私が普段行う説明を書いています。 一般的な説明 今日は、葛根加朮附湯という漢方薬が出ています。 このお薬は、首筋が凝って寒気がして、汗が出なくて関節等が痛い、という様な場合によく使われるお薬です。 お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。 このお薬は、汗を出して身体から毒を発散させてくれますので、一度、試してみてください。 身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。 漢方医処方の場合の説明 今日は、葛根加朮附湯という漢方薬が出ています。 このお薬は、首筋が凝って寒気がして、汗が出なくて関節等が痛い、という様な場合によく使われるお薬です。 時に身体にあせもの様なぶつぶつが出る事もあります。 お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。 このお薬は、汗を出して身体から毒を発散させてくれますので、一度、試してみてください。 葛根湯と違うのは、より身体の水気の毒を除く力がつよい、痛みを止める効果が強いという部分です。 身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。 専門家向けの内容です。 生薬構成 葛根4、麻黄3、桂皮2、芍薬2、大棗3、甘草2、生姜1、蒼朮3、附子0. 5 出典 方機 条文(書き下し) 「若し(もし)悪寒劇(はげ:激)しく起脹(きちょう:水疱瘡等)甚(はなは)だしくして一身腫脹(いっしんしゅちょう)し或いは疼痛するものは葛根加朮附湯之を主る。 」 条文(現代語訳) 「もし悪寒が激しく、水疱瘡等のできものが酷く、身体全体が腫れあがる、あるいは疼痛するものは葛根加朮附湯を使用する。 」 解説 今回は、葛根加朮附湯の処方解説になります。 この処方は、一般的に寒気が強く発熱している場合の関節リウマチや肩こり、神経痛等に使われています。 とは言っても、関節リウマチは現在西洋薬が主流なので、よっぽどの理由が無い限りは漢方処方の使用は少ないと言えます。 ですので、現在の使用は、寒気や発熱がある方の肩こりや神経痛に使用されている処方と見て良いでしょう。 それでは、条文を見ていきます。 条文は、要約しますと 「悪寒、水疱瘡等のできものがあって、身体の腫れや痛みがあるものに使用する。 」という事です。 この条文の特徴は 「起脹」の文字です。 調べた所、「水疱瘡等」という訳が字面的に整合性が高いと思われましたが、類方の桂枝加朮附湯等の記述にはその様な記述は無いので、「単に全身の腫れを言っているだけ。 」という可能性もあります。 とりあえずここではこのままにしておいて、次に、構成生薬を見ていきます。 構成生薬は、それぞれ 陽明胃熱を取り、首筋のこりをほぐす:葛根 解表発表、発汗:麻黄、桂皮 補陰:芍薬 緩和、分散:大棗、甘草 利水、健胃:生姜、蒼朮 温裏、鎮痛:附子 の様になります。 蒼朮と附子以外は葛根湯ですので、処方名の通り、葛根湯に蒼朮と附子を足したものになります。 言い換えますと、この処方はその所見で葛根湯証が必須という事になります。 葛根湯証は、「身体の内部の冷えが無く、胃腸が丈夫で、発熱頭痛、悪寒や悪風(おふう:風に当たるのを嫌がる)して首筋が固くなり、汗が出ないもの。 」です。 また、吉益東洞先生の創方の特徴として、朮は利水目的で蒼朮を使うという事、附子は痛み止めを兼ねるという事があります。 本処方についてもその考えを当てはめますと、「葛根湯証で、組織から水毒が出ないもので、痛みの激しいもの。 」が目標であると言えます。 構成生薬について概要が解りましたので、ここで先程の「起脹」の謎解きの続きを行います。 麻黄が激烈な発表剤という所から、本処方は汗が出ていないものが対象となります。 