旬の入り口、初秋の生メバチマグロの砂ずりである。 マグロは縦4等分に切り、これを基本的に「上」、「中」、「下」と横3等分する。 ここから冊取りの長さにまた横に切り、縦方向に冊取りをする。 その冊にならない腹鰭の後ろの部分を砂ずりという。 昔はメバチマグロからは「大トロ」がとれないとされていた。 それが近年、脂の強い腹身や砂ずりを「大トロ」というようになってきている。 個人的には腹身はともかく砂ずりを「大トロ」はないだろうと考えている。 さて、砂ずりはまことに味がいい。 やや食感が強く、噛みしめると細かな筋から脂の甘みが飛び出してくる。 味は濃厚で、ここにすし飯の酸味が加わると、まことに調和のとれた味になる。 すし屋のネタケースにあったら必ずお願いする一かんなのである。
次の2019年8月6日• 豊洲市場 鮪の捌き方~ミナミマグロ編~ 食のトータルプロデューサー・井上です。 先日、市場の卸会社の方とお話をしていて、「今、天然鮪が売れなくなっている」という衝撃の事実を知りました。 え? でも、回転寿司とか増えているし、世界中で鮪ブームだしそんなことは無いでしょう? と思ったのですが、確かに鮪全体は増えているのですが、養殖マグロに押され、天然鮪の(とりわけ極上マグロの)需要はさがってるのだということです。 ほーー、なるほど。 確かに、私の地元のそれなりに良い魚屋さんでも養殖が中心。 うーん、時代ですかね。 養殖も美味しいですものね。 しかし、そうはいっても世に言う「一流の店」は天然の極上鮪を持っていきます。 私はプロほど食べているわけでないので偉そうな事は言えませんが、天然の良い鮪はくどく無く、鮪だけをただただ食べて続けていても飽きないです。 社内で試食会をしても、家族にふるまっても、良いマグロだと瞬く間に無くなります。 やっぱり見た目は同じようでも違うんだなぁと思います。 前置きが長くなりましたが、そんなわけでプロが使う鮪を販売しようという事になり、まずは自分で試してみました。 まさか、こんなものが家に来る日があるとは。 この日手に入れたのは、天然ミナミマグロ(インドマグロとも呼ばれます。 インドでは獲れないですが)です。 また話が脱線しますが、鮪ってどんな種類あるか知ってますか? 言われると案外わからないですよね?知ってそうで知らないのが鮪の世界。 2019年の年始に3億を超えて有名になったのは「黒鮪」という鮪で、「本鮪」とも呼ばれます。 本物、真実のとかそういう事なんでしょうね。 ) スーパーで人気の安くて美味しい鮪は、メバチマグロとキハダマグロ。 ビンチョウマグロという白っぽい肉のマグロも安くて美味しいのですが、色が悪くて小売店ではあまり見かけず、回転寿司で「ビントロ」という名でグルグル回ってたりします。 鮨屋とか料亭で使われる、夏に美味しい鮪がこのミマミマグロ。 あまり小売店では目にしないかもですが、料理人さんの評価が高い鮪です。 それぞれのマグロが、水揚げされた漁港で独自のブランド名がついたり(大間のマグロのように)、モチマグロとか独自の名前で呼ばれたり、さらに部位ごとに大トロ、カマトロ、砂ずりとか呼ばれたりするので、ややこしくなってます。 また別の機会に書きますが、品種・季節・海域を覚えるだけでも、グッと詳しくなり、鮨屋でその知識を「ドヤ」とひけらかすことができた際は、職人からは嫌われますが、自分自身は大満足です。 では、さっそく捌いてみましょう。 99%の方は、鮪をブロックから捌くという経験はないと思いますので、素人である私がどこがポイントで、どこに苦労するか、そして楽しさはどこにあるかを解説したいと思います。 尻尾に近い部分にはないのですが大トロを含む部分はこの血合いがあります。 ここをまず取り除きます。 血合いは竜田揚げにすると美味しいので捨てないでください。 こんな感じで包丁をいれていくと、 はがれるようにとれます。 上手にとれました。 この部分はちょっと生臭いですね。 次に赤身の部分を分けます。 えい! この時にふと「別にこう切らなくても良いよな~」と思いました。 