お久しぶりです。 やっぱ飛行機嫌だわ。 12月って夏美や吉崎観音先生やケロロの誕生日があったりと豪華ですよね。 今日は休んでいた分の三本投稿します。 次は15:00ごろに投稿します。 リクエストにもできるだけ答えますのでよろしくお願いします。 アンケートにもお答えいただくと嬉しいです。 小説シリーズ一覧(「」を前に入れてください) ケロロ軍曹コミカルシリーズ series. php? php? php? php? php? php? php? php? php? php? php? php? php? イチゴ煮オレってうまいよね。 [newpage] [chapter:カルマ 備えあればうれしいな!] 三行でわかる前回までのあらすじ 警察に捕まったケロロ、のび太、御坂美琴。 たくさんのロボが攻めてきた。 お猿さんとフランが見ている前でロボを倒した。 【ケロロ視点】 ケロロ達三人は破壊された町を 後にしまた放浪の旅を続けていた。 ケロ「いやぁ、旅っていいよね。 」 のび「そうだね。 」 美琴「行く当てがあるならの話だけどね。 」 そんな三人を遠くから見ている人物がいた。 赤髪で高身長でイケメンな男だ。 ??「面白いもの見つけたぁ…」 ケロロ達が道なりに進んでいると目の前に机があった。 机の上には団子が置いてあった。 ケロ「団子でありますな。 」 のび「ちょうどお腹が減っていたんだ。 」 二人はその団子を口にいれた。 美琴「ちょっと、毒見とかしたほうが…」 しかし時すでに遅し。 二人の顔は明らかにやばい顔だ。 ケロ「こ…」 のび「こ、これは…」 ケロ「これは…わさびだ~~~~ッ!」 のび「辛い~~~ッ!」 二人は炎を吐きながら走り回っている。 ケロロとのび太は近くの川へ飛び込んだ。 美琴「大丈夫?」 ケロ「死ぬかと思った…」 のび「いったい誰がこんなことを…」 ??「ハハッ!」 ケロロ達の後ろから声が聞こえた。 三人が振り返ると赤髪の少年がいた。 美琴「あんたの仕業なの!」 ??「そうだよ。 だって面白そうじゃん。 」 ケロ「君の名は。 」 赤羽「俺の名前は赤羽カルマ。 よろしく。 」 お互い自己紹介し、話を聞くとカルマもここに飛ばされてきたらしい。 こっちも同じだというと一緒についてくることになった。 ケロ「じゃあ、よろしくであります。 」 赤羽「こちらこそ。 」 ケロロとカルマは握手をした。 」 ケロロの手に電気が奔った。 よく見るとカルマの手に何かあった。 どうやら触れると電気が奔るらしい。 美琴「ちょっとアンタ!ゲコ太になんてことすんのよ!」 赤羽「ごめんごめん。 反応が面白くてさ。 」 のび「大丈夫ですかケロロさん?」 ケロ「いや、慣れてるでありますよ。 」 美琴「ゲコ太に土下座しなさい!」 御坂美琴から電撃が放たれる。 赤羽「っ!おっと、これはすごいねぇ。 」 美琴「土下座しないなら真っ黒焦げにするわよ。 」 赤羽「いやだねぇ。 」 二人がだんだん険悪なムードになってきた。 それを見ているケロロとのび太は少し距離を置く。 美琴「軽く痺れさせるわよ!はぁ!」 御坂美琴から軽めの電撃が放たれる。 赤羽カルマは横っ飛びで電撃を避けた。 赤羽「もっと全力で来なよ。 俺を楽しませてくれよ。 」 美琴「言ってくれるじゃない…」 ケロ「御坂殿は強いでありますよ。 」 のび「やめておいたほうがいいですよ。 」 けろろとのび太の忠告を聞いたカルマは不敵に笑っている。 赤羽「強いからこそいいんじゃん。 」 美琴「そう。 なら!」 美琴の右手に電撃が集まっている。 それを思いっきり投げつけた。 電撃の槍だ。 赤羽「おっと!」 カルマは電撃の槍を横にそれて避けた。 美琴「なっ!」 