戒能良子は若手プロ雀士の中でも有名株である。 2年前あの宮永照に大物手を当てたことは相性の差もあるが偉業と言っていい。 実際に新人賞やシルバーシューターなどの賞も受賞、弱冠20才の若手としては目覚ましい活躍といえよう。 しかもその交友関係も広い。 牌のお姉さんこと瑞原はやりとは仲が良くプライベートでも時間が合えば会うし、一緒にグラビアに写ることも多々ある。 その肢体は永水高校の滝見春と従姉妹ということもあって素晴らしく起伏に富んでいる。 そんな彼女が今何をしているかといえば 「京太郎はキュートですね、ふふ、よしよし」 自分よりも大きな『京太郎』の背中に抱き着いて頭を優しく撫でていた。 『あの、良子さんあたって』 スキンシップの激しさに『京太郎』は顔が真っ赤である。 背中に大きな胸が触れており、しかも自分の好みの女性に撫でられるのである。 これは一介の高校男子にとって重い試練だった。 「おや、京太郎は姉にエキサイトするのですか?」 更に困ったことにこの良子、『京太郎』を弟に見立てていた。 周囲が女性ばかりであったため弟を可愛がるという願望があったらしい。 だが『京太郎』にとって良子は恋愛対象に見てしまいかねない少し前に出会った女性だ。 このままでは違う部分がエキサイトしてしまうだろう。 それはまずい、『京太郎』の尊厳のためにも良子の好意に対する返礼としてもそれは避けねばならない。 『……こんな年で恥ずかしいよ、姉さん』 選んだのは弟扱いに甘んじつつも『年齢的に素直には甘えづらい』という逃げ道を確保した一手。 姉のようにふるまおうとしつつも色々と台無しな年上のポンコツ幼馴染にこの場は感謝するべきだろう。 経験がなければこの手段を思いつきもしなかったに違いない。 ある意味自爆技ともいえるこの効果はいかようか、と背後に目を流す『京太郎』。 「いい、ベリーにキュートです京太郎。 お姉ちゃんが何でも買ってあげますね」 その返答と蕩け落ちそうな笑顔、そして首筋にかかる吐息の熱さに逆効果だったような気がひしひしと迫ってくるような錯覚を覚える。 『いやー、何でもは悪いですよ良子さ……姉さん』 名前呼びに戻そうした瞬間に妙なプレッシャーを感じたため言い直すと、背後からの空気が軟化する。 そして未だに大きなおもちが背中から離れない。 「大丈夫、お姉ちゃんはこれでもマネー持ちなんです。 とりあえずすべての課金機能を」 『待って、待って姉さん。 そんな散財は……そう、計画的に節約しないと。 いつ入用になるのか分からないからさ?』 なぜか所有者が課金したがってコンテンツであるはずの『京太郎』が思いとどまらせようとする、この辺り採算というものを無視した実装である事がよくわかる。 「……なるほど、確かにサプライズや式のために使った方が。 京太郎はブライトですね」 なんだか不穏な単語が含まれていたのだが『京太郎』の精神はそれどころではない。 むにむにと背中におもちがあたる感触に耳元で囁かれる度にかかる息はくすぐったく、じりじりと理性を削っていく。 これが作戦だというなら良子には魔性の女としての素質があるのかもしれない。 「京太郎、私は……」 良子が何かを言いかけたのと同時にスマホが着信を知らせる。 途中で邪魔をされたと感じる良子は眉をしかめるが、その相手が友人でもあり先輩という無碍にはできない相手であることを確認して小さくため息をつく。 「ハイ、はやりさん、何の用事ですか? 私も今インポータントな」 明らかにすぐに切り上げたそうな様子を見せる良子だったが、電話向こうからの話を聞いていくうちにだんだんとそちらに集中し始める。 「オーケーオーケー、勝算ありと。 私も乗りましょう。 ミートするにはどこへ?」 完全に目の色が変わった良子は今までとは雰囲気を一転させて『京太郎』に申し訳なさそうな声をかける。 「ソーリー、急用ができてしまいました。 埋め合わせは必ず。 外にはもらせない話ですので一度アプリも切らなければならなくて」 あのままでは自分がどうなるかも保証できなかった『京太郎』は神の助けだと思い喜んで提案を受け入れる。 『あ、大丈夫です。 