日本が拡大の瀬戸際に立たされているなか、3月3日に改正法案がされました。 氏証人喚問と同じ日にわずかな時間で審議を打ち切り、種子法廃止法案を採決したことを連想させます。 3月2日の安倍首相 3月4日の安倍首相 テレビでは瀬戸際、瀬戸際と繰り返しながら、ほとんどの国民が知らないところで、このタイミングで改正法案をしたのは偶然だったのでしょうか? 以下は2016年2月4日、TPP協定付属文書として安倍首相が米国と交わした文書の一部です。 3,規制改革 は2020年までに外国からの対外直接投資残高を少なくとも倍増させることを目指すの成長戦略に沿って、 外国からの直接投資を促進し、並びに日本国の規制の枠組みの実効性及び透明性を高めることを目的として、 外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める。 意見及び提言は、その実現可能性に関する関係省庁からの回答とともに、検討し、及び可能な場合には行動をとるため、定期的に規制改革会議に付託する。 は、規制改革会議の提言に従って必要な措置をとる。 要約すると、 「米国の企業、投資家の皆さん、なんなりとお望みをおっしゃってください。 わたくし安倍がその望みを叶えるべく、最大限の努力をいたします。 」 という内容です。 が上記の文書を交わしたのが2016年2月、翌年の2017年には種子法廃止、2018年には水道民営化法案可決、卸売市場法改定(卸売市場民営化)、2019年にはの解体(こちらは当時農林部会長の氏が2016年9月に政府規制改革推進会議において強く提言したもの、こちらも上記の通り 外国投資家その他利害関係者からの意見及び提言によるものでしょう)、そして約束の2020年には改定法案と続き、海外の企業、投資家の意向に沿うため努力し続けています。 内閣は今国会で改正法案を成立させようとしています。 種子法廃止の際の審議時間は5時間、7時間の合計で12時間ほど。 問題や、さくらを見る会問題ではいったいどれほどの時間を費やしたのでしょうか? 問題や、さくらを見る会問題で一生懸命だった野党の皆さんは、改定の審議でもそれだけのエネルギーを注いでいただきたいものです。 現在は既存メディアが報道しなくても、された改定の実態を、野党が直接国民に周知する方法は数多くあるはずなのですが・・・。 日本の種子を守る会・事務局アドバイザーの印鑰智哉(いんやく ともや)さんが、3月7日にその問題点を説明する動画をUPしていましたので紹介いたします。 改正法案の問題点その1 「改正法案の問題点その1」の重要点 ・ 食糧産業局知的財産課によると、 日本の種苗の海外流出を防ぐ唯一の防衛策は、日本以外の国での品種登録であると明言している(改正の理由と矛盾)。 ・農業競争力強化支援法(種子法廃止直後に成立)8条4項では 国や府県が開発した種苗の知見を民間企業に提供することを求めている。 (民間企業の中になど、海外のが含まれることは国会答弁において確認されている。 ) 種苗の知見や育種が民間企業に渡ってしまうと、企業側が自由に種苗の価格をコン出来るようになってしまう。 民間企業はあくまでも自社の利益が最大限になることを考えますから、もし企業が公的機関から権利を手に入れた品種の供給をストップしてしまったら、農家はその品種の栽培を断念せざるを得なくなり、民間企業が販売する必ずしもその地域の気候風土に合っていない品種を栽培しなければいけなくなる。 (インドでは実際にこれらのことがによって現実化し、数十ページに及ぶ契約書の内容を良く読まずにと契約した多くの農家が廃業、自殺に追い込まれた。 改正法案の問題点その2 「改正法案の問題点その2」の重要点 ・ゲノム編集 日本政府は米国に倣い「ゲノム編集」(実質「編集」ではなく、遺伝子破壊技術)を解禁。 規制無しに栽培が可能。 規制がなければ交雑を防ぐこともできない。 種子にゲノム編集の表示がなければ、農家が知らないあいだに遺伝子破壊された作物を栽培してしまうかもしれない。 健全な遺伝資源が失われてしまう危険。 しかし、新たな指定種苗表示制度の表示義務にゲノム編集が含まれていない。 は種苗会社にゲノム編集の表示を求めていないので、表示だけではその種や苗がゲノム編集されているかどうか、種苗の購入者は知ることが出来ない。 そのため、農家がゲノム編集された品種であることを知らずに作物を栽培し、そのままその作物が市場に流通してしまう可能性がある。 ・改正後のの新たな仕組み 自家増殖の許諾を得ていた種苗会社が合併、買収などで他の会社に変わった場合、これまでのではその効力が失われていた。 しかし、今後は権利者が変わってもその効力は失われない。 つまりこの新たな仕組みは、これまで農家が国や府県から買っていた種苗の権利が民間に移り、さらにその会社がに吸収合併されることを想定して考えている可能性がある。 ・推定制度、判定制度の創設 「推定制度」ーー登録品種の審査特性により明確に区別されない品種(育成者権侵害)は当該登録品種と特性により明確に区別されない品種と推定することができる。 「判定制度」ーーある品種が育成者権侵害であるかどうかを、が判定することができる。 つまり裁判を経ること無く、育成者権を侵害しているかどうかを判定されてしまう。 判定にはDNAマーカーで品種を特定できるものは少ないため、子葉、草姿、葉、根などを記した「特性表」というものが用いられる。 もし、たまたま登録品種と特性が一致していた在来品種があった場合、全く違う遺伝子にも関わらず、同一品種とされてしまう。 資金力のある企業が登録した登録品種は守られるが、在来種や非登録品種を守る制度が無い。 ・と生物特許 生物特許はの権利を上まわる権利を持っている。 そして日本はカに倣い、生物特許を認めている(例えば特定の品種に病害虫に強い遺伝子を遺伝子操作で組み入れたもの)。 しかし、世界的には生物特許は認めない方向へと動いている。 インドは生物特許を認めない。 ドイツは通常育種による特許は認めるべきではないと判断。 も2019年9月ドイツと同様の決議。 世界の流れに逆らって、日本政府は通常育種による特許を認めたまま、育種を民間企業に任せる方向を打ち出している。 ・卸売り市場法の改正 種子法廃止と同年、2018年に卸売市場法が改定され、体が管理していた公的市場が民間企業により管理されることとなった。 改正により、これまで公的機関が担ってきた種苗から流通まで、全てがにより管理されることとなる。 また2018年には、欧米において問題が続出している水道民営化法案も可決されている。 ・ 2019年4月の法令により、2023年4月以降は食品に「遺伝子組み換えではない」という表示が出来なくなってしまう。 *令とは が第7条第3項に基づいて発するの命令。 つまり、が製造者に対して「もし食品に『遺伝子組み換えではない』と表示すれば、あなた方を処罰します」と、命令しているわけです。 ここでマリー=モニク・ロバン著「」の内容を、一部抜粋いたします。 174 CVM(獣医学センター)の者は、1994年の匿名の手紙で次のように証言している。 「私たちは、先日(米国食品医薬品局)によって下されたBST(合成牛成長ホルモン)を投与された牛乳にラベル表示してはならないという指令を危惧しています。 この指令を書いたのは、センター長補佐官である博士です。 しかし、ミラー博士は、で働くようになる以前には、でBSTの研究者として働いていたのです。 彼女は、ラベル表記に関するの指令を書いている間も、の科学者と共同でBSTに関する論文を発表しつづけていました。 私たちは、それは明らかにであると考えています。 ご承知のように、もしBSTを投与された牛から採れた牛乳にラベル表示が付けられることになれば、消費者はその牛乳を買わなくなるでしょうし、が多くの利益を失うことでしょう」 P. 244 米国食品安全センター法務責任者ジョゼフ・メンデルソンは2006年7月こう述べている。 「 事実上、カの消費者の健康は、バイテク産業の善意にゆだねられることになりました。 というのも、バイテク産業は政府のコンを離れて、自分達の食品が安全かどうかを確認する資格を手にいれたわけですからね。 こんなことは合衆国の歴史上、前代未聞のことです! があのような指令を起案したのは、バイオテク産業に『は規制を受けている』という神話を与えるためでした。 しかし、」が規制を受けているというのは、まったくのでたらめです。 この国は巨大な人体実験施設になってしまいました。 に危険な生産物が自由に出荷されるようになったにもかかわらず、消費者達に選択の余地を与えないまま、10年前から野放しになっているのです。 というのも『実質的等価性の原則』を理由にして、商品であることを表示ラベルによって示すことが禁じられてしまったのです。 