陸上競技のハードル走は通常の走りと違って、 障害物を乗り越える必要があります。 そのため、普通に走る練習だけではタイムを上げることは難しい競技となります。 では、ハードル走のタイムを上げるためにはどのような練習法があるでしょうか? ハードル走特有のポイントに絞って、考察してみます。 ハードル間と歩数 まず、ハードル走の特徴であるハードルですが、 ハードルの間隔は決まっているため、いかにその間をきれいに走るか、 一定の歩数で走るか、が重要なポイントとなります。 そこで、今回はハードルまでの距離とハードル間でいかに踏切のときの歩調を合わせるかについて考察してみます。 まず最初のハードルまでの距離ですが、 110mハードルでは13. 72m、100mハードルでは13mです。 スタートは通常の100m走と同じようにクラウンチングスタートが採用されるため、 最初のハードルに到達するまでに体を起き上がらせる必要があります。 一般的には、最初のハードル(第一ハードル)までの歩数は8歩が理想とされているようです。 クラウンチングスタートから8歩で体の体制を整える必要があるため、 通常の100m走などのスプリント競技よりも体幹が重要になるといえるでしょう。 また、ハードルを飛び越えることを考えると、 ハードル地点で跳ぶのではなく、それよりも手前で跳ぶことになると思います。 そのため、実際に自身でハードルを超えるときに飛びやすい距離を知っておく必要があります。 ハードルより数十センチ手前のところで踏み切ると跳びやすいという状況を体に覚えさせることで、 走るための戦略を考えることが出来るといえます。 また、ハードル間の距離ですが、 110mでは9. 14m、100mでは8mとありますので、 この間でいかに歩数を合わせることが出来るかも重要なポイントです。 このハードル間の歩数ですが、踏み切りの足を合わせることもあり、 4歩以内が理想といえるようです。 ハードルの跳び方 次に、ハードルの跳び方について考察してみます。 ハードル走は障害物走といわれるだけあり、ハードルの高さが約1m程あるため、 普通に跳び越えるだけでも一仕事となります。 そのため、跳び方をマスターすることでタイムを伸ばすことが可能となります。 では、跳び方について考えてみますといろいろとわかってきました。 まず、ハードルを越えるための動作ですが、 走る体制から大きく変わってしまったら、また走り出すために体制を戻すという動作が必要となるため、 できるだけ走る体制を維持したままハードルを飛び越えることが大前提となります。 また、ハードルも一つだけでなく10個あるため、着地時に姿勢が崩れることもあまりよくはありません。 これらの条件を考えると、跳ぶ動作の時と走る動作の時の両方とも上半身の体勢を変えないことが重要だといえます。 上半身をできるだけ変えずに1m近くのハードルを飛び越えるためにはどうすればいいか考えることをメインに考察してみます。 まず一番重要なポイントですが、体の軸がぶれないようにするため、体幹を鍛えることが必要となります。 体幹は、体の外側の見える筋肉ではなく内側の筋肉(インナーマッスル)がメインとなりますが、 今回の記事ではインナーマッスルの鍛え方については割愛させていただきます。 では、体幹が鍛えれていることを前提にハードルの跳び方について考えてみます。 まず、1m程のハードルを飛び越えるためにもしっかりと足を踏み切って高く跳ぶようにします。 その時に、上に飛ぶほうに力を入れすぎると前にすすむ力が失われてしまっては、タイムに影響が出ますので、気を付けてください。 上記を気を付けると踏切位置はハードルよりだいぶ手前の位置になると思います。 実際に、いろいろと試して自分の踏切位置を覚えてみてください。 次に、足を上げる動作ですが、前述した通り上半身はなるべく走る動作から変わらないことを想定すると できるだけ体に足を近づけることが重要となります。 陸上のトップ選手の動きを実際に見てみると、踏み切った脚は前に、もう片方の足はほぼ真横に曲げていることがわかります。 これを見る限り、ハードル走の選手は体の柔軟性も求められることがわかります。 通常の走りでも柔軟性は重要だといわれていますが、 ハードル走ではさらに柔軟性が求められる競技とも考えられます。 以上、簡単ですが、ハードル走のタイムを上げるポイントについて考察してみました。 ぜひとも実践してみてください。