俺はいつでもここにいますし、終わったらまた会いましょうね』 ニコニコと手を振りながらスマホの中に戻った『京太郎』は知らない。 これから瑞原はやりがやろうとしているのが『京ちゃんと一緒』のR-18指定対応版を作るための株の買取であり、それに今の所有者でもある戒能良子が参加するつもりであるなどということは。 「義理の姉弟の明かせない関係、ベリーにインモラルです」 何を思い浮かべているのかもはや妖艶という表現でも足りないほどの空気を滲ませる良子を知らないでいられたことが今後の『京太郎』にどのような結果をもたらすのか、それはまた別の話である。 『戒能良子の場合』、終了ということで。 なぜか全くアイデアが降ってこず数日うなっていたのですが、急遽「そういえばお姉さん系を生かしてるキャラあんまいなくね?」と思いついたらその勢いで。 京ちゃんをドギマギさせようと書いていったのですが、はやりんの親友ポジだし確実に声かけられるよな、というわけで最後はそちら方面に傾きました。 ……戒能さんこれかなり拗らせてない? 次回はレジェンドこと『赤土晴絵の場合』の予定。 問題はその後に誰まで手を広げるかなんですよね。 例えば風越の貴子コーチとか臨海のアレクサンドラ(34)監督とか、カツ丼さんとか新子姉とか、どの辺までありなのかと。 あ、さすがにトシさんはないです。 孫もありえるくらいの年齢差ですし。
次の戒能良子は若手プロ雀士の中でも有名株である。 2年前あの宮永照に大物手を当てたことは相性の差もあるが偉業と言っていい。 実際に新人賞やシルバーシューターなどの賞も受賞、弱冠20才の若手としては目覚ましい活躍といえよう。 しかもその交友関係も広い。 牌のお姉さんこと瑞原はやりとは仲が良くプライベートでも時間が合えば会うし、一緒にグラビアに写ることも多々ある。 その肢体は永水高校の滝見春と従姉妹ということもあって素晴らしく起伏に富んでいる。 そんな彼女が今何をしているかといえば 「京太郎はキュートですね、ふふ、よしよし」 自分よりも大きな『京太郎』の背中に抱き着いて頭を優しく撫でていた。 『あの、良子さんあたって』 スキンシップの激しさに『京太郎』は顔が真っ赤である。 背中に大きな胸が触れており、しかも自分の好みの女性に撫でられるのである。 これは一介の高校男子にとって重い試練だった。 「おや、京太郎は姉にエキサイトするのですか?」 更に困ったことにこの良子、『京太郎』を弟に見立てていた。 周囲が女性ばかりであったため弟を可愛がるという願望があったらしい。 だが『京太郎』にとって良子は恋愛対象に見てしまいかねない少し前に出会った女性だ。 このままでは違う部分がエキサイトしてしまうだろう。 それはまずい、『京太郎』の尊厳のためにも良子の好意に対する返礼としてもそれは避けねばならない。 『……こんな年で恥ずかしいよ、姉さん』 選んだのは弟扱いに甘んじつつも『年齢的に素直には甘えづらい』という逃げ道を確保した一手。 姉のようにふるまおうとしつつも色々と台無しな年上のポンコツ幼馴染にこの場は感謝するべきだろう。 経験がなければこの手段を思いつきもしなかったに違いない。 ある意味自爆技ともいえるこの効果はいかようか、と背後に目を流す『京太郎』。 「いい、ベリーにキュートです京太郎。 お姉ちゃんが何でも買ってあげますね」 その返答と蕩け落ちそうな笑顔、そして首筋にかかる吐息の熱さに逆効果だったような気がひしひしと迫ってくるような錯覚を覚える。 『いやー、何でもは悪いですよ良子さ……姉さん』 名前呼びに戻そうした瞬間に妙なプレッシャーを感じたため言い直すと、背後からの空気が軟化する。 そして未だに大きなおもちが背中から離れない。 「大丈夫、お姉ちゃんはこれでもマネー持ちなんです。 とりあえずすべての課金機能を」 『待って、待って姉さん。 そんな散財は……そう、計画的に節約しないと。 いつ入用になるのか分からないからさ?』 なぜか所有者が課金したがってコンテンツであるはずの『京太郎』が思いとどまらせようとする、この辺り採算というものを無視した実装である事がよくわかる。 「……なるほど、確かにサプライズや式のために使った方が。 