第59回ベルリン国際映画祭でカリガリ賞と国際批評家連盟賞を受賞した『愛のむきだし』 09 や、第68回ヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した『ヒミズ』 11 など、世界中の映画ファンを魅了しつづける園子温監督の最新作となるNetflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』が10月11日から独占配信中。 これまでの作品を欠かさずチェックしてきたファンも唸ること間違いなしの本作を観る前に、是非ともチェックしておきたい過去の園子温監督作品を一挙に振り返っていきたい。 自殺現場に残されていたのは削り取られた人の皮膚の一部が連なったロープ状の物体…。 果たしてこれは事件なのか事故なのか。 石橋凌演じる黒田ら刑事たちが、その謎に立ち向かっていく。 高校生たちが笑顔のままでどこか誇らしげに、そして楽しげに集団自殺を図る姿は、最新作『愛なき〜』の中で描かれる美津子や妙子ら5人の自殺と重なる。 オダギリジョー演じるシンがリーと竹田と出会い仲間になっていく過程や友情を深めながら生きていくさまは、『愛なき森で叫べ』のシン、ジェイ、フカミたちの関係を想起させるものがある。 また、過去の回想として出てくる大学生活のシーンでは、シンが運命の本に出会う姿や映像に重ねて合唱が流れるなど『愛なき〜』と似た演出が散りばめられている。 人とは違う一線を越えたなにかを成し遂げたいという若い男たちが互いに刺激し合い、絆で結ばれて道を外していく青春物語という点もまた、共通している。 実の父親に抱かれ、それが忌むべき近親相姦と自覚することはなく心だけが壊れていく美津子と、そんな倒錯したエロスの世界を小説で描く車イスの人気女流作家・妙子。 『愛なき森で叫べ』の登場人物と同じ名前を持つ2人の女性が登場するだけでなく、心に傷を負いながら屋上から飛び降りる女性や過去と現実を交差しながら進んでいくストーリーもまた、園監督作品ではおなじみの演出といえよう。 ある日、優しかった父が豹変し、悠に懺悔を強要するようになる。 それをきっかけに悠は、親子としての絆を守るために懺悔をしようと罪作りに励み、いつしか盗撮のカリスマと呼ばれるまでに成長。 そんな中、尾沢洋子とめぐり逢い、生まれて初めての恋をすることに。 恋心を抱きながらすれ違う2人に迫る、謎の新興宗教団体の影…。 洗脳やマインドコントロールといった、『愛なき森で叫べ』につながる部分が随所に見受けられる本作は、満島ひかりや安藤サクラ、さらには松岡茉優といったその後の日本映画界で輝きを放つ女優たちが飛躍を遂げるきっかけとなった、上映時間239分にも及ぶ超大作。 実話をベースに、愛と性、欲望と宗教などが複雑に絡み合った濃密なストーリーは見応え充分。 小さな熱帯魚店を営む社本信行 吹越満 は、ある日娘の万引き現場を村田 でんでん によって救われる。 大型熱帯魚店を経営する村田は、娘をバイトとして雇い入れ、至れり尽くせりの親切ぶりに、社本は村田夫婦と懇意になっていくが、それは村田の極悪非道な「ビジネス」の恐るべき前兆だった…。 観る人の心理を蝕んでいくような、でんでんの演技力にも注目の1本だ。 幸せな家庭を持ちながらも、愛人との関係も切れずにいる刑事の和子 水野美紀 は、大学準教授でありながら渋谷の古いアパートで死亡した美津子 冨樫真 の事件を担当することになる。 そして、その事件を追ううちに人気小説家の 妻・いずみ 神楽坂恵 の秘密も知ることになり、それぞれ立場の違う3人の女性たちの表と裏の顔が徐々に明らかになっていく…。 閉塞的な社会の中で破壊的な衝動を抱える女性たちが、狂気とともに自身の存在意義を求めていくさまは、『愛なき森で叫べ』で詐欺師・村田の中で抑圧されていく女性たちに通じる部分がある。 他にも「美津子」といった名前や、大学教授というキーワード、登場人物たちの二面性など、『愛なき〜』へと通じる人間の深層が描かれている。 しかし急に母親が愛人と蒸発し、家業であるボート屋で日銭を稼いでいる最中、衝動的に父親を殺してしまう。 冒頭で雨に打たれながらヴィヨンの詩を読み上げるなど、文学に陶酔する女学生である茶沢の姿からは、『愛なき森で叫べ』の美津子や妙子たちの高校時代に通じる面を見出すことができる。 また、殺人を機に自身の行為を正当化していく主人公の狂信的な発想も、『愛なき〜』の狂気的な展開に通じる部分と言えるだろう。 