地域薬学ケア専門薬剤師とは、幅広い領域の薬物療法に関す る高度な知識と技能を用い、地域包括ケアなどの地域医療・ 介護等を担う他職種と協働し薬物療法を実践することにより、 患者に最大限の利益をもたらすとともに研究活動を実践出来る者として、本学会が実施する専門薬剤師認定審査に合格した者をいう。 ざっくり言い直しますと、これまでの専門薬剤師制度は、病院薬剤師や教育的立場の方が比較的取りやすい制度でした。 保険薬局における薬学管理の重要性を評価できるよう、主に保険薬局の薬剤師を対象として創設された(と思われる)のがこの「地域薬学ケア専門薬剤師」です。 この新しい専門薬剤師制度は期待を膨らませつつ、なかなか情報が開示されない状況が続いておりましたが、ついに一部情報が解禁になりました。 最大のポイントは地域薬学ケア専門薬剤師の暫定認定条件 これまでも、新たな制度発足時には条件を満たすためのさまざまな体制が整っていないこともあるため、暫定条件としてやや緩和される傾向にありました。 そして、今回も当面の条件緩和が示されています。 まずは、本来の条件(規則に記載されているもの)です。 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えていること。 薬剤師としての実務経験を5年以上有すること。 申請時において、引き続き5年以上継続して本学会会員であること。 「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」、「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤 師」、 「日本薬剤師会・生涯学習支援システム JPALS クリニカルラダー5以上」、その 他本学会が認めた認定制度による認定薬剤師のいずれかの認定を受けていること。 本学会が認定する「地域薬学ケア専門薬剤師研修施設」において、本学会の定めた研修コアカ リキュラム カンファレンスへの参加を含む に従って、地域薬学ケアに関する5年以上の研 修歴を有すること。 別に定めるクレジットを5年で50単位以上取得していること。 専門薬剤師認定取得のための薬物療法集中講義に1回以上参加したこと。 本学会の年会に1回以上参加したこと。 自ら実施した5年の薬学的管理を行った症例報告50症例 4領域以上の疾患 を提出すること。 以下の研究活動のうち、発表あるいは論文の条件のどちらか一方を満たすこと。 学会発表:医療薬学に関する全国学会あるいは国際学会での発表が2回以上あること。 本学会が主 催する年会において本人が筆頭発表者となった発表を含んでいること。 論文:本人が筆頭著者である医療薬学に関する学術論文を1報以上有すること。 学術論文は、 国際 的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に複数査読制による審査を経て掲載された医療 薬学に 関する学術論文あるいは症例報告であること 編集委員以外の複数の専門家による査読を経 ていない論文は、本条の対象外。 本学会が実施する専門薬剤師認定試験に合格すること。 これ、改めて見るとやはり、なかなかなの難易度ですよね。 指定の研修機関で研修しないといけないし、 指定の集中講義受けないといけないし、 症例報告が50例も義務付けられているし、 学会発表と論文のいずれもが求められているし 試験受けないといけないし と、やはりハードルが高めになっています。 そこに、先ほどから触れている制度開始時の暫定条件(条件の緩和)が示されました。 地域薬学ケア専門薬剤師等の認定に係る過渡的措置 要件 3 については、申請時に本学会会員であれば良い。 要件 5 については、不要とする。 要件 6 については、講習会の履修単位数を20単位とする。 副領域を標榜する場合 には、その領域の集中講義を履修し、その証明書を提出すること。 要件 9 については、不要とする。 要件 10 については、学会発表1回 筆頭 または論文報告 筆頭 1報があればよい。 副領域を標榜する場合には、副領域の学会発表または論文報告とする。 要件 11 については、不要とする。 過渡的措置により認定された地域薬学ケア専門薬剤師の認定期間は5年である。 ず、ずいぶんと要件の緩和があります。 難しい文言が多く並んでいてわかりにくいと思いますので、先ほど示した本来の条件11個を筆者の感覚で修正してみました。 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えていること。 薬剤師としての実務経験を5年以上有すること。 申請時において、本学会会員であること。 