SARSの場合は、WHOの日報で最初に死亡者が報告されてから、死亡者数が300人を超えるのに40日ほどかかっていました。 2003年3月17日のレポートで「4人死亡」とあり、それから300人を超えたのが、4月28日のレポートで、「321人」となっています。 それに対して、今回の新型コロナウイルスの場合は、最初にレポートに死亡者が記録されてから、約10日で死亡者の数は300人を超えています。 そして、SARSでの死亡者数が「500人」を記録したのが、2003年5月8日のレポートですから、約10日で「300人超え」から「500人超え」までになっていました。 一方、新型コロナウイルスの場合は、300人を超えてから「500人超え」が報告されるまでに4日ほどしか経過していません。 感染者数については、感染を検査する体制・能力の問題が大きいはずなので、感染者数自体は、報告されている以上だと考えるのが妥当だと思います。 過去のSARSなどとの比較によって評価をするのであれば、死亡者数の増加ペースに注目する必要がありそうです。 でも、WHOのSituation Reportsの数表に死亡者の欄ができたのが、2月3日のレポートからなので、WHOの対応は何か変な感じもします。 致死率が低かったとしても、感染者数が増えているので、死亡者数も増えているようです。 データファイル作成者に感謝します。 無料で利用できる、グーグルの「データポータル」のダッシュボードです。 データさえあれば、簡単に作成できます。 「国」別、「地域」別に日ごとの感染者数の推移を見ることができます。 下記リンクのページから利用できます。
次の感染者数は2月後半に減速したが、3月に入り指数関数的増加に転じた。 数値データも掲載しておきます。 ファクトチェックはを参照するか、「新型肺炎 患者数 日付 」でGoogle検索してください。 新型コロナウイルスの経緯の時系列 新型コロナウイルス感染の経緯を時系列でまとめました。 2020年1月初旬までは中国当局が情報公開に消極的であり、SNSなどが情報源となっているため、信頼性としては低いことをご理解ください。 2019年12月8日 新型コロナウイルスが中国で初めて報道されたのは2019年12月8日です。 「2019年12月8日に武漢市は原因不明のウイルス性肺炎に感染した患者を初めて確認した。 2019年12月12日 武漢市衛生健康委員会によると、原因不明の肺炎発症が最初に確認されたのは2019年12月12日とされています。 8日にはすでに報道されていましたが、12日が公式に確認された日ということのようです。 2019年12月30日 「原因不明の肺炎に関する緊急通知」と題する武漢市衛生当局の文書が出回りました。 内容を次の通り。 ・各医療機関に向けた文書 ・武漢市の海鮮市場で原因不明の肺炎患者が相次いでいる ・同じような肺炎患者の数をまとめて報告してほしい 2020年1月1日 ウイルスの発生源と専門家が指摘していた、武漢市の海鮮市場が休業となりました。 最初の患者が確認されてから約3週間が経過しており、中国当局の情報公開と対応の遅れが国内外から指摘されました。 2020年1月5日 武漢市の衛生当局は、59名が発症、7名が重篤だと発表しました。 しかし、死者は無く、人から人への感染も未確認だとしていました。 のちに明らかになることですが、衛生当局は2019年12月には人から人への感染を確認しており、情報隠蔽だとして批判が起こることになります。 2020年1月9日 原因不明の肺炎患者から、新型コロナウイルスが検出されたと中国の国営中央テレビ(CCTV)が報道しました。 2020年1月11日 武漢市の衛生当局は、新型ウイルス肺炎で初の死者が確認されたと発表しました。 また、10日までに感染者は41人に上り、うち1人が死亡、7人が重症、2人は既に退院したと武漢市政府ホームページで明らかにされました。 中国の大型連休である春節を控え、10日から30億人規模の大移動が起こっている最中であり、影響の規模拡大が懸念されました。 2020年1月14日 観光でタイに訪れていた中国人が新型肺炎を発症しました。 これが中国国外で新型肺炎が確認された最初の例となり、世界的な感染拡大が危惧されました。 2020年1月18日 武漢で新型肺炎患者が4人増加し、計45人となりました。 2020年1月19日 武漢での発症者が新たに17人確認され、計62人となりました。 