ケンガンアシュラで『呉先生』が話題に！
雫サイド 私……八重樫雫にとって婚約者である呉刹羅と出会ったのは幼稚園児の頃だった。 最初は祖父の友人である呉恵利央さんが同年代と言う事で連れてきた双子が姉の迦楼羅と弟の刹羅であった。 同年代な私達は友達になり長期休暇がある度に遊びに来てくれた。 祖父と恵利央さんがウチの孫（曽孫）が最高！と喧嘩するのはやめて欲しかったが…… それから高校に入ると同じ高校に刹羅が居たのは驚いた。 「よっ！雫。 久しぶり」 アレは本当に驚いた。 その後気安く話しかけてきたからか 天之河 ・・・ くんが、 「待ってくれ。 君は一体何者だ？」 「ん？誰だ？」 「質問を質問で返さないでくれないか？ 君は雫とどういう関係なんだ！？」 と突っかかってきた。 「関係？幼馴染だけど……」 「嘘をつくな！雫の幼馴染は俺と龍太郎と香織だけだ！「いや、うちの爺様と雫のところの爺様が友人で、度々ついて行って遊んでいたからだぞ。 そもそも、お前何様のつもりだ？」……俺は雫の幼馴染として……」 「だったら何も言うな」 彼は言葉短く言うと私との会話を再開した。 それからは天之河くんと多少の衝突はあったものの大きなトラブルも無く、私の周りにいる坂上くんや香織とも仲良くなっていった。 特に坂上くんとはトレーニング関連で仲良くなっていた。 私と彼の友達の関係が終わったのは一年生の終わりの頃だ。 その日は久々に祖父に呼ばれ正装して今に向かうと、恵利央さんと夜叉さんに刹羅が座っていた。 「雫よ。 今日から刹羅くんがお前の許嫁だ」 と言われ 「「はぁっ！？」」 と叫んだ私達は悪くない。 何でも、昔祖父と恵利央さんが酒の肴に私と刹羅が何処ぞの馬の骨に嫁がせるくらいなら！と言うことで許嫁にと話し合い。 私達の話も聞かず祖父達の話はトントンと進み、 学校からそう遠くないアパートメント（3LDK）で同棲させられる事となった。 とりあえずは気恥ずかしさから学校の登校時間をずらしたり別ルートだとかで何とかしようとしたが 鈴が 「シズシズと呉くんが同じ部屋から出てきたけど、二人は付き合っているの？」 バラしてしまったのよ！ そしたら天之河くんが 「雫が呉と同じ部屋からだって？ 呉！まさかお前は嫌がる雫を無理矢理「な訳あるか阿呆」 私達は仕方なく説明すると、 「い…許嫁……実際していたんだ……」 と、皆驚いていた。 しかし天之河くんだけは 「そんな……そんな酒の肴で許嫁だとか酷すぎるじゃないか！ 呉！今すぐ雫と別れるんだ！」 そう言って刹羅だけを責めていた。 「だったら、うちの爺様を説得してみろ。 説得できたら別れてやる」と天之河くんに携帯を渡して、 刹羅と天之河くんの決闘で決着をつける事となった。 場所はウチの道場、刹羅は防具、天之河くんは竹刀 観戦者は私、祖父、恵利央さん。 見知らぬお爺さんに強面の男性二人、クラスメイトが何人か、八重樫流の門下生。 審判は父が務め 「では、確認するぞ。 光輝が勝利したら刹羅くんは雫との許嫁関係の即日解消。 刹羅くんが勝利したら光輝は二人の関係に文句を言わない。 良いな」 「「はい！」」 「では、はじめ！！」 そうして決闘が始まった。 決着はそう長く続かなく、 刹羅の圧勝で終わった。 「まあ、あの少年も悪くはなかったが…… 相手が悪かったの」 そこには竹刀をへし折られ、裏拳を顎先に当てられ動けない天之河くんと、何事もないかのように天之河くんの手を押さえて裏拳を当てている刹羅がいた。 「それまで、勝者呉刹羅！」 勝者の宣言がなされる。 刹羅は構えを解き、 「やべ、壊した」 と罰が悪そうに頭を掻いた。 後は終わりと言わんばかりの空気に観戦者達は立ち上がろうとしたら パァン！！ 乾いた音が響き渡る。 「巫山戯るな！こんなのは無効だ！」 天之河くんが竹刀を投げ捨てた音だ。 「どうせ、呉が俺の竹刀に何か細工をしていたんだろ！ そうじゃなきゃ簡単に竹刀が壊れる筈がない！！」 そう言って天之河くんは奥にかけられていた木刀を取り、 「そんな奴に雫は相応しくない！俺が天誅を「おい、餓鬼」はっ！」 ゴォン！ 刹羅に向かって木刀を向けようとした天之河くんが強面の人（マスク）の拳骨を喰わらされた。 