「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」、「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師」、 「日本薬剤師会・生涯学習支援システム JPALS クリニカルラダー5以上」、その 他本学会が認めた認定制度による認定薬剤師のいずれかの認定を受けていること。 別に定めるクレジットを5年で 20単位以上取得していること。 専門薬剤師認定取得のための薬物療法集中講義に1回以上参加したこと。 本学会の年会に1回以上参加したこと。 以下の研究活動のうち、 発表あるいは論文の条件のいずれか一方を満たすこと。 学会発表:医療薬学に関する全国学会あるいは国際学会での発表(筆頭演者)が1回以上あること。 論文:本人が筆頭著者である医療薬学に関する学術論文を1報以上有すること。 学術論文は、 国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に複数査読制による審査を経て掲載された医療薬学に関する学術論文あるいは症例報告であること 編集委員以外の複数の専門家による査読を経ていない論文は、本条の対象外。 わけです。 開示されている資料では、しっかりと確認できなかったのですが、7. 専門薬剤師認定取得のための薬物療法集中講義に1回以上参加したこと。 についても、求めないようにも読み取れる記述があります(不確実だったので、ここでは要件に残してあります)。 医療薬学会、相当ハードルを下げてきました これまでの専門薬剤師制度発足時や移管(引継ぎ)の時にも暫定要件が設定されてきましたが、これほどまでではなかったと思います。 しかもこの要件緩和(暫定要件)が、5年間も継続するというのが、また大きなニュースです。 「なりふり構わず、とにかく地域薬学ケア専門薬剤師を量産しないといけない」そんなメッセージすら感じとれます。 もちろん、認定後の5年間で課せられる更新の要件は本来のものよりも厳しく設定されているのですが、やらなければいけない環境になると、人間、力を発揮出来るものです。 保険薬局にだけ門戸が開かれていないわけではない! 「地域薬学ケア」というのは、確かに保険薬局の薬剤師さんにぜひ取得してほしいという思いがあります。 学術的に成熟していることを社会に示す方法として、専門薬剤師制度の運用は効果的だからです。 しかし、勤務している職場の業種形態については縛りはありません。 現在の暫定要件であれば、病院勤務の筆者もとれるなあ~と思いましたし。 「専門薬剤師」に対する思い入れという点では病院薬剤師の方々にはそれなりのものがあるように感じていますので、相当数の病院薬剤師の先生が申請の準備をされるのではないかと思います。 それは決して悪いことではないんです。 今後この専門薬剤師制度で肝となる「基幹研修施設」をたくさん作る土台として、病院薬剤師の皆さんにもぜひ認定は取得していただきたいと日本医療薬学会考えているはずですので(筆者の憶測です)。 しかし、それでも、この新領域は保険薬局勤務の薬剤師さんを中心に育てていって欲しいと思っています。 研修指導隊の構築に関しても、まだ病院優位に設計されていますが、いつからはそれも見直しされるよう、この絶好の機会を逃すことなく、全力でつかみに行って欲しいと願っています。 この記事の執筆者 なりゆき専門薬剤師(諸般事情により匿名)現役の病院薬剤師(勤務歴20年)複数の認定薬剤師・専門薬剤師を取得、活動歴あり•
次の地域薬学ケア専門薬剤師とは、幅広い領域の薬物療法に関す る高度な知識と技能を用い、地域包括ケアなどの地域医療・ 介護等を担う他職種と協働し薬物療法を実践することにより、 患者に最大限の利益をもたらすとともに研究活動を実践出来る者として、本学会が実施する専門薬剤師認定審査に合格した者をいう。 ざっくり言い直しますと、これまでの専門薬剤師制度は、病院薬剤師や教育的立場の方が比較的取りやすい制度でした。 保険薬局における薬学管理の重要性を評価できるよう、主に保険薬局の薬剤師を対象として創設された(と思われる)のがこの「地域薬学ケア専門薬剤師」です。 この新しい専門薬剤師制度は期待を膨らませつつ、なかなか情報が開示されない状況が続いておりましたが、ついに一部情報が解禁になりました。 最大のポイントは地域薬学ケア専門薬剤師の暫定認定条件 これまでも、新たな制度発足時には条件を満たすためのさまざまな体制が整っていないこともあるため、暫定条件としてやや緩和される傾向にありました。 そして、今回も当面の条件緩和が示されています。 まずは、本来の条件(規則に記載されているもの)です。 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えていること。 薬剤師としての実務経験を5年以上有すること。 