それらと区別するために「本土ヒラタ」「国産ヒラタ」と呼ばれる事があります。 黒くて平べったい姿が特徴の人気の種類です。 その体の特徴を利用して樹洞や木の裂け目などの狭い隙間に器用に入り込むのが得意で、そこを縄張りとして住み着く事が多いです。 繁殖期を迎えたメスが縄張りを勝ち取ったオスに接近する習性があり、一時的に一夫多妻制になる事も多いです。 怪力の持ち主で力強いアゴは、一度挟むとなかなか離さない程で少し荒々しい一面もあります。 越冬して複数年の寿命を持つ事で知られています。 大きさは、オスで39から75ミリ前後、メスで19から42ミリ前後ですが飼育下では更に大きなサイズの羽化報告が存在します。 寿命は、一般的に3年前後と言われていますがエサや飼育環境(低温飼育)で4年以上の飼育報告も存在します。 学名に「Dorcus(ドルクス)属」が付く種類は、長い寿命を持ち長期飼育に最適で人気も高いです。 の画像です。 翅 はね の点刻列 スジ が目立たず全体的に光沢が強いです。 別の見分け方として前脚の腕の部分が前方 爪の方 に向かうほど太くなっていて少し湾曲しているところです。 上記樹洞の中で樹液を吸う野生の本土ヒラタクワガタの画像です。 野外での採集は、早ければ5月中旬頃 気温が高いと上旬頃 から可能です。 梅雨に入って気温と湿度が上がって来ると徐々に個体数が増えていきます。 5月に発生する個体は、前年に活動して更に越冬した旧成虫が殆どで消耗が激しい個体が多いです。 6月の梅雨入りから7月中旬くらいまでに姿を現す個体は、新生の物が多くなります。 新生個体と言っても羽化後に蛹室(サナギの部屋・土繭)の中で越冬して翌年の樹液が出る季節(初夏から夏)に出てくるので羽化後1年ほど経過している事になります。 したがって旧成虫(越冬旧成虫)と呼ばれる個体は、既に2年以上生きている事になります。 成虫は、クヌギ、コナラ、クリ、ヤナギ、アカメガシワ、シイなどの主に広葉樹の樹液に集まります。 夜行性なので日中は、木の根もと付近の土の中や深い樹洞、樹皮や幹の裂け目に隠れて、日没頃から翌日の明け方に掛けて活動します。 梅雨の雨上がりや曇りで薄暗い時は、日中から活動する姿を見掛ける事も多いです。 画像の様にオスは、縄張り意識が強くエサの樹液が大量に出て、しかも外敵から完全に身を守る事が出来る良質の樹洞を巡り、争奪戦(陣取り合戦)が繰り広げられます。 メスは、オスが住み着く樹洞に集まり時には一夫多妻制の大所帯になる事も有ります。 従って縄張り争いに勝利した強いオスの遺伝子が数匹のメスによって効率良く後世に残される事になるメカニズムが有るかもしれません。 通常、本土ヒラタの大型のオスは、アゴの付け根付近の大きな内歯(突起)の上に細かい複数のギザギザの鋸歯(内歯の小突起)が見られ、小型個体になるにつれて目立たなくなります。 画像の様に大型個体でも小突起(鋸歯)が完全に消失してしまう個体も稀に見掛ける事が出来ます。 通称、【ギザ無し】と呼んでいます。 遺伝なのか一定の確率で発生するのかの解明はなされていませんが飼育下だけではなく、自然下でも見掛ける事が出来ます。 繁殖の際の交配 ペアリング 時以外は、オスとメスを別々に飼育される事をお勧めします。 秋から春のエサ切れに注意が必要です。 沢山食べるので常にエサを入れておいて、食べ残しは3から4日に1回の交換を行うといった徹底した管理の方がコンディションを保てるのでお勧めです。 