ウォルコットが1910年に・のセルカーク山中で発見した,特異な保存状態を示す動物化石群。 時代は中期に相当し,還元環境下でデルタ的に急速に沈積したとみられる細粒のバージェスケツ岩中に,多くの無脊椎動物が化石化している。 や軟体部の構造などもよく保存されており,三葉虫に似たバージェシア Burgessia,ウォプティア Waptiaなど種々の三葉形類Trilobitomorpha,イモムシ型の体節と多足をもつ原始節足動物であるエイシェアイア Aysheaia,繊細な体節をもつ多毛類のカナディア Canadiaなど,他にをみない動物群構成をもっている。 出典 株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版について の解説 カナダのブリティッシュ・コロンビア州南部のステファン層中の けつがん の中にみいだされる特異な化石動物群。 1909年にアメリカのC・D・ウォルコットにより発見された。 古生代カンブリア紀中期のものであることが、産出する三葉虫によってわかるが、この層の化石は軟体部や付属肢の細部までが保存されている。 当時の藻礁の急斜面下でおこった懸濁流の堆積 たいせき 物で、海底地すべりによって運ばれた動物が、無酸素の状況下で急速に埋積し腐敗を免れたものと思われる。 この地層からは、海綿動物から原索動物まで多岐にわたる化石動物が発見され、100を超す属、150近い種が記録されている。 そのうち三葉虫の22属がもっとも多いが、それと同じ22属の所属不明の節足動物がみつかっている。 まことに奇妙な形態のものが多く、現生にその類縁がみつからない。 さらに現在の動物界にはまったく近似したものがなく、分類上の位置さえ決められないものが17属と続く。 このような特異な化石動物相は、動物界に爆発的な分化がおこった際に出現したが、結局子孫を残せないで消滅してしまったものと考えられ、進化の研究に貴重な化石群といわれる。 その後これに類似した動物群がバージェス頁岩以外にも中国などで発見されるようになった。
次のバージェス動物群とは、ジェス岩(けつがん)の中からとして発見された群である。 いわゆる『ア』の後に発生した多様な群が含まれることで有名。 概要 ジェス岩はの州に存在する約5億0万年前(ア紀)の地層である。 岩とは泥岩の一種で、薄くる性質を持った岩石。 5億0万年前のアでは現生息するのほとんどの祖先が誕生したが、まで生き残らなかった種も多く存在した。 バージェス動物群にはそのような多くの群がとして保存されており、また通常として残らないような部まで綺麗に保存されていることから、この時代のや多様性を考える上で非常に重要である。 他に同時期の群としてはで発見された澄江群(ャンぐん、約5億2千万年前)が有名。 豆知識 と、まあバージェス動物群なんて言葉を知っていてこの記事にたどりうな人ならに載っているくらいのことはすでにご存じだろう。 ざっくりとまとめてしまうとこんなことである。 ジェス岩ってものがあって、そこからア紀のが取れる。 そのは保存状態が良い、しかも部のがとれる。 現代のとは異なる奇妙な形をもつも含む多様な種類がみつかる。 というわけで、せっかくなのでいくつかの点に注して掘り下げてみることにしよう。 バージェス頁岩(けつがん)って何? の授業や番組なんかでジェス岩という言葉がでてきても何のことなのかピンと来ないと思う。 ジェスというのはの山脈のなかにあるジェス山という山の名前で、まあ地名だと思ってくれれば。 ジェスでとれる岩だからジェス岩、 では岩とは何のことだろうか? 答えを言うと、岩というのはで泥(1以下の細かな粒子のこと)がに積もって固まってできる岩石の中で、()のように薄くはがれる性質をもつ岩のことである。 身近なところではで使うりのとして使われることもある。 岩のできるような細かい泥が積もるは、堆積する粒子が細かくてを通しにくいので、埋まったの死体は腐りにくいという性質を持っている。 これがのできるに関係してくるのでちょっと覚えていてほしい。 ついでに言うと、この場所の中でも特殊な地形をしているところだった。 どのような場所かというと、が崖のような形になっていて、などで流されてきた泥が浅から一気に流れ込んで堆積するという特殊な場所で、これもの形成に重要なことなので心に留めておいてほしい。 なぜ保存のよい化石が残るのか? 前述のように、ジェス岩では部を含む保存状態のよいがとれる。 ではなぜ保存状態のよいが残っているのだろう? ふつうのではの死骸があっても、その死骸は死を食べるに荒らされ、やがて微によりしてしまう。 (わかりやすく言うと腐る) すると、のやの殻などのの遅い部分をのぞいて死骸はなくなってしまう。 ののはあってもの部(や)のがないのはこのためである。 ところが、この場所はが崖のような形になっていて、などで流されてきた泥が浅から一気に流れ込んで堆積しているという特殊なである()。 ここでさっきの「岩のできるような泥が堆積するではが腐りにくい」という性質をしてほしい。 そう、この泥の中ではの部はされないのである。 したがって、ジェス岩ではは残らない部を含んだ保存状態のよいが残っているのである。 なぜ多様な種類だとわかるのか? と異なる多様な種類のが見つかったと一口にいっても、の中からを分類したり生態を考えたりできる特徴を発見するのは大変なことである。 たとえが見つかっても「なんだかよく分からないけど、のだね」としか言えないないこともよくある。 逆に言うと、ジェスのはの特徴が観察できるようなだったのである。 ご存じのように、バージェス動物群のは保存状態がいいのが売り。 しかし保存状態がよい=分類学的特徴が見つけやすいというわけではない。 