ただし、両親がともにA型だからといって、子供が必ずA型になるとは限りません。 それは、ヒトが 二倍体生物(染色体が2本で1セット)だからです。 すなわち、 対立遺伝子も2つもっているので、両親がA遺伝子とO遺伝子を持っており、 かつ、両親からそれぞれO遺伝子を子供が受け継いだ場合、両親は確かにA型ですが子供はO型になります。 そのため、血液型から「自分は本当にこの両親の子供なのだろうか」という疑念を拭い去ることは難しそうです。 両親がO型なのに自分がA型…などの場合には要注意ではありますが。。。 一応の補足として、血液型の違いは赤血球表面の糖鎖の結合形質に起因しているため、例外はごくまれにあるということを述べておきます。 加えて、遺伝性の強さがA遺伝子=B遺伝子であるため、優劣のつかない場合もある(共優性)、 つまり 「優性の法則」が当てはまらないケースの例でもあります。 スポンサーリンク 「対立遺伝子は、生殖細胞(卵子や精子)が形成されるときに分離され、一方の遺伝子のみが1つの生殖細胞に含まれる」という法則 のことです。 つまり、「 子供がもらう遺伝子は、母親から1つ、父親から1つで均等」ということです。 子供が母親似、父親似という表現をしばしば耳にしますが、遺伝子的には平等に受け継いでいるわけですね。 この 「分離の法則」は、メンデルの3法則の中で最も重要で、今現代でも当てはまる「遺伝の根本原理」を述べています。 メンデル遺伝の法則:「3、独立の法則」 独立の法則とは 異なる対立遺伝子同士に関連性はなく、それぞれ独立して生殖細胞へと分配される」という法則 のことです。 つまり、「 別の種類の遺伝子は、他の遺伝子に影響しない」ということです。 両親が金髪だからと言って、目の色まで金色にはならないということです。 ただし、別の種類の遺伝子でも、対立遺伝子同士が同じ染色体上にある場合には当てはまりません。 以上の3つが「メンデルの法則」といわれる遺伝の法則です。 いずれも偉大な発見だったのですが、 なぜ他の研究者ではたどり着けなかった解に、メンデルだけが到達できたのでしょうか。 以上、『メンデル遺伝の法則ー血液型の具体例と優性・分離・独立の法則まとめ』でした! 次の章では、 メンデルが前人未踏の法則を導いた秘訣について解説していきます。
次のここでは、メンデルの遺伝法則を蝶の例で見てみましょう。 遺伝とは 遺伝(いでん)とは、ある生物の形や、性質を(両方合わせて「 形質(けいしつ)」と呼びます)親から子に受け継ぐことです。 生物は 遺伝子(いでんし)を親から子に受け渡すことで、その形質を子孫に伝えていくことが出来ます。 遺伝により親から子にその形質が受け継がれる。 遺伝子は DNA(デオキシリボ核酸(かくさん))の塊という形で、DNAは更にヒストンというたんぱく質の一種に巻き付いています。 そしてそのDNAが巻き付いたヒストンがらせん状となり、 染色体(せんしょくたい)を形どります。 染色体は、細胞の核に納められ、その生物がどの様な形になり、どの様に行動するかなどの情報を細胞に伝える機能があります。 多くの生物はオスとメスが、それぞれの半分の染色体を卵と精子に渡し、その互いの遺伝子を半分ずつ受け継いだ子孫が生まれます。 人間の場合、46本の染色体があり、みなさんは、お父さんやお母さんの染色体を23本ずつ受け継いでいますので、「お父さんに似ているね」とか、「お母さんそっくりね」などと言われることになる訳です。 メンデルの遺伝法則 オーストリアの僧侶・植物学者であった、 グレゴリー・メンデル(Gregor Johann Mendel、 1822-1884)はエンドウ豆などを研究しているときに、かけ合わせ方によって遺伝にある法則性があることを発見しました。 残念ながら、彼が生きている間に世界で認められませんでしたが、1900年に複数の学者らによってこの法則が証明されました。 メンデルの法則には第一法則、第二法則、第三法則があります。 第一の法則は優劣の法則と呼ばれ、第二は分離の法則、第三は独立の法則です。 優劣(ゆうれつ)の法則 遺伝子の話をするときに、 遺伝子型(いでんしがた)という表現があります。 これは、「ある特徴に影響する遺伝子」を表した言葉です。 例えば、ある遺伝子はAとaという2つの種類があり、成虫はそれをいずれか2つ持っていとします。 Aという遺伝子は翅が白くなる遺伝子で、aという遺伝子は翅が黄色くなるとしましょう。 子は親のオスとメスからひとつずつその遺伝子を受け継ぐので、親が持っている遺伝子型によって、「AA」、「Aa」、「aA」、「aa」といった四つの遺伝子型を持つ子が生まれる可能性があります。 ここではモンキチョウを例にとってみましょう。 