そのうえ、追跡調査がまったくおこなわれていないのです。 Atkins' Diet Revolution』(邦題:『のローカーボ(低炭水化物)ダイエット』)(通称アトキンス・ダイエット)が元になっています。 アトキンス・ダイエットは分かりやすく言うと、炭水化物(例えば、お米)は身体に良くないが、肉はどれだけたくさん食べてもOKというダイエットの方法。 の死亡原因は歩行中に転倒し頭部を強打したためですが、検視報告書によれば死亡時の彼の体重は117kg、また彼は高血圧と心臓病を患っており、その前年にも心臓発作を起こしています。 の死亡によりその危険性が認知され、米国ではとうの昔にブームが過ぎ去ったダイエットが、これほどまで日本のメディアに繰り返し取り上げられる理由を、上記の記事の内容、安倍首相が2016年2月に米国と交わした文書の内容と併せて考えてみてください。 日本でのダイエットですが、当時第一人者と言われていた桐山秀樹氏(ノンフィクション作家)の2016年2月のによる突然死(享年61歳)により終息するかと思われましたが、2016年4月頃から「海外のセレブがアトキンス・ダイエットで減量に成功」というほぼ同じ内容の記事が様々なメディアから繰り返し投稿されており、非常に不自然に感じました。 また、この数年来テレビ番組でよく見る「元気なお年寄りは、肉をたくさん食べている。 」という内容も、こういった内容がいつ頃からテレビで頻繁に流されるようになったのかを検証してみると、面白い事実が分かるかもしれません。 (FAO)によりまとめられた食料農業植物遺伝資源条約は、種や苗などの世界の遺伝資源を共有しようという条約。 この中にはこれらを守ってきた農家の権利が明記されている。 日本は2013年に食料農業植物遺伝資源条約を批准。 食料農業植物遺伝資源条約19条には、 「農民の権利としての自家採種の種苗の保存、利用、交換、販売する権利を有する」、「農民は種子についての意思決定に参加する権利を有する」 と規定されている。 2018年の日本政府による農家の声を無視した種子法廃止、そして改定による自家採種禁止は国際条約違反となる。 ・変化の兆し 1996年以降激増していたの栽培面積は、2015年以降頭打ちとなった。 2000年から2018年のあいだに、世界の市場は483%増加。 ・在来種保護の動き ブラジル:クリオーロ種子条例(2003)(在来種を守る条項) 韓国:在来種農産物保存・育成に関する条例(2008)、ローカルフード育成条例 イタリア・:在来品種保護に関する地域法 :農家の種子売買承認(2021~) 米国:種子法案(2019) 日本政府の方針は世界の潮流と真逆の方向に進んでいる。 ・日本国内の取り組み 日本政府による種子法廃止以降、全国の府県ので地域の種子を守る種子条例が制定されている。 もし皆さんの出身都府県が条例制定に取り組んでいなければ、是非要望してください。 国が守らないのであれば、地域が守るしかありません。 現在、北海道と新潟の2道県にはの交雑防止に関する条例が制定されており、の栽培をおこなおうとするものは、知事の許可を受けなければいけません。 2,農家の自家増殖権、特に公共品種の自家増殖を認めること。 3,公的種苗事業を守り、長期的に予算を保障すること。 4,条約・名古屋議定書、食料農業植物遺伝資源条約を厳守し、日本国内の植物遺伝資源の海外での使用については議会承認を含む厳正な合意の元におこなうこと。 同様に海外の遺伝資源の利用も相手国との合意に基づくこと。 主権の行使においては社会の透明性を維持すること。 5,「ゲノム編集」含む遺伝子操作作物の種子に表示義務を明記し、「ゲノム編集」との交雑防止対策を明記させること、交雑による損害賠償規定を盛り込むこと。 6,在来種に関してはを適用させずに別の法律によって守ること。 7,とは別にあらたに在来種・活用法/条例を制定して、を確保しながら貴重な遺伝資源が失われずに、地域の食の中で活用できるよう政策を進める。 種取りの重要性を訴え、社会として支えていくこと。 私がこの本で引用している資料の大多数は、インターネットで入手可能なものである。 それらの情報を探し、互いの関係を検討するだけで、かなり多くのことが理解できるので、読者にもぜひ試していただきたい。 おそらく読者も、やりだせば夢中になるだろう。 