上京したばかりのシン 満島真之介 は、ジェイ YOUNG DAIS とフカミ 長谷川大 に声をかけられ彼らの自主映画に参加。 そしてジェイたちの知人で、高校時代にクラスメイトが交通事故で急逝する事件から未だのがられれずにいた妙子 日南響子 と美津子 鎌滝えり に出演を依頼する。 世間が銃による連続殺人事件に震撼していた頃、美津子の元に村田 椎名桔平 から電話がかかってくる。 彼は「10年前に借りた50円を返したい」と美津子を呼び出し、巧みな話術とオーバーな愛情表現で彼女の心を奪っていく。 しかし村田の正体は冷酷な天性の詐欺師。 彼の本性を知ったシンたちは、村田を主人公にした映画を撮り始めるが、事態は思わぬ方向へ転がり始めていくことに…。 世界中で蔓延している事件の被害者の姿、そして彼らが加害者に転じてしまう人間社会の恐ろしさと闇をあぶり出す本作は、現在Netflixで全世界190カ国へ配信されている。
次のどうも、けんせです。 前に投稿してからも色々見て、 ジョーカーやら ボーダーやら ソラノアオサーとか観ていたんですが、こちらを投稿し忘れていましたので、書かせていただきます。 何故こちらをやっていくかというと、先日、人生初、 Netflix日本本社さんにお邪魔して、この映画の 試写会に参加してきました!! 都内にあるNetflixの本社、楽しかった! 是非また行きたいですね! 報告と自慢を兼ねたものはここまでとして。 まず前半で映画感想をネタバレせずやっていきます。 そのあとネタバレしながら若輩ながら考察もしていきたいと思います! では早速、いってらっしゃい! 目次• あらすじ 1995年。 愛知県豊川市から上京したシン 満島真之介 は、ジェイ YOUNG DAIS とフカミ 長谷川大 に声をかけられ彼らの自主映画制作に参加。 知人の妙子 日南響子 と美津子 鎌滝えり に出演を依頼する。 彼女たちは高校時代、憧れであったクラスメイトが交通事故で急逝するという衝撃的な事件から未だ逃れられずにいた。 引きこもりとなっていた美津子に村田 椎名桔平 から電話がかかってきたのは、世間が銃による連続殺人事件に震撼していたころ。 村田は「10年前に借りた50円を返したい」という理由で美津子を呼び出し、巧みな話術とオーバーな愛情表現で彼女の心を奪っていく。 だが、村田は冷酷な天性の詐欺師だった。 自身の姉も村田に騙されていた妙子によって彼の本性を知ったシンたちは、村田を主人公にした映画を撮り始める。 やがて村田は、美津子の父・茂 でんでん や母・アズミ 真飛聖 をも巻き込み、事態は思わぬ方向へ転がり始める…。 中々にハードで、あまり万人向け作品ではない(そもそもR18だからね)のですが、全裸監督に続いてNetflixがやってくれました! 園子温大復活! 再三言ってますが、本作の監督・脚本・編集は 園子温! ぴあフィルムフェスティバルで頭角を現し、 「自殺サークル」で世間を騒がせ、 「紀子の食卓」「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」など話題作を出し続ける日本の奇才。 僕も、 「冷たい熱帯魚」は僕も大好きで、 18歳になったときに見てものすごい衝撃を受けました。 とても好きな作品です! 他にも 「新宿スワン」シリーズなども手掛けてました。 個人的にはあんま面白くなかったけど、原作ある作品や過激でない作品を最近は作られていた印象です。 やっぱり個人的にはあのドギツイ作品群が好きだったのでちょっと残念ですね。 ですが、今後は ハリウッドにて ニコラス・ケイジ主演で映画を撮影予定など今なお第一線で活躍されている監督さんです。 しかし今年の 2月7日、 心筋梗塞で緊急搬送されるという非常に心配なニュースが飛び込んできました。 僕もこのニュース見たときはびっくりしましたね。 手術を受けて無事回復、 6月に行われた Netflixオリジナル作品祭で病後初めて公の場に復帰されました。 良かったです。 そんな実人生でも フィルモグラフィでもピンチだった監督最新作の 「愛なき森で叫べ」。 まさしく、 園子温大復活といえるべき作品でした!監督作品名でいうと 「俺は園子温だ!」ですね。 実話をベースに、園監督らしい ユーモアとファンタジーとバイオレンスが混じりあい、 可笑しくもあり恐ろしい混沌とした世界が面白い! 