皮下脂肪と内臓脂肪の違いを一言で言うと、お腹の中の内臓と内臓の間などにびっしりと付くのが 内臓脂肪です。 皮下脂肪は体の外から指でつまめますが、内臓脂肪は外から摘むことはできません。 また、皮下脂肪は体温を維持したり、エネルギーを貯蔵したりといった役割があるのですが、 内臓脂肪は余分なエネルギーを一時的に貯めておくという役割がある半面、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病になるデメリットが大きいのです。 そんな生活習慣病の危険性のある内臓脂肪ですが、適切な運動や食生活を正しくコントロールすることで、健康を害する前に内臓脂肪を落とすことも可能なのです。 ちなみに、体重が重い人が肥満であり、内臓脂肪が多い人ではない事は先ほども説明しましたが、体型を見ただけではわからない「隠れ肥満」の人もいます。 このように、太っているとか、肥満であるとか言うのを判定する基準には、体の中の水分量や筋肉の量だけでは基準とはなりません。 なので、 肥満かどうかを判定する基準は、体の中の脂肪の量だけなのです。 Sponsored Link 例えば、見た目はほっそりと痩せて見える人も、体の中の脂肪は少ないとは限りません。 逆に、見た目は大きくてプロレスラーのような体つきをしている人は筋肉の量が大きく、内臓脂肪はもの凄く少ないのです。 ですから、体脂肪率を測ってみれば、肥満であるかどうかの判定はすぐにわかります。 一般的に、 人間の体の脂肪が占める割合(体脂肪率)は、約20%だと言われています。 なので、この体脂肪率が30%以上になると、生活習慣病の危険性が急激に高まるそうです。 よく定期健康診断などで体重を計ったら、標準体重だったから、肥満では無いと思い込んでいた人が、体脂肪率を測ってみたら40%近い数値だったということもあるので「隠れ肥満」には注意しましょう。 このように標準体重があることで、今まで本当は隠れ肥満だったという人も多いはずです。 隠れ肥満は、見た目にはわからないので、自分が肥満であるかどうかの判断がつきません。 その結果、内臓脂肪は知らず知らずのうちにたまっていき、ある日急に生活習慣病を発症するというのか隠れ肥満の危険性なのです。 ここに1つのデーターとして、標準体重を基準とした場合、肥満の人とそうでない人を比較すると、糖尿病が5倍、高血圧症が4倍、心疾患で2倍になるという発病率のデーターがあります。 そして、 内臓脂肪がついた隠れ肥満の人は、大腸ガンや乳ガンになる可能性も多いそうですよ。
次の1.中性脂肪とは? 脂肪細胞(イメージ) 言葉はよく聞きますが、「中性脂肪」とは何でしょうか? 1-1.中性脂肪の働きは? 中性脂肪は、エネルギー源である ブドウ糖が不足した場合、それを補うためのエネルギー源です。 体内に取り込んだエネルギーが余った場合、肝臓で中性脂肪が合成されます。 1-2.中性脂肪が増えすぎると 中性脂肪は、糖質とならんで重要なエネルギー源となるものです。 しかし、 エネルギーとして使われなかった中性脂肪は、皮下や内臓周辺に貯蔵されます。 そのため必要以上に中性脂肪が増えると、 肝臓では脂肪肝に、皮下組織では肥満につながります。 とくに内臓周辺に脂肪が増えると、生活習慣病の大きな原因である 内臓脂肪型肥満を引き起こします。 *内臓脂肪型肥満:内臓脂肪がついた「内臓脂肪型肥満」と、皮下脂肪がついた「皮下脂肪型肥満」には、大きな違いがあります。 特に「内臓脂肪の蓄積」が糖尿病、高脂血症(脂質異常症)、高血圧症など生活習慣病の発症や、動脈硬化性疾患に深く関係しています。 1-3.中性脂肪と超悪玉(小型LDL)コレステロールの密接な関係 虚血性心疾患 狭心症や心筋梗塞 の危険因子の1つに、LDL-C(悪玉コレステロール)があります。 さらに、悪玉コレステロールの中でも小型で高比重のコレステロールは、動脈硬化を促す作用が非常に強く 「小型LDL:超悪玉コレステロール」と呼ばれています。 肥満、メタボリック症候群、糖尿病などで中性脂肪が上昇すると、悪玉コレステロールの小粒化が起こりやすく、 超悪玉コレステロールが増加するのです。 2.中性脂肪とコレステロールは何が違うの? 中性脂肪とコレステロールを同じものと思っている人がいますが、実は両者は 全くの別物です。 中性脂肪とコレステロールは体の中でその役割が異なります。 中性脂肪は、体を動かすエネルギー源として働きます。 