インターネット上ですべての情報が見つかるのだから、もはや「知らなかった」という理屈は(とりわけ法律を定める立場にいる人々には)通用しないだろう。 しかし、もちろんインターネット上の調査だけで十分であるわけがない。 そのため、私はふたたび巡礼の旅に出発した。 最後に、 主要農産物種子法(廃止済)、農業競争力強化支援法(種子法廃止直後に成立)、そして、これらの法律をセットで考えなければ、改定法案に関する問題の本質は見えてきません。 もし私がこの法案を作る立場にいるとすれば、日本の農業を守るための抜け道を織り込んでおくと思いますが、そのようなものは無いようです。 この国の役人は日本人としての、あるいは自らの仕事に対する尊厳、誇りといったものを持ち合わせていないのでしょう。 ある意味では、可哀想な人達なのかもしれません。 hakusanoste.
次の種子法とは? 種子法とは、 戦争直後の日本がまだ食糧難だった時代に、国が「 よし、日本国民の主食(主にお米。 麦、大豆なども)だけでも、良質なものを国がしっかり確保して、最低限の食べ物が国民に供給できるように、国が管理していこう!そのためにも国がお金を出そう!」と言って制定された法律です。 正式名称は「 主要農作物種子法」と言い、「種子法」は通称になります。 これだけお米の食料自給率を維持しているのも、種子法によって国が良質なお米の種を管理していたのが理由の一つであると思われます。 maff. pdf(参照2018年5月1日). maff. pdf(参照2018年5月1日). 種子法廃止の経緯と理由。 ではなぜ、このように日本国民の食を守ってくれるような法律が、私達国民にほとんど何も知らされないまま、廃止になってしまったのでしょうか。 国は「 国がいつまでもこの法律で種を管理していたら、民間企業が種子の品種を開発したり研究をしたりする邪魔になるじゃないか。 時代のニーズに応えるためにも、企業もこの種子を自由に取り扱えるように種子法を廃止することで、 いろんな企業に 活躍してもらって、種子の改良をしてもらおう」ということを主な廃止の理由としています。 「農業競争力強化支援法」とは? また、種子法廃止とセットに議論される新法があります。 種子法廃止と時期を同じくして、新法「 農業競争力強化支援法」というものが制定されましたが、読んで字の如く、 企業が農業に積極的に参入し、競争を促すことを支援しますよ、という、方向としては種子法とは逆を辿る法律です。 この法律によって、種子法によって国がお金を出し続け、今まで何十年、何百年と培ってきた、もはや 私達の「公共の財産」とも言える農産物の栽培の知識を、利益追求ができる民間企業に提供する事ができるようになってしまったのです。 種子法廃止の問題点は? では、種子法廃止と、農業競争力強化支援法制定によって、どんな問題点が浮かび上がってくるのでしょうか。 主な問題点を2つご紹介します。 食料の価格が高騰する可能性がある 種子法が廃止されると、種子の管理、研究、生産にあてられていた 国の予算がカットされる事はほぼ必至です。 お米の場合は、今まで公的な農業研究機関から稲作農家さんに種苗が供給されていましたが、国からの経済的サポートがなくなれば、そういった供給の流れは今まで通りにいかなくなります。 そうなると、稲作農家さんの生産コストが上がり、結果的に お米の価格に反映され、私たち消費者のお財布にしわ寄せが来る可能性があるのです。 例えば、害虫に強く、気候の変化にも強く、栄養価が高く、味も申し分ない「 スーパーライス」はどうでしょうか。 企業の種子研究・開発によって、こんな「スーパーライス」が生まれたら、日本にこの種子が広まるのは容易に想像できます。 特に、世界規模の大企業なら資金力もあるので、このような種子開発はすぐにやり遂げてしまいそうです。 一見、こんなスーパーライスがあったら農家の人も消費者である私達にとっても嬉しいことなのでは…と思われるかも知れません。 しかし、本当のところはそうとも言い切れないのです。 日本の各地域には それぞれの地域の特色や特徴を持つ、風土ごとの美味しいお米がたくさんあります。 私たちは、種子法によって国に守られてきた各地域のお米の、 その微妙な味の違いを楽しんできました。 しかし、種子法廃止と農業競争力強化支援法によって、スーパーライスが広く市場に出回れば、 それぞれ特色を持った多くの品種が消えていってしまう可能性があるのです。 