アイズたちも個々に用事を終え、市場を見ながら『豊穣の女主人』に向かうことになった。 道中、何気ないことを話しながら歩いていると、レフィーヤが唐突に呟いた。 用事を終え、酒場に向かって歩き始めたこの状況に僅かながらにも感じてしまった違和感を口に出してしまった。 本人としては、独り言のような物だったのだろうが、殊の外大きく口を衝いてしまったらしい。 「……燈火さん来なかったなあ」 レフィーヤの呟きは、しかっりとアイズやティオナの耳に入り、その歩みを止めるには十分な効力を秘めていた。 二人の様子にレフィーヤは新たな問題の種を蒔いてしまったことを自覚する。 どうにか取り繕うとしていると、横を歩いていたティオネからフォローが入る。 「アミッドの所からホームに帰って、それから【ゴブニュ・ファミリア】のホームに行ったりしてたら私たちには追い付かないわよ、普通は」 「そ、そうですよねッ! 金貨やポーションも持っていましたし。 それに、きっと今頃向かっていると思いますよ!?」 先程レフィーヤは、アイズに元気を出してもらうためポーションをプレゼントしている。 したがって、この発言によってまた元の戻ってしまうことを心配していた。 全ての原因ではないとは知っているものの、燈火の事はやはりアイズが元気のない理由の一因でもあるため、レフィーヤからしてみれば、盛大に地雷を踏み抜いた様なものなのだ。 また、ティオナも最近、燈火と一緒にいることが出来ていないため、こういった共に出かける機会はとても楽しみにしていたのだ。 しかし、燈火は今回ファミリアの一員として役割を負っていたため、あまり我が儘を言えるような状況ではなかった。 なので先程、燈火が一人で金貨をホームに持って行こうとしたとき、あまり賛成的ではなかった。 「お嬢さん方、仮にも人に追い付けと言ったなら、待っていてくれてもよかったんですがね……。 どうでしょうか?」 声の方へと視線をやると、沈みかけた太陽を背に、肩に羽織る様にして着ている着物を風に揺らす少年の姿があった。 逆光によってその表情は見えないが、屋根の縁にしゃがむようにして通路のアイズたちを見下ろしている事は分かる。 また、顔は見えずとも、少々皮肉交じりの喋り方で、下駄を鳴らし、着物を風に靡かせ、『オラリオ』を庭の様に歩き回る人物は、迷宮都市広しと言えど一人しかいなかった。 姿を確認した四人は、二人は安心した表情を浮かべ、一人は今にも飛び付きそうにしている。 ***** 【ディアンケヒト・ファミリア】での換金を終えた燈火は、両手に 万能薬 エリクサー と大量のヴァリス金貨が入った袋を抱え、【明鏡止水】を発動した。 いくら【ロキ・ファミリア】の冒険者と言えど、両脇に大量の金貨を抱えた状態では、不用心とのことで、燈火に換金後の金貨運搬の役割が任された。 燈火としても、自身のスキルを合法的に発動し、強化とはいかないまでも呼吸をするかの如く当然のように発動できるように、鍛錬としての意味合いを持たせている。 換金した金貨は、袋に隙間が無くなるように敷き詰められているため、ジャラジャラと金属同士がぶつかり合う音はならない。 それによって、姿が見えないのに金貨の音だけがするという、仕組みを知らなければただの怪奇現象のようなことにはならない。 万能薬 エリクサー も、袋に入れる前に瓶の一つ一つを紐で括り、瓶同士が直接ぶつからないように工夫して運んでいる。 「えーと、ホーム戻って……アイズたち追っかけて……飯か。 何気にハードな気がする…………うん。 アイズ、すまん。 ホームで時間潰すわ。 今度、埋め合わせ? はするから勘弁してね」 燈火は、今日一日の予定が自分の想像よりも過密だったため、一時ホームに戻った後アイズたちが向かった【ゴブニュ・ファミリア】の工房に向かうことを断念した。 