男性が育休を取るのはなかなか難しいのが現実だが 女性が妊娠して出産のタイミングで仕事を休むことになれば、会社は拒むことができません。 本人が退職を希望しない限り、出産予定日の6週間前から産前休暇に入り、産後8週間は産後休暇としてお休みすることができます。 それ以降も引き続き休む場合は、育児休業としてお休みになります。 育児休業の期間については働いてもいいわけですが、調査によれば、81. 5%の女性が育児休業を取得しているとされます(厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」)。 子どもが産まれて2カ月というのは本人の体力も戻りきっていないことが多く、乳児を育てつつ仕事を両立することも大変なので、保育園が決まるタイミングまで(それは現実的には新年度の4月を意味することが多い)、育児休業が続くことが多いと思います。 ところが、男性の場合、出産の当人ではないため(もちろん当事者ではあるはずなのですが)、育児休業と無縁のまま働き続けていることが多い状態にあります。 男性の育児休業取得率はなんと2. 65%です。 38人に1人しか取得していない状態です。 でももしかすると「男性は育休取れないんでしょう?」とか「男性が育休取ったら給与ゼロになっちゃうから無理」と思っているパパママも多いと思います。 実は男性も育休を取得することができますし、そのあいだ給付金ももらえます。 今回は男性の育休の基本的なヒントをまとめてみます。 男性の育休というと長期間の休みを取得することで、会社の人事評価にマイナスになったが、それでも後悔していない! みたいな例がネットで紹介されていたりしますが、短期間で取得するのも方法のひとつです。 正社員で働いているなら、短期間でもいいので育休を取得してほしいと思います。 男子育休の誤解~育休中は給料ゼロではない~給付金で8割くらいもらえる(ただし注意もひとつ) 育児休業中、多くの会社では給与はもらえません。 仕事をしていないのですからこれは仕方ないところです。 しかし、雇用保険のほうから 育児休業給付金というものが支給されます。 これは男女同じルールなので、男性が育休を取得してももらうことができます。 育休給付金は「最初の6カ月はお休み前の給与の3分の2相当(67%)」「それ以降は5割」となっています。 男性が半年以上取得するケースがきわめて少ないことを考えれば、「3分の2はもらえる」と思っておくといいでしょう。 育児休業給付金は非課税です。 また、1カ月以上休んだ場合は厚生年金保険料については本人の負担分も会社の負担分も全額がタダになります(タダでも国に保険料を納めたことになり、将来の年金額で損をしないようになっている)。 こうした条件を含めると、実質的には、 休む前の給与の8割くらいをもらう感覚になります。 (正確な割合は個別の条件により異なる) ただし注意点もひとつ。 それは育児休業給付金は後払い、ということです。 給与振り込み日に給料がない代わりに育児休業給付金が振り込まれるならいうことないのですが、不正を防ぐ観点もあり後日支払うことになっているからです。 一週間程度の育休であった場合は給与が4分の1ほど減って後日振り込まれますし、1カ月以上の育休であった場合、 2カ月以上無収入の時期が生じることになります。 「育休の際には給付金が出る」ので無収入にはなりません。 しかし「給付金が出るのは数カ月後」ということに注意が必要です。 会社に育休取得の説得をする3つのタイミング それでは、男性社員が会社に育休取得の相談をするのに向いている3つのタイミングを紹介したいと思います。 1)子どもの出産前後(特に子どもが二人目ないし三人目のとき) 最初のタイミングは「子どもが産まれる前後」です。 最近の若い世代では出産のタイミングで男性がお休みを取ることが増えましたが、一日の有給ではなく、1週間~1カ月ほど休んで育休にしてみる、というのはどうでしょうか。 誕生まもない時期に子どもと一緒に過ごす時間をたくさん取ることができますし、子の誕生からしばらくは妻が自由に動けませんのでその手助けもできます。 特に二人目ないし三人目の出産となれば、男性も育休を取ってみたいところです。 妻の実家に里帰りして出産するケースも多いのですが、出産にも立ち会えず、最初の1カ月を子どもと過ごさない(お兄ちゃんやお姉ちゃんの相手もしない)というのは子育てとしてはもったいないことです。 上司と早めに相談して一週間でも育休取得を考えてみてください。 ちなみに妻が産休期間中、父親が育休を取った場合、その後もう一度育休を取得できる特例がありますので、「出産予定日の前後2週間」「出産予定日の前日から一週間」のような形でもいいので育休取得を検討してみてはどうでしょうか。