申請時において、引き続き5年以上継続して本学会会員であること。 「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」、「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤 師」、 「日本薬剤師会・生涯学習支援システム JPALS クリニカルラダー5以上」、その 他本学会が認めた認定制度による認定薬剤師のいずれかの認定を受けていること。 本学会が認定する「地域薬学ケア専門薬剤師研修施設」において、本学会の定めた研修コアカ リキュラム カンファレンスへの参加を含む に従って、地域薬学ケアに関する5年以上の研 修歴を有すること。 別に定めるクレジットを5年で50単位以上取得していること。 専門薬剤師認定取得のための薬物療法集中講義に1回以上参加したこと。 本学会の年会に1回以上参加したこと。 自ら実施した5年の薬学的管理を行った症例報告50症例 4領域以上の疾患 を提出すること。 以下の研究活動のうち、発表あるいは論文の条件のどちらか一方を満たすこと。 学会発表:医療薬学に関する全国学会あるいは国際学会での発表が2回以上あること。 本学会が主 催する年会において本人が筆頭発表者となった発表を含んでいること。 論文:本人が筆頭著者である医療薬学に関する学術論文を1報以上有すること。 学術論文は、 国際 的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に複数査読制による審査を経て掲載された医療 薬学に 関する学術論文あるいは症例報告であること 編集委員以外の複数の専門家による査読を経 ていない論文は、本条の対象外。 本学会が実施する専門薬剤師認定試験に合格すること。 これ、改めて見るとやはり、なかなかなの難易度ですよね。 指定の研修機関で研修しないといけないし、 指定の集中講義受けないといけないし、 症例報告が50例も義務付けられているし、 学会発表と論文のいずれもが求められているし 試験受けないといけないし と、やはりハードルが高めになっています。 そこに、先ほどから触れている制度開始時の暫定条件(条件の緩和)が示されました。 地域薬学ケア専門薬剤師等の認定に係る過渡的措置 要件 3 については、申請時に本学会会員であれば良い。 要件 5 については、不要とする。 要件 6 については、講習会の履修単位数を20単位とする。 副領域を標榜する場合 には、その領域の集中講義を履修し、その証明書を提出すること。 要件 9 については、不要とする。 要件 10 については、学会発表1回 筆頭 または論文報告 筆頭 1報があればよい。 副領域を標榜する場合には、副領域の学会発表または論文報告とする。 要件 11 については、不要とする。 過渡的措置により認定された地域薬学ケア専門薬剤師の認定期間は5年である。 ず、ずいぶんと要件の緩和があります。 難しい文言が多く並んでいてわかりにくいと思いますので、先ほど示した本来の条件11個を筆者の感覚で修正してみました。 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えていること。 薬剤師としての実務経験を5年以上有すること。 申請時において、本学会会員であること。 「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」、「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師」、 「日本薬剤師会・生涯学習支援システム JPALS クリニカルラダー5以上」、その 他本学会が認めた認定制度による認定薬剤師のいずれかの認定を受けていること。 別に定めるクレジットを5年で 20単位以上取得していること。 専門薬剤師認定取得のための薬物療法集中講義に1回以上参加したこと。 本学会の年会に1回以上参加したこと。 以下の研究活動のうち、 発表あるいは論文の条件のいずれか一方を満たすこと。 学会発表:医療薬学に関する全国学会あるいは国際学会での発表(筆頭演者)が1回以上あること。 論文:本人が筆頭著者である医療薬学に関する学術論文を1報以上有すること。 学術論文は、 国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に複数査読制による審査を経て掲載された医療薬学に関する学術論文あるいは症例報告であること 編集委員以外の複数の専門家による査読を経ていない論文は、本条の対象外。 わけです。 開示されている資料では、しっかりと確認できなかったのですが、7. 専門薬剤師認定取得のための薬物療法集中講義に1回以上参加したこと。 