その後、この町の周辺一帯で相次いでクラスターが発生しました。 このあたりはグローバルに活動する中小企業が多い土地柄で、既に感染は水面下で広がっていたようです。 3月8日に北部で、10日には全土で移動制限が始まり、「これは大変なことになった」と空気が大きく変わりました。 「家にいよう」がスローガンになり、買い物以外で家から出ることはなくなりました。 Q 個人主義が強い印象のあるイタリアですが、ほとんどの人が外出禁止を守ったそうですね。 同調圧力が強いとされる日本で自粛要請に従わない人たちが少なくなかったことと、どこか対照的です。 A もちろん、不要不急の外出は罰則付きで禁止され、警察があちこちで不要の外出を厳しくチェックしていたこともあるでしょう。 学校が閉鎖になったときも、子どもを置いて働けないことが問題になりました。 イタリアでも、学校が9月まで開かないとなると、子どもを誰に預けるんだ、という問題が議論になっています。 とはいえ、イタリア人は家族や大切な友人の命や健康を守ることが最優先。 人の健康におせっかいなほど熱心な国民性があるように思います。 「経済がストップして大丈夫なの」と聞いたら「感染はいつまでも続くわけじゃないんだし、命のないところに経済も何もないだろ」と言われました。 もちろん、イタリアでも経営者….
次の2020年5月18日、ローマ。 Mondadori Portfolio via Getty• イタリアの小売業界は、ヨーロッパの新型コロナウイルスの感染拡大で最も深刻な打撃を受けた分野だ。 5月18日に営業を再開したものの、イタリアのラグジュアリーファッションや小売りブランドは時機を逸した在庫の山や観光業への不安、経営難に直面している。 Business Insiderでは、ロックダウン(都市封鎖)で最も打撃を受けたイタリアのブランドはどこか、ロックダウンはイタリアの小売業にどのような影響を及ぼしたか、イタリアの小売業は今後どうなっていくのか、専門家に話を聞いた。 67日間に及ぶロックダウンの後、イタリアは5月18日に経済を再開させ、6月3日からは方針だ。 観光業が盛んなイタリアでは、夏に向けて生活がある程度もとに戻る見込みだが、小売業については大きなクエスチョンマークが待っている。 Business Insiderでは、イタリアのラグジュアリーファッションや小売業がどのような影響を受けたか、今後の見通しと合わせて複数の専門家に話を聞いた。 イタリアの小売業者を取り巻く現実 小売業者は今、時機を逸した在庫の山や観光業の回復への不安、経営難といった憂鬱を抱えている。 だが、自らのビジネスモデルを改革し、復活を果たそうとする業者もいる。 5月18日にイタリア経済が再開した時、小売業者の3分の1は店の営業を再開することができなかった。 これは長袖やハイネックの上着、ウール製品といった秋冬ものの在庫が山積みになっていたからだと、ローマに拠点を置くラグジュアリーファッションのコンサルティング会社「」の創業者フランチェスカ・ベントゥーリ(Francesca Venturi)氏は話している。 中でも、最も打撃を受けたのは、スイスやフランスと国境を接するイタリア北西部ピエモント州の職人(レザー、テキスタイル、衣料品)による1600を超える企業だと、同氏は話している。 ピエモント州は、ベネト州やロンバルディア州と並んで、イタリアで最も新型コロナウイルスが流行した場所だ。 オフライン小売業者への影響 3月9日にロックダウンが始まった後、イタリア政府は一時帰休となった労働者200万人を給与面で支援すると約束した。 この雇用定着スキームは10月まで延長されていて、これは営業を再開するオフライン小売業者が今後、売り上げが伸びず、既存の雇用を維持できなくなるのではないかと恐れていることを示している可能性があると、調査会社バーンスタイン(Bernstein)のヨーロッパのリテール・アナリスト、アニーシャ・シャーマン(Aneesha Sherman)氏は語った。 営業再開当初は、大半の小売業者が従業員を一時帰休から戻す前にそもそも需要がどの程度あるか様子見になるだろうとシャーマン氏は指摘した。 同時に、観光客に依存しているイタリアの小売業者は、観光客の流入が売り上げアップにつながるだろうと期待しつつも、海外旅行の再開に不安を感じている。 