図5 感染から発病まで 結核の典型的な経過を辿った症例をご紹介いたします Aさんは60歳代男性です。 もともと健康で大きな病気にかかったことはありませんでした。 1発病 ある時から咳が出始めたため、風邪と思って手持ちの風邪薬を服用し、3~4日で症状がやや軽くなったので、そのまま放置していました。 2発熱 2週間後再び咳が出始めました。 このころから夕方になると37. かかりつけ医を受診したところ、「風邪のぶり返し」と言われ、抗生物質や解熱剤、咳止めなどが処方されました。 4入院 結核病床のある病院を紹介され直ちに入院し、標準的治療による治療を開始しました。 5治療の進行 治療開始後2カ月後の結核菌塗抹検査で結核菌検査が3回続けて陰性になりました。 6退院 カンファランスが開かれ、病院の医師や看護師、ケースワーカー、それと地域の保健師などが検討し、Aさんの今後の治療について検討されました。 7外来受診 外来での治療は2剤だけとなり、毎月受診して1カ月分の薬をもらい、それを毎日服用することになりました。 また、保健所から交付された「服薬手帳」のカレンダーに妻が[服薬済み]のマークを記入して、外来受診の時に主治医がチェックし、確認のサインをもらうという方法がとられました。 図6 診断から治療完了までの経過 結核は患者さん本人だけの問題ではありません Aさんのまわりの方に感染が広がっていないかどうか調査(接触者検診)をしました Aさんの入院に伴って保健所の保健師が面会に来院し、病気や治療の説明をしながら、発病前後のAさんの生活について尋ねました。 その結果に基づいて、保健所はAさんから結核感染を受けそうな人の範囲を決めました(妻、咳をし始めてから何回か訪ねてきた子どもの家族、何回か通った近所の碁会所の仲間など)。 これらの人々には保健所から連絡して健康診断を受けてもらいました。 検査の結果、妻は病気は起こしていないが感染を受けた可能性があるとのことで発病予防の治療が行われました。 子どもの家族は全員感染はありませんでした。 碁会所の仲間にもX線検査により異常がないことが確認されました。
次のスポンサーリンク もしかしたらご自分が膠原病かもしれないと疑いを持った場合には、病院で記入する問診票の項目をチェックするというという方法をおすすめします。 膠原病で受診する診療科は、膠原病科もしくはリウマチ科となります。 受診した場合、治療は問診票から始まるのですが、問診票に記載された項目の症状に該当するかどうかと、該当する項目がある場合には、その症状が始まった時期についても記入するようになります。 病院で記入する問診票の項目を自宅でチェックするという方法で、疑いをより確実にさせることが可能となります。 膠原病の疑いがある場合のチェック内容については、関節痛、口内炎・口内のただれ、顔面紅斑・ほおの赤い皮疹・手の紅斑、日光過敏症、唾液が出ない、目がゴロゴロする、冷たい空気にあたると手足の指先が真っ白になる、指の皮膚が硬くなった、筋肉が痛む・筋力が落ちた、血栓症になったことがある、家族や親族に膠原病やリウマチの人がいる、頭髪に脱毛があった、手足にしびれを感じたことがあるというような項目のチェック方法となります。 そして、チェックがついた症状が続く場合には、膠原病の疑いがありますので専門外来で受診されることをおすすめします。 この問診票の項目によるチェック方法は、自宅で簡単に行うことができる簡易的な診断方法となります。 スポンサーリンク 膠原病は、ほかの病気と似た症状が起こることが多い疾患となりますので、診断がつきにくいという特徴があります。 原因不明の発熱や関節痛のような症状が続く場合には、膠原病の疑いを持ち、専門の診療科を受診されることをおすすめします。 しかし、医師によってすら見逃されることもある自己免疫疾患となりますので、診察を受ける際には医師が「日本リウマチ学会専門医」を取得しているかどうかをチェックするという方法をおすすめします。 もっとも見落とされがちな症状が、精神症状となります。 軽重の差はあっても、多くの膠原病の患者さんに不安感や抑うつ状態などの症状が見られます。 このような場合、ほとんどの患者さんは心の病気を疑い心療内科などを受診するのですが、処方された薬を飲んでもこの方法では良くなることはありません。 精神科医が少しでも自己免疫疾患の可能性を疑い、専門医にかかるようにアドバイスしてくれると、患者さんの予後は大きく違ってきます。 スポンサーリンク.
次の奈良県医師会 竹川 隆 人の体の細胞を支えている「膠原線維(こうげんせんい)」というところに、主に炎症性の病変(発赤・発熱・疼痛・腫脹)が見られる病気をまとめて「膠原病」と名付けています。 「膠原線維」とは、細胞と細胞を結びつけている「結合組織」の構成成分の一つです。 結合組織は全身に存在し、細胞への栄養分を補給し細胞からの老廃物(ろうはいぶつ)を排除するなど、各細胞が生きていくことに深く関わっています。 炎症が生じる原因は、血液中で自分自身の組織や細胞に対して攻撃を加えてしまう抗体のはたらきによるものと考えられています。 しかし、完全な病態の解明はできていません。 主な治療薬は副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイドを中心とする免疫抑制剤(めんえきよくせいざい)です。 近年では、最新の技術により開発された「生物学的製剤」の導入で治療概念が大きく変化し、特に、関節リウマチに関して治療効果が飛躍的に向上しています。 膠原病には多くの病気があり、その症状は様々ですが、発病初期にはある程度共通する症状がみられます。 典型的な症状には、原因不明の発熱、関節や筋肉の痛みやこわばり、皮膚の発疹(ほっしん)、黒ずみ、手の指先が白くなったり紫色になるなどがあります。 その他に、リンパ腺の腫(は)れ、手足のむくみ、体重の減少、疲労感などの症状がでることもあります。 注意が必要なのは、これらの症状の全部が同時に生じるわけではなく、初期は日常生活に支障がなくても、徐々に悪化し、慢性化してゆくことです。 早期に発見し、早期に治療することで、症状を軽くしたり、進行を食い止めることもできるため、初期症状を見逃さないことが重要です。 膠原病とされている疾患を次に挙げておきます。 現在ではこれらに加えて、シェーグレン症候群、顕微鏡的多発血管炎、Wegener肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、過敏性血管炎、ベーチェット病、コーガン症候群、側頭動脈炎、成人スティル病、リウマチ性多発筋痛症、線維筋痛症なども膠原病・膠原病類縁疾患に含まれます。 膠原病の初期症状に気づいたら、かかりつけ医に相談しましょう。
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