全ての薬の服用に関して共通することは幼児、子供、老人、妊娠中の婦人、授乳中の婦人、衰弱した人、他に病気、ことに肝臓や腎臓に強い障害をもつ人の場合には、重い薬物中毒、薬物併用の害がとりわけ起こりやすいことです。 薬物は肝臓で代謝されたあと、胆汁を経て便に出されるか、腎臓を通して尿中に排泄されるので、強い肝臓、腎臓障害をもつ病人では、薬物の代謝、排泄が障害され、血中に貯まりやすく、薬物作用が増強されるわけです。 同じ意味から、肝臓や腎臓に負担や障害を与える性質の薬物、またはそれらの機能に同調ないし拮抗し合う性質の薬物の併用では、薬の効果が予測を外れたものになる危険性があります。 幼児、子供、老人、衰弱した人は免疫力に乏しく、薬物中毒に対する順応力、抵抗力が劣り、妊娠中の婦人では、薬物の害は、母親と特に胎児に及びやすいし、授乳中の婦人では、乳汁中に分泌排泄される薬物の場合は、乳児に障害を及ぼす可能性があります。 これらのことは、薬物療法では基本的な常識ですので、このサイトでは、薬の一つ一つについて、必ずしも挙げられていませんが、この共通の基本的ルールを、いつも心にとめておき、正しく服用して下さい。 Q01 Q02 Q03 Q04 Q05 Q06 Q07 Q08 Q09 Q10 Q11 Q12 Q13 Q14 Q 01 薬の正しい飲み方は? A 薬は水で飲むのが原則です。 粉薬は水と一緒に、錠剤・カプセルはかまずにそのまま、水とともに飲み込みます。 お茶で飲んでも大抵の場合はかまいませんが、濃い緑茶と一緒に服用すると、吸収が悪くなることがあるので、避けて下さい。 また、ジュースなどで飲むこともかまいませんが、中には影響を受ける薬もありますので、できることなら避けましょう。 よく水なしで薬が飲めると自慢する人がいますが、これは誤りで、薬が溶けて効果をあらわすためには、適切な量の水が必要なのです。 また、カプセルは水なしで飲むと食道にくっついて薬がとけ出し、食道の粘膜をいためることがありますので、くれぐれも注意して下さい。 お年寄りの場合は、粉の薬は飲みにくいので、オブラートに包んで服用することがありますが、それもよく水にしめさないとのどにひっかかり、かえって危険ですから注意して下さい。 まれに、お年寄りで、包装材の銀紙のまま飲み込んでしまって、包装材が食道に刺さり、大変なことになることもありますので、お年寄りにはくれぐれも注意してあげて下さい。 Q 02 薬はいつ飲んだらよいでしょう? A 大部分の薬は、食後約30分の服用でいいのですが、経口糖尿病薬や消化性潰瘍治療薬のように、薬によって服用時刻が指定されるものがありますので、指示をよく確かめて服用して下さい。 一般に服薬については食前、食間では胃が空になっているので薬物の吸収がよく、作用もあらわれやすいです。 これに対して食事中、食事の直後では、作用のあらわれ方は遅くなります。 それは、胃に停滞し胃を通過する時間が長く、小腸からの薬の吸収が遅れ、作用が長く続くからです。 反面、胃が空になっていると、アスピリンなどの鎮痛解熱薬のように、胃粘膜の防御作用を弱めたり、粘膜刺激作用のある薬では、胃障害の副作用が出やすいので、むしろ食直後か食後の方がよいのです。 一般には薬の服用は食前がよいでしょう。 また、1日3回服用ということですと、食事を1日2回しかしなかった人は、1回は食事をしなくて服用したことになります。 それで一般にはよいですが、ただ経口糖尿病薬のように、食事そのものが薬の作用に著しく影響するものでは、必ず食事をして下さい。 食事をしないときには、薬は飲まないか、減らす方が安全です。 A 薬には一定期間飲めばやめていいものと、長い期間服用を続ける必要のあるものがあります。 化学療法薬などは感染症の間だけ服用すればよいし、それをすぎてからあまり長い間続けていると、かえって害があります。 それに対し、ホルモン薬などのように生涯にわたって飲み続ける必要がある場合があります。 高血圧や痛風、糖尿病の薬も生涯にわたって続ける場合が多いものです。 血圧や血清尿酸値、血糖値が下がったからといってやめてしまうと、再び上がってしまって危険なことがありますので、薬を減らすにしても、やめるにしても、医師の指示、指導の上でして下さい。 Q 04 薬用量とは? A 薬には治療量というものがあり、薬一つ一つについて、一日に用いる薬用量の基準が年齢、性別によって決められており、子供では体重別によっても決められています。 一般に、青年を中心として決められていて、一部の薬を除いては、未成熟な子供、機能の衰えている老人になるにしたがって少なくてよいのです。 しかし、薬によってはあまり差のないものもありますし、同じ年齢、性の人でも、身体の状況で増減されることがしばしばあります。 