迎えるにあたって政府与党は安心安全とコロナ克服を訴えるキャンペーンを内外に強く訴えることが想定されるほか、国民全体にもコロナに打ち勝った結果としての五輪としての祝祭的な歓迎ムードが広がる可能性もあり、全体的には与党に良い影響を与える可能性があります。 一方で経済への悪影響は「シナリオ1」「シナリオ2」よりも格段に大きくなっているほか、野党の選挙準備にも十分な時間が与えられることになり、選挙を双方が万全な状態で迎えることができるのではないのでしょうか。 また、このシナリオ4については、そもそもこの日程での東京五輪開催は、いずれも梅雨への懸念や米国主要スポーツ(NFL、NBA)の日程の影響を受けることが既に指摘されており、現時点では成立する可能性が低いとされています。 シナリオ5 五輪は来夏に延期、衆院解散は五輪後 シナリオ5は、具体的には「8月後半か9月に五輪を開催し、その直後に解散総選挙」です。 シナリオ4の後者(「7月後半か8月上旬の選挙、8月後半か9月に五輪を開催」)と、このシナリオ5の違いは、五輪前か五輪後かという点はもちろん、自民党総裁選との関係にもつながります。 安倍晋三首相の自民党総裁としての任期は2021年9月30日です。 従ってシナリオ4の後者のパターンでは、仮に与党が勝利した場合でも自民党総裁としての安倍首相の任期は残り1ヶ月程度となりますから、総選挙で与党が勝利した場合、安倍首相が総理に指名されたとしてもすぐに総裁選が行われるというスケジュールになります。 これでは、政策実現の公約の顔と、政策実現を実際に行うトップが変わる可能性があることから、批難を受ける可能性があります。 よってこの場合に考えられるのは、安倍首相が総裁を辞任し、総裁選を早期に実施した上で解散総選挙を迎えることですが、総理総裁一体でこれまで長くやってきた自民党が、夏に安倍総理総裁としてオリパラを迎えた後に、総裁選と衆院選を短期間で実現することはできるでしょうか。 自民党総裁選が党員投票も含め大々的に行われることになれば、国民の関心を引き寄せて自民党に対する支持は一時的に増えることが予想されます。 一方、総裁選が後腐れ無く終わる保証はどこにもなく、総裁選に敗退した陣営・派閥が党を割るような事態になれば、一気に自民党の分裂に繋がる可能性も孕んでいます。 与党の舵取りが選挙戦全体への影響を大きく左右する形になる一方、既存野党は存在感をどのように訴えるのかが鍵となります。 シナリオ6 五輪は来夏に延期、衆院解散せず任期満了 衆議院議員の任期は2021年10月21日です。 自民党総裁の任期満了からわずか3週間で衆議院議員の任期も満了することとなります。 解散せず任期満了の場合、任期満了から起算して最短での選挙は2021年10月5日(火曜)公示、10月17日(日曜)投開票です。 仮のこの日程の場合、自民党総裁選は少し前倒しで実施しなければ、(各種印刷物や素材準備などの)選挙準備が間に合わないことになるでしょう。 従って、少なくとも2021年の5月から6月まで解散をしなかった場合、安倍総理は総裁選の前倒し実施(すなわち総裁としての辞任)を選択する可能性が高いとも言えます。 任期満了まで選挙を引っ張った場合は、やはり「総理は解散をする余裕がなかった」という見方が大勢になると考えられます。 また、自民党の新しい総裁に対する期待値が高まっている一方、実績が未知数であることから、選挙戦における政策訴求についても不十分となる可能性もあります。 シナリオ5でも触れたとおり、総裁選のしこりが残れば自民党票が割れる可能性もあります。 また、新しい自民党総裁と公明党との協力体制がどこまで確立するのかも不透明と言えます。 東京五輪の開催に伴う経済効果が著しくなかった場合、または国民が感じる五輪の経済的恩恵が少なかった場合には、五輪がピークとなって経済的な成長がマイナスに転じる、不況に繋がるという不安が高まり、結果的にこれまでのアベノミクスをはじめとする政府与党の経済施策が失敗だったのではという結論に世論が陥れば、野党有利となる可能性もあります。 