食品に含まれる鉄イオンとその他の成分との化合物であるFe化合物はまずは胃酸で化合物から鉄イオンが遊離(離される)されます。 鉄イオンである三価鉄はこのままだと吸収率がよくないので小腸粘膜に存在するDcyt1と呼ばれる還元酵素により二価鉄へと還元されます。 二価鉄は小腸上皮にある二価金属輸送たんぱく質(DMT1 - divalent metal transporter 1)から吸収されます。 DMT1は鉄のほか二価陽イオンである亜鉛やマンガン、カルシウム、コバルトも吸収することができるため、これら金属とも吸収の上で競合します。 イオンについてみる前にまず原子について説明します。 原子の中にはプラスの電荷を帯びた陽子とマイナスの電荷を帯びた電子が同数存在し、電気的には中性です。 原子から電子が放出されたり取り込まれたりしてその数に増減が発生すると、増えた場合マイナス分が増加するので原子全体ではマイナスの電荷を帯び、減るとマイナス分が減少するので原子全体ではプラスの電荷を帯びます。 このように原子から電子の増減が発生したものをイオンといいます。 二価鉄は二つの電子が放出されたイオンです。 イオンについてはでも詳しく解説しています。 上記で出てくる還元とは電子を与える反応のことで、三価鉄に一つの電子が与えられて還元されることで二価鉄へと変わります。 小腸上皮で吸収された鉄は腸管上皮細胞基底膜にある酸化酵素のフェロキシダーゼ(ferroxidase)により酸化され、二価鉄から三価鉄となります。 過剰な鉄はアポフェリチンというたんぱく質と結合してフェリチンとなり、腸管上皮細胞内で貯蔵されます。 その後腸管上皮細胞の剥離により腸管へと排出され、汗や尿、便として体外に排出されます。 腸管から血液中へと移行した鉄は鉄輸送たんぱく質であるトランスフェリンと結合してトランスフェリン結合鉄(血清鉄)となり、血液中を運ばれて行きます。 血清鉄は骨髄で赤血球のもととなる赤芽球にあるトランスフェリンレセプター(受容体)と結合して取り込まれ、赤血球の産生に使われます。 過剰な鉄はフェリチンとして貯蔵されます。 赤血球は120日の寿命ののち脾臓で破壊され、その際に出る鉄は再びフェリチンとなって貯蔵され、必要に応じて再度赤血球を生成するのに利用されます。 また肝臓に送られたトランスフェリンはフェリチンとなり鉄の主要な貯蔵庫として機能します。
次の, J. Invest. Dermatol. , 48, 181-3, 1967 2 Ya-Xian Z, et al. , Arch. Dermatol. Res. , 291, 555-9, 1999 3 Levin J, et al. , J. Control. Release. , 103, 291-9, 2005 4 田上八朗, 皮膚臨床, 45, 1735-42, 2003 5 田上八朗ほか, 皮膚臨床, 35, 1163-9, 1993 6 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会, 日皮会誌, 119, 1515-34, 2009.
次のこんにちは! 私はゆとり世代ど真ん中で育った平成生まれの管理栄養士です。 ここ数ヶ月間はずっと栄養学入門として、たくさんの記事を書いていきました!• 栄養学を学んだ事がない人• 今学んでいるけれどいまいちよくわからない人 などなど、そういった人たちのためにできるだけ簡単に栄養学を学べるようにと日々ひたすらパソコンとにらめっこしています。 前々回は という記事を書きました! 前回は という記事です! なので今回はもちろん たんぱく質やアミノ酸の消化・吸収の仕組みを簡単にまとめた記事です。 今回もできるだけ図などを使ってわかりやすく簡単に解説していますので、是非読み進めてください! それでは早速見ていきましょう! もくじ• たんぱく質の消化吸収を理解するためにはまずたんぱく質の構造を知ろう! たんぱく質の構造をご存知ですか? 糖質や脂質とたんぱく質には大きな違いがあります。 それは、 分子量の大きさです! たんぱく質はその分子量が とにかく大きいということです! なので一つのたんぱく質を分解するのに、様々な種類の酵素たちが働きます。 そして最終的に たんぱく質を構成する最小単位であるアミノ酸に分解されて吸収されていくのです! たんぱく質はアミノ酸の鎖でできている それではたんぱく質の構造を解説していきたいと思います。 もちろんたんぱく質の種類によって、その量や大きさは全く変わってきますが 全てのたんぱく質に共通して言えることは、アミノ酸のつながりでできたものがたくさん絡み合って形を作っているということです。 そしてその絡み合ったものをほどいていくとこのようになります。 このようにたんぱく質は、物理的にそうすることはできませんが 一本のアミノ酸の鎖のようになっているのです。 最初の図のように一本のアミノ酸の鎖でできた塊がいくつか集まって構成されるたんぱく質もあります。 ですが、たんぱく質を構成する基本単位はアミノ酸のつながりでできた鎖だとイメージしてもらえればOKです! そして、このアミノ酸のつながりをよーく見ていくと、次のような結合をしています。 このように、 隣り合ったアミノ酸同士の結合はペプチド結合という結合でつながっているのです! ということは、たんぱく質が腸の吸収上皮細胞で吸収されるためにはアミノ酸にならないといけないのですが、 最終的にはこのペプチド結合を切ることがたんぱく質の消化吸収のゴールということです! そして たんぱく質を構成するアミノ酸の種類は20種類です! これらのアミノ酸が様々な組み合わせで手をつなぎ結合して鎖を作ることで大きなたんぱく質を構成しているのです! 