元々、かなり早いペースで移動しなければアイズたちが用事を済ませるまでに追いつくことは困難なのだ。 燈火はその事を自分に言い聞かせ、必死に罪悪感の消去を図った。 燈火はホームに戻ると、直ぐにロキの部屋へと向かった。 預かった金貨とを預けるためだ。 ノックの後に扉を開けると、机に向かったロキの姿が目に入る。 何やら書類を確認しているらしい。 普段ならば、一人で酒盛りをしていることなど珍しくなく、今日も盛大に酔っているのだろうと燈火も考えていた。 「何だ、飲んでないのか。 珍しいな」 金貨をロキの机に置きながら話しかけた。 「おー、お帰りぃ~。 今日はなー夜があるから我慢しとんねん。 その方が夜の酒がうまくなるからなぁ~」 ロキは、恍惚とした表情で口元を緩ませながら答える。 金貨を回収すると、そうかと苦笑いしながら去ろうとしていた燈火を改めて呼び止めた。 「そうや、燈火」 「ん?」 「今日の打ち上げん時な、お金、たーくさん持ってった方がええよ」 「え……。 なんで……」 燈火が不安げに振り返る。 ニマニマと意地の悪い笑みを浮かべたロキが一枚の書類を燈火に差し出す。 「しょうがないんとちゃうん? 遠征サボってしもうたんやし」 そこにはロキが書いたとは思えない程綺麗な字で、 燈火殿へ 本日の打ち上げの出費に関して、あなた様の懐よりご助力願いたい。 しかし、我々はあなた様の経済状況を把握しておりません故、大きな負担にはならないよう、こちらから金額の設定は致しません。 貴殿のほんのお気持ちで構いません。 遠征帰りの皆の英気を養うためにも、どうかよろしくお願いします。 「バカなの? 文章があれってのは置いておくとして、ねえ。 これ書いたヤツ鬼畜過ぎません? 頭の部品どっかぶっ飛んでませんっ!?」 「まあ、自業自得というか自縄自縛というか、因果応報やなー」 「全部同じだし! 全部自分に帰ってきてるし!」 「今回はかなり重い方やねー」 「ホントそれ! 今まで雑用とかだったじゃん!」 このメッセージは、燈火が遠征をサボった際に行われたフィン達と燈火による勝負の結果より生じた罰ゲームの通達だった。 フィンと決めたルールに則り、燈火が負けた場合、何らかのペナルティーが科せられる。 以前までならばホームの掃除や消耗品の買い出しなど、雑用的な物が多かったのだが、今回は趣向を変え、かなり重い罰が科せられている。 無論、文面からは燈火が示した反応程厳しいものの様には感じられない。 燈火の気持ちによって出費が決まるからだ。 しかし、だからこそ質が悪かった。 今回遠征をサボったことをどれだけ悔いているか、反省しているかを問われているのだ。 勿論、燈火の基準で決められるため、出費は抑えることは可能だ。 しかし、それはつまりその程度の誠意しかないと言っているのも等しい。 この場合の最善はすべての負担を一身に背負い、遠征から帰ったファミリアの仲間たちを手厚くもてなすこと。 つまりは奢りである。 文章に込められた打ち上げ代の全てを燈火持ちにするという無言の圧力なのだ。 「もう絶対サボらない……」 「普通はそうやろ。 当然のことや」 燈火は、肩を落としながら自室へと戻った。 降り立つと同時に飛びついてきたティオナを受け止め、苦笑いを浮かべる。 「あれ? 燈火ホーム戻ってないの?」 燈火の腰に下げられている金貨の入った袋を見つけ、ティオナが問いかける。 「いや、戻ったよ……。 戻ってまた別のを持ってきた……」 「別の?」 「そう、別の。 今夜の打ち上げで使う分」 「ああ、なるほどー。 それじゃあ燈火お財布みたいだね」 「はっはっはっ、ホントそれ…………はあ……」 「燈火?」 