出てくるキャラクターが逐一濃くて、これは僕が監督作に感じてることですが、 生きるのが大変な人達が多い多い(笑)そこに この世界を総て知ってるかのごとく我が物顔で生きる人間が入っていく。 醜くて過酷で熾烈。 だけど それこそが面白い!園監督らしさたっぷりの映画でした! 役者陣の迫真の演技! 園監督作品は、毎回演者の方々がホントに素晴らしい!僕の好きな「冷たい熱帯魚」でも でんでんさん演じる 村田があまりにも強烈でしたね! 今回も村田が登場しますし、でんでんさんも出ています。 あ、もちろん別人ですよ。 ややこしいですね(笑) 今回の村田は、 椎名桔平さん! 村田は天才詐欺師役。 巧みな話術とオーバーな愛情表現がとにかく胡散臭い!それを圧倒的に変な存在感で演じられていて面白かったです! インタビュー記事など目を通してみると、現場はかなり大変だったそう。 映画では キャラクターたちがとにかく非現実の舞台に置かれ、その中で奇妙なポジション取りが繰り広げられています。 そこに飄々と現れ、その場を制する村田。 実際の現場でも演じる人物を掴みきれないと置いてけぼりを食らってしまうんだそうです。 これは大変ですね…その中でも異質に輝く村田は必見です。 そして園作品は 女優さんがとにかく輝くものが多いんです。 今回も 日南響子さんや 中屋柚香さん、 真飛聖さんなども強烈に輝いてます。 そんな中でもすごかったのは美津子役の 鎌滝えりさん! また 美津子って…(笑)まあ、いいや。 鎌滝えりさんはこれが 映画初出演。 清楚なお嬢様感のある美津子ですが、村田の毒牙に餌食になっていく様は圧巻。 素晴らしい脱ぎっぷりも披露されています。 ラストはまさかの行動で、衝撃でしたね…これから躍進間違いなしの方だと思います! ちなみに鎌滝さんは中学生の時に 「セクシーな大人にしか見えない中学生」として テレビに出演されたそうですよ。 他にも でんでんさんや YOUNG DAISさんなど 園子温組ともいえる方々が華を添えています! 是非一度見てもらいたい! 6月に行われたNetflixオリジナル作品祭のやつですね。 この後、ネタバレをしながら作品の考察をしていきますので、ひとまず中間に感想とおススメだけ。 この作品はもちろん 人を選びます。 かなりショッキングだし、きついものもあります。 そもそも、園監督作品が合わない人が多いんじゃないんでしょうか(知らんけど)。 ただ、園監督作品を一度でも見て衝撃を受けた人は、是非一度見てもらいたい! 153分とかなり長いですが、まあ「愛のむきだし」が信じられないほど長いので今更ですが(笑)、園監督久々の本気作だと思います。 昨今、この手の映画が製作されなくなってしまっています。 アメリカでもマーティン・スコセッシ監督がNetflixで映画を作るほどです。 いくら監督の名があっても、どうせ客が入らないと決めつけられているのが現状です。 そんな中ストリーミング大手のNetflixが、このような作品を手掛けているのはもどかしいような嬉しいような…複雑ですね。 ですが どんな形であっても作品は作られ続けるんだと思うと希望でもありますね! ですので、ぜひ多くの方に見てもらって欲しい!そして再び映画館がこの手の作品を興行できる元気な世界になるようにしていきましょう! 区切りのここでこの作品の 日南響子さんをどうぞ。 美しいですね… あと、美津子の妹アミ役の 中屋柚香さんもどうぞ。 可愛い… それでは、ここからネタバレをしていきます。 未見の方はここまで!ありがとうございました。 さて…と 勝手ながら考察&解説! ここまで見られている方は「愛なき森で叫べ」を観た方だと思います。 映画、いかがでしたか?もしよければコメントに感想を寄せていただけたら嬉しいです。 まあ、大変でしたね。 前半の中々交わらない感じがもどかしいのとどこに転がるのかわからないですし、そこの村田めっちゃ面白いし、美津子エロいし、妙子エロ綺麗だし、シンはなんかだし…かと思えば、中盤エグイ!あそこまで死体解体シーンはいらんやろ!と思うほどサービスされますね(笑)そして最後、怒涛の勢いで覆って、出てくる女性ほぼビッチになりますし、あの村田がカスに、あのシンがよりクズに… お腹いっぱい!園子温ありがとう! こんな映画でしたね。 やはり本気で作ったんだと思う、唸るような一品だと思います。 では、ここからは解説とおよそ3つほど考察をしていきたいと思います。 解説:実際の事件 この事件は、結構伏せられています(Netflixさんからもあまり言わないでといわれました。 