赤羽「だから、本気で来いって。 それともそれが全力?」 美琴「私を怒らせることに関してはあいつと同じくらいね。 いいわ。 見せてあげるわ。 私の力を!」 御坂美琴は電気を使って砂鉄を巻きあげた。 そしてそれを自分の周りに漂わせている。 赤羽「電気で砂鉄を操っているのか… しかもカミソリみたいになっているのか。 触れたら一発ゲームオーバーか。 」 美琴「降参するなら今のうちよ。 」 赤羽「降参?何言ってんの?するならそっちだよ。 確かにその電気を使う能力はすごいけど もし俺がそれを突破できたらやばいんじゃないの?」 カルマは挑発を続けている。 それを見てけろろとのび太はさらに後ろに下がる。 美琴「…はぁ!」 美琴の周りの砂鉄がカルマに向かっていった。 カルマは砂鉄をうまく避けて美琴のそばまで走っていく。 美琴「避けられた!なら!」 美琴はギリギリまで引き寄せて 今度は左手から電撃を放つ。 美琴「(これなら!)」 カル「フフ!」 カルマはなんとスライディングで電撃を避け、 御坂美琴の目と鼻の先に来た。 美琴「ちぇいさー!」 カルマは美琴のキックも受け止める。 カル「どうだい?これなら…」 美琴「あっそ。 」 御坂美琴の体に電撃が奔った。 勿論、カルマにも電撃が流れた。 カル「くっ…体中から電気を出せるのか……」 そんな彼ら彼女らを見ている男がいた。 いったい誰なのか? 次の次のページに続く。 次のページはキャラ紹介。 性格はフランクで飄々としており、人を食ったような話し方をする。 計算高さもあって喧嘩はかなり強く、さらに凶器や騙し討ちの「基礎」に関してはE組の中でも群を抜いている。 暴力的で手が早い面があるが、根は善良で彼なりの正義観を持つ。 頭もキレるし努力もするので学力もトップ。 誕生日は12月25日。 身長は175cm、体重は60kg。 声優 岡本信彦(一方通行など) 好きな物 煮オレシリーズ 好きな人 奥田愛美 嫌いな物 国語 苦手な人 特にいない 名言(迷言) ケンカしても大丈夫というセリフ。 「旅先のケンカはちゃんと目撃者の口も封じるし表沙汰にはならないよ。 」 [newpage] [chapter:続き] 美琴「さあ、どうする?まだやるの?」 カル「やめないよ。 だって面白いし。 」 ケロ「吾輩達、空気であります。 」 のび「うん。 」 そんなところに何かが転がってきた。 どうやらスタングレネードだったらしい。 ケロ「危ないとこだった。 とっさに伏せて助かったであります。 」 のび「目が目が~~~ッ!」 美琴「しまった…」 赤羽「危なかった…何とか間に合った……」 ??「チッ、二人仕留めそこなったか…」 謎の男が四人の前に姿を現した。 黒いコートに身を包んでいて素顔は仮面でよく見えない。 ケロ「誰でありますか!名を名乗れい!」 アト「俺の名前はアトラマ。 貴様らを殺しに来た殺し屋だ。 」 確かに腰にはナイフがありいかにも殺し屋って感じだ。 赤羽「おじさん、俺と御坂のバトルを 邪魔して、ただで済むと思ってんの?」 アト「問題はない。 ここでお前らが死ぬんだからな。 」 アトラマはのび太にナイフを投げつけた。 赤羽「やばっ!」 美琴「くっ!」 御坂美琴の電撃がナイフを弾いた。 アト「何?目は見えないはずだが…」 美琴「残念だったわね…あたしは電磁波をレーダー代わりにして 視覚や聴覚が潰されても空間把握ができるのよ。 」 おしえてくぬどん! くぬ「やあ、みんな!椚ヶ丘中学校のマスコットくぬどんだよ!」 子供「くぬどーん!」 くぬ「今回説明するのは御坂美琴の電磁波についてだよ。 御坂美琴は常に電磁波を周囲に発しまっているんだ。 