また、水疱瘡等と訳しましたが、水疱瘡に限らず汗が詰まる汗疹(あせも)や汗疱(かんぽう)も起脹に入ります。 ですので、条文の「起脹」というのは、恐らく「汗等の水分が溜まって出来るぷつぷつとしたできもの。 」と見るのが一番可能性が高くなります。 これらの中に詰まっている汗を、麻黄で排出しようというのがこの処方の要諦と言えるでしょう。 ですが、結局の所、「皮膚に汗状の液体が詰まったぶつぶつが出来る位湿邪がある」という事を示している条文ですので、葛根湯証があって湿邪と疼痛の所見があれば、腫脹が無くても本処方を使用しても問題ないでしょう。 それよりも、裏寒や脾虚を見逃す方が危ないです(葛根湯自体使えない病態の為)。 以上まとめますと、 葛根加朮附湯は「身体の内部の冷えが無く、胃腸が丈夫で、発熱頭痛、悪寒や悪風して首筋が固くなり、汗が出ないもので、汗等の水分が溜まって出来るぷつぷつとしたできものが出る、関節の痛み等の水毒があり、全身が腫れて痛みの激しいものに使用する処方。 」となります。 繰り返しになりますが、本処方は裏寒や脾虚がある場合は不適になりますので注意が必要です。 鑑別 葛根加朮附湯と他処方との鑑別ですが、代表的なものに葛根湯、麻黄湯、桂枝加朮附湯があります。 それぞれについて解説していきます。 葛根湯 葛根加朮附湯は葛根湯の派生処方であるので、鑑別が必要となります。 両処方の違いは、蒼朮と附子の有無です。 水毒と痛み、内部の冷えがあるかどうかですね。 同じ葛根湯症で「汗等の水分が溜まって出来るぷつぷつとしたできものが出る、関節の痛み等の水毒があり、全身が腫れて痛みの激しい」という所見が有るか無いかで鑑別出来ます。 麻黄湯 麻黄湯は葛根加朮附湯と同じく太陽病の処方であり、麻黄や桂皮を含みますので、鑑別対象となります。 麻黄湯の特徴としては、「無汗、頭痛発熱、関節痛」といった症状があり、葛根加朮附湯と似通っています。 ですが、「汗等の水分が溜まって出来るぷつぷつとしたできものが出る、全身が腫れる。 」等の所見はありません。 また、喘息様症状というのが麻黄湯には出る事があります。 これらが鑑別ポイントとなります。 桂枝加朮附湯 桂枝加朮附湯と葛根加朮附湯は共に太陽病の処方であり、麻黄と葛根の有無のみの差になりますので、鑑別対象となります。 桂枝加朮附湯は桂枝湯に蒼朮と附子を足した処方で、葛根加朮附湯と同じく吉益東洞先生創方です。 ですので、その処方意図は両処方共同じで、それぞれの証がある場合で湿邪水毒が身体に溜まっている場合に使用します。 葛根湯と桂枝湯の差は汗が出ているかどうかの差になりますので、葛根加朮附湯と桂枝加朮附湯との違いもそれらの鑑別ポイントがそのまま当てはまります。 簡単に見分けるとすると、汗が出ているかと首筋のこりが有るか無いかを見て、汗が出てなくて首筋のコリが酷いようなら葛根加朮附湯、汗が出て首筋のコリが少なければ桂枝加朮附湯で良いでしょう。 お読み頂きありがとうございます。
次の寒くなってくると心配なのが「風邪」。 「今まで風邪をひいたことがない!」という強靭な人はいないはず。 それは「ひいたかな?」と思ったらすぐに治すこと。 その強いが「葛根湯」です。 今回ではその理由を、風邪のメカニズムと合わせて紹介します。 【風邪=寒い敵】と心得るべし まず、風邪のメカニズムを簡単に知っておきましょう。 あなたが風邪をひきやすいのは、「暑いとき」と「寒いとき」のどちらですか?きっと「寒いとき」と答える方が多いはず。 実は「風邪」とは漢方用語。 寒いときにひく 風邪の正式名称は「風寒の邪(ふうかんのじゃ)」と言います。 邪とは外側から攻撃してくる敵のこと。 その証拠に、風寒の邪のひきはじめには、「寒気」や「透明な鼻水」など、カラダの表面が冷やされたことで起こる症状が見られます。 風邪はひきはじめが勝負。 風邪はすぐさま追い払え! どうして風邪をひくのか、どうやって風邪のひきはじめに気づけばいいのかをご紹介します。 