ゲーム内容 [ ] システム [ ] スタートボタンで開始またはゲーム中のポーズ、セレクトボタンでプレイヤー数を選択。 十字キーで左右への移動やはしごによる上下の移動、下ボタンでしゃがむ。 Aボタンはジャンプ、Bボタンで唯一の攻撃手段であるピストルを撃てるが、弾数制限があり無尽蔵に使うことができずゲーム開始時の初期状態は20発。 どこかに隠されているピストルを獲得することで20発ずつ補充可能。 本作には体力やライフといった概念は無く、敵や敵の放つ攻撃に触れてしまうと即座にミスとなり残機を一人失ってしまう。 ミス後の再開時には約3秒程無敵状態で始まるが、この状態でも下記のトゲやマグマへの接触に対しては問答無用でミスになってしまう。 なお残機を全て失うとゲームオーバーとなる。 難易度 [ ] スタート地点にあるハシゴを降りるとそのままトラップの下に落ちる、必要なアイテムをすべて揃えるには広大で迷いやすい画面を上下左右しらみつぶしに調べなくてはならない、マップ移動に必要なワープポイントもアイテム同様に隠されていることから難易度は非常に高いと言える。 地形 [ ] ハシゴ 上下に移動したり、ハシゴに掴まってトラップを回避したりできる。 地底湖 泳いだりできるが、その間はピストルを使用できない。 ただし底面でしばらく十字キーを下に入れ続けることで歩行が可能となりこの状態であればピストルを使用可能。 滝 触れると地底湖まで落下する。 ロープ 天井から吊り下げられている。 掴まることができる。 リフト 左右に移動する。 上に乗ることができる。 エレベーター ラージ・ダイヤモンドの付近でのみ出現。 下に降りることができる。 ただし降りるのみで一度下がった高度からは上がることはできない。 風船 ある場所で出現。 掴まると上昇するが、天井にぶつかると破裂して落ちる。 掴まっている間に十字キーの上を押すと急上昇し、十字キーの下を押すと上昇速度を落とすことができるが、一度上がった高度より下がることは不可能。 トゲ 地面にあるトラップ。 触れるとミス。 ミス後の再開時の無敵状態であってもこれは例外である。 落下する天井 同様にぶつかるとミス。 実際に落ちてくるまで分らない。 吊天井 不気味な音を立てながら上下する。 先端のトゲに当たるとミス。 マグマ 落ちるとミス。 溶岩を噴き出す所もある。 ミス後の再開時の無敵状態であってもこれは例外であるが、溶岩に対してはこの限りでは無い。 アイテム [ ] ラージのダイヤモンドや金塊以外のアイテムは原則的に隠しアイテム扱いで、特定の場所をジャンプすることで出現する。 ピストル 20発撃てる銃弾が込められている。 10,000点のボーナス。 金塊 取るとボーナス。 ボリュームによって得点が異なる3種類があり、小(1段積1個)は3,000点、中(2段積3個)は9,000点、大(3段積6個)は18,000点のボーナス。 全て手に入れるとエンディングで異なるメッセージが出現する。 1,000点のボーナス。 で使用されているロゴマーク。 ハリーが1人増える。 カギ クイッククローが閉じ込められている檻を開ける。 20,000点のボーナス。 ラージのダイヤモンド ハリーの探検の最初の目的。 50,000点のボーナス。 薬 石化したロンダを元の姿に戻すのに使う。 十字架 地底世界にある。 攻撃を防ぐ効果がある。 10,000点のボーナス。 同じく地底世界で入手。 をかたどった紋章。 10秒間無敵になる。 ボーナスアイテム。 20,000点を獲得。 設定 [ ] ストーリー [ ] 主人公の探検家・ハリーは地底王国の秘宝「ラージ・ダイヤモンド」を探し求めているが、探険の途中で地底人に捕らわれた姪のロンダと愛猫クイッククローを救出すべく洞窟と地底王国を東奔西走する。 ステージ構成 [ ] メインの洞窟と、ワープコンドルに掴まることで行くことができる3箇所の隠し洞窟、そして地底人がはびこる地底王国に分かれている。 登場キャラクター [ ] 主要キャラクター [ ] ハリー 本作の主人公。 ロンダ ハリーの姪。 地底人に拉致され、さらに石化される。 クイッククロー ハリーの愛猫。 地底人に拉致され、さらに檻に幽閉される。 敵キャラクター [ ] 原則的に敵を倒す手段はピストルのよる弾丸を命中させることのみ。 大抵は1発で倒せるが、中には2~5発当てないと倒せないキャラや何発当てても決して倒せないキャラもいる。 地上 [ ] カエル 左右にピョンピョン跳ねる。 500点。 ヘビ 地面を這う。 