エネルギー源として摂取された糖分などがエネルギーとして使われないで余ってくると、中性脂肪に変換されて蓄えられるしくみになっています。 この変換に関わっているのが、血糖のコントロール作用で知られる インスリンというホルモンです。 一方、 コレステロールは体の組織・細胞を作ったり、ある種のホルモンの原料になります。 3.中性脂肪の測定 中性脂肪が正常であるか否かを判断するには、注意が必要です。 3-1.空腹で測定 中性脂肪の評価する場合は、必ず空腹で測定しましょう。 最後の食事をしてから、12時間はあけるようにしてください。 3-2.前日の夜に食べ過ぎない 空腹で測定するだけでなく、最終の食事も食べ過ぎないようにしてください。 さすがに暴飲暴食をすると、12時間あけても影響が残ってしまいます。 3-3.正常値 食後12時間以上たって血液中に 中性脂肪値が150ミリグラム以上になっていたら高中性脂肪血症と診断します。 中性脂肪値が150~300ミリグラムは軽症の程度なので医師、栄養士の指導で容易に正常値に戻ります。 しかし、 300~600ミリグラムあれば中等症、600ミリグラム以上は重症という程度であり本格的な治療が必要になります 測定まで12時間以上あけるほか、前夜も食べ過ぎないようにしましょう 4.中性脂肪が高いと言われたら 中性脂肪を正常化するには、何よりも適正体重にすることが大事です。 適正体重にするには、 摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やすことです。 4-1.食事療法• 夜間はあまり食べない:夜間はからだをあまり動かさないため、エネルギー消費量が少なくなり、食べたものが中性脂肪になりやすい傾向があります。 夜間に仕事をする人以外は、夕食のカロリーはひかえめにし、寝る前の夜食は食べないようにしましょう。 甘いものを控える:お菓子(砂糖、生クリーム、バターを多く含むもの)、ジュース、コーヒーや紅茶の砂糖やミルクなど、甘いものを控えましょう。 魚介類と植物性蛋白を増やす:魚介類や大豆蛋白質を中心に摂り、肉の刺身や内臓類は少なめにしましょう。 油脂は固形の油を減らし液状の油に:EPA(イコサペント酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を含む魚油がお勧めです。 しそ油、大豆油、オリーブ油、なたね油などを中心に選びましょう。 アルコールを減らし、喫煙をやめる:日本酒なら1合、ビールなら1本、ウイスキーならW1杯程度(週に2日休酒)にしましょう。 植物繊維や抗酸化物質を摂る:穀類・野菜・海草・果物など積極的に摂取しましょう。 4-2.運動療法 中性脂肪の中でも、さまざまな生活習慣病の原因となる内臓脂肪は、運動によって減らすことができます。 ウォーキング、アクアサイズ(水中運動)、軽めのジョギング、エアロバイク(固定式の自転車こぎ)などの有酸素運動で、中性脂肪を効率よく減らしましょう。 1日10〜15分程度の運動でもいいので、1日2〜3回、週に4日程度は続けることが大切です。 5.薬物療法 生活習慣の改善しても、空腹時の中性脂肪の値が300ミリグラム以上の場合は、薬物治療を行います。 5-1.フィブラート系 肝臓におけるコレステロールや中性脂肪の合成を阻害します。 また、リポ蛋白の代謝を促進し、中性脂肪の分解を促進させて血液中の中性脂肪を低下させ、HDLコレステロールを増やします。 中性脂肪の数値を下げるには最も効果がある薬です。 ベザトール・・古くから使われている薬です。 1日2回に分けて服用します。 リピディル・・1日1回の服用で効果があるため、最近はこちらが主流です。 5-2.ニコチン酸製剤 ニコチン酸製剤は抗高脂血症作用と血管拡張作用を有する薬物で、米国のNIHではニコチン酸を高脂血症の第一選択薬として指示しています。 但し、中性脂肪の数値を下げる作用は、フィブラート系に比べるとかなり弱いです。 ユベラN• コレキサミン 5-3.EPA 魚の脂などに含まれるEPA(イコサペント酸)から作られている薬剤です。 中性脂肪を下げる作用は余り強くありませんが、血液を固まりにくくする作用があります。 どちらかというと、「医師が処方できるサプリメント」というイメージで、自身で処方して服用している医師も結構いらっしゃいます。 エパデール・・・EPA製剤• ロトリガ・・・EPA-DHA製剤。 6.コレステロールも中性脂肪も高いと言われたら 中性脂肪が高い方は、コレステロールも高い方がいらっしゃいます。 