中国国内の患者は武漢以外にも広がり、新たに上海と広東省で感染の疑いがある患者が見つかっています。 2020年1月20日 中国の国家衛生健康委員会が、広東省で人から人への感染が確認されたと発表しました。 また、韓国で武漢から入国した35歳中国女性が新型肺炎を発症し、韓国内で初めて新型肺炎が確認されました。 中国国内では北京・深圳にも拡大し、発症者は200人を超えました。 2020年1月21日 前日の中国・国家衛生健康委員会の発表を受け、世界的な感染拡大の恐れが強くなり、翌日の日経平均株価は200円を超える下落を記録しました。 また、ウイルス感染防止に関する商品の需要が高まるとの思惑から、防護服を手がけるアゼアス 3161 、マスクを製造・販売するユニチャーム 8113 の株価が急伸しました。 この日までに死者は3人に上っています。 2020年1月22日 マカオで初の感染者が確認されました。 北朝鮮は中国旅行客の受け入れを停止しました。 中国の患者は400人超まで拡大しました。 2020年1月23日 中国政府は「新型コロナウイルスに有効な治療薬はない」と指針で公表。 既知のコロナウイルスに対する治療薬で代替する方針を明らかにしています。 この日、日本人初の新型肺炎患者が確認され、重症である事が報じられました。 日本国内での感染拡大を危惧し、西村官房副長官は「感染症危険情報レベル2に上げる」と発表しました。 株式市場では医療・衛生材料を手がける川本産業がストップ高まで買われました。 シンガポールでは初の感染者が確認されました。 武漢からの旅行客とのことです。 中国での感染者は570名に拡大し、感染拡大を抑えるため、武漢での交通機関が停止されました。 2020年1月24日 世界保健機関(WHO)は23日から2日連続となる緊急会合を開きました。 各国の専門家が「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」に当たるかどうか協議した結果、「時期尚早」だとして緊急事態宣言は見送られました。 緊急事態宣言により中国のヒト・モノの動きが滞り、経済に深刻な影響を及ぼす事が懸念されるため、宣言が見送られたのは中国からの圧力があったと推測されています。 また、ベトナムでは初の新型肺炎患者が確認されました。 日本では、武漢からの観光客が新型肺炎を発症し、国内2例目となる感染が確認されました。 中国を中心にマスクの需要が高まり、越境ECである「SD export(エスディーエクスポート)」では1月1~20日のマスク出荷額が前年同期比で56倍を記録するほどでした。 2020年1月25日 台湾衛生当局が、武漢に渡航歴がある男性患者が武漢から来たことを秘匿したとして30万台湾ドル(約110万円)の罰金を科すと表明しました。 中国での死者は41人となり、アメリカ・フランス・オーストラリアでも初の感染者が確認され、各国は中国・湖北省からの入国拒否、中国・湖北省への渡航中止勧告を出し始めます。 日本では国内3例目の感染が確認され、外務省は中国・湖北省への渡航中止勧告を出すに至りました。 中国の春節商戦は自粛ムードとなり、上海ディズニーも休園。 肺炎拡大が経済へ打撃を与えつつあることが印象付けられました。 2020年1月26日 3日前の570人から急増し、新型肺炎患者が2000人を超えたことが公表されました。 患者数が急増した背景として、中国当局による情報隠蔽が疑われています。 患者数が増えただけでなく、2歳、9歳の発病も確認され、感染しづらいとみられてきた子供にまで感染が拡大することが危惧されました。 中国ではこの日から、北京市から他の省へ向かうバスなどの運行を停止しました。 カナダでは初の新型肺炎患者が確認されました。 1月24日に初の患者が確認されていたベトナムでは、「人から人へ感染」していたことがWHOにより確認され、ベトナム国内での感染拡大が危惧されました。 香港ディズニーランドは休園を発表。 日本では4例目の国内感染が確認されました。 安倍首相が「希望者全員を帰国させる」と方針を示し、政府チャーター機で帰国させる考えを示しました。 中国保健当局はアメリカ製薬会社「アッヴィ」に要請し、抗HIV薬「アルビア(カレトラ)」を新型肺炎患者に試験的に投与したことを公表しました。 2020年1月27日 中国は海外への団体旅行や航空機・ホテルのパック旅行商品の販売を禁止しました。 