小杉武久(こすぎ たけひさ)とは
概要 [ ] 数多くのを残しており、その的な作品は「 夢二式美人」と呼ばれた。 を代表する画家で、「大正の」などと呼ばれたこともある。 また、児童雑誌や詩文のも描いた。 文筆の分野でも、、、など創作しており、中でも、詩『』には曲が付けられて大衆歌として受け、全国的な愛唱曲となった。 また、多くの書籍の、広告宣伝物、日用雑貨のほか、などのも手がけており、日本の近代の草分けのひとりともいえる。 彼自身の独特な美意識による「夢二式美人画」と呼ばれる作品の多くは、の技法で描かれ（や仕立てで遺る）、また、（に）技法による女性像や風景画ものこされている。 好んで様々な表現形式を試みたが、むしろ、それらは後世になってから評価されたもので、当時の時点においては、印刷された書籍の表紙や広告美術などが多くの目に触れ、大衆人気という形で脚光を浴びたのであった。 一時は中央への憧れもあったようだが受け入れられず、終生、野にあって新しい美術のあり方を模索した。 世の動きとしてみた場合、当時の画壇では様々な思潮が交錯し、ある意味で胎動期の不定のさなかである。 都市における大衆文化の開花による消費生活の拡大を背景とした、新しいとしてのというものの黎明の時代であり、夢二もこれに着目した。 生涯の後期にいたっては、彼の図案家としての才能の実績において、生活と結びついた美術を目指し、あるいは産業と融合すべきとの理念を持ち、むしろ積極的に、商業美術（のちにいわれるグラフィック・デザイン）の概念を描いていたようである。 榛名山産業美術研究所の構想や、先進地である欧米視察への願望がこのことを裏付けている。 21世紀に入っても画集、詩文集、童話が様々な装丁で刊行されたり、夢二作品を専門に所蔵する美術館（後述）以外でも展示会が開かれたり している。 また2017年には、従来知られていなかった作品『』（絵）が発見された。 2020年1月6日には、面識があったへ贈った日本画『サーカス』が田河の遺族から寄贈されたと、が発表した。 経歴 [ ] 竹久夢二寓居跡（二寧坂）• （17年）0歳• 9月16日 本庄村（現・岡山県本庄）に代々酒造業を営む家に次男として生まれる。 兄が前年に亡くなっていたため、事実上の長男として育てられる。 （明治32年）15歳• の叔父宅に寄宿しつつ兵庫県神戸尋常中学校（後の神戸一中、現在の）に入学するが、12月には家の都合で中退。 （明治33年）16歳• 父が家業の造り酒屋をたたみ、操業間近なに職を求めたため、一家で（現・）枝光に転居。 茂次郎もしばらく製鉄所で働く。 （明治34年）17歳• 家出して単身上京。 （明治35年）18歳• 専攻科入学。 学生時代、を『』などに投書。 （明治36年）19歳• 制作年らしき数字「1903」が記された、文章・絵画からなる冊子『揺籃』が2018年に発掘されている。 （明治37年）20歳• （明治38年）21歳• 友人であったの紹介で発行の『直言』にが掲載される。 これは最初に印刷に附された夢二の絵であった。 この後、『光』、日刊『平民新聞』に諷刺画などの絵を掲載し、者らとの親交も深めた。 同年6月、『中学世界』に『筒井筒』が第一賞入選、このとき、初めて 夢二を名乗る。 早稲田実業学校専攻科中退。 （明治39年）22歳• 童話雑誌『少年文庫』のを描く。 （明治40年）23歳• 岸たまきと。 読売新聞社に入社し時事スケッチを担当。 （明治41年）24歳• 長男・虹之助誕生。 （明治42年）25歳• たまきと協議。 