次のQ 1 育児休業を取得予定ですが、育児休業中に在職中の事業所を退職することを予定しています。 この場合も育児休業給付の対象となりますか。 Q 2 育児休業給付の受給要件を教えてください。 Q 3 有期雇用労働者の場合、受給要件は異なりますか。 Q 4 育児休業給付における育児休業開始日とはいつですか。 また、男性も育児休業給付を受給することは可能ですか。 Q 5 育児休業給付の受給手続には何が必要でしょうか。 また、どこで手続きをすればよいのでしょうか。 Q 6 育児休業給付の支給申請は、育児休業を取得している被保険者が行うのでしょうか。 Q 7 育児休業給付の受給できる額は、例えば1か月でどの程度もらえるのか、だいたいの金額を教えてください。 Q 8 育児休業期間中に就労した場合、育児休業給付はどうなりますか。 Q 9 育児休業期間中に就労し、育児休業期間中に賃金が支払われた場合、育児休業給付はどうなりますか。 Q10 育児休業給付は、いつまで支給されるのですか。 Q11 どのような場合に、1歳6か月まで延長が可能になるのでしょうか。 Q12 どのような場合に、2歳まで延長が可能になるのでしょうか。 Q13 育児休業給付の対象となる子は、実子だけでしょうか。 Q14 第1子に係る育児休業給付を受給中に、第2子を妊娠した場合に、第1子の育児休業給付はいつまで支給されますか。 Q15 育児休業取得後に、一度職場復帰しましたが、その後、再度同一の子に係る育児休業を取得した場合、育児休業給付の対象となりますか。 Q16 育児休業期間中に、退職した場合は、それまで受給した育児休業給付は返金する必要がありますか。 Q17 育児休業給付はどのくらいで口座に入金されますか。 Q18 育児休業給付は、課税の対象となりますか。 Q19 育児休業給付の受給中も、雇用保険料を納付しなければならないのでしょうか。 Q20 育児休業給付の受給中も、社会保険料(健康保険、厚生年金)を納付しなければならないのでしょうか。 Q21 ハローワークの支給(不支給)の決定処分について、不服がある場合に、どのようにしたらよいでしょうか。 下記の必要書類を持参し、原則2か月に1回、在職中の事業所を管轄するハローワーク に申請ください。 なお、ハローワークの開庁時間は8:30~17:15までです。 3.賃金台帳、労働者名簿、出勤簿又はタイムカード等(1.、2.に記載した賃金の額及び賃金の支払い状況を証明することができる書類) 4.母子手帳など育児を行っている事実を確認できる書類 【2回目以降の申請に必要な書類】 1.育児休業給付支給申請書(受給資格確認や前回の支給申請手続後にハローワークから交付されます。 正確な金額はハローワークにご提出いただく雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書により、休業開始時賃金日額が確定し、算出されますが、1支給単位期間において、育児休業期間を対象とした賃金の支払いがない場合の支給額は、育児休業開始前6か月間の総支給額により、概ね以下のとおりです。 また、育児休業期間中に賃金が支払われていると減額される場合があります(問9参照)。 賞与は除きます。 )を180で除した額です。 以下1又は2のいずれかに該当する理由により、子が1歳に達する日後の期間に育児休業を取得する場合は、その子が1歳6か月に達する日前までの期間、育児休業給付金の支給対象となります。 育児休業の申出に係る子について、保育所(無認可保育施設は除く。 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者であって、その子が1歳に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった方が以下のいずれかに該当した場合 1 死亡したとき 2 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により育児休業の申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき 3 婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業の申出に係る子と同居しないこととなったとき 4 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過しないとき(産前休業を請求できる期間又は産前休業期間及び産後休業期間) 平成29年10月1日より、一定の要件を満たす場合には、子が2歳に達する日前まで育児休業給付金の支給対象期間が延長できるようになります。 ただし、子が2歳に達する日前までの支給対象期間の延長については、子が1歳6か月に達する日の翌日が平成29年10月1日以降となる方が対象となります(=子の誕生日が平成28年3月31日以降の場合に対象となります。 以下1又は2のいずれかに該当する理由により、子が1歳6か月に達する日後の期間に育児休業を取得する場合は、その子が2歳に達する日前までの期間、育児休業給付金の支給対象となります。 