概要 腱鞘炎とは、 腱鞘 けんしょう に何らかの理由で痛みや通過障害を起こすことをいいます。 腱は骨と筋肉とをつなげる、線維性の結合組織です。 腱は腕から指まで束状に何本も通っており、腱のはたらきによって指の曲げ伸ばしや手首の動きが可能になります。 そして複数の腱をおさめる腱鞘があることで、効率的に手の指や手首を動かすことができます。 腱鞘炎は、職業柄パソコンを使うことやものを書くことの多い方(物書きや事務作業員など)がなりやすいといわれています。 発症しやすい部位は手首や指であり、それぞれやバネ指などと呼ばれます。 腱鞘炎は、日常生活動作に密接に関連した病気です。 腱鞘炎の発症を予防するには、同じような動作を繰り返すにしても適宜、休息をとることが重要です。 また、腱鞘炎を発症した場合、局所の安静をはかることが大切です。 症状により、治療に手術が選択されることもあります。 腱鞘炎を悪化させないためにも、疑わしい症状がある時には早期受診、早期治療介入が重要です。 症状 腱鞘炎では、痛みや腫れが現れます。 ドケルバン病の症状 たとえば、手首が障害を受けるでは、手を広げたり親指を動かしたりすると、腱鞘付近に疼痛(ズキズキとした痛み)が起こります。 たとえば、物を持つ、ペットボトルを開ける、などの親指を使ったつまみ動作によって、痛みを感じます。 バネ指の症状 また、指の付け根で腱鞘炎が生じるバネ指では、症状が進行すると「バネ現象」と呼ばれる症状が現れるようになります。 バネ現象では、指の動きがスムーズではなく引っかかりを感じるようになり、さらに症状が進行すると指を十分動かせなくなることもあります。 腱鞘炎の症状は、朝方に症状が悪化する傾向があります。 これは、就寝中に体がむくみがちになることが影響します。 こうした生理的な変化によって、腱鞘炎の症状が悪化すると考えられています。 治療 腱鞘炎の治療では、局所の安静をはかったり、腱鞘炎による痛みや腫れに対応したりします。 局所の安静 腱鞘炎を発症した場合には、原因となっている動作を制限することが治療の第一歩です。 無意識のうちに動作をしてしまうこともあるため、テーピングや湿布を利用することも効果的です。 しかし、過度な固定は関節の拘縮(固くなること)が危惧されるため、安静の仕方には工夫が必要です。 さらに、関節が固まらないようにストレッチなどを行なうことも重要です。 痛みや腫れへの対応 また、腱鞘炎の治療では、腱鞘炎による痛みや腫れに対応することも大切です。 軟膏や湿布などの外用剤による治療を行い、症状によってはステロイド注射を併用します。 病状によっては手術を行い、原因となっている腱鞘を切開する方法もあります。 腱鞘炎は指や手首の慢性的な使いすぎが誘因になりますが、予防すること、早期回復を目指すことが可能です。 もし腱鞘炎になった場合には、適切な処置を行い早急に専門病院へかかることをおすすめします。
次の手首の痛みが治らない時はどう対応したらいい? 手首の痛みが治らない場合は、自分がどのように手首を痛めてしまったかによって、対応の仕方が変わってきます。 単純に構造的な問題を取り除いていけば改善する場合も多いですが、中には病院で検査を受けたほうが良いものもありますので、一つ一つ解説したいと思います。 捻挫後に手首の痛みが治らない場合 手首を捻挫してから、しばらくたっても痛みが治らない場合は、原因が捻挫だけではないかもしれません。 単に手首をひねっただけだと思っていても、実は舟状骨と呼ばれる手首の骨を骨折していたり、TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)という軟骨等の損傷を引き起こしている場合もあります。 そのため、もし痛みがなかなか引かないと持ったら、一度整形外科に行って、レントゲンを取ってもらってください。 そこで大きな異常が見られないのであれば、あとは関節や筋肉などの問題だと思いますので、一つ一つ問題を取り除いていけば、体も変化していくと思います。 腱鞘炎で手首の痛みが治らない場合 腱鞘炎の痛みが治らない方の場合、原因が腕や手首だけではない可能性があります。 多いのが背中や肩がガチガチになっている事で、神経を緊張させてしまっているパターンです。 詳しくは後で解説しますが、神経が緊張してしまうと、手首やその他の関節にダメージを与えてしまうため、腱鞘炎が治りづらくなってしまう事があるのです。 そのため、症状を改善させたいのであれば、手首のことだけを考えていてはいけません。 腕や肩、背中など、全身の状態を整えながら、「 日常の負担<回復力」の状態にしないといけないのです。 詳しくはこちらのページにもまとめてありますので、合わせてご覧ください。 