この年、最初の著書『 夢二画集－春の巻』発刊、ベストセラーとなる。 （明治43年）26歳• たまきと再び同棲し、その後、二児をもうける。 関与の容疑で2日間拘留される。 夏、方面に旅行し、『宵待草』を発想。 （明治44年）27歳• 次男・不二彦誕生、たまきと別居。 月刊『夢二 ヱハガキ』発売。 （明治45年）28歳• にて「第一回夢二作品展覧会」。 （大正2年）29歳• 11月 絵入り集『どんたく』出版、その中の一節に『宵待草』を現在の三行詩で発表。 （大正3年）30歳• 日本橋呉服町に「港屋店」を開店、来店した 笠井彦乃と出会う。 （大正4年）31歳• より雑誌『』『新少女』創刊、絵画主任として挿絵を描き始める。 たまきとは離別。 （大正5年）32歳• 2月、三男の草一が生まれる。 『お江戸日本橋』の表紙画、以降270余点を作画する。 東京を離れ、二寧坂に転居。 草一、他家へやられる。 （大正6年）33歳• 高台寺近くに移り彦乃と同棲。 旅行中、「夢二抒情小品展覧会」を開く。 『 』に部のバイオリニストが曲をつけ、音楽会にて発表。 （大正7年）34歳• 『宵待草』がセノオ楽譜から発刊、これを機に全国的なヒットとなる。 方面に旅行。 彦乃入院、東京に戻る。 （大正8年）35歳• 寄宿先の本郷・菊富士ホテルにてのお葉を紹介される。 日本橋三越にて「女と子供に寄する展覧会」。 （大正9年）36歳• 彦乃25歳で病没。 『長崎十二景』『女十題』のシリーズ制作。 （大正10年）37歳• （夢二が名付ける・本名は佐々木カ子ヨ）と渋谷に所帯を持つ（6年後には離別）。 を旅行、各地で展覧会。 （大正11年）38歳• 春、方面へ旅行、滞在。 夏、不二彦と登山。 （大正12年）39歳• らと「どんたく図案社」を発足するも、（大正）で潰滅。 友人で画家のとともに震災後の東京を歩き、スケッチ21枚を『』に『東京災難画信』として寄稿連載。 （大正13年）40歳• 兼自宅「少年山荘」（山帰来荘）を松沢村松原（現・）に建設。 この年に発刊された雑誌『婦人グラフ』に掲載するための表紙絵、口絵用にの技法によるといわれる『秋のしらべ』などを発表。 （大正14年）41歳• 作家・と交渉を持ち、お葉は去る。 後、順子とも別れる。 （大正15年）42歳• このころから、海外旅行を希求する。 （昭和2年）43歳• 『都新聞』に自伝絵画小説『出帆』を連載。 （昭和3年）44歳• 母・也須能、没 享年72• （昭和4年）45歳• （昭和5年）46歳• 4月、のに約1ヶ月滞在、「」の構想を練る。 （昭和6年）47歳• 父・菊蔵、没 享年79。 渡米告別展を新宿他で開催の後、にを出航し、を経由して渡米。 （昭和7年）48歳• 前年よりに1年3ヶ月の滞在、各地にて個展を開くが、もあり受け入れられず不調。 9月に-を経て渡欧。 約1年の滞欧中、、、、、の諸都市を巡り、日本の雑誌に寄稿し、多くのスケッチ画を残す。 （昭和8年）49歳• ドイツ首都に滞在の後、8月19日にのを発ち、9月18日、神戸に帰国する。 10月26日、を訪れて講演し、「竹久夢二画伯滞欧作品展覧会」を開催。 11月11日、帰国、を患って病床につく。 （昭和9年）満49歳11ヶ月で逝去。 1月19日、親しい文芸仲間でもあった院長の手配により、八ケ岳山麓の（現・JA長野厚生連）に入院。 9月1日早暁、「ありがとう」の言葉を最後に死去。 49歳没。 東京の文芸仲間の上田龍耳の義理の弟山地純一の墓に9月19日に埋葬される。 戒名「竹久亭夢生楽園居士」。 墓碑には有島生馬に依る揮毫「竹久夢二を埋む」と刻まれている。 