とても極端な話、 私たちのお米の選択肢の中には、「スーパーライス」の1つしか残らない日が来るかもしれません。 また、スーパーライスの生産には、遺伝子組み換え技術やゲノム編集、大量の農薬や化学肥料の使用が伴いますので、 環境への負荷がかかる事も忘れてはなりません。 「遺伝子組換え」や「ゲノム編集」が出回るのではないかという問題 「 遺伝子組換えやゲノム編集された主要作物が出回りはじめて、日本国民の食が脅かされる!」と懸念されている方が増えてきています。 驚かれる方も多いかと思いますが、実は「ゲノム編集」については、既に食品への表示をする事なく流通させる事が可能になっています。 ゲノム編集そのものについても知らない国民が多いのにも関わらず、です。 また、「遺伝子組み換え」についても、一部の食品の表示義務が無くなる方向で進んでいます。 遺伝子組換えやゲノム編集されたお米や小麦はスーパーにもう並んでいるかも知れないのです。 私達は、 すでに「遺伝子組み換え」や「ゲノム編集」でないものを選びたくても、選べなくなってしまいつつあるのです。 ご想像の通り、企業の目的は利益追求ですから、より効率的に生産できて、収穫量も多く、気候や害虫への耐性があり、100人中100人が美味しいと言うようなお米を作るには遺伝子組み換えやゲノム編集の技術が必要になってきます。 これはすでに新法「農業競争力強化支援法」によって、自由に種子苗の研究・開発ができるので、企業にとってはクリアされている問題です。 問題は「イメージ」です。 何度も言うように、企業の目的は利益追求ですから、今までのように食品ラベルで目にする「遺伝子組み換えでない」「遺伝子組み換え混合」といった表記の表示義務は、はっきり言ってイメージ戦略には「邪魔」なのです。 遺伝子操作された農作物とそうで無いものが生産過程ではっきり区別出来ないため表示義務を無くす、などとしていますが、首をかしげてしまいます。 種子法廃止からの農業競争力強化支援法制定、そして極めつけに、遺伝子組み換え、ゲノム編集の表示義務の緩和という一連の流れの中から覗えることはたくさんあります。 参照文献 山田正彦. 売り渡される食の安全,株式会社KADOKAWA, 2019, p. 5. オーガニックとの関連 遺伝子組み換え作物やゲノム編集技術に関してですが、このブログのテーマであるオーガニックの観点から言うと、農薬や化学肥料を使えない有機農産物だからこそ、遺伝子組み換え技術を上手に使って、より強い作物を作ればいいじゃないか、と言う遺伝子組換え・ゲノム編集肯定派の方もいらっしゃいます。 現在の有機農産物の規格では遺伝子組み換え・ゲノム編集はほぼ使えませんから、現段階では直接的に交わる議論ではないと思いますが、問題は「有機JAS規格に則ってないから」とか「農薬や化学肥料を使えないなら遺伝子組み換えやゲノム編集を使えばいいじゃない」といった表面的な事ではなく、もっと別のところにあると感じています。 遺伝子組み換えやゲノム編集が有機JAS規格の中で規制緩和されることによって失われるものは私達の想像以上に大きいはずです。 すべては繋がっている 先にも述べたような 「 日本の各地域の風土に合った特色を持つ作物」を 楽しむことによる日本人の食に対する心の豊かさ、 地産地消をすることの地方への経済的なメリット、 子どもたちへの食育、 自然環境への負荷、 次世代への負担などを考えると、 種子法廃止からの遺伝子組み換えやゲノム編集への規制緩和の一連の流れのルートは看過できるものではないと思っています。 また、関連法で「 種苗法」の改定もひっそりと話題になっていますが、これが改定されると、さらなる大きな問題が浮かび上がってくることでしょう。 種子法、農業競争力強化支援法、遺伝子組み換えとゲノム編集、種苗法、全て別々のもののように思えますが、本当はそれぞれ密接に繋がっています。 私は、全くと言ってよいほど国民に知らされる事がないまま、種子法廃止を強行するべきではなかったのでは、と強く思っています。 山田正彦. 売り渡される食の安全,株式会社KADOKAWA, 2019, 237p.