直立した状態でのみピストルで倒すことができる。 1,000点。 コンドル 上空を飛ぶ。 ワープコンドルに掴まるとどこかの洞窟にワープする。 撃つと1,000点。 なお弾丸を命中させても倒せないものはワープコンドルであり見分けができる。 クモ 左右に移動する。 体が小さいため、はしごで目線と同じ高さまで降りて、ピストルを発射しないと当たらない。 2,000点。 サソリ ハリーに突進してくる他は、倒し方などはクモと同じ。 2,000点。 コウモリ 天井に逆さになっているが、下に降りて波状に移動する。 2,000点。 電気ウナギ 地底湖に出現。 水中では底につかないとピストルが撃てないので倒すのは困難。 5,000点。 ピラニア 同上。 5,000点。 モアイ 地面を滑ってくる。 不死身で倒す手段がないので、よけるしかない。 デルゾ- 顔が頭に角が生えたドクロの幽霊で上空を漂う。 不死身で倒すことはできない。 地底王国 [ ] アルマ 緑色の怪物で、口から火の玉を吐いてくる。 ピストル2発撃ち込めば倒せる。 2,000点。 ヤリガイ の化け物。 2,000点。 古代生物の生き残りで、顔を出した状態でないと攻撃が通用しない。 2,000点。 ホネラマ 猫の骸骨。 2,000点。 地底人ノーム お面をかぶった地底人で槍を投げつける。 ピストル4発撃ち込めば倒せる。 3,000点。 地底人ガイア 頭が骸骨の地底人でドクロを吐いて攻撃する。 ピストル5発撃ち込めば倒せる。 3,000点。 ドクロシャツ 上空を飛び、骨を落とす。 たまに下に降りてくる。 10,000点。 ラドン はしごの途中でいきなり横から現れる。 10,000点。 ドクロラドン 頭がドクロをしたラドン。 10,000点。 移植版 [ ] No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 売上本数 備考 1 スーパーピットフォール 1986年11月 ポニー ポニー M58C-5514 - 2 Super Pitfall 1988年 マイクロニクス フロッピーディスク 26-3171 - 評価 [ ] 評価 レビュー結果 媒体 結果 FC 17. 06点(満30点)となっている。 同誌1991年5月10日号特別付録の「ファミコンロムカセット オールカタログ」では、「もとはパソコンゲームなだけに簡素で奥が深い」と紹介されている。 項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合 得点 2. 61 3. 17 2. 96 2. 87 2. 76 2. 69 17. マイウェイ出版『ファミコンクソゲー番付』2017年1月25日、p19• Blue Flame Labs. 2019年1月12日閲覧。 Blue Flame Labs. 2019年1月12日閲覧。 Blue Flame Labs. 2017年4月2日閲覧。 Danny Cowan. 2010年8月10日閲覧。 外部リンク [ ]• - (英語) この項目は、に関連した です。
次の第2825号 2009年4月6日 論文解釈のピットフォール 【 第1回】 臨床研究の論文を正しく読むことは大切だけど,けっこう難しい 植田真一郎(琉球大学大学院教授・臨床薬理学) ランダム化臨床試験は,本来内的妥当性の高い結果を提供できるはずですが,実に多くのバイアスや交絡因子が適切に処理されていない,あるいは確信犯的に除 去されないままです。 本連載では,治療介入に関する臨床研究の論文を「読み解き,使う」上での重要なポイントを解説します。 「朝食を食べない子は学力が低い」あるいは「授業態度が悪い」なんていう記事を見たことがあると思います。 「日経新聞を読んでいると成績が良い」「数学を勉強した人は収入が高い」とか何でもいいのですが,いかにも前者が後者の原因になっているような新聞記事はけっこう多いですね。 荒唐無稽ではなく,適度にもっともらしいというか,そうかもしれないと思う人が出る程度の怪しさなので,受験が近づくと日経新聞を購読するような家庭も出てくるかもしれません。 これらはある意味で事実なのですが,この記事は事実を淡々と述べているのではなく,そこに因果関係があると謳っています。 しかしよく読むと,このような因果関係は決して証明されていないのです。 朝食を食べない家庭,朝食を作らない親は別の何かの象徴かもしれませんし,日経新聞は単に経済的余裕を表している可能性もあります。 