次のオープニング (オープニングタイトル) scene 01 ハードルが高い? 『全世界体育首脳会議(しゅのうかいぎ)』の会場。 「では次は…、博士博士(はくし・ひろし)博士(はかせ)」と議長(ぎちょう)が言いました。 博士が発表します。 「は、はい! えー、体育の活動をもっと広めるために、『体育の日』を年に一回から、月に一回に…、一家に一台鉄棒(てつぼう)を配り…、学校の授業(じゅぎょう)は全部体育に…」。 みんなは「そんなのむりだろ」「むちゃくちゃだよ」「ハードル高いな」と口々に言います。 議長も、「これ全部むずかしいよ。 ハードルが高すぎるなぁ」と言いました。 「ハ、ハードル? 体育ノ介! さっそく、今日のミッション。 ハードル走に挑戦(ちょうせん)だ!」。 scene 02 ハードル走にチャレンジ… 「ハードル走、実行!」。 トラックを走り出す体育ノ介。 しかし体育ノ介、スピードに乗れず、ハードルに引っかかりそうでうまくとべません。 とうとう足を引っかけて転んでしまいました。 何度もチャレンジしますが、できません。 scene 03 お手本のデータをダウンロード 「なぜだ? なぜなのだ?」。 博士がパソコンで調べると、『体育ノ介の足の速さは時速5km もっとがんばりましょう』と出ました。 「ほぼ歩いているスピードじゃ。 これではスピードがおそすぎる。 ようし。 もっと速く美しく、ハードルをとびこえる方法(ほうほう)をプログラミングじゃ」。 パソコンで検索(けんさく)してさがします。 「お、井村久美子(いむら・くみこ)さん。 2008年、北京オリンピックに走りはばとびで出場。 100mハードルでは日本歴代(れきだい)2位の記録(きろく)を持つスプリンターじゃ。 井村さんにおねがいしよう! さっそく、井村さんのハードル走のデータ、ダウンロード!」。 scene 04 ハードル走「できるポイント」その1 井村久美子さんの、ハードル走のお手本です。 「ハードル走が、『できるポイント』。 ふみきりに向け、スピードを上げる!」。 scene 05 ハードル走「できるポイント」その2 「次のハードルまでは、イチ、ニ、サン! テンポよく3歩で!」。 scene 06 ハードル走「できるポイント」その3 「ふみきりはハードルの遠くから! 上体を前にたおしながら、うでを前に出す。 さらに、足も前につき出す!」。 scene 07 ハードル走「できるポイント」その4 「うしろ足はひざを曲げ、横にしてぬく!」。 scene 08 ハードル走「できないポイント」その1 つづいて、体育ノ介の『できないポイント』分析(ぶんせき)です。 「ハードル走が、『できないポイント』。 小また走りになり、スピードが上がっていない! ふみきる足が、ハードルに近すぎる!」。 scene 09 ハードル走「できないポイント」その2 「上体が前にたおれていない! うでが前にのびていない! さらに、足を前につき出していない! うしろ足が横になっていない! これではハードルに引っかかってしまう」。 ここで、博士は体育ノ介に『できるポイント』をインストールしました。 scene 10 できるポイントチェック! ハードル走ができるポイントをチェック。 「ふみきりに向け、スピードを上げる。 完了(かんりょう)! 次のハードルまでは、イチ、ニ、サン、テンポよく3歩で。 完了! ふみきりはハードルの遠くから。 完了! 上体を前にたおしながら、うでを前に出す。 さらに、足を前につき出す。 完了! うしろ足はひざを曲げ、横にしてぬく。 完了! 高いハードルをこえたのう…。 みごとじゃ、体育ノ介!」。 scene 11 ハードル走のコツ 井村さんが教えてくれる、ハードル走のコツ。 