妙に元気のない燈火を心配そうにティオナが見上げる。 そんな様子で何かを察したのか、ティオネが呆れ気味にため息をついた。 「あんたが悪いんだから、黙って使われてなさい」 「ううぅ……」 「ほら、行くわよ」 「はい……」 夜には分かるわよと、釈然としない三人に説明しティオネが歩き始めた。 続くように四人も歩き始める。 先ほどと同様に、今度は燈火を交えながら雑談が始まった。 ダンジョンでのこと、何の気ない世間話。 先ほどよりも声音は弾み、ため息が増え、微笑みがこぼれる。 些細な影響かもしれないが、しかし、一人の人間が起こす変化にしては大きなものだろう。 彼の在り方は、彼女らにとって、あるいはファミリアの仲間にとって、どうしても憎めず、今回遠征をサボった事について本気で怒りを覚えたものは居ないだろう。 贔屓と言えばそうなってしまうのかもしれない。 アイツだけがと、周りから見ればそうなるのは当然だ。 しかしその在り方こそが彼なのだと言わざるおえない。 一種の諦観から来るものなのだ。 それでも皆が一様に声を揃えて、苦笑いを浮かべながら、こう言うだろう。 「来ない時は来ない。 ホントに寒くなりましたね。 前回の更新の時も寒かったことを覚えています。 嘘じゃないですよ……。 割と頻繁に『ああー最近あげてないなー』と思い返すことがあったので。 言い訳をさせていただくと、4月辺りから人理修復に全力を注いでいました。 ふと、『人理修復したい!』と思い立ってしまったんです。 ホント、なんちゃってマスターには辛いです……。 フレンド様様です。 さて、久方ぶりの投稿ということで、かなり大雑把というか、粗削りというか、かなり読み下しずらい気がします。 違和感ゴリゴリかもです。 まあ以前のが読みやすいかと言われれば、首を傾げるところではありますが……。 お気に入りに追加して頂いていた方々には、手前勝手な理由で更新することが出来ず、本当に申し訳ありません。 次回更新は早くても年明けになりそうです。 頭の中では既にアニメを終え、ダンメモのイベントも着々とクリアしているのですが、以前申し上げたとおり文章に起こせず……。 今後の予定としては、幕間のような短編も考えております。 考えてはいますが、実行出来るかは正直分かりません。 なるべくやりたいとは思ってるんですけどね。 長くなってしまいました。 ここら辺で今回は失礼させていただきます。 これからもどうかよろしくお願いします。
次のアイズたちも個々に用事を終え、市場を見ながら『豊穣の女主人』に向かうことになった。 道中、何気ないことを話しながら歩いていると、レフィーヤが唐突に呟いた。 用事を終え、酒場に向かって歩き始めたこの状況に僅かながらにも感じてしまった違和感を口に出してしまった。 本人としては、独り言のような物だったのだろうが、殊の外大きく口を衝いてしまったらしい。 「……燈火さん来なかったなあ」 レフィーヤの呟きは、しかっりとアイズやティオナの耳に入り、その歩みを止めるには十分な効力を秘めていた。 二人の様子にレフィーヤは新たな問題の種を蒔いてしまったことを自覚する。 どうにか取り繕うとしていると、横を歩いていたティオネからフォローが入る。 「アミッドの所からホームに帰って、それから【ゴブニュ・ファミリア】のホームに行ったりしてたら私たちには追い付かないわよ、普通は」 「そ、そうですよねッ! 金貨やポーションも持っていましたし。 それに、きっと今頃向かっていると思いますよ!?」 先程レフィーヤは、アイズに元気を出してもらうためポーションをプレゼントしている。 したがって、この発言によってまた元の戻ってしまうことを心配していた。 