むしろそんなはずはないと疑うほうが,受験そのものにも,そしてきっとその後の人生にも役に立つと思います。 医学研究論文は正しいのか では,医学研究はもう少し格調が高いのでしょうか? 学会や製薬会社の宣伝用記事にはけっこうこの手のものがあります。 「AとBが相関する。 したがってAはBの原因と考えられる」なんていう論文は多いですが,単なる相関はその因果関係を示唆するものではありません。 図1 利尿薬使用の増加は腎不全を増加させる? 著者らは利尿薬の使用率の推移と2年後の末期腎不全発生の推移が並行していることから,利尿薬使用と末期腎不全の発生は因果関係があるとの仮説を提唱した。 騙されやすい図を最初に挙げましょう。 図1は米国の腎不全の発生頻度と利尿薬使用の関連を見た論文から抜粋したものです()。 著者らの名誉のために断っておきますが,これは一応「仮説」として医学雑誌に掲載されています。 一見すると利尿薬の使用率と末期腎不全(透析導入や腎移植)の発生率は並行しているように見えます。 統計学的にもこれが偶然起こる確率は0. 8%に満たないと解析されています。 論文の著者らはこの結果から利尿薬は腎不全リスクを増やす可能性が高いと述べています。 これは正しいのでしょうか? 残念ながら,これはおそらく正しくありません。 その理由はいくつかありますが,まずこの解析が正当なのかどうか考えてみましょう。 この母集団はどこから来ているのでしょうか? まず同じ集団の中での利尿薬が処方されたかどうか,腎機能の推移をみたものではありません。 2年ずらすという一見もっともらしい方法をとっていますが,別の集団です。 そもそも血清クレアチニンが2mg/dlを超えるとサイアザイド系利尿薬は処方されないので,関連を見ることは困難なのです。 利尿薬の使用率の推移も,「高血圧でサイアザイド系利尿薬を投与されている患者の頻度」を表しているわけではありません。 腎機能が下がればサイアザイドは減り,ループ利尿薬の使用は増加し,最終的に末期腎不全となれば必要なくなりますから処方されません。 最大限譲歩して関連があるとしたら,利尿薬の処方が増え,血圧が下がり,脳卒中や心筋梗塞のリスクが下がったため,腎機能が悪化しても生き残る患者さんが増えたのかもしれません。 実際末期腎不全の増加は腎不全そのものの増加と並行しないという報告があります。 結局,患者さんを利尿薬を使用する群か使用しない群のどちらかに割り付け,末期腎不全への進展リスクを評価するランダム化臨床試験が必要になります。 利尿薬と他の薬とを比較したランダム化比較試験はいくつかありますが,今のところ利尿薬が末期腎不全を増やすという報告はありません。 ただ,著者らは「仮説」と一見謙虚な態度を見せつつ,自分たちの考えが正しいと読者を思わせるために,ランダム化臨床試験から「部分的に」引用をしているのです。 図の提示の仕方で結果の印象が変わる 図2はALLHATというランダム化臨床試験の一部のデータを引用したものです。 この図を見る限りでは,クロルサリドンという利尿薬はアムロジピンと比較すると腎機能を低下させるのではないかと思いませんか? 図2 ALLHAT研究における腎機能の推移(1) ALLHAT研究での研究開始時から4年後の腎機能の%変化。 -12%を最小値とした縦軸に注意。 しかし図3をみてください()。 同じALLHAT研究で腎機能を1年ごとに見たものですが,一時的に腎機能は利尿薬群とACE阻害薬群で落ちますが,その後はだいたい一定ですね。 最終的なアウトカムで腎不全がどんどん増えているという結果も出ていません。 しかも腎機能の悪化を遷延させることが証明されているACE阻害薬とあまり差がありません。 ところが,これを図2のように抜き出すと,なんだかクロルサリドンは腎臓に悪いように見えます。 これはx軸を短くし,y軸を伸ばすという古典的な誇張の方法なのです。 気持ちはわかりますが,やるべきではないし,惑わされないようにしましょう。 図3 ALLHAT研究における腎機能の推移(2) ALLHAT研究での研究開始時から1年ごとの腎機能の絶対値。 開始時の腎機能別に3群に分けて表示されている。 縦軸は推定GFR値で最小値は0。 臨床研究論文の落とし穴に気づこう 目の前の患者さんについて困ったとき,何をするでしょうか? 指導医に尋ねる,(きっと専門医がこれまでの臨床試験を熟読玩味して作成したであろう)ガイドラインを読む,臨床試験の結果をまとめた二次資料を読む,問題点について研究した臨床研究論文を読む,などです。 