骨は後に現在の墓に移された。 桜井八重子 - 、（現・西島）生まれ、本名は笠井ヒコノ。 別名に山路しの。 東京・の紙の娘として裕福に育ち、の学生であった。 夢二のファンであり、絵を習いたいと「港屋絵草子店」を訪問し、交際が始まる。 たまきと別れ京都に移り住んだ夢二としばらく同棲するが、大正7年（1918年）に旅行中の夢二を追う途中、でを発病。 父の手によって東京に連れ戻され、夢二は本郷菊富士ホテルに移るが、面会を遮断される。 東京・のに入院した彦乃は、そのまま短い人生を終える。 夢二は彦乃を最も愛していたようであり、その死後しばらくショックから立ち直れなかった。 『彦乃日記』をのこす。 彦乃との別離で心を痛めた夢二は、彦乃の面影を持つ女優の桜井八重子に恋文のような手紙を出し続け、八重子も菊富士ホテルを訪ねている。 お葉 [ ] お葉 1919年頃の撮影 - 、出身、本名は。 上京後、のとして人気があった。 、らのモデルを務めた後に、菊富士ホテルに逗留していた夢二のモデルとして通ううちに同棲。 （現在の渋谷ビーム、同地に石碑あり）に所帯を持つ。 大正13年（）、夢二が設計した世田谷「少年山荘」に一緒に移り住んだ。 一児をもうけるが夭折。 翌14年にお葉は自殺を図り、半年後に別離する。 後、医師と結婚し主婦として穏やかな生涯を過ごした。 『黒船屋』のモデル [ ] 夢二の代表的な絵画作品である『 黒船屋』のモデルは、彦乃説、お葉説がある。 ただし、構図はヴァン・ドンゲンの『黒猫を抱ける女』を参考にしたといわれる。 同じモチーフによる木版画や本の装幀もある。 作品 [ ] 絵画 [ ]• 夢二画集 春の巻（洛陽堂 1909年）• 夢二画集 夏の巻（洛陽堂 1910年）• 小曲絵本『三味線草』（新潮社 1915年）• 露地の細道（春陽堂 1919年）• 黒船屋（1919年）• 長崎十二景（1920年）• 女十題（1921年） など 木版画 [ ]• 秋のしらべ（1924年）• 花火（1924年）• 雪の風（1924年） 絵本・挿絵 [ ]• 子供の国（洛陽堂 1910年）• 青い船（ 1918年）• どんたく絵本（金子書店 1923年）• 童謡集『歌時計』（春陽堂 1919年）• 童謡集『凧』（研究社 1926年）• 童話集『くさのみ』（実業之日本社 1915年）• 童話集『春』（研究社 1926年） 小唄集・詩集 [ ]• どんたく（実業之日本社 1913年）『宵待草』が含まれる。 で再刊。 夢のふるさと• 青い小径• さよなら 夢二作品を所蔵する美術館など [ ]• （ ）• （分館は出身地の岡山県、本館は岡山市）• 朝日町図書館（）• 福田美術館（） ギャラリー [ ] 油彩画 [ ]• この節のが望まれています。 山本一哉編『惜しみなき青春 竹久夢二の愛と革命と漂白の生涯』ノーベル書房、1969年• 坂口昌弘著『文人たちの俳句』本阿弥書店• 編『竹久夢二画集』、1972年• 細野正信『竹久夢二 （239）』、1972年• 美術手帖編集部『特集・竹久夢二』、1974年• 編『竹久夢二 （近代の美術23）』、1974年• 「特集・竹久夢二」『本の本 創刊号）』ボナンザ、1975年• 『夢二の小徑』、1976年• 編集部『竹久夢二 （別冊太陽 日本のこころ20）』、1977年• 木村重圭解説『現代日本美人画全集8 竹久夢二』、1978年• 1978年12月増刊号『竹久夢二 その写真の世界』、1978年• 『竹久夢二写真館「女」』・とんぼの本、1983年• 