干もの、魚醬、オイルサーディン、缶詰、総菜類など加工品は多種多彩【魚醬】 しょっつる(塩汁) 秋田県で作られるマイワシ、もしくはハタハタなどから作られている魚醤。 【しらす】 釜揚げ 稚魚を塩ゆでして干していないもの。 ゆでただけのものを釜揚げという。 酢醤油、柑橘醤油、生姜醤油などで食べる。 [徳島県、和歌山県、高知県] しらす・ちりめん 「しらす」はウナギ、ニシン目の魚などの稚魚の総称であるが、食料品としては「しらす干し」「ちりめん」などのイワシ類の稚魚のことをいう。 その「しらす」でいちばん多いのがカタクチイワシ、次にマイワシ。 ときにウルメイワシの稚魚も使われるが少ない。 マイワシが少ないのは産卵孵化後、稚魚が広域に分散する性質があるため。 【練り製品】 いわしカツ 長崎県。 マイワシのすり身をフライにしたもの。 [長崎市杉蒲] 女房言葉 室町時代初期から宮中奉仕の女官が、主に衣食住に対して使った隠語で「御紫(おむら)」、「紫(むらさき)」、「御紫(おむら)」。 紫式部 夫の藤原宣孝の留守に鰯を焼いて食べていたら、突然帰宅してきた。 宣孝が「そんな卑しいものを食べて」と叱ると歌で抗議した。 これから鰯を「御紫(おむら)」、「紫(むらさき)」と言うようになった。 和泉式部 (平安期の女流歌人)鰯くいし歌」として「日のもとにはやりまいらせ給ふいわし水まいらぬ人はあらじとそ思う」「ひのもとにいわれ給ふいわし水まいらぬ人はあらじとそ思ふ」と歌で抗議した。 鰯雲(いわしぐも) 巻積雲のことで小斑紋状になるもの。 鰯大漁の前兆と考えられた。 「鰯の頭も信心から」 鰯の頭のようなつまらないものでも信心すれと、ありがたく思える。 「鰯で精進おち」 些細なことで禁戒を破ること。 「入梅いわし」 関東ではマイワシの旬は6月から。 この6月初旬のものをとくに「入梅いわし」という。 大黒様のお歳夜 毎年12月9日は大黒様が嫁取りをする日とされていて、豆料理とハタハタの田楽、米いり(ポン菓子)などを食べる。 鶴岡の旧家ではハタハタではなく、「いわしの丸干し」を食べる。 これは質素倹約の意味があるようで、旧家ほど節約にいそしむということの現れ。 [ごとう鮮魚店 山形県鶴岡市] 季語・歳時記 秋。 海の牧草 一時は「海の牧草」などと例えられるほどに、たくさんとれたもの。 イワシの高騰 マイワシの値段が上がったのは、とれなくなったためだけではなく、刺身で食べられるようになったせいだ。 日本最大 マイワシの最大記録は1988年に島根県浜田市にあがった35. 8センチ、重さ343グラム。 正月に塩鰯 〈塩鰯を一匹宛膳につけ尾頭付きとして祝う。 それが2008年には年間10万トンを切り、鮮魚で出回るに、時に高級魚の仲間入りをすることもある。 このように好不漁の周期があるのがマイワシの特徴でもある。 茹でて油を絞り、干したものが禁近畿地方で木綿の肥料として使われ、木綿の生産料を飛躍的にのばし、庶民でも高性能な衣類が手に入るようになった。 養殖魚や畜産の飼料、日常でも丸干し、煮干し(ひらご)などの加工品、鮮魚としても最重要魚であろう。 すなわち家畜、養殖魚の飼料となっていた。 とった「干粕(ほしかす)」、「干しか(ほしか)」になった。 「干しか」は当時はじまった綿花栽培、菜種栽培の重要な肥料であった。 節分に訪れる鬼がヒイラギの棘で目を刺し、鰯の臭いで逃げ出すように、という魔よけ。 鰯は八王子では基本的に干もので、焼いて頭部だけを刺す。 ヒイラギは葉に棘があるので鬼が痛くて屋内に入って来られない。 鬼は鰯の臭いが嫌いなので、玄関に刺しておくと入ってこない。 鰯を焼いて身は夕食の皿につけ、頭をヒイラギ(豆がらの枝のところもある)の枝にさし、つばをかけるとジュッと音がするほどにいろりで焼き、「米、麦、粟、稗、黍、五穀の虫の口を焼き申す」、「のみしらみ、口やぎり。 へび、むかぜの口やぎり」等とその地方に合ったことを唱えてつばを吹きかけ、頭がジュジュっと音を立てると次の者に渡し、同じ事を順々にいろり端で唱えて家族全体が焼く風習がある。 最後にはこれを軒下にさして厄除けにする。 『群馬のたべもの』(武藤典 みやま文庫).
