塚崎公義 [経済評論家] 経済評論家。 1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。 主に経済調査関係の仕事に従事。 2005年に銀行を退職し、現在は久留米大学商学部教授であるが、ダイヤモンドオンラインへの寄稿は勤務先とは関係なく個人の立場で行なっているため、肩書は経済評論家と表記した。 著書は『経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体』(河出書房新社)など、多数。 重要ニュース解説「今を読む」 めまぐるしく変化する世の中で、あふれる情報に付いていくだけでも大変だ。 そこで、押さえておきたい重要ニュースを日本興業銀行(元みずほ銀行)の調査部出身で久留米大学商学部教授の塚崎公義さんに分かりやすく解説してもらう。 倒産しそうな企業を見分けることができれば、損失を避けられる(写真はイメージです) Photo:PIXTA 会社が倒産するか否かを決算書から予測することは容易ではないが、ある程度の見当をつけることはできる。 (塚崎公義) 企業の倒産が予測できれば損を防げる可能性 新型コロナウイルス感染症による不況で、倒産が増えると予想されているが、倒産するのはどのような企業かということを予想できれば、損失を避けられる可能性も高まるだろう。 個々の企業にはそれぞれ事情があるだろうし、倒産するか否かは資金繰りの問題なので、銀行の姿勢が決定的に重要である。 従って、正確に予測することは不可能であるが、何となく倒産しそうといった判断をすることは不可能ではない。 頻繁に企業を訪問している営業担当者であれば、会社の雰囲気の悪化などから倒産可能性の匂いをかぎ取って納品を見合わせるといったことが可能かもしれないが、本稿では決算書から倒産の匂いをかぎ取ることを考えてみたい。 新型コロナによる倒産可能性は売上高と流動資産の関係を見る 新型コロナによる自粛で、売上高が大幅に落ちている企業は多い。 そうした企業は次の決算まで生き延びられるのだろうか。 それを考える際には、流動資産と流動負債の差額を計算し、それが年間売上高の1割より大きければ安心だ、といった計算をしてみることが重要だろう。 ちなみに、流動資産というのは1年以内に現金化されるであろう資産で、流動負債というのは1年以内に支払い期限の来る負債である。 1割というのは、たとえば2カ月にわたって売り上げが6割減、といったケースを想定したものである。
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次のPhoto:PIXTA 「コロナ倒産」はすでに12件 観光、飲食関連が半数に 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、関連倒産が発生している。 社長の高齢化、後継者・人手不足…。 加えて最近では消費増税、暖冬の影響など中小企業の経営環境は不安要素が拡大するなかで、2019年の全国企業倒産は2年ぶりに前年を上回った(8354件、前年比3. 6%増)。 さらに今後は、キャッシュレス消費者還元事業やオリンピック終了の反動を踏まえ、「今後、中小企業の倒産件数が増加基調に転ずるだろう」との見方が主流となっていたなかでの新型コロナウイルス問題。 影響は出始めたばかりではあるが、もともと経営が行き詰まっていた経営者にとっては法的整理や事業停止を決断させる大きな要因となりつつある。 3月23日時点で判明している新型コロナウイルス関連倒産は、全国で12件。 新型コロナウイルス関連倒産とは、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)が要因となって法的整理または事業停止に至ったケースを指す。 新型コロナの影響度はそれぞれの企業によって異なるが、取材によって新型コロナが要因となったことを当該企業(または代理人弁護士)が認めた場合に関連倒産としてカウントしている。 同12件について分析すると、まず態様では法的整理が7件(破産4件、民事再生3件)、事業停止が5件。 事業停止している会社は、今後、法的整理(破産)に移行するとみられる。 また、エリア別では「近畿」が4件で最も多く、「北海道」(3件)、「東北」「関東」「北陸」「中部」「中国」が各1件(都道府県別では「北海道」(3件)、「大阪府」(2件)の順)。 業種別に見ると、「旅館経営」(2件)、「クルーズ船運航」「国内旅行業」(各1件)など観光関連事業者が4件、飲食関連事業者が3件を占めている。
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