「個人的に諦めが悪いのは嫌いじゃないが、 お前のは唯言い訳して見苦しいだけだ」 そう言って再びの拳骨をして天之河くんは気絶した。 「申し訳ございません。 御前」 「ホッホっ、良い良い アレは流石に見苦しいだけよ」 そう言って、お爺さん達は帰って行った。 そうして今回の一件が終わったかに見えたが、 その後も天之河くんは私達に過干渉をしてくる。 特に酷かったのが木刀で刹羅を襲撃してきた事だ。 二人で買い物していたところに後ろから木刀で刹羅の頭部を殴ったのだ。 刹羅自身は軽傷だったが、一般人なら死んでもおかしくはなかった。 父も祖父も今回の一件で天之河くんを呼び出して説教をしたが何時もの御都合主義解釈で反省の色が少しも見られなかった。 二人は更生の余地なしと判断し、天之河くんを八重樫流から破門処分とした。 無論私も彼と絶縁した。 昔から御都合主義解釈が激しかったが、真逆ここ迄とは思わなかった。 今回の一件で彼には傷害・殺人未遂の前科者となった。 オマケに彼を庇護していた剣道連盟上層部が行なっていた不正行為が世間に出回り、上層部の人間は全て逮捕されて、天之河くんは剣道関連から追放処分。 学校からも退学を言い渡されそうになったが理事長の息子の飯田先生が天之河くんの更生を買って出て問題を起こさない事を前提に学園生活を続けさせると言う事となった。 それから私と刹羅は同棲生活はしているが 極めて節度のある同居生活をしている。 少しは手を出しなさいよ！！ 恵里サイド 僕こと、呉恵里（旧姓:中村）にとって天之河光輝は疫病神である。 8歳の頃、父が死んだ。 仕事先での事故だった。 5歳の頃車に轢かれてもピンピンしていた父がだ。 それから母は少し壊れた。 父の遺産を少しずつ削りながら慣れない仕事でお金を稼いでいきながら生活していったが、 夜お酒を飲むとまるで人が変わったかのように僕に暴力を振るってくる。 しかし、それは苦ではなかった。 父の頑丈さが遺伝したのか母に殴られても何ともなかったし、それで母の心労が安らぐなら安いものだった。 しかし、10歳になると母が再婚してしまった。 父を愛していなかったのか？とおもったが、 母はそれほど強い人ではなかった。 父を失った悲しみに母は耐えきれなかったのだ。 新しい父は普通と屑の半々だった。 家でダラダラしているとおもったらフラッと何日も家を開けて、フラッと帰ってくる。 その時には少なくないお金を入れてくれるので生活面では助かっていた。 しかしある日、義父は眠っている僕に襲い掛かってきた。 その時は混乱して分からなかったが義父は相当酔っていたようだ。 襲われた僕は当然抵抗し、義父の睾丸を蹴り上げ、怯んだ隙に逃げ出した。 その後は隣人に保護され、警察が呼ばれる事態になった。 そして母が帰ってくると僕を抱きしめる……ではなく、頬を叩かれた。 「あの人を誑かすなんて！」 理解できなかった。 理解したくなかった。 母が僕よりあの男を選んだ事を、 そうして僕は逃げるように駆け出した。 暫くしてから落ち着くと僕は公園のブランコに座り込み黄昏ていた。 「どうしたの？」 そうしていると隣からジャージ姿の男の子が話しかけてきた。 それが 疫病神 天之河光輝 との出会いだった。 その時の僕はアイツに事情を説明すると 「だったら、俺が君を守るよ」 と言い放った。 それからアイツはクラスメイトを巻き込んで義父や母を責め立てた。 騒ぎ立てるものだから母は怒り狂い、 父は、 「ここ迄か……」と呟くと母を殺した。 私は見た現実が信じられなかった。 「やっぱり深酒……いや、酒自体を止めるべきか？」 義父は頭を掻きながら母の血が付いたナイフを此方に向ける。 「全く、ここ迄騒いでくれちゃって……嫌、原因は俺なんだけどね」 私は現実を直視できないままへたり込む。 「大人しくしておけよ。 そうすれば苦しませずに殺してやるからな」 そして義父はナイフを僕に向けると同時に バン と誰もいない筈のドアが開いた 「えっ？」 「なっ？」 義父は振り向こうとしたが何かは義父が振り向くより速く仕掛ける。 コッ と軽快な音が立った。 ドサリっ！ そして義父は倒れ伏す。 見てみると義父の首はあり得ない方向に曲がっていて明らかに死んでいた。 僕は襲撃者を見る。 年の頃は僕と同じぐらい顔は人形のように整っているがザンバラに切られた髪が人形のようなイメージを打ち消している。 