上の図にある20種類のアミノ酸のうち、赤枠で書いてある9種類のアミノ酸は 必須アミノ酸と言って体内で作ることが出来ません。 なので日々食物からたんぱく質を摂取することで、この体内で合成できない必須アミノ酸9種類を取り入れなければいけないのです。 必須アミノ酸9種類はこちらです! ということで、たんぱく質の構造を簡単に復習すると、• たんぱく質を構成するアミノ酸が20種類存在する• その20種類のアミノ酸がペプチド結合することでアミノ酸の鎖ができる• たんぱく質はそのアミノ酸の鎖が複雑に絡み合った形をとる• たんぱく質の種類によって、その一つのアミノ酸の鎖の塊の数や大きさが変わってくる こんな感じになります。 ここまで何となく分かれば、たんぱく質やアミノ酸の消化吸収を理解するのは簡単です。 では実際にたんぱく質の消化吸収を見ていきましょう! たんぱく質やアミノ酸の消化吸収の仕組み たんぱく質を摂取すると、たんぱく質は胃液の影響を受けます。 胃液は強い酸性ですので、たんぱく質の立体構造に影響を与え たんぱく質が分解されやすくするのです。 それと同時に 胃液に含まれるペプシンによってある程度分解されます。 そのたんぱく質が「ある程度分解された形」を ポリペプチドと言います。 たんぱく質はアミノ酸の鎖が立体にぐしゃぐしゃと形を作ることでできているという話はしましたが、そのアミノ酸同士の結合はペプチド結合というのでしたね! 2つのアミノ酸がペプチド結合をしたものを専門用語でペプチド と呼びます。 ということは、 ポリペプチドというのは『ポリ』なペプチドということです。 このポリとは 「大きな」とか 「たくさんの」という意味です。 私たちは日常的にもポリバケツや、ポリ袋なんて使い方をしていますね! 大きいバケツ、大きい袋をそう呼んでいます。 なので ポリペプチドも大きなペプチドという意味になります。 ペプチドがたくさん集まってはいるが、たんぱく質の構造を作るほど大きくない!といった感じでしょうか。 胃液に含まれるペプシンの力で、たんぱく質は何となく大まかにまず分解されるということです! その後、 十二指腸において膵液に含まれるトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カルボキシペプチターゼなどの酵素によってさらに分解されていきます。 そこではポリペプチドよりははるかに 少ない分子量のオリゴぺプチドに分解されます。 たんぱく質の分子量・・・約5000以上• ポリペプチドの分子量・・・10~約5000程度• オリゴペプチドの分子量・・・2~10程度 このような感じで、たんぱく質が徐々に分解されオリゴペプチドになることで、たんぱく質はかなり細かく分解されてきましたね! そして最後は 小腸の微絨毛での吸収上皮細胞によるアミノペプチダーゼやトリペプチダーゼなどの酵素によって最小単位である アミノ酸か、2つのアミノ酸からなるジペプチドに分解されます。 こうしてたんぱく質から長きにわたって消化され続けてできたアミノ酸やジペプチドは吸収上皮細胞から吸収されるのです! この時、 ジペプチドは吸収上皮細胞内でさらにアミノペプチダーゼによってアミノ酸に分解されます。 ここまでの流れをざっと図を使って簡単にまとめてみました! 小腸の吸収上皮細胞での消化吸収を詳しく見ていこう 分子量が5000以上もあったたんぱく質は、 胃でのペプシンに始まり、十二指腸で膵液によって様々な酵素の力で分子量が2~10個程度のオリゴペプチドまで分解されます。 そして最終的にこの オリゴペプチドは腸液に含まれるアミノペプチダーゼやトリペプチダーゼによってアミノ酸や2つのアミノ酸からできるジペプチドに分解されます。 こうしてできたアミノ酸やジペプチドは吸収上皮細胞に吸収され、 ジペプチドはさらに吸収上皮細胞でアミノペプチダーゼによってアミノ酸に分解されます。 ここまではこれまで解説してきた大まかな流れです。 そして、吸収上皮細胞に吸収されたアミノ酸はいよいよ全身に運ばれていくわけです。 アミノ酸は糖質と同じで、水に溶けるため門脈を経由して肝臓へ運ばれ、全身に行きわたります。 糖質の消化吸収• 脂質の消化吸収• たんぱく質の消化吸収 この3つをまとめると、 水に溶けるので門脈経由・・・糖質、一部の脂質(中鎖脂肪酸、グリセロール)、アミノ酸 水に溶けないのでリンパ管経由・・・脂質(長鎖脂肪酸、リン脂質、コレステロールエステル、脂溶性ビタミンなど) というようになるのです! まとめ• たんぱく質はまず胃液の酸にて立体構造に影響を受け、同時に胃液に含まれるペプシンによってポリペプチドに分解される• 十二指腸で膵液に含まれる様々な酵素によってさらに分子量が小さいオリゴペプチドへ分解されいく• 膵液に含まれる酵素は、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カルボキシペプチターゼなど• 腸液に含まれるアミノペプチダーゼやトリペプチダーゼによって、アミノ酸やジペプチドまで分解され吸収される• アミノ酸はそのまま血管へ入り、ジペプチドは吸収上皮細胞内でアミノペプチダーゼによってアミノ酸まで分解され血管へ入る• 血管に入ったアミノ酸は門脈を経て肝臓、そして全身に運ばれていく いかがでしたか? 三大栄養素の消化と吸収の仕組みについての解説はこれにて終了です!.
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