今回は、今年のロングヒット曲 『Pretender』を分析していく。 言わずと知れたOfficial髭男dismの人気作だ。 では、まず理論的に見ていこう。 1番はかなりスタンダートでAメロとBメロを2回繰り返す形。 これによって、 聴き手はメロディーラインを完全にインプットさせられる。 そして、 2番は極端に短く作られていて、サビも1番の半分の長さしかない。 これによって、間延びせずに間奏までの流れがスムーズになっている。 間奏は眺めでカッコいいメロディーがあるためそこを強調したのかもしれない。 後メロが特徴的。 大サビで 『君は綺麗だ~』と終わらせるのではなく、コーラス隊がそれを引き継ぎながら言葉を紡いでいくことで、最後のボーカルのみでの『とても綺麗だ~ 2回目 』が引き立つような作りになっている。 アウトロはイントロと同じフレーズを繰り返し、原点に帰着する型。 曲を構成している響きがアルファベットで示されている、くらいに思っていただければ。。。 Bメロはサブドミナント Dmaj7 から入るので少し浮遊感がある。 ただし、Em7とDdimは繋ぎの役目なので説明は割愛。 ・C7はAメロの「それはいつも通り」の"いつも"の部分にかかっている。 効果として、一瞬変化球を投げられた気持ちになるけど、次の「通り~」で また落ち着いた響きを取り戻すので、良いアクセントになっている。 ここを注意して聴くと、一瞬解放されたような気持ちになる。 その絶妙な音の押し引きがこの曲の癖になる部分でもあると思う。 これによりセクションごとにスッキリした印象で終了するので、次のセクションは新しく場面が変わることを強調できている。 これは、 歌が"後"から入るパターン。 これにより、曲のメインとなる和音を紹介した後にどっしりと歌が入ってくるのでAメロだけで曲の雰囲気を伝えられる。 ( ちなみにヒゲダンの曲でいうと『宿命』は同時に、『イエスタデイ』は後から、『異端なスター』は歌が先になっている。 ) Bメロは歌と演奏が同時に入るのでしっかりタイミングを合わせている感じがかっこよく、リズムよく進んでいく。 サビは微妙に後から入っている。 また、サビ前にサビスイッチ(サビが来ることを知らせるもの。 この曲は「グッバイ」)が入るので、サビがスムーズに移行し、Bメロと高低差・雰囲気の違いを見事に繋げている。 一 これが気持ちよいテンポ感と曲が間延びしない要因だと思う。 また、Bメロはベースラインが1拍前のめりにコードチェンジするので、ノリの良さと場面の切替えを行えている。 また、Bメロ終わりのクリシェ進行(ベース音がだんだん下がっていく部分)がピタリとハマっている。 サビはAメロ同様、4拍と2拍で交互にコードチェンジ CC が行われている。 これは他のサビもすべてに共通している。 ここの3連続の細かいコードチェンジを見越して、「辛いけど否めない~」の部分は1つのコードだけで落ち着かせることを選んだようにも思う。 Bメロの「愛を伝えられたらいいな~」の部分はコードがクリシェ進行になっていて、下がっていくごとにだんだん色濃くなっていく感じが好き。 それに反比例して、メロディは上に上がっていくのがサビの前にカチッとハマる。 (やはり流れの中のディミニッシュ dim は盛り上がりに欠かせない。 ) 間奏部分のシンセサイザーのメロディーがカッコよい。 上がって、下がって、トリルしてまた上がって、、と忙しいがまとまっている。 この間奏を聴くだけでも満足できるほどの完成度。 最後のサビで「 君は綺麗だ~」では終わらず、「それもこれもロマンスの~」とコーラスがさらに言葉を続け、2回目の「とても綺麗だ~」とボーカルのみに繋げる流れがあまりにも美しい。 そして切なさ倍増。 アウトロでピアノのみでイントロと同じメロディーを繰り返すのもGOOD。 最後の8小節はドシラミーミラシーラシドシラ"ミ"ラー。 全体を通しての感想 『Pretender』の分析、めちゃくちゃ時間かかったけれどめちゃくちゃ楽しかった。 初めて聴いたときから、曲の完成された感じとボーカルの洗練されたハイトーンボイスに魅了されていたけど、改めて細かく分析するとそこにはしっかりとした土台があった。 ピアノPOPバンドと自称している通り、この曲は ピアノの"どしっとした和音の響き"と"切ない旋律の響き"が活かされていた。 ベースラインの変化も彩りを加えている。 歌詞の中で『いつも通り』『予想通り』『アイムソーリー』など、 韻を踏むところがたくさんあり、そのすべてがナチュラルで、一度聴いたら癖になってしまう。 この曲はヒットすべくして、ヒットした。 といえる一曲だ。 間違いなく来年も多くの人に聴かれていることだろう。