なぜなら、は地層の中で上から押しつぶされていてが死んだ時の上側か観察できないことが多く、のでは死んだ時の上側は側に限られるからだ。 実は、バージェス動物群のは姿勢がで、、、横などいろいろな方向からの観察ができるのである。 これもバージェス動物群が化したがしている。 が崖のような形になっていて、などで流されてきた泥が浅から一気に流れ込んで堆積しているという特殊なということをしてほしい。 もしが起こったら浅に棲んでいるはどうなるだろう? そう、泥流に巻き込まれてまで流されてしまう。 場合によっては生き埋めになってしまうだろう。 運良く生き埋めにならなくてもは浅にべて濃度が低いのであまり動けずに窒息してしまう。 そしてこうやって流されていくうちに姿勢が変えられてしまい、そのまま死んでしまったのでになった後も姿勢がでいろいろな方向からの観察ができるようになったのである。 また、死ぬ前には泥の中でもとになる、そうすると体内の消化器官などに泥が入り込むことになる。 するとになる時に上からされても中の泥の分だけつぶれずに立体的なが残ることになる。 このようなはが可で、このこともどのようなだったのかを調べることに一役買っている。 スピス 節足 節足 キシ 節足 有 イア 有 環形 関連動画 関連商品 関連項目• 澄江群•
次のの想像図 約5億500万年前(中期)のものとされ、これは、よりもやや後の時代である。 の高い状態で急速に化石となったらしく、軟体部がよく保存され、体のが観察される。 また、通常は化石に残らないような軟体性の動物の化石がきれいに残っていることでも注目を受けた。 バージェス頁岩をの高所(2300メートル)で最初に発見したのは米国のであるで、のことであった。 彼は翌年には本格的な発掘を開始した。 - とにわたって発掘調査を行い、さらにとにはくず岩の再確認を行った。 その結果、彼は65000個を超える化石を収集した。 それは今も国立自然博物館に保存されている。 主要な動物については彼によって記載が行われた。 彼は、それらの動物を現存する分類群の動物の祖先的を多くあらわしたものとして記載し、主にの初期のの系譜を示すものと考えた。 と比較すると大型化していると共に硬い外皮を持ち、泳ぎ回ることができた。 ところが、1966年から、を中心とする研究グループがこれらの化石の再調査を行なって1万個を超す標本を得た結果、これらの化石動物が、ではあっても既存の分類群に当てはまらないものが多く、中にはそのものの帰属すらはっきり確定できないものが多数あることを明らかにした。 これによってそれまでのカンブリア紀の海中生物相への認識が一変してしまった。 特異な姿をもち、かつて分類が不明であった。 この動物は後に基盤的なと見なされるようになった。 しかも、この知見に基づいてが著した『 - バージェス頁岩と生物進化の物語』が大変な反響を呼んだことで、この動物群の名は一般にまで広く知られることになった。 彼は、そのようにして発見された現在の動物門の枠組みには収まりきらない動物のことを 奇妙奇天烈動物(きみょうきてれつ-どうぶつ)と呼び、動物相の現在との異質性を主張した。 もっとも、彼の主張は、古い時代だから原始的で単純な動物ばかりだったということではない。 むしろ、今は残っていない体制の動物門が多数いたということ、そして、環境の変化に対応しきれなかった出来損ないであったがためにしたのではない、ということであった。 その後、彼の意見に対しては専門家からの反発が強く、それほどの異質性はないとの主張も多く見られる。 ウィッチントンと共に研究を進めたらも、いわゆる奇妙奇天烈生物の大部分は現生の動物群やその初期系統に属する基盤的な種として理解できるとして、グールドの見方に反対を表明している。 三種の(上から Hallucigenia sparsa、 Hallucigenia hongmeia と Hallucigenia fortis)の復元図。 前者はバージェス動物群で、残りの2種はに属する。 同時代の化石群は、その後近くの帽天山()や、(の)、()などからも発見され、広く生息していたことが分かった。 この時代の動物相について、より詳しい情報が得られつつあることもあり、今後の検討によってまた評価が変わることもあるかも知れない。 バージェス頁岩産地は、1981年、のに登録された。 バージェス動物群の生物 [ ] 現存する分類群に属する種 [ ]• 絶滅した分類群に属する種 [ ]• ・(など)• ・類(など)• ・その他• 分類不明な種 [ ]• 脚注 [ ]• 谷合稔著『たくさんの生命を育む地球のさまざまな謎を解き明かす! 「地球科学」入門』ソフトバンククリエイティブ 2012年 79ページ• Gould, Stephen Jay, 1941-2002. , Watanabe, Masataka, 1955-, 渡辺, 政隆, 1955-. 早川書房. 2000. 参考文献 [ ] は列挙するだけでなく、などを用いてしてください。 記事のにご協力をお願いいたします。 ( 2017年8月)• 『 - バージェス頁岩と生物進化の物語』 訳、〈ハヤカワ文庫〉、2000年、。 『カンブリア紀の怪物たち - 進化はなぜ大爆発したか』 〈講談社現代新書〉、1997年、。 デレク・ブリッグス、他4名著、大野照文監訳、『バージェス頁岩化石図譜』、 2003 、朝倉書店。 原著は1994 関連項目 [ ]• - バージェス動物群と同様に絶滅した分類群を多数含むとされる、(末期)の生物群。 - 中国雲南省から発見された、バージェス動物群よりやや早い時期の化石群。 外部リンク [ ]• - バージェス動物群の一覧表。 この項目は、 に関連した です。 などしてくださる(、/、)。
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