ブログだからいいか)が、知ってる人は判るようになっています。 これは日本で起きた最悪な事件、 北九州連続監禁殺人事件がベースになっています。 この事件は 2002年に発覚した、 犯罪史上稀に見る凶悪犯罪。 検察側も 「鬼畜の所業」と非難するほどの事件です。 概要を話し出すとキリがありませんが、簡潔に書くと、主犯の松永太と、その内縁の妻であった緒方純子が緒方家の人間を監禁し、一家含む7人を殺害した事件。 松永は並外れたマインドコントロール術をもって純子他一家を洗脳下に置き、自身の手は汚さず一家にそれぞれ殺害させました。 まさに鬼畜の所業です。 詳しく知りたい方はこちらの本がおススメです。 僕も読みました。 この映画では あくまでベースにしただけですので、この通りに行ったわけではありません。 「冷たい熱帯魚」もそうだったように。 ただ、例えば村田の行動で「50円を返したい」だったり、一家の女性全員に手を出したり、通電を用いた洗脳や、死体解体の手解きをしたりするところは実際の事件でもやっています。 園監督は事件を自分なりに変換して送り出しています。 「実際の事件はそのままドラマにできない、本当に怖い」とインタビューでおっしゃっています。 だからこそ、あえてフィクションを交えることで、 映画をファンタジーにしているんです。 それは園監督ならではの 気配りと 優しさなんじゃないかなと思います。 解説:過去作 この映画において、村田、美津子、妙子、シンは過去作 「HAZARD」、 「自殺サークル」、 「Strange Circus 奇妙なサーカス」、 「冷たい熱帯魚」、 「恋の罪」などに何度も出てきた名前です。 今回は総出演である種集大成と言えますが、そのほかにも園監督の作品が随所に出てきます。 先にも言いましたが、実話をベースにファンタジーを盛り込んで作ったのが本作。 ではこのファンタジーはどこから来てるかというと過去作から来てます。 例えばシンが自主制作映画を撮るところは 「地獄でなぜ悪い」が想起されますし、少女たちが自殺をするところは 「自殺サークル」、束縛的な家族と宗教、あとこの尺(笑)は 「愛のむきだし」、冒頭のコインロッカーや他人同士の共同家族は 「紀子の食卓」、死体解体シーンは 「冷たい熱帯魚」等々。 これらにおいて面白いのは、監督作には 強く園子温その人が強く描かれています。 実際に彼は ぴあフィルムフェスティバルから来た自主映画少年でした。 実 際のアルバイトで 疑似家族をやっていらしたそうです。 今まで出会った 悪人から 村田が出てきています。 監督自身の体験が映画でファンタジーとして描かれている。 監督はどんな人生を送ってきたのでしょうか。 つくづくすごい人だなと思います。 先程からちょいちょい考察も入ってますが、ここからガッツリ考察をしていきたいと思います。 正直、余り分かっていないわけですが、こうなんじゃないかなというものを自分なりに考えてみました。 ご了承ください。 前列の左から妙子、エミコ、美津子 これは実は妙子の視点での物語だったわけですが、この 「ロミオとジュリエット」から考えられることがあります。 「ロミオとジュリエット」は家という呪縛にとらわれた男女二人が死を迎えることで自由と愛を掴むというシェイクスピアの戯曲。 悲劇でもあり ラブロマンスでもある本作。 この映画と関連付けてみてみるとまさしく 美津子の物語にも類似する点があります。 美津子は家だけでなく、友人や妹らの存在から 本来の姿を隠して生きてきました。 最後の告白はかなり衝撃でしたね。 清楚な女の子がビッチだというのは童貞の夢をぶっ壊しに来てますね(笑)話を意図的に逸らしましたが戻すと、彼女には自由も愛も手に入れることが出来なかったのです。 家族に従ってお嬢様であっても、裏でどれだけの男を食っても、逆に身がボロボロになるまで食われても決して満足できない。 何故なら、それはどれも 自由ではないから。 そこに 愛があるわけではないから。 だからこそ美津子は 「死」を望んでいたんです。 さらにいうと自分のことを利用しようとする存在からもたらされるのではなく、 純粋に「死」を届けてくれる存在から。 ではそれは一体何だったのでしょうか。 それが本作の主人公 シンを演じた 満島真之介さん。 満島真之介さんは「愛のむきだし」でヨーコを演じた満島ひかりさんの弟さんで、園監督作品では 「ちゃんと伝える」で 助監督を務められていたこともある、 弟子とも言える方。 