東京都大田区にある西馬込あくつ耳鼻咽喉科の阿久津です。 (2020年6月6日 修正) はじめに 当院では、新型コロナウイルスに対する抗体検査を実施しています。 また 、症状がまったくないが、PCR検査が必要な患者様に 自費のPCR検査も実施しています。 (現在、海外渡航の方向けとなります。 完全予約制です) 当院では、 迅速抗体検査キット + ロシュ社の抗体検査 + 抗体証明書(英文可) + 1か月のLINEでのアフターフォロー を行うことで、より安心して、患者様が納得できる医療を提供しております。 (金額) すべてに1カ月のLINEでのアフターフォローがあります。 新型コロナウイルスの情報は刻一刻と変化しており、抗体検査は受けておしまいという訳ではなく、結果を受けて心配な事、悩む事、出勤について、症状についてなど患者様が一人で悩まれている事が多く、連日ご相談を頂いておりますため、こちらのフォローが当院ではついております。 他院で受けられる場合は、どちらのメーカーか(メーカーにより差が大きいため)を問い合わせしてからのご受診をお勧めしています。 当院で御希望の方は、 をお読み頂き、 からお申込みをください。 8%で、現存の抗体検査の中では非常に優れた検査です。 特別な機械が必要となり、実施できる施設が限られています。 通常の血液検査が必要となります。 また、下記の記載にある通り、5月31日に公表された内容で、 迅速抗体検査キットの擬陽性が高いという報道がありました。 当院で精度の高い抗体検査キットを使用し、陽性者には追加で別の抗体検査をしておりましたが、不安になられている患者様もいるかと思い、 当院で迅速抗体検査を行った患者様には、さらに 無償でロシュ社の抗体検査を実施することと致しました。 抗体検査結果の考え方 抗体検査では、一般的にIgMとIgGの2つを評価します。 新型コロナウイルスに感染すると、まず体内で新型コロナウイルスが増幅し、すぐに体内でIgM抗体が作られ、すこし遅れてIgG抗体ができます。 下の図のパターンが一般的です。 しかしながら、新型コロナウイルスには、このパターン以外にも別のパターンで抗体が上がることがあるようです。 それが下の図になります。 なんと、ウイルスが侵入すると、IgG抗体が先にあがって、その後にIgM抗体があがることがあります。 なぜこのようになるかと言うと、新型コロナウイルス以外の昔からいる旧型コロナウイルスは、冬の風の原因ウイルスです。 旧型コロナウイルスにより、我々は免疫グロブリン(IgG)を作っており、新型コロナウイルスに感染してもまずその旧型コロナウイルスIgGが上がってくるのでないかと考えられています。 日本での新型コロナウイルスの抗体保有率は? 〇慶応大学では、2020年4月13日から4月19日に行われた術前・入院前PCR検査で、無症状の患者様のうち 5. これは、 東京の6%が感染している可能性も示唆される結果でした。 大学病院に受診している患者様ということで、その分を考慮しないといけませんが。 〇大阪市立大学では、202年4月の新型コロナの診断・治療以外に受診した患者様の残った血液から、抗体検査を実施したようです。 その結果は、312人(年齢中央値 66. あれだけ騒がれている大阪でも、まだ 0. 9%ほどの方しか、感染したことがある人はいないという結果でした。 〇神戸市立医療センター中央市民病院では、2020年3月31日~4月7日にの外来を受診した患者様の1000検体を用いて抗体検査を実施しています。 その結果では、1000人のうち、33人がIgG陽性だったようです。 すでに新型コロナに感染した人は、神戸市内では、 2. 7%という結果でした。 〇厚労労働省は、東京都と東北地方6県で4月に献血をした健康の方1000人に行った新型コロナウイルスに対する抗体検査キットの結果を公表しました。 検査キットの性能評価のため、5社のキットを使って調べたところ、東京の500人で計3人( 0. 献血する方は、比較的健康な方が多く、健康への士気も高い人が多いため、この数字は少し低いのではないかと私は考えております。 また、新型コロナウイルスがまだ発生していなかった2019年1~3月に採血された500人の献血も調べたようです。 その結果、2人が陽性と判定されました。 抗体検査キットでは、 実際には感染していないのに陽性と出る「偽陽性」がでることがあるとされています。 そのため、6月の東京・大阪・宮城で行われる抗体検査には、迅速抗体検査キットではなく、 ロシュ社とアボット社の抗体検査が選ばれました。 〇5月31日の福島県の病院と東京大学 児玉教授の発表にてさらに追加情報が明らかとなりました。 福島県の病院の先生は、当初抗体陽性率が高くなり、東京大学の児玉教授に相談されたようです。 