次の【Official髭男dism】ヒゲダン「カラオケ」曲別歌いやすさまとめ!! ノーダウト 音程 4 リズム 3. 5 表現力 3 盛り上がり 5 総合難易度 3. 5 ノーダウトは盛り上がりには欠かせない曲ですね! 盛り上がる曲なので、Official髭男dismの曲の中では、ノッテしまえばリズムは比較的取りやすいのではと感じました。 思わず手拍子を入れたくなりますね! ただし、音程を取るのはかなり難しいと感じています。 高音部分は、男声では厳しいにも関わらず、急に高音部分が来たりするので音を正確に当てるのが難しいです。 さらに、サビの入りなど、コードとずらした音などもあり、音程難易度は非常に高いと感じました。 それでも、Official髭男dismの曲の中では 比較的歌いやすい曲です! 声が全体的に低めの方は1オクターブ下げても歌いやすいですよ! この曲をマスターできれば、様々な曲で音程が安定するのでは! 115万キロのフィルム 音程 3 リズム 2. 5 表現力 5 盛り上がり 3 総合難易度 3. 5 この曲をうまく歌えれば、確実に意中の女性を射貫くことができるでしょう!それくらい、美して綺麗なラブソングです! そして、落ち着いたメロディ(リズム)で、基本べースは高い音ですが、急な高音なども特にないため、 比較的カラオケで歌いやすい曲だと思います。 とにかく表現が大事だなと感じる一曲です! 声が全体的に低めの方は、1オクターブ下げるとかなり楽になりますが、 表現力をつけるのがとても難しくなります。 Pretender 音程 5 リズム 4 表現力 4. 5 盛り上がり 4 総合難易度 4. 5 言わずと知れた、超有名曲ですよね! バラードだけど、全くバラードっぽくなくて、みんな知ってますのでとても気軽に歌えます! ですが、実際に歌ってみると、この曲は出だしから音域が広く、リズムもかなり独特でかなり難易度が高く感じました。 Official髭男dismの曲の中では、 とても難しく、歌いにくい曲です。 1オクターブ下げると逆に低く感じる部分も多く、声が全体的に低めの方でオクターブ下げて歌う方でも 難しく感じると思います。 よく聞く曲ですが、歌ってみるととても難しく感じる曲です! 宿命 音程 4 リズム 3. 5 表現力 3. 5 盛り上がり 5 総合難易度 4 夏の高校野球応援ソングということもあり、男同志で歌いやすい曲です! ただ、かなり繊細に歌いこまれている部分などあり、音程は結構難しいと思います。 特にサビに入るまで(Aメロ、Bメロ)がとても難しい印象を受けました!そして、サビがめっちゃ高い!! サビのリズムは、慣れてしまえばほぼ一定なので、歌いやすいのではないかと思います。 (休符を意識!) 音程が難しいですが、Official髭男dismの曲の中では、サビに向かって綺麗に盛り上がっていくので、 そこそこ歌いやすい曲です。 声が全体的に低めの方は、1オクターブ下げるとかなり楽になりますが、サビに入るまで(Aメロ、Bメロ)をより丁寧に音程を合わせる必要が出てきます。 イエスタデイ 音程 5 リズム 3. 5 表現力 4. 5 盛り上がり 4 総合難易度 4. 5 私自身も一番好きな曲で、魅力がたくさん詰まった曲ですが、それだけカラオケでの難易度は高いです、、 実際に歌ってみると、リズムは比較的難易度は高くはありませんが、音域がとても広く、音程の難易度はかなり高めです! Bメロ(「本当はいつでも~」の部分)では、声の低い男声でも原キーで歌えてしまうくらい低くなり、一瞬でサビの高音に変化!音合わせるのしんどい!! Official髭男dismの曲の中では、とても難しいですが、 音域が広い方は歌いやすいかもしれません! ただし、声が全体的に低めの方は、ずっと1オクターブ下げて歌っているとサビ前は原キーで歌いたくなると思いますが、サビは非常に高音なので、サビに入ったらオクターブ下げるなどの対処が必要になってくるため、 かなり歌いずらいです。 