文学少女 漫画 感想。 “文学少女”シリーズ

【感想・ネタバレ】こちら文学少女になりますのレビュー

文学少女 漫画 感想

チトとユーリの軽口の応酬も無くなって、どんどんチトが自分の内面を掘っていきます。 ここでユーリの内面を描写しないのは「何か最後のギミックなのかな」とも思いましたが、これはスレた読者にありがちな邪念でした。 途中、大事にしていた本を燃やして暖をとり、不要なライフルも捨て、暗闇の中で登った螺旋階段は途中で途切れ、ようやくたどり着いた頂上には空以外は何もない。 これ以上、どこにも行く事が出来ないし自分達以外は何もなくなってしまった二人は最後の食料を食べてから一緒に眠りにつく、二人の姿はどんどん遠ざかって行って巨大な世界だけが残る。 死への対処 タイトル通り、終末に向かってとぼとぼと歩いているような作品で悲惨な状況もユーモアで韜晦してきましたが最終巻ではキッチリを向き合う事になります。 ここは漫画という表現媒体を使った文学(詩)と宗教の領域です。 暗闇の螺旋階段を上がっていくとか、触れあっている世界が自分たちそのものみたい、とか、見て触れて感じられること世界の全て、とチトが言うのは明らかに仏教思想です。 しかも作中の都市で神と崇められていたのは環境汚染物質を食べるキノコエイリアンみたいな奴でしたから、二人には天国も無いんです。 滅茶苦茶徹底してますよね。 作者のつくみず氏に仏哲の素養があるのか分かりませんが、日本のような仏教国の文化で逃れられない死という究極の問いを突き詰めていけば自然と出てくる思想だと思います。 これが民族文化。 逆にキリスト者なら同じ状況でも「いよいよ苦しみ多い地上を離れて神の国に行く日が近づいてきた」と感じるに違いありません。 文学と漫画 漫画読みというか、漫画という表現媒体に限らずオタクの端くれとして常に感じている事ですが、文学とエンタメをジャンル分けするのは無理! 純文学とかヘソで茶を沸かすレベル。 しかも大分前から漫画という表現媒体のパワーは小説を上回っています。 いま、誰が「究極的な滅び」「生きている意味」「世界と自分」っていう大テーマをこれだけ多くの人に向かって堂々と発信できるでしょうか。 しかもアニメ化されるまで支持されて本作を読んだ人は絶対に一度は人生について考えるはずです。 廃墟都市の中に二人がいるのではなくて、二人(作者)の感じるものが滅びゆく巨大都市として表現されているんです。 アニメと原作の理想的な関係 面白い事にアニメを見ると原作が更に深みを増すんですよね。 正直、アニメ化前に最初の3巻まで読んだときは少女版ブラムかな、と思っていてあまり興味をそそられませんでしたから。 しかし、アニメになって作者の気持ちが音楽と映像の総合芸術で表現されると原作を読んだとき、急激に作品理解が増すんです。 両方とも原作だけを読んだときはフワッとした印象しかなかったのが、アニメになってイメージの情報量が増えるともっといい作品に見えてくる。 おそらく抽象度の高い作品はアニメ化で情報量を増やして具体的にする事で化けると思います。 きちんと作るには大金と時間が必要です。 これは作品自体がアニメ化の影響を受けて引っ張られるのではなく、情報の受け手が変化するのだと思います。 情報の受け手自体が変容する事で作品からより多くの情報を取り入れる状態はこれまで何度も起きていたハズですが、自覚したのは今回が初めてです。 最後に 色々と思いついたことを順番に書いていったので取り留めなくなってしまいましたが、少女終末旅行が色んな事を考えさせる作品であることは間違いありません。 作者のつくみず氏のTwitterをチェックした限りでは現時点で次回作の予定はない様子ですが、同人活動は常に行っているようです。 コミティアとかコミケでつくみず氏の他作品も読みたいですね。 でも会場行くの大変だからメロンブックスとかで通販してくれないかなぁ。