マット交換のタイミングは、春から秋は食べこぼしや排泄物(尿)で水っぽくなった時と越冬前の12月頃、越冬開けの3月頃に行うと良いです。 産卵は、自然界の本土ヒラタが活動する5月中旬から9月上旬迄に行うと効率が良いです。 なお、気温が高すぎると容器内のマットの温度が上昇しすぎて卵が死滅してしまう恐れがあるので注意が必要です。 新成虫の場合は、羽化して4カ月以上経過したペアが最適です。 晩夏から秋に羽化した個体は、冬眠させてからの翌年の産卵をお勧めします。 天然採集品の場合は、自然下で交尾済みの確率が高く、メス単独で産卵する確率が高いです。 天然個体は、オスに挟まれない様に最初はメスのみを産卵セットに入れる事をお勧めします。 繁殖品など交配が必要な場合は、予めBeケース ミニ などでオスとメスを3日ほど一緒に入れてペアリングをさせると良い。 メスの挟まれ事故を防ぐため、オスのアゴを園芸用のグリーン帯で縛って交配させるという方法もあります。 加水して十分に水切りを行った朽ち木を産卵用の発酵マットで埋め込む方法で大丈夫です。 メスは、潜ったまま出てこなくなる事が多いですが問題はありません。 産卵の形跡が無い時だけ、オスを投入して3日ほど同居させると良いです。 割り出しは、画像の様に二齢 丸まって1円玉前後のサイズ が見え始めてから行うと良いです。 割り出した幼虫は、一時管理用のカップに無添加幼虫マットを入れて4から7ほど異常の有無を見極めるために養生させます。 二齢以上の物から菌糸ビンもしくは、マットボトルに入れると良いです。 画像は、食環境の悪化(特に産卵セット内での飼育の長期化)で真菌によって腸内のバクテリアに異常をきたしたり、消化器官が壊死して摂食障害の様な症状を起こした幼虫です。 (通称:と呼ばれます。 ) 割り出し迄に数ヶ月の時間が掛かってしまった際に産卵マットが劣化した際に発生しやすく割り出し時点から発症している事が多いです。 特徴は、体が透き通って少しブヨブヨとした感じになっている事です。 幼虫は、冬眠時に腸内に不凍液の様な物が入った状態になり下半身が半透明になります。 ブヨブヨ病は冬眠時の幼虫と真逆で腸内は有機物で満たされている事が多く上半身のみが透き通っている場合(左側の幼虫)が有るので見極めが少し難しい場合があります。 また、脱皮直後は、透き通っているので判断が厳しい時は、カップに戻して数日だけ様子をみると良いです。 どんなエサに変えても回復が難しくカップの中で生涯を終えてしまう場合も多いです。 ボトルに入れ替えても成長しないか消滅してしまっている事が多いです。 幼虫飼育に関しては菌糸ビン、マットボトルのどちらでも結果が得られるのでお好みの方法でも構いません。 ・マットボトル飼育の場合:3から4ヶ月毎の交換。 終齢のオスは、大きいので食べる速度が早いので3ヶ月に1回の方が確実です。 ・菌糸ビン飼育の場合:2から3ヶ月毎の交換。 特に1本目の550ccは、サイズや気温により食べる速度が変化してしまうので早く食い尽くしてしまう事があります。 また、食べている量に関わらず中身のオガクズをキノコの菌が分解し続けて劣化してしまうので必ず2から3ヶ月以内の交換の必要があります。 またエサの劣化速度が速いので早めの交換の必要があります。 ・一方、マット飼育だとエサの劣化を気にせずに飼育出来て羽化率も高いが若干成長速度が遅く、食痕(幼虫が食べた痕)が外見から見えない為、ついついエサ交換を長期間怠ってしまい糞食によるサイズのロスが出てしまいます。 そこでヒラタクワガタには、双方の「 いいとこ取り飼育」、つまり【】がオススメです。 「若齢幼虫(初二齢)の時期と終齢の時期とでは、必要とする栄養素も異なるのでは?」という点に着目した飼育方法です。 幼虫の成長速度や大きさは、温度で大きく左右されるので状況を見ながら交換を行い、暴れて2週間以内に蛹室を作らなかったら即エサの切り替えの準備を整えておくと良いです。 実際の切り替え飼育時の終齢幼虫の画像です。