カンボジアでは初の新型肺炎患者を確認しました。 日本国内では東京ディニーリゾートがスタッフのマスク着用を許可し、異例の対応となりました。 日経平均株価は500円の下落を記録しています。 2003年の中国初「SARS」の苦い記憶がある香港では、湖北省渡航者の入境禁止という厳しい措置に踏み切りました。 2020年1月28日 武漢への渡航歴が無い日本人男性が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。 感染者の男性はバス運転手で、武漢からのツアー客をバスに乗せて2回に渡って運行したとのこと。 日本国内で渡航歴が無い人の感染が確認されたのは初めてで、国内で人から人にウイルスが感染した可能性が示唆されました。 運行経路は大阪〜東京間であり、広い範囲を移動したことから日本国内での感染拡大の可能性が出てきました。 政府は新型肺炎を「指定感染症」にすることを閣議決定し、強制的な入院などの措置を取ることが可能となりました。 一方、中国の武漢市では感染者数が5974人に達し、海外でも50人以上の感染者が確認されていたことから、世界での感染者数が6000人を突破したと考えられました。 2002〜2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染者数は5327人であり、新型コロナウイルスがSARSを上回りました。 死者数は前日から26名増の132人となりました。 また、株式市場では急落の連鎖が発生。 シンガポール市場、NY株市場、日本市場が急落し、特に好調だったNY株の反落幅は大きく、453ドル安もの下げ幅を記録しました。 ユニクロは中国での休業を100店に拡大することを発表し、業績懸念が大きくなったことで同社の株は売り優勢となりました。 2020年1月29日 日本人を乗せたチャーター機が29日に到着し、206人が帰国しました。 このうち3人が新型ウイルスに感染していました。 報道が大きくなったことや安倍首相が国会答弁で言及したことからか、のちに検査を拒否した2名は検査を受けることに同意しました。 民間企業の対応が本格化していきます。 米航空会社ユナイテッドは一部中国便欠航、スターバックスは中国国内2000店舗を閉鎖、ヤマハ発動機は上海・蘇州の拠点で春節休暇延長を発表しました。 沖縄着クルーズ船は1万2000人がキャンセルし実質中止に追い込まれました。 移動制限により燃料需要が低迷するとの見方から、原油価格が急落し、それを受けてガソリン価格が12週ぶりに下落しました。 一方、アメリカは中国便の運航停止措置にまでは踏み込まず、日経平均株価は一時150円上昇しました。 2020年1月30日 世界の感染者は8100人を上回りました。 日本からのチャーター便第2陣では210人が帰国し、発熱などの症状で26人が入院しました。 国土交通省は新型肺炎の対策本部を立ち上げ、感染疑いのある患者の移動手段や宿泊先の確保や観光客減少による経済への影響などの把握に乗り出しました。 日本国内での感染者は東京都内在住の30代女性、京都市在住の20代女性、三重県在住の50代男性の3人が新たに確認され、30日時点で国内の感染者は無症状の2人を含めて14人となりました。 また、日本国内で人から人へ感染する二次感染が発生していたことが確認されました バス運転手とガイド。 民間企業への被害も報道されました。 航空会社ANAは2月の中国初の予約数が前年比半減し、居酒屋チェーン「ワタミ」では2000人がキャンセルしたことを明らかにしました。 世界では、インドで初の感染が確認され、ロシアは中国への渡航自粛を自国民に勧告しました。 シンガポールは政府チャーター便で中国から自国民を帰国させましたが、帰国者を2週間隔離する措置を取ったことが日本の対応と対比され、日本政府の対応の甘さが批判されました。 2020年1月31日 この日、24日に見送られていたWHOの緊急事態宣言が再び協議され、採択されました。 WHOによる緊急事態宣言は2019年7月にアフリカ中部で広がったエボラ出血熱に出して以来、6例目となります。 株式市場は緊急事態宣言により事態が好転するとの期待から買い戻しが進み、株高となりました。 世界の感染者数は9692人、死者数は213人となり、株高とは裏腹に感染者数は増加の一途を辿っています。 2020年2月1日 ここから報道が膨大になるため、分類分けして記載していきます。 