次の種苗法と種子法についてまだ知らないという人に・・・これまでのまとめ 種苗法と種子法、最近問題になってるけど、ぶっちゃけどう違う?2つの法律の関係性。 日本の農業にまつわる法律の最新情報を伝えます。 こんにちは。 新年もあっという間、1月が過ぎ2月に入りましたね。 長野県南部も、昨日は久しぶりに大雪が降り、畑も雪に覆われています。 最近は、農政が大きく変化するなかで、今後の農業の先行きに不安も抱えつつ、ハウスで苗を起こす準備を進めています。 農閑期であるこの時期も、農業や食の安全を守るための取り組みや学習会が全国で活発に行われています。 種苗法と種子法の違いって? 昨年から目まぐるしく変化している農業に関わる法律のなかで、 特に注目を集めているものが、昨年廃止された 主要農産物種子法と種苗法。 IN YOU読者の皆様ならすでにこれらの問題点をご認識のことと思います。 種苗法と種子法・・ 名前が似ているだけにこの二つ、混同しやすいですよね。 私も、知人に話をする時に、つい混同しそうになる時があります。 今回はこの種子法 と種苗法の違いをおさらいしつつ、最新情報をチェックしていきたいと思います。 主要農産物種子法の目的や役割は?廃止による影響は? 主要農作物種子法 米、麦、大豆などの主要農産物を安定的に供給していくために、国の責任のもとで都道府県が種子の生産や管理を義務付けてきたのが「主要農作物種子法」です。 種子法私たちの主食であるお米や麦、醤油や味噌などの調味料となる大豆などの優良品種を都道府県が公共財産として予算を開発・管理していくための法律です。 民間企業の参入を阻害するとして突然廃止。 種子法は、1952年に戦後の食糧難を解消する目的で制定され、66年間に渡り都道府県が予算をあて公的機関による安定的な種子の供給や管理を行ってきました。 ところが、この主要農産物種子が昨年の4月に「民間企業の参入を阻害している」として、突如廃止されてしまいました。 種子法廃止による影響は、 米、麦、大豆などの供給や、品質維持の不安定化、価格高騰などが考えられます。 こうした種子法廃止による懸念の声は、今、全国に広がっています。 私の住む長野県でも昨年、山田正彦さんや安田節子さんを講師に招いた学習会が行われ、約520もの人が参加しました。 こうした市民の関心の高まりを受けて、昨年国会では、種子法復活法案が提出され、都道府県でも独自条例制定の動きが広がりました。 全国の市町村議会では国や県への要望書や意見書の提出が相次いでいます。 種子条例制定済み:山形県 埼玉県 新潟県 富山県 兵庫県 種子条例制定準備中:北海道 福井県 長野県 岐阜県 宮崎県 都道府県独自の種子条例制定については、既に岐阜県、福井県、宮崎県が条例の骨子をまとめ、県民からの意見募集を終えました。 agrinews. html 続いて、種苗法について見ていきましょう。 作物の知的財産権保護を目的とした種苗法。 昨年の改正により、何が変わった? 種苗法は、野菜や果樹などの品種登録制度により、第3者が品種育成者の許可なしに種や苗を生産利用することを禁じたものです。 種苗法による育成者権と罰金は以下のようになっています。 maff. hinshu2. maff. pdf 種苗法で品種登録の対象となる作物は年々増加し、 トマトやナス、大根といった私たちの身近な野菜の自家増殖(種採りや脇芽差し)が出来なくなりつつあります。 ただし、種苗法により保護された育成者権には例外があり、以下に関しては例外的に自家増殖が認められていました。 家庭菜園や農家の自給自足で登録品種の種採りを行うこと。 契約で制限されている場合を除き、農家による自家増殖は原則自由 しかし昨年5月突如、日本の品種が海外へ流出することを防ぐ名目で種苗法改正が行われました。 この法改正により、今後誕生した新品種の農家における自家増殖は原則的に禁止となったのです。 ただし在来種や固定種、既に登録済みの品種は自家採種が可能です。 また家庭菜園では他人への種や苗の譲渡、販売を行わない限り、種採りができます。 参照:現代農業2018年2月号 現代農業2019年2月号 では、特に大きな問題はないのでしょうか? 問題点をおさらいしましょう。 種苗法と種子法の問題点 気候や風土にあった品種が消えてしまうかも!? 種苗会社により開発されたF1の種であっても、実は種採りを繰り返すことにより、原種がもっていた性質を取り戻していきます。 またその土地にあった性質の野菜や果樹を生産することが可能になります。 種苗法自家増殖の原則禁止によりF1品種の種採りや、地域気候の風土にあった丈夫な作物の育成を行うことは難しくなります。 