たとえば、アレルギーの人ではごく少量でも使えませんし、また、ごく限られた場合ですが、医師の責任において、中毒量に近い大量が処方されることさえあります。 また一般に、劇薬は作用が強く、治療量と中毒量の幅が接近していますので、うっかり飲みすぎると中毒を起こします。 この点は処方する時、医師があらかじめ注意していることです。 注意すべきことは同じ薬の錠剤、カプセル剤でも、1個中に含まれる薬の量がちがっていることが多いことです。 子供用は少なく、大人用はそれより多くなっています。 ですから、ただ何錠、何個といっても、薬の量が必ずしも同じというわけではないことも知っておいて下さい。 大切なのは、症状によって必要とする薬用量は変えられるものですから、医師の指示に従って服用することです。 素人判断には危険を伴います。 服用量について疑問があったら、主治医及び主担当医に話して下さい。 Q 05 薬を飲み忘れたときはどうしたらよいでしょうか? A たいていの薬では、3回のうち1回くらい飲み忘れても、あまり問題はありませんし、忘れたからといって、忘れた分と2回分一緒に飲んでしまっても大きな問題は起こりませんが、中にはそのことが大変に影響し、治療に支障のある薬もありますので注意して下さい。 次に、飲み忘れが特に重要な意味をもつものの例をあげておきましょう。 これらの薬は、とりわけ指示通りにきちんと服用するようにして下さい。 ことに寝る前などにまとめて飲みますと、夜間から夜明けにかけて著しい低血糖症を起こしかねません。 したがって、飲み忘れると、その間血液中の薬の濃度がおちて、効きめが悪くなりますので、もし飲み忘れたら、忘れた分をすぐ飲み、残りは短い時間間隔でよいから、1日の量を飲んでしまう方がよいのです。 Q 06 薬の飲み合わせで注意することは? (他の診療科医師からも薬をもらっている時など) A 2種類以上の薬が重なると、互いに作用しあって影響することがあり、ある場合には作用が強くなったり、ある場合には弱くなったり、ある場合には有毒な化合物を形成することすらあります。 薬物の相互作用、いわゆる飲み合わせです。 今日では1人の医師からでも複数の薬をもらうことが多いので、その機会は増えていますので用心が必要です。 それらのことについては、1人の医師から薬をもらっている場合には、その医師がそれらの点を考慮して処方していますからまだよいですが、他の科、あるいは他の診療機関からも処方せんをもらって薬を飲んでいる場合には、飲み過ぎ、飲み合わせが問題になることがあります。 そのためにも、出来る限り現在服用中の薬の名前をよく医師に伝えたり、薬を見せて確認してもらうことが望ましいのです。 2カ所、3カ所から同じ系統の薬をもらっていたりすると過量になりますし、またある医師からもらった薬の作用が、他からもらった薬のために抑えられてしまったのでは、治療にさしつかえかねません。 薬の相互作用については、その組合せの例、条件は多彩であり、それぞれに相互作用のしくみがありますから、その判断は医師に依頼することがよいと思います。 それには、診察を受ける時には、現在の服用薬をよく伝えて、医師の判断を助けることが大切です。 Q 07 医師からもらった薬を、他の人にゆずってもよいでしょうか? A 「この薬を家族に飲ませてよいでしょうか?」という質問をよく受けますが、原則的にはこれはよくないことですからやめて下さい。 前の時と同じ症状だと思っても、素人判断は禁物です。 このように処方された薬というものは、使う人についても、時についても、非常に限定されたものですから、誰にでも通用するものではないのです。 特に抗生物質とか消炎鎮痛解熱薬などに対しては、過敏症の人がいますので、どんな事故が起こるかわかりません。 医師からもらった薬の他人への利用は禁物です。 しまっておいた薬の再利用も避けましょう。 例えば、ある種の抗生物質では古くなると変質して、重篤な肝障害を起こしたということがありました。 薬には「もったいない」は禁句です。 Q 08 急に中止すると危険な薬は何ですか? A 薬によっては、決められたとおりに服用を続けないと、効果の出ないものがあり、続けているから効果が続いているというものがあります。 ホルモン薬などはことにそうです。 また、血圧の薬のように、勝手に薬を飲むのをやめてしまうと、危険なことが起こりかねない薬もあります。 次にその代表的なものをあげてみましょう。 血圧が下がっているのは、降下薬を飲んでいるからのことですから、薬を減らしたり、やめたい時には、必ず医師の指導のもとに徐々に減らしてゆくようにして下さい。 そのような状態で、急にステロイド薬の服用をやめてしまうと、ホルモンの欠乏症に陥ります。 