中性脂肪の数値をしっかり下げるには、フィブラート系製剤を、コレステロールを下げるにはスタチン系製剤を使用します。 しかし、この2種類の併用は原則禁忌でした。 そのため、通常はコレステロールのコントロールを優先し、中性脂肪の数値は目をつぶることが多かったのです。 2018年10月、 「スタチン」「フィブラート」併用の原則禁忌が解除となったのです。 但し、以下の注意が必要です。 あくまでスタチンだけではコントロールができない症例に、フィブラートの併用をおこなう。 あくまで副作用より、薬剤の有用性が期待される症例に限ります。 できれば、生活習慣病の改善で使用する薬は減らしたいものです。 スタチンとフィブラートは、いずれも横紋筋融解症の副作用があります。 併用する場合は、単剤の際より、厳重に定期的な採血でCPKのチェックが必要です。 * 横紋筋融解症:薬や外傷などを原因として筋肉が破壊されてしまう病気です。 筋肉が破壊されてしまうことから、ミオグロビンなどの筋肉内に存在するタンパク質が血液中へと大量に放出され、腎不全から亡くなる危険性も生じる病気です。 血中のCPKが高値を示します。 腎機能に異常のある患者酸には、安易にスタチンとフィブラートの併用は行わないようにします。 7.まとめ• 中性脂肪は、肥満の原因になるだけでなく、超悪玉コレステロールを増やすことで虚血性心疾患の頻度を増やします。 中性脂肪を減らすには、食事と運動によって適正体重を維持することが最も重要です。 生活習慣の改善で、正常化しない場合はフィブラート系の薬剤を使用します。 最近では、コレステロールを下げるためのスタチン系との併用も原則禁忌が解除されました。
次の今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『意外と知らない「中性脂肪」と「脂肪」の違い』をご紹介させて頂きます。 中性脂肪と脂肪はどう違う? 美容においてはもちろんですが、健康にも、特に生活習慣病の予防には「中性脂肪を減らすのがいちばん」と言われます。 中性脂肪といえば、豚肉や牛肉についた白い脂身ですが、私たちにとっても「中性脂肪」とはいったい何でしょう。 「脂肪」とどこが違うのでしょうか。 脂肪というのは、体内のすべての脂肪を指す呼び名です。 最近では「体脂肪」という言い方をすることがあります。 したがって、中性脂肪は体脂肪の1つということになります。 したがって、脂肪とは、中性脂肪のことを指しているといえるでしょう。 中性脂肪は、「悪者」のイメージがありますが、人間の体を動かすための大事なエネルギー源となる物質です。 アルカリ性と酸性の中間の性質をもっているために「中性脂肪」と呼ばれています。 運動などによって燃焼され、消費されるのが特徴です。 健康診断では「TG」と表記されていますが、それは中性脂肪の別名である「「トリグリセリド(Triglyceride)」を略した表現です。 なぜ、中性脂肪は溜まるのか? 私たちが食物から摂取した脂質は、小腸から吸収されて血液中に入り、まず生命維持活動(心臓の動きや呼吸など、生きるために必要な機能)に利用されます。 そして、余ったエネルギーは肝臓などに中性脂肪として蓄えられます。 蓄えられた中性脂肪は、お腹が減ったり、激しい運動のあとなどエネルギーが不足したときには、血液を通して体内に戻され、利用されます。 血液検査で「TG(中性脂肪)が高い」と指摘されたときは、血液中に中性脂肪の量が増えすぎている状態です。 そして皮膚の下についたり、内臓のまわりについたりすると、皮下脂肪や内臓脂肪などなって、美容や健康の天敵に変わります。 また、脂質が多く含まれている食事を摂り過ぎると、中性脂肪が肝臓に溜まり過ぎて「 」という病気にかかります。 さらに、生活習慣病を引き起こす原因となるでしょう。 溜まりやすいけど、使われやすい 皮下脂肪や内臓脂肪は、エネルギーが余った際に中性脂肪が溜まりやすいのですが、一方でエネルギー不足のときには使われやすいという特徴もあります。 その特徴を活かして、中性脂肪の減少には「適度な運動を行う習慣」がすすめられています。 脂肪は、体を冷やさない、内臓を守るなどの働きがありますが、過剰な脂肪(中性脂肪)は など健康を害することにつながります。 バランスのとれた食事と適度な運動に、少しでも気をつけるだけで生活の快適さはだいぶ違ってくるでしょう。
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