「ハードルは、目の前に高いものがあると、とべないというふうに思いがちになるんですが、ハードルをとびこえた達成感(たっせいかん)をイメージして、ぜひ、楽しくチャレンジしてみてください。 ハードルをとぶことはとても楽しいので」(井村さん)。 scene 12 みんなもやってみよう! みんなもやってみましょう。 ポイントが多いハードル走。 どこを撮(と)って研究したらいいか、今日はいっしょに考えてみましょう。 ふみきり足を撮るのにいちばん効果的(こうかてき)な場所をさがすのです。 意見が分かれたときは、アスリートの映像(えいぞう)を参考(さんこう)にしましょう。 お手本を見習って、横から撮ってみましょう。 足が引っかかりました。 映像を見ると、ふみきるところが遠すぎることがわかりました。 「なるほど! いいぞ、みんな。 その調子じゃ!」。 ところで、ハードルのような障害物競走(しょうがいぶつきょうそう)はどのようにして生まれたのでしょう。 scene 13 ハードルの歴史 ハードルの歴史(れきし)。 それは中世ヨーロッパにさかのぼります。 貴族(きぞく)たちは馬に乗り、小川や柵(さく)など障害物(しょうがいぶつ)をとびこえ、乗馬を楽しんでいました。 一方、馬に乗れない人たちは、自らの足で野山をかけ、障害物をとびこえて楽しみました。 「なんとも、はりきり元気ピープルじゃのう」。 そして19世紀になると、野山ではなく、競技場(きょうぎじょう)の中で障害物をとびこえる競技、つまり『ハードル走』が確立(かくりつ)したのです。 「馬なんて使わなくたっていい。 とびこえることは楽しいのじゃ。 いやっほう!」。
次の体育の授業や部活でハードルをするのが苦手な方は多くいると思います。 実際に私もハードル走が好きではありませんでした。 ハードル走が苦手な方や嫌いな方は、とにかくハードルにつまづいてこけたり、ぶつかって痛い思いするのが怖いという方がほとんどです。 そのため、ハードル走を速く走るためには、ハードルに対する恐怖心を取り除くことが最優先事項だと思います。 逆にハードル走のこつを掴みますと、意外にハードル走の面白さに気づくかもしれません。 私もハードル走は嫌いでしたが、上手く出来るようになると、リズミカルにハードルを越える事が楽しくなってきました。 この記事では、ハードル走が苦手な人向けに、ハードル走を速く走るためのコツと練習方法についてお話していきたいと思います。 ハードル走の概要 ハードル走をする上で一番知っておかなければいけない事は、ハードルの数、ハードルの高さ、1つめのハードルまでの距離、インターバル ハードル間の距離 です。 種目 対象 ハードル数 ハードルの高さ 1台目までの距離 インターバル 男子110m 一般 10 1. 067m 13. 72m 9. 14m 中学男子110m 中学1年~中学2年 10 0. 914m 13. 72m 9. 14m 少年B男子110m 中学3年~高校1年 10 0. 990m 13. 72m 9. 14m 男子400m 一般 10 0. 914m 45. 00m 35. 00m 女子100m 一般 10 0. 838m 13. 00m 8. 50m 女子400m 一般 10 0. 762m 45. 00m 35. 00m これらの数値をきちんと理解しておく事が、ハードル走をする上で技術面や精神面でも大きく変わってくるので必ず覚えておくようにしてください。 これが最初のハードル走を速く走るためのコツと言えます。 例えば、野球でも相手投手の投げる球種や軌道がある程度分かれば打席に入るときに有利になりますし、普段料理しない人がレシピがあるのと無いのとでは料理の出来に大きな差がつくのと同じ事です。 勿論、上記は競技大会用ですが、学校の授業でおこなう場合も、厳密でなくても、きちんと測定してハードルを置いたり、ハードルの高さを調整するので、やはり数値を覚えておいて損はしないと思います。 小学生や中学生の授業で50mハードルを行なう場合も多いと思いますが、インターバル以外は半分になると考えて問題ありません。 