そこで、迅速簡易抗体検査キットと高性能な抗体検査(定量検査)でIgMとIgGを比較が実現されました。 その結果が以下の表となります。 簡単に結果を説明すると、 ・迅速簡易抗体検査キットで陰性であれば、高性能な抗体検査(定量検査)でも100%陰性だった。 ・迅速簡易抗体検査キットで陽性となった人(IgMで52人、IgGで58人)で、高性能な抗体検査(定量検査)で陽性となった人の数が圧倒的に少なかった(IgMで2人、IgGで6人)。 当院でも実施しております。 ロシュ社やアボット社もこの定量検査となります。 当院でも実施しております。 今までの検討から、現在の所の抗体保有率は、東京都内で1~2%前後ではないかと、私は考えております。 抗体検査キットとPCR検査の比較では? 〇九州大学では、抗体検査キットがPCR検査と比べ、どれだけの品質が高いかをチェックしています。 10人のPCRで陽性だった患者様に対して、新型コロナのIgMとIgGの検出率を確認しています。 Ltd. , China を使われています。 こちらのキットでは、PCR陽性患者様でも、新型コロナの感染初期にあがるIgM抗体はすべての患者様で陽性にならず、IgG抗体は発症から10日以降で陽性となってる方が多い結果でした。 (発症日とは、37. 5度以上の発熱もしくは中等度以上の呼吸器症状あるときを初日としています) 現時点では、抗体検査のキットのばらつきもあり、感染初期にあがるIgM抗体はやはりあてにならないようです。 一方で、 PCR陽性の患者様はIgG抗体が100%陽性になるようです。 〇日本感染症学会は4つの検査キットを用いて、抗体検査の精度を調べています。 それぞれ5人の方に抗体検査キットとPCR検査を行っています。 その結果、抗体検査の陽性率は検査キットにより様々でわり、現実的にはまだ臨床には不向きであると言う結果でした。 検査の結果をみると、性能が悪いものもあれば良いものもありましたね。 この場合は、PCR検査と抗体検査で比較をしていますので、検査の目的が違いますのでしょうがないところかと思います。 PCR検査は鼻腔内に今そこにコロナウィルスの遺伝子(RNA)が存在するのかを調べるための検査です。 発症から2週間で陰性化すると言われていますが、2週間たっても陽性になる方もいるようです。 PCR検査は新型コロナウイルスの死骸でも陽性になりますし、陽性率も30~70%と幅広いです。 一方で抗体検査は、新型コロナに感染し、自分の免疫がついているかどうかを調べるための検査です。 通常、抗体検査は診断の目的や、予防接種の有無(風疹など)を確認するためのものです。 ですので、PCR検査と抗体検査は同一のものを見ているわけではないですので、ずれていても全く問題ありません。 むしろ検査精度が問題で、そこがクリアされれば、新型コロナウイルスに対して有益な検査の一つとなると考えられています。 より良い抗体検査キットが開発されれば一気に話が前に進むのではないかと考えています。 海外での抗体検査の状況 〇アメリカのニューヨーク州では、無作為3000人の新型コロナウイルスの抗体検査を実施していました。 その結果、 13. 今の所、どのような人(人種や生活背景、職業など)に対して検査をしたのかが分かっていませんのであくまでも、参考値かと思います。 ニューヨーク市に至っては、 21. 〇スウェーデンでは、ヨーロッパの多くの国で行われているようなロックダウンをせずに、小中学校は開校したまま、飲食店も通常通りの営業をしています。 経済活動を継続することで、多くの人が免疫を獲得することができ、最終的に感染抑止に効力が出るのではないかと考え、独自路線で展開しています。 スウェーデンでは、実際感染者数も減ってきているようです。 しかしながら、6月の時点では、人口100万人当たりの死者数が世界的にも高い水準となっており、この政策は失敗だったのでは伝えらえれています。 〇WHOの会見では、抗体検査が陽性になれば、新型コロナウィルスに再度かからないとはいえないと述べています。 実際にインフルエンザのように季節ごとに流行する型が異なる可能性があります。 海外では、新型コロナにかかり回復した方や新型コロナウイルスIgGが陽性の方などは、抗体検査を行い『免疫証明書』などを発行などの検討をしていましたが、WHOは慎重な考えでした。 しかしながら、いつまでこのような体制(医院だけでなく、飲食店などが)で仕事を続けていくのかを考えると、ある程度のところで、経済活動を再開していかないと、経済が回らなくなるリスクを抱えています。 〇ドイツ・イギリスでは、疫学調査のため、抗体検査はロシュ社の抗体検査を選びました。 