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感想:アニメ(OVA)「“文学少女”メモワールII

文学少女 漫画 感想

言葉づかいが難しい、どこから何を読めばいいかわからない、という方も多いのではないでしょうか。 有名な作品だからタイトルは知っているけれど、どんな話か知りたい、名作と呼ばれる文学を読んでおきたい、と思ったときは「漫画で読む」のもおすすめです! 文学作品を漫画で読むメリットは、イラストがあるので、難しそうな文学作品でもイメージがしやすいこと。 今回は、名作文学が漫画で読めるおすすめの本をご紹介します。 またその中から、文学作品を1作ずつピックアップしてご紹介しますので、気になる作品から読んでみてくださいね。 まんがで読破シリーズ 『』 フョードル・ドストエフスキー 作 、バラエティ・アートワークス 著 イースト・プレス 名作文学が、1冊ずつ漫画になっているのが、まんがで読破シリーズ。 1作品につき1冊なので、じっくりとストーリーを追えるところがポイントです。 文学作品が忠実に要約されているので、文学をこれから読もうと思っている方や、お子さんの文学作品への導入にも最適です。 親子の確執、信仰、愛憎など、さまざまな問題が描かれたドストエフスキーの最高傑作。 とにかく長い!けれど、一生に一度は読むべき最高におもしろい作品です。 漫画ならとてもわかりやすくまとめられているので、ぜひ一度『カラマーゾフの兄弟』の結末を見届けてください……! 有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。 『』 ドリヤス工場 著 、リイド社 あの有名な妖怪漫画家・水木しげるさんの絵に似ていますが、こちらはドリヤス工場さんの漫画です。 全部で25作品入っているのですが、1作品がだいたい10ページなので、とてもコンパクト。 文学を読んだことがない人でも読みやすいのが特徴です。 親しみやすい絵柄で、文学作品を楽しめる1冊になっています。 」の一文が有名な、大庭葉蔵の半生を描いた太宰の名作。 葉蔵は、酒や煙草や女に溺れ、やがて人生が転落していく……。 『人間失格』が今でも読み続けられるのは「誰にでもこういう感情あるだろう」と共感できる要素があるからだと言ってもいいでしょう。 主人公・葉蔵に自分を重ねる人も多いのではないでしょうか。 暗いお話ですが、漫画を読んで概要を掴んでから小説を読むと、すっと入り込めますよ! なめこ文學全集 なめこでわかる名作文学 『』 小鳩まり 著 、幻冬舎 『なめこ文學全集』は、文学作品の登場人物がすべて「なめこ」なんです……! 圧倒的にかわいい! なごむ! でもちゃんと文学作品のおはなしなのがポイント。 各話の最後に、作品や作家についての解説がついているので、しっかり文学を学ぶことができます。 主人公の「私」は、重い結核患者の婚約者・節子に付き添い、高原のサナトリウム 療養所 で過ごしていた。 死に近づく節子の無償の愛を感じながら、2人で「生きる」愉しみや幸せを噛みしめる物語。 日本語の美しさをぞんぶんに味わえる本作。 なめこ文學全集では、本文がそのまま使われている箇所が多いので、小説に書かれた日本語の美しさも充分に堪能できますよ! Ebony and Irony 短編文学漫画集 『』 長崎訓子 著 、パイインターナショナル 装丁がかわいくて、表紙だけ見ると、海外の本のようなおしゃれな1冊。 実は中もとってもおしゃれなんですよ。 太宰治『満願』、夢野久作『きのこ会議』など、日本と海外の名作文学の漫画が8作品が収録されています。 著者は、『チーズはどこへ消えた?』や『金持ち父さん貧乏父さん』の装丁を手がけた、長崎訓子さん。 シンプルでおしゃれな色使いや線が特徴的で、独特のかわいさは長崎さんにしか描けない世界設定です。 しかし取り上げている名作文学は、皮肉がこもった残酷なお話が中心。 えんぴつ画のやさしいタッチのイラストだからこそ、底知れぬゾッとした恐ろしさが際立つんです。 里帰りの最中、ぬかるみに差しかかったインゲルは、ドレスを汚さないために、お土産にもらったパンをぬかるみに投げ入れ飛び乗った。 その途端、インゲルはぬかるみの底に沈んでしまい……。 パンを粗末にしたインゲルには恐ろしい結末が待っているのですが、シンプルなイラストの漫画は、物語の教訓を決して押しつけることはしません。 教訓は、直接言われるよりも、淡々と描かれたほうがよほど胸に刺さるものなんですよね。 MARBLE RAMBLE 名作文学漫画集 『』 長崎訓子 著 、パイインターナショナル 『Ebony and Irony 短編文学漫画集』のあとに出版された、長崎訓子さんの名作文学漫画集。 こちらは、夏目漱石『変な音』、シャルル・ペロー『青ひげ』など「シュールで奇妙」なおはなし11作品が収録されています。 現代のわたしたちにもなじみやすいように、わかりやすく描いてくれているのが特徴。 昔から読まれてきた名作文学ですが、古臭さをまったく感じさせません! 今まで知らなかった隠れた名作が見つかるかもしれませんよ。 愛の美しさと、墓を掘り返した男の狂気、その両極端を描いた奇妙な一作。 漫画で読むと一見シュールな物語に見えますが、本作の物悲しさは漫画の余白が伝えてくれます。 漫画で読む面白さを感じられる一作といえるでしょう。 この美しい愛を描いた名作、ぜひ1度読んでみてください。 漫画で文学を楽しもう! 文字を読むだけでなく、名作文学作品が漫画で、視覚的にも楽しめたら最高ですよね! ぜひ気になる漫画から、文学を楽しんでくださいね! 古典を漫画で読むなら、こちらがおすすめ! 江戸時代にはすでに、漫画があったんです。 江戸時代の漫画って、どんな漫画だったのでしょう?.