おかげで動物には避けられるけどその反射波を利用して レーダーのように周囲の物体を感知し死角からの攻撃などを防げれるんだ。 」 子供「へ~すごいやぁ~。 」 くぬ「動物に嫌われてかわいそうにな!ハッハッハ!」 アト「なるほど…解説ご苦労。 」 アトラマは手榴弾をくぬどんに突っ込んだ。 そして爆発。 くぬどんは空の彼方へふっ飛ばした。 ケロ「殺し屋だかおろし屋だか知らないでありますが 吾輩達の敵ってことなら倒すだけであります!」 ケロロは敵に突進していった。 アト「遅い!」 アトラマはケロロの突進を かわして手榴弾を投げつけた。 赤羽「ふ~ん。 おじさん弱いね」 アト「何?」 赤羽「そんな弱い蛙に手榴弾使うなんて。 武器使わないと実際は弱いんじゃないの?」 アト「言ってくれるじゃないか。 では、お前から始末してやる。 」 アトラマはカルマに向かっていった。 右手には隠していたナイフを持っている。 アトラマはナイフでカルマを攻撃しまくる。 だが、すべて避けるかさばいている。 アト「くっ…こいつ。 」 赤羽「ちょろいね。 」 カルマの蹴りがアトラマのナイフを蹴り飛ばした。 ナイフは近くの木に刺さった。 赤羽「終わりだ!」 カルマは飛び上がってかかと落としを決めた。 アトラマは気絶した。 気絶したアトラマをガムテープで木に縛り付けた。 赤羽「備えあればうれしいな。 」 カルマは袋からデスソースを取り出した。 そして、デスソースをアトラマの仮面の口の部分に突っ込んだ。 アト「えsbふえsgfchvwcw」 アトラマはあまりの辛さに火を噴いてまた気絶した。 こうして危機は去った。 ケロ「ふぅ…カルマ殿がいて助かったでありますな。 」 のび「そうですね。 」 美琴「まあ、そうね。 」 赤羽「仲直りってことで握手。 」 カルマと美琴は握手した。 だが電撃使いの美琴には効かなかったようだ。 美琴「…覚悟はいい?」 赤羽「ハハッ…やべ。 」 その後、電撃をくらうカルマだった。 続く! [newpage] [chapter:次回予告] ケロ「ふわぁ~眠い…」 のび「寝よう。 」 美琴「寝て大丈夫かしら?」 元の世界に戻るため旅を続けるケロロ、のび太、御坂美琴。 そして、新たに加わった赤羽カルマ。 眠くなった四人は寝ることにするが危機が迫る。 一体どうなるのか!? 次回「のび太 昼寝ほど楽しいものはないよね!」 のび「次回もよろしく!」 [newpage] どうだったでしょうか? アトラマというのオリジナルキャラです。 ちなみにケロロ軍曹戦記にも登場します。 評価やブクマ、コメントをくれると嬉しいです。 アンケートにもご協力お願いします!.
次の散歩から帰って部屋に顔を出してみたけど、誰もいなかった。 あれ? なんでだろう? もう帰っててもいい頃なのに……仕方ない。 とりあえずアイリスさんの店に行っとこう。 あ、でもその前にみんなに声かけとくか。 「そうなんですか。 分かりました。 もしもすれ違って先に2人が帰ってきたら伝えておきますね。 」 「頼む。 」 一応ルリエに伝えられたから安心して行けるな。 そうして再びアイリスさんの店の前に来たわけだが……なんか、聞こえてくるんだけど。 レントの攻略法とか、レントの好みとかそんなの。 どうやらセフィア達のお眼鏡に叶ったようで、勧誘するつもりらしい。 どうしよう? 入るべきか、入らぬべきか…… そんなふうに葛藤してたらドアが開かれる。 そこにいたのはリリン。 気配察知か…… 「どうしたの?」 「いや、2人が宿に居なかったから探しに来たんだ。 」 「ん。 ありがと。 」 店の中に入っていくとアイリスさんが慌てて作業をしようとしてる。 攻略法とかいってたし真面目にした方がいいとか言われたのかな。 