正直言って、この映画の中で 圧倒的に不自然なのはこのシンです。 圧倒的におかしな状況に巻き込まれていても、その渦中にスルリといるくせに、どこか他人事のような、 気味の悪さを感じるような存在なんです。 このシンを圧倒的に魅力的に演じられている満島さんはすごいです。 初見時は疑問も抱きたくなる変な感じでしたが、後になるとただただスゲェってなること間違いなし! さて話を戻すと、このシン、この物語の裏で起こっていた 殺人事件の犯人だったのです。 冒頭で、何人もの女性が森で銃殺される連続殺人事件が起こっているニュースが報道されます。 その後も何度か同じ事件が起こりますが、これを行っていたのがシンだったわけです。 シンは果たしてどういう存在だったのでしょうか。 先ほども言ったように、シンには2つの面があります。 まず、 映画を作るシン。 映画を作る男たちに触れ、ともにぴあフィルムフェスティバルを獲るという夢を追いかける。 ここはまさしく園監督の在りし日を彷彿としますよね。 シンはこの映画内において 女性に「死」をもたらす存在です。 ここに先程の「ロミオとジュリエット」が出てきます。 彼もまた劇中でこの本を読んでいるんです。 そして彼がこの劇中で殺す描写のある女性(妙子、美津子、アミ)はすべて 村田の被害者。 つまり、シンは 「死」をもたらす存在であり、なおかつこの 縛られた女性を開放する存在でもあるわけです。 ロミオとジュリエットに自由と愛を届けた「死」のように。 つまりシンは 「死」をもたらす園子温であるということです。 めちゃめちゃですね(笑)でもこれ、よく考えるとおかしいんです。 まあ、文字もおかしいんですけど、おかしいんです。 ですが、 映画内で起こる死は 偽物です。 これは紛れもない事実だと思います。 しかしこの映画では 映画内映画で「死」を迎える者がいます。 YOUNG DAISさん演じる ジェイです。 このジェイは映画集団の中で特に熱のある男。 彼が真っ先に死ぬという面白みもありますが、ここって奇妙ですね。 ジェイを殺す撮影をした映画でジェイが死ぬという撮影をした映画を我々が見るんです。 こういう状況です。 わけわかんないですね。 鍵括弧をつけるとこうなります。 「『ジェイを殺す撮影をした映画』でジェイが死ぬという撮影をした映画」を我々が見るんです。 この状況どっかで見たことありますよね。 …そうです。 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」での 映画館のシーンがまさに同じような状況でした! 要するに 「逆の逆の逆」状態なわけですが、この「愛なき森で叫べ」ではさらに複雑なんです。 要は、実際の映画内での「死」、これは『偽物』。 しかし劇中で撮影される映画に映る「死」、これは『本物』。 つまり、先に述べた文に当てはめると、 『偽物』を撮影している最中「本物」が撮れた、という『偽物』を我々が見る。 こういうことなんですね。 でも、これって映画撮影では絶対ありえないんですよ。 ドキュメンタリーでもない限りは。 園子温にはありえないことなんですよ。 「死」を届けることは。 なのでシンは園子温らしく園子温ではない存在なんですね。 というかシンはむしろ それまでの園子温を否定しかねない存在かもしれません。 なぜなら映画に映るものはある種すべて偽物だから。 それでは、この映画において園子温はいないのかというと、実はもう一人いるんです。 この劇中映画に目覚めているものが。 それが村田です。 村田は、シンの存在によって偽物になるからです。 シンは 村田を嫌っています。 何故なら 村田は一度も殺したことがないから。 本物のように振舞っている偽物だから。 最後に美津子に「俺のこと好きか?」って聞いたり、銃を向けられて小走りで逃げたり…思わず笑ってしまいます。 映画冒頭、喫茶店においてこんなことを言っています。 「人を殺す時の気持ちって、男が童貞を捨てる時と同じなんですって。 きっと大したことなくて、こんなものかぁってね」 一見すると、いかにも人を殺してきたやつが言いそうですが、よく見れば、これ文面からして 又聞ですよね(笑)多分こんなこと聞いてきて、それをさも自分がやってきたかのように振舞う。 確かにシンからしたらダサいですね。 でも、映画ではこちらの方が正しいんです。 絶対に。 いや、そうじゃなきゃダメなんです。 偽物じゃないと映画は駄目なんです。 