また、日本では、疫学調査のために、ロシュ社とアボット社の抗体検査が選ばれました。 特に、経済活動の中心年代にある20代~40代で喫煙歴・持病がない方が、抗体検査を行うことで、ある程度の経済活動の再開をしていく基準になるのではとひそかに思っています。 そもそも、ウイルスを完全に抑制することは困難ですし、一時的に流行を抑えても、流行は第二波・第三波と続く可能性が高いと思います。 海外のようにオーバーシュートしてしまうと、重症患者様の数が増えてしまい、医療崩壊となりますので、医療崩壊に繋がらないように、新型コロナの発症者数を国がコントロールしながらの経済行動が続くのではないでしょうか。 新型コロナウイルスの抗体検査がはやくに導入され、国民の抗体の状況が分かるようになるか、予防接種ができるようになるか、何かが前に進み、みなさんの不安がすこしでもなくなることを祈っています。 現在抗体検査を実施しているクリニック・病院・医療機関は? 当院では、5月16日から開始としています。 当院のある東京都大田区以外、全国どこでも対応が可能となります。 当院で今後新型コロナウイルスの抗体検査をご希望の方は公式LINEアカウントから登録をお願いします。 今後、最優先でLINEでお伝えしていきます。 また、新型コロナウイルスの対策や、抗体検査の情報は、LINEで最新情報を更新していきます。 抗体検査について、お電話では一切受け付けておりませんので、ご了承ください。 また、法人や会社単位での相談もいただいています。 <対応医療機関様一覧> 〇千駄ヶ谷インターナショナルクリニック様 6月時点では、1000人を超える方に検査をされて、陽性率は4. 5%とのことです。 迅速抗体検査キット:不明(テレビの報道ではINNOVITAにみえます) INNOVITAはCEマーク(EU加盟国基準適合)を取得しています。 INNOVITAの抗体検査キットは、感度87. 3%、特異度100%です 価格:15400円 〇篠崎駅前クリニック様 迅速抗体検査キット:不明 価格:7000円 随時、HPでご確認ください。 東京都江戸川区篠崎町2-7-1 TEL:03-5666-1331 休診日 日曜・祝日 都営新宿線 篠崎駅北口から徒歩1分 個人的に、篠崎は私の実家の近くで個人的に愛着がある場所です。 〇ナビタスクリニック様 こちらは、IgGの測定のみのようです。 新宿と立川で抗体検査を受けることができるようです。 ナビタスクリニックで行われた抗体検査の結果では、非医療従事者の4.8%、医療従事者の9.1%が陽性で、抗体ありの結果だったと報道されています。 IgGのみを検査していますので、新型コロナウイルスに過去に感染していたことが分かっています。 迅速抗体検査キット:不明(以前はクラボウでした) 価格:6600円 ナビタスクリニック新宿院 〒160-0022 新宿区新宿4-1-6 NEWoMan(ニュウマン)7階 ナビタスクリニック立川院 〒190-0023 立川市柴崎町3丁目1-1 エキュート立川 4階 〇さいとう内科・循環器科クリニック様 IgGとIgMを実施 迅速抗体検査キット:不明 価格:8800円 東京都中央区日本橋大伝馬町13-8 メディカルプライム日本橋小伝馬町 3階 〇有明こどもクリニック様 400名以上に実施をし、陽性率は5. 4%とのことです。 IgGとIgMを実施 迅速抗体検査キット:ALFA SCIENTIFIC DESIGNS社 シミック(米国製) シミックのキットはFDAの緊急時使用許可(EUA:Emergency Use Authority)に申請中 シミックの感度 98. 価格:10000円 〇銀座しまだ内科クリニック様 IgGとIgMを実施 迅速抗体検査キット:ALFA SCIENTIFIC DESIGNS社 シミック(米国製) 価格:6380円 〇大宮エヴァグリーンクリニック様 500人以上に検査を実施しております。 陽性率は3. 9%とのことです。 当院からの最新情報案内を希望される方は当院公式LINEアカウントからおともだち登録をお願いします。 良ければ以下の記事もご覧ください。 現在、当院でオンライン診療を希望される方が増えております。 当院のある東京都大田区周辺(西馬込、馬込、中延、戸越、大井町、大森、蒲田、池上など)、東京都23区全域(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区)、23区外(八王子市. 青梅市. 町田市. あきる野市. 府中市. 日野市. 立川市. 調布市. 多摩市. 小平市. 昭島市. 稲城市.