育児休業の申出に係る子について、保育所(無認可保育施設は除く。 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者であって、その子が1歳6か月に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった方が以下のいずれかに該当した場合 1 死亡したとき 2 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により育児休業の申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき 3 婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業の申出に係る子と同居しないこととなったとき 4 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過しないとき(産前休業を請求できる期間又は産前休業期間及び産後休業期間) (注)有期雇用労働者の方は、子が1歳6か月に達する日の翌日において、子が2歳までの間に、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないことが必要です。 育児休業給付については、原則として、同一の子に係る2回目以降の育児休業は支給の対象となりませんが、1歳(一定の場合、1歳2か月)に達する日の前日までに、以下のような理由により取得した同一の子に係る再度の育児休業も支給対象となります。 1 1回目の育児休業の終了が他の子の産前産後休業・育児休業を取得したためであって、当該他の子が死亡した場合や養子となったこと等により同居しなくなった場合 2 1回目の育児休業の終了が介護休業を取得したためであって、介護対象家族の死亡、離婚、婚姻の取り消し、離縁等により対象家族の介護を行わなくなった場合 3 配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。 育児休業給付金支給決定通知書を確認して下さい。 概ね支給決定日から1週間程度で指定いただいた口座に振込がされます。 通知書をお持ちでない場合は、事業所の担当者の方に、ハローワークへ申請をしているか、申請している場合は、ハローワークから通知書が届いていないか確認してください。 ハローワークへ申請をしているにもかかわらず、通知書が届いていない場合は、事業所を管轄するハローワークにおいて、審査中のため、審査状況は、事業所を管轄するハローワークに来所の上、お問い合わせください。 なお、個人情報保護のため、電話でのお問い合わせには回答できませんので、ご了承ください。 また、厚生労働省、都道府県労働局、ハローワークにおいて、個々の受給者の振込日は把握できませんので、入金日に関するお問い合わせにはお答えできません。 社会保険料(健康保険、厚生年金)については、育児休業期間中の被保険者本人及び事業主負担分が免除されます。 なお、詳しくは、最寄りの年金事務所へお問い合わせください。 ハローワークの支給(不支給)の決定処分について、不服がある場合に、どのようにしたらよいでしょうか。 ハローワークの決定に対して不服のある場合には、処分を行ったハローワークを管轄する都道府県労働局の雇用保険審査官に対して、処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に審査請求(不服の申し立て)を行っていただくこととなります。 なお、審査請求は文書又は口頭で、直接雇用保険審査官又は処分を行ったハローワークもしくは請求者の住所地を管轄するハローワークを経由して行うことができます。 (審査請求を文書で請求する際は郵送で行うこともできます。 ) 具体的な請求方法等につきましては、雇用保険審査官等にお問い合わせください。
次の人事労務担当者の皆さん、「産休・育休」に関する手続き、理解していますか? 産休・育休に関する労務手続きはとても煩雑。 担当者だって、不慣れな人は「調べないと分からない」というケースも多いでしょう。 しかし一連の手続きは、 出産をする本人ではなく、会社が行うもの。 もし不備があれば給付金を受け取れなくなるケースもあるため、綿密に、抜かりなく行う必要があります。 今回は、注意点の多い 「育児休業給付金の延長」についてです。 育児休業給付金とは 育児休業給付金とは、育児休業中にハローワーク(雇用保険)から受け取れるお金です。 パパとママの両方が育児休業を取得する場合は、子どもが 1歳2ヶ月を迎えるまで、育児休業と給付の両方が延長されます。 また、認可保育園に入所できなかった場合には、 1歳6ヶ月または2歳まで育児休業を延長でき、それに伴い育児休業給付金の 給付期間も延長されるのです。 