感染者数と死者数 中国本土で新型肺炎感染者数は1万1000人を超え、死者は259人になりました。 日本ではチャーター便での帰国者が発症し、国内での発症者が17人に増加しました。 各国の対応 シンガポールは感染地域に限定していた中国人の入国禁止の範囲を中国全土に拡大しました。 2週間以内に中国を訪れた者はシンガポールに入国できなくなります。 日本政府は2月1日から新型肺炎を指定感染症とする政令を前倒しして施行しました。 日本の国立感染症研究所は新型肺炎の原因ウイルスの分離に成功したと発表し、ワクチン開発や発病メカニズム解析が加速することが期待されました。 民間企業の対応 米航空3社は米政府の渡航中止勧告を受け、中国行き直行便を休止しました。 トヨタ自動車は中国の春節延期の影響で操業再開を延期。 自動車部品供給が懸念されます。 ホンダ、ダイキン工業も操業再開の延期を決定しました。 豊田合成やデンソーは生産停止の長期化に備えて中国以外での代替生産の検討を開始しました。 JTBは中国ツアーを全面的に中止し、全日空は中国便の運休検討に入りました。 米アップルは「iPhone」の組み立てを中国の工場で行なっていますが、中国当局の要請で再開を2月10日以降に延期しました。 感染拡大による経済への影響 米国株は603ドル安の急反落となり、下げ幅は半年ぶりの大きさとなりました。 30日に米国務省が決定した、中国全土へ「渡航中止・退避勧告」が投資家心理の重荷となっています。 これらの影響で、中国経済の成長率予想は前年度比-2. 日本国内では、大阪市内主要13ホテルの2019年12月の平均客室稼働率は18年12月比1. 1ポイント低下の90. 長野県の宿泊キャンセル6800人に上りました。 2020年2月2日 感染者数と死者数 中国での感染者数は前日から2590人増加し、1万4380人となりました。 死者数は45人増加し、304人となりました。 中国本土以外の感染者数は約160人、26カ国・地域に広がっています。 フィリピンでは新型肺炎により1名が死亡し、中国以外で初の死亡例となりました。 ただし、武漢から渡航した中国人とのこと。 経済の動向 中国の中央銀行である中国人民銀行は、3日から18兆円規模の巨額オペレーション 公開市場操作=金融資産の買い支え を行うと発表。 投資家心理の落ち着きと投げ売り防止に動きました。 また、新型肺炎により被害を受けた企業・個人を救済するため、融資返済の引き伸ばしや金利引き下げが実行されました。 国際通貨基金 IMF トップが会見し、世界景気減速の懸念を表明するとともに、2020年度中は各国が金融緩和策を続けることを求めました。 各国の対応 中国からの入国制限を設ける国が60カ国を超えました。 特にアメリカ・オーストラリアは中国全土からの渡航者を入国禁止としました。 タイでは、抗エイズウイルス(HIV)薬とインフルエンザ薬を併用して投与したところ、新型肺炎の症状が劇的に改善する例が発見され、治療法開発の前進が期待されました。 北朝鮮では中国・韓国・ロシアとの交流を遮断しました。 北朝鮮では一部の首都を除く地域では防疫体制が脆弱であり、一度ウイルスの感染を招けば拡大を抑えることが困難と見られ、国家体制の崩壊を招きかねない事態となります。 日本ではチャーター便による帰国者のウイルス検査が進められ、新たに3人が陽性となり、国内での感染確認は計20名となりました。 民間企業の対応 Appleは中国の全42店舗を一時閉鎖しました。 2020年2月3日 感染者数と死者数 感染者数は前日から約3000人増の17346人、死者は58人増の362人に達しました。 中国は防疫が不完全だったとして地方幹部400人処分しました。 経済への影響 人気ゲームハード「NintendoSwitch」の中国販売に不透明感が増し、任天堂株が一時6. 百貨店では中国客の減少が響き、春節期間中の免税売上高が2桁減となりました。 アジアの有力企業で構成する「アジア300指数」が6日続落し、2カ月ぶり安値をつけました。 新型肺炎がアジアを中心に世界各国へ拡大する懸念によるものです。 一方、3日の中国株では海外勢が2800億円の買い越しを記録し、過去2番目の高水準となりました。 個人投資家を中心に狼狽売りが出ていましたが、機関投資家は経済への影響に「ズレ」が生じるだけであると予想しているためです。 