良質な農家による種とりが困難になる 種苗法は、2018年以前から法改正を繰り返し、品種登録の対象となる作物は年々増加しています。 以前は比較的マイナーな作物が対象となっていましたが、2017年以降は、トマトやナス、大根など、私たちの身近な野菜についても、 品種登録が拡大し、農家による種採りや脇芽差しができなくなりつつあるのです。 これにより農家は種苗メーカーから種を購入せざる得なくなります。 また種苗法に登録されている作物には、昨年まで種子法で保護されてきた米、麦、大豆が含まれます。 今後、品種登録が拡大されれば、私たちの食卓に欠かせない農産物にも影響が及ぶかもしれません。 特に、生産量が25%まで落ち込んでいる特に国産大豆へ影響は深刻です。 農民の種採りの権利や、主要農産物を守るにはどうすればいい? 種子法と種苗法の主な違いや問題点が、お分かり頂けたでしょうか。 農薬や遺伝子組み換え、減反などが日本の農業のあり方を大きく変えたように、 種子法や種苗法も日本における農業のあり方を大きく変化させることに繋がってしまいます。 それだけ私たち消費者にとっても大きなインパクトのある法律なのです。 誰一人としてひとごとではありません。 こうした流れを食い止め食い止める為に、私たちに今すぐできることはなんでしょうか? 大切な日本のタネを守り抜くために今あなたができること F1種の野菜も種採りしよう 現在、自家採種を行う方の大半は、在来種や固定種の種から種採りを行っていると思います。 貴重な在来種や固定種の種採りは、とても大切です。 在来種や固定種を守ることができればそれに越したことはないでしょう。 でも、元はと言えば、F1種の種も自然から生まれた種のはず。 もし固定種が入手できない場合でも、私たちの手でF1種の種採りを行いより、より自然に近く、自分たちの住む気候風土にあった種をこれから育てていくことが大切です。 詳しい種とりのルールや品種の選び方、栽培方法などは、以下の本などを、参考にしてください。 現代農業 2018年2月号 今さら聞けないタネと品種のはなし。 現代農業 2019年2月号 タネの大交換会• 1㎡からはじめる自然菜園 竹内孝効著• 農文協 農家が教える品種選び読本 また、安心できるオーガニックショップなどから安全性の高い商品を選ぶことも大事です。 全国で進められている種子条例制定を後押ししよう! 最近は、ずっとパブコメのご提案が続いていますが、皆さん正直、そろそろ「パブコメ疲れ」していませんか? 農業の法改正がされるたびに、パブコメを送るのは大変ですよね。 でも、私たちの意見を届ける為にとっても大事な仕組みなので、無駄だとは考えずに是非活用していきましょう。 大切なことは一人一人が諦めないこと。 先程もお伝えした通り、全国の都道府県で種子法に変わる条例の制定が進められています。 種子条例の制定は、今後も私たちが、大豆やお米を安心して食べる為に必要なもの。 条例制定を進めている都道府県では、県民によるパブコメを募集しています。 既にパブコメの募集を終えた県もありますが、まだ準備段階の地域では、これから意見募集を行われる予定です。 ちなみに現在は、長野県で種子法に代わる条例の制定へのパブコメが募集されています。 長野県主要農作物等種子 条例の骨子では、米、麦、大豆以外にも蕎麦や、伝統野菜が含まれています。 pref. nagano. html 全国の条例制定に向けた動きは、以下のホームページでチェックしてください。 今回は、種子法や種苗法の違いや最新情報についてお伝え致しました。 種子法廃止や種苗法改正は、ゲノム編集などと同様に、私たちの食料生産を経済競争や市場原理にさらす可能性が高いことがお分かり頂けましたか? 種子法は、主要農産物の安定供給に寄与してきた反面、農家や消費者よりも国や県、公共機関の意向が強く反映されてきた部分もあります。 今後、都道府県で制定される種子条例や、種苗法は、私たち消費者も注意深く見守り、自ら食の主権について考え、 よりよい制度にしていくことが大切ではないでしょうか? あなたも、日本の農家が、自らの畑で種を採り、自然の循環にそった農業を行っていくことの大切さを改めて考えてみませんか。 あなたの手で日本の未来を守ろう!「買い物は投票。 」安全性の高い食材や商品を入手してみませんか?.
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