真面目に仕事してる姿はカッコいいんだろうけど……時々チラチラとこっちを見るので台無しだ。 「セフィア。 そろそろ帰るぞ。 」 「あ、うん。 分かった。 」 「ちょっ、無視っすか!?」 「いや、仕事をしてるのに邪魔しちゃ悪いし。 」 「やめた! 今やめたっす! だから何かお話しようっす!」 「残念。 これから買い物なんで無理です。 」 「なっ!? じ、じゃあ、自分も行くっす!」 「いや、店空けちゃダメでしょ。 」 「ぐっ!」 「というわけなんで、それじゃ。 」 セフィアとリリンを連れて店を出る。 買い物とは言ったけど別にそんな予定はない。 まあ、そろそろ食料の補充とかしときたいしね。 いつアデラードさんが「それじゃ、これからダンジョンに行ってみよう! 大丈夫。 十階層くらい余裕余裕!」とか言い出さないとも限らないし、備えられるときに備えとかないと。 備えあれば嬉しいなってね。 「ねぇ、なんで突然買い物なんて言ったの?」 「まあ、ちょっとからかおうかと思ってね。 どうせセフィア達がアイリスさんに何か言ったんでしょ。 だったらこっちはどう動くか楽しませてもらおうかなって。 からかったらどうなるかなってさ。 」 「タメ口もそれが理由?」 「まあね。 」 アイリスさんはあんな口調だから気軽に接する事ができるんだよね。 親しい女友達みたいな感じ? 好意については知ってるけど、そのまま好きでいるのも諦めるのもアイリスさんの自由って事で。 こっちの心が動けばそのまま受け入れるし。 ………やっぱり、傲慢だな。 でも、嫁さんがいるからやたらめったら手を出すのは良くない。 そんなことしてたら直ぐに愛想尽かされる。 俺は日々を楽しく幸せに過ごしたい。 その為にはセフィア達が不可欠。 だから、自分からは絶対に動かない。 「それで、買い物はどうするの? もう帰る?」 「え、ああ。 するよ。 アデラードさんがいきなり、に今からダンジョンに潜るよ!」とか言うかもしれないから備えとくに越したことはないかなって。 」 「……確かに言いそうだね。 」 「ん。 」 「だろ?」 セフィアとリリンも納得したところで買い物をする。 野菜を中心に香辛料なんかも買っていく。 肉類は沢山あるからね。 通常依頼でイノシシやらクマさんやら狩ることも結構あるからお肉が溜まっているのだ。 「あ、魚だ。 しかも干し魚じゃない。 」 「本当だ。 珍しいな。 」 「だよね? よし、買っちゃおう。 すいませーん。 こっちのとこれ、後これも下さい。 」 「はいよ! 嬢ちゃんは別嬪だから特別におまけしちゃおう。 」 「いいんですか? ありがとうございます。 」 セフィアが可愛いからおまけしてもらった。 ラッキー。 その後も買い物を楽しみ、途中でルナとユキノと合流してから宿に帰った。
次の夜の街は明るい。 まるで昼間と勘違いしてしまいそうになるほどに、光で溢れかえっている。 空を見上げれば1つ1つの雲がくっきりと見え、月明かりがなくとも足元はしっかりと見えている。 もう時計は深夜を訴えているのに、人の往来だって途切れることがない。 夜の街は明るい。 だが、その明るさを避けるようにして1人の男が裏路地を歩いていた。 隣の通りへ出れば明るい街が広がっているというのに、彼はそれを嫌うように暗く汚く狭い、そんなビルとビルの間を縫うように進んでいく。 こつこつと響く靴音に合わせて、ポケットの中の小銭がちゃらちゃらと音を立てる。 口元には灯。 くゆる煙を後ろに流しながら、冬でもないのに吐く息は白く濁っていた。 「よう、待ったか少年」 「待ってませんが。 少年はやめてください、ヤクモさん」 何度目かの曲がり角で、彼、ヤクモ・ナナミは待ち人と出会う。 真っ白なスーツに緑の長髪。 