「aa」という遺伝子型を持った黄色い翅のオスと、「AA」という遺伝子型を持った翅が白いメスがいるとします。 これらの蝶が精子や卵を作るときは、「aa」のオスはこれを一つずつ分けて「a」と「a」の精子を作り、「AA」のメスは同様に「A」と「A」の卵を作ります。 そして、このペアが受精した時は、「a」+「A」の「aA」または「Aa」という遺伝子型を持った子孫が誕生します。 そして、「a」の様に遺伝子の中に存在していても、優性遺伝子によってその働きを抑えられてしまうものを 劣性遺伝子(れっせいいでんし)と呼びます。 優性・劣性とありますが、決して劣性遺伝子が優性遺伝子より劣っている遺伝子という意味ではないので、気を付けてください。 この現象を 「劣性の法則」といいます。 通常優性遺伝子は英字大文字で、劣性遺伝子は英字小文字で表されます。 (注意)ところで、モンキチョウに翅が白いオスはいません。 これはこの翅の色をコントロールする遺伝子がメスにしか機能しない、 限性遺伝子(げんせいいでんし)だからです。 よって、実際に野外で見られる翅が白いモンキチョウはメスだけです。 分離(ぶんり)の法則 上記の例を続けて見てみましょう。 これらの子供は 第一代、または F 1(えふいち)と呼ばれます。 では、このF 1同士を交配させるとどうなるでしょう。 AaのオスはAの遺伝子を持つ精子と、aの遺伝子を持つ精子を作り出します。 そしてAaのメスも同様にAとaの卵を作り出します。 AA、Aa、aAの遺伝子を持つメスは、優性遺伝子「A」の働きで翅が白くなります。 一方aaの遺伝子を持つメスは、優性遺伝子「A」がないため、その働きが抑えられないため、翅が黄色くなります。 よってここで翅が黄色いメスが発生します。 この様に最初の親と第一代で現れなかった黄色いメスが第二代で現れる様な現象を 「分離の法則」と呼びます。 独立(どくりつ)の法則 上の例以外に、例えば翅の形が変わる遺伝子があるとします。 この様に違う遺伝型がそれぞれ独立して子孫に遺伝することを 「独立の法則」といいます。 この場合、産まれてくる子供は• 白くて普通の翅(AABB, AaBB, aABB, AaBb, aABb, AabB, aAbBなど)• 白くてギザギザの翅(AAbb, Aabb, aAbb)• 黄色くて普通の翅(aaBb, aabB, aaBB)• 黄色くてギザギザの翅(aabb) の4種類が現れることになります。 ここで紹介した例はメンデルの法則のみで、最近では決して全ての生物が上記法則に従っているわけではないことが分かっています。 詳しく遺伝のことについて知りたい場合はを参考にしてください。 阿江茂. 1997. チョウと共に生きる. 東京; 裳華房. 池北雅彦・小原康治. 2000. 遺伝子のしくみ. ナツメ社.
次の形質 生物の形や色、大きさなどの特徴のこと。 遺伝子によって発現(見た目に現れること)される。 白と赤など、対立した形質を「対立形質」という。 メンデルは、背の高いエンドウ同士、背の低いエンドウ同士を、数年にわたって掛け合わせ続けました。 すると、しだいに、背の高いエンドウ同士を親に持つエンドウは背が高いものばかりになり、背の低いエンドウ同士を親に持つエンドウも、背の低いものばかりになりました。 実はこの時、メンデルが掛け合わせを始めてから数年たったエンドウは、背の高い遺伝子のみを持つエンドウか、背の低い遺伝子のみを持つエンドウしかいなくなっていました。 つまり、 実際には背が高いけど、背の低い遺伝子も隠し持っているようなエンドウが、数年にわたる掛け合わせの後に、いなくなったのです。 このように、 ある形質(ここでは、背の高さ)に注目したとき、片方の遺伝子しか持っていない個体や系統(親子、孫などのグループのこと)を、純系といいます。 劣性 対立形質を持つ純系同士の交雑で、F 1に表れない方の形質のこと。 このことから、メンデルは、ある1つの形質(ここでは、背の高さ)に関する遺伝子は、各個体の中に2つあり、それらは、それぞれ父母から1つずつ子供に受け継がれたもので、2つのうち優性の形質が表れるのではないかと考えました。 もしも、1つの遺伝子しか受け継がれなかったら、F 1は優性の遺伝子しか持っていないということになるので、F 2で劣性形質が表れたことの説明がつかないためです。 そうすると、 子世代ではすべての個体が優性形質と劣性形質の遺伝子を持ち合わせていることになるので、すべての個体で優性形質があらわれたのだと納得できます。 もう少し分かりやすくまとめてみましょう。 ある形質について、優性の遺伝子をY、劣性の遺伝子をyとすると、P(親世代)の純系のエンドウの遺伝子は、背が高いほうがYY、背が低いほうがyyとなります。 