京太郎はブライトですね」 なんだか不穏な単語が含まれていたのだが『京太郎』の精神はそれどころではない。 むにむにと背中におもちがあたる感触に耳元で囁かれる度にかかる息はくすぐったく、じりじりと理性を削っていく。 これが作戦だというなら良子には魔性の女としての素質があるのかもしれない。 「京太郎、私は……」 良子が何かを言いかけたのと同時にスマホが着信を知らせる。 途中で邪魔をされたと感じる良子は眉をしかめるが、その相手が友人でもあり先輩という無碍にはできない相手であることを確認して小さくため息をつく。 「ハイ、はやりさん、何の用事ですか? 私も今インポータントな」 明らかにすぐに切り上げたそうな様子を見せる良子だったが、電話向こうからの話を聞いていくうちにだんだんとそちらに集中し始める。 「オーケーオーケー、勝算ありと。 私も乗りましょう。 ミートするにはどこへ?」 完全に目の色が変わった良子は今までとは雰囲気を一転させて『京太郎』に申し訳なさそうな声をかける。 「ソーリー、急用ができてしまいました。 埋め合わせは必ず。 外にはもらせない話ですので一度アプリも切らなければならなくて」 あのままでは自分がどうなるかも保証できなかった『京太郎』は神の助けだと思い喜んで提案を受け入れる。 『あ、大丈夫です。 俺はいつでもここにいますし、終わったらまた会いましょうね』 ニコニコと手を振りながらスマホの中に戻った『京太郎』は知らない。 これから瑞原はやりがやろうとしているのが『京ちゃんと一緒』のR-18指定対応版を作るための株の買取であり、それに今の所有者でもある戒能良子が参加するつもりであるなどということは。 「義理の姉弟の明かせない関係、ベリーにインモラルです」 何を思い浮かべているのかもはや妖艶という表現でも足りないほどの空気を滲ませる良子を知らないでいられたことが今後の『京太郎』にどのような結果をもたらすのか、それはまた別の話である。 『戒能良子の場合』、終了ということで。 なぜか全くアイデアが降ってこず数日うなっていたのですが、急遽「そういえばお姉さん系を生かしてるキャラあんまいなくね?」と思いついたらその勢いで。 京ちゃんをドギマギさせようと書いていったのですが、はやりんの親友ポジだし確実に声かけられるよな、というわけで最後はそちら方面に傾きました。 ……戒能さんこれかなり拗らせてない? 次回はレジェンドこと『赤土晴絵の場合』の予定。 問題はその後に誰まで手を広げるかなんですよね。 例えば風越の貴子コーチとか臨海のアレクサンドラ(34)監督とか、カツ丼さんとか新子姉とか、どの辺までありなのかと。 あ、さすがにトシさんはないです。 孫もありえるくらいの年齢差ですし。
次の戒能良子は若手プロ雀士の中でも有名株である。 2年前あの宮永照に大物手を当てたことは相性の差もあるが偉業と言っていい。 実際に新人賞やシルバーシューターなどの賞も受賞、弱冠20才の若手としては目覚ましい活躍といえよう。 しかもその交友関係も広い。 牌のお姉さんこと瑞原はやりとは仲が良くプライベートでも時間が合えば会うし、一緒にグラビアに写ることも多々ある。 その肢体は永水高校の滝見春と従姉妹ということもあって素晴らしく起伏に富んでいる。 そんな彼女が今何をしているかといえば 「京太郎はキュートですね、ふふ、よしよし」 自分よりも大きな『京太郎』の背中に抱き着いて頭を優しく撫でていた。 『あの、良子さんあたって』 スキンシップの激しさに『京太郎』は顔が真っ赤である。 背中に大きな胸が触れており、しかも自分の好みの女性に撫でられるのである。 これは一介の高校男子にとって重い試練だった。 「おや、京太郎は姉にエキサイトするのですか?」 更に困ったことにこの良子、『京太郎』を弟に見立てていた。 周囲が女性ばかりであったため弟を可愛がるという願望があったらしい。 だが『京太郎』にとって良子は恋愛対象に見てしまいかねない少し前に出会った女性だ。 このままでは違う部分がエキサイトしてしまうだろう。 それはまずい、『京太郎』の尊厳のためにも良子の好意に対する返礼としてもそれは避けねばならない。 