このような状態のところに、もし重い感染症とか手術、外傷、事故などが加わるとショックに陥りかねません。 したがって、副腎皮質ステロイド薬は、ことに勝手に飲み方を変えないで、医師の指導に従って服用して下さい。 一方ステロイド薬は、膠原病には欠かせないし、極めて大量を飲まないと生命が危険となるような事態すらあります。 このような時にステロイドの副作用をおそれて、自分の判断で減らしたり中止してしまったりしては、それこそ危険千万です。 てんかんの薬なども、落ちついているとやめたくなりますが、それは大変危険です。 薬でてんかん発作が抑えられているのですから、やめれば早晩てんかん発作を起こす危険があります。 Q 09 薬は酒と一緒に飲んでもよいでしょうか? A 酒で薬を飲む人はいないでしょうが、薬を飲んだあと酒を飲んだり、酒を飲んでいる時に服薬の時間になって、酒と薬を一緒に飲んでよいか迷うことはよくあるでしょう。 一般に、酒は血液循環をよくするので酒を飲んだ時には、薬の作用は速く、強くあらわれます。 酒と同じように大脳の機能を抑制する作用をもつ鎮痛薬、催眠薬、精神安定薬を酒と一緒に飲むと、その効果が重なりあって、作用が強く出すぎることがあり、脳の中枢が強く抑制されて、ベロベロになってしまうことがよくあります。 くれぐれも酒類と一緒に飲むようなことのないように注意して下さい。 薬を飲まなければならないようなときは、むしろお酒の量を減らすか、飲まないようにすべきなのです。 Q 10 妊婦、授乳婦は薬を飲んでもよいでしょうか? A 一般に、妊婦は薬の影響を受けやすいものです。 それは薬物の作用が妊婦と同時に、胎児にも影響することを意味します。 市場に売り出されている薬でも、妊婦や胎児に対する安全性については確かめられていないものが少なくないので注意して下さい。 したがって、妊婦に薬を用いる場合は、慎重でなければなりません。 医師は十分認識した上で処方しています。 ですから、原則的には妊婦の場合、薬はとりわけ医師の指示通り服用することが大切で、やたらにこわがって素人判断でやめてしまうことも望ましくありません。 授乳中の婦人については、飲んでよい薬と、制限すべき薬とがあります。 乳汁中にたくさん分泌されてくるような薬物は、当然乳児にも影響を与える可能性がありますから、服用を制限する必要があります。 しかし、その点は主治医が心得ているはずです。 もし、服用について不安を感じたら、主治医に説明を求めて下さい。 Q 11 飲むと便や尿の色が変わる薬はなんでしょうか? A 薬によっては体内に吸収され、代謝された産物が色のついたものとして排泄され、尿や便の色を変えることがあります。 尿の色調に変化を来たす薬にはいろいろなものがありますが、次に代表的なものをあげておきます。 ビタミンB2薬………………黄色~緑色 センナ(下剤)………………橙色~褐色 レボドパ(パーキンソン治療剤)…黒色 鉄 剤…………………………………黒色 Q 12 薬の保管と管理で注意することはありますか? A 薬をもらったら何の薬か、何時の薬か、わかるようにして袋に正しく入れて、箱(カン)とか引き出しの中に保管して下さい。 また、湿気が多いところや、直接日光があたるところ、高温になるところは避けて保管して下さい。 子供のいる家庭では、子供の手の届かない、目につきにくい場所に保管するようにします。 したがって、一般の薬については病気がなおったあと、何年もした薬は捨てたほうがよいでしょう。 薬の中には、抗生物質などのように、効力のある期間(有効期間という)が限定されているものや、ビタミンとか酵素などのように、変質しやすい性質の薬が少なくないのです。 つまり、大切にしまっておいても品質が変わらないという保証はありません。 Q 13 薬のかたちと服用方法のちがいについて A 薬はその性質と病気の治療の両面から、取り扱いやすい形に造られています。 また、患者にとって飲みやすく、扱いやすいことも必要です。 これらの点を考慮して、いろいろな剤形が工夫されています。 飲みにくいという人もありますが、水薬を除いて他の内服薬より吸収されやすいものです。 そのままでは飲みづらいという人は、オブラートに包んで、水とともに飲むようにします。 また、少量の水に溶かしたり、子供の場合はハチミツで練るなどして服用するとよいでしょう。 水でかまずに服用します。 舌下錠:これは舌の下、または頬と歯ぐきの間にふくんで、口の中の粘膜から薬を徐々に吸収させるものです。 こうすると、薬の効きめが速くあらわれます。 これを飲み下してしまいますと、作用があらわれるのが遅くなるばかりか、胃でこわされて、作用が弱くなります。 