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文学処女のあらすじ&感想をネタバレ!望月が主人公の内容の本も?

文学少女 漫画 感想

こんばんは、へるもです。 これ別マガに載ってるって本当?思わず確認してしまうような少年漫画でした。 続きが気になります。 ネタバレを含んでいるのでご注意ください。 荒ぶる季節の乙女どもよ。 1巻、2巻 モモやなどを愛読する小野寺(おのでらかずさ)は、高校で文芸部に入部する。 題材として扱われるのは、日本の純文学ばかりで戸惑いながらも、風変わりな部員たちに囲まれ楽しい高校生活をする。 ある日、文芸部の題材図書に性的な描写があったことをきっかけに、や部員たちは性について意識し始める。 より うーむあらすじだけだと漫画のよさがまったく分かりません。 1話だけでも本作品のもつ雰囲気のよさが伝わってくるので、見たことな人は下でためし読みできるので一度ごらんあれ。 色々調べているとアニメ化もされるそうですね。 文芸部と性 漫画 絵本奈央 荒ぶる季節の乙女どもよ。 1巻より 静かで印象的な絵に垂らされた文豪的性の香り。 舞台は性に対してどちらかというとクローズな少女達が集まる文芸部の朗読会から始まります。 この絵だけでこの漫画のだいたいが想像できるのが凄いですね。 キャターとか、性に対する向き合い方とか。 主人公てるwwとか思いましたが、影のつけ方を考えると単純に主人公目線なのかもしれません。 ベースには幼馴染との関係を再定義するとか、外見をはっきりと磨くとか、そういう変化に背中を押され変わっていくの成長ストーリーがもちろん存在します。 いっそ暴力的な勢いすら感じました。 (笑) 名は体をあらわすといいますが、この作品ほどタイトルがばっちり決まったものはないかも。 「「こういうことしたい」とか考えたことないから!」 特に1巻はと泉くんがラしてましたが、 泉くんが不憫すぎた。 スポットがあたっているのは和沙なんですが、菅原氏ともーちん(本名が分からない)のフォローが神がかっているので、安心感があるんですよね。 それに対して泉くんのプライバシーは一瞬で消え去りました。 一人で盛っているところを見られ(そして幼馴染には逃げられ)、性癖を知られ、告白されているところを動画にとられ、、、標準的男子高校生が秘密にしたいことはだいたいばれるという悲しさ。 というか、菅原氏お前絶対動画消してないだろ。 「この行為は想定内ですか」 漫画 絵本奈央 荒ぶる季節の乙女どもよ。 1巻より 2巻のお気に入りはひととと文芸部の先生の絡みです。 無表情クセキャラかと思っていたら泣くし色々きゅっとするとし意外と情緒豊かな子ですよね。 ミロ先生も弱みを握られ都合のよい存在になってしまうのかと思いきや、女子高生は汚いから食指が動かないと言い放つクセと、人の琴線に触れることのできる感性をもった大人です。 今のところはミロ先生が優勢か。 クセもの同士がどんな関係性を築いていくのか楽しみです。 