それでも、歌うととても気持ちのいい一曲となっていますので、チャレンジしてみては! I LOVE… 音程 5 リズム 5 表現力 5 盛り上がり 3. 5 総合難易度 5 一言でいえば、「歌わせる気あります??」というくらい難しく感じました。 音程もリズムも高難度です!(クラップだけ参加したい!) それでいて、表現力も必要になってきます。 (一度目のサビ終わった後などは、すっと雰囲気変わるところなど) Official髭男dismの曲の中では、 トップレベルで難しく、歌いやすい曲では決してありません!(音域にあまり関係なく難しいと思います。 ) とてもいい曲ではあるので、歌に自信のある人は是非チャレンジしてみてください! まとめ:Official髭男dismの曲はとにかく難しい! Official髭男dismの有名な曲6曲に着目して、歌いやすさなどをまとめてみました。 まとめると、 全部難しい!!!(すいません) その中でも比較的歌いやすいと感じたのは 「ノーダウト」、 「115万キロのフィルム」、「宿命」です。 いろんな歌を歌ってみて自分なりにキーを合わせてみたり、歌いやすい曲を見つけてみてください。
次のヒゲダン(Official髭男dism)、ビルボード国内1・2位を独占 ボーカルとキーボードを担当する藤原聡 28 をはじめ、 島根大学と松江工業高専の卒業生からなるメンバーは、それぞれ複数の楽器をこなす強者ぞろい。 リーダーを置かず、自由な議論から生まれるアレンジが楽しいポップソングは、たちまちチャートを席巻。 かく言う筆者も、ある日、MTVから流れてきた 「Pretender」に一発でやられてしまいました。 とにかく、演奏、歌、曲、詞が、それぞれ高いレベルでバランスを保っていることに驚いたのです。 とはいうものの、特に奇抜なことをしているわけではありません。 革新性を売りに未来の音楽を打ち出すのでもなければ、知識や理論を駆使してリスナーにレッスンをするわけでもない。 それとは逆に、 良い意味で、ただのポップスなのです。 Jポップに馴染んだ耳ならば、琴線に触れるフレーズがそこかしこにある。 その点では、安心して聴けるバンドだと言えるでしょう。 ただし、繰り返し聞いていくと、プレゼンテーションの瞬発力が異質なことに気づきます。 歌の一言一句、演奏の一音に至るまで、キレ味が段違いだからです。 「Pretender」は令和初の名曲 まずは、演奏から。 リズムをキープする行為に、とてつもない説得力があるのですね。 ザクザクと刻まれた8分音符が、歌っているかのように生き生きとしている。 最もよく表れているのが、サビの<その髪に触れただけで>という箇所です。 ボーカルの藤原聡は、この部分を一音ずつバラバラに聞こえるように歌っています。 楽器は、これに応える形でリズムの後ろ足を短く切り落としていく。 すると、傍点を打つように、言葉が強調されるのですね。 当然、メロディにもメリハリが出てきます。 歌と演奏のベクトルが一致することで、シンプルなリズムが楽曲に意味を与える鼓動になり得ることを教えてくれるわけです。 こうした土台があるからこそ、歌メロとハーモニーのセンスも光るのですね。 同じところになりますが、 <その髪にふれただけで>から始まる、下降していくベースライン。 このスムーズな開放感がたまりません。 ほとんど定型句のようなコード進行なのに、古びて聞こえないのはお見事。 歌詞も韻を踏みつつ、きちんとストーリーの流れを保っていますし、そのあらすじの起伏を分かりやすく伝える曲線的なメロディと、ダイナミックな和音の使い方にはスケールの大きさを感じます。 ただキーが高いだけでなく、役者的な表現力に優れている藤原聡のボーカルにも華がある。 ストリーミングチャートで11週連続1位になったのも納得。 個人的には、令和初の名曲に推したい1曲ですね。 親しみやすさの裏に、ピリッと玄人の顔がのぞく。 新時代にふさわしい、魅力的なバンドの誕生です。 <文/音楽批評・石黒隆之>.
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