狭心症の発作時に用いるニトログリセリンの舌下錠は、その代表的なものです。 においが強かったり、味が悪い薬を飲みやすくするためのものです。 ゼラチンでできていますので、外部のカプセルが胃の中で溶けて、中の薬が溶出されます。 かまずに、また、中の薬を出したりしないで、水で飲み下します。 胃には影響せず、腸の中に入ってから薬が溶けて作用するとか、吸収されてから効きはじめるので、効きめは遅いですが、長く続きます。 そのため、服薬の回数は1日1~2回と、普通の薬より少なくてすみます。 鉄剤、消炎鎮痛解熱薬、冠循環改善薬、降圧薬などにこのような工夫がなされたものが多くあります。 作用のしくみは、挿入された場所で体温や分泌液で基剤がくずれ、その中に含まれた薬物が溶け出し、粘膜から吸収されて、効果をあらわすものです。 ここでいう坐剤は肛門坐剤のことで、坐剤には膣に挿入するものもあります。 坐剤には、円錐形、紡錘型などの形があり、大きさは日本人用には1~2g程度で、大人用、子供用があります。 なお、冷暗所に保存して下さい。 長所: 1)坐剤として用いることによって、内服のときの胃刺激の副作用を軽くすることができます。 ことに刺激性であったり、嫌な臭いのある薬剤も使うことができますし、吸収されてからの薬の副作用も、内服のときより軽くてすみます。 2)作用が内服より速くあらわれて、注射より長く持続します。 3)吐き気があったり、意識障害があったり、患者に理解がなくても用いることができます。 短所: 1)挿入部の違和感があります。 これは慣れるより仕方ありません。 2)挿入局所の刺激作用として灼熱感、下痢のあることがあります。 3)下着を汚すことがあります。 この点は最近改善されてきています。 4)挿入するのに多少の慣れ、あるいは他人の介助を必要とします。 5)体内に吸収されて効くものですから、その副作用は、内服より軽いとはいっても、本質的には内服同様の副作用があります。 薬を鼻腔や肺の粘膜から吸入させるためです。 これも胃腸での刺激作用、破壊作用を避ける目的で作られたものです。 Q 14 大衆薬と医療用医薬品は、どうちがうのでしょうか? A 大衆薬というのは、薬局・薬店でだれもが買える薬のことで、一般用医薬品ともいいます。 製薬に対して、成分などについての厳しい規制があって、比較的安全性が高いのです。 つまり、特に医師の処方せんを通さずに服用しても、危険性が少ないとされるものです。 大衆薬はこのように、比較的安全であるかわりに、作用の力は弱いのが普通です。 しかし、過敏症の人や、衰弱の著しい人では、必ずしも安全とはいえませんので、薬局でよく相談して下さい。 また、あまり大衆薬に頼りすぎて、手遅れにならないように注意することも大切です。 一方、医療用医薬品というのは、医師の処方せんにより出される薬のことです。 薬をもらうのにやや面倒ですが、医師の診断に基づいて、薬の選択、用量、服用方法などが選定されているので、一般用医薬品に比べ、効きめも副作用も強い。 それだけに薬を的確に効かせ、副作用を少なくするためには、医師の指示を守り、きちんと服用することが大切です。
次の全ての薬の服用に関して共通することは幼児、子供、老人、妊娠中の婦人、授乳中の婦人、衰弱した人、他に病気、ことに肝臓や腎臓に強い障害をもつ人の場合には、重い薬物中毒、薬物併用の害がとりわけ起こりやすいことです。 薬物は肝臓で代謝されたあと、胆汁を経て便に出されるか、腎臓を通して尿中に排泄されるので、強い肝臓、腎臓障害をもつ病人では、薬物の代謝、排泄が障害され、血中に貯まりやすく、薬物作用が増強されるわけです。 同じ意味から、肝臓や腎臓に負担や障害を与える性質の薬物、またはそれらの機能に同調ないし拮抗し合う性質の薬物の併用では、薬の効果が予測を外れたものになる危険性があります。 幼児、子供、老人、衰弱した人は免疫力に乏しく、薬物中毒に対する順応力、抵抗力が劣り、妊娠中の婦人では、薬物の害は、母親と特に胎児に及びやすいし、授乳中の婦人では、乳汁中に分泌排泄される薬物の場合は、乳児に障害を及ぼす可能性があります。 これらのことは、薬物療法では基本的な常識ですので、このサイトでは、薬の一つ一つについて、必ずしも挙げられていませんが、この共通の基本的ルールを、いつも心にとめておき、正しく服用して下さい。 Q01 Q02 Q03 Q04 Q05 Q06 Q07 Q08 Q09 Q10 Q11 Q12 Q13 Q14 Q 01 薬の正しい飲み方は? A 薬は水で飲むのが原則です。 粉薬は水と一緒に、錠剤・カプセルはかまずにそのまま、水とともに飲み込みます。 お茶で飲んでも大抵の場合はかまいませんが、濃い緑茶と一緒に服用すると、吸収が悪くなることがあるので、避けて下さい。 