「風邪をひいたな…」と思ったとき、無意識に厚着をしたり、布団に包まったり、温かいものを食べたりしていませんか? これこそ敵を追い払うための無意識の抵抗。 「風邪をひいたかな…」と思ったら、まずしっかりカラダを温め、熱のバリアを強化しましょう。 弱い敵なら厚着や温かいものの飲食程度で追い払えますが、強い敵には太刀打ちできません。 つまり風邪の初期の発熱は、敵を追い払うためのカラダの必死の抵抗(免疫反応)。 これを冷ますということは、免疫を打ち消し、敵をわざわざ招き入れるようなものです。 「ひきはじめの発熱は冷まさない!」これも風邪を追いはらうための鉄則です。 風邪をひくとなぜ体温があがるのか、また、体温を上げた方がよいのかを説明します。 疲れやストレスに見舞われている 現代人のカラダは、体力が低下し、熱を出すエネルギーが不足していることが多く、うまく発熱できない傾向にあります。 ここでおすすめなのが、『葛根湯』です。 葛根湯はカラダの表面を早く温めて、熱のバリアを早く強めます。 風邪のひきはじめに葛根湯を飲むことで、風邪が入ってくるのを阻止できるだけでなく、早く追い払うことができるのです。 「風邪をひいたかな…と思ったら、すぐさま葛根湯!」これぞ、風邪の治し方です! いかがでしたか? 風邪をひかない一番のポイントは「早くカラダを温め熱のバリアを強化すること」。 そうすることで、早く風邪を追い払い、症状が悪化する前に治すことができます。 風邪をひいたかなと思ったら…迷わず「カラダを温め、葛根湯!」これこそが、風邪の治し方です! では、様々な不調の改善アドバイスや対策、おすすめの漢方薬をご紹介しています。 気になる不調があれば、でご自分の症状を探して、アドバイスを読んでみて下さいね。 かぜの症状別「クラシエの漢方かぜシリーズ」の使い分け.
次の「君たち学生諸君は、徹夜明けで試験に臨むことがあるかもしれないが、肩が凝って頭もさえない…そんな時には葛根湯を服用してごらんなさい。 とっても似ていますね。 ほぼ水酸基(-OH基)一つの違いだけと言ってよいでしょう。 確かに、高齢者・高血圧や甲状腺機能異常の方などでは慎重に対応するべきことはありますが、米国で問題になったような高用量のエフェドラによる重篤な副作用の事例は極めて稀なことです。 (もちろん!眠気覚ましとしての使用目的は保険適応ではありませんから、積極的にお勧めしているわけではありませんけど…。 このように体の治癒力を助けるように体温を上げる作用と、眠くならずにだるさも取れるという点が、総合感冒や抗ヒスタミン薬との大きな違いと言えるでしょう。 漢方薬による花粉症治療は、ただ鼻水を止めるというばかりでなく、頭がぼーっとしたあの気だるい不快なだるさも解消してくれるというわけです。 漢方薬による風邪の初期治療の原則は身体を温め、発汗させることが中心です。 それゆえ、街場の薬局で温める麻黄含有の漢方薬に解熱作用を有するアセトアミノフェンを混ぜた風邪薬を売られているのを見受けますと、私たちはとても違和感を覚えるのです。 身体を温めながら冷やすなんて…と。 確かに対症療法と言われる西洋薬の風邪薬も決して侮ることできず、症状が楽になって、それですっきり治ることもあります。 けれどもそれは私の見解では、ある程度以上の体力があって治る力のある方、休息のとれる方のお話と思われます。 平素から虚弱で風邪が治りにくい人、冷え性の人、なかなか休めず無理をしてしまいがちな方々は、症状を抑え込むだけの治療には十分に注意が必要かと思われます。 各々の生薬には生体に対して種々の効果があり、それを漢方医学では「薬能」と呼びます。 生薬はただ一つの効果によってではなく、その分量や他の生薬と組み合わせで、さまざまな薬能が引き出されます。
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