優男然とした見た目に反し、青い瞳の中には油断がない。 管理局本部に所属する査察官、ヴェロッサ・アコースがそこに立っていた。 辟易とした表情で首を振る彼に、ヤクモは失笑とともに煙を吐いて見せる。 「煙草なんて吸ってましたっけ?」 「最近、なにかとストレスが多くてなあ。 追跡者がエキサイトしてるからなんだけど……まあ、なんだ。 お前、よく無事だったな」 「追跡者……なるほど、あまり思い出したくないですね。 あれは。 自分でもよく生きてたなとは思います」 嫌なことを思い出して、ヴェロッサの表情が歪む。 少し前、2人が会ったときの闖入者を思い出しているのだろう。 ヤクモとしてもあれはイレギュラーだったし、なによりあそこまでの強硬手段に出られたこと自体が予想もできなかったのだが。 「もうちょっと冷静なやつだと思ってたんだけどなあ。 まあいいや。 それよりも、頼んでたことはどんな感じだ?」 「今、日程を調整してますけど。 今度はなにを企んでるんです? ことと場合によっては、僕も被害を受けるわけですけど」 「暴力シスターの折檻なんて慣れたもんだろ」 「自分は受けないからって気楽に言って……」 聞こえないとでも言うかのように、ヤクモは煙を空に吐いた。 明るく照らし出された空に昇るよりも早く、白の塊は霧散して消えてしまう。 「まあ、どうせこっちだって顔だしたら一発ぶん殴られるだろうからな……うん、なんか対策考えとかないとやばいかもしれん」 「やばいどころか、間違いなく引導を渡されますよ。 世界平和のためとか言われながら」 ありそうで困るから、2人そろって言葉を失う。 ついでに暴力シスターの元締めはなにも言わず、ただにこやかに眺めているだけだろう。 心の中では、こっそり再起不能にならないかなとか思いながら。 そういう風景が簡単に予想できてしまったヤクモは、自分でもわかるくらい頬の筋肉が引き攣らせる ちょっと話がしたいだけでこれなのだから、泣いてもいいじゃないかとすら思えてくるほどだ。 「予測可能回避不可能とはこのことか。 めっちゃ逃げてぇ。 もう全部放り出してしばらく引き籠りてぇ」 「それでも、会うんでしょう? なにやら、入れ込んでいる少女がいるって話ですけど。 え、ロリコン?」 「ははは、てめえ言うようになったな頭吹っ飛ばすぞ」 わあ怖いと、軽い足取りでヴェロッサが数歩さがる。 そのおちゃらけた姿は、スラム街を走り回っていたころからずいぶん変わった。 たまたま見つけた古代ベルカ系のレアスキル持ち。 それを渡りに聖王教会へコネを作って、気づけばずいぶんと長い付き合いになる。 やっていることは下種以下の何者でもないが、それを重々承知した上でヤクモは肩をすくめてみせた。 適度な距離感を保てているとは思う。 これは、お互いにお互いを利用しているのだと。 最初にヤクモはヴェロッサの環境を改善した。 その見返りとして、コネを手に入れた。 そしてヤクモはヴェロッサに少しばかりの処世術を教えた。 代わりに情報をいくらか貰った。 いつしか地位を手に入れた彼は、今やヤクモにとって重要なパイプの1つである。 「ああ、さもしい大人になっちまったなあ」 「僕と初めて会った段階で、十分にさもしかった気がしますけど?」 痛い指摘に表情を歪めながら、ヤクモが灯を消す。 再び闇に落ちた路地裏に、もう彼の姿はない。 残ったのは白いスーツの影のみだ。 都合が悪くなると、すぐ逃げるよね。 なんて首を振りながら、ヴェロッサも暗い路地を後にする。 というのも、少し前までは気にならなかった追跡能力に磨きがかかってきているからだ。 よし、そろそろあの仕掛けの準備でもしようかな。 からの「みぃつけたぁ!」が鉄板になりつつある。 