次の干もの、魚醬、オイルサーディン、缶詰、総菜類など加工品は多種多彩【魚醬】 しょっつる(塩汁) 秋田県で作られるマイワシ、もしくはハタハタなどから作られている魚醤。 【しらす】 釜揚げ 稚魚を塩ゆでして干していないもの。 ゆでただけのものを釜揚げという。 酢醤油、柑橘醤油、生姜醤油などで食べる。 [徳島県、和歌山県、高知県] しらす・ちりめん 「しらす」はウナギ、ニシン目の魚などの稚魚の総称であるが、食料品としては「しらす干し」「ちりめん」などのイワシ類の稚魚のことをいう。 その「しらす」でいちばん多いのがカタクチイワシ、次にマイワシ。 ときにウルメイワシの稚魚も使われるが少ない。 マイワシが少ないのは産卵孵化後、稚魚が広域に分散する性質があるため。 【練り製品】 いわしカツ 長崎県。 マイワシのすり身をフライにしたもの。 [長崎市杉蒲] 女房言葉 室町時代初期から宮中奉仕の女官が、主に衣食住に対して使った隠語で「御紫(おむら)」、「紫(むらさき)」、「御紫(おむら)」。 紫式部 夫の藤原宣孝の留守に鰯を焼いて食べていたら、突然帰宅してきた。 宣孝が「そんな卑しいものを食べて」と叱ると歌で抗議した。 これから鰯を「御紫(おむら)」、「紫(むらさき)」と言うようになった。 和泉式部 (平安期の女流歌人)鰯くいし歌」として「日のもとにはやりまいらせ給ふいわし水まいらぬ人はあらじとそ思う」「ひのもとにいわれ給ふいわし水まいらぬ人はあらじとそ思ふ」と歌で抗議した。 鰯雲(いわしぐも) 巻積雲のことで小斑紋状になるもの。 鰯大漁の前兆と考えられた。 「鰯の頭も信心から」 鰯の頭のようなつまらないものでも信心すれと、ありがたく思える。 「鰯で精進おち」 些細なことで禁戒を破ること。 「入梅いわし」 関東ではマイワシの旬は6月から。 この6月初旬のものをとくに「入梅いわし」という。 大黒様のお歳夜 毎年12月9日は大黒様が嫁取りをする日とされていて、豆料理とハタハタの田楽、米いり(ポン菓子)などを食べる。 鶴岡の旧家ではハタハタではなく、「いわしの丸干し」を食べる。 これは質素倹約の意味があるようで、旧家ほど節約にいそしむということの現れ。 [ごとう鮮魚店 山形県鶴岡市] 季語・歳時記 秋。 海の牧草 一時は「海の牧草」などと例えられるほどに、たくさんとれたもの。 イワシの高騰 マイワシの値段が上がったのは、とれなくなったためだけではなく、刺身で食べられるようになったせいだ。 日本最大 マイワシの最大記録は1988年に島根県浜田市にあがった35. 8センチ、重さ343グラム。 正月に塩鰯 〈塩鰯を一匹宛膳につけ尾頭付きとして祝う。 それが2008年には年間10万トンを切り、鮮魚で出回るに、時に高級魚の仲間入りをすることもある。 このように好不漁の周期があるのがマイワシの特徴でもある。 茹でて油を絞り、干したものが禁近畿地方で木綿の肥料として使われ、木綿の生産料を飛躍的にのばし、庶民でも高性能な衣類が手に入るようになった。 養殖魚や畜産の飼料、日常でも丸干し、煮干し(ひらご)などの加工品、鮮魚としても最重要魚であろう。 すなわち家畜、養殖魚の飼料となっていた。 とった「干粕(ほしかす)」、「干しか(ほしか)」になった。 「干しか」は当時はじまった綿花栽培、菜種栽培の重要な肥料であった。 節分に訪れる鬼がヒイラギの棘で目を刺し、鰯の臭いで逃げ出すように、という魔よけ。 鰯は八王子では基本的に干もので、焼いて頭部だけを刺す。 ヒイラギは葉に棘があるので鬼が痛くて屋内に入って来られない。 鬼は鰯の臭いが嫌いなので、玄関に刺しておくと入ってこない。 鰯を焼いて身は夕食の皿につけ、頭をヒイラギ(豆がらの枝のところもある)の枝にさし、つばをかけるとジュッと音がするほどにいろりで焼き、「米、麦、粟、稗、黍、五穀の虫の口を焼き申す」、「のみしらみ、口やぎり。 へび、むかぜの口やぎり」等とその地方に合ったことを唱えてつばを吹きかけ、頭がジュジュっと音を立てると次の者に渡し、同じ事を順々にいろり端で唱えて家族全体が焼く風習がある。 最後にはこれを軒下にさして厄除けにする。 『群馬のたべもの』(武藤典 みやま文庫).