次の感染症の診断は、一般的に急性期(症状が現れている時期)にウイルス検出、回復期には抗体検査が実施されます。 ウイルス検出にはウイルス分離培養、抗原検出(イムノクロマト法)や遺伝子検出法(PCR)等を用いられます。 現在、新型コロナウイルスのPCR検査は保健所を窓口に実施されています。 これは鼻咽頭スワブ液等から新型コロナウイルス遺伝子を抽出(取り出す)し、逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって検出する方法です。 ウイルスに感染しているかどうかを調べます。 一方、 抗体検査は新型コロナウイルスに感染していたかどうかを調べる検査法です。 事件現場で例えるならば、PCR検査は現場(鼻咽頭等)にいる犯人(新型コロナウイルス遺伝子)を現行犯逮捕(検出)します。 抗体検査は犯人が逃げ去ったあと(回復期)の現場に残された足跡(産生された抗体)から犯人(新型コロナウイルス)を追跡する方法です。 感染症では主に、その病原体に対するIgG、IgMを調べます。 風疹を例にすると、感染後1週間くらいでIgM、もう少し遅れてIgGが出現し、その後長期間持続します。 風疹は妊娠中に感染すると胎児に障害が出る恐れがあるため、妊娠初期に風疹に対する免疫が備わっているかを風疹のIgGとIgM抗体で調べます。 風疹抗体は感染防御抗体なので、抗体が陽性で、十分な量があれば免疫ができているため感染するリスクは減少します。 抗体が陰性であれば、妊娠中は感染リスクを避け、産後にワクチンを接種し、次回の妊娠に備えて免疫(抗体)を作ることが推奨されています。 新型コロナウイルス研究の歴史は浅く、風疹等のウイルス感染症と同様の免疫応答が見られるか詳細はまだ不明ですが、感染からの日数とウイルス及び抗体の陽性率の推移まとめた報告があります(Nandini Sethuraman ら、JAMA. 2020. yahoo. 国内では神戸市民病院の外来患者1000人を対象に抗体検査が実施され、3. 3%が抗体陽性とされています(神戸新聞)。 抗体検査はPCR検査が実施されていない無症状、軽症の症例がどれくらいあるのかを把握すること(疫学調査)が可能となります。 イムノクロマト法を用いた新型コロナウイルス抗体検査は、ヒト血清、血漿中に出現した新型コロナウイルスに対するIgM抗体とIgG抗体を調べ、これまでに新型コロナウイルスへの感染があったかどうかを補助的に判断するための簡易キットです。 しかし、キットにより検出感度や特異性が異なるのが難点で、現時点では正確な診断をするための検査にはなりません。 一般的にウイルス感染後、IgM抗体は1-2週間(感染初期)、IgG抗体は2-3週以降(回復期)に出現します。 イムノクロマト法を用いた抗体検査キットの評価では、発症後2週間後のIgM抗体陽性率は59. 4%、IgG抗体陽性率は96. niid. html)。 イムノクロマト法で検出された場合、これまでに新型コロナウイルスに感染していた可能性を示します。 しかし、新型コロナウイルスの免疫応答の研究歴史は浅く、抗体が感染を防御する(感染を防ぐ)抗体であるかどうかまだ不明です。 したがって、抗体検査陽性であっても「二度と新型コロナウイルスにかからない」という保証にはまだ至っていません。 現時点での抗体検査の意味を正しく理解する必要があります。 免疫(抗体)を持つヒトが人口の6~7割になる(集団免疫ができる)まで、感染は終息に向かいません。 現在、新型コロナウイルス治療として初期治療には「アビガン」(富士フイルム富山化学)、「レムデシビル」(Gilead Sciences Inc)等の抗ウイルス剤(ウイルスの増殖を阻害)でウイルスを叩き(治療)、サイトカインストーム(新型コロナウイルスに対する免疫応答の暴走)による重症化(暴走した免疫反応により正常組織がダメージを受ける)に対しては「アクテムラ」(抗IL-6レセプター抗体)やオルベスコ(吸入ステロイド)が治療として実用化されつつあります。 ワクチン開発も日本を含む各国で進行しています。 抗体検査の結果にかかわらず、こまめに石鹸やアルコール消毒液などでの手洗いや、マスクの着用と咳エチケットに気を付け、できるだけ人ごみの多い場所を避けるなど、自らを感染から守るだけでなく、自らが周囲に感染を拡大させないために一人ひとりの心がけが何より重要です。 mhlw. jpg)。 2020. 16 2020. 15 2020. 01 2020. 06 2020. 15 2020. 15 2020. 06 2019. 23 2019. 16 2019. 02 2019. 15 2019. 15 2019. 27 2019. 13 2019. 13 2019. 23 2019. 09 2019. 16 2019. 14 2019. 07 2019. 24 2019. 01 2019. 04 2019. 20 2018. 