嘘だからこそ映画は成立するんです。 園監督はこの実話をファンタジーを交えることで映画にしました。 監督自身そうじゃなきゃできないとおっしゃっていました。 偽物だからこそ、本物のような映画になる。 これは シンでは絶対にできないと思います。 だからシンがそれまでの監督作を否定する存在であるとしたら、村田は 肯定する存在であるとも言えますね。 ですが、 村田は実在の人物がモデル。 要は 犯罪者、 世紀の極悪人です。 ですから村田もまた、園子温らしく園子温でない存在ですね。 だって 監督犯罪者じゃないから。 それまで 散々積み上げてきたものを壊すほどの迫力があります。 美津子の衝撃の告白から、それまでのシーソーゲームが崩れ去り、村田とアミは敗れ、シンの正体があらわになる。 まさしく 「愛なき森で叫べ」を体現してるシーンです! 僕はここに、最近の タランティーノ作品に通じる何かがあると感じました。 というのも、ここでそれまで頂点だった村田が崩れ去り、ダサいおやじになりますね。 村田は実在した犯罪者がモデルです。 実在の犯人は、そのあまりにもの手口からある種の尊敬すら向けられている存在ともいえます。 その彼に対してここまでの制裁を下せるのは、映画だけです。 映画ならではのけじめをつけて犯罪者に裁きを下す。 タランティーノが「イングロリアス・バスターズ」や「ジャンゴ 繋がれざる者」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でやってきた 歴史の悪にbe pay back!! のようなものを感じました。 村田はシンには殺されませんが、めちゃくちゃダサくされた挙句、ロミオに 「Go to hell」って言われてますからそういうのもあるんじゃないかなと思います。 またそれはシンにも言えます。 シンは「死」をもたらす存在で、ここでも美津子とアミを殺します。 さらに妙子も射殺しており、他にも殺していることが分かりますね。 ここは今までの村田の崩れっぷりが凄いので薄くなりがちですが、 シンもまた、紛れもない犯罪者。 この映画でいえば 最も悪。 「死」をもたらすのは救済的に見えますが、イカレた行為であることには変わらないはずです。 だから彼にも裁きが下ります。 街に帰る途中にロミオを見て、 森の中に入って、二度と帰ってこない。 こんな奴はもう二度と現れて欲しくないですね。 やっぱなんだかんだで猟奇殺人反ですから。 これは完全個人の見解ですからね…あしからず。 最後に いかがでしたでしょうか? 考察がやたらとタラだらけになってしまいましたが、僕がタラ好きだからです。 全然関係ないかもしれません。 そっちの方が多いかもしれません。 知ったこっちゃありません、うるせえ!他にも、僕よりも素晴らしい考察されている方もいらっしゃいますので、是非一度検索してみてください。 非常に面白い映画であると同時に、ここはどういうことなんだろうと不思議なとこも多々ある。 非常にファンタジーな作品でしたね。 やっぱこの映画は園子温にしか作れない! 是非一度ご覧ください! 「愛なき森で叫べ」は Netflixで公開中です! 感想などコメントに頂けましたら嬉しい限りです! 最後に、Netflixの本社でいただいたチョコを。 最後に台無しにするパターンですね。 すいません。 それでは最後までご覧いただきありがとうございました! 華さん コメントありがとうございます!嬉しいです! まだまだ未熟ですがお褒めいただき恐縮です! 園監督の作品の多くは、人の嫌なところを炙り出すような、良く言えば癖のある、悪く言えば目を背けたくなるものが確かに多いですね。 僕も冷たい熱帯魚はホントに吐きそうになりましたね…と言いつつ今は好きな映画ですが笑 コメントで「清楚な女性が詐欺師に侵されていく下りが泣けそう」と拝見して、人によって見え方も変わってくると改めて思います。 僕はその時の役者さんの演技の熱が凄くて思わず笑ってしまってましたので。 ただ、この物語が最後にひっくり返って度肝抜かれます!もし未見でしたら、かなりキツいかもしれませんが、是非一度ご覧ください!この映画、ブログに書き忘れてましたがチャプターごとに区切りがあるので、見やすいかも笑 もしご覧になられましたら、また感想お聞かせ頂けると嬉しい限りです! ありがとうございました!.