についても、求めないようにも読み取れる記述があります(不確実だったので、ここでは要件に残してあります)。 医療薬学会、相当ハードルを下げてきました これまでの専門薬剤師制度発足時や移管(引継ぎ)の時にも暫定要件が設定されてきましたが、これほどまでではなかったと思います。 しかもこの要件緩和(暫定要件)が、5年間も継続するというのが、また大きなニュースです。 「なりふり構わず、とにかく地域薬学ケア専門薬剤師を量産しないといけない」そんなメッセージすら感じとれます。 もちろん、認定後の5年間で課せられる更新の要件は本来のものよりも厳しく設定されているのですが、やらなければいけない環境になると、人間、力を発揮出来るものです。 保険薬局にだけ門戸が開かれていないわけではない! 「地域薬学ケア」というのは、確かに保険薬局の薬剤師さんにぜひ取得してほしいという思いがあります。 学術的に成熟していることを社会に示す方法として、専門薬剤師制度の運用は効果的だからです。 しかし、勤務している職場の業種形態については縛りはありません。 現在の暫定要件であれば、病院勤務の筆者もとれるなあ~と思いましたし。 「専門薬剤師」に対する思い入れという点では病院薬剤師の方々にはそれなりのものがあるように感じていますので、相当数の病院薬剤師の先生が申請の準備をされるのではないかと思います。 それは決して悪いことではないんです。 今後この専門薬剤師制度で肝となる「基幹研修施設」をたくさん作る土台として、病院薬剤師の皆さんにもぜひ認定は取得していただきたいと日本医療薬学会考えているはずですので(筆者の憶測です)。 しかし、それでも、この新領域は保険薬局勤務の薬剤師さんを中心に育てていって欲しいと思っています。 研修指導隊の構築に関しても、まだ病院優位に設計されていますが、いつからはそれも見直しされるよう、この絶好の機会を逃すことなく、全力でつかみに行って欲しいと願っています。 この記事の執筆者 なりゆき専門薬剤師(諸般事情により匿名)現役の病院薬剤師(勤務歴20年)複数の認定薬剤師・専門薬剤師を取得、活動歴あり•
次の日本医療薬学会 2019年11月15日 一般社団法人日本医療薬学会 会員 各位 一般社団法人日本医療薬学会 本学会の各認定制度の見直し及び新たな認定制度の発足に係るお知らせ 1998年に本学会の認定薬剤師制度が発足して20年以上が経過し、これまで延べ2068名の方々が認定薬剤師の認定を受けました。 この間、認定薬剤師や指導薬剤師のみならず、当該認定資格の取得を目指す方々を含めて本学会年会での学会発表や医療薬学誌への論文投稿を重ね、本学会の基盤となる学術活動の活性化が図られてきました。 また、医療技術をはじめとする医療環境の進展や薬学教育の変革などがあり、薬剤師や薬系教員は、より高度な知識や技能の習得と専門性を発揮した活躍が求められる状況になっているところです。 本学会では、これらの時勢を踏まえ、将来にわたって医療機関や地域医療、大学教育などの各所において、高度な知識・技能と臨床能力を備え且つ社会から信頼される薬剤師の養成するため、現在の各認定制度のあり方を再検証しました。 その結果として、認定薬剤師制度を医療薬学専門薬剤師制度に変更すること、がん専門薬剤師と薬物療法専門薬剤師制度の整合化を図ること、さらに地域医療を担う薬局の薬剤師を対象とした地域薬学ケア専門薬剤師制度を新たに立ち上げることなど、抜本的な制度の見直しを行いました。 これによって、薬系大学から医療機関、そして地域医療に至る広範な領域において、各資格を取得した専門薬剤師が、国民の保健・医療・福祉に大きく貢献することが期待されます。 以下は、今回の各認定制度の見直しの概要をまとめた資料となります。 会員各位におかれましては、当該資料をご覧いただき、積極的に各認定制度の認定資格の取得を目指して臨床業務及び学術活動に取り組み、医療への貢献に励んでいただきますようお願いいたします。 〔2〕 見直し又は新規制定された各制度に関する資料 1.各認定制度の見直しに関する資料 2.医療薬学専門薬剤師制度の概要(認定薬剤師制度からの移行) 3.がん専門薬剤師及び薬物療法専門薬剤師制度の整合化 4.地域薬学ケア専門薬剤師制度の概要 <本件に係るお問い合わせ> 当面の間、各認定制度の見直しに関するお問い合わせは、下記のお問い合わせフォームをご利用ください。 なお、お寄せいただいた質問への個別の回答は行わず、質問事項を整理した後、Q&Aを整備した上でHPにて公表いたします。 また、現在も引き続き検討中の事項などがあるため、電話やメールによる個別のお問い合わせには応じられませんので、ご理解の程、宜しくお願いいたします。
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