「エビデンスレベル」なんて言葉を知っている人は「メタ解析」や「システマティックレビュー」を読むと答えるかもしれません。 これらはすべて正しいのですが,すべてに落とし穴があるのです。 その領域に精通した指導医は,自分で論文を読み,それを経験やその患者さんの病態のみならず価値観まで考えた結果を教えてくれるかもしれません。 これは早いし,単に辞書を引き引きメタ解析を読んでわかったつもりになるより,はるかに患者さんにとっても有益だと思います。 しかし,正しく論文を読んでいるかどうかわかりませんし,指導医の価値観,経験,あるいは健康状態まで教えてくれる内容に影響するかもしれません。 それはあなたの患者さんに使えるかどうかわかりません。 二次資料は短くてわかりやすいですが,省かれた部分に大切なメッセージが隠れているかもしれません。 またガイドラインも自分の患者さんにあてはめてよいのか,自信がないこともあるでしょう。 臨床研究の論文,主として観察研究やランダム化比較試験の論文を読むときにも,落とし穴はたくさんあります。 本連載では,いろいろな落とし穴について,実際に例を挙げながら考察していく予定です。 () 参考文献 1)Hawkins RG, Houston MC. A hypothesis. Am J Hypertens. 2)Hsu CY, Vittinghoff E, Lin F, Shlipak MG. Ann Intern Med.
次の第2825号 2009年4月6日 論文解釈のピットフォール 【 第1回】 臨床研究の論文を正しく読むことは大切だけど,けっこう難しい 植田真一郎(琉球大学大学院教授・臨床薬理学) ランダム化臨床試験は,本来内的妥当性の高い結果を提供できるはずですが,実に多くのバイアスや交絡因子が適切に処理されていない,あるいは確信犯的に除 去されないままです。 本連載では,治療介入に関する臨床研究の論文を「読み解き,使う」上での重要なポイントを解説します。 「朝食を食べない子は学力が低い」あるいは「授業態度が悪い」なんていう記事を見たことがあると思います。 「日経新聞を読んでいると成績が良い」「数学を勉強した人は収入が高い」とか何でもいいのですが,いかにも前者が後者の原因になっているような新聞記事はけっこう多いですね。 荒唐無稽ではなく,適度にもっともらしいというか,そうかもしれないと思う人が出る程度の怪しさなので,受験が近づくと日経新聞を購読するような家庭も出てくるかもしれません。 これらはある意味で事実なのですが,この記事は事実を淡々と述べているのではなく,そこに因果関係があると謳っています。 しかしよく読むと,このような因果関係は決して証明されていないのです。 朝食を食べない家庭,朝食を作らない親は別の何かの象徴かもしれませんし,日経新聞は単に経済的余裕を表している可能性もあります。 むしろそんなはずはないと疑うほうが,受験そのものにも,そしてきっとその後の人生にも役に立つと思います。 医学研究論文は正しいのか では,医学研究はもう少し格調が高いのでしょうか? 学会や製薬会社の宣伝用記事にはけっこうこの手のものがあります。 「AとBが相関する。 したがってAはBの原因と考えられる」なんていう論文は多いですが,単なる相関はその因果関係を示唆するものではありません。 図1 利尿薬使用の増加は腎不全を増加させる? 著者らは利尿薬の使用率の推移と2年後の末期腎不全発生の推移が並行していることから,利尿薬使用と末期腎不全の発生は因果関係があるとの仮説を提唱した。 騙されやすい図を最初に挙げましょう。 図1は米国の腎不全の発生頻度と利尿薬使用の関連を見た論文から抜粋したものです()。 著者らの名誉のために断っておきますが,これは一応「仮説」として医学雑誌に掲載されています。 一見すると利尿薬の使用率と末期腎不全(透析導入や腎移植)の発生率は並行しているように見えます。 統計学的にもこれが偶然起こる確率は0. 8%に満たないと解析されています。 論文の著者らはこの結果から利尿薬は腎不全リスクを増やす可能性が高いと述べています。 これは正しいのでしょうか? 残念ながら,これはおそらく正しくありません。 その理由はいくつかありますが,まずこの解析が正当なのかどうか考えてみましょう。 この母集団はどこから来ているのでしょうか? まず同じ集団の中での利尿薬が処方されたかどうか,腎機能の推移をみたものではありません。 2年ずらすという一見もっともらしい方法をとっていますが,別の集団です。 