延長の話の前に、まずは基本的にいくら受け取れるかを確認しましょう。 以下の4点を満たしていないといけません。 育児休業を延長して育児休業給付金をもらうには それでは、育児休業給付金の延長について解説していきます。 育児休業給付金は、1歳の誕生日の前日までであれば、特別な手続きなく受け取れますが、 最大2歳まで延長する場合には、必要書類を提出しなければなりません。 また、すべての人が延長できるわけではなく、 認可保育所に入所できない場合に限り、延長が認められます。 無認可保育所は延長条件の対象外となるため、注意が必要です。 育児休業給付金の延長を申し込むには、以下の条件が必要です。 保育所への入所手続きは、 市町村で異なりますので、早めに確認をしてください。 そして、1歳6ヶ月までに入所できた場合は、2歳までは延長されません。 また 1歳6ケ月より前に入所できた場合は、入所した日から、育児休業給付金の 支給は止まります。 必要書類 育児休業および育児休業給付金を受け取れる期間の延長には、「市町村が発行した保育所等の入所保留の通知書など、当面保育所等において保育が行われない事実を証明することができる書類」が必要です。 (書式や名称は、 市区町村によって異なります) これは出産する本人がハローワークに行き、自分で用意をする書類です。 しかし初めての出産の場合は本人も「どうしていいか分からない」はずですので、 手続きが遅れないように サポートしてあげてください。 本人で取得ができない場合は、 会社で手配をしてあげる必要も出てくるでしょう。 また、発行にかかる時間も長めに見積もっておいてください。 市区町村にもよりますが、発行までに約1ケ月かかるケースも。 早めに会社の所在地を管轄するハローワークに相談することが大切です。 家庭環境の変化を理由に延長を申し込むことも可能 認可保育所への入所ができず、待機児童となったケースの他にも、育児休業および育児休業給付金の延長を申し込める場合があります。 たとえば、育休中に 次の出産が予定される場合。 6週間(多胎妊娠では14週間)以内の出産予定、または産後8週間以内であれば、延長を申請できます。 妊娠中や出産後は、そのタイミングによっては子どもの養育が難しいため、このような配慮がされているのです。 またレアケースですが、子どもの面倒を見ていた育休中のママが亡くなってしまった場合。 パパが働きながら子育てをするにも限界がありますから、そのような場合は パパが育児休業を取得して、育児休業給付金も受け取ることが可能です。 病気や死亡などで、育休中のパパ・ママの 状態が変わった場合には、世帯全員分の住民票の写しと母子健康手帳の写し、保育を予定していた配偶者の状態を証明できる医師の診断書などが必要です。 認可保育所に入所できなかったケースとは、 必要書類が異なるため注意しましょう。 とにかく守りたい「先手先手の手続き」 育児休業給付金の延長手続きには、さまざまな条件や書類がかかわってきます。 うまく、スムーズに取得するには、 とにかく以下の2点を意識し、出産する本人や、配偶者の協力を求めることが大切です。 できるだけ早く保育所の入所を申し込んでもらう! 入所希望日が1歳を迎える誕生日の前日を過ぎてしまうと、延長給付ができません。 入所申し込みの後回しは、すべての手続きの流れを止め、家計や復職の計画を狂わせてしまいます。 できるだけ早く申し込んでもらうよう、連絡を取り合ってください。 保育所に入所できなかった証明書は、取得するまでマメに連絡を! 入所できなかったことの証明は、さかのぼっては発行してもらえないため、早めの手続きを求めましょう。 そのまま忘れられてしまう場合もあるため、1週間ごとに連絡するなど対策することが大切です。 まとめ とても煩雑な育児休業給付金の手続きですが、人事労務担当者の「心得」はひとつ。 とにかく先手先手で手続きを進め、書類を確保することに尽きます。 また、出産した 本人との連絡をどう取るかも肝になってきます。 もし遠方に里帰りしていたら?体調が悪く、自分で動けなかったら?そのようなケースの、会社としてのサポート体制はととのっているでしょうか。 入所が決まらず、入所希望日が1歳の誕生日のあとになってしまったら、そもそも育休の延長が認められず、制度上は復職になってしまいます。 その結果、 本人が退職して子育てをせざるを得ない…などということになってしまえば、会社にとっても大打撃。 人事労務担当者として、「なるはや」で対応する意識を持っておくべきです。 それさえ守れば、不備の大半は回避できるでしょう。 規程作成だけではなく月に1回の労務相談もできるHRbaseは、月額4,980円、初月無料! 「困ったときだけ専門家のアドバイスがほしい」を叶える、WEB上の労務顧問として活用ください。
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