鮨屋では、赤身・中トロ・大トロという出し方をするのでついこう切ってしまいますが、縦に真二つに切っても問題はないかなと思います。 赤身がとれました。 下のほうはトロっぽいですね。 もう少し上で切り分けても良かったですね。 この辺りに骨がありました。 大きな骨なのでわかります。 そこを切ります。 ここも捨てないでください。 骨のまわりの肉を丁寧にスプーンでこそぎとってねぎとろにします。 万が一皮に身が残ってしまっても、これもスプーンでこそぎとってねぎとろにすればOKです。 この日は、妻が友人宅に少しお土産に持っていきたいと言うので、変な大きさで切ってますが、このタイミングであんまり細かく切ると、後で大きく切りたくなった時に後悔するので、大きめの方が良いかなと思います。 ちなみにこの時間は出勤前のAM8時。 出勤前に自宅で鮪を捌いてるのは世界でも僕くらいでしょう。 こんな感じに切り分けました。 大トロの蛇腹具合が素敵過ぎます。 撮っておけば良かったですね。 キッチンペーパーはドリップを吸わせるために包みます。 冷蔵庫ってとても乾燥しやすいので空気に触れないようにラップはきっちりと。 翌日に友人を招き、鮨パーティーを行いました。 さて、「ご自宅で鮨を握る」というと、ほとんどの方が「それは無理でしょ~」というような反応をします。 何故そうなのかを考えてみると恐らく、鮨を握るのは10年かかるといった職人の修行のイメージがあるからだと思います。 口の中で解けるような鮨はもちろん握れません。 しかし、「いや、おにぎりなら誰でも握れるじゃないか!同じ握る行為であるならばやれるはず!」 とポジティブシンキングを発揮すると何だかやれそうな気がします。 というわけでネットで見ながらやってみました。 友人は「マグロもうまいが、酢飯もうまい」とほめてくれました。 この鮨の握り方については、素人がどこで苦労するのか、どうやったらそれなりに握れるのか、別の機会にブログにしようと思います。 鮪鮨パーティーは本当に楽しかったです。 一流の鮨屋のピリッとした雰囲気ではなく、柔らかな雰囲気のリラックスした空間での鮨を食べるというのは最高です。 先日、奮発して回らないお鮨屋さんに行ったのですが、子供がいつ騒ぎ出すか冷や冷やして楽しみきれませんでした。 「リラックスして楽しむ」というのは、大事なポイントですね。 tsukijiichiba. リーズナブルなスポット品もたまにアップされます。
次の2019年8月6日• 豊洲市場 鮪の捌き方~ミナミマグロ編~ 食のトータルプロデューサー・井上です。 先日、市場の卸会社の方とお話をしていて、「今、天然鮪が売れなくなっている」という衝撃の事実を知りました。 え? でも、回転寿司とか増えているし、世界中で鮪ブームだしそんなことは無いでしょう? と思ったのですが、確かに鮪全体は増えているのですが、養殖マグロに押され、天然鮪の(とりわけ極上マグロの)需要はさがってるのだということです。 ほーー、なるほど。 確かに、私の地元のそれなりに良い魚屋さんでも養殖が中心。 うーん、時代ですかね。 養殖も美味しいですものね。 しかし、そうはいっても世に言う「一流の店」は天然の極上鮪を持っていきます。 私はプロほど食べているわけでないので偉そうな事は言えませんが、天然の良い鮪はくどく無く、鮪だけをただただ食べて続けていても飽きないです。 社内で試食会をしても、家族にふるまっても、良いマグロだと瞬く間に無くなります。 やっぱり見た目は同じようでも違うんだなぁと思います。 前置きが長くなりましたが、そんなわけでプロが使う鮪を販売しようという事になり、まずは自分で試してみました。 まさか、こんなものが家に来る日があるとは。 この日手に入れたのは、天然ミナミマグロ(インドマグロとも呼ばれます。 インドでは獲れないですが)です。 また話が脱線しますが、鮪ってどんな種類あるか知ってますか? 言われると案外わからないですよね?知ってそうで知らないのが鮪の世界。 2019年の年始に3億を超えて有名になったのは「黒鮪」という鮪で、「本鮪」とも呼ばれます。 本物、真実のとかそういう事なんでしょうね。 ) スーパーで人気の安くて美味しい鮪は、メバチマグロとキハダマグロ。 ビンチョウマグロという白っぽい肉のマグロも安くて美味しいのですが、色が悪くて小売店ではあまり見かけず、回転寿司で「ビントロ」という名でグルグル回ってたりします。 鮨屋とか料亭で使われる、夏に美味しい鮪がこのミマミマグロ。 あまり小売店では目にしないかもですが、料理人さんの評価が高い鮪です。 それぞれのマグロが、水揚げされた漁港で独自のブランド名がついたり(大間のマグロのように)、モチマグロとか独自の名前で呼ばれたり、さらに部位ごとに大トロ、カマトロ、砂ずりとか呼ばれたりするので、ややこしくなってます。 また別の機会に書きますが、品種・季節・海域を覚えるだけでも、グッと詳しくなり、鮨屋でその知識を「ドヤ」とひけらかすことができた際は、職人からは嫌われますが、自分自身は大満足です。 では、さっそく捌いてみましょう。 99%の方は、鮪をブロックから捌くという経験はないと思いますので、素人である私がどこがポイントで、どこに苦労するか、そして楽しさはどこにあるかを解説したいと思います。 尻尾に近い部分にはないのですが大トロを含む部分はこの血合いがあります。 ここをまず取り除きます。 血合いは竜田揚げにすると美味しいので捨てないでください。 こんな感じで包丁をいれていくと、 はがれるようにとれます。 上手にとれました。 この部分はちょっと生臭いですね。 次に赤身の部分を分けます。 えい! この時にふと「別にこう切らなくても良いよな~」と思いました。 鮨屋では、赤身・中トロ・大トロという出し方をするのでついこう切ってしまいますが、縦に真二つに切っても問題はないかなと思います。 赤身がとれました。 下のほうはトロっぽいですね。 もう少し上で切り分けても良かったですね。 この辺りに骨がありました。 大きな骨なのでわかります。 そこを切ります。 ここも捨てないでください。 骨のまわりの肉を丁寧にスプーンでこそぎとってねぎとろにします。 万が一皮に身が残ってしまっても、これもスプーンでこそぎとってねぎとろにすればOKです。 この日は、妻が友人宅に少しお土産に持っていきたいと言うので、変な大きさで切ってますが、このタイミングであんまり細かく切ると、後で大きく切りたくなった時に後悔するので、大きめの方が良いかなと思います。 ちなみにこの時間は出勤前のAM8時。 出勤前に自宅で鮪を捌いてるのは世界でも僕くらいでしょう。 こんな感じに切り分けました。 大トロの蛇腹具合が素敵過ぎます。 撮っておけば良かったですね。 キッチンペーパーはドリップを吸わせるために包みます。 冷蔵庫ってとても乾燥しやすいので空気に触れないようにラップはきっちりと。 翌日に友人を招き、鮨パーティーを行いました。 さて、「ご自宅で鮨を握る」というと、ほとんどの方が「それは無理でしょ~」というような反応をします。 何故そうなのかを考えてみると恐らく、鮨を握るのは10年かかるといった職人の修行のイメージがあるからだと思います。 口の中で解けるような鮨はもちろん握れません。 しかし、「いや、おにぎりなら誰でも握れるじゃないか!同じ握る行為であるならばやれるはず!」 とポジティブシンキングを発揮すると何だかやれそうな気がします。 というわけでネットで見ながらやってみました。 友人は「マグロもうまいが、酢飯もうまい」とほめてくれました。 この鮨の握り方については、素人がどこで苦労するのか、どうやったらそれなりに握れるのか、別の機会にブログにしようと思います。 鮪鮨パーティーは本当に楽しかったです。 一流の鮨屋のピリッとした雰囲気ではなく、柔らかな雰囲気のリラックスした空間での鮨を食べるというのは最高です。 先日、奮発して回らないお鮨屋さんに行ったのですが、子供がいつ騒ぎ出すか冷や冷やして楽しみきれませんでした。 「リラックスして楽しむ」というのは、大事なポイントですね。 tsukijiichiba. リーズナブルなスポット品もたまにアップされます。
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