そもそも血清クレアチニンが2mg/dlを超えるとサイアザイド系利尿薬は処方されないので,関連を見ることは困難なのです。 利尿薬の使用率の推移も,「高血圧でサイアザイド系利尿薬を投与されている患者の頻度」を表しているわけではありません。 腎機能が下がればサイアザイドは減り,ループ利尿薬の使用は増加し,最終的に末期腎不全となれば必要なくなりますから処方されません。 最大限譲歩して関連があるとしたら,利尿薬の処方が増え,血圧が下がり,脳卒中や心筋梗塞のリスクが下がったため,腎機能が悪化しても生き残る患者さんが増えたのかもしれません。 実際末期腎不全の増加は腎不全そのものの増加と並行しないという報告があります。 結局,患者さんを利尿薬を使用する群か使用しない群のどちらかに割り付け,末期腎不全への進展リスクを評価するランダム化臨床試験が必要になります。 利尿薬と他の薬とを比較したランダム化比較試験はいくつかありますが,今のところ利尿薬が末期腎不全を増やすという報告はありません。 ただ,著者らは「仮説」と一見謙虚な態度を見せつつ,自分たちの考えが正しいと読者を思わせるために,ランダム化臨床試験から「部分的に」引用をしているのです。 図の提示の仕方で結果の印象が変わる 図2はALLHATというランダム化臨床試験の一部のデータを引用したものです。 この図を見る限りでは,クロルサリドンという利尿薬はアムロジピンと比較すると腎機能を低下させるのではないかと思いませんか? 図2 ALLHAT研究における腎機能の推移(1) ALLHAT研究での研究開始時から4年後の腎機能の%変化。 -12%を最小値とした縦軸に注意。 しかし図3をみてください()。 同じALLHAT研究で腎機能を1年ごとに見たものですが,一時的に腎機能は利尿薬群とACE阻害薬群で落ちますが,その後はだいたい一定ですね。 最終的なアウトカムで腎不全がどんどん増えているという結果も出ていません。 しかも腎機能の悪化を遷延させることが証明されているACE阻害薬とあまり差がありません。 ところが,これを図2のように抜き出すと,なんだかクロルサリドンは腎臓に悪いように見えます。 これはx軸を短くし,y軸を伸ばすという古典的な誇張の方法なのです。 気持ちはわかりますが,やるべきではないし,惑わされないようにしましょう。 図3 ALLHAT研究における腎機能の推移(2) ALLHAT研究での研究開始時から1年ごとの腎機能の絶対値。 開始時の腎機能別に3群に分けて表示されている。 縦軸は推定GFR値で最小値は0。 臨床研究論文の落とし穴に気づこう 目の前の患者さんについて困ったとき,何をするでしょうか? 指導医に尋ねる,(きっと専門医がこれまでの臨床試験を熟読玩味して作成したであろう)ガイドラインを読む,臨床試験の結果をまとめた二次資料を読む,問題点について研究した臨床研究論文を読む,などです。 「エビデンスレベル」なんて言葉を知っている人は「メタ解析」や「システマティックレビュー」を読むと答えるかもしれません。 これらはすべて正しいのですが,すべてに落とし穴があるのです。 その領域に精通した指導医は,自分で論文を読み,それを経験やその患者さんの病態のみならず価値観まで考えた結果を教えてくれるかもしれません。 これは早いし,単に辞書を引き引きメタ解析を読んでわかったつもりになるより,はるかに患者さんにとっても有益だと思います。 しかし,正しく論文を読んでいるかどうかわかりませんし,指導医の価値観,経験,あるいは健康状態まで教えてくれる内容に影響するかもしれません。 それはあなたの患者さんに使えるかどうかわかりません。 二次資料は短くてわかりやすいですが,省かれた部分に大切なメッセージが隠れているかもしれません。 またガイドラインも自分の患者さんにあてはめてよいのか,自信がないこともあるでしょう。 臨床研究の論文,主として観察研究やランダム化比較試験の論文を読むときにも,落とし穴はたくさんあります。 本連載では,いろいろな落とし穴について,実際に例を挙げながら考察していく予定です。 () 参考文献 1)Hawkins RG, Houston MC. A hypothesis. Am J Hypertens. 2)Hsu CY, Vittinghoff E, Lin F, Shlipak MG. Ann Intern Med.
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