27 2018. 14 2018. 11 2018. 30 2018. 29 2018. 15 2018. 31 2018. 21 2018. 15 2018. 07 2018. 17 2018. 22 2018. 22 2018. 02 2018. 23 2018. 22 2018. 18 2018. 05 2018. 04 2017. 25 2017. 25 2017. 21 2017. 14 2017. 01 2017. 01 2017. 22 2017. 14 2017. 11 2017. 06 2017. 31 2017. 28 2017. 14 2017. 24 2017. 15 2017. 28 2017. 15 2017. 06 2017. 26 2017. 21 2017. 13 2017. 07 2017. 04 2017. 31 2017. 17 2017. 13 2017.
次の日本国内の新型コロナウイルス感染症の感染者数が1万2000人を超えました。 これは確認できた分だけですので、「本当の感染者数」はもっとずっと多いです。 軽症者はPCR検査を受けられるとは限りませんし、クルーズ船をはじめとした先行事例からは感染しても無症状のままの人がけっこういることもわかっています。 新型コロナウイルスに感染したけど診断されていない人はたくさんいるはずです。 各国の感染者数が発表されていますが、検査体制が充実している国ほど確認された感染者数が多くなります。 実際の感染状況や感染対策の有効性を評価するためにも、本当の感染者数を推定でもいいから知りたいところです。 しかし、無症状の人も含めてかたっぱしからPCR検査をするのは難しいのが現状です。 そこで抗体検査が注目されています。 海外ではすでにいくつか抗体検査を用いた研究がなされていますし、日本でも調査目的での抗体検査を行うとの報道がありました。 PCR検査はウイルスそのものを見ていますが、抗体検査はウイルス感染後の免疫反応を見ます。 抗体検査と一口にいっても複数の方法があり、その一つがイムノクロマト法による簡易キットです。 すでに複数の製品があります。 原理的にはインフルエンザ迅速キットと同じですが、新型コロナ感染症の抗体検査では検体は鼻腔(びくう)拭い液ではなく血液を使います。 検体採取のときに検査者が感染するリスクが低いのは大きな利点です。 また、治ってしまうとPCR検査は陰性になりますが、血液中の抗体はしばらくは残ります。 現在感染しているかどうかではなく、感染したことがあるかどうかを調べるには抗体検査のほうが向いています。 ただし抗体検査には注意点もあります。 新型コロナウイルス感染症において抗体の意義ははっきりしていません。 抗体の意義は病気によって違います。 麻疹や風疹なら抗体の存在は感染症から守られていることを示していますが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症や慢性C型肝炎ではそうではありません。 また、感染してから抗体ができるまでには時間がかかりますので、症状が出てすぐは診断の目的には使えません。 「抗体がついたから安全だ」とか「抗体が陰性なので感染していない」といった誤解をしないようにしましょう。 抗体検査を使った調査目的の研究も、解釈が難しいかもしれません。 海外の抗体検査を使った研究では、PCR検査で確認された感染者よりもずっと多く、数十倍も感染した人がいるかもしれないという結果も出ています。 ただ、検査は必ずしも正確ではありません。 本当はウイルスに感染したことがなくても検査が陽性になる「偽陽性」が、一定の割合であります。 偽陽性の割合が小さくても集団に適用すると大きな影響が出ます。 たとえば、ウイルスに感染していない人の99. 無作為に選んだ日本人1万人にこの検査をすると、本当の感染者数がきわめて少なくても10人ぐらいが偽陽性になります。 日本の人口は1億2000万人ですから、そのまま掛け算すると感染者数を誤って12万人多く評価することになります。 キットにより精度は異なります。 新型コロナウイルス感染症の流行以前の検体や、流行が比較的抑えられている地域での結果と比較するなど、慎重に判断する必要があるでしょう。 偽陽性だけではなく、本当は感染していたのに抗体検査で陽性にならない「偽陰性」もあります。 ただ、抗体検査に限らず、どの検査もなにかしらの欠点はあります。 それぞれの検査法の特徴を理解し目的によって使い分ければいいのです。 検査の選択肢が増えるのは喜ばしいことです。 <アピタル:内科医・酒井健司の医心電信・その他>.
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