特に自民党が新しい総裁の下で一致団結できないような状態に陥ったり、新しい総裁に対する国民の期待度が高まらないような状態に陥れば、国会の勢力図が変わるようなことになることも考えられます。 シナリオ7 五輪は2年後に延期、衆院解散は今冬から来春 実は個人的には最も可能性の高いシナリオが、この「シナリオ7、8」なのでは、と考えています。 五輪の延長に関しては、シナリオ5,6にも増えたように翌年は既にイベントが決まっており、2年後に五輪の夏冬同年開催とすることの方が現実的ではないかという見方があります(昔は五輪も夏冬同年開催の時代がありました)。 五輪を延期した場合、当初の五輪会期まではなかなか解散しにくいとも思いますので、現実問題としては衆院解散は今秋以降になると思います。 過去3回の選挙は12月、12月、10月といずれも秋〜冬に実施され、いずれも自民党が選挙戦で勝った経験を鑑みれば、この10月〜12月に再度解散総選挙に踏み切る可能性は高いと言えるでしょう。 この場合、延期した五輪への期待はもはや低くなっており、景気低迷からのリカバリーも十分ではない可能性があることから、シナリオ2、3と同じような結果をもたらす可能性があります。 もっとも、解散風から解散までの時間が短ければ、野党の結束がなされずに現状と変わらぬ議席となる可能性もありますし、景気回復が遅れて内閣退陣の要求が夏から秋にかけて続くようであれば、野党の選挙態勢構築が急速に進むことも考えられます。 シナリオ8 五輪は2年後に延期、衆院解散せず任期満了 コロナの感染拡大から収束までの時間軸が見えない中で予測をするのは困難ですが、同様に「コロナ終息宣言」なるものを出すことも困難であることを考えれば、安易に解散総選挙を打って出ることのリスクは無視できるものとは言えず、やはり必要に迫られた選挙である任期満了を迎えるのが自然な流れだと考えます。 この場合、重要なのは日本経済の疲弊と政治への期待と失望の割合です。 まず五輪延期にかかる経済的な打撃は全てのシナリオの中で最も大きいと言えます。 五輪を中止しないだけいいという見方もありますが、インバウンドに依存してきた産業が軒並み大打撃を食らった後に早々に復活するとは言えず、また株価がコロナ拡大前の状況に戻る望みも薄く、経済的な打撃を早期に克服できなければ、結果的に「アベノミクスは失敗」という烙印が押されます。 加えて、有権者は自らの生活に直結する施策の評価には敏感です。 従って、不況の影響を受けて失業する人や生活保護を受給せざるを得ない人が増えた場合には、彼らは政府の無策を嘆き、確実に野党の集票力に貢献することとなります。 失業率や倒産件数、あるいは生活保護受給者数をモニタリングすることでこれらの予測はある程度可能です。 衆議院議員の任期満了からオリンピックの開催まではほぼ1年近くに日数が空くことから、五輪への期待感もまだ十分には高まってるとは言えない温度感の中で、与党が国民に期待感を高める公約・政策訴求ができなければ、一気に過半数割れや下野の可能性もあると言えます。 以上、ここまで複数のシナリオを見てきました。 今回は敢えて森友・加計問題など安倍首相の支持不支持に関わる他の要因を排除して分析をしましたから、これら別の要因が引き金となってシナリオとは異なる結果をもたらす可能性もあります。 しかしながら、国民の不安が高まっている現状や今後の経済に対するダメージの大きさから、現時点において、 新型コロナウイルス感染症の長期化は政権にとってはマイナス材料となるだけでなく、自民党総裁の任期や衆議院議員の任期を鑑みれば、選択肢が少ない状態での選挙は与党にとってはマイナス、野党にとってはプラスの選挙になる可能性が高いとみています。 余談ですが、現金給付施策は仮に1人あたり数万円程度という施策だとするならば、内閣支持・与党支持に与えるプラスの影響は一時的であると考えます。 ヘリコプターマネーはお財布に入って出た頃にはもう入った経緯を忘れていますから、選挙に与える影響は軽微でしょう。 仮に消費税を一時的に減税や停止した場合で、かつその状況で選挙戦に入った場合の方が、選挙に与える影響(与党にプラス)は大きいと思います。 投稿者:• コメント:•