また、ジュースなどで飲むこともかまいませんが、中には影響を受ける薬もありますので、できることなら避けましょう。 よく水なしで薬が飲めると自慢する人がいますが、これは誤りで、薬が溶けて効果をあらわすためには、適切な量の水が必要なのです。 また、カプセルは水なしで飲むと食道にくっついて薬がとけ出し、食道の粘膜をいためることがありますので、くれぐれも注意して下さい。 お年寄りの場合は、粉の薬は飲みにくいので、オブラートに包んで服用することがありますが、それもよく水にしめさないとのどにひっかかり、かえって危険ですから注意して下さい。 まれに、お年寄りで、包装材の銀紙のまま飲み込んでしまって、包装材が食道に刺さり、大変なことになることもありますので、お年寄りにはくれぐれも注意してあげて下さい。 Q 02 薬はいつ飲んだらよいでしょう? A 大部分の薬は、食後約30分の服用でいいのですが、経口糖尿病薬や消化性潰瘍治療薬のように、薬によって服用時刻が指定されるものがありますので、指示をよく確かめて服用して下さい。 一般に服薬については食前、食間では胃が空になっているので薬物の吸収がよく、作用もあらわれやすいです。 これに対して食事中、食事の直後では、作用のあらわれ方は遅くなります。 それは、胃に停滞し胃を通過する時間が長く、小腸からの薬の吸収が遅れ、作用が長く続くからです。 反面、胃が空になっていると、アスピリンなどの鎮痛解熱薬のように、胃粘膜の防御作用を弱めたり、粘膜刺激作用のある薬では、胃障害の副作用が出やすいので、むしろ食直後か食後の方がよいのです。 一般には薬の服用は食前がよいでしょう。 また、1日3回服用ということですと、食事を1日2回しかしなかった人は、1回は食事をしなくて服用したことになります。 それで一般にはよいですが、ただ経口糖尿病薬のように、食事そのものが薬の作用に著しく影響するものでは、必ず食事をして下さい。 食事をしないときには、薬は飲まないか、減らす方が安全です。 A 薬には一定期間飲めばやめていいものと、長い期間服用を続ける必要のあるものがあります。 化学療法薬などは感染症の間だけ服用すればよいし、それをすぎてからあまり長い間続けていると、かえって害があります。 それに対し、ホルモン薬などのように生涯にわたって飲み続ける必要がある場合があります。 高血圧や痛風、糖尿病の薬も生涯にわたって続ける場合が多いものです。 血圧や血清尿酸値、血糖値が下がったからといってやめてしまうと、再び上がってしまって危険なことがありますので、薬を減らすにしても、やめるにしても、医師の指示、指導の上でして下さい。 Q 04 薬用量とは? A 薬には治療量というものがあり、薬一つ一つについて、一日に用いる薬用量の基準が年齢、性別によって決められており、子供では体重別によっても決められています。 一般に、青年を中心として決められていて、一部の薬を除いては、未成熟な子供、機能の衰えている老人になるにしたがって少なくてよいのです。 しかし、薬によってはあまり差のないものもありますし、同じ年齢、性の人でも、身体の状況で増減されることがしばしばあります。 たとえば、アレルギーの人ではごく少量でも使えませんし、また、ごく限られた場合ですが、医師の責任において、中毒量に近い大量が処方されることさえあります。 また一般に、劇薬は作用が強く、治療量と中毒量の幅が接近していますので、うっかり飲みすぎると中毒を起こします。 この点は処方する時、医師があらかじめ注意していることです。 注意すべきことは同じ薬の錠剤、カプセル剤でも、1個中に含まれる薬の量がちがっていることが多いことです。 子供用は少なく、大人用はそれより多くなっています。 ですから、ただ何錠、何個といっても、薬の量が必ずしも同じというわけではないことも知っておいて下さい。 大切なのは、症状によって必要とする薬用量は変えられるものですから、医師の指示に従って服用することです。 素人判断には危険を伴います。 服用量について疑問があったら、主治医及び主担当医に話して下さい。 Q 05 薬を飲み忘れたときはどうしたらよいでしょうか? A たいていの薬では、3回のうち1回くらい飲み忘れても、あまり問題はありませんし、忘れたからといって、忘れた分と2回分一緒に飲んでしまっても大きな問題は起こりませんが、中にはそのことが大変に影響し、治療に支障のある薬もありますので注意して下さい。 次に、飲み忘れが特に重要な意味をもつものの例をあげておきましょう。 これらの薬は、とりわけ指示通りにきちんと服用するようにして下さい。 ことに寝る前などにまとめて飲みますと、夜間から夜明けにかけて著しい低血糖症を起こしかねません。 