手首の骨折後に痛みが治らない場合 手首の骨折後に痛みが治らない場合は、いくつかの要因が考えられます。 1つ目が、長いこと手首を固定していたために、関節が固まってしまった問題です。 骨折してしまった時は、骨がくっつくまでしっかりとギプスで固定する事が大切ですが、この固定が、関節に拘縮という状態を引き起こします。 拘縮とは、関節の周りにある軟部組織が変化して、可動域を制限してしまった状態。 拘縮を起こしてしまうと、周りの組織が伸びない状態になっていますので、関節を動かそうとした時に、痛みを引き起こしてしまうのです。 そのため、もし関節がこのように固まってしまっていたら、リハビリで手首が動くようにしてあげる必要があります。 リハビリは骨折治療の続きとして、整形外科さんで行われますが、病院でやらない場合は、別個治療院等でアプローチしてあげる必要があります。 2つ目の問題が神経で、骨折すると、骨だけでなく、周りの神経も過敏になってしまう場合があります。 骨折で神経自体を痛めていないのであれば、症状は自然と落ち着いてくるのですが、中には骨折が治った後も緊張が続いてしまう方がいるのです。 このような方の場合、ケガの衝撃やその後の安静で首などにダメージを負ってしまい、神経に影響を出してしまった場合と、ケガのショックがトラウマとなっていて、心理的なストレスが神経を過敏にさせてる場合があります。 これらの問題を解決するためには、まずは体をしっかりと整える事と、心理的なトラウマを改善させてあげる必要があります。 手首の痛みが治らない時にチェックしておきたいポイント 手首は小さい関節や筋肉が集まっている場所で、単純にストレッチをしたり、患部をマッサージするだけでは、痛みが治らない場合があります。 長いこと症状が改善していない方は、問題が他の部位にも広がっている可能性がありますので、広い範囲で体をチェックし、治療していく必要があります。 以下に具体的な箇所を挙げたいと思います。 手根骨(舟状骨、月状骨、有頭骨等) 手には、手根骨という小さい骨が4つずつ二列になって、計8個集まっています。 これらは通常であれば、強力な靭帯の働きで安定しているのですが、繰り返し負担がかかったり、強い力が加わったりすると、関節がずれた状態で固まってしまい、手首を動かす時に痛みを引き起こします。 手根骨の中でも、特に舟状骨、月状骨、有頭骨という骨は重要で、生体力学的に見ると、これらの骨は縦方向の骨のつながりの起点となる部分ですので、手の疾患に大きな影響を及ぼします。 また、有頭骨と舟状骨は、手を広げたり指を曲げた時に、それぞれの指の長軸が視点となって集まる場所でもありますので、解剖学的に重要な箇所と言えます。 橈骨手根関節(手関節) 一般的に手関節と言われているのがこの橈骨手根関節で、手根骨と橈骨という前腕の骨により作られています。 手首を前後に曲げるだけでしたら他の関節も動くのですが、親指側や小指側に曲げる時は、ここでのみ運動を行うため、関節が固くなっていると、痛みを引き起こしやすくなります。 基本的にこの関節が動くことで手首を大きく動かせるのですが、運動の軸が手根骨にあるため、手根骨とのバランスも重視しなければいけないポイントです。 遠位橈尺関節 遠位橈尺関節は、手首の少し上で前腕にある橈骨と尺骨という2本の骨により作られている関節です。 前腕の回内と回外という手を捻るような動作で働く箇所でもありますので、ここが固くなっていると、手首に影響を及ぼしやすくなります。 前腕骨間膜 前腕骨間膜は橈骨と尺骨の間にある膜で、前腕の回内と回外、遠位橈尺関節、近位橈尺関節に大きく影響を及ぼす場所です。 臨床的に見て、骨間膜が固くなっていると、手関節や手根骨が整わなかったり、例え整ってもすぐに戻ってしまう事が多いです。 そのため、手首が痛い時は必ずチェックしなければいけない箇所なのですが、骨間膜は腕を走行する神経の影響も受けるため、更に中枢の状況も見ながらアプローチする必要があります。 肘関節(腕橈関節、腕尺関節、近位橈尺関節) 一般的に肘の関節というと、腕橈関節、腕尺関節、近位橈尺関節の3つの関節を指します。 手首を動かす時に、前腕の骨や骨間膜を介して肘にも力が加わりますので、 肘関節が歪んでしまうと、手関節や手根骨に運動の制限が現れやすくなります。 腕尺関節:全体的に手首に歪みに関与• 腕橈関節:手首を親指側、小指側に曲げる時に影響• 近位橈尺関節:手を捻るような動きに影響 前腕の筋群 手首にはだいたい15個くらいの筋肉や腱が通過しているのですが、肘や手首、指など、幾つかの関節をまたいでいるため、手首以外でもどこかに問題が起これば、手の動きに影響を与える場合があります。 先ほど挙げた橈骨手根関節などは、特にこの筋群の影響を受けやすく、歪み易いポイントですので、関節に固着がなかったら、前腕の筋群は疑う必要があります。 