日経平均は233円安の2万2971円をつけ、節目の2万3000円を割り込み3ヶ月ぶりの安値となりました。 日本国内の動向 厚労省は2月上旬をメドに全国335カ所に新型肺炎専門の「帰国者・接触者外来」を設置すると発表しました。 一般患者と動線を分けるなど感染拡大を防ぐための措置です。 ユニクロは中国の休業店舗を全体の4割弱にあたる270店に拡大しました。 2020年2月4日 感染者数と死者数 中国本土での感染者数が2万438人になり、中国の習近平指導部、初動不備認めて謝罪しました。 香港では初の死者が出ました。 日本国内の動向 乗客乗員約3700人を乗せたクルーズ船が横浜に着岸できない状況が続いています。 検疫官ら数十人が乗り込んで検疫を行うものの、乗客らの下船の見通しが立ちません。 経済への影響 新型肺炎によりヒト・モノの移動が滞り燃料需要が減るという見通しから、原油が一時50ドルの節目を割り込みました。 原油価格の下落は取り扱い業者の業績下押し圧力となります。 中国客が半減した影響で、北海道の観光損失が426億円に上ることが発表されました。 日経平均は様子見ムードの中、上海株が上昇したことを好感し112円上昇しました。 世界各国の対応 観光業が盛んなマカオでカジノ営業を半月停止する事態となりました。 マカオの観光客は半数以上を中国客が占めているため、経済に大きな影響を受けることが懸念されています。 民間企業の対応 ANAとJALは武漢便以外も中国路線を運休・減便することを決定しました。 新型肺炎の拡大を受け、神戸港を7日出港する予定だった豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」の海外ツアーが中止されました。 韓国の現代自動車が韓国内の工場稼働を停止しました。 新型肺炎で部品滞り、生産の維持が不可能となりました。 また、日産の中国生産も再開時期を延期することが発表されました。 新型コロナウイルスと日経平均株価の推移 アメリカとイランの軍事衝突の懸念で1月6〜8日は波乱の幕開けとなりましたが、以降は緊張緩和の流れとなり株高に向かいました。 そんな中、20日に中国衛生当局が人から人への感染を確認したと発表したことで流れは一変。 翌1月21日は200円超下落し、27日には新型肺炎の収束の目処が立たないことから500円近い値下がりとなりました。 1月30日は実体経済への影響が本格化するとの見方から400円以上の値下がりとなり、節目の2万3000円代を割り込みました。 1月31日はWHOの緊急事態宣言が採択されたことが好感され、200円超の値上がりとなりました。 まとめ 中国当局による情報操作、遅れた初動、春節による人の大移動が重なり、新型コロナウイルスは中国国内で大流行するに至りました。 本記事の感染者数と死者数はWHOが発表したものですが、WHOの発表は中国当局の数値そのままであり、過少報告されている可能性があります。 現地医療関係者のSNSよるとすでに10万人を超えている 2月1日時点 との話も。 海外の感染者数から統計的にはじき出した感染者数は7万人超であり、中国当局の発表よりSNSの情報の方が信憑性がありそうです。 収束の目処は立たず、日本に住む私たちも注意が必要です。
次の写真=iStock. だが、それでもなお深刻な感染状況が続き、医療が対応しきれないこともあって各国で死者が増えている。 1月に中国・武漢ではじまった新型コロナの感染拡大は、その後、韓国、イラン、イタリアなどと広がり、また、さらに欧州各国や米国などを中心に全世界に拡大してきている。 この4カ月余りを過ぎた時点で、地域によって感染拡大のテンポや規模がどのように違っているかを、世界各国と日本の国内で振り返ってみたい。 感染拡大を表すデータとしては、「累積の感染者数の推移」を折れ線グラフで表すことが多かった。 その後、感染拡大のピークを過ぎたかどうかに焦点が移り、「毎日の新規感染者数の推移」の棒グラフをみる機会が増えている。 本稿では、地域間の比較に重点をおいて、「累積の感染者数の推移」の折れ線グラフ、しかも「対数」でのグラフを使用する。 対数グラフは、データの大きさが大きく異なる系列の比較に適しており、また指数関数的な拡大のテンポを傾きで表現できることから、欧米メディアでは定番になっている。 また欧米メディアでは、グラフの時間軸の起点を「累積感染者数が100人を超えた時点」とするのが通例だ。 