したがって、飲み忘れると、その間血液中の薬の濃度がおちて、効きめが悪くなりますので、もし飲み忘れたら、忘れた分をすぐ飲み、残りは短い時間間隔でよいから、1日の量を飲んでしまう方がよいのです。 Q 06 薬の飲み合わせで注意することは? (他の診療科医師からも薬をもらっている時など) A 2種類以上の薬が重なると、互いに作用しあって影響することがあり、ある場合には作用が強くなったり、ある場合には弱くなったり、ある場合には有毒な化合物を形成することすらあります。 薬物の相互作用、いわゆる飲み合わせです。 今日では1人の医師からでも複数の薬をもらうことが多いので、その機会は増えていますので用心が必要です。 それらのことについては、1人の医師から薬をもらっている場合には、その医師がそれらの点を考慮して処方していますからまだよいですが、他の科、あるいは他の診療機関からも処方せんをもらって薬を飲んでいる場合には、飲み過ぎ、飲み合わせが問題になることがあります。 そのためにも、出来る限り現在服用中の薬の名前をよく医師に伝えたり、薬を見せて確認してもらうことが望ましいのです。 2カ所、3カ所から同じ系統の薬をもらっていたりすると過量になりますし、またある医師からもらった薬の作用が、他からもらった薬のために抑えられてしまったのでは、治療にさしつかえかねません。 薬の相互作用については、その組合せの例、条件は多彩であり、それぞれに相互作用のしくみがありますから、その判断は医師に依頼することがよいと思います。 それには、診察を受ける時には、現在の服用薬をよく伝えて、医師の判断を助けることが大切です。 Q 07 医師からもらった薬を、他の人にゆずってもよいでしょうか? A 「この薬を家族に飲ませてよいでしょうか?」という質問をよく受けますが、原則的にはこれはよくないことですからやめて下さい。 前の時と同じ症状だと思っても、素人判断は禁物です。 このように処方された薬というものは、使う人についても、時についても、非常に限定されたものですから、誰にでも通用するものではないのです。 特に抗生物質とか消炎鎮痛解熱薬などに対しては、過敏症の人がいますので、どんな事故が起こるかわかりません。 医師からもらった薬の他人への利用は禁物です。 しまっておいた薬の再利用も避けましょう。 例えば、ある種の抗生物質では古くなると変質して、重篤な肝障害を起こしたということがありました。 薬には「もったいない」は禁句です。 Q 08 急に中止すると危険な薬は何ですか? A 薬によっては、決められたとおりに服用を続けないと、効果の出ないものがあり、続けているから効果が続いているというものがあります。 ホルモン薬などはことにそうです。 また、血圧の薬のように、勝手に薬を飲むのをやめてしまうと、危険なことが起こりかねない薬もあります。 次にその代表的なものをあげてみましょう。 血圧が下がっているのは、降下薬を飲んでいるからのことですから、薬を減らしたり、やめたい時には、必ず医師の指導のもとに徐々に減らしてゆくようにして下さい。 そのような状態で、急にステロイド薬の服用をやめてしまうと、ホルモンの欠乏症に陥ります。 このような状態のところに、もし重い感染症とか手術、外傷、事故などが加わるとショックに陥りかねません。 したがって、副腎皮質ステロイド薬は、ことに勝手に飲み方を変えないで、医師の指導に従って服用して下さい。 一方ステロイド薬は、膠原病には欠かせないし、極めて大量を飲まないと生命が危険となるような事態すらあります。 このような時にステロイドの副作用をおそれて、自分の判断で減らしたり中止してしまったりしては、それこそ危険千万です。 てんかんの薬なども、落ちついているとやめたくなりますが、それは大変危険です。 薬でてんかん発作が抑えられているのですから、やめれば早晩てんかん発作を起こす危険があります。 Q 09 薬は酒と一緒に飲んでもよいでしょうか? A 酒で薬を飲む人はいないでしょうが、薬を飲んだあと酒を飲んだり、酒を飲んでいる時に服薬の時間になって、酒と薬を一緒に飲んでよいか迷うことはよくあるでしょう。 一般に、酒は血液循環をよくするので酒を飲んだ時には、薬の作用は速く、強くあらわれます。 酒と同じように大脳の機能を抑制する作用をもつ鎮痛薬、催眠薬、精神安定薬を酒と一緒に飲むと、その効果が重なりあって、作用が強く出すぎることがあり、脳の中枢が強く抑制されて、ベロベロになってしまうことがよくあります。 くれぐれも酒類と一緒に飲むようなことのないように注意して下さい。 薬を飲まなければならないようなときは、むしろお酒の量を減らすか、飲まないようにすべきなのです。 