ここから生まれる F 1(第 1世代)では、すべて Yyという組合せになるので、優性である Yの遺伝形質のみが発現し、すべてが背の高いエンドウになりました。 ところが F 2(第 2世代)になると、以下のように、 YY、 Yy、 yY、 yyの 4通りの組み合わせがありえます。 つまり、 優性Yを含むものが3通りあり、これらは優性形質が発現します。 そして、劣性のyのみからなるものが1通りあり、この個体は劣性形質が発現します。 ところで、ここまで見てきたように、ある形質に関する遺伝子は、生物の中に2つ存在し、それが YYだったり、 Yyや yYだったり、 yyだったりするわけです。 このうち、同種の遺伝子が組み合わされた YYとyyをホモ接合と呼びます。 ホモとはギリシャ語で「同じ」という意味です。 最初に作られた Pのような、純系の遺伝子の組み合わせはホモ接合であるといえます。 分離の法則 対立遺伝子を持つ個体では、配偶子形成において、対立遺伝子は 1: 1に分離する。 メンデルはエンドウ豆の背の高さだけではなく、種子のしわの有無、子葉の色の違いのようなほかの形質の差にも着目して同様の実験を行い、同様の実験結果を得ることができたので、 遺伝子による形質は分離されるものであると考えました。 また、優性の法則と分離の法則があるために、 F 2の表現型における優性形質と劣性形質の比率は 3:1となります。 さきほど見たように遺伝子型には 4つの組み合わせがありえ、そのうち優性遺伝子が含まれる組み合わせが 3種類ですから、 表現型においては優性:劣性の比率は3:1となります。 広義では、この F 2における表現型の比が 3: 1になることについても分離の法則の内容に含まれます。 また、優性の法則と分離の法則から、ある個体の遺伝子型を調べることができます。 調べたい個体に、劣性ホモの遺伝子型をもつ個体を交配させると、子供世代の発現型の割合が、親の遺伝子型の割合と一致することを利用しています。 これを検定交雑と言います。 こちらも、エンドウ豆の例で見ていきましょう。 エンドウ豆には、背が高い・低いといった他にも、できた豆の表面が丸くてツルツルのものと、しわがあるものという対立形質があります。 メンデルは、これらの形質に注目しました。 背が高くしわのある豆と、背が低くしわのない豆をかけ合わせたときに、子世代に受け継がれる背の高さ・しわの有無という形質は、それぞれ独立して遺伝します。 つまり、 「背が高いエンドウは豆がしわになりやすい」とか、「背が低いエンドウには豆の表面がツルツルのものがほとんど無い」といったことは起こらないということです。 ただし、分離の法則が成り立つためには、注目した形質に関わる遺伝子が、別の染色体に含まれるということが条件です。 背の高さに関する遺伝子を Yy, 豆の表面に関する遺伝子を Xxとし、この 2つの形質に注目すると、ある個体からできる配偶子は、 Yと Xが含まれたもの、 Yと xが含まれたもの、 yと Xが含まれたもの、 yと xが含まれたものの 4種類になります。 ちなみに、優性の法則についての実験では、エンドウ豆の背の高さという一点のみに着目しましたが、このように1種類の対立形質のみに着目してつくられた雑種を一遺伝子雑種と呼びます。 これに対して、独立の法則についての実験では、背の高さに加えて豆の表面のしわの有無にも着目しましたが、このように2種類の対立形質に着目してつくられた雑種を二遺伝子雑種と呼びます。 つまり、 着目する対立形質がn種類であれば、それによって作られる雑種をn遺伝子雑種と呼ぶということです。 【不完全優性】メンデルの法則には例外もある? 後年の研究によって、メンデルの法則に従わない例も知られるようになりました。 それは、不完全優性と呼ばれるものです。 このタイプの遺伝のポイントは、対立形質のどちらの遺伝子も強さが同じで、優性・劣性がないという点です。 マルバアサガオには、赤い花を咲かせる遺伝子 rと白い花を咲かせる遺伝子 wがあります。 これらの花をかけ合わせると、 F 1はすべて rwの遺伝子型をもつことになります。 このとき、どちらも優性ではないので、花の色は赤と白の中間色であるピンクになるのです。 このような、 両方の形質が混ざり合った雑種を中間雑種と呼びます。 次に、中間雑種である F 1同士をかけ合わせて生まれる F 2の遺伝子型は、 rr、 rw、 wr、 wwの 4種類になり、このとき花の色は rrが赤、 rwと wrがピンク、 wwが白となります。 この場合、メンデルの優性の法則および分離の法則に従っていません。 このような場合を不完全優性と呼びます。
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