次の5月26日に ヤフオクで 本土ヒラタクワガタをペアで購入しました。 個体の紹介と今後の 飼育目標について語ります。 飼育目標は70mmオーバーです。 1ミリ WF1 2019年10月羽化 オスは長歯系の立派な格好いい個体でした。 非常に元気がいい個体で、手にのせてみた後、離そうとしたらすごい力でしがみついてきて、爪が皮膚に引っかかって痛い!かなりの力がありました。 サイズも65㎜オーバーの本土ヒラタを見るのは初めてだったので迫力があり感激しました。 かわいい子です。 落札額は、2600円で、送料込みで4000円ちょっと、今回はいい買い物したなあと思いました。 九州産ヒラタクワガタに対するあこがれ 以前から関西以南特に九州産の本土ヒラタが欲しかったのです。 私は東京都心部に住んでいますが、東京産のヒラタクワガタも好きですし、やはり短歯系だったと思いますが、野外で初めて採集したときは感激でした(26,7歳ころだったと思います。 遅いヒラタデビューです)。 メスは別途調達して、その個体でブリードして頑張って菌糸ビンで育て大型のヒラタクワガタが出てくるのを楽しみにしていました。 羽化してくれた個体は短歯のとっても素敵なヒラタクワガタたちでそれはそれで満足だったです。 ただサイズは60mm前後のしか作出できず、種親に比べればはるかに大きいですが、大型個体と呼ぶにはちょっとというサイズでした。 図鑑を見ると本土ヒラタは2019年ビークワの記録を見ると野外で75㎜、飼育では86mmまで出ているとあります。 2世代まで試してみましたがやはり60mmが限界で、どうしてかなと思って不審に思っていたのです。 もちろん私の飼育技術の至らなさもあったと思います。 昆虫ショップできいてみると次の答えが返ってきました。 「ヒラタはもともと南方系のクワガタだから関西以南の本土ヒラタじゃないと60mm後半以上の大型個体は難しいよ、大型出したいなら、関西以南の本土ヒラタを種親にしてみたら」 それ以来、関西以南、できれば九州あたりの本土ヒラタが手に入ればなあと思っていたのです。 飼育目標 今年春、コロナ自粛で悶々としていたころ、再びクワガタ飼育再開を決意、といっても昆虫ショップも閉まっています。 そこでヤフオクでクワガタを物色していたところ、このペア個体に出会ったというわけです。 宮崎県産!しかもオス68. 2mm、まぎれもなく大型個体、70mmオーバーを目指せる個体だあ!となったのです。 ヤフオク商品ページの説明書きでは、種親はワイルドのメス32mmで、その持腹個体から同じ兄弟で、最大72mmまで出ているとのことですので、私もこのペアで70mm~75mmを目指したいと思います オスメスともに元気ですし、ゼリーもよく食べています。 時期も5月下旬といい時期でしたので、さっそくブリードに着手しようと思います。 次回は本土ヒラタクワガタのペアリングについて書きたいと思います。 結果的には初めての試みもしてみました。 それでは!.