Q 10 妊婦、授乳婦は薬を飲んでもよいでしょうか? A 一般に、妊婦は薬の影響を受けやすいものです。 それは薬物の作用が妊婦と同時に、胎児にも影響することを意味します。 市場に売り出されている薬でも、妊婦や胎児に対する安全性については確かめられていないものが少なくないので注意して下さい。 したがって、妊婦に薬を用いる場合は、慎重でなければなりません。 医師は十分認識した上で処方しています。 ですから、原則的には妊婦の場合、薬はとりわけ医師の指示通り服用することが大切で、やたらにこわがって素人判断でやめてしまうことも望ましくありません。 授乳中の婦人については、飲んでよい薬と、制限すべき薬とがあります。 乳汁中にたくさん分泌されてくるような薬物は、当然乳児にも影響を与える可能性がありますから、服用を制限する必要があります。 しかし、その点は主治医が心得ているはずです。 もし、服用について不安を感じたら、主治医に説明を求めて下さい。 Q 11 飲むと便や尿の色が変わる薬はなんでしょうか? A 薬によっては体内に吸収され、代謝された産物が色のついたものとして排泄され、尿や便の色を変えることがあります。 尿の色調に変化を来たす薬にはいろいろなものがありますが、次に代表的なものをあげておきます。 ビタミンB2薬………………黄色~緑色 センナ(下剤)………………橙色~褐色 レボドパ(パーキンソン治療剤)…黒色 鉄 剤…………………………………黒色 Q 12 薬の保管と管理で注意することはありますか? A 薬をもらったら何の薬か、何時の薬か、わかるようにして袋に正しく入れて、箱(カン)とか引き出しの中に保管して下さい。 また、湿気が多いところや、直接日光があたるところ、高温になるところは避けて保管して下さい。 子供のいる家庭では、子供の手の届かない、目につきにくい場所に保管するようにします。 したがって、一般の薬については病気がなおったあと、何年もした薬は捨てたほうがよいでしょう。 薬の中には、抗生物質などのように、効力のある期間(有効期間という)が限定されているものや、ビタミンとか酵素などのように、変質しやすい性質の薬が少なくないのです。 つまり、大切にしまっておいても品質が変わらないという保証はありません。 Q 13 薬のかたちと服用方法のちがいについて A 薬はその性質と病気の治療の両面から、取り扱いやすい形に造られています。 また、患者にとって飲みやすく、扱いやすいことも必要です。 これらの点を考慮して、いろいろな剤形が工夫されています。 飲みにくいという人もありますが、水薬を除いて他の内服薬より吸収されやすいものです。 そのままでは飲みづらいという人は、オブラートに包んで、水とともに飲むようにします。 また、少量の水に溶かしたり、子供の場合はハチミツで練るなどして服用するとよいでしょう。 水でかまずに服用します。 舌下錠:これは舌の下、または頬と歯ぐきの間にふくんで、口の中の粘膜から薬を徐々に吸収させるものです。 こうすると、薬の効きめが速くあらわれます。 これを飲み下してしまいますと、作用があらわれるのが遅くなるばかりか、胃でこわされて、作用が弱くなります。 狭心症の発作時に用いるニトログリセリンの舌下錠は、その代表的なものです。 においが強かったり、味が悪い薬を飲みやすくするためのものです。 ゼラチンでできていますので、外部のカプセルが胃の中で溶けて、中の薬が溶出されます。 かまずに、また、中の薬を出したりしないで、水で飲み下します。 胃には影響せず、腸の中に入ってから薬が溶けて作用するとか、吸収されてから効きはじめるので、効きめは遅いですが、長く続きます。 そのため、服薬の回数は1日1~2回と、普通の薬より少なくてすみます。 鉄剤、消炎鎮痛解熱薬、冠循環改善薬、降圧薬などにこのような工夫がなされたものが多くあります。 作用のしくみは、挿入された場所で体温や分泌液で基剤がくずれ、その中に含まれた薬物が溶け出し、粘膜から吸収されて、効果をあらわすものです。 ここでいう坐剤は肛門坐剤のことで、坐剤には膣に挿入するものもあります。 坐剤には、円錐形、紡錘型などの形があり、大きさは日本人用には1~2g程度で、大人用、子供用があります。 なお、冷暗所に保存して下さい。 長所: 1)坐剤として用いることによって、内服のときの胃刺激の副作用を軽くすることができます。 ことに刺激性であったり、嫌な臭いのある薬剤も使うことができますし、吸収されてからの薬の副作用も、内服のときより軽くてすみます。 2)作用が内服より速くあらわれて、注射より長く持続します。 3)吐き気があったり、意識障害があったり、患者に理解がなくても用いることができます。 短所: 1)挿入部の違和感があります。 これは慣れるより仕方ありません。 