襲撃者は携帯を取り出し、 「俺です。 『蟲』の男の排除完了しました。 『業者』の手配をお願いします」 と、言葉短くに相手に伝えると、 義父の持っていたナイフを手に取り、 まるで虫を見るかのように僕を見ると、 「あれ？お前……一族の者か？」 襲撃者の目を見ると、 父や僕と同じ黒と白が反対になった目があった。 「……一族？」 「……？知らないのか？ 仕方ない……」 そう言って彼は先程とは違う携帯を取り出すと、 「あっ、爺ちゃん。 うん仕事は終わったよ。 それでさ、爺ちゃんに聞きたいんだけど中村って家に嫁いだ一族の人って居たっけ？ …………マジ？うん分かった。 じゃあホリスおじさんが来るまで待ってる」 そう言って彼は携帯を閉じると、 「悪いけど少し付き合ってもらうよ」 そして僕たちは後から来た大人達に連れて行かれ、 出会ったのが、 「えっ？お父さん？」 「いや、俺は呉ホリス。 君の父、呉ホリヤの兄だ」 父のお兄さんである。 呉ホリスさんであった。 それから義父と母は泥棒が入り殺された……と言う設定となった。 義父は兎も角として、母が死んでも涙も悲しみもなかった。 僕は壊れてしまったのだろうか？ 抱きっ 「ふぇっ？」 僕は抱きしめられる。 「ほれ、苦しい時に泣いとかないと後が辛いぞ。 胸ぐらいなら貸してやるからさ……」 「あ…あ……」 突如優しかった母との思い出が胸の中を駆け巡り、そして二度と優しい笑顔を見せてくれない事が悲しさが僕の心を染め上げていく。 「う、うわあああぁぁぁぁぁ！！！ぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁ！！！」 泣いた。 泣いた。 人生の中で一番泣いた。 気がつけば僕は泣き疲れて眠っていた。 彼に……刹羅抱きついたままで、 僕は恥ずかしさで顔を赤くする。 多分、それが僕の初恋だったんだと思う。 それから僕は叔父のホリスさんに引き取られ、忙しい叔父さんに代わって東京組の風水さんのところでお世話になった。 刹羅は基本地元の学校に通い、長期休暇になると遊びに来てくれる。 優しいなぁ。 天之河の薄っぺらい優しさとは大違いだよ。 けど、アイツの心は幼馴染の八重樫雫に向いてるんだよねぇ。 けど、良いさ。 偶に僕に構ってくれるだけでも、 愛人枠として君と一緒にいるからね刹羅。 天之河光輝サイド とある一軒家にて 「父さん！もうやめてくれ！」 何本目かのビール瓶を飲み干した父の身体を労って止めようとしたが、 「ウルセェ！！」 グラスを投げられ、それを受け止める。 「アレもこれも全部、お前のせいだろうが！！ クソがっ！」 そう言って父はビールをラッパ飲みし始めた。 どうしてみんな間違えるんだろうか？ 俺はあの卑怯者から雫を取り戻そうとしただけなのに、 「自分が何をやったのかわかっているのか？」 俺は正義を執行しただけなのに、 間違っていないのに、 それなのに誰も彼もが賞賛ではなく侮蔑と叱責を繰り返す。 「お前は間違っている」 俺は間違ってなんかいない！ 間違っているのはアイツらだ。 アイツが何かをやったから妹は心を病み、母と父は離婚してしまった！ 「祖父の名を汚してしまった」 汚された祖父の名は俺が注ぐ汚名挽回だ！ 先ずは雫を説得して目を覚まさせないと！ 愚者は気付かない。 己が間違っているだなんてこれぽっちも思っていないのだから……… オマケ 檜山サイド とある工事現場にて 「おーい大介！そろそろ飯にすっぞ！」 「ヘイ！親方！」 俺、檜山大介と友人三人は土建会社で働いていた。 何でこんな事になっているかと言うと、 始まりは天之河光輝の暴行事件だった。 イジメをする俺たちでも後ろから木刀で殴り掛かるなんてことはしない。 流石にこれは引いた。 これにより昔、俺たちが天之河を騙した暴行事件も発覚、未成年だった事もあり、罪にはならなかったが学校は晴れて退学、 それからは従兄弟の伸介さんのチーム愚乱帝悪に入って悪事を働いていたが…… 半年も経たない内にチームが解散となった。 まさか、あのワカメ男があそこ迄強かったなんて、 そしてチーム全員が真面目に働く事となり同時期に入った康夫と共に土建会社で頑張っていた。 とりあえず天之河は死ね！！.
次の