次のindex• ヒラタクワガタのペアの準備 ヒラタクワガタのペアを野外で採集するのは、なかなか初心者では難しいですね。 ヒラタクワガタは、西日本を中心に温暖な気候のところに生息していて、大きいものでは 70mmのものまで生息しています。 関東では、45mmのものが多いですね。 元々温暖な気候を好む種なので、少し寒い関東の方では、体の大きさを小さくして種の保存をしたのですね。 西日本の方では、 オオクワガタについで根強い人気があるのも頷けます。 でも、野生のヒラタクワガタを採集するのは、初心者にはちょっとハードルが高いです。 採集するのが難しい場合は、オスとメスのペアを購入しましょう。 ネット通販でもペットショップでも手に入れることができます。 ペットショップの場合、見て買えるので安心ですが、ネット通販の場合、できたら大手の信用あるところで買いましょう。 ペアを購入したら、念のため、別々のケースに入れて、 無事に餌を食べるか確認しましょうね。 餌を食べるのを確認したら、オスとメスを一緒の容器に入れて、産卵の準備に入ります。 産卵セットの準備 産卵セットは、ヒラタクワガタのペアにとって新居になりますので、しっかりいい産卵セットを作ってあげたいですね。 特に転倒しても起き上がれるように木は、必ず入れて上げましょう。 ひっくりかえってそのままだと体力を消耗してしまいます。 できるだけ元気な状態で産卵できるように環境を整えてあげましょう。 ペアを産卵セットの中に入れる 産卵セットができたら、晴れてオスとメスを一緒に入れます。 屋外でしたら、日陰の風通しの良いところ、屋根のあるところがいいですね。 室内でしたら、廊下や玄関などがいいですね。 ・通常、 1週間~10日ぐらいで交尾を完了します。 交尾しない場合 オスとメスを産卵セットの中に入れて、 そこでまさかのまさか! オスとメスが交尾しない場合があります。 でも安心して下さい。 それは、オスとメスがまだ成熟していない証です。 数日 オスとメスを 別々の飼育ケースで飼育しておいてください。 大抵は、再度一緒に入れると交尾を始めます。 スポンサー広告 交尾が完結したら まず、オスを別の容器に移動させ、メスのみをそのまま産卵セットで飼育します。 そしてメスが産卵するのを確認します。 飼育ケースの容器ごしに 卵や幼虫が5~6匹見えだしたら、産卵終了していますので、その段階でメスも取り出して別の容器に移します。 1か月ほどは、そのまま幼虫を産卵ケースで育てます。 幼虫をカップに小分けする 1か月経てば、 90cc程のプリンカップに幼虫を一匹ずつ育てます。 土は、産卵セットで使用したマットを使います。 一回り大きくなってくると菌糸ビンの中で幼虫を育てます。 菌糸ビンの中での育て方 幼虫が一回り大きくなってきたら、 菌糸ビンに移し替えて菌糸ビンの中で育てましょう。 移し替える時は、くれぐれも幼虫を傷つけないようにしてくださいね。 スプーンで幼虫をすくって移すと傷つけなくて安心です。 私は、トイレの中と玄関の靴箱の上を置き場所にしています。 温度管理なしの常温でも育ちますが、羽化までの時間が長くなります。 2か月から 3か月経つと、菌糸ビンに黒い部分が多くなってくると 菌糸ビンの交換時期です。 新しい菌糸ビンに移し替える時は、必ず幼虫を傷つけないようにスプーンで幼虫をすくって移動させてあげてくださいね。 サナギになったら 急に餌を食べる量が減ったなと思ったら、そろそろ サナギになります。 サナギになったら、ビンを動かさずに安静にしておきましょう。 1~2か月で羽化を始めます。 この頃から、観察していると感動の瞬間、瞬間が訪れます。 サナギの色が少しづつ変わってきます。 だんだんと成虫の色になってくるのですね。 そして羽が生えてきて、成虫の姿形になってきます。 何回サナギの変化を見ても、子供の頃に感じたワクワクを感じますよ。 この段階が、飼育していて良かったと思う瞬間です。 本当に変身する様子が見て取ってわかり、感動しますよ。 また羽化したての頃は、 クワガタの体はとても柔らかいので、 むやみに触らないことですね。 触ってしまうと変形してしまったりするので、観察までにしておいてください。 ここまで来たら、もう大丈夫です。 後は、ヒラタクワガタが蛹室から自力で出てこれるようになるまで、待ってあげてくださいね。 ヒラタクワガタの繁殖がうまくいったら、 一番人気のクワガタのオオクワガタの繁殖に挑戦してもいいですね。 参照記事 最後に 産卵から幼虫、サナギ、羽化と見守っていると立派なあごの強いヒラタクワガタの成虫の姿になると、本当に愛しく思えます。 繁殖もそう難しくないので、ぜひ、立派なヒラタクワガタを育ててみてください。 一度繁殖に成功すると生き物を飼育、繁殖させる喜びがわかり、また他のものを育ててみたくなりますよ。
次の