これは、感染拡大の時期が大きくずれている中国とイタリア、英国などを比較するうえで適切だからである。 Y軸(縦軸)の目盛りが100人、1000人、10000人と10倍ずつ増えていくのが対数グラフの特徴だ。 米国と日本では感染者数の規模は大きく異なっている。 グラフの最終日である5月4日時点で米国が118万人に対して日本は1万5000人と100倍違う。 普通のグラフでは米国の推移は追えても、日本の推移はX軸(横軸)に張り付いた横ばいの線にしか見えないだろう。 対数グラフの場合、軌跡線の傾きが直線の場合は、指数関数的な増加、すなわち、ねずみ算式の倍々ゲームで増えていることを示している。 図表中に、参照線として「黒の点線」で、累積感染者数が「1日目100人から始まって、2〜3日に2倍のペースで増え、25日目からは1カ月に2倍のペースで増えるようにペースダウンした場合」の軌跡線を描いた。 この参照線より傾きが急であるなら拡大テンポもより高いことを示し、より緩やかなら拡大テンポもより低いことを示す。 こう理解した上で各国の軌跡を追うと、欧米諸国(米国、スペイン、イタリア、ドイツ、フランスなど)では感染拡大と収束へ向かう右方向に折れ曲がる動きが相互に非常に似ており、参照線に近い形で推移していることが分かる。 もちろん、米国は人口規模が3億3000万人と6000万〜8000万人の欧州諸国の数倍大きいので感染者数の規模も異なっているが、拡大テンポと収束へ向かう横ばい化傾向はよく似ているのである。 感染の発生地である中国、そして次に感染が拡大した韓国は、感染100人を超えてからの経過日数別の推移でみると、当初はほぼ欧米諸国と同様の拡大テンポが続いたが、欧米諸国よりかなり早い段階で横ばいに転じている点が目立っている。 中国の人口規模は特段に大きいので人口当たりの感染者数の推移で見れば、感染拡大と収束へ向かうパターンについては中国と韓国は見かけよりもっと似ているということになろう。 一方、これらの海外諸国の推移と全く違うパターンで進んでいるのが日本である。 日本の感染拡大のペースは、これまでのところ、他国のように当初急速に拡大(いわゆるオーバーシュート)、そして一定の日数を経て、伸びが急速に落ちるといったパターンでなく、一貫して、「9日間に2倍ぐらいのテンポ」(図表1のグレーの点線)で増加している。 他国のドラスチックな変化とは明確に異なっているのである。 こちらでは感染拡大の起点を累積死者数が10人に達してからの経過日数にしている。 グラフを見れば、感染者数の推移グラフと似たようなパターンが認められるが、各国のばらつきはより大きいことが分かる。 例えば、ドイツは、感染者数は他の欧米諸国とほとんど同じパターンだが、死亡者数はかなり早い段階で拡大テンポが落ち、他の欧米諸国より良好なパターンを示している。 理由としては、感染拡大の地域的な偏りの小ささ、ベッド数など医療体制の充実、PCR検査の充実により感染者が高齢者に偏っていない点などが指摘される(『The Ecomist』March 28th 2020)。 韓国なども早い段階で増加ペースが落ち、ある時点から日本を下回る良好な推移を示している。 日本は死亡者数自体の規模は大きく他国を下回っているものの、推移パターンはかなり日数が経過しているのに、他国のように収束へ向かう横ばい化への転換がなかなか認められない点が懸念される。 感染者数の推移にせよ、死亡者数の推移にせよ、日本の感染拡大のパターンが諸外国と大きく異なっていることは、この2つのグラフから明らかだ。 問題は、その理由である。 考えられるのは、以下の要因、あるいはその組み合わせであろう。 もっとも対策の差が、感染拡大パターンの差につながっているのではなく、逆に、感染拡大パターンの差が対策の差につながっているという考え方もありうる。 体質的な差ではなく、日本には、ハグやキスなど個々人が身体を密着させる習慣がない、風呂によく漬かる、家の中では靴を脱ぐといった独自の生活習慣があるため、感染拡大に差が生じたという可能性もあろう。 一方、これに代わって国内で確認されるようになったウイルスは、武漢市で確認されたウイルスよりも、欧州各国で感染を広げたウイルスの遺伝子に特徴が近く、3月以降、欧州など海外からの旅行者や帰国者を通じて全国各地に広がった可能性があるという。 