次の本日は 目黒区長選挙の最終日でした。 我々は今回、現役ドクターの 「たぶち正文」を公認して選挙戦を闘っております。 あいにくの天気ですが、本日は目黒区長選挙の最終日!維新は現役医師「たぶち正文」候補を公認しています。 現職による区政の私物化をストップし、医学の専門知識を生かして万全のコロナウイルス対策を目黒区から。 藤田代議士が書いている通り、本当に難しく、投票依頼が心苦しい選挙でした。 しかし、そんな理不尽な選挙が強行されてしまう古い政治をぶち壊すためにこそ、選挙で投票に行ってあたらしい政治家を選んでもらわなければなりません。 実際に選挙活動をやっていた立場から断言しますが、3密などに気をつけながら各陣営、いつもより消極的な選挙戦を展開しているとはいえ、 選挙運動が感染症拡大防止にプラスになるわけがありません。 配るチラシに「証紙」を貼るという作業のために人が集まり、そのチラシを通行人に手渡しする。 選挙がスタートしてしまえば、圧倒的に有利な現職以外はリスクがあるとわかっていても、この作業に恐る恐る着手せざるを得ません。 新型コロナウイルスは、活動制限で一旦は感染拡大を封じ込められたとしても、また活動を再開すると感染が広がることが明らかになりつつあります。 これは、ワクチンや治療法が確立されるまで続くでしょう。 であれば、 6月下旬スタート・7月5日投開票の東京都知事選挙はほとんど絶望的です。 都知事選挙を行えば、区長選挙とは比較にならない数の関係者が動き回ります。 投票所の数もケタ違いです。 候補者陣営が選挙運動をしなければ良い? 絶対無理です。 前述の通り、超絶有利な現職以外は活動をせざるを得ません。 候補者とて選挙戦に命をかけてますから、それを全部止めることは残念ながら不可能でしょう。 そしてアナログな公営掲示板へのポスター貼りや証紙貼りは、 人の集合や動きを制限して完遂することはできない行為です。 特に東京都知事選挙は、有力候補以外にも候補者が乱立することで有名ですから、10~20陣営程度が動き回ることになるでしょう。 取材をするマスコミの動きも活発です。 そして東京都内にある投票所の数、開票に関わる人の数も膨大です。 感染症が広がらないと言える要素がどこにあるでしょうか? ほぼ間違いなく、 都知事選挙は1年間の延期・2021年の都議会議員選挙と同時開催あたりをベンチマークにしておくのが妥当だと思います。 しかし任期が迫る中で、総選挙まで延期することが許されるかどうか…。 だからこそ、 今からネット投票の導入を真剣に考えておくべきだと考えます。 今から検討・実装作業を始めたとしても、ネット選挙の導入には1年くらいは時間がかかりますから、 1年延期された都知事選・来年になるであろう解散総選挙での実現に間に合わせるというのは、かなり現実的なスケジュールではないでしょうか。 ネット投票が実現されれば、大幅に人の移動や開票作業による負担・人の集合機会を減らすことができます。 もちろんそれでも、ポスター貼りなどの作業は残りますから、感染症の状況によっては実施不可能ということもありえるでしょう。 しかしいずれにせよ、 感染症との共存が中長期的に避けられない以上、ネット投票を行わねばならないことは必然なのです。 これを今後とも強く訴えかけていくとともに、感染症の拡大状況によっては、7月の都知事選挙を延期することも提案していきたいと思います。 それでは、また明日。
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