全ての原因ではないとは知っているものの、燈火の事はやはりアイズが元気のない理由の一因でもあるため、レフィーヤからしてみれば、盛大に地雷を踏み抜いた様なものなのだ。 また、ティオナも最近、燈火と一緒にいることが出来ていないため、こういった共に出かける機会はとても楽しみにしていたのだ。 しかし、燈火は今回ファミリアの一員として役割を負っていたため、あまり我が儘を言えるような状況ではなかった。 なので先程、燈火が一人で金貨をホームに持って行こうとしたとき、あまり賛成的ではなかった。 「お嬢さん方、仮にも人に追い付けと言ったなら、待っていてくれてもよかったんですがね……。 どうでしょうか?」 声の方へと視線をやると、沈みかけた太陽を背に、肩に羽織る様にして着ている着物を風に揺らす少年の姿があった。 逆光によってその表情は見えないが、屋根の縁にしゃがむようにして通路のアイズたちを見下ろしている事は分かる。 また、顔は見えずとも、少々皮肉交じりの喋り方で、下駄を鳴らし、着物を風に靡かせ、『オラリオ』を庭の様に歩き回る人物は、迷宮都市広しと言えど一人しかいなかった。 姿を確認した四人は、二人は安心した表情を浮かべ、一人は今にも飛び付きそうにしている。 ***** 【ディアンケヒト・ファミリア】での換金を終えた燈火は、両手に 万能薬 エリクサー と大量のヴァリス金貨が入った袋を抱え、【明鏡止水】を発動した。 いくら【ロキ・ファミリア】の冒険者と言えど、両脇に大量の金貨を抱えた状態では、不用心とのことで、燈火に換金後の金貨運搬の役割が任された。 燈火としても、自身のスキルを合法的に発動し、強化とはいかないまでも呼吸をするかの如く当然のように発動できるように、鍛錬としての意味合いを持たせている。 換金した金貨は、袋に隙間が無くなるように敷き詰められているため、ジャラジャラと金属同士がぶつかり合う音はならない。 それによって、姿が見えないのに金貨の音だけがするという、仕組みを知らなければただの怪奇現象のようなことにはならない。 万能薬 エリクサー も、袋に入れる前に瓶の一つ一つを紐で括り、瓶同士が直接ぶつからないように工夫して運んでいる。 「えーと、ホーム戻って……アイズたち追っかけて……飯か。 何気にハードな気がする…………うん。 アイズ、すまん。 ホームで時間潰すわ。 今度、埋め合わせ? はするから勘弁してね」 燈火は、今日一日の予定が自分の想像よりも過密だったため、一時ホームに戻った後アイズたちが向かった【ゴブニュ・ファミリア】の工房に向かうことを断念した。 元々、かなり早いペースで移動しなければアイズたちが用事を済ませるまでに追いつくことは困難なのだ。 燈火はその事を自分に言い聞かせ、必死に罪悪感の消去を図った。 燈火はホームに戻ると、直ぐにロキの部屋へと向かった。 預かった金貨とを預けるためだ。 ノックの後に扉を開けると、机に向かったロキの姿が目に入る。 何やら書類を確認しているらしい。 普段ならば、一人で酒盛りをしていることなど珍しくなく、今日も盛大に酔っているのだろうと燈火も考えていた。 「何だ、飲んでないのか。 珍しいな」 金貨をロキの机に置きながら話しかけた。 「おー、お帰りぃ~。 今日はなー夜があるから我慢しとんねん。 その方が夜の酒がうまくなるからなぁ~」 ロキは、恍惚とした表情で口元を緩ませながら答える。 金貨を回収すると、そうかと苦笑いしながら去ろうとしていた燈火を改めて呼び止めた。 「そうや、燈火」 「ん?」 「今日の打ち上げん時な、お金、たーくさん持ってった方がええよ」 「え……。 なんで……」 燈火が不安げに振り返る。 ニマニマと意地の悪い笑みを浮かべたロキが一枚の書類を燈火に差し出す。 