肩関節と肩甲骨のバランス これらは直接大きな影響を及ぼすわけではないのですが、肩や肩甲骨のバランスが崩れると、手首のアライメント(骨配列)にも影響を与えますので、チェックしておきたいポイントでもあります。 肩関節と肩甲骨まわりの問題については、「」に詳しく書いてあるので、合わせてご覧になってみてください。 上肢の神経(橈骨神経、尺骨神経、正中神経等) 手には橈骨神経、尺骨神経、正中神経という3つの大きい神経が通っているのですが、これら神経が緊張していると、骨間膜や筋肉を緊張させるため、手首に問題を引き起こします。 特に正中神経は重要で、基本的に手首の痛みは橈骨手根関節や手根中手関節で起こるのですが、正中神経が緊張していると、これら2つの関節にかなり悪影響を及ぼします。 上部・中部胸椎 上部・中部の胸椎は、上肢のバランスや頚椎、手の神経等に影響を及ぼす箇所ですので、手首の痛みが治らない時は、必ずチェックしなければいけないポイントです。 患者さんを見ていると、手首に問題を抱えている人は、必ずと言っていいほど胸椎にも問題を抱えています。 胸椎が自由になればその分治癒力も発揮されますので、手首を治療する時は、可能な限り胸椎の問題を解消しておく必要があります。 頚椎 頚椎は手に向かう神経が出る場所ですので、解剖学的に重要な場所です。 しかし、基本的に頚椎の問題はほとんどが胸椎の影響により起きていますので、胸椎を治療しても頚椎の問題が残っているなら、神経的なつながりを考慮し、アプローチする必要があります。 手首の使い方 スイングのフォームが悪かったり、グリップの握り方に無理がある方は是非コーチと相談して改善に努めて頂きたいのですが、ここではそういったフォームの話ではなく、手首自体の使い方に焦点を当てて、解説していこうと思います。 手首に問題を抱える患者さんの中には、自分が関節を曲げようとしている場所と、解剖学的に実際に関節が曲がる箇所とがズレてしまっている方がいます。 これらは何かの怪我の影響だったり、反復して同じ動作を繰り返す事で生じる場合があるのですが、そもそも関節の使い方がうまくいっていないので、いくら手首を治療しても、すぐに問題が再発します。 人によってただ単純に曲がる場所を勘違いしている場合もありますし、位置覚や運動覚という体の微細な動きを調節する深部感覚にズレが生じてきている場合もあるので、手首の痛みが治らない場合は、これらのズレを修正し、正常に関節を使えるようにすることも必要です。 位置覚:四肢や体幹などの位置を感知する感覚 運動覚:関節の動きを感じる感覚 まとめ 手首の痛みは、何で痛めたかによって、対応の仕方が変わってきます。 今回は3つほど原因別の対処法を解説しましたので、上記で解説した内容を参考に、改めて自分の治療について見直してみてください。 大きい問題のある方は、病院で見てもらう事も必要になりますが、そうでなければ、基本的には一つ一つ丁寧に対処していけば、症状の改善が期待できると思います。 具体的なポイントとしては、手根骨、橈骨手根関節、橈尺関節、骨間膜、肘関節、手の神経、肩まわりのバランス、頚椎・胸椎、手首の使い方を挙げてみました。 これらは自分だとなかなかケアできない部分ですので、その分今まで見逃されていた可能性もあります。 手首が治らないなら、チェックしておいて損はないと思いますので、もし気になることがありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。
次の電気の機械(すみません!正確な名前がわかりません)を使って凝り固まった筋肉をほぐす。 手技というマッサージで身体全体のバランスを整える。 普段の生活で気をつけることや、痛みがなくなるような知恵をくれる。 この記事で紹介する方法も、柔道整復師の先生に教わった方法です。 ブログに書く許可もいただきました!「ぜひ読者の方と共有してください」とのことです。 整骨院では治療だけでなく相談も 整骨院に通う前は、実はお医者様にもかかっていたのですが、問診・処方で数分。 なので、あっという間!という感じでした。 整骨院は1時間ほど治療くださいます。 この1時間で、私の「痛みに対する不安」とか「こういう仕事をしているから痛くなったのかな」とか「手が痛いだけでこんなにストレスなんですね」とかの 話を、たーーーくさん聞いてくださいました。 話を聞いてくださったことが本当に癒されました。 「こういう時はこうすればいいですよ」 「食生活はこうしたらいいですよ」 など、専門的なアドバイスくれたのも本当に助かりました。 また、痛みのある部分だけではなく、首・肩・背中なども一緒に整えてくださったのも良かったです。 手首以外の硬さも、腱鞘炎の原因になるらしいです。 