5月はさらに伸びるだろうと、シャーマン氏は言う。 2020年5月13日、ローマ。 「イタリアはユーロ圏の中でも最も弱いエリアの1つで、過去20年間でマクロ経済はほとんど成長していない。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で、イタリア政府は言葉では非常に大きな約束をしたが、実際はほとんど何もしていない」とソルカ氏は語った。 消費者との関係に変化 政府が引き続きソーシャル・ディスタンシング(人と人との接触を極力減らすこと、社会距離戦略ともいう)を呼びかける中、ベントゥーリ氏は、小売業者と最終消費者とのやりとりは「ギリギリまで減らされる」だろうと見ている。 入場制限、手の消毒、レジ係を守るプレキシガラスの壁は、小売業者にとって"ニューノーマル"になっているし、マスクや使い捨て手袋の着用は試着を希望する客の義務になるだろう。 ベントゥーリ氏は、長期的にはより「思いやりのある、正直かつ親身な」やりとりに注力したブランドが最終的に信頼を築き、コミュニティー感を生むだろうとしている。 ただ、短期的にはイタリア小売業の活気や創造力が失われるだろうという。
次の新型コロナウイルスで大きな打撃を受けたイタリアでも、人々の活動制限が少しずつ緩和されつつある。 コンテ首相が4月26日に発表した「フェーズ2」の緩和政策により、5月4日から主として製造業・建設業に従事する約440万人が職場に復帰した。 新型コロナウイルスが残した深い爪痕が今なお生々しいイタリアでは、現在も新規感染者数が日に1000人以上増え続けている。 それを考えると、まだまだとても手放しで喜べるような状況ではないが、医療現場の状況は好転しており、5月6日には統計を取り始めて以来初めて、完治者の数が現在の感染者数を上回った。 新規感染者の増加ペースが鈍るのと反比例して、完治者の増加ペースが加速していることはとても嬉しいが、同時に移動規制が緩和されることによって感染の再爆発が起こらないかという不安もある。 段階的な活動再開の最初の一歩となる「フェーズ2」の首相令は、この安堵と危惧の間を、慎重にバランスを取りながら進むよう市民に要請する内容となっている。 恋人とは会えるが、友達とは会えない 移動規制の緩やかな解除を実施する前に、イタリア政府は市民が遵守すべき詳細なルールを次のように明示した。 この2ヵ月間会うことが叶わなかった家族、そして恋人同士は会うことができるが、友達と会うことはできない。 これまで自宅の半径200mに限られていた移動範囲規制は無くなるが、州をまたいでの移動は不可。 原則として不要不急の用事でない限り、一般市民の外出禁止措置は5月17日まで継続する。 外出の自己申告書の携行義務は継続する。 葬儀は15名までの参列者であれば認められるが、可能な限り屋外で行うこと。 スポーツ選手は練習を再開できる。 一般市民も自宅付近だけでなく広範囲での運動が認められる。 飲食店はデリバリーに加えテイクアウトの料理の提供が認められるが、それらを消費する場所は自宅か職場に限定する。 いずれの場合も大人数での集会は不可。 バスや地下鉄など公共交通機関の車内は乗車率を50%とする。 交通機関の利用時や屋内で周囲の人と1m以上の距離が保てない環境ではマスクの着用が義務付けられ、違反者には罰金が科される。 小売店の営業に関しては、4月中旬に営業再開が認められた書店、文房具店、子ども用品店以外は引き続き休業とし、5月18日の営業再開を目安に商品や店内の消毒などの準備を始められる。 5月4日から「できること、できないこと」を項目別に明示した一覧表。 コンテ首相はフェーズ2の発令に際し、 感染拡大を抑えつつ本格的な経済活動を再開するためには国民一人ひとりがさらに長期的な犠牲を払わなければならないこと、ウイルスとの共存は不可避であり、警戒を怠れば再び感染が拡大すると警告した上で、「イタリアを愛しているのなら、距離を保とう」と訴えた。 また、マスク着用の義務化に先立ち、マスクにかかる付加価値税を免除した上でマスクの価格を一律1枚0. 5ユーロ(約60円)に統一することを決定した。
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