まず、都道府県別の感染状況のランキングを感染者数自体と人口10万人当たりの人数とで16位まで掲げたグラフを図表3に掲げた(いずれも5月4日確定分までの累計、以下同)。 感染者数そのものについては、1位の東京が4708人と2位の大阪の1674人の2倍以上となっている。 東京、大阪といった大都市圏の中心地域で特別に感染率が高くなっている。 3位以下、10位までの上位地域としては、北海道を除くと東西の大都市圏の近郊地域や愛知、福岡といった中枢都市が占めており、概して都市部の感染がウエートとして大きいといえる。 ところが、人口当たりの感染者数(感染率)の都道府県ランキングは実数規模のランキングとはかなり様相を異にしている。 1位は34. 3の東京であるが、2位の石川も23. 5人、3位の富山も19. 7人で高い値を示している。 今は6位の福井は一時期1位だったこともある。 首都圏近郊の神奈川、埼玉は、実数規模では3〜4位と大きいが、感染率のランキングについてはずっと低くなる。 神奈川は11位であるし、埼玉は13位である。 感染率は両県の場合、全国平均と同水準である。 そして、飲み会、ライブ、高齢者施設、医療機関などを通じた特定の感染集団によるクラスター感染が偶発的に発生し、それが連鎖的にある程度の広がりをもった特定感染地域ともいうべき都道府県がむしろ上位を占めているのである。 しかし、石川、福井、富山といった北陸3県が人口当たりでそろって上位なのはなぜだろうか。 偶発的にしては地域的なまとまりがあるのが気になるところである。 前出の各国の動きを表した対数グラフと同じように、主要都道府県別に感染拡大経過日数別の対数グラフを描いてみると感染拡大傾向の地域別の違いが明らかになる。 東京は他地域と比べ、感染拡大の規模とテンポが群を抜いていることがわかる。 埼玉、神奈川などの東京圏の近郊県も100人超過後15日ぐらいは、東京とほぼ同様の軌跡を描いていたが、それ以降は、やや横ばい方向に転じており、大きな都心部を抱える東京とはその点が異なっている。 実は福岡はこうした東京近郊県と同様のパターンをたどっている。 これら地域に対して、大阪、兵庫、京都といった大阪圏の府県は拡大のテンポが一段低くなっていることがわかる。 名古屋圏の愛知、あるいは北海道は拡大ペースではさらにゆるやかである。 ただし、北海道については、ゆるやかだったと過去形で言わなければならない。 最近の北海道は再度拡大テンポが上がっており、第二波に襲われているという印象が強い。 東京・大阪以外では、クラスター連鎖の勃発による急拡大と、その後、それを強力に抑えて収束へと向かう、という動きが認められるが、大きな都心部を抱える東京や大阪では、都心部特有の感染拡大要因が作用して、どう抑えたらよいかわからないような感染拡大の軌跡を描いているのではないかと思われる。 都内でも感染拡大が大きく進んでいるのは、銀座、新宿、赤坂、六本木といったわが国の代表的な繁華街を有する「都心地区」(中央区、港区、新宿など)、および富裕層も多い住宅地域である「西部地区」(世田谷区・渋谷区など)であり、この2地区が感染者数規模においても、また感染拡大のテンポにおいても他地区を圧倒している。 他方、感染拡大のテンポが緩やかなのは、「下町地区」と「東部地区」であり、累積感染者数100人以上の本格的感染拡大がはじまる時期も遅かったし、その後の拡大規模も比較的小さい。 こうした「都心・山の手方面」と「下町方面」との間の地域的な傾向差からも、偶発的なクラスター感染の連鎖とは異なる上述のような都心部特有の構造的な感染拡大の要因が作用しているはずだと感じられる。 ともあれ、都道府県別に見ても都内の地区別に見ても、エリアによって感染者数の偏りはあるものの、全体として数の「横ばい化」は認められず、日本国内において予断を許さないことは確かだ。 ---------- 本川 裕(ほんかわ・ゆたか) 統計探偵/統計データ分析家 1951年神奈川県生まれ。 東京大学農学部農業経済学科、同大学院出身。 財団法人国民経済研究協会常務理事研究部長を経て、アルファ社会科学株式会社主席研究員。 「社会実情データ図録」サイト主宰。 シンクタンクで多くの分野の調査研究に従事。 現在は、インターネット・サイトを運営しながら、地域調査等に従事。 ---------- (統計探偵/統計データ分析家 本川 裕) 外部サイト.
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