「掃き溜めに鶴」 菅原氏は、自身の恋がどうなるのかという命題の他に、和沙関連でひそひそされるようになってこれからどうなるんだ?という期待が大きい。 もともと文芸部に爆弾を持ち込みつつも良き相談役として後輩組に広く関われるキーパーソンだし。 今が楽しいとか、仲良し感を挟んでくるところとか、文芸部は女の子のいざこざとは無関係な場だよ~みたいな、 文芸部崩壊フラグとしか思えない言葉もあったのですが、泉くん関連でなんかあるのかな。 ないか。 「豚汁」 漫画 絵本奈央 荒ぶる季節の乙女どもよ。 1巻より 曾根崎さんは、、、他のメンバーが特徴的過ぎて埋もれてしまっている。 というか微妙に痛さが出ているのが辛い。 これ拗らせるやつや。 でも、こういう潔癖さを持っている人は現実ではそこそこいる気がします。 そんな彼女はこの作品でどう扱われるのか。 個人的には何回か痛い目に見てから真実を見つけて欲しいですね。 もーちんはこれからはどうなるんだろう。 ゆりの花がモチーフにして使われているのでゆりゆりするのでしょうか。 圧倒的少女マンガ感 やはり目立つのは少年漫画らしからぬ描写ですね。 この作品を少年向けにするというのは大いなる挑戦だと感じました。 少女漫画とは、少年漫画とは、という明確な定義があるわけではないですが、一般的には「男はキャラに、女は関係性に惹かれる」らしいです。 本作品の魅力は何かというとやはり性というキーワードで突き動かされる "関係性の揺れ動き"かなと思います。 少女マンガ的ではないでしょうか。 漫画 絵本奈央 荒ぶる季節の乙女どもよ。 1巻より 更に、やはり男性読者を想定した少年漫画というのは男が主人公である必要がある。 そこまで行かなくとも、男が感情移入できる対象(作品内の自分の分身)は必要です。 (笑)何より主人公は男だ。 少なくとも私が考える男に受けるための少年漫画という枠からははみ出た存在です。 「」の大成功と祈り これをあえてやっている意味はよく分かりませんが、一方で少女マンガの手法を男性読者が主体のに持ち込んで大成功したといわれる作品があります。 「」です。 とらどら絶賛する人は少女マンガ好きな感じ — ふりかけを食べる喜び furitabe でありながら、男には発想できない女性の(行動)心理を織り交ぜたものが「」です。 ヒロイン vs. ヒロインが何度も勃発した作品はそうはない、というか他にないです。 たぶん。 男性読者向け作品に別の分野のものを混ぜた「」とは異なって、 別の分野のものをそのまま?もってきて少年向けに加工したのが本作品だと、現時点では感じています。 従来より一歩進んだ枠組みになっており、ひとつの新しい形を作ってくれるのではないかとわくわくしますね。 感想をかく段になって初めてしったのですが、今度、アニメ化もされるみたいです。 放映できるの?楽しみですね。

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