「しょうがないんとちゃうん? 遠征サボってしもうたんやし」 そこにはロキが書いたとは思えない程綺麗な字で、 燈火殿へ 本日の打ち上げの出費に関して、あなた様の懐よりご助力願いたい。 しかし、我々はあなた様の経済状況を把握しておりません故、大きな負担にはならないよう、こちらから金額の設定は致しません。 貴殿のほんのお気持ちで構いません。 遠征帰りの皆の英気を養うためにも、どうかよろしくお願いします。 「バカなの? 文章があれってのは置いておくとして、ねえ。 これ書いたヤツ鬼畜過ぎません? 頭の部品どっかぶっ飛んでませんっ!?」 「まあ、自業自得というか自縄自縛というか、因果応報やなー」 「全部同じだし! 全部自分に帰ってきてるし!」 「今回はかなり重い方やねー」 「ホントそれ! 今まで雑用とかだったじゃん!」 このメッセージは、燈火が遠征をサボった際に行われたフィン達と燈火による勝負の結果より生じた罰ゲームの通達だった。 フィンと決めたルールに則り、燈火が負けた場合、何らかのペナルティーが科せられる。 以前までならばホームの掃除や消耗品の買い出しなど、雑用的な物が多かったのだが、今回は趣向を変え、かなり重い罰が科せられている。 無論、文面からは燈火が示した反応程厳しいものの様には感じられない。 燈火の気持ちによって出費が決まるからだ。 しかし、だからこそ質が悪かった。 今回遠征をサボったことをどれだけ悔いているか、反省しているかを問われているのだ。 勿論、燈火の基準で決められるため、出費は抑えることは可能だ。 しかし、それはつまりその程度の誠意しかないと言っているのも等しい。 この場合の最善はすべての負担を一身に背負い、遠征から帰ったファミリアの仲間たちを手厚くもてなすこと。 つまりは奢りである。 文章に込められた打ち上げ代の全てを燈火持ちにするという無言の圧力なのだ。 「もう絶対サボらない……」 「普通はそうやろ。 当然のことや」 燈火は、肩を落としながら自室へと戻った。 降り立つと同時に飛びついてきたティオナを受け止め、苦笑いを浮かべる。 「あれ? 燈火ホーム戻ってないの?」 燈火の腰に下げられている金貨の入った袋を見つけ、ティオナが問いかける。 「いや、戻ったよ……。 戻ってまた別のを持ってきた……」 「別の?」 「そう、別の。 今夜の打ち上げで使う分」 「ああ、なるほどー。 それじゃあ燈火お財布みたいだね」 「はっはっはっ、ホントそれ…………はあ……」 「燈火?」 妙に元気のない燈火を心配そうにティオナが見上げる。 そんな様子で何かを察したのか、ティオネが呆れ気味にため息をついた。 「あんたが悪いんだから、黙って使われてなさい」 「ううぅ……」 「ほら、行くわよ」 「はい……」 夜には分かるわよと、釈然としない三人に説明しティオネが歩き始めた。 続くように四人も歩き始める。 先ほどと同様に、今度は燈火を交えながら雑談が始まった。 ダンジョンでのこと、何の気ない世間話。 先ほどよりも声音は弾み、ため息が増え、微笑みがこぼれる。 些細な影響かもしれないが、しかし、一人の人間が起こす変化にしては大きなものだろう。 彼の在り方は、彼女らにとって、あるいはファミリアの仲間にとって、どうしても憎めず、今回遠征をサボった事について本気で怒りを覚えたものは居ないだろう。 贔屓と言えばそうなってしまうのかもしれない。 アイツだけがと、周りから見ればそうなるのは当然だ。 しかしその在り方こそが彼なのだと言わざるおえない。 一種の諦観から来るものなのだ。 それでも皆が一様に声を揃えて、苦笑いを浮かべながら、こう言うだろう。 「来ない時は来ない。 ホントに寒くなりましたね。 前回の更新の時も寒かったことを覚えています。 