次の干もの、魚醬、オイルサーディン、缶詰、総菜類など加工品は多種多彩【魚醬】 しょっつる(塩汁) 秋田県で作られるマイワシ、もしくはハタハタなどから作られている魚醤。 【しらす】 釜揚げ 稚魚を塩ゆでして干していないもの。 ゆでただけのものを釜揚げという。 酢醤油、柑橘醤油、生姜醤油などで食べる。 [徳島県、和歌山県、高知県] しらす・ちりめん 「しらす」はウナギ、ニシン目の魚などの稚魚の総称であるが、食料品としては「しらす干し」「ちりめん」などのイワシ類の稚魚のことをいう。 その「しらす」でいちばん多いのがカタクチイワシ、次にマイワシ。 ときにウルメイワシの稚魚も使われるが少ない。 マイワシが少ないのは産卵孵化後、稚魚が広域に分散する性質があるため。 【練り製品】 いわしカツ 長崎県。 マイワシのすり身をフライにしたもの。 [長崎市杉蒲] 女房言葉 室町時代初期から宮中奉仕の女官が、主に衣食住に対して使った隠語で「御紫(おむら)」、「紫(むらさき)」、「御紫(おむら)」。 紫式部 夫の藤原宣孝の留守に鰯を焼いて食べていたら、突然帰宅してきた。 宣孝が「そんな卑しいものを食べて」と叱ると歌で抗議した。 これから鰯を「御紫(おむら)」、「紫(むらさき)」と言うようになった。 和泉式部 (平安期の女流歌人)鰯くいし歌」として「日のもとにはやりまいらせ給ふいわし水まいらぬ人はあらじとそ思う」「ひのもとにいわれ給ふいわし水まいらぬ人はあらじとそ思ふ」と歌で抗議した。 鰯雲(いわしぐも) 巻積雲のことで小斑紋状になるもの。 鰯大漁の前兆と考えられた。 「鰯の頭も信心から」 鰯の頭のようなつまらないものでも信心すれと、ありがたく思える。 「鰯で精進おち」 些細なことで禁戒を破ること。 「入梅いわし」 関東ではマイワシの旬は6月から。 この6月初旬のものをとくに「入梅いわし」という。 大黒様のお歳夜 毎年12月9日は大黒様が嫁取りをする日とされていて、豆料理とハタハタの田楽、米いり(ポン菓子)などを食べる。 鶴岡の旧家ではハタハタではなく、「いわしの丸干し」を食べる。 これは質素倹約の意味があるようで、旧家ほど節約にいそしむということの現れ。 [ごとう鮮魚店 山形県鶴岡市] 季語・歳時記 秋。 海の牧草 一時は「海の牧草」などと例えられるほどに、たくさんとれたもの。 イワシの高騰 マイワシの値段が上がったのは、とれなくなったためだけではなく、刺身で食べられるようになったせいだ。 日本最大 マイワシの最大記録は1988年に島根県浜田市にあがった35. 8センチ、重さ343グラム。 正月に塩鰯 〈塩鰯を一匹宛膳につけ尾頭付きとして祝う。 それが2008年には年間10万トンを切り、鮮魚で出回るに、時に高級魚の仲間入りをすることもある。 このように好不漁の周期があるのがマイワシの特徴でもある。 茹でて油を絞り、干したものが禁近畿地方で木綿の肥料として使われ、木綿の生産料を飛躍的にのばし、庶民でも高性能な衣類が手に入るようになった。 養殖魚や畜産の飼料、日常でも丸干し、煮干し(ひらご)などの加工品、鮮魚としても最重要魚であろう。 すなわち家畜、養殖魚の飼料となっていた。 とった「干粕(ほしかす)」、「干しか(ほしか)」になった。 「干しか」は当時はじまった綿花栽培、菜種栽培の重要な肥料であった。 節分に訪れる鬼がヒイラギの棘で目を刺し、鰯の臭いで逃げ出すように、という魔よけ。 鰯は八王子では基本的に干もので、焼いて頭部だけを刺す。 ヒイラギは葉に棘があるので鬼が痛くて屋内に入って来られない。 鬼は鰯の臭いが嫌いなので、玄関に刺しておくと入ってこない。 鰯を焼いて身は夕食の皿につけ、頭をヒイラギ(豆がらの枝のところもある)の枝にさし、つばをかけるとジュッと音がするほどにいろりで焼き、「米、麦、粟、稗、黍、五穀の虫の口を焼き申す」、「のみしらみ、口やぎり。 へび、むかぜの口やぎり」等とその地方に合ったことを唱えてつばを吹きかけ、頭がジュジュっと音を立てると次の者に渡し、同じ事を順々にいろり端で唱えて家族全体が焼く風習がある。 最後にはこれを軒下にさして厄除けにする。 『群馬のたべもの』(武藤典 みやま文庫).
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