熱が出た時に使うものですが、確かにスポーツ選手も、試合の後に冷やしたりしていますね! ピアノを長時間弾いた後は、触ってみると手首が熱くなっているのがわかります。 熱くなっているところは、痛みがなくても炎症が起きているそうです。 なのでピアノを長時間弾いた後は、必ず冷やす! 「 冷やすと気持ちいい」と感じるなら、冷やした方がいいとのこと。 冷たくて皮膚が痛くなるくらい ガンガン冷やして構わないそうです。 たたむとこんなにコンパクト。 筋肉は縮むことはできるけど、自力で伸びることはできないそうです。 だから 使った後は必ずストレッチをします!そういえば、運動の後もストレッチってしますよね。 ピアノを弾いた後は、2種類のストレッチを行います。 まず、手の甲を向こうに向けて、 反対の手で、手の甲を親指ごともってこちらに引っ張り伸ばします。 この時、肘の内側を外向きに少しねじります。 下の画像の赤い部分、手首~肘が良く伸びて気持ちいいです。 もう一つは、手の平を向こうに向けて、 親指ごと、こちらに引っ張り伸ばします。 肘を外側に向けるようにします。 手首の内側~肘までよく伸びます。 私は、このストレッチを• 起きた後• お風呂• ピアノを弾いた後• パソコン作業の合間• 気づいた時 にしょっちゅう行っています。 ストレッチしすぎて悪いことはないそうです。 現在は、整骨院の先生もびっくりの手首の柔らかさになりました。 翌朝はすっかり良くなります。 特に治療期間中は、湿布を惜しみなく使いました。 テーピングのいいところ テーピングは、巻く強さをその時によって変えられること、手首の動きを制限しすぎないことが良かったです。 一時期、手首を動かさなさすぎて、手首の関節がガチガチに固くなっていたことがありました。 動かさないので、整骨院で指摘されるまで気づきませんでした。 「 関節は使わないと固くなる」とは本当だなと身をもって感じます。 動かさなさすぎると、血行が悪くなって、治りが悪くなるそう。 だから、動きを制限しすぎないけれども一番痛い親指付近はしっかり制限できるテーピングが最適でした。 テーピングの巻き方 私が行っていたテーピングの方法を紹介しますね! 私は、4センチ幅のテープを使っていました。 少しの伸縮性はあるけど、伸びすぎないテープです。 色は、目立たない肌色がオススメです。 まず、30センチの長さで切ります。 まず、端を親指に内側から貼り付けます。 テープを斜めに引っ張りながら貼ります。 親指が、内側、手のひら側にいかないような強さです。 手首の下から1周、手首に巻きつけて完成です。 手首は強く巻かないで貼るだけにします。 裏から見るとこんな感じ。 消耗品なのでお金はかかりますが、 このまま家事もできるし、巻きの強さによってはピアノも普通に弾けるので、家でピアノの練習をする時も常にテーピングはしていました。 整骨院の先生に聞いたのですが、寝ている間に無意識に布団を引っ張ったりして、その時に親指~手首に負担がかかるらしいです。 朝起きた時にいつも手首が痛くなっていたのですが、そうだったんだと初めて知りました。 整骨院で、こんなアイテムをつくってくれました。 私の手の形にぴったり合わせたオーダーメイドです。 親指にはめて、 市販のサポーターで巻きます。 テープで貼ってもいいそうです。 ちなみに、市販のサポーターだけだと、親指が中に入ってしまって固定されず意味がないです。 親指を固定して寝るようになってから、劇的に良くなりました。 せっせと家事を手伝う妹を横目に、何もしないのは心苦しかったです。 でも、この機会を逃すともう休めないと思いました。 結果、この一週間でとっても良くなりました! 思い切って他の人に助けてもらうということも大事ですね。 また、家事の協力をお願いするのが難しい方は、テクノロジーのちからを借りるのも手かもしれません。 私は、床拭きお掃除ロボット「 ブラーバ」を愛用しています! 掃除機やフロアワイパーはたくさん指や手首をひねりますよね。 これがすごく負担になっていました。 ブラーバを使うようになってから、すごく手の調子がいいです。 こちらのページで詳しく紹介しています。 まとめ 完治まで、多くの方に助けてもらいました。 おかげさまでもう痛みはありません。 ピアノを弾いている歌声喫茶ともしびでも、私が新人ピアニストで「伴奏代わってほしいです」と言いづらいのを察して、先輩から「代わるよ」と声かけてくださいました。 そういう優しい気遣いに、手首だけでなく心も癒されました。 本当にありがとうございます。 感謝の気持ちでいっぱいです。 次回、腱鞘炎シリーズ最後の記事は、腱鞘炎にならないようにこれから気をつけることを書きました。
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