この精度でストーカーされると、ホント洒落にならない。 なんだあれ、ジェイソンも裸足で逃げだすぞ。 「ということで、頼みがあるんだけど」 『無理だ』 それはそれは鬱陶しそうな表情で、グレアムおじちゃんに拒否られてしまった。 大量の書類整理で苛立っているからか、空間モニター越しにため息までついている始末だ。 なんとなく、画面外から発情期の猫みたいな声も聞こえるが。 まあ、そこはいいだろう。 『君のおかげで、こちらは大忙しだ。 まあ、自業自得であるとも言えるのだがね』 「そうだゾ!」 なんて適当にいったら、画面が切り替わってぐりとぐらのどっちかわからない方が割り込んできた。 ん? なんか名前が違ったような……とりあえず音声をミュートにしておく。 こちとら運転中なので、あまり騒がれると爆音流して走る迷惑車両扱いされかねない。 俺ったら恥ずかしがりやさんだから、そんなの耐えられない! 『聞いてんのかいあんたは!!』 「聞いてるわけないだルルォ?」 今です! とばかりに音量を戻せば、ドンピシャで怒られたので音速で煽り返す。 なんか、今にも歯を噛み砕きそうなぐらい食いしばってるけど、カルシウム足りてるんだろうか、コレガワカラナイ。 「まぁまぁそう言うなって。 はやてからの小さな復讐なんて、立派な大人にしてみれば軽いもんだろ?」 『……彼女の罰はかまわない。 甘んじて受けよう。 だが、ここにある書類の半分は君の仕業なんだがどうかな?』 「細かいこと気にしてると、血圧上がっちゃうよ?」 『上げている本人に言われると、なおのこと腹が立つんだがなあ』 眼鏡を外して、目頭をもみもみ。 天下のグレアム提督も、流石に疲労がたまっているようだ。 とはいえ、闇の書事件未遂から1年と少し。 そろそろアースラもグラナガンに帰港するころだろう。 その前に楔っぽいものをあっちこっちに打ち込まないといけないわけだから、もうちょっと無理してほしい。 1週間くらい眠れなくなる栄養ドリンクを送っとけばいいだろうか。 『今度はなにをするつもりかね』 「いやちょっと聖王協会に用事があるんだけどね? ほら、前に言ったストーカーをしばらく引きつけといて欲しいっていうか。 そっちの使い魔に俺の恰好で逃げ回ってもらいたくて?」 『嫌に決まってんでしょうが! さっさと自滅しろ犯罪者!!』 「あーぁ、はやての地盤のためには必要なことなのになあ。 ロストロギア認定されてる闇の書をどうにかしないと、管理局に入局したとき、あいつは苦労するんだろうなあ。 それなのに手を貸してくれないとか、グレアムおじちゃんってば心がせまーい」 とか言ってみたりしたら、耐えきれなくなったぐりとぐらの活発な方がサンドバックみたいなのを画面の端で強打しはじめた。 ずっとそこにあったのか、もしくは魔法で生成したのか。 どっちにしても、アグレッシブなストレス発散方法だなあと思う。 ほら見ろ、相方が死んだような目でため息ついてるぞ。 『……わかった。 時間はどれくらい稼げばいいんだ』 「夕方ぐらいまでよろしくお願いさしすせそ。 指定エリア送っとくからあくしろよ?」 『君はときどき不思議な言語で喋り始めるから、すごく理解に苦しむんだがね……』 アッハイ。 はやてだったらどう返してきてただろう。 1年も離れてると、流石に寂しくなってきた。 あの打てば響くっていうか、むしろ殴り倒されそうな勢いの返しが欲しい! ……はて、前にも似たようなこと言ってなかったかな俺。 そんなとことを思いながら、空間モニターを消して車を走らせる。 ベルカ自治区はもう目の前。 たどりつくまでに、自分の性癖に対する疑問とか解消できる気がしない。 やめよう。 きっと考えすぎると沼に引きずり込まれるわ、この発想。
次の