嘘じゃないですよ……。 割と頻繁に『ああー最近あげてないなー』と思い返すことがあったので。 言い訳をさせていただくと、4月辺りから人理修復に全力を注いでいました。 ふと、『人理修復したい!』と思い立ってしまったんです。 ホント、なんちゃってマスターには辛いです……。 フレンド様様です。 さて、久方ぶりの投稿ということで、かなり大雑把というか、粗削りというか、かなり読み下しずらい気がします。 違和感ゴリゴリかもです。 まあ以前のが読みやすいかと言われれば、首を傾げるところではありますが……。 お気に入りに追加して頂いていた方々には、手前勝手な理由で更新することが出来ず、本当に申し訳ありません。 次回更新は早くても年明けになりそうです。 頭の中では既にアニメを終え、ダンメモのイベントも着々とクリアしているのですが、以前申し上げたとおり文章に起こせず……。 今後の予定としては、幕間のような短編も考えております。 考えてはいますが、実行出来るかは正直分かりません。 なるべくやりたいとは思ってるんですけどね。 長くなってしまいました。 ここら辺で今回は失礼させていただきます。 これからもどうかよろしくお願いします。
次のアイズたちも個々に用事を終え、市場を見ながら『豊穣の女主人』に向かうことになった。 道中、何気ないことを話しながら歩いていると、レフィーヤが唐突に呟いた。 用事を終え、酒場に向かって歩き始めたこの状況に僅かながらにも感じてしまった違和感を口に出してしまった。 本人としては、独り言のような物だったのだろうが、殊の外大きく口を衝いてしまったらしい。 「……燈火さん来なかったなあ」 レフィーヤの呟きは、しかっりとアイズやティオナの耳に入り、その歩みを止めるには十分な効力を秘めていた。 二人の様子にレフィーヤは新たな問題の種を蒔いてしまったことを自覚する。 どうにか取り繕うとしていると、横を歩いていたティオネからフォローが入る。 「アミッドの所からホームに帰って、それから【ゴブニュ・ファミリア】のホームに行ったりしてたら私たちには追い付かないわよ、普通は」 「そ、そうですよねッ! 金貨やポーションも持っていましたし。 それに、きっと今頃向かっていると思いますよ!?」 先程レフィーヤは、アイズに元気を出してもらうためポーションをプレゼントしている。 したがって、この発言によってまた元の戻ってしまうことを心配していた。 全ての原因ではないとは知っているものの、燈火の事はやはりアイズが元気のない理由の一因でもあるため、レフィーヤからしてみれば、盛大に地雷を踏み抜いた様なものなのだ。 また、ティオナも最近、燈火と一緒にいることが出来ていないため、こういった共に出かける機会はとても楽しみにしていたのだ。 しかし、燈火は今回ファミリアの一員として役割を負っていたため、あまり我が儘を言えるような状況ではなかった。 なので先程、燈火が一人で金貨をホームに持って行こうとしたとき、あまり賛成的ではなかった。 「お嬢さん方、仮にも人に追い付けと言ったなら、待っていてくれてもよかったんですがね……。 どうでしょうか?」 声の方へと視線をやると、沈みかけた太陽を背に、肩に羽織る様にして着ている着物を風に揺らす少年の姿があった。 逆光によってその表情は見えないが、屋根の縁にしゃがむようにして通路のアイズたちを見下ろしている事は分かる。 また、顔は見えずとも、少々皮肉交じりの喋り方で、下駄を鳴らし、着物を風に靡かせ、『オラリオ』を庭の様に歩き回る人物は、迷宮都市広しと言えど一人しかいなかった。 姿を確認した四人は、二人は安心した表情を浮かべ、一人は今にも飛び付きそうにしている。 ***** 【ディアンケヒト・ファミリア】での換金を終えた燈火は、両手に 万能薬 エリクサー と大量のヴァリス金貨が入った袋を抱え、【明鏡止水】を発動した。 いくら【ロキ・ファミリア】の冒険者と言えど、両脇に大量の金貨を抱えた状態では、不用心とのことで、燈火に換金後の金貨運搬の役割が任された。 燈火としても、自身のスキルを合法的に発動し、強化とはいかないまでも呼吸をするかの如く当然のように発動できるように、鍛錬としての意味合いを持たせている。 換金した金貨は、袋に隙間が無くなるように敷き詰められているため、ジャラジャラと金属同士がぶつかり合う音はならない。 それによって、姿が見えないのに金貨の音だけがするという、仕組みを知らなければただの怪奇現象のようなことにはならない。 万能薬 エリクサー も、袋に入れる前に瓶の一つ一つを紐で括り、瓶同士が直接ぶつからないように工夫して運んでいる。 「えーと、ホーム戻って……アイズたち追っかけて……飯か。 何気にハードな気がする…………うん。 アイズ、すまん。 ホームで時間潰すわ。 今度、埋め合わせ? はするから勘弁してね」 燈火は、今日一日の予定が自分の想像よりも過密だったため、一時ホームに戻った後アイズたちが向かった【ゴブニュ・ファミリア】の工房に向かうことを断念した。 元々、かなり早いペースで移動しなければアイズたちが用事を済ませるまでに追いつくことは困難なのだ。 燈火はその事を自分に言い聞かせ、必死に罪悪感の消去を図った。 燈火はホームに戻ると、直ぐにロキの部屋へと向かった。 預かった金貨とを預けるためだ。 ノックの後に扉を開けると、机に向かったロキの姿が目に入る。 何やら書類を確認しているらしい。 普段ならば、一人で酒盛りをしていることなど珍しくなく、今日も盛大に酔っているのだろうと燈火も考えていた。 「何だ、飲んでないのか。 珍しいな」 金貨をロキの机に置きながら話しかけた。 「おー、お帰りぃ~。 今日はなー夜があるから我慢しとんねん。 その方が夜の酒がうまくなるからなぁ~」 ロキは、恍惚とした表情で口元を緩ませながら答える。 金貨を回収すると、そうかと苦笑いしながら去ろうとしていた燈火を改めて呼び止めた。 「そうや、燈火」 「ん?」 「今日の打ち上げん時な、お金、たーくさん持ってった方がええよ」 「え……。 なんで……」 燈火が不安げに振り返る。 ニマニマと意地の悪い笑みを浮かべたロキが一枚の書類を燈火に差し出す。 「しょうがないんとちゃうん? 遠征サボってしもうたんやし」 そこにはロキが書いたとは思えない程綺麗な字で、 燈火殿へ 本日の打ち上げの出費に関して、あなた様の懐よりご助力願いたい。 しかし、我々はあなた様の経済状況を把握しておりません故、大きな負担にはならないよう、こちらから金額の設定は致しません。 貴殿のほんのお気持ちで構いません。 遠征帰りの皆の英気を養うためにも、どうかよろしくお願いします。 「バカなの? 文章があれってのは置いておくとして、ねえ。 これ書いたヤツ鬼畜過ぎません? 頭の部品どっかぶっ飛んでませんっ!?」 「まあ、自業自得というか自縄自縛というか、因果応報やなー」 「全部同じだし! 全部自分に帰ってきてるし!」 「今回はかなり重い方やねー」 「ホントそれ! 今まで雑用とかだったじゃん!」 このメッセージは、燈火が遠征をサボった際に行われたフィン達と燈火による勝負の結果より生じた罰ゲームの通達だった。 フィンと決めたルールに則り、燈火が負けた場合、何らかのペナルティーが科せられる。 以前までならばホームの掃除や消耗品の買い出しなど、雑用的な物が多かったのだが、今回は趣向を変え、かなり重い罰が科せられている。 