ハードル走が遅くなる理由 さきほどの冒頭でもお話しましたが、ハードル走で普通の100m走に比べて急激にタイムが悪くなる一番の原因はハードルに対する心理的負担です。 一般的なハードル走の心理的負担とは ・またぐ途中でハードルに足があたったら痛いだろうなあ~ ・ハードルにひっかかってこけたらどうしよう ・ハードルを倒すのはカッコ悪い だと思います。 そのため、ハードル走が苦手な方は、ハードルを目の前に心理的にブレーキをかけてしまい、その分だけ失速につながりますし、スピードがなく勢いよくハードルを越える事が出来ないため、立ち止まって跨ぐという形になってしまい、その地点で記録を狙う事が終わってしまいます。 ハードル走を速く走るためには ハードル走を速く走るために必要な事は、なんといってもリズム感だと思います。 ここでいうリズム感とは、最初から最後まで同じ走りをするという事です。 また、リズム感よく走る事で、勢いとスピードが出るため結果的にタイムを伸ばす事が出来ます。 絶対にして欲しいことは、 ・インターバル間の歩数をすべて同じにする 最低でも奇数歩数にすること ・ハードルを越える振り上げ脚と抜き脚を統一させること インターバル間を奇数歩数でいけば必ず出来る 限りなくして欲しいことは、 ・ハードルを跨ぐ高さ、フォームを一定にすること(ハードルをジャンプするのではなく跨ぎながら走る です。 スタートからゴールまでの、各ポイント インターバル、ハードルまでの距離 で走る歩数、振り上げ足を決めてしまい、しっかりシュミレーションする事が理想ですが、完璧を求めすぎると一回でもリズムが崩れると取り戻す事が極めて困難になります。 そのため、臨機応変に対応するためにも、ハードルの振り上げ足と抜き足を統一すれば、インターバル間の歩数は絶対に揃える必要はないと思います。 まずは、自分のスライド 1歩の距離 とピッチ 1秒間で何歩進めるか をきちんと把握しなければいけません。 理想は少ないピッチでいくのが理想ですが、50m走と違ってハードルを越える動作が入るため、必要以上に無理なピッチで走るのは危険です。 そのため、最初にやるべき事は、実際にハードル走をやってピッチを決めることです。 一般的にインターバル間を5歩で行く事を基準にしており、スライドが大きい方は3歩、スライドが小さい方は7歩と考えると良いでしょう。 ハードル走を速く走るための練習 ハードル走の練習は、とにかく走りながらハードルを跨ぐ練習です。 いきなりハードルを使うのが怖い方もいると思いますが、その場合はハードルの横で振り上げ脚と抜き脚を練習をすることです。 振り上げ脚とは、ハードルに対して振り上げる脚の事で、膝を曲げないように出来るだけまっすぐ振り上げます。 膝が曲がってしまうと、ハードルにぶつかる可能性が高くなるため、自然と高くジャンプしようとするため、タイムロスにも繋がります。 抜き脚とは、ハードルを飛び越える時の脚の事で、自分の腰の高さまで足をあげ、ひざと足首を直角に曲げます。 この時、腰の高さまで足をあげないと、ハードルを倒す可能性が高くなります。 ハードルの横である程度イメージが掴めてきたら、実際にハードルを使って練習をしていきますが、とにかくリズミカルに振り上げ脚と抜き脚の感覚を体に染み込ませるため、ハードル間のインターバルを狭くして、インターバルを1歩になるようにして、振り上げ脚と抜き脚を交互にやっていきます。 通常、振り上げ脚と抜き脚が終わった後は少し走りますが、感覚を体に染み込ませるために、走りを省略してひたすら振り上げ脚と抜き脚を交互にやっていきます。 どうしてもハードルが怖い方は、ハードルよりも低い台かロープなどを用意して飛び越える練習をします。 練習方法といいましても、結局は感覚で覚えていくしかないので、抽象的な事しか言えないですが、練習方法にプラスアルファな知識、ルール等の知識をしっかり持つ事で、より上達するスピードが速くなると思います。
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