『……こんな年で恥ずかしいよ、姉さん』 選んだのは弟扱いに甘んじつつも『年齢的に素直には甘えづらい』という逃げ道を確保した一手。 姉のようにふるまおうとしつつも色々と台無しな年上のポンコツ幼馴染にこの場は感謝するべきだろう。 経験がなければこの手段を思いつきもしなかったに違いない。 ある意味自爆技ともいえるこの効果はいかようか、と背後に目を流す『京太郎』。 「いい、ベリーにキュートです京太郎。 お姉ちゃんが何でも買ってあげますね」 その返答と蕩け落ちそうな笑顔、そして首筋にかかる吐息の熱さに逆効果だったような気がひしひしと迫ってくるような錯覚を覚える。 『いやー、何でもは悪いですよ良子さ……姉さん』 名前呼びに戻そうした瞬間に妙なプレッシャーを感じたため言い直すと、背後からの空気が軟化する。 そして未だに大きなおもちが背中から離れない。 「大丈夫、お姉ちゃんはこれでもマネー持ちなんです。 とりあえずすべての課金機能を」 『待って、待って姉さん。 そんな散財は……そう、計画的に節約しないと。 いつ入用になるのか分からないからさ?』 なぜか所有者が課金したがってコンテンツであるはずの『京太郎』が思いとどまらせようとする、この辺り採算というものを無視した実装である事がよくわかる。 「……なるほど、確かにサプライズや式のために使った方が。 京太郎はブライトですね」 なんだか不穏な単語が含まれていたのだが『京太郎』の精神はそれどころではない。 むにむにと背中におもちがあたる感触に耳元で囁かれる度にかかる息はくすぐったく、じりじりと理性を削っていく。 これが作戦だというなら良子には魔性の女としての素質があるのかもしれない。 「京太郎、私は……」 良子が何かを言いかけたのと同時にスマホが着信を知らせる。 途中で邪魔をされたと感じる良子は眉をしかめるが、その相手が友人でもあり先輩という無碍にはできない相手であることを確認して小さくため息をつく。 「ハイ、はやりさん、何の用事ですか? 私も今インポータントな」 明らかにすぐに切り上げたそうな様子を見せる良子だったが、電話向こうからの話を聞いていくうちにだんだんとそちらに集中し始める。 「オーケーオーケー、勝算ありと。 私も乗りましょう。 ミートするにはどこへ?」 完全に目の色が変わった良子は今までとは雰囲気を一転させて『京太郎』に申し訳なさそうな声をかける。 「ソーリー、急用ができてしまいました。 埋め合わせは必ず。 外にはもらせない話ですので一度アプリも切らなければならなくて」 あのままでは自分がどうなるかも保証できなかった『京太郎』は神の助けだと思い喜んで提案を受け入れる。 『あ、大丈夫です。 俺はいつでもここにいますし、終わったらまた会いましょうね』 ニコニコと手を振りながらスマホの中に戻った『京太郎』は知らない。 これから瑞原はやりがやろうとしているのが『京ちゃんと一緒』のR-18指定対応版を作るための株の買取であり、それに今の所有者でもある戒能良子が参加するつもりであるなどということは。 「義理の姉弟の明かせない関係、ベリーにインモラルです」 何を思い浮かべているのかもはや妖艶という表現でも足りないほどの空気を滲ませる良子を知らないでいられたことが今後の『京太郎』にどのような結果をもたらすのか、それはまた別の話である。 『戒能良子の場合』、終了ということで。 なぜか全くアイデアが降ってこず数日うなっていたのですが、急遽「そういえばお姉さん系を生かしてるキャラあんまいなくね?」と思いついたらその勢いで。 京ちゃんをドギマギさせようと書いていったのですが、はやりんの親友ポジだし確実に声かけられるよな、というわけで最後はそちら方面に傾きました。 ……戒能さんこれかなり拗らせてない? 次回はレジェンドこと『赤土晴絵の場合』の予定。 問題はその後に誰まで手を広げるかなんですよね。 例えば風越の貴子コーチとか臨海のアレクサンドラ(34)監督とか、カツ丼さんとか新子姉とか、どの辺までありなのかと。 あ、さすがにトシさんはないです。 孫もありえるくらいの年齢差ですし。
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