岡崎まこと『竹久夢二正伝』、1984年• 『竹久夢二』中公文庫、1985年• 『夢二美術館』（全五巻）、1985年• 『竹久夢二』別冊 美術特集 日本編55、朝日新聞社、1988年• 矢沢寛編『宵待草 竹久夢二 歌の絵本（CD付き）』、1992年• 金森敦子『お葉というモデルがいた 夢二、晴雨、武二が描いた女』、1996年• 日本アートセンター編『竹久夢二 （新潮日本美術文庫33）』新潮社、1996年• 鶴谷壽『夢二の見た亜米利加』、1997年• 石川桂子・谷口朋子編『竹久夢二 大正モダン・デザインブック』、2003年• 『竹久夢二 夢二郷土美術館コレクション選』、2007年• 『竹久夢二と妻他万喜 愛せしこの身なれど』文庫、2008年• 野村桔梗『竹久夢二のすべて』駒草出版、2008年• 小川晶子『もっと知りたい竹久夢二 生涯と作品』、2009年8月• 竹久みなみ監修・大平直輝編『竹久夢二 「セノオ楽譜」表紙絵大全集』、2009年8月• 『近代図案コレクション 夢二のデザイン -和と-』芸艸堂、2009年9月• 石川桂子『竹久夢二《デザイン》モダンガールの宝箱』講談社、2012年4月• 劉檸『竹久夢二的世界』印刻出版（）、2012年• 監修『竹久夢二 大正ロマンの画家、知られざる素顔』河出書房新社、2014年1月• 別冊太陽『竹久夢二の世界 描いて、旅して、恋をして』平凡社、2014年8月• 朝日新聞社編『生誕百三十周年 竹久夢二展 を生きた夢二と』朝日新聞社、2014年8月• 『夢二と久允 二人の渡米とその明暗』風間書房、2016年4月 関連作品 [ ] 映像・音楽 [ ]• 映画『竹久夢二物語 恋する』監督：（）• 映画『 監督：（）「大正浪漫三部作」の3部• 映画『』監督：（）• 映画『およう』監督：（）• 映画『夢二 愛のとばしり』監督：（・2016年7月公開）• 『ロマンス』作：（1997-2000年）• 『』（2018年1月6日閲覧）• 一例として。 『』朝刊2018年1月4日（2020年1月13日閲覧）• 『』朝刊2020年1月7日（社会面）掲載の配信記事。 2020年1月13日閲覧。 『』夕刊2018年5月11日（2018年5月20日閲覧）。 中右瑛、『月刊 神戸っ子』2000年3月号• 『新装版 夢二美術館 第1巻 宵待草のうた』（小学館、1988年2月） p. 125、• 「お葉をモデルにしながらも彦乃の姿がうつされている」、コロナ・ブックス編「竹久夢二」『作家の猫』（コロナ・ブックス、2006年6月）• 「黒猫を抱く蠱惑的な女性の顔は永遠の恋人彦乃であろう」、近藤富枝「竹久夢二」『きもの名人』（、2012年3月）• 『別冊太陽221 竹久夢二の世界』（平凡社、2014年）p. 『別冊太陽20 竹久夢二』（平凡社、1977年9月）pp. 64-65、 関連項目 [ ] ウィキクォートに に関する引用句集があります。 ウィキメディア・コモンズには、 に関連するメディアがあります。 - あしか島：詩『』が着想された場所。 - 夢二ゆかりの地とされ、医王山薬師寺には夢二の歌碑、裏には夢二が歩いたとされる道がある。 - 夢二が欧州へ留学をする際に、四代目中村直次郎が資金援助をした。 - 館内に竹久夢二美術館。。 - 夢二の弟子。 外部リンク [ ]• （岡山県岡山市）• （群馬県渋川市）• （東京都文京区）• （石川県金沢市）• [ ] （東京都豊島区）• [ ]（山形県酒田市）•
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