2)挿入局所の刺激作用として灼熱感、下痢のあることがあります。 3)下着を汚すことがあります。 この点は最近改善されてきています。 4)挿入するのに多少の慣れ、あるいは他人の介助を必要とします。 5)体内に吸収されて効くものですから、その副作用は、内服より軽いとはいっても、本質的には内服同様の副作用があります。 薬を鼻腔や肺の粘膜から吸入させるためです。 これも胃腸での刺激作用、破壊作用を避ける目的で作られたものです。 Q 14 大衆薬と医療用医薬品は、どうちがうのでしょうか? A 大衆薬というのは、薬局・薬店でだれもが買える薬のことで、一般用医薬品ともいいます。 製薬に対して、成分などについての厳しい規制があって、比較的安全性が高いのです。 つまり、特に医師の処方せんを通さずに服用しても、危険性が少ないとされるものです。 大衆薬はこのように、比較的安全であるかわりに、作用の力は弱いのが普通です。 しかし、過敏症の人や、衰弱の著しい人では、必ずしも安全とはいえませんので、薬局でよく相談して下さい。 また、あまり大衆薬に頼りすぎて、手遅れにならないように注意することも大切です。 一方、医療用医薬品というのは、医師の処方せんにより出される薬のことです。 薬をもらうのにやや面倒ですが、医師の診断に基づいて、薬の選択、用量、服用方法などが選定されているので、一般用医薬品に比べ、効きめも副作用も強い。 それだけに薬を的確に効かせ、副作用を少なくするためには、医師の指示を守り、きちんと服用することが大切です。
次の1)投薬禁忌 【甘草】 アルドステロン症、低カリウム血症、ミオパシー 2)相互作用 併用禁忌 【小柴胡湯】 [インターフェロン製剤] …間質性肺炎が現れることがある。 5g以上含有する製剤][グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤][ループ系利尿剤][チアジド系利尿剤] …偽アルドステロン症、低カリウム血症、ミオパシーが現れやすくなる。 5g未満含有する製剤][グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤] …偽アルドステロン症、低カリウム血症、ミオパシーが現れやすくなる。 【麻黄】 [エフェドリン類を含有する製剤][MAO阻害剤][甲状腺製剤][カテコールアミン製剤][キサンチン系製剤] …不眠や発汗過多、動悸、全身脱力感などが現れやすくなる。 3)副作用 【小柴胡湯】 間質性肺炎が現れることがある。 小柴胡湯の投与により発熱、咳嗽、呼吸困難などの呼吸器症状が現れた場合には、速やかに胸部X線等の検査を実施し、投与を中止するとともに適切な処置を行うこと。 【柴朴湯】 【柴苓湯】 まれに間質性肺炎が現れることがある。 発熱、咳嗽、呼吸困難などの呼吸器症状が現れた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。 【甘草】 偽アルドステロン症 低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などの偽アルドステロン症が現れることがあるので、観察(血清カリウム値の測定など)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。 ミオパシー 低カリウム血症の結果としてミオパシーが現れることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺などの異常が認められた場合には投与を中止すること。 【桂皮】【人参】 発疹、蕁麻疹などの過敏症が現れることがある。 【山梔子】 【酸棗仁】 【地黄】【石膏】 【川芎】【当帰】 【麻黄】【大黄】 【芒硝】 食欲不振や胃部不快感、下痢などの消化器症状が現れることがある。 【麻黄】 不眠や発汗過多、動悸、全身脱力感、精神興奮などの自律神経系症状や、排尿障害などが現れることがある。 【附子】 心悸亢進やのぼせ、舌のしびれ、悪心などが現れることがある。 4)妊婦・授乳婦への投与 【大黄】 授乳中の婦人には慎重に投与すること。 大黄中のアントラキノン誘導体が母乳中に移行し、乳児の下痢を起こすことがある。 【大黄】【芒硝】 【紅花】【牛膝】 【桃仁】【附子】 【牡丹皮】 妊娠または妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。 流早産の危険性がある。 5)小児への投与 【附子】 小児には慎重に投与すること。
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