無論、文面からは燈火が示した反応程厳しいものの様には感じられない。 燈火の気持ちによって出費が決まるからだ。 しかし、だからこそ質が悪かった。 今回遠征をサボったことをどれだけ悔いているか、反省しているかを問われているのだ。 勿論、燈火の基準で決められるため、出費は抑えることは可能だ。 しかし、それはつまりその程度の誠意しかないと言っているのも等しい。 この場合の最善はすべての負担を一身に背負い、遠征から帰ったファミリアの仲間たちを手厚くもてなすこと。 つまりは奢りである。 文章に込められた打ち上げ代の全てを燈火持ちにするという無言の圧力なのだ。 「もう絶対サボらない……」 「普通はそうやろ。 当然のことや」 燈火は、肩を落としながら自室へと戻った。 降り立つと同時に飛びついてきたティオナを受け止め、苦笑いを浮かべる。 「あれ? 燈火ホーム戻ってないの?」 燈火の腰に下げられている金貨の入った袋を見つけ、ティオナが問いかける。 「いや、戻ったよ……。 戻ってまた別のを持ってきた……」 「別の?」 「そう、別の。 今夜の打ち上げで使う分」 「ああ、なるほどー。 それじゃあ燈火お財布みたいだね」 「はっはっはっ、ホントそれ…………はあ……」 「燈火?」 妙に元気のない燈火を心配そうにティオナが見上げる。 そんな様子で何かを察したのか、ティオネが呆れ気味にため息をついた。 「あんたが悪いんだから、黙って使われてなさい」 「ううぅ……」 「ほら、行くわよ」 「はい……」 夜には分かるわよと、釈然としない三人に説明しティオネが歩き始めた。 続くように四人も歩き始める。 先ほどと同様に、今度は燈火を交えながら雑談が始まった。 ダンジョンでのこと、何の気ない世間話。 先ほどよりも声音は弾み、ため息が増え、微笑みがこぼれる。 些細な影響かもしれないが、しかし、一人の人間が起こす変化にしては大きなものだろう。 彼の在り方は、彼女らにとって、あるいはファミリアの仲間にとって、どうしても憎めず、今回遠征をサボった事について本気で怒りを覚えたものは居ないだろう。 贔屓と言えばそうなってしまうのかもしれない。 アイツだけがと、周りから見ればそうなるのは当然だ。 しかしその在り方こそが彼なのだと言わざるおえない。 一種の諦観から来るものなのだ。 それでも皆が一様に声を揃えて、苦笑いを浮かべながら、こう言うだろう。 「来ない時は来ない。 ホントに寒くなりましたね。 前回の更新の時も寒かったことを覚えています。 嘘じゃないですよ……。 割と頻繁に『ああー最近あげてないなー』と思い返すことがあったので。 言い訳をさせていただくと、4月辺りから人理修復に全力を注いでいました。 ふと、『人理修復したい!』と思い立ってしまったんです。 ホント、なんちゃってマスターには辛いです……。 フレンド様様です。 さて、久方ぶりの投稿ということで、かなり大雑把というか、粗削りというか、かなり読み下しずらい気がします。 違和感ゴリゴリかもです。 まあ以前のが読みやすいかと言われれば、首を傾げるところではありますが……。 お気に入りに追加して頂いていた方々には、手前勝手な理由で更新することが出来ず、本当に申し訳ありません。 次回更新は早くても年明けになりそうです。 頭の中では既にアニメを終え、ダンメモのイベントも着々とクリアしているのですが、以前申し上げたとおり文章に起こせず……。 今後の予定としては、幕間のような短編も考えております。 考えてはいますが、実行出来るかは正直分かりません。 なるべくやりたいとは思ってるんですけどね。 長くなってしまいました。 ここら辺で今回は失礼させていただきます。 これからもどうかよろしくお願いします。
次の