そうですね。 ただし下の方では、真ん中部分からやや左側にも及んでいます。 では次に、この十二指腸の場所を実際のCT画像で確認してみましょう。 十二指腸の場所をCT画像で確認! 60歳代男性の正常なCT画像(造影CT)を見ていきましょう。 腹部造影CTの横断像(輪切り)です。 胃に連続して( 胃の後ろ側)十二指腸球部、さらには、それに連続して十二指腸下行部のある様子がわかります。 十二指腸の内側(向かって右側)には、膵臓があります。 一方外側(向かって左側)には、肝臓があります。 では少し下のレベルのスライス(画像)を見てみましょう。 より下のレベルでは十二指腸下行部〜水平部が見えます。 その内側(向かって左側)には膵臓が、後ろ側には下大静脈及び腹部大動脈があります。 さらに下のレベルを見てみましょう。 さらに下のレベルでは、十二指腸水平部〜上行部、さらには空腸に変わって行く様子がわかります。 胃から十二指腸に変わる様子• 十二指腸の内側には膵臓がある様子• 十二指腸から空腸に変わる様子 が、よくおわかりいただけたのではないかと思います。 横断像(輪切り)ではなくて、前から見た様子である冠状断像の画像も見てみましょう。 腹部CTの冠状断像です。 これまで説明してきた図と同じ方向ですのでこちらの方が理解しやすいかもしれません。 十二指腸の内側(向かって右側)に膵臓がある様子 がよくわかりますね。 膵臓の中を走る膵管の様子も見えます。 先ほどの画像よりも少し後ろ側(背側)の画像です。 十二指腸下行部の一部と上行部の一部、さらには十二指腸の上行部から空腸に変わる様子がわかります。 また、十二指腸の内側〜後ろ側に、下大静脈や腹部大動脈のある様子がわかります。 では次に、十二指腸の場所がわかったところで、十二指腸の解剖や部位による分類について見ていきましょう。 十二指腸の解剖は?部位の分類は? まず、十二指腸は球部・下行部・水平部・上行部の4つの部位に分けることができます。 個人差はありますが、球部は5cm程度・下行部は8cm程度・水平部は8cm程度・上行部は5cm程度の長さがあります。 つまり、 全長は約25〜30cmほどあります。 「十二横指の長さ」の腸を意味(指を12本並べた長さ)しますが、これですと一つの指の横幅が2cmくらいで計算されておりかなり大きな指だと「十二横指の長さ」ということになりますね。 十二指腸は胆道系と消化管との架け橋 そして、十二指腸は、アルファベットでいう Cの形をしており、Cのくぼみの部分に膵臓の頭部がはまり込みます。 上の図のように、このCのくぼみの部分にVater乳頭(ファーターにゅうとう)があり、胆管からの胆汁と膵からの膵液がここから十二指腸に流れます。 つまり、十二指腸は 「胆管・膵管と消化管を結ぶ場所」ともいうことができます。 胆管や膵管に異常がある場合は、上部内視鏡(胃カメラ)でこのVater乳頭までカメラを進めてきて、逆行性(本来の胆汁や膵液の流れる方向とは逆)に胆管・膵管の様子を観察することができます。 実際そのような病気があると、どこに痛みが出るのでしょう? 十二指腸の病気で痛みが出る場所 十二指腸の病気で痛みを起こす頻度が最も多いのは、やはり十二指腸潰瘍です。 上で述べたように十二指腸潰瘍の好発部位は球部であり、また胃潰瘍は十二指腸球部に近い胃角部で起こりやすい傾向があります。 ですので、これらはともに 心窩部・(右)上腹部に痛みが現れます。 また、それ以外にも、腹部膨満感・悪心・嘔吐・胸焼け・食欲不振などの症状が現れることもあります。 しかし、初期には無症状なことがあったり、正確に十二指腸が問題と診断がつくまでに症状を繰り返すこともあります。 逆に十二指腸潰瘍が進行すると腸管が破れてしまう穿孔(せんこう)を起こすことがあり、この場合は腹膜炎を起こし広範で重篤な腹痛などの症状をきたします。 