次の映画やドラマ、ドキュメンタリーまで、オリジナルコンテンツを多数そろえた豊富なラインナップの中から、10月前半に配信スタートとなる注目作をご紹介! 伝説的ドラマの続編が配信!あの男のその後が明らかに… 「ブレイキング・バッド」のその後を描いた『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』 Netflix TV Event『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』は10月11日 金 から独占配信 高校の化学教師ウォルター・ホワイトが覚醒剤の製造に手を染め、裏社会のビッグネームへと成り上がっていく姿を描き、エミー賞を席巻した超人気ドラマ「ブレイキング・バッド」。 壮絶なラストを迎えたドラマのその後を描く『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』が10月11日 金 より配信となる。 本作では、ウォルターの相棒で、ドラマの最後で劇的な逃亡を遂げたジェシー・ピンクマンに焦点が当てられており、予告では彼がチンピラ仲間であるスキニー・ピートやバッジャーの前に姿を現す様子や、過去に悩まされていることを思わせる映像が挿入されている。 脚本・監督・製作はドラマを手掛けてきたヴィンス・ギリガンが担当。 Netflixでは「ブレイキング・バッド」本編も配信されているので観たことがない人はマストで、観たという人もおさらいとしてチェックしてほしい。 またスピンオフドラマ「ベター・コール・ソウル」も配信されており、こちらもオススメなので合わせて観るべし! 園子温監督、最新作も!日米の注目オリジナル映画たち 【写真を見る】園子温監督が監督・脚本を手掛けた『愛なき森で叫べ』 Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』は10月11日 金 から独占配信 全世界を席巻している「全裸監督」に続き、日本発の作品として注目を集めているのが、10月11日に配信開始となる『愛なき森で叫べ』だ。 この作品は『愛のむきだし』 08 や『冷たい熱帯魚』 10 で知られる園子温が監督・脚本を手掛け、実際に起きた事件をインスパイア元に、明るく魅力的だが、その本性は他者の心を操る冷酷で猟奇的な男の姿をあぶりだしていくスリラーだ。 主人公の男を椎名桔平が演じるほか、園作品の常連である満島真之介やでんでんといった豪華キャストが集結。 これまでの園作品にも登場した村田、美津子、妙子、シンといった名前の人物が次々と現れるほか、ヴァイオレンスでユーモラスな描写など園子温らしいエッセンスがふんだんに盛り込まれている。 サム・ワーシントン主演のアクションスリラー『フラクチャード』 Netflixオリジナル映画『フラクチャード』は10月11日 金 から独占配信 また『アバター』 09 のサム・ワーシントンが主演を務める『フラクチャード』 10月11日配信 は、娘に付き添い妻と病院に行ったものの、待合室で寝ている間に忽然と娘と妻が姿を消してしまい、その姿を追う内に何やら病院が…というアクションスリラー。 加えてスティーブン・キングと息子の共著をパトリック・ウィルソン主演で映像化した『イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-』 10月4日配信 など、注目作がめじろ押しだ。 スティーブン・キングと息子の共著をパトリック・ウィルソン主演で映像化した『イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-』 Netflixオリジナル映画『イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-』は10月4日 金 から独占配信 ヒップホップの次世代スターを探すオーディション番組「リズム+フロー」 Netflixオリジナルコンテンツ「リズム+フロー」は10月9日 水 から独占配信 映画以外にも『クリード チャンプを継ぐ男』 15 のマイケル・B・ジョーダンが出演するSFドラマ「レイジング・ディオン」 10月4日配信 や、青春の闇を描いたミステリードラマ「リバーデイル」の新シーズンが10月10日 木 にスタート。 さらにカーディ・B、チャンス・ザ・ラッパー、T.
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