参考文献: 病気がみえる vol. 1:消化器 P82・83・102・132 消化器疾患ビジュアルブック P49〜51・60・61・86・87 解剖学講義 改定2版P349〜352 第4版 イラスト解剖学P326〜328 最後に• 十二指腸は、胃から小腸へと続く細長い消化管の、胃側にある部分• 胃の下に位置し、膵臓が十二指腸にはまり込むように存在する• CT画像で見ると、胃に連続してその後ろ側に十二指腸球部、それに連続して十二指腸下行部がある• CT断面図で見ると、十二指腸の右には膵臓・左には肝臓がある• 腹部CTの冠状断像で見ると、十二指腸の内側〜後ろ側に、下大静脈や腹部大動脈がある• 十二指腸は「胆管・膵管と消化管を結ぶ場所」• 十二指腸は球部・下行部・水平部・上行部の4つの部位に分けることができる• 後腹膜に固定され、基本的に場所が動くことはない• 十二指腸の病気は、十二指腸潰瘍・十二指腸憩室・上腸間膜十二指腸閉塞症・ブルンネル腺腫・十二指腸がん肉腫などがある• 心窩部や上腹部に痛みが出る 十二指腸潰瘍は、ピロリ菌が原因でもあります。 痛みなどの異常が出る前に、一度検査をしておくことをオススメします。
次のスポンサードリンク 空腸と書いて「くうちょう」と読みますが、小腸の一部であるこの臓器をご存知でしょうか。 空腸は、小腸の一部である 十二指腸【じゅうにしちょう】と 回腸【かいちょう】の間に位置しています。 空腸という名前の由来は、十二指腸から流れてきた内容物は、すぐに回腸へと流れていき、空っぽのことが多いためです。 空腸は、摂取した 栄養を吸収する重要な器官です。 人の体は、栄養なしでは活動することができません。 ですから、 空腸は体全体を動かすために、重要な機能を担っていると言えます。 小腸という名前は知っていても、空腸という名前は聞いたことがなかったり、あるいは聞いたことあっても具体的にどこの場所にあるかということは、ご存じない方が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、重要な臓器である空腸の場所や、その機能について図を用いて詳しく解説していきます。 もくじ• 空腸の位置を図でチェック! まずは空腸がどこに位置するのか、図で確認してみましょう。 こちらが 空腸です。 体表からでいうと、おへその少し上のあたりに位置します。 空腸の位置が分かりやすいように、 小腸の全体図でも見てみましょう。 黄色くなっているところが空腸です。 続いて、 消化器系の内臓全体図と空腸の位置関係も見てみましょう。 小腸は、 十二指腸、空腸、回腸からなり、 全体で6〜7m程度の長さがあります。 十二指腸は25cmほどしかないため、大部分が空腸と回腸からなります。 空腸と回腸では、 空腸の方が短く、空腸と回腸全体の2/5程度の長さがあります。 だいたい、2. 5mほどです。 十二指腸と空腸の間には、 トライツ靭帯という腸を支持する靭帯があり、境目を見つけることができますが、 空腸と回腸の間には明確な境目がなく、だいたいの長さで判断されます。 空腸は回腸とともに、 腸間膜という膜によって、腹壁に固定されており、お腹の中で絡まることのないようになっています。 これだけ細長ぐ、グルグルと曲がっている臓器ですが、腸間膜によってうまく位置が固定されているのです。 空腸をはじめとる小腸は栄養を吸収できる唯一の器官 空腸の内側には、 絨毛【じゅうもう】と呼ばれる器官がびっしりと生えています。 絨毛は、絨毯の毛のように小腸内をびっしりと覆っており、これによって小腸は表面積を広げることができます。 絨毛の模式図を見てみましょう。 もし仮に、小腸に絨毛がなかったら、その表面積は0. 33㎡程度ですが、絨毛があることによって 200㎡の大きさにまで広げることができます。 これは、テニスコート1面分に匹敵する大きさです。 こうして表面積を広げるのは、 栄養吸収の効率を高めるためです。 表面積が広ければ、より多くの栄養素を取りこぼすことなく、体内に吸収することができます。 摂取した食べ物から、少しでも多くの栄養素を吸収するための、人体の工夫が絨毛の形に表れています。 では、空腸ではどのような栄養素が吸収されるのでしょうか。 続いて、空腸で吸収される栄養素を解説していきます。 空腸から吸収される栄養素の一覧 空腸では、摂取した栄養素のほぼ全てが吸収されます。 以下に、列挙していきます。 蛋白質• ナトリウム• カリウム• カルシウム• マグネシウム• ビタミンA• ビタミンD• ビタミンE• ビタミンK• ビタミンC• ビタミンB1• ビタミンB2• ビタミンB6• ニコチン酸• 葉酸 これらすべての栄養素が、空腸から吸収されます。 すごい数の種類ですね。 ちなみに水分は、人が活動する上で欠かすことのできないものですが、 吸収されるすべての水分のうち、約80%〜90%が小腸で吸収され、残りの10%〜20%が大腸から吸収されます。 これらの栄養素は、食べる前からこのような栄養素に分かれているわけではなく、体内で消化されることによって、ひとつひとつの栄養素に分けられ吸収されます。 消化は主に、消化液に含まれる消化酵素によって行なわれます。 消化液には、唾液、胃液、膵液、腸液などがあり、空腸からは腸液が分泌されており、糖質や蛋白質の分解に関わっています。 つまり、空腸は栄養素の吸収だけでなく、消化も行っている器官であるということです。 ちなみに腸液の1日の分泌量は、約1. 5Lです。 腸液だけでも、かなりの量が分泌されていることがお分かりいただけると思います。 まとめ 空腸の位置や機能を図を用いて解説してきましたが、お分かりいただけたでしょうか。 空腸をはじめとする小腸は、栄養を吸収できる唯一の器官です。 ですから、小腸こそが命の源と言っても過言ではないです。 冷たいものを飲んでお腹を冷やしたり、便秘が続いているのを放置しておくのは、腸にとって大きなストレスとなります。 お腹を冷やさない食習慣や、便秘を改善する生活習慣を身につけて、空腸をはじめとした小腸をいたわる生活を送りましょう。 健康は腸からつくるというのが、当ブログが大切にしているコンセプトです。 この機会に、ぜひ気をつけてみてください。
次の食習慣で違う胃の特徴 胃は、心臓の下あたりからへそのあたりの、体の真ん中よりも左に位置します。 お腹が減っている空腹時はぺたんこですが、食べ物を食べると内腔が広がり、厚い胃壁がへそよりも下に下がるほど伸びます。 欧米人と日本人では体型に違いがありますが、興味深いことに、胃の形にも特徴の違いがあります。 肉食中心の 欧米人は、胃自体は比較的小さいのですが、胃壁の厚い「 牛角型」と言われています。 食べ物から栄養分を吸収する胃は、栄養価が高いものを食べるとそれに比例して胃壁も丈夫になり、胃の運動が活発になって元気になるからです。 一方、穀類中心の 日本人の胃は、長時間胃にとどまる穀類の重みで下がった、縦に長い「 フック型( 鉤状型)」です。 食習慣で違うかかりやすい潰瘍 胃がかかりやすい病気にも、それぞれ特徴があります。 牛角形の胃の 欧米人は、胃の運動が活発ですが、胃酸の分泌も活発で、胃酸過多の状態になりやすくなります。 その胃酸が、胃とつながっている十二指腸に流れやすくなるため、 十二指腸潰瘍ができやすくなります。 一方、 フック型の胃の 日本人は、フックの内側にあたる胃角部に歪みができて、血液の流れが悪くなり、 胃潰瘍ができやすくなります。 このように、長年の食習慣の違いは、胃の形や運動の仕方だけでなく、かかりやすい病気にも関係します。 実際、 食生活の欧米化が進んでいる日本の都市部では、胃潰瘍よりも 十二指腸潰瘍の発症頻度が上回るという近年予測データがあります。 胃を健康に保つために、自分の食習慣を定期的に見直してみると良いでしょう。 潰瘍ができる原因 胃潰瘍は中高年に、十二指腸潰瘍は20代〜30代に多く、いずれもかかりやすいのは男性で、女性の約2倍を占めています。 潰瘍ができる原因の一つには、食生活の欧米化が挙げられますが、その他にも、胃粘膜に住みつく ピロリ菌の感染があります。 実際、検査を行ったところ、胃・十二指腸潰瘍になった人の約9割がピロリ菌に感染しています。 他の原因として、腰痛や頭痛、関節痛や風邪の治療などに使用される 非ステロイド系消炎鎮痛薬の服用があります。 これらの薬は、胃粘膜のただれや胃酸分泌亢進を促すからです。 加齢を重ねると、どうしても薬剤の服用が多くなったり、胃粘膜の防御機能が低下するので、胃潰瘍になりやすくなると言えます。 他の原因としては、 肉体的・精神的な強いストレスがあります。 また、 不規則な生活や 多忙、 人間関係の悩みや 喫煙、 お酒の飲み過ぎや 暴飲暴食なども原因になります。 生活リズムを整えて、なるべくストレスを減らすよう心がけましょう。 潰瘍に効く食事とは 胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、 再発を繰り返すことが多いと言われます。 実は、胃を守ってくれる胃の粘膜は、自分の胃液で消化され、再生し、というサイクルを繰り返しており、この再生力が弱くなると潰瘍になります。 そこで、粘膜の再生力を上げるためには、 栄養価が高く消化の良い食事を摂ることが必要です。 具体的には、 肉や魚、大豆製品など、胃の粘膜の材料となる たんぱく質を多く食べましょう。 逆に、控えたほうがよいのは、揚げ物や油たっぷりの炒めものなどの脂質です。 これらは、消化が悪く胃に滞留する時間が長くなります。 また、胃粘膜を刺激し胃酸分泌を促してしまう香辛料やコーヒー、お酒やタバコ、濃い味付けの物や塩辛い物、炭酸飲料ものもよくありません。 その他、極端に固い物や冷たい物、熱い物も、胃に負担をかけるので避けたほうがよいでしょう。 また、一日3回 規則正しく食事をし、 就寝前2〜3時間は食事をしないようにしましょう。 仕事熱心で真面目な人ほどなりやすいと言われています。 自分にとってちょうど良い加減を見つけて、なるべく気楽に行うように心がけましょう。 胸やけやげっぷにご用心! 食べ過ぎや飲み過ぎで胃に負担をかけてしまうと、 胃もたれや 胸やけを引き起こしたり、胃の中に溜まったガスが一気に出てしまう げっぷなどの不調を招くことがあります。 食事による一時的なものであればさほど心配はいりませんが、食事と関係ない場合もあります。 実際、最も多い胸やけの原因は、逆流してしまった胃液が食道の粘膜を荒らしてしまうこと( 逆流性食道炎)です。 また、熱いものを食べた時にしみるような感じや胸がつかえたような感じがする場合は、 食道癌などの兆候かもしれません。 また、興味深いことに、胃腸の病気のサインとしてあげられるものの一つに 口臭があります。 胃腸の働きが低下するとげっぷが起きやすくなり、また げっぷの匂いも口臭もきつくなるからです。 本来、口臭の主な原因は虫歯や歯槽膿漏ですが、どちらも心当たりがないという方は、胃の病気を疑ったほうがよいかもしれません。 いずれにしても、